JP2008159560A - 正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池に用いた場合に、高容量で充放電サイクル特性に優れた正極活物質の製造方法を提供する。
【解決手段】正極2は正極活物質を有する。この正極活物質の製造方法は、リチウム(Li)と、コバルト(Co)とを少なくとも含む複合酸化物粒子の少なくとも一部に、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を含む層を形成する工程と、層が形成された複合酸物粒子を、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理することにより、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れかの元素と、を含む酸化物を有する被覆層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】正極2は正極活物質を有する。この正極活物質の製造方法は、リチウム(Li)と、コバルト(Co)とを少なくとも含む複合酸化物粒子の少なくとも一部に、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を含む層を形成する工程と、層が形成された複合酸物粒子を、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理することにより、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れかの元素と、を含む酸化物を有する被覆層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この発明は、正極活物質の製造方法に関する。さらに詳しくは、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関するものである。
近年、ビデオカメラやノ−ト型パソコン等のポ−タブル機器の普及に伴い、小型高容量の二次電池に対する需要が高まっている。現在使用されている二次電池のほとんどはアルカリ電解液を用いたニッケル−カドミウム電池であるが、電池電圧が約1.2Vと低く、エネルギ−密度の向上は困難である。そのため、比重が0.534と固体の単体中最も軽いうえ、電位が極めて卑であり、単位重量当たりの電流容量も金属負極材料中最大であるリチウム金属を使用するリチウム二次電池が検討された。
しかしながら、リチウム金属を負極に使用する二次電池では、充電時に負極の表面に樹枝状のリチウム(デンドライト)が析出し、充放電サイクルによってこれが成長する。このデンドライトの成長は、二次電池のサイクル特性を劣化させるばかりではなく、最悪の場合には正極と負極が接触しないように配置された隔膜(セパレータ)を突き破って、内部短絡を生じてしまう等の問題があった。
そこで、例えば、特許文献1に示されているように、コ−クス等の炭素質材料を負極とし、アルカリ金属イオンをド−ピング、脱ド−ピングすることにより充放電を繰り返す二次電池が提案された。これによって、上述したような充放電の繰り返しにおける負極の劣化問題を回避できることがわかった。
一方、正極活物質としては、高電位を示す活物質の探索、開発によって、電池電圧が4V前後を示すものが現れ、注目を浴びている。それらの活物質としては、アルカリ金属を含む遷移金属酸化物や遷移金属カルコゲンなどの無機化合物が知られている。なかでも、LiXCoO2(0<x≦1.0)、LiXNiO2(0<x≦1.0)などが、高電位、安定性、長寿命という点から最も有望である。
このなかでも、LiCoO2を主体とする正極活物質は、高電位を示す正極活物質であり、充電電圧を高め、エネルギー密度を高めることが期待される。この目的のために、LiMn1/3Co1/3Ni1/3O2などを少量混合して用いることや、他材料を表面被覆することを行なうことが公知である。
一方、これに関して、正極活物質の表面被覆により正極活物質の改質を行なう技術に関しては、被覆性の高い被覆を達成することが課題である。この目的のために、各種手法が検討されているが、金属水酸化物により被着する方法が、本発明者の検討の結果、その被覆性に於いて優れていることが確認されている。
これに関しては、例えば、特許文献2に、LiNiO2表面に、コバルト(Co)ならびにマンガン(Mn)をその水酸化物被着工程を通して被着することが開示されている。さらに、例えば、特許文献3に、リチウムマンガン複合酸化物の表面に、非マンガン金属を、その水酸化物被着工程を通して被着することが開示されている。
しかしながら、従来の方法で正極活物質の表面改質を行うと、高容量で充放電を繰り返した場合に、容量劣化を起こし、電池寿命が短くなってしまう問題があった。現状、充電電圧を高め、エネルギー密度を高めることが期待されており、充放電サイクル特性が劣化する問題を解決する方法として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)を主体とする正極活物質の表面改質が行われるが、その一環として、所望の金属酸化物を均一強固に被着し表面改質することが技術課題とされている。
したがって、この発明の目的は、所望の金属酸化物を均一強固に被着するような正極活物質の表面改質を行うことができ、電池に用いた場合に、高容量で充放電サイクル特性に優れた正極活物質の製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、この発明は、
リチウム(Li)と、コバルト(Co)とを少なくとも含む複合酸化物粒子の少なくとも一部に、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を含む層を形成する工程と、
層が形成された複合酸化物粒子を、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理することにより、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れかの元素と、を含む酸化物を有する被覆層を形成する工程と、
を有すること
を特徴とする正極活物質の製造方法である。
リチウム(Li)と、コバルト(Co)とを少なくとも含む複合酸化物粒子の少なくとも一部に、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を含む層を形成する工程と、
層が形成された複合酸化物粒子を、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理することにより、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れかの元素と、を含む酸化物を有する被覆層を形成する工程と、
を有すること
を特徴とする正極活物質の製造方法である。
この発明では、リチウム(Li)と、コバルト(Co)とを少なくとも含む複合酸化物粒子の少なくとも一部に、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を含む層を形成する工程と、層が形成された複合酸物粒子を、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理することにより、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも何れかの元素と、を含む酸化物を有する被覆層を形成する工程と、を有するので、所望の金属酸化物を均一強固に被着するような正極活物質の表面改質を行うことできる。
この発明によれば、所望の金属酸化物を均一強固に被着するような正極活物質の表面改質を行うことができ、電池に用いた場合に、高容量で充放電サイクル特性に優れた正極活物質の製造方法を提供できる。
まず、この発明の一実施形態による正極活物資の製造方法を用いて作製できる正極活物質について説明する。この正極活物質は、例えば、非水電解質二次電池に用いるものであり、複合酸化物粒子の少なくとも一部に、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れか元素とを含む酸化物を有する被覆層が設けられたものである。このような構成とするのは、以下の理由からである。
コバルト酸リチウム(LiCoO2)を主体とする正極活物質は、高充電電圧性とそれに伴う高エネルギー密度性とを実現できるが、高充電電圧にて高容量での充放電サイクルを繰り返すと容量の低下が少なくない。この原因は、正極活物質粒子の表面に起因するため、正極活物質の表面処理の必要性が指摘されている。
したがって、各種の表面処理が提案されているが、体積または重量あたりの容量の低下を無くす、または容量の低下を最小限に留める観点から、容量の低下を抑制、または容量に貢献できる材料で表面処理を行うことにより、高充電電圧性と、これに伴う高エネルギー密度性とを実現でき、且つ高充電電圧での充放電サイクル特性に優れた正極活物質を得ることができる。
そこで、本願発明者等は、鋭意検討の結果、高充電電圧性とこれに伴う高エネルギー密度性においてやや劣るが、コバルト酸リチウム(LiCoO2)を主体とする正極活物質に、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れかの元素とを含む酸化物を有する被覆層を設けることにより、高充電電圧性とこれに伴う高エネルギー密度性があり、且つ、高充電電圧条件下で、高容量の充放電サイクル特性に優れた正極活物質が得られることを見出した。
複合酸化物は、リチウム(Li)と、コバルト(Co)とを少なくとも含むものであり、例えば、化1で平均組成が表されるものが好ましい。このような複合酸化物粒子を用いることにより、高容量および高い放電電位を得ることができるからである。
(化1)
Li(1+x)Co(1-y)MyO(2-z)
(化1中、Mは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タングステン(W)から選ばれた一種以上の元素である。式中x、y、zは、−0.10≦x≦0.10、0≦y<0.50、−0.10≦z≦0.20である。)
Li(1+x)Co(1-y)MyO(2-z)
(化1中、Mは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タングステン(W)から選ばれた一種以上の元素である。式中x、y、zは、−0.10≦x≦0.10、0≦y<0.50、−0.10≦z≦0.20である。)
ここで、化1において、xの範囲は、例えば、−0.10≦x≦0.10であり、−0.08≦x≦0.08がより好ましく、さらに好ましくは−0.06≦x≦0.06である。この範囲外に値が小さくなると、放電容量が減少してしまい、この範囲外に値が大きくなると、該粒子外に拡散し、次の処理工程の塩基性度の制御の障害となるとともに、最終的には、正極ペーストの混練中のゲル化促進の弊害の原因となる。
yの範囲は、例えば、0≦y<0.50であり、好ましくは0≦y<0.40であり、さらに好ましくは0≦y<0.30である。この範囲外に大きくなると、コバルト酸リチウム(LiCoO2)の有する高充電電圧性と、それに伴う高エネルギー密度性とを損う。
zの範囲は、例えば、−0.10≦z≦0.20であり、−0.08≦z≦0.18がより好ましく、さらに好ましくは−0.06≦z≦0.16である。この範囲外に値が小さくなる場合と、この範囲外に値が大きくなる場合は、放電容量が減少する傾向がある。
複合酸化物粒子は、通常において正極活物質として入手できるものを出発原料として、用いることができるが、場合によっては、ボールミルや擂潰機などを用いて二次粒子を解砕した後に用いることができる。
被覆層は、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れかの元素とを含む酸化物を有するものである。この被覆層を設けることによって、高充電電圧性と、これに伴う高エネルギー密度性とを実現でき、且つ、高充電電圧条件下での高容量の充放電サイクル特性を向上できる。
被覆層におけるニッケル(Ni)とマンガン(Mn)の構成比としては、モル比で100:0〜30:70の範囲内であることが好ましく、100:0〜40:60の範囲内であることがより好ましい。マンガン(Mn)の量がこの範囲を超えて増加すると、リチウム(Li)の吸蔵性が低下し、最終的に、正極活物質の容量の低下、および電池に用いた際の電気抵抗の増大の要因となるからである。
また、被覆層の酸化物におけるニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)を、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タングステン(W)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素で置き換えることができる。
これにより、正極活物質の安定性の向上、およびリチウムイオンの拡散性を向上できる。なお、選択された金属元素の置換量は、例えば、被覆層の酸化物のニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)の総量の40モル%以下であるが、好ましくは30モル%以下であり、より好ましくは20モル%以下である。この範囲を超えて、選択された金属元素の置換量が増加すると、リチウム(Li)の吸蔵性が低下し、正極活物質の容量の低下となるからである。
また、被覆層の量は、例えば、複合酸化物粒子の0.5重量%〜50重量%であり、好ましくは、1.0重量%〜40重量%であり、より好ましくは、2.0重量%〜35重量%である。この範囲を超えて被覆層の重量が増加すると、正極活物質の容量の低下となるからである。この範囲より被覆層の重量が低下すると、正極活物質の安定性の低下となるからである。
正極活物質の平均粒径は、好ましくは2.0μm〜50μmである。平均粒径が2.0μm未満であると、正極作製時にプレスする時に剥離し、また、活物質の表面積が増えるために、導電剤や結着剤の添加量を増加する必要があり、単位重量あたりのエネルギー密度が小さくなってしまう傾向があるからである。一方、この平均粒径が50μmを超えると粒子がセパレータを貫通し、短絡を引き起こす傾向にあるからである。
次に、この発明の一実施形態による正極活物質の製造方法について説明する。この発明の一実施形態による正極活物質の製造方法は、大別すると、リチウム(Li)と、コバルト(Co)とを少なくとも含む複合酸化物粒子の少なくとも一部に、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を含む層を形成する第1の工程と、層が形成された複合酸物粒子を、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理することにより、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れかの元素とを含む酸化物を有する被覆層を形成する第2の工程と、を有する。
第1の工程では、複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を含む層を形成する。
具体的には、第1の工程の一例として、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物として、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物を用いて、これを複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に被着するようにする。
また、第1の工程の他の例として、複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物に加えて、さらに、リチウム(Li)の化合物を含む層を形成するようにし、このニッケル(Ni)の化合物およびマンガン(Mn)の化合物並びにリチウム(Li)の化合物として、易分解性金属化合物を用いるようにする。
まず、第1の工程の一例について、詳細に説明する。第1の工程の一例では、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物として、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物を用いて、これを複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に被着するようにする。
この場合、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物の被着は、pH12以上の水を主体とする溶媒系で行うことが好ましく、pH13以上の水を主体とする溶媒系で行うことがより好ましく、pH14以上の水を主体とする溶媒系で行うことがさらに好ましい。水を主体とする溶媒系のpHの値は、高いほど、水酸化物の被着の均一性は良く、且つ反応速度も高く、処理時間の短縮による生産性の向上、品質の向上の利点がある。
従来の複合酸化物粒子に被覆層を設ける方法としては、リチウム(Li)の化合物、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を、複合酸化物粒子と、微粉砕した粒子として乾式混合し被着し焼成して、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも一方の被覆元素とを含む酸化物よりなる被覆層を複合酸化物粒子表面に設ける方法、リチウム(Li)の化合物、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を、溶媒に溶解あるいは混合して湿式にて被着し焼成して、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも一方の被覆元素とを含む酸化物よりなる被覆層を、複合酸化物粒子表面に設ける方法が提案できる。しかしながら、これらの方法では、均一性の高い被覆が達成できない結果を得た。
そこで、本願発明者等は、さらに、鋭意検討を進めたところ、ニッケル(Ni)および/またはマンガン(Mn)を水酸化物として被着しこれを加熱脱水して、被覆層を形成することで、均一性の高い被覆が実現できることを見出した。この被着処理は、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を、水を主体とする溶媒系に溶解し、その後、この溶媒系に複合酸化物粒子を分散させ、この分散系に塩基を添加する等により分散系の塩基性度を高め、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物を複合酸化物粒子表面に析出させる。
さらに、本願発明者等は、この被着処理を、pH12以上の水を主体とする溶媒系で行うことで、複合酸化物粒子への被覆の均一性をさらに向上させることができることを見出した。すなわち、予め、金属複合酸化物粒子を、pH12以上の水を主体とする溶媒系に分散し、これにニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を添加して、金属複合酸化物粒子表面に、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物を被着させる。
そして、被着処理により、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物を被着した複合酸化物粒子を、加熱脱水して、被覆層を、複合酸化物粒子表面に形成する。これにより、複合酸化物粒子表面への被覆の均一性を向上できる。
ここで、第1の工程の一例において、ニッケル(Ni)の水酸化物の被着処理の原料として、ニッケル化合物としては、例えば、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、過塩素酸ニッケル、臭素酸ニッケル、ヨウ素酸ニッケル、酸化ニッケル、過酸化ニッケル、硫化ニッケル、硫酸ニッケル、硫酸水素ニッケル、窒化ニッケル、亜硝酸ニッケル、リン酸ニッケル、チオシアン酸ニッケル、などの無機系化合物、シュウ酸ニッケル、酢酸ニッケル、などの有機系化合物を用いることができ、これらの1種または2種以上を用いてもよい。
同様に、マンガン(Mn)の水酸化物の被着処理の原料として、マンガン化合物としては、例えば、水酸化マンガン、炭酸マンガン、硝酸マンガン、フッ化マンガン、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩素酸マンガン、過塩素酸マンガン、臭素酸マンガン、沃素酸マンガン、酸化マンガン、フォスフィン酸マンガン、硫化マンガン、硫化水素マンガン、硫酸マンガン、硫酸水素マンガン、チオシアン酸マンガン、亜硝酸マンガン、リン酸マンガン、リン酸二水素マンガン、炭酸水素マンガン、などの無機系化合物、シュウ酸マンガン、酢酸マンガン、などの有機系化合物を用いることができ、これらの1種または2種以上を用いてもよい。
第1の工程の一例において、処理分散系の温度は、40℃以上であるが、好ましくは、60℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。処理分散系の温度の値は、高いほど、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物の被着の均一性は、良く、且つ反応速度も高く、処理時間の短縮による生産性の向上、品質の向上の利点がある。装置的なコストおよび生産性との兼ね合いで決定されるものであるが、オートクレーブを用い、100℃以上で行うことも、被着の均一性の向上と、反応速度の向上による処理時間の短縮による生産の観点から推奨できる。
さらに、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物を、複合酸化物粒子に被着する場合には、予め、複合酸化物粒子をpH12以上の水を主体とする溶媒系に分散し、これに、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を添加するようにして、複合酸化物粒子の表面にニッケル(Ni)の水酸化物/マンガン(Mn)の水酸化物を被着するようにしてもよい。
第1の工程の一例において、水を主体とする溶媒系のpHは、水を主体とする溶媒系にアルカリを溶解することで、達することができる。このアルカリとしては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなど、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
これらのアルカリを適宜用いて実施することが可能であるが、最終的に得られる正極活物質の純度と性能が優れている点から、水酸化リチウムを用いることが好ましい。水酸化リチウムを用いる利点としては、pH12以上の水を主体とする溶媒系に分散した複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に、ニッケル(Ni)の水酸化物および/またはマンガン(Mn)の水酸化物を含む層が形成された複合酸化物粒子を、水を主体とする溶媒系から取り出す際に、水を主体とする溶媒よりなる分散媒の付着量を制御することで、最終的に得られる正極活物質のリチウム量を、制御できるからである。
第1の工程の他の例について詳細に説明する。第1の工程の他の例では、複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物に加えて、さらに、リチウム(Li)の化合物を含む層を形成するようにし、このニッケル(Ni)の化合物およびマンガン(Mn)の化合物並びにリチウム(Li)の化合物として、易分解性金属化合物を用いるようにする。具体的には、例えば、易分解性金属化合物として、易分解性のニッケル化合物、易分解性のマンガン化合物および易分解性のリチウム化合物を用いて、これらを微粉砕し、複合酸化物粒子と混合・被着するようにする。
上述した第1の工程の一例では、希薄な被着において、均一性に優れているが、仕込みの金属化合物とのずれが生じやすい課題がある。さらに、最終的な脱水加熱焼成において、金属酸化物に添加すべきリチウム(Li)の量は、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)の酸化物を主体とする金属酸化物の被着量が少ないため、添加量を正確に制御することが難しい欠点もある。
第1の工程の他の例では、極端に希薄な被着を行うことでなければ、不均一性は、意外と少なく、良好な特性が得られる。これは、易分解性のリチウム(Li)、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)の金属化合物の被着状態では、化合物の粒子性が顕著であり、ミクロな組成の均一性は必ずしも良好ではなく、かつ、金属複合酸化物粒子への付着性も必ずしも優れてはいないが、これを加熱昇温することにより、易分解性の化合物の分解と拡散、並びに、金属複合酸化物粒子表面での焼結を伴う拡散により、金属複合酸化物粒子表面の被覆の均一性、並びに、組成の均一性が達成される。このように作製された正極活物質を用いることによっても、高充電電圧での安定性が高く、これに伴い高エネルギー密度を向上でき、且つ、高充電電圧条件下での高容量の充放電サイクルを繰り返し性のよい正極活物質を得ることができる。
易分解性の金属化合物としては、分解により、強酸性の化学種を生成するもの、および分解に伴い多量の炭素分を生成するものの有効性が乏しいものを用いることができ、好ましい金属化合物としては、例えば、金属水酸化物、金属含水酸化物、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩であり、これらを用いることで良好な結果が得られる。
より具体的には、易分解性のリチウム化合物としては、例えば水酸化リチウム無水物、水酸化リチウム一水和物、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、などを用いることができる。また、易分解性のニッケル化合物としては、例えば水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、オキシ水酸化ニッケルなどを用いることができる。さらに、易分解性のマンガン化合物としては、例えば酸化水酸化マンガン、炭酸マンガン、などを用いることができる。
第1の工程の他の例では、複合酸化物粒子と、複合酸化物粒子を被覆する易分解性の金属化合物を、粉砕混合被着することで、より少量で複合酸化物粒子全体を被覆することができる。この手段としては、ボールミル、ジェットミル、擂潰機、微粉砕機などを用いて行うことができる。この場合、水で例示できる、多少の液体分を添加して行うことも有効である。
第1の工程の他の例において、易分解性の金属化合物を複合酸化物粒子に被着させる方法としては、例えば、粒子を乾式、あるいは湿式で混合後焼成を行う方法を用いることができる。
さらに、被覆に用いる易分解性金属化合物粒子を、圧縮と剪断力を与えて核物質である複合酸化物粒子にコーティングすることが好ましい。焼成前に圧縮と剪断力を与えて易分解性金属化合物を複合酸化物粒子に被着させておくことにより、焼成時に被覆層が核物質から脱落することを抑制し、被覆層の単一な相生成を容易に行うことができるからである。この手段としては、例えば、メカノフュージョンなどを用いることができる。
第2の工程では、層が形成された複合酸化物粒子の熱処理を、空気より還元性のある雰囲気下で行う。空気より還元性のある雰囲気とは、例えば、酸素が21体積%以下で存在する雰囲気をいい、純窒素雰囲気が好ましく、その他アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス、場合によっては、水素、有機ガスなどを少量含有させてもよい。熱処理では、例えば、電気炉内に層が形成された複合酸化物粒子を入れ、温度を昇温する昇温過程と、昇温した温度を保持する保持過程と、温度を冷却する冷却過程と、を行うようにする。
ここで、本願発明者らは、高充電電圧における高電流充放電における高い効率、並びに放電容量が得られる表面組成とその熱処理条件を検討したところ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも一方の元素と、を含む酸化物よりなる被覆層における、ニッケル(Ni)とマンガン(Mn)との構成比(Ni:Mn)が、モル比で100:0〜30:70の範囲内にある場合に、熱処理条件との相乗効果により、高充電電圧における高電流充放電における高い効率ならびに放電容量が得られることを見出した。
さらに、好ましくは、ニッケル(Ni)とマンガン(Mn)との構成比(Ni:Mn)は、モル比で100:0〜40:60の範囲内である。そして、この構成比となるように、複合酸化物粒子表面に、ニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を被着した前駆体に焼成熱処理を施す。
これにより、ニッケル(Ni)の化合物、マンガン(Mn)の化合物などは、分解して金属酸化物となり、また、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)などの複数種の化合物が混合した混合金属化合物においては、複数の金属酸化物の混合あるいは固溶した状態の金属酸化物を形成する。この形成を伴う熱処理と、それに引続く熱処理を通して金属酸化物の金属イオンは、複合酸化物粒子の内部に拡散するとともに、複合酸化物粒子の金属イオンは、金属酸化物の内部に拡散し、金属イオンは、相互に拡散し合う。
複合酸化物粒子の表面に、上述した構成比となるように、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を被着した前駆体を焼成熱処理を行う際に、焼成熱処理の温度は、最高温度が300℃〜1100℃、好ましくは、400℃〜1000℃である。最高温度が、この温度範囲の下限より低い場合では、金属化合物の分解と金属酸化物の形成が困難となり、この温度範囲の上限より高い場合では、金属酸化物の金属イオンの金属複合酸化物粒子内部への拡散が進み過ぎ、結果として、表面被着形成した表面金属酸化物の存在が不明瞭となり、所期の効果の発現が困難となる。
この場合、この熱処理の雰囲気の酸化性ならびに還元性は、金属酸化物の表面の金属イオンの原子価に大きく関与する。この金属イオンの原子価は、熱処理における金属イオンの熱拡散に大きく関与し、電池系における正極界面の電気化学反応に大きく関与し、高充電電圧における正極の耐久性、ならびに、正極内でのリチウムイオン拡散性向上による高電流充放電における高い効率ならびに放電容量の発現に重要である。
さらに、本願発明者らは、鋭意検討を進めたところ、正極表面のマンガンイオンの原子価が大きいほどサイクル寿命向上に有効であることがわかった。一方、ニッケルイオンの原子価が大きいほど、ニッケル(Ni)の拡散が大きくなることがわかり、これは、ニッケルイオンの原子価が大きくなることに伴い、ニッケルイオンのイオン径が小さくなることに起因すると解釈される。
そこで、熱処理での雰囲気の酸化性あるいは還元性の制御により、サイクル寿命を向上させるには、少なくとも、正極の熱処理の最終取り出し前の高温状態から冷却に至る段階である冷却過程で、好ましくは、雰囲気の酸化性を高め、マンガン(Mn)の酸化状態を高めることが有効である。すなわち、第2の工程では、少なくとも冷却過程を、空気より還元性のある雰囲気と同等または空気より還元性のある雰囲気以上の酸化性のある雰囲気で行うようにすることで、マンガン(Mn)の酸化状態の低下の抑制効果を高めることができ、サイクル寿命を向上させるのに有効である。ここで空気より還元性のある雰囲気以上の酸化性のある雰囲気とは、例えば、空気より還元性のある雰囲気の酸素分圧を、空気より還元性のある雰囲気以上に高めた雰囲気をいい、例えば、空気より酸化性のある雰囲気、究極的には、例えば、酸素(O)などのみが存在する雰囲気をいう。
さらには、金属化合物が、分解して金属酸化物とある段階、複数種の混合金属化合物では、複数の金属酸化物の混合あるいは固溶した状態の金属酸化物を形成し、金属酸化物のニッケルイオンが、複合酸化物粒子の内部に拡散する段階において、酸化性が低く、還元性の高い雰囲気条件、例えば、純窒素雰囲気などの不活性雰囲気条件で熱処理することにより、ニッケルイオンの原子価が上がることを防止し、それに伴い、ニッケルイオンのイオン径が小さくなることを防止することで、ニッケルイオンの複合酸化物粒子内部への拡散を抑制させ、複合酸化物粒子表面のニッケルイオン濃度を高め、最終的に、得られる正極活物質に有効な表面を形成できる。また、上記段階において、純窒素雰囲気などの不活性雰囲気条件で熱処理した場合には、最終的に得られる正極活物質に有効な表面をより低温の熱処理で形成できる。
すなわち、第2の工程では、例えば昇温過程を、空気より還元性のある雰囲気で行うようにしてもよく、これにより、ニッケルイオンの原子価が上がることを防止し、これに伴い、ニッケルイオンのイオン径が小さくなることを防止することで、ニッケルイオンの複合酸化物粒子内部への拡散を抑制させ、複合酸化物粒子表面のニッケルイオン濃度を高め、最終的に得られる正極活物質に有効な表面を形成できる。
次に、上述した正極活物質を用いた非水電解質二次電池について説明する。正極活物質は、上述の通り電極活物質として好ましく用いられ、中でも、非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池に好ましく用いられる。
図1は、上述した正極活物質を用いた非水電解質二次電池の第1の例の断面構造を表している。
この二次電池では、一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が、例えば、4.25V以上4.65V以下である。
この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶1の内部に、帯状の正極2と帯状の負極3とがセパレータ4を介して巻回された巻回電極体20を有している。
電池缶1は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶1の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板5、6がそれぞれ配置されている。
電池缶1の開放端部には、電池蓋7と、この電池蓋7の内側に設けられた安全弁機構8および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)9とが、ガスケット10を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶1の内部は密閉されている。電池蓋7は、例えば、電池缶1と同様の材料により構成されている。安全弁機構8は、熱感抵抗素子9を介して電池蓋7と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板11が反転して電池蓋7と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子9は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット10は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20は、例えば、センターピン12を中心に巻回されている。巻回電極体20の正極2には、例えばアルミニウム(Al)などよりなる正極リード13が接続されており、負極3には、例えばニッケル(Ni)などよりなる負極リード14が接続されている。正極リード13は、安全弁機構8に溶接されることにより電池蓋7と電気的に接続されており、負極リード14は、電池缶1に溶接され電気的に接続されている。
[正極]
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。図2に示すように、正極2は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体2Aと、正極集電体2Aの両面に設けられた正極合剤層2Bとを有している。なお、正極集電体2Aの片面のみに正極合剤層2Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。正極集電体2Aは、例えば、アルミニウム(Al)箔等の金属箔により構成されている。正極合剤層2Bは、例えば、正極活物質を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含んでいてもよい。正極活物質としては、上述した正極活物質を用いることができる。
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。図2に示すように、正極2は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体2Aと、正極集電体2Aの両面に設けられた正極合剤層2Bとを有している。なお、正極集電体2Aの片面のみに正極合剤層2Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。正極集電体2Aは、例えば、アルミニウム(Al)箔等の金属箔により構成されている。正極合剤層2Bは、例えば、正極活物質を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含んでいてもよい。正極活物質としては、上述した正極活物質を用いることができる。
[負極]
図2に示すように、負極3は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体3Aと、負極集電体3Aの両面に設けられた負極合剤層3Bとを有している。なお、負極集電体3Aの片面のみに負極合剤層3Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。負極集電体3Aは、例えば銅(Cu)箔などの金属箔により構成されている。負極合剤層3Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
図2に示すように、負極3は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体3Aと、負極集電体3Aの両面に設けられた負極合剤層3Bとを有している。なお、負極集電体3Aの片面のみに負極合剤層3Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。負極集電体3Aは、例えば銅(Cu)箔などの金属箔により構成されている。負極合剤層3Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
負極活物質としては、リチウム(Li)を吸蔵および離脱することが可能な負極材料(以下、リチウム(Li)を吸蔵・離脱可能な負極材料と適宜称する。)を含んでいる。リチウム(Li)を吸蔵・離脱可能な負極材料としては、例えば、炭素材料、金属化合物、酸化物、硫化物、LiN3などのリチウム窒化物、リチウム金属、リチウムと合金を形成する金属、あるいは高分子材料などが挙げられる。中でも、負極活物質としては、炭素質材料が好ましく用いられる。炭素質材料の電子伝導性が集電の目的に対して充分でない場合、導電剤を添加することも好ましい。
炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロール等が挙げられる。
このようなリチウム(Li)を吸蔵・離脱可能な負極材料のなかでも、充放電電位が比較的リチウム金属に近いものが好ましい。負極3の充放電電位が低いほど電池の高エネルギー密度化が容易となるからである。なかでも炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。
リチウム(Li)を吸蔵・離脱可能な負極材料としては、また、リチウム金属単体、リチウム(Li)と合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
このような金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式MasMbtLiu、あるいは化学式MapMcqMdrで表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
なかでも、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素(Si)あるいはスズ(Sn)、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
この他、MnO2、V2O5、V6O13、NiS、MoSなど、リチウム(Li)を含まない無機化合物も、用いることができる。
[電解液]
電解液としては、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。特に、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを混合して含むようにすれば、よりサイクル特性を向上させることができるので好ましい。非水溶媒としては、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートまたはメチルプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステルの中から、少なくとも1種を含んでいることが好ましい。サイクル特性をより向上させることができるからである。
電解液としては、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。特に、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを混合して含むようにすれば、よりサイクル特性を向上させることができるので好ましい。非水溶媒としては、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートまたはメチルプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステルの中から、少なくとも1種を含んでいることが好ましい。サイクル特性をより向上させることができるからである。
非水溶媒としては、さらに、2,4−ジフルオロアニソールおよびビニレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を改善することができ、ビニレンカーボネートはサイクル特性をより向上させることができるからである。特に、これらを混合して含んでいれば、放電容量およびサイクル特性を共に向上させることができるのでより好ましい。
非水溶媒としては、さらに、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、これら化合物の水素基の一部または全部をフッ素基で置換したもの、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチル等のいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
組み合わせる電極によっては、上記非水溶媒群に含まれる物質の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものを用いることにより、電極反応の可逆性が向上する場合がある。したがって、これらの物質を適宜用いることも可能である。
電解質塩であるリチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、LiBF2(ox)、LiBOB、あるいはLiBrが適当であり、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いることができる。なかでも、LiPF6は、高いイオン伝導性を得ることができるとともに、サイクル特性を向上できるので好ましい。
[セパレータ]
以下に、一実施形態に利用可能なセパレータ材料について説明する。セパレータ4に用いるセパレータ材料としては、従来の電池に使用されてきたものを利用することが可能である。そのなかでも、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリオレフィン製微孔性フィルムを使用することが特に好ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
以下に、一実施形態に利用可能なセパレータ材料について説明する。セパレータ4に用いるセパレータ材料としては、従来の電池に使用されてきたものを利用することが可能である。そのなかでも、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリオレフィン製微孔性フィルムを使用することが特に好ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
さらに、セパレータ材料としては、シャットダウン温度がより低いポリエチレンと耐酸化性に優れるポリプロピレンを積層または混合したものを用いることが、シャットダウン性能とフロート特性の両立が図れる点から、より好ましい。
次に、非水電解質二次電池の製造方法について説明する。以下、一例として円筒型の非水電解質二次電池を挙げて、非水電解質二次電池の製造方法について説明する。
正極2は、以下に述べるようにして作製する。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。なお、正極活物質の製造方法については、上述したので詳細な説明は省略する。
次に、この正極合剤スラリーを正極集電体2Aに塗布し溶剤を乾燥させた後、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極合剤層2Bを形成し、正極2を作製する。
負極3は、以下に述べるようにして作製する。まず、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。
次に、この負極合剤スラリーを負極集電体3Aに塗布し溶剤を乾燥させた後、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極合剤層3Bを形成し、負極3を作製する。
また、負極合剤層3Bは、例えば、気相法、液相法、焼成法により形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が利用可能である。
次に、正極集電体2Aに正極リード13を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体3Aに負極リード14を溶接などにより取り付ける。次に、正極2と、負極3とをセパレータ4を介して巻回し、正極リード13の先端部を安全弁機構8に溶接すると共に、負極リード14の先端部を電池缶1に溶接して、巻回した正極2および負極3を一対の絶縁板5、6で挟み電池缶1の内部に収納する。
次に、電解液を電池缶1の内部に注入し、電解液をセパレータ4に含浸させる。次に、電池缶1の開口端部に電池蓋7、安全弁機構8および熱感抵抗素子9を、ガスケット10を介してかしめることにより固定する。以上により、非水電解質二次電池が作製される。
上述した正極活物質を用いた非水電解質二次電池の第2の例について説明する。図3は、上述した正極活物質を用いた非水電解質二次電池の第2の例の構造を示す。図3に示すように、この非水電解質二次電池は、電池素子30を防湿性ラミネートフィルムからなる外装材37に収容し、電池素子30の周囲を溶着することにより封止してなる。電池素子30には、正極リード32および負極リード33が備えられ、これらのリードは、外装材37に挟まれて外部へと引き出される。正極リード32および負極リード33のそれぞれの両面には、外装材37との接着性を向上させるために樹脂片34および樹脂片35が被覆されている。
[外装材]
外装材37は、例えば、接着層、金属層、表面保護層を順次積層した積層構造を有する。接着層は高分子フィルムからなり、この高分子フィルムを構成する材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。金属層は金属箔からなり、この金属箔を構成する材料としては、例えばアルミニウム(Al)が挙げられる。また、金属箔を構成する材料としては、例えばアルミニウム(Al)以外の金属を用いることも可能である。表面保護層を構成する材料としては、例えばナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。なお、接着層側の面が、電池素子30を収納する側の収納面となる。
外装材37は、例えば、接着層、金属層、表面保護層を順次積層した積層構造を有する。接着層は高分子フィルムからなり、この高分子フィルムを構成する材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。金属層は金属箔からなり、この金属箔を構成する材料としては、例えばアルミニウム(Al)が挙げられる。また、金属箔を構成する材料としては、例えばアルミニウム(Al)以外の金属を用いることも可能である。表面保護層を構成する材料としては、例えばナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。なお、接着層側の面が、電池素子30を収納する側の収納面となる。
[電池素子]
この電池素子30は、例えば、図4に示すように、両面にゲル電解質層45が設けられた帯状の負極43と、セパレータ44と、両面にゲル電解質層45が設けられた帯状の正極42と、セパレータ44とを積層し、長手方向に巻回されてなる巻回型の電池素子30である。
この電池素子30は、例えば、図4に示すように、両面にゲル電解質層45が設けられた帯状の負極43と、セパレータ44と、両面にゲル電解質層45が設けられた帯状の正極42と、セパレータ44とを積層し、長手方向に巻回されてなる巻回型の電池素子30である。
正極42は、帯状の正極集電体42Aと、この正極集電体42Aの両面に形成された正極合剤層42Bとからなる。
正極42の長手方向の一端部には、例えばスポット溶接または超音波溶接で接続された正極リード32が設けられている。この正極リード32の材料としては、例えばアルミニウム等の金属を用いることができる。
負極43は、帯状の負極集電体43Aと、この負極集電体43Aの両面に形成された負極合剤層43Bとからなる。
また、負極43の長手方向の一端部にも正極42と同様に、例えばスポット溶接または超音波溶接で接続された負極リード33が設けられている。この負極リード33の材料としては、例えば銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。
正極集電体42A、正極合剤層42B、負極集電体43A、負極合剤層43Bは、上述の第1の例と同様である。
ゲル電解質層45は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル電解質層45は高いイオン伝導率を得ることができるとともに、電池の漏液を防止できるので好ましい。電解液の構成(すなわち液状の溶媒、電解質塩)は、第1の例と同様である。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートを挙げることができる。特に電気化学的な安定性の点からは、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
次に、上述した正極活物質を用いた非水電解質二次電池の第2の例の製造方法について説明する。まず、正極42および負極43のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させてゲル電解質層45を形成する。なお、予め正極集電体の端部に正極リード32を溶接により取り付けるとともに、負極集電体43Aの端部に負極リード33を溶接により取り付けるようにする。
次に、ゲル電解質層45が形成された正極42と負極43とを、セパレータ44を介して積層し積層体とした後、この積層体をその長手方向に巻回して、巻回型の電池素子30を形成する。
次に、ラミネートフィルムからなる外装材37を深絞り加工することで凹部36を形成し、電池素子30をこの凹部36に挿入し、外装材37の未加工部分を凹部36上部に折り返し、凹部36の外周部分を熱溶着し密封する。以上により、非水電解質二次電池が作製される。
この発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、この発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
まず、平均化学組成分析値がLi1.03Co0.98Al0.01Mg0.01O2.02、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が13μmのコバルト酸リチウム20重量部を、80℃の純水300重量部に1時間撹拌分散させた。
まず、平均化学組成分析値がLi1.03Co0.98Al0.01Mg0.01O2.02、レーザ散乱法により測定した平均粒子径が13μmのコバルト酸リチウム20重量部を、80℃の純水300重量部に1時間撹拌分散させた。
次に、市販試薬の硝酸ニッケル(Ni(NO3)2・6H2O)1.54重量部、硝酸マンガン(Mn(NO3)2・6H2O)1.65重量部を添加した。さらに、2NのLiOH水溶液を30分間かけてpH13まで添加し、さらに、80℃で3時間撹拌分散を続け、放冷した。
次に、この分散系を濾過洗浄し、120℃で乾燥し、表面に水酸化物を形成した前駆体試料を得た。なお、前駆体試料の金属モル含有比の分析結果は、Li1.00Co0.94Ni0.02Mn0.02Al0.01Mg0.01であった。
次に、前駆体試料10重量部に、リチウム量を調整するために、2NのLiOH水溶液2重量部を含浸し、均一に混合乾燥させ焼成前駆体を得た。この焼成前駆体を電気炉にて、純窒素雰囲気下、毎分5℃の速度で900℃に昇温して5時間保持し、その後室温まで、そのまま純酸素雰囲気下で冷却し、実施例1の正極活物質を得た。
<実施例2>
実施例1と同様のコバルト酸リチウム20重量部を、80℃の2NのLiOH水溶液300重量部に2時間撹拌分散させた。
実施例1と同様のコバルト酸リチウム20重量部を、80℃の2NのLiOH水溶液300重量部に2時間撹拌分散させた。
次に、実施例1と同様の市販試薬の硝酸ニッケル(Ni(NO3)2・6H2O)1.54重量部、硝酸マンガン(Mn(NO3)2・6H2O)1.65重量部に、純水を加えて10重量部とした水溶液を作製し、この水溶液10重量部全量を30分間かけて添加し、さらに、80℃で3時間撹拌分散を続け、放冷した。次に、この分散系を濾過し、120℃で乾燥し、表面に水酸化物を形成した前駆体試料を得た。なお、前駆体試料の金属含有比の分析結果は、Li1.04Co0.94Ni0.02Mn0.02Al0.01Mg0.01であった。
次に、この前駆体試料を電気炉にて、窒素雰囲気下、毎分5℃の速度で900℃に昇温し、炉内雰囲気を空気に換え5時間保持し、その後室温まで、そのまま純酸素雰囲気下で冷却し、実施例2の正極活物質を得た。
<実施例3>
実施例2の硝酸ニッケル、硝酸マンガンの重量をそれぞれ倍量とした硝酸ニッケル3.08重量部、硝酸マンガン3.30重量部に、純水を加えて20重量部とした水溶液を作製し、この水溶液20重量部全量を1時間かけて添加した。この他は実施例2と同様にして、前駆体試料を得た。なお、前駆体試料の金属含有比の分析結果は、Li1.03Co0.88Ni0.05Mn0.05Al0.01Mg0.01であった。
実施例2の硝酸ニッケル、硝酸マンガンの重量をそれぞれ倍量とした硝酸ニッケル3.08重量部、硝酸マンガン3.30重量部に、純水を加えて20重量部とした水溶液を作製し、この水溶液20重量部全量を1時間かけて添加した。この他は実施例2と同様にして、前駆体試料を得た。なお、前駆体試料の金属含有比の分析結果は、Li1.03Co0.88Ni0.05Mn0.05Al0.01Mg0.01であった。
次に、この前駆体試料を電気炉にて、純窒素雰囲気下、毎分5℃の速度で900℃に昇温し、炉内雰囲気を純窒素と空気との容量比(純窒素:空気)が3:1の混合気体に換え5時間保持し、その後室温まで、そのまま純酸素雰囲気下で冷却し、実施例3の正極活物質を得た。
<実施例4>
Li2CO3:Ni(OH)2:MnCO3=1.08:1:1(Li1.08Ni0.5Mn0.5O2相当)の比となるよう秤量し、ボールミル装置により平均粒径1μm以下になるまで粉砕した後、70℃で減圧乾燥した。得られた粉末10重量部と実施例1で用いたコバルト酸リチウム100重量部とを、メカノフュージョン装置によって1h処理を行い、コバルト酸リチウム表面にLi2CO3、Ni(OH)2、MnCO3を被着させ、前駆体試料を作製した。
Li2CO3:Ni(OH)2:MnCO3=1.08:1:1(Li1.08Ni0.5Mn0.5O2相当)の比となるよう秤量し、ボールミル装置により平均粒径1μm以下になるまで粉砕した後、70℃で減圧乾燥した。得られた粉末10重量部と実施例1で用いたコバルト酸リチウム100重量部とを、メカノフュージョン装置によって1h処理を行い、コバルト酸リチウム表面にLi2CO3、Ni(OH)2、MnCO3を被着させ、前駆体試料を作製した。
次に、この前駆体試料を電気炉にて、窒素雰囲気下、毎分5℃の速度で800℃に昇温し、炉内雰囲気を純酸素に換え3時間保持し、その後室温まで、そのまま純酸素雰囲気下冷却し、実施例4の正極活物質を得た。
<実施例5>
昇温後の炉内雰囲気を、純窒素と空気との容量比(純窒素:空気)が2:1の混合気体雰囲気に変え、3時間保持し、その後室温まで、そのまま同雰囲気下で冷却した点以外は、実施例4と同様にして、実施例5の正極活物質を得た。
昇温後の炉内雰囲気を、純窒素と空気との容量比(純窒素:空気)が2:1の混合気体雰囲気に変え、3時間保持し、その後室温まで、そのまま同雰囲気下で冷却した点以外は、実施例4と同様にして、実施例5の正極活物質を得た。
<実施例6>
熱処理を純窒素雰囲気下、毎分5℃の速度で850℃に昇温して4時間保持し、その後室温まで、そのまま純窒素雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例1と同様にして、実施例6の正極活物質を得た。
熱処理を純窒素雰囲気下、毎分5℃の速度で850℃に昇温して4時間保持し、その後室温まで、そのまま純窒素雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例1と同様にして、実施例6の正極活物質を得た。
<実施例7>
実施例1と同様のコバルト酸リチウム20重量部を、80℃の2NのLiOH水溶液300重量に2時間攪拌分散させた。
実施例1と同様のコバルト酸リチウム20重量部を、80℃の2NのLiOH水溶液300重量に2時間攪拌分散させた。
次に、実施例1と同様の市販試薬の硝酸ニッケル(Ni(NO3)2・6H2O)3.10重量部に純水を加えて10重量部とした水溶液を作製し、この水溶液10重量部全量を30分間かけて添加し、さらに、80℃で3時間撹拌分散を続け、放冷した。次に、この分散系を濾過し、120℃で乾燥し、表面に水酸化物を形成した前駆体試料を得た。なお、前駆体試料の金属含有比の分析結果は、Li1.04Co0.94Ni0.04Al0.01Mg0.01であった。
次に、この前駆体試料を電気炉にて、純窒素雰囲気下、毎分5℃の速度で850℃に昇温し、5時間保持し、その後室温まで、そのまま純酸素雰囲気下で冷却し、実施例7の正極活物質を得た。
<実施例8>
Li2CO3:Ni(OH)2:MnCO3=1.08:1.5:0.5(Li1.08Ni0.75Mn0.25O2相当)の比となるよう秤量し、ボールミル装置により平均粒径1μm以下になるまで粉砕した後、70℃で減圧乾燥した。得られた粉末10重量部と実施例1で用いたコバルト酸リチウム100重量部とを、メカノフュージョン装置によって1h処理を行い、コバルト酸リチウム表面にLi2CO3、Ni(OH)2、MnCO3を被着させ、前駆体試料を作製した。
Li2CO3:Ni(OH)2:MnCO3=1.08:1.5:0.5(Li1.08Ni0.75Mn0.25O2相当)の比となるよう秤量し、ボールミル装置により平均粒径1μm以下になるまで粉砕した後、70℃で減圧乾燥した。得られた粉末10重量部と実施例1で用いたコバルト酸リチウム100重量部とを、メカノフュージョン装置によって1h処理を行い、コバルト酸リチウム表面にLi2CO3、Ni(OH)2、MnCO3を被着させ、前駆体試料を作製した。
次に、この前駆体試料を電気炉にて、純窒素雰囲気下、毎分5℃の速度で800℃に昇温し、3時間保持し、その後室温まで、そのまま純窒素雰囲気下で冷却し、実施例8の正極活物質を得た。
<比較例1>
熱処理を、空気雰囲気下で毎分5℃の速度で昇温し、900℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例1と同様にして、比較例1の正極活物質を得た。
熱処理を、空気雰囲気下で毎分5℃の速度で昇温し、900℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例1と同様にして、比較例1の正極活物質を得た。
<比較例2>
熱処理を、空気雰囲気下で毎分5℃の速度で昇温し、900℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例2と同様にして、比較例2の正極活物質を得た。
熱処理を、空気雰囲気下で毎分5℃の速度で昇温し、900℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例2と同様にして、比較例2の正極活物質を得た。
<比較例3>
熱処理を、空気雰囲気下で毎分5℃の速度で昇温し、900℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例3と同様にして、比較例3の正極活物質を得た。
熱処理を、空気雰囲気下で毎分5℃の速度で昇温し、900℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例3と同様にして、比較例3の正極活物質を得た。
<比較例4>
焼成を、空気雰囲気下で毎分5℃の速度で昇温し、800℃で3時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例4と同様にして、比較例4の正極活物質を得た。
焼成を、空気雰囲気下で毎分5℃の速度で昇温し、800℃で3時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例4と同様にして、比較例4の正極活物質を得た。
<比較例5>
熱処理を、空気雰囲気下で、毎分5℃の速度で昇温し、850℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例6と同様にして、比較例5の正極活物質を得た。
熱処理を、空気雰囲気下で、毎分5℃の速度で昇温し、850℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例6と同様にして、比較例5の正極活物質を得た。
<比較例6>
熱処理を、空気雰囲気下で、毎分5℃の速度で昇温し、850℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例7と同様にして、比較例6の正極活物質を得た。
熱処理を、空気雰囲気下で、毎分5℃の速度で昇温し、850℃で5時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例7と同様にして、比較例6の正極活物質を得た。
<比較例7>
熱処理を、空気雰囲気下で、毎分5℃の速度で昇温し、800℃で3時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例8と同様にして、比較例7の正極活物質を得た。
熱処理を、空気雰囲気下で、毎分5℃の速度で昇温し、800℃で3時間保持した後に、そのまま空気雰囲気下で冷却するように行った点以外は、実施例8と同様にして、比較例7の正極活物質を得た。
(評価)
作製した実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例7の正極活物質を用いて、図1および図2に示した円筒型電池を作製し、高温時のサイクル特性を評価した。
作製した実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例7の正極活物質を用いて、図1および図2に示した円筒型電池を作製し、高温時のサイクル特性を評価した。
まず、正極活物質86重量%と、導電剤としてグラファイト10重量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)4重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーとした。
次に、正極合剤スラリーを厚さ20ミクロンの帯状のアルミニウム箔の両面に均一に塗布して乾燥させた後、ローラープレス機で圧縮して、帯状正極2を得た。この際、電極中の空隙は体積比率にして26%となるように調節した。正極集電体2Aには、アルミニウム製の正極リード13を取り付けた。
また、負極活物質として粉末状の人造黒鉛90重量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)10重量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて負極合剤スラリーとした。
次に、負極合剤スラリーを厚さ10ミクロンの銅箔の両面に均一に塗布し、乾燥後にローラープレス機で圧縮することで帯状負極を得た。負極集電体3Aには、ニッケル製の負極リード14を取り付けた。
以上のようにして作製した帯状正極2と、帯状負極3とを、セパレータ4である多孔性ポリオレフィンフィルムを介して多数回巻回し、渦巻き型の巻回電極体20を作製した。次に、巻回電極体20をニッケルめっきを施した鉄製電池缶1に収納し、巻回電極体20の上下両面に一対の絶縁板5,6を配置した。
次に、アルミニウム製正極リード13を正極集電体2Aから導出して、電池蓋7と電気的な導通が確保された安全弁機構8の突起部に溶接し、ニッケル製負極リード14を負極集電体3Aから導出して電池缶1の底部に溶接した。
最後に、上述の巻回電極体20が組み込まれた電池缶1内に電解液を注入した後、絶縁封口ガスケット10を介して電池缶1をかしめることにより、安全弁機構8、熱感抵抗素子9ならびに電池蓋7を固定し、外径が18mmで高さが65mmの円筒型電池を作製した。
なお、電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積混合比が1:1である混合溶液に1.0mol/dm3の濃度になるようにLiPF6を溶解して調製したものを用いた。
以上のようにして作製した非水電解液二次電池について、環境温度45℃、充電電圧4.40V、充電電流1000mA、充電時間2.5時間の条件で充電を行った後、放電電流800mA、終止電圧2.75Vで放電を行い初期容量を測定した。
また、初期容量を求めた場合と同様の条件で、充放電を繰り返し、200サイクル目の放電容量を測定して、初期容量に対する容量維持率を求めた。測定結果を表1に示す。
表1に示すように、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理を行った実施例1〜実施例8において、実施例1では空気雰囲気下で熱処理を行った比較例1、実施例2では空気雰囲気下で熱処理を行った比較例2、実施例3では空気雰囲気下で熱処理を行った比較例3、実施例4および実施例5では空気雰囲気下で熱処理を行った比較例4、実施例6では空気雰囲気下で熱処理を行った比較例5、実施例7では空気雰囲気下で熱処理を行った比較例6、実施例8では空気雰囲気下で熱処理を行った比較例7より、初期容量および容量維持率が向上した。すなわち、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理を行うことで、初期容量および容量維持率を向上できることがわかった。また、少なくとも冷却過程を、空気より還元性のある雰囲気下または空気より還元性のある雰囲気以上の酸化性雰囲気下で行うことが有効であることがわかった。
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、この発明の一実施形態による正極活物質の製造方法により作製した正極活物質を用いた非水電解質二次電池は、その形状において、特に限定されない。例えば、円筒型の他に角型、コイン型、ボタン型等を呈するものであってもよい。
また、非水電解質二次電池の第1の例では、電解質として、電解液を有する非水電解質二次電池、非水電解質二次電池の第2の例では、電解質として、ゲル電解質を有する非水電解質二次電池について説明したがこれらに限定されるものではない。
例えば、電解質としては、上述したものの他にイオン伝導性高分子を利用した高分子固体電解質、またはイオン伝導性無機材料を利用した無機固体電解質なども用いることも可能であり、これらを単独あるいは他の電解質と組み合わせて用いてもよい。高分子固体電解質に用いることができる高分子化合物としては、例えばポリエーテル、ポリエステル、ポリフォスファゼン、あるいはポリシロキサンなどを挙げることができる。無機固体電解質としては、例えばイオン伝導性セラミックス、イオン伝導性結晶、あるいはイオン伝導性ガラスなどを挙げることができる。
さらに、例えば、非水電解質二次電池の電解液としては、特に限定されることなく従来の非水溶媒系電解液などが用いられる。この中で、アルカリ金属塩を含む非水電解液からなる二次電池の電解液としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ギ酸メチル、スルホラン、オキサゾリドン、塩化チオニル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレンカーボネートや、これらの誘導体や混合物などが好ましく用いられる。電解液に含まれる電解質としては、アルカリ金属、特にカルシウムのハロゲン化物、過塩素酸塩、チオシアン塩、ホウフッ化塩、リンフッ化塩、砒素フッ化塩、イットリウムフッ化塩、トリフルオロメチル硫酸塩などが好ましく用いられる。
1・・・・電池缶
2・・・・正極
2A・・・正極集電体
2B・・・正極合剤層
3A・・・負極集電体
3B・・・負極合剤層
3・・・・負極
4・・・・セパレータ
5、6・・絶縁板
7・・・・電池蓋
8・・・・安全弁機構
9・・・・熱感抵抗素子
10・・・ガスケット
11・・・ディスク板
12・・・センターピン
13・・・正極リード
14・・・負極リード
20・・・巻回電極体
30・・・電池素子
32・・・正極リード
33・・・負極リード
34、35・・・樹脂片
36・・・凹部
37・・・外装材
42・・・正極
42A・・正極集電体
42B・・正極合剤層
43・・・負極
43A・・負極集電体
43B・・負極合剤層
44・・・セパレータ
45・・・ゲル電解質層
2・・・・正極
2A・・・正極集電体
2B・・・正極合剤層
3A・・・負極集電体
3B・・・負極合剤層
3・・・・負極
4・・・・セパレータ
5、6・・絶縁板
7・・・・電池蓋
8・・・・安全弁機構
9・・・・熱感抵抗素子
10・・・ガスケット
11・・・ディスク板
12・・・センターピン
13・・・正極リード
14・・・負極リード
20・・・巻回電極体
30・・・電池素子
32・・・正極リード
33・・・負極リード
34、35・・・樹脂片
36・・・凹部
37・・・外装材
42・・・正極
42A・・正極集電体
42B・・正極合剤層
43・・・負極
43A・・負極集電体
43B・・負極合剤層
44・・・セパレータ
45・・・ゲル電解質層
Claims (16)
- リチウム(Li)と、コバルト(Co)とを少なくとも含む複合酸化物粒子の少なくとも一部に、少なくともニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を含む層を形成する工程と、
上記層が形成された上記複合酸物粒子を、空気より還元性のある雰囲気下で熱処理することにより、複合酸化物粒子の少なくとも一部に設けられ、リチウム(Li)と、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)のうちの少なくとも何れかの元素と、を含む酸化物を有する被覆層を形成する工程と、
を有すること
を特徴とする正極活物質の製造方法。 - 上記熱処理において、少なくとも冷却過程が上記空気より還元性のある雰囲気下または該雰囲気以上に酸化性のある雰囲気下で行われること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記熱処理において、昇温過程が空気より還元性のある雰囲気下で行われること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記空気より還元性のある雰囲気下は、不活性雰囲気下であること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記ニッケル(Ni)の化合物は、ニッケル(Ni)の水酸化物であり、
上記マンガン(Mn)の化合物は、マンガン(Mn)の水酸化物であること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記ニッケル(Ni)の水酸化物および/または上記マンガン(Mn)の水酸化物を含む層の形成を、pH12以上の水を主体とする溶媒系で行うこと
を特徴とする請求項5記載の正極活物質の製造方法。 - 上記複合酸化物粒子をpH12以上の水を主体とする溶媒系に分散し、これにニッケル(Ni)の化合物および/またはマンガン(Mn)の化合物を添加して、上記ニッケル(Ni)の水酸化物および/または上記マンガン(Mn)の水酸化物を含む層の形成を行うこと
を特徴とする請求項6記載の正極活物質の製造方法。 - 上記pH12以上の水を主体とする溶媒系は、水酸化リチウムを含むこと
を特徴とする請求項6記載の正極活物質の製造方法。 - 上記層は、さらにリチウムの化合物を含み、
上記リチウム(Li)の化合物、上記ニッケル(Ni)の化合物および/または上記マンガン(Mn)の化合物として、易分解性金属化合物を用いること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記易分解性金属化合物を含む層を、上記複合酸化物粒子に圧縮と剪断力を与えることで形成すること
を特徴とする請求項9記載の正極活物質の製造方法。 - 上記複合酸化物粒子は、化1で平均組成が表されるものであること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。
(化1)
Li(1+x)Co(1-y)MyO(2-z)
(化1中、Mはマグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タングステン(W)から選ばれた一種以上の元素である。式中x、y、zは、−0.10≦x≦0.10、0≦y<0.50、−0.10≦z≦0.20である。) - 上記被覆層のニッケル(Ni)とマンガン(Mn)との構成比(Ni:Mn)がモル比で100:0〜30:70の範囲内であること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記被覆層の酸化物は、上記ニッケル(Ni)および上記マンガン(Mn)の総量の40モル%以下を、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タングステン(W)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素で置き換えたものであること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記被覆層における上記ニッケル(Ni)と上記マンガン(Mn)との構成比がモル比で100:0〜30:70の範囲内であること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記被覆層の量は、上記複合酸化物粒子に対して、0.5重量%〜50重量%の範囲内であること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。 - 上記正極活物質は、平均粒径が2.0μm〜50μmの範囲内であること
を特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。
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