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JP2013006784A - 歯磨剤組成物 - Google Patents

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JP2013006784A JP2011138940A JP2011138940A JP2013006784A JP 2013006784 A JP2013006784 A JP 2013006784A JP 2011138940 A JP2011138940 A JP 2011138940A JP 2011138940 A JP2011138940 A JP 2011138940A JP 2013006784 A JP2013006784 A JP 2013006784A
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Abstract

【課題】エーテル化度の低いカルボキシメチルセルロース又はその塩を用い、優れた使用感と充分な汚れ除去能とを兼ね備えた歯磨剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)平均粒子径が200μm未満である炭酸カルシウム 2.5〜40質量%、及び(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩 0.05〜7質量%を含有する歯磨剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯磨剤組成物に関する。
飲食や喫煙等を繰り返すことにより、歯には歯垢や歯石、色性沈着物等の種々の沈着物が付着する。付着した歯垢を放置すると、虫歯や歯周病、口臭等の原因となり、付着した色性沈着物等を放置すると着色による歯の汚れとして認識され、美観が損なわれることとなる。
従来より、こうした歯垢や汚れ等を除去する際、歯ブラシによる清掃作用を補強するため、主要成分の1つとして研磨剤が配合された歯磨剤が用いられている。かかる研磨剤として、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、無水ケイ酸、水酸化アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等の多岐に亘る種類のものが用いられており、その研磨力により、歯に付着した歯垢や汚れ等を除去する効果がもたらされる(非特許文献1参照)。
こうしたなか、現代社会においては、食生活の多様化がすすむにつれ、口腔内環境が容易に悪化しやすく、除去しにくい歯垢や汚れが益々歯に付着しやすい傾向にある。そのため、従来の歯磨剤では、充分に高い汚れ除去能を発揮するのが困難な状況下にある。
一方、歯磨剤には、主として所望の粘度や容器からの良好な吐出性を確保する目的で、粘結剤を含有させることが多い。このような粘結剤としては、増粘性シリカやカラギーナン、キサンタンガムのほか、カルボキシメチルセルロース及びその塩も用いられている。カルボキシメチルセルロース及びその塩には、そのエーテル化度が低いものから高いものまで種々の品質ものが存在するものの、通常0.5を超えるエーテル化度の高いものが好適な粘結剤として多く採用されている。例えば、特許文献1に記載の歯磨剤組成物では、エーテル化度が0.8〜1.0のカルボキシメチルセルロースが最適であるとされ、これを配合することによって良好な保型性や粘度の保持を図っている。また、特許文献2には、2室を有する容器に2種類の組成物が充填されてなる歯磨剤が記載されており、異なるエーテル化度のカルボキシメチルセルロースの含有量を変化させて、歯磨剤の粘弾性の調整を図っている。
また、特許文献3には、エーテル化度0.7以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムとキサンタンガムと架橋型ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる粘結剤を含有する歯磨組成物により、低温保存性、口中分散性が向上することが記載されている。さらに、特許文献4にも、置換度が0.6以下のカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩を使用する口腔用組成物の製造方法で、長期間保存しても液分離が生じ難い口腔用組成物が得られることが記載されている。
特開2006−176479号公報 特開2005−247869号公報 特開平10−139642号公報 特開昭57−209212号公報
光井武夫編、「新化粧品学」、第1版、株式会社南山堂、1993年1月12日、p.503−504
しかしながら、上述のような通常粘結剤として用いられるエーテル化度の高いカルボキシメチルセルロース又はその塩を用いると、使用後の歯面や舌に糊が付着したような不快感が残存する場合があり、使用感のさらなる向上を図る必要がある。また、エーテル化度の低いカルボキシメチルセルロース又はその塩は、歯磨剤の配合成分として未だ利用実績が少ないため、これを用いて、従来の歯磨剤よりも優れた使用感と充分な汚れ除去能とを兼ね備えた歯磨剤を得ることは、必ずしも容易ではない。
したがって、本発明の課題は、エーテル化度の低いカルボキシメチルセルロース又はその塩を用い、優れた使用感と充分な汚れ除去能とを兼ね備えた歯磨剤組成物を提供することにある。
本発明者は、通常粘結剤としては利用実績の少ないエーテル化度の低いカルボキシメチルセルロース又はその塩が、水の存在下にて部分的に膨潤すると非常に特徴的な三次元の構造を形成することに着目し、鋭意検討を行ったところ、このようなエーテル化度の低いカルボキシメチルセルロース又はその塩の膨潤物と特定の粒子径を有する炭酸カルシウムとを組み合わせることで、研磨剤として広く用いられている炭酸カルシウムを歯の端部や細部に至るまで有効に侵入させることが可能となり、その結果、歯と歯の間の隙間のような狭小な領域に付着した歯垢や汚れのみならず、歯の表面に存在する周波状のミクロな溝のミクロ汚れをも有効に除去することができることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)平均粒子径が200μm未満である炭酸カルシウム 2.5〜40質量%、及び(B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩 0.05〜7質量%を含有する歯磨剤組成物を提供するものである。
本発明によれば、歯磨組成物が歯と歯の隙間だけでなく、歯面に存在する周波状のミクロな溝のミクロ汚れのように非常に狭小な領域においても、その端部や細部に至るまで有効に侵入して、歯垢や汚れを充分に除去することができるため、歯のつるつる感が著しく向上するとともに、苦味等の問題も無く使用後の歯面や舌に糊が付着したような不快感もない優れた使用感を発揮することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の歯磨剤組成物は、平均粒子径が200μm未満である炭酸カルシウム(A)を含有する。炭酸カルシウムは研磨剤として広く用いられるものであるが、後述するように水の存在下で部分的に膨潤し形成される成分(B)による三次元構造に、成分(A)が複雑に絡み合い、歯と歯の隙間だけでなく、歯面に存在する周波状のミクロな溝のように非常に狭小な領域に至るまで有効に侵入して、非常に高い汚れ除去力を発揮することができる。
本発明の歯磨剤組成物に用いられる炭酸カルシウム(A)の含有量は、成分(B)と相まって良好な分散性を発揮する点、苦味抑制の点及び上述の三次元構造に複雑に絡み合って非常に優れた汚れ除去力を発揮する点から、本発明の歯磨剤組成物中に2.5〜40質量%であり、好ましくは3〜20質量%であり、より好ましくは4〜8質量%である。
本発明の歯磨剤組成物に用いられる炭酸カルシウム(A)の平均粒子径は、歯を必要以上に傷つけない点、及び上述の三次元構造に複雑に絡み合って非常に優れた汚れ除去力を発揮する点から、200μm未満であり、好ましくは0.1〜100μmであり、より好ましくは0.5〜50μmであり、さらに好ましくは1〜20μmである。
なお、本発明の歯磨剤組成物に用いられる炭酸カルシウム(A)としては、沈降炭酸カルシウム(軽微性又は軽質炭酸カルシウム)及び重質炭酸カルシウムが挙げられるが、成分(B)による三次元構造と絡み合って非常に高い汚れ除去力を発揮する点から、重質炭酸カルシウムが好ましい。
本発明の歯磨剤組成物は、エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)を含有する。一般的に、歯磨剤には粘結剤としてカルボキシメチルセルロース又はその塩が配合されるが、粘結剤として配合されるカルボキシメチルセルロース又はその塩のエーテル化度は1.0〜1.5であり、まれに用いられる低粘度のカルボキシメチルセルロース又はその塩でもそのエーテル化度は0.6〜0.8であり、0.5を超えるものが一般的である。例えば、エーテル化度が0.2〜0.3のカルボキシメチルセルロースナトリウムの1%水溶液の25℃における粘度は、BM型粘度計 ロータNO.1 回転数60で測定した場合に30〜100mPa・sであるため、粘結剤としての機能を示さず、歯磨剤に粘結剤として使用されることは少ない。
本発明で用いるエーテル化度が0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)は、良好な吸水性を有しており、水の存在下で部分的に膨潤して三次元構造を形成して適度な粘弾性を発現することができ、この三次元構造に平均粒子径が200μm未満の細かな粒子径の炭酸カルシウムが複雑に絡み合うことで、歯と歯の間の隙間のみならず、歯の表面に存在する周波状のミクロな溝等の狭小な領域に至るまで歯磨剤組成物が侵入して、歯の狭小な領域における汚れ除去力を有効に発揮させることができる。しかも歯面に糊が付着したような不快感をもたらすおそれもない。
カルボキシメチルセルロース又はその塩(B)のより好ましいエーテル化度は、0.1〜0.4であり、さらに好ましいエーテル化度は0.2〜0.35である。ここでエーテル化度とは、グルコース単位あたりのカルボキシメチル基の置換度をいう。エーテル化度は、例えばCMC工業会分析法(灰化法)に従い得ることができる。カルボキシメチルセルロースナトリウム1gを精秤し、磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムをN/10硫酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定し、カルボキシメチルセルロースナトリウム1gあたりの滴定量YmLを次式に入れて計算し、求めたエーテル化度を示すことができる。
エーテル化度=(162×Y)/(10,000−80×Y)
カルボキシメチルセルロースの塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられ、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。
本発明の歯磨剤組成物中における、エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)の含有量は、歯面のミクロな溝における汚れを除去し歯のつるつる感が向上して優れた使用感を発揮することができるとともに、使用後の歯面や舌に糊が付着したような不快感をもたらすおそれがない点から、本発明の歯磨剤組成物中に0.05〜7質量%であり、好ましくは0.2〜4質量%であり、さらに好ましくは0.3〜1質量%である。
また、炭酸カルシウム(A)の含有量とエーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)の含有量との質量比(A/B)は、適度な粘弾性を発現して歯垢や汚れを有効に除去する観点から、好ましくは1〜100であり、より好ましくは2〜60であり、さらに好ましくは7〜50である。
本発明の歯磨剤組成物は、歯面のミクロ汚れを効果的に除去する点から、さらに粒子径が20〜500μmの顆粒(C)を含有するのが好ましい。顆粒(C)の含有量は、上述の成分(B)の三次元構造に成分(A)が複雑に絡み合ったものにさらに顆粒(C)や崩壊した顆粒も絡み合うことで歯垢除去力を向上させる点、及びブラッシングによる摩擦力を得る点から、本発明の歯磨剤組成物中に、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは3〜30質量%である。また、顆粒(C)の粒子径は、上記同様の点から、より好ましくは20〜300μmであり、さらに好ましくは25〜250μmである。
顆粒(C)は、崩壊強度が1〜20g/個である崩壊性顆粒であることが好ましい。この崩壊強度の範囲は、歯ブラシでブラッシングしている過程で徐々に崩壊できる強度であり、このような崩壊強度により、口中で顆粒を触知して、歯ブラシによるブラッシングによる歯垢除去能、摩擦の効果を認識することができる。崩壊強度は、歯磨組成物中で上述の成分(B)の三次元構造に成分(A)が複雑に絡み合ったものにさらに適度に崩壊した顆粒(C)も絡み合うことで歯垢除去力を向上させる点、及び歯面への適度な摩擦力の点から、2〜15g/個が好ましく、特に5〜12g/個であるのが好ましい。ここで崩壊強度は、微小圧縮試験機(島津製作所、MCTM−500)を用いて、粒子径(180〜200μm)の顆粒を10個〜20個測定した平均値で表される。
さらに顆粒が崩壊性顆粒である場合は、練歯磨剤に配合された場合(湿潤状態)においても同様の崩壊強度を有することが好ましい。すなわち、本発明の歯磨剤組成物を使用したとき、口の中での顆粒を触知でき、効果感を認識できるにもかかわらず、異物感をほとんど感ずることなく、また歯を傷つけることなく上述の三次元構造に複雑に絡み合って歯垢を除去する力、着色汚れを除去する力を有する点で、1〜20g/個の湿潤強度が好ましく、特に5〜15g/個の湿潤強度が望ましい。なお、湿潤強度は、歯磨剤組成物中の顆粒を抽出して洗浄した顆粒(粒子径が180〜200μm)を、上記の微小圧縮試験機を用いて、10〜20個測定した平均値で表される。
顆粒(C)が崩壊性顆粒の場合には、口の中での顆粒を触知でき、効果感を認識できるにもかかわらず、異物感をほとんど感ずることなく、歯垢除去力及び着色汚れ除去力を有する点で、粒子径20〜500μmの顆粒の平均粒子径は90〜400μmであることが好ましく、効果的に顆粒が崩壊することを考慮すると、より好ましくは平均粒子径80〜350μmであり、さらに平均粒子径70〜300μmが好ましい。ここで、顆粒(C)の粒子径及び平均粒子径は、ふるい分け法(音波篩、筒井理化学SW−20−AT)により測定した値をいう。
顆粒(C)が崩壊性顆粒の場合には、本発明の歯磨剤組成物中で、炭酸カルシウム(A)とともに、エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)と複数の崩壊した顆粒とが絡み合いながら塊状の三次元構造を形成して、歯垢除去効果を上げる点から、粒子径が20〜70μmまで速やかに崩壊する顆粒が好ましく、特に、水不溶性繊維を含有する顆粒が好ましい。
本発明で用いることのできる顆粒(C)としては、特に制限されないが、(C1)研磨性粉体を有機系結合剤又は無機系結合剤、及び崩壊性を上げる点から水不溶性繊維等の成分、又は必要に応じて他の成分を配合して結着させて得られる顆粒、結合剤を用いない顆粒としては(C2)炭酸カルシウム微粒子を凝集させたり複合化して得られる顆粒、(C3)シリカを凝集させるゲル法、沈降法などの湿式法、又は噴霧造粒により得られる顆粒などが挙げられる。
顆粒(C)の製造に用いられる研磨性粉体としては、一般的に歯の研磨剤として用いられるもの、例えば第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、シリカ(研磨性シリカ)、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ゼオライト、複合アルミノケイ酸塩、炭酸マグネシウム等が挙げられる。このうち、清掃効果が高いこと、また取り扱いのしやすさや汎用性の点から、炭酸カルシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、ゼオライトが好ましく、炭酸カルシウムが特に好ましい。これら研磨性粉体は単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
上記研磨性粉体の平均粒子径は、研磨性及び歯を傷つけない点から、好ましくは0.1〜15μm、さらに0.5〜10μm、特に1〜10μmが好ましい。また、顆粒(C)中の研磨性粉体の含有量は、40〜94質量%が好ましく、研磨性及び顆粒が崩壊性顆粒である場合の崩壊性の点から、50〜85質量%がより好ましく、さらに60〜85質量%が好ましい。
顆粒(C)の製造に用いられる有機系結合剤としては、油脂及び合成高分子が挙げられ、油脂としては、ワックス、パラフィン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸及びそれらの塩等が挙げられる。合成高分子としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ヒドロキシメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、マレイン酸エステル、メチルビニルエーテル、α−オレフィン等からなるホモポリマー及びそれら2種以上の共重合体が挙げられる。
顆粒(C)の製造に用いられる無機系結合剤としては、水不溶性結合剤が好ましく、当該水不溶性無機結合剤としては、例えばコロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、水酸化アルミニウムゲル、アルミナゾル、合成ヒドロタルサイト等が挙げられる。これらのうち、ケイ素系化合物が好ましく、なかでも、噴霧造粒法での操作性などの点からコロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウムが好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。これら無機結合剤は単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
顆粒(C)中の結合剤の含有量は、5〜35質量%が好ましく、顆粒の強度と崩壊性顆粒の場合の崩壊性とのバランスの点から、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
また、顆粒(C)には、崩壊性を上げる(崩壊強度を下げる)点から水不溶性繊維を配合するのが好ましく、水不溶性繊維としては、水不溶性食物繊維が好ましく、例えばセルロース、水不溶性ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン等が挙げられ、このうち顆粒の崩壊性、歯垢除去性、着色汚れ除去性の点からセルロースが特に好ましい。セルロースは、パルプ等を原料として粉末状の乾燥品として精製されたセルロースのほか、加工処理により結晶構造が認められる微結晶粉末セルロース等の加工処理されたものであってもよい。また、前述のセルロースのほかに、植物を原料として精製されたビートファイバー、コーンファイバー、アップルファイバー等が挙げられる。これらはセルロース、水不溶性ヘミセルロース、リグニン等からなり、水溶性繊維を含有するものもあるが、水不溶性食物繊維も使用可能である。
崩壊性顆粒中の水不溶性繊維の含有量は、1〜40質量%が好ましく、顆粒の崩壊性、歯垢除去性、着色汚れ除去性の点から、より好ましくは2〜30質量%であり、さらに好ましくは3〜25質量%であり、最も好ましくは4〜20質量%である。
これらの顆粒(C)のうち、研磨性粉体40〜94質量%、水不溶性無機結合剤5〜35質量%を含有する顆粒が好ましく、さらに水不溶性繊維1〜40質量%を含有する崩壊性顆粒が好ましく、粒子径が20μm以上の顆粒の平均粒子径が25〜500μmである顆粒が特に好ましい。
なお、エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩(B)と顆粒(C)の含有量の質量比(B:C)は、歯面のミクロ汚れ除去能の点から、1:1〜1:200が好ましく、さらに1:5〜1:100が好ましい。
本発明の歯磨剤組成物には、さらに粘結剤を含有してもよい。粘結剤として、例えば、アルギン酸ナトリウム、上記成分(B)以外のカルボキシメチルセルロース又はその塩(例えば、エーテル化度0.6〜1.5のもの)、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体が挙げられ、これらの群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。さらに、カルボキシメチルセルロース又はその塩(B)による歯垢又は汚れ除去能の点から、エーテル化度0.6〜1.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩、増粘性シリカ、カラギーナン及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するのが好ましい。
上記粘結剤の含有量は、上記効果を有効に発揮させる点から、本発明の歯磨剤組成物中、好ましくは0.05〜15質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の歯磨剤組成物には、さらに吸油量150〜500mL/100gの増粘性シリカを含有してもよい。増粘性シリカは、通常研磨性シリカとして歯磨剤に配合されるシリカより吸油量が大きいものである。上記効果を有効に発揮させる点から、好ましい吸油量は、200〜400mL/100gであり、さらに好ましい吸油量は250〜380mL/100gである。上記増粘性シリカとしては、富士シリシア化学製SYLOPURE25、CROSFIELD社製SORBOSILTC15等の市販品を使用することができる。なお、吸油量は、JISK5101-13-2に準ずる方法によって測定することができる。また、用いられる増粘性シリカの平均粒子径は、好ましくは1〜10μmであり、より好ましくは1.5〜8μmであり、さらに好ましくは2〜8μmである。
上記吸油量150〜500mL/100gの増粘性シリカの含有量は、上記効果を有効に発揮させる点から、本発明の歯磨剤組成物中に、好ましくは0.05〜15質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%であり、さらに好ましくは5〜9質量%である。
本発明の歯磨剤組成物には、さらに通常の歯磨剤に利用される他の成分を配合することができる。かかる成分としては、例えば、湿潤剤、甘味剤、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤、香料、薬用成分等が挙げられる。また研磨剤として、顆粒(C)の製造に用いられる研磨剤のなかから炭酸カルシウム以外のものを用いてもよい。
湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、分子量100〜1000のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キシリトール、マルチット、ラクチット、トレハロース等が好適に用いられる。湿潤剤の含有量は、上記効果を有効に発揮させる点から、本発明の歯磨剤組成物中に、好ましくは8〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%程度である。
また、界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤を配合することができる。アニオン性界面活性剤としては、例えばアシルグルタミン酸ナトリウム、アシルサルコシンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、アルキルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸スルホン化モノグリセリド塩、イセチオン酸の脂肪酸エステル塩、N−メチル長鎖アシルタウリンナトリウム塩、ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤における疎水基のアルキル基、アシル基は炭素数6〜18が好ましく、炭素数10〜14のものがより好ましい。また、その塩としてはナトリウム塩が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、発泡性がよく、また安価に入手可能な点から、アルキル硫酸エステル塩が特に好ましい。
上記界面活性剤の含有量は、上記効果を有効に発揮させる点及び発泡性や泡質の点から、本発明の歯磨剤組成物中に、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.2〜2質量%である。
香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、ペパーミント油、スペアミント油、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、メチルアセテート、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、シソ油、丁子油、ユーカリ油等が挙げられる。
上記香料の含有量は、上記効果を有効に発揮させる点から、本発明の歯磨剤組成物中に、好ましくは0.1〜5質量%であり、より好ましくは0.2〜3質量%であり、さらに好ましくは0.4〜2質量%である。
水の含有量は、剤形などに応じて適宜設定することができるが、成分(B)を充分に膨潤させ、成分(A)と絡み合いながら適度な粘弾性を呈させて上記効果を有効に発揮させる点から、本発明の歯磨剤組成物中に、通常10〜65質量%程度、好ましくは20〜55質量%程度である。ただし、上記成分(B)のカルボキシメチルセルロース又はその塩を充分に膨潤させ、適度な粘弾性を良好に発現させる観点から、歯磨剤組成物中における水の含有量と成分(B)の含有量との質量比(水分量/(B))は、好ましくは1.5〜150であり、より好ましくは2〜100であり、さらに好ましくは2.5〜10である。
本発明の歯磨剤組成物は、上記成分を常法に従って調製することによって得ることができる。得られる歯磨剤組成物の25℃における粘度(ヘリパス型粘度計、ロータC、2.5rpm、1分間)は、上記効果を有効に発揮させる点及び剤の安定性や使用時の分散性の点から、好ましくは1000〜5000dPa・s、より好ましくは1500〜4000dPa・s、さらに好ましくは2000〜4000dPa・sである。歯磨剤組成物の粘度が上記範囲内であると、歯面に存在するミクロな溝や歯と歯の隙間のように狭小な領域へ、成分(B)による三次元構造に成分(A)が絡み合って有効に侵入し、歯垢や汚れを効果的に除去することができる。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[試験例1]:ミクロな凹凸部におけるモデル歯垢又は汚れ除去の評価
表1に示す処方に基づき、試料1〜4を調製し、以下に示す方法に従ってミクロな凹凸部(歯の周波条、近心唇面溝、中央隆線及び遠心唇面溝部)におけるモデル歯垢又は汚れ除去の評価を行った。
(1)ステンレス板に深さ50μm×幅100μmの溝を刻み歯のミクロな凹凸モデルを作成した。
(2)ステンレス板の溝にモデル歯垢又は汚れとして赤い口紅(オーブ ルージュドレシャスRD305(花王)を塗りこんだ。
(3)このように処理したステンレス板の全体を、何も付けていないハブラシ(実験サンプル塗布せず)で、約200g重の荷重にて100ストロークするように手でブラッシングした後、ステンレス板上に残存しているモデル歯垢の面積を画像ソフトにより測定し、ブランク(100%)とした。
(4)次に、試料1〜4をハブラシに1g取って(3)と同様にブラッシングした後、ステンレス板上に残存しているモデル歯垢の面積を測定し、ブランクを基準(100%)とした割合(%)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2013006784
※1:サンローズSLD−F1、エーテル化度=0.3、平均粒径50μm、日本製紙ケミカル(株)製
※2:炭酸カルシウム噴霧乾燥顆粒
※5:カルシーF♯9860、重質炭酸カルシウム(三共精粉(株)製)
なお、※2の炭酸カルシウム噴霧乾燥顆粒の物性及び製造方法を以下に示す。
(i)組成:炭酸カルシウム75質量%、コロイダルシリカ20質量%及びセルロース5質量%
(ii)平均粒子径:250μm
(iii)崩壊強度:10g/個(測定方法:粒子径(180〜200μm)の顆粒10個〜20個を微小圧縮試験機(島津製作所、MCTM−500)を用いて測定して平均値を算出)
(iv)湿潤強度:10g/個(測定方法:歯磨剤組成物中の顆粒を抽出して洗浄した顆粒(粒子径が180〜200μm)を、上記の微小圧縮試験機を用いて、10〜20個測定して平均値を算出)
(v)製造方法:炭酸カルシウム(平均粒子径2〜5μm、トヨホワイト(東洋電化工業(株))、コロイダルシリカ(スノーテックスSK、日産化学(株))、セルロース(KCフロック W−400G、日本製紙ケミカル(株))及び水を混合して水スラリーとし、噴霧造粒機により送風温度約200℃、排風温度80〜90℃で噴霧造粒した後、得られた顆粒を90μm/500μm(粒子径90〜500μm)のふるいで分級した。
表1の結果より、ハブラシ単独では除去できなかったミクロな溝の歯垢モデルは、試料2に示されるように、研磨剤である炭酸カルシウムを単独で使用しただけではほとんど除去できなかった。また、試料1に示されるように、エーテル化度0.3のカルボキシルメチルセルロースナトリウムを単独で使用しても全く清掃力がなかった。ところが、試料3に示されるように、炭酸カルシウムをエーテル化度0.3のカルボキシルメチルセルロースナトリウムと併用することで、ミクロな溝の歯垢モデルが良好に除去できることがわかった。さらに、試料4に示されるように、顆粒を併用することで、ミクロな溝の歯垢モデルが非常に良好に除去できることがわかった。
[実施例1〜12、比較例1〜6]
表2〜5に示す処方に基づき、練歯磨剤を調製した。得られた練歯磨剤について、以下に示す方法に従って各評価を行った。なお、以下に示す方法によって測定した実施例1〜12の練歯磨剤の粘度は、全て1000〜5000dPa・sであった。結果を表2〜5に示す。
[歯のつるつる感の評価]
歯のつるつる感の有無を評価した。具体的には、得られた練歯磨剤1gを歯ブラシに取り出し、3分間歯磨きを行い、その後の歯面、特に周波条、近心唇面溝、中央隆線及び遠心唇面溝部におけるつるつる感について、下記基準にしたがって評価した。
1:非常につるつる感に優れる
2:つるつる感に優れる
3:つるつる感を感じる
4:ほとんどつるつる感を感じない
5:つるつる感が全く感じない
[使用感の評価]
歯のつるつる感の評価と同様の方法により、糊のような感じの有無を下記基準にしたがって評価し、使用感の評価とした。
1:糊のような感じが全くしない
2:糊のような感じが殆どしない
3:多少糊のような感じがするが、気にならない
4:糊のような感じが気になる
5:不快なくらい糊のような感じがする
[苦味の評価]
歯のつるつる感の評価と同様の方法により、苦味の有無を下記基準にしたがって評価し、苦味の評価とした。
1:苦味が全くしない
2:苦味が殆どしない
3:多少苦味がするが、気にならない
4:苦味が気になる
5:不快なくらい苦味がする
[粘度測定]
各練歯磨剤を粘度測定用の容器に詰め、25℃の恒温器で24時間保存した後、ヘリパス型粘度計を用いて、ロータC、2.5rpm、25℃、1分間の条件で粘度(dPa・s)を測定した。
Figure 2013006784
Figure 2013006784
Figure 2013006784
※1〜※2及び※5:表1と同じ。
※3:サンローズ F35SH、エーテル化度=1.0、日本製紙ケミカル(株)製
※4:サイロピュア25、吸油量300mL/100g、平均粒子径4μm(富士シリシア化学(株)製)
表2〜3の結果より、実施例1〜6は、成分(A)の炭酸カルシウムの含有量が2.5質量%に満たない比較例1、成分(B)を含有しない比較例2、成分(B)を7質量%超の量で含有する比較例3、平均粒子径が200μm以上の炭酸カルシウムを用いた比較例4〜5、及び平均粒子径が200μm以上の炭酸カルシウムを用い、かつ成分(A)の炭酸カルシウムの含有量が40質量%超である比較例6よりも、歯垢又は汚れ除去能が非常に高く、歯のつるつる感が向上するとともに、使用感にも優れることがわかる。
さらに顆粒(C)を用いた表4の結果より、実施例7〜12は、歯垢又は汚れ除去能が非常に高く、歯のつるつる感が向上するとともに、使用感にも優れることがわかる。

Claims (8)

  1. (A)平均粒子径が200μm未満である炭酸カルシウム 2.5〜40質量%、及び
    (B)エーテル化度0.1〜0.5のカルボキシメチルセルロース又はその塩 0.05〜7質量%
    を含有する歯磨剤組成物。
  2. 成分(A)の含有量と成分(B)の含有量との質量比(A/B)が、1〜100である請求項1に記載の歯磨剤組成物。
  3. さらに、(C)粒子径が20〜500μmの顆粒を1〜50質量%含有する請求項1又は2に記載の歯磨剤組成物。
  4. 成分(A)が、重質炭酸カルシウムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯磨剤組成物。
  5. さらに、成分(B)以外の粘結剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯磨剤組成物。
  6. さらに、吸油量150〜500mL/100gの増粘性シリカを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯磨剤組成物。
  7. さらに、水を10〜65質量%含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯磨剤組成物。
  8. 25℃における粘度が、1000〜5000dPa・sである請求項1〜7のいずれか1項に記載の歯磨組成物。

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