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JP2008092640A - 3相整流装置 - Google Patents

3相整流装置 Download PDF

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JP2008092640A JP2006268790A JP2006268790A JP2008092640A JP 2008092640 A JP2008092640 A JP 2008092640A JP 2006268790 A JP2006268790 A JP 2006268790A JP 2006268790 A JP2006268790 A JP 2006268790A JP 2008092640 A JP2008092640 A JP 2008092640A
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Nicolaou Costakis
ニコラウ コスタキス
Ingo Luedtke
ルトゥケ インゴ
Seiichi Funakura
清一 舩倉
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Abstract

【課題】電源高調波を低減し電源力率を1にする。
【解決手段】ダイオードD1〜D12とスイッチング素子Q1〜Q6を有し3相交流リアクトルLa〜Lcの交流を整流し平滑コンデンサC1,C2に出力する3相整流回路2、3相交流電源の電圧に基づき位相演算器33で演算した電源電圧位相に基づき3相交流電源の第1座標系の電流を第2座標系の電流に変換する座標変換器34、平滑コンデンサ電圧と基準電圧値に基づきPI制御器38で生成した有効分電流指令値及び所定の無効分電流指令値と第2座標系の電流とに基づき第2座標系の電圧指令値を生成するPI制御器40,36、電源電圧位相に基づき第2座標系の電圧指令値を座標変換器41で変換した第1座標系の電圧指令値と平滑コンデンサ電圧に基づき選択される電圧ベクトル及び各スイッチング素子のスイッチング回数が最も少なくなる順序となるスイッチングパターンを演算し各スイッチング素子への指令信号を生成する空間電圧ベクトル変調演算部42を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、3相交流を直流電力に変換する3相整流装置に関する。
図12は従来の3相整流装置の回路構成図である。図12に示す3相整流装置は、VIENNA整流器と呼ばれる3レベルコンバータである。この3レベルコンバータは、3相交流電源Va,Vb,Vcに3相交流リアクトルLa,Lb,Lcが直列に接続され、各相にダイオードを2個直列接続した全波整流回路に、2個直列に接続したダイオードの中点にスイッチング素子を接続し、そのスイッチング素子がオンすると、2直列接続された平滑用コンデンサC1,C2の中点とつながる構成となっている。
この回路を詳しく説明すると、3相交流電源Va,Vb,Vcに、これらに対応して3相交流リアクトルLa,Lb,Lcが直列に接続されている。3相交流リアクトルLa,Lb,Lcには、12個のダイオードD1〜D12と6個のIGBTからなるスイッチング素子Q1〜Q6で構成された3レベルコンバータ部2が接続されている。
3レベルコンバータ部2は、12個のダイオードD1〜D12の内の4個のダイオードを1組とする3つの組に対応し各々の組が第1乃至第4ダイオードD1〜D4、D5〜D8、D9〜D12を同極性で直列に接続してなる3つの直列回路を有する。
また、3レベルコンバータ部2は、ダイオードD1とダイオードD2との接続点とダイオードD3とダイオードD4との接続点との間に直列に接続されたスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とからなる第1スイッチング回路と、ダイオードD5とダイオードD6との接続点とダイオードD7とダイオードD8との接続点との間に直列に接続されたスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とからなる第2スイッチング回路と、ダイオードD9とダイオードD10との接続点とダイオードD11とダイオードD12との接続点との間に直列に接続されたスイッチング素子Q5とスイッチング素子Q6とからなる第3スイッチング回路とを有する。
スイッチング素子Q1,Q3,Q5とスイッチング素子Q2,Q4,Q6との接続点とを共通接続した接続点と3つの直列回路の各々の両端の各カソードを共通接続した接続点との間には、平滑コンデンサC1が接続されている。スイッチング素子Q1,Q3,Q5とスイッチング素子Q2,Q4,Q6との接続点とを共通接続した接続点と3つの直列回路の各々の両端の各アノードを共通接続した接続点との間には、平滑コンデンサC2が接続されている。
ダイオードD2とダイオードD3との接続点が3相交流リアクトルLaに接続され、ダイオードD6とダイオードD7との接続点が3相交流リアクトルLbに接続され、ダイオードD10とダイオードD11との接続点が3相交流リアクトルLcに接続されている。スイッチング素子Q1〜Q6の各々のゲート端子は、図示しない制御回路に接続され、この制御回路によりスイッチング素子Q1〜Q6のオン/オフが制御されるようになっている。
図12に示すような3レベルコンバータ回路では、6個のダイオード、6個のスイッチング素子で構成されるフルブリッジコンバータ回路と比べて、半導体素子の耐圧が半分で済むという利点を有している。
一般に、コンバータ回路には、電源高調波規制や電力の利用率向上として、電源高調波を低減させ、電源力率を1にすることが目標とされる。即ち、この3レベルコンバータでは、入力力率を1にし、平滑コンデンサC1,C2の電圧を安定制御することが求められ、さらに負荷変動や入力電圧変動に対しても瞬時に応答できる制御性も併せて求められる。
この課題を解決するために、特許文献1や特許文献2に記載されたコンバータは、電源電圧の半周期に1回、スイッチング素子をオンさせることにより、スイッチング素子のスイッチング損失の低減と電源高調波の低減を図っている。
特開平10−174442号公報 特開2000−295853号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されたコンバータでは、電源電圧の半周期にスイッチング素子を1回のみスイッチングさせるため、負荷が予め既知である場合のみ電源高調波が低減される。一方、高周波でスイッチングを行なうPWM(パルス幅変調)方式では、電源高調波は低減されるが、スイッチング損失の増大を招き、装置の高効率化が達成されていない。
スイッチング素子の損失を減らす方法には、キャリア周波数を低下させる方法があるが、制御性能が低下するいう欠点を有する。
本発明の課題は、PWM制御を用いながら、極力、スイッチング損失が増加しないようにスイッチング素子のスイッチングパターンを選択する制御アルゴリズムを持ち、電源高調波の低減及び電源力率を1にすることができる3相整流装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、3相交流電源に直列に接続された3相交流リアクトルと、複数のダイオードと複数のスイッチング素子を有し、前記3相交流リアクトルからの3相交流を整流して平滑コンデンサに出力する3相整流回路と、前記3相交流電源の電圧に基づき電源電圧位相を演算する位相演算手段と、前記位相演算手段からの前記電源電圧位相に基づき前記3相交流電源の第1座標系の電流を第2座標系の電流に変換する第1座標変換手段と、前記平滑コンデンサの電圧と基準電圧値とに基づき有効分電流指令値を生成する電流制御手段と、前記第1座標変換手段からの前記第2座標系の前記電流と前記有効分電流指令値および所定の無効分電流指令値とに基づき前記第2座標系の電圧指令値を生成する電圧制御手段と、前記位相演算手段からの前記電源電圧位相に基づき前記電圧制御手段からの前記第2座標系の前記電圧指令値を前記第1座標系の電圧指令値に変換する第2座標変換手段と、前記第2座標変換手段からの前記第1座標系の前記電圧指令値と前記平滑コンデンサの電圧とに基づいて選択される電圧ベクトル及び前記各スイッチング素子のスイッチング回数が最も少なくなる順序となるスイッチングパターンを演算し、前記各スイッチング素子への指令信号を生成する空間電圧ベクトル変調手段とを備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載の3相整流装置において、前記3相整流回路は、12個のダイオードの内の4個のダイオードを1組とする3つの組に対応し各々の組が第1乃至第4ダイオードを同極性で直列に接続してなる3つの直列回路と、前記3つの直列回路に対応して設けられ、前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの接続点と前記第3ダイオードと前記第4ダイオードとの接続点との間に直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とからなる3つのスイッチング回路と、記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点を共通接続した接続点と前記3つの直列回路の各々の両端の各カソードを共通接続した接続点との間に接続された第1平滑コンデンサと、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点を共通接続した接続点と前記3つの直列回路の各々の両端の各アノードを共通接続した接続点との間に接続された第2平滑コンデンサとを有し、前記第2ダイオードと前記第3ダイオードとの接続点が前記3相交流リアクトルに接続された3レベルコンバータ回路からなることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の3相整流装置において、前記空間電圧ベクトル変調手段は、前記選択される電圧ベクトルの印加時間を演算することを特徴とする。
本発明によれば、空間電圧ベクトル変調手段が、第2座標変換手段からの第1座標系の電圧指令値と平滑コンデンサの電圧とに基づいて選択される電圧ベクトル及び各スイッチング素子のスイッチング回数が最も少なくなる順序となるスイッチングパターンを演算し、各スイッチング素子への指令信号を生成するので、従来の方式と比較してスイッチング素子のスイッチング回数を低減でき、スイッチング損失が増加せず、電源高調波の低減及び電源力率を1にすることができる。また、制御性能、部品コストや装置のサイズを悪化することなく実現できる。
以下、本発明の3相整流装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態の3相整流装置の回路構成図である。図1に示す実施例1の3相整流装置は、図12に示す3相整流装置の構成に対して、制御回路3の構成が異なるので、この制御回路3の構成のみ説明する。なお、図1に示す構成部分で図12に示す構成部分と同一部分は、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
制御回路3は、3相/2相座標変換器31,32、位相演算器33、2相/dq座標変換器34、加算器30,35,37,39、PI制御器36,38,40、dq/2相座標変換器41、空間電圧ベクトル変調演算部42を有している。
3相/2相座標変換器31は、3相交流電源1のUVW3相静止座標系の3相交流電圧VSA,VSB,VSCを検出し、検出した3相交流電源1のUVW3相静止座標系の3相交流電圧VSA,VSB,VSCを、αβ直交2軸静止座標系の2相交流電圧VSα,VSβに変換する。
3相/2相座標変換器32は、3相交流電源1のUVW3相静止座標系の3相交流電流IA,IB,ICを、αβ直交2軸静止座標系の2相交流電流Iα,Iβに変換する。変流器4aは3相交流電源1の第1相(U相)を流れる電流IAを検出し、変流器4bは3相交流電源1の第2相(V相)を流れる電流IBを検出し、3相交流電源1の第3相(W相)を流れる電流ICを加算器30により電流−IAと電流−IBとから生成する。
位相演算器33は、本発明の位相演算手段に対応し、3相/2相座標変換器31で変換された2相交流電圧VSα,VSβから電源電圧位相θsを求める。2相/dq座標変換器34は、本発明の第1座標変換手段に対応し、位相演算器33で求められた電源電圧位相θsに基づいて3相/2相座標変換器32で変換されたαβ直交2軸静止座標系(本発明の第1座標系に対応)の2相交流電流Iα,Iβをdq直交2軸回転座標系(本発明の第2座標系に対応)のd軸電流Id,q軸電流Iqに変換する。
即ち、3相/2相座標変換器31,32と位相演算器33と2相/dq座標変換器34とにより、3相交流電流lA,IB,ICを無効分電流に対応した電流成分であるd軸電流Idと有効分電流に対応した電流成分であるq軸電流Iqに変換する。
加算器35は、d軸の電流指令値(無効分電流指令値であり0(ゼロ)である)から2相/dq座標変換器34で変換されたdq直交2軸回転座標系のd軸電流Idを差し引いて、PI制御器36に出力する。PI制御器36は、加算器35からの出力を比例積分して調整を行いd軸の電圧指令値VRdをdq/2相座標変換器41に出力する。
加算器37は、基準電圧値VRefから平滑コンデンサC1の正極側電圧(Vp)を差し引いて、PI制御器38に出力する。PI制御器38は、加算器37からの出力を比例積分して調整を行いq軸の電流指令値IRefを加算器39に出力する。加算器37及びPI制御器38は、本発明の電流制御手段に対応する。
加算器39は、q軸の電流指令値IRef(有効分電流指令値)から2相/dq座標変換器34で変換されたdq直交2軸回転座標系のq軸電流Iqを差し引いて、PI制御器40に出力する。PI制御器40は、加算器39からの出力を比例積分して調整を行いq軸の電圧指令値VRqをdq/2相座標変換器41に出力する。加算器35,39及びPI制御器36,40は、本発明の電圧制御手段に対応する。
dq/2相座標変換器41は、本発明の第2座標変換手段に対応し、位相演算器33で求められた電源電圧位相θsに基づいて、PI制御器36,40からのdq直交2軸回転座標系のd軸電圧指令値VRd,q軸電圧指令値VRqをαβ直交2軸静止座標系の2相交流電圧VRα,VRβ(2相交流電圧指令値)に変換する。
スイッチング素子Q1〜Q6の各々の制御端子(ゲート端子)は、制御回路3内の空間電圧ベクトル変調演算部42の出力に接続されている。空間電圧ベクトル変調演算部42は、dq/2相座標変換器41からの電圧指令値である2相交流電圧VRα,VRβと平滑コンデンサC1,C2の正極側電圧(Vp,Vo)とに基づいて実行すべき電圧ベクトルを選択し、選択された電圧ベクトルの印加時間及び各スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング回数が最も少なくなるように、選択された電圧ベクトルの順序を決めるスイッチングパターンを演算し、演算されたスイッチングパターンによる各スイッチング素子Q1〜Q6への指令信号を生成する。また、空間電圧ベクトル変調演算部42は、1キャリア中に6個のスイッチング素子Q1〜Q6の内、最大で4個のスイッチング素子をスイッチングさせて、入力力率を1且つ安定した直流出力電圧を得る。
以下、空間電圧ベクトル変調演算部42の詳細について説明する。図2は3レベルコンバータ部の電圧ベクトルパターン図である。図2では、3レベルコンバータ部2における6個のスイッチング素子Q1〜Q6のスイッチ状態とその電圧ベクトルを示している。図2において、反時計方向に120度毎にU軸、V軸、W軸が設定され、円上に正三角形からなるセクタ・領域A1〜A4、B1〜B4、C1〜C4、D1〜D4、E1〜E4、F1〜F4が配置されている。
正三角形の頂点には、3文字のアルファベッド、例えば「PNN」が記されている。「PNN」は、各スイッチング素子のオン/オフの選択により、第1番目がU相でP(正電位)が選択され、第2番目がV相でN(基準電位)が選択され、第3番目がW相でNが選択されることを示している。この場合には、全てのスイッチング素子Q1〜Q6がオフで、La→D2→D1→C1→C2→D8→D7→Lbの経路と、La→D2→D1→C1→C2→D12→D11→Lcの経路とに電流が流れる。
6個のスイッチング素子Q1〜Q6のオン、オフ状態により、外側の三角形の頂点には12種類の状態(PNN、PON、PPN、OPN、NPN、NPO、NPP、NOP、NNP、ONP、PNP、PNO)、内側の三角形の頂点には12種類の状態(ONN、POO、OON、PPO、NON、OPO、NOO、OPP、NNO、OOP、ONO、POP)、原点には3種類(NNN、OOO、PPPの状態の合計で、27種類の状態をとることができる。
図3は電圧指令ベクトルと電圧ベクトルを示した図である。図3では、dq/2相座標変換器41からの2相交流電圧VRα,VRβとを合成した電圧指令ベクトルVrefがセクタ・領域A2に含まれる場合を示している。例えば、全てのスイッチング素子Q1〜Q6がオフで、3相交流電源1のU相電圧が正電圧、V相電圧及びW相電圧が負電圧の場合には、電圧ベクトルは図3のV1(PNN)となる。このときに、V相のスイッチング素子Q3、Q4とW相のスイッチング素子Q5、Q6とをオンした場合には、電圧ベクトルは図3のV3(POO)になる。
空間電圧ベクトル変調方式では、電圧指令ベクトルは最も近い3角形を構成する電圧ベクトルから作られる。図3に示した電圧指令ベクトルVrefの場合、最も近い3角形を構成するセクタA2で示したV1(PNN)、V2(PON)、V3(POO,ONN)の3つの電圧ベクトルから電圧指令ベクトルVrefを構成することになる。
図4は電圧ベクトルの順序とスイッチング素子のスイッチング回数との関係を示す図である。全てのスイッチング素子Q1〜Q6がオフである条件で、スイッチング素子のオン又はオフのスイッチング回数をカウントしたのが図4の一番右欄に記載されている。図4に示すように、電圧ベクトルV1,V2,V3の選択の仕方及び電圧ベクトルの順序は12通りの方法があり、これらの方法に対応してスイッチング回数が異なる。
図4では、初期値を「PNN」とした場合に、方法2では、V1→V3→V2の順序で電圧ベクトルを変えると、V1(PNN)→V3(POO)において、V相でNがOに変化して1回、W相でNがOに変化して1回、V3(POO)→V2(PON)において、W相でOがNに変化して1回で、スイッチング回数は、3回となる。
また、例えば、方法5では、V3→V1→V2の順序で電圧ベクトルを変えると、初期値を「PNN」としているので、初期値「PNN」→V3(POO)において、V相及びW相で2回、V3(POO)→V1(PNN)において、V相及びW相で2回、V1(PNN)→V2(PON)において、V相でNがOに変化して1回、スイッチング回数は、5回となる。
方法1では、V1→V2→V3の順序で電圧ベクトルを変えると、V1(PNN)→V2(PON)において、V相でNがOに変化して1回、V2(PON)→V3(POO)において、W相でNがOに変化して1回で、スイッチング回数は、2回となる。
実施例1では、スイッチング回数が最も少なくなる方法1の電圧ベクトル及び電圧ベクトルの順序を選択する。即ち、電圧ベクトルV1はPNNを、電圧ベクトルV3はPOOを選択する。電圧ベクトルV2は選択の余地はなくPONになる。そして、V1→V2→V3の順序で電圧ベクトルを構成する。このように構成することにより、スイッチング回数が最も少なくなり、スイッチング損失を低減でき且つ電源高調波を低減できる。
この選択する電圧ベクトル及び電圧ベクトルの順序は、毎回演算により更新される。同一のセクタ・領域内では、選択される電圧ベクトルは1種類であるが、電圧ベクトルの順序は2種類となる。例えば、ある区間では、図4に示す方法1(正の順序であるV1→V2→V3)が選択され、次の区間では、逆の順序であるV3→V2→V1が選択され、スイッチング回数が最も少ない2回となる。
図5はセクタAにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。図6はセクタBにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。図7はセクタCにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。図8はセクタDにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。図9はセクタEにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。図10はセクタFにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。
例えば、図3に示す電圧指令ベクトルVrefは、セクタA・領域2に属するので、図5(b)に示すスイッチングパターンが用いられる。ここで、各々のスイッチングパターンについて説明すると、右整列PWM(電圧ベクトルの正の順序に対応)と左整列PWM(電圧ベクトルの逆の順序に対応)とが設けられ、右整列PWMについて、印加時間T5、T4、T2が設定され、左整列PWMについて、印加時間T2、T4、T5が設定されている。印加時間T2、T4、T5の合計がハーフキャリア周期Tpwmとなる。右整列PWMの区間と左整列PWMの区間との合計区間が1キャリア周期である。
また、印加時間T5は電圧ベクトルV1に対応し、印加時間T4は電圧ベクトルV2に対応し、印加時間T2は電圧ベクトルV3に対応する。このスイッチングパターンには、図4に示す方法1のスイッチング回数が最も少なくなる電圧ベクトルの順序(V1→V2→V3)のみが設定されている。
また、スイッチング素子Q1〜Q6について、斜線で示すスイッチング素子をオン状態とする。この場合、右整列PWM区間について説明すると、電圧ベクトルV1を発生させるために印加時間T5の間はスイッチング素子Q1〜Q6をオンさせない。次に、電圧ベクトルV2を発生させるために印加時間T4の間はスイッチング素子Q4をオンさせる。
次に、電圧ベクトルV3を発生させるために印加時間T2の間はスイッチング素子Q4,Q6をオンさせる。
この場合、V相のスイッチング素子Q4が印加時間T4の最初のタイミングでスイッチングが1回とW相のスイッチング素子Q6が印加時間T2の最初のタイミングでスイッチングが1回で、合計2回となり、スイッチング回数が最も少ない回数となっている。
このように、全てのセクタ・領域に対して、図5〜図10に示す電圧ベクトルの選択及びその順序を示すスイッチングパターンを予めパターン選択メモリ423(図11に示す)に格納しておく。これにより、電圧ベクトルの選択及びその順序の処理に要する演算時間を短縮することができる。
以上説明した空間電圧ベクトル変調演算部42の機能を示した構成図を図11に示す。図11において、空間電圧ベクトル変調演算部42は、セクタ・領域判定部421、パターン選択メモリ423、印加時間計算部425、ゲート指令信号生成部427を有している。
セクタ・領域判定部421は、dq/2相座標変換器41からの電圧指令値である2相交流電圧VRα,VRβが図2に示すいずれのセクタ・領域に属するのかを判定する。これにより、選択する電圧ベクトルと電圧ベクトルの順序が決まる。
印加時間計算部425は、セクタ・領域判定部421で判定されたセクタ・領域結果と電圧指令値である2相交流電圧VRα,VRβとに基づいて3つの各電圧ベクトルの印加時間を計算する。例えば、図3において、電圧指令ベクトルVrefのα軸成分VRα、α軸を90度反時計方向に回転したβ軸成分VRβから、電圧ベクトルV1、V2、V3の印加時間T5、T4、T2は以下の関係式により求めることができる。
VRα=2×T5+T2+3×T4/2
VRβ=√3/2×T4
Tpwm=T5+T2+T4
この3式にVRα、VRβ、Tpwmを与えることでT5、T4、T2を計算により求めることができる。ここで、Tpwmは1回分のパターン演算周期である。
なお、V3の電圧ベクトルの大きさ(長さ)を1とすると、V2の電圧ベクトルは、大きさ(長さ)が√3、α軸成分が3/2、β軸成分が√3/2となり、V1の電圧ベクトルは、大きさ(長さ)が2、α軸成分が2、β軸成分が0となる。
パターン選択メモリ423は、セクタ・領域判定部421で判定されたセクタ・領域結果と平滑コンデンサC1の正極側電圧(Vp)と平滑コンデンサC2の正極側電圧(Vo)とに基づいていずれかのスイッチングパターンを選択する。図5〜図10に示す右整列PWMと左整列PWMのスイッチングパターンのように、選択できるスイッチングパターンが2種類ある場合には、平滑コンデンサC1の両端電圧(Vp−Vo)と平滑コンデンサC2の両端電圧(Vo)との大小関係により、いずれかの一方のスイッチングパターンを選択する。
ゲート指令信号生成部427は、印加時間計算部425で計算された3つの各電圧ベクトルの印加時間とパターン選択メモリ423で選択されたスイッチングパターンによる電圧ベクトルの順序とに基づいて各相のスイッチング素子Q1〜Q6のゲート指令信号を生成する。
このように3相整流装置の実施例1によれば、空間電圧ベクトル変調演算部42は、dq/2相座標変換器41からの電圧指令値と平滑コンデンサC1,C2の電圧とに基づいて選択される電圧ベクトル及び各スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング回数が最も少なくなる順序となるスイッチングパターンを演算し、各スイッチング素子への指令信号を生成するので、従来の方式と比較してスイッチング素子のスイッチング回数を低減でき、スイッチング損失が増加せず、電源高調波の低減及び電源力率を1にすることができる。また、制御性能、部品コストや装置のサイズを悪化することなく実現できる。
本発明の実施の形態の3相整流装置の回路構成図である。 3レベルコンバータ部の電圧ベクトルパターン図である。 電圧指令ベクトルと電圧ベクトルを示した図である。 電圧ベクトルの順序とスイッチング素子のスイッチング回数との関係を示す図である。 セクタAにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。 セクタBにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。 セクタCにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。 セクタDにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。 セクタEにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。 セクタFにおける電圧ベクトルの選択及びその順序と印加時間を示すスイッチングパターンである。 空間電圧ベクトル変調演算部の構成図である。 従来の3相整流装置の回路構成図である。
符号の説明
1 3相交流電源
2 3レベルコンバータ部
3 制御回路
31,32 3相/2相座標変換器
33 位相演算器
34 2相/dq座標変換器
30,35,37,39 加算器
36,38,40 PI制御器
41 dq/2相座標変換器
42 空間電圧ベクトル変調演算部
421 セクタ・領域判定部
423 パターン選択メモリ
425 印加時間計算部
427 ゲート指令信号生成部
La,Lb,Lc 3相交流リアクトル
C1,C2 平滑コンデンサ

Claims (3)

  1. 3相交流電源に直列に接続された3相交流リアクトルと、
    複数のダイオードと複数のスイッチング素子を有し、前記3相交流リアクトルからの3相交流を整流して平滑コンデンサに出力する3相整流回路と、
    前記3相交流電源の電圧に基づき電源電圧位相を演算する位相演算手段と、
    前記位相演算手段からの前記電源電圧位相に基づき前記3相交流電源の第1座標系の電流を第2座標系の電流に変換する第1座標変換手段と、
    前記平滑コンデンサの電圧と基準電圧値とに基づき有効分電流指令値を生成する電流制御手段と、
    前記第1座標変換手段からの前記第2座標系の前記電流と前記有効分電流指令値および所定の無効分電流指令値とに基づき前記第2座標系の電圧指令値を生成する電圧制御手段と、
    前記位相演算手段からの前記電源電圧位相に基づき前記電圧制御手段からの前記第2座標系の前記電圧指令値を前記第1座標系の電圧指令値に変換する第2座標変換手段と、
    前記第2座標変換手段からの前記第1座標系の前記電圧指令値と前記平滑コンデンサの電圧とに基づいて選択される電圧ベクトル及び前記各スイッチング素子のスイッチング回数が最も少なくなる順序となるスイッチングパターンを演算し、前記各スイッチング素子への指令信号を生成する空間電圧ベクトル変調手段と、
    を備えることを特徴とする3相整流装置。
  2. 前記3相整流回路は、12個のダイオードの内の4個のダイオードを1組とする3つの組に対応し各々の組が第1乃至第4ダイオードを同極性で直列に接続してなる3つの直列回路と、
    前記3つの直列回路に対応して設けられ、前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの接続点と前記第3ダイオードと前記第4ダイオードとの接続点との間に直列に接続された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とからなる3つのスイッチング回路と、
    前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点を共通接続した接続点と前記3つの直列回路の各々の両端の各カソードを共通接続した接続点との間に接続された第1平滑コンデンサと、
    前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との接続点を共通接続した接続点と前記3つの直列回路の各々の両端の各アノードを共通接続した接続点との間に接続された第2平滑コンデンサとを有し、
    前記第2ダイオードと前記第3ダイオードとの接続点が前記3相交流リアクトルに接続された3レベルコンバータ回路からなることを特徴とする請求項1記載の3相整流装置。
  3. 前記空間電圧ベクトル変調手段は、前記選択される電圧ベクトルの印加時間を演算することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の3相整流装置。
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