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JP2006218934A - 空気入りラジアルタイヤ及びカーカス用スチールコード - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ及びカーカス用スチールコード Download PDF

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Abstract

【課題】カーカス層の補強コードに使用される3+(7〜10)構造のスチールコードの形状安定生産性を向上し、操縦安定性を改善することが可能な空気入りラジアルタイヤ及びカーカス用スチールコードを提供する。
【解決手段】型付けして撚り合わせた3本のフィラメントfcからなるコアCと、コアCの外周側に型付けして撚り合わせた7〜10本のフィラメントfsからなるシースSとから構成した3+(7〜10)構造のスチールコード8からカーカス層4の補強コードを構成した空気入りラジアルタイヤである。コアCを構成するフィラメントfcの平均型付け率が95〜105%、型付け率の標準偏差が5%以下であり、かつシースSを構成するフィラメントfsの平均型付け率が75〜95%、型付け率の標準偏差が10%以下になっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りラジアルタイヤ及びそのカーカス層の補強コードとして使用されるカーカス用スチールコードに関し、更に詳しくは、カーカス層の補強コードに使用される3+(7〜10)構造のスチールコードの生産時の形状安定性を向上し、操縦安定性を改善するようにした空気入りラジアルタイヤ及びカーカス用スチールコードに関する。
従来、トラックやバスなどの重荷重車両に使用される空気入りラジアルタイヤのカーカス層の補強コードとして、3+N+1構造のスチールコードが周知である。3本のフィラメントからなるコアの外周側にN本のフィラメントを撚り合わせてシースを形成し、そのシースの外周側に1本のラッピング用フィラメントを螺旋状に巻き付けることにより拘束力を確保し、フィラメントをバラケ難くしている。
しかし、このようにラッピング用フィラメントを用いたスチールコードは、特にラッピング用フィラメントとその内周側のN本のフィラメントとの点接触部分にフレッティング摩耗が発生し易く、それが耐疲労性を低下させる要因になっていた。
そこで、近年、ラッピング用フィラメントを外した3+N構造のスチールコードをカーカス層の補強コードに使用した空気入りラジアルタイヤが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。コア及びシースに型付け率を規定したフィラメントを使用することにより拘束力を確保し、フィラメントをバラケ難くしている。
しかしながら、これらのスチールコードは、型付け率のバラツキにより、シースのフィラメントに型付け率が100%以上になる部分が多くなり、生産時にスチールコードの形状が安定せず、シースフィラメントに浮き上がりが発生する箇所が多く散見され、生産時の形状安定性(形状安定生産性)が悪い。このような形状安定性が悪いスチールコードをカーカス層に使用した空気入りタイヤは、カーカス引張剛性が低下するため、操縦安定性が低下する問題が生じる。
特開平8−176978号公報 特開平10−131065号公報
本発明は、カーカス層の補強コードに使用される3+(7〜10)構造のスチールコードの形状安定生産性を向上し、操縦安定性を改善することが可能な空気入りラジアルタイヤ及びカーカス用スチールコードを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りラジアルタイヤは、型付けして撚り合わせた3本のフィラメントからなるコアと、このコアの外周側に型付けして撚り合わせた7〜10本のフィラメントからなるシースとから構成した3+(7〜10)構造のスチールコードからカーカス層の補強コードを構成した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記コアを構成するフィラメントの平均型付け率を95〜105%、型付け率の標準偏差を5%以下にする一方、前記シースを構成するフィラメントの平均型付け率を75〜95%、型付け率の標準偏差を10%以下にしたことを特徴とする。
本発明のカーカス用スチールコードは、空気入りラジアルタイヤのカーカス層の補強コードとして使用され、型付けして撚り合わせた3本のフィラメントからなるコアと、このコアの外周側に型付けして撚り合わせた7〜10本のフィラメントからなるシースとから構成した3+(7〜10)構造のカーカス用スチールコードにおいて、前記コアを構成するフィラメントの平均型付け率を95〜105%、型付け率の標準偏差を5%以下にする一方、前記シースを構成するフィラメントの平均型付け率を75〜95%、型付け率の標準偏差を10%以下にしたことを特徴とする。
上述した本発明によれば、コア及びシースのフィラメントの平均型付け率と標準偏差を上記のように規定することにより、コア及びシースのフィラメントの型付け率のばらつきを小さくしてシースフィラメントに浮き上がりが発生するのを抑制することができるので、生産時にスチールコードの形状を安定させることができる。これにより、カーカス層の引張剛性を高めることができるので、操縦安定性を改善することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施形態を示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。
左右のビード部3間に、タイヤ径方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に沿って所定の間隔で配置してゴム層に埋設したカーカス層4が延設され、その両端部4aがビード部3に埋設したビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1のカーカス層4の外周側には、複数のベルト層7が配置されている。
カーカス層4の補強コードは、図2に示すように、同径の3本のフィラメントfcからなるコアCと、このコアCの外周側に配置した同径の9本のフィラメントfsからなるシースSとからなる3+9構造のスチールコード(カーカス用スチールコード)8から構成されている。
フィラメントfc,fsは、それぞれ波形の型付けが施され、コアCを構成する3本のフィラメントfcの平均型付け率が95〜105%の範囲、型付け率の標準偏差が5%以下になっている。また、シースSを構成する9本のフィラメントfsの平均型付け率は75〜95%の範囲、型付け率の標準偏差は10%以下にしてある。
コアCの型付けした3本のフィラメントfcが撚り方向を一方向にして撚り合わされ、シースSの型付けした9本のフィラメントfsが撚り方向をコアCと同じ方向にしてコアCの外周側に撚り合わされ、スチールコード8はコアCを構成するフィラメントfc及びシースSを構成するフィラメントfsをそれぞれS撚りにした構造になっている。
コアCのフィラメントfcの平均型付け率が95%未満であると、スチールコード8の端末が広がり易くなる(端末フレアー性が悪化する)ため、作業性の問題が発生する。逆に105%を超えると、コアCのフィラメントfcの配置が不均一になるため、その外側に撚り合わされたシースSのフィラメントfsの形状安定生産性が悪化し、操縦安定性を改善することが難しくなる。好ましくは、97〜103%にするのがよい。
シースSのフィラメントfsの平均型付け率が75%より小さくても、スチールコード8の端末フレアー性が悪化する。逆に95%より大きいと、シースSのフィラメントfsに浮き上がりが発生する箇所が多くなり、形状安定生産性を向上して操縦安定性を改善することができなくなる。好ましくは、80〜90%にするのがよい。
コアCのフィラメントfcの型付け率の標準偏差が5%を超えても、シースSのフィラメントfsの型付け率の標準偏差が10%より大きくなっても、形状安定生産性を改善して操縦安定性を向上することが難しくなる。好ましくは、コアCのフィラメントfcの型付け率の標準偏差を3%以下、シースSのフィラメントfsの型付け率の標準偏差を8%以下にするのがよい。
なお、空気入りラジアルタイヤのカーカス層4内に埋設された状態にあるスチールコードの平均型付け率と型付け率の標準偏差は、以下のようにして求めるものとする。カーカス層4から取り出したスチールコードを任意の位置で長さ10cmのコード片に切断し、そのコード片外側のゴムをカッターナイフで取り除く。そのコード片をアセトン中に浸漬して十分加熱した後、アセトン中から取り出してフィラメントを塑性変形させずにコード片を全てばらす。
他方、カーカス層4に使用される前の裸コードの状態にあるスチールコードの場合には、スチールコードを任意の位置で長さ10cmのコード片に切断し、フィラメントを塑性変形させずにコード片を全てばらす。
ばらした後、投影機を用いてフィラメント片fa(図3参照)の振幅H(mm)を測定する。
コアCを構成するフィラメントfcの型付け率をA1(%)、そのフィラメントfcのフィラメント片faの振幅をH1(mm)、シースSを構成するフィラメントfsの型付け率をA2(%)、そのフィラメントfsのフィラメント片faの振幅をH2(mm)とすると、型付け率A1,A2は下記式により求める。
A1=(H1/D1)×100
A2=(H2/D2)×100
なお、D1はコアCの3本のフィラメントfcの外接円の直径(mm)、D2はシースSの9本のフィラメントfsの外接円の直径(mm)であり、下記式により求める。
D1=(2×31/2 /3+1)×rc
D2=(2×31/2 /3+1)×rc+2×rs
但し、rcはコアCのフィラメントfcの直径(mm)、rsはシースSのフィラメントfsの直径(mm)である。
シースCの3本のフィラメントfcについて上記の方法により型付け率A1をそれぞれ求め、その3本のフィラメントfcの型付け率A1の平均をコアCを構成する3本のフィラメントfcの平均型付け率とする。同様に、シースSの9本のフィラメントfsについて上記の方法により型付け率A2をそれぞれ求め、その9本のフィラメントfsの型付け率A2の平均をシースSを構成する9本のフィラメントfsの平均型付け率とする。
また、型付け率の標準偏差は、上記スチールコードを任意の位置で長さ10cmの4本のコード片に切断して得られたコアCの12本のフィラメントfcの部分(フィラメント片)の型付け率の標準偏差、シースSの36本のフィラメントfsの部分(フィラメント片)の型付け率の標準偏差である。
型付け率の標準偏差を上記のような小さい範囲にするには、スチールコード8は、フィラメントfc,fsをハラハラ撚り方式によって撚り合わせるのがよい。なお、ここで言うハラハラ撚り方式とは、図4に示すように、フィラメントfxを位置aから位置b,c,dを経て位置aまで1回転(公転)撚る毎にフィラメントfxを1回転自転させる撚り方である。なお、図中xは、フィラメントfxの一方側部分を示している。
このハラハラ撚り構造のスチールコードは、フィラメントに捩じれを加えるため、大きな型付け率(約70〜300%)であっても均一な型付けが可能になり、またスチールコードをバラケ難くすることができる。
ハラハラ撚り構造に代えて、スチールコードの撚り工程における撚り線速度やフィラメント張力などを適宜調整することにより、型付け率の標準偏差を小さくすることもできる。
上記フィラメントfc,fsは、直径が0.15〜0.26mmの範囲のものを好ましく用いることができる。
上述した本発明によれば、コアC及びシースSのフィラメントfc,fsの平均型付け率と標準偏差を上記のように特定することで、フィラメントfc,fsの型付け率のばらつきを小さくしてシースSのフィラメントfsが浮き上がるのを抑制することができる。そのため、生産時にスチールコード8の形状を安定させることができ、これにより、カーカス層4における引張剛性が向上するので、操縦安定性を高めることが可能になる。しかも、スチールコード8の端末フレアー性が悪化して扱い難くなることがないので、作業性の問題を招くこともない。
カーカス層4の補強コードとして、上述したように3+9構造のスチールコード8を好ましく用いることができるが、それに限定されず、シースSを構成するフィラメントfsの数を7〜10本にした3+(7〜10)構造のスチールコードであればよい。
本発明は、特にトラックやバスなどの重荷重車両に使用される重荷重用の空気入りラジアルタイヤに好ましく用いることができるが、それに限定されない。
サイズ225/80R17.5の図1に示す構成の空気入りラジアルタイヤのカーカス層の補強コードに使用する3+9構造のスチールコードとして、コア及びシースのフィラメントの平均型付け率(%)と標準偏差(%)を表1のように変えたスチールコード(実施例1,2、比較例1〜4、従来例)をそれぞれ作製した。
各スチールコードには、直径0.18mmのフィラメントを使用し、コアの3本のフィラメントを5mmピッチでS撚りにし、シースの9本のフィラメントを10mmピッチでS撚りとした。また、実施例1,2、比較例1〜4のスチールコードはハラハラ撚りにより作製した。従来例のスチールコードは、図5に示すように、フィラメントfxを自転させずにフィラメントfxを撚る、ハラセ撚りにより作製した。
これら各試験スチールコードを以下に示す測定方法により、端末フレアー性及び形状安定生産性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
また、各試験スチールコードを用いたカーカス層を使用した上記サイズと構成のタイヤをそれぞれ作製した。これら各試験タイヤをリムサイズ17.5×6.0のリムに装着し、空気圧を700kPa にして、積載量4tのトラックに装着し、以下に示す測定方法により、操縦安定性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
端末フレアー性
各試験スチールコードの端末部をペンチで切断した際の状況により、下記の判断基準で4段階評価した。数字が大きい程、耐端末フレアー性が優れている。なお、下記で言う「バラケる」とは、切り口から50mmを超えてバラケが発生することを意味し、それ以下のバラケの発生は「バラケない」とする。
1:切り口に隣接する位置を手で持ってペンチで切断し、3回切断して1回以上バラケ る。
2:切り口に隣接する位置を手で持ってペンチで切断し、3回切断して3回共バラケな い。
3:切り口から70mm離れた位置を手で持ってペンチで切断し、バラケない。
4:切り口から70mm離れた位置を手で持ってペンチで切断し、切り口を軽く叩いて もバラケない。
形状安定生産性
各試験スチールコードを任意の位置で1mの長さの試験片に溶断し、投影機(倍率20倍)を用いてシースのフィラメントの浮きを観察し、下記の判断基準で4段階評価した。評価結果は、各試験スチールコードにおいて5本行った際の平均であり、小数点以下は四捨五入した。数字が大きい程、形状安定生産性が優れている。
1:シースのフィラメントに7ヶ所以上の浮きが有る。
2:シースのフィラメントに4〜6ヶ所の浮きが有る。
3:シースのフィラメントに1〜3ヶ所の浮きが有る。
4:シースのフィラメントに1ヶ所の浮きも無い。
操縦安定性
乾燥路テストコースにおいて、訓練した5名のテストドライバーによるフィーリング試験を実施し、その結果を4段階評価した。評価結果は、テストドライバー5名の平均であり、小数点以下は四捨五入した。この値が大きい程、操縦安定性が優れている。
Figure 2006218934
表1から、本発明(実施例1,2)は、カーカス層の補強コードに使用するスチールコードの形状安定生産性を改善し、操縦安定性を高めることができるのがわかる。また、端末フレアー性も従来と同等以上に維持できることがわかる。
本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施形態を示すタイヤ子午線要部断面図である。 カーカス層の補強コードに使用されるスチールコードの拡大断面図である。 スチールコードのコード片から取り出したフィラメント片の要部拡大側面図である。 ハラハラ撚りの説明図である。 ハラセ撚りの説明図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 スチールコード(カーカス用スチールコード)
C コア
S シース
fc,fs フィラメント

Claims (6)

  1. 型付けして撚り合わせた3本のフィラメントからなるコアと、このコアの外周側に型付けして撚り合わせた7〜10本のフィラメントからなるシースとから構成した3+(7〜10)構造のスチールコードからカーカス層の補強コードを構成した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記コアを構成するフィラメントの平均型付け率を95〜105%、型付け率の標準偏差を5%以下にする一方、前記シースを構成するフィラメントの平均型付け率を75〜95%、型付け率の標準偏差を10%以下にした空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記コア及びシースを構成するフィラメントがハラハラ撚り方式によって撚り合わされてなる請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記シースが9本のフィラメントからなる請求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 空気入りラジアルタイヤのカーカス層の補強コードとして使用され、型付けして撚り合わせた3本のフィラメントからなるコアと、このコアの外周側に型付けして撚り合わせた7〜10本のフィラメントからなるシースとから構成した3+(7〜10)構造のカーカス用スチールコードにおいて、前記コアを構成するフィラメントの平均型付け率を95〜105%、型付け率の標準偏差を5%以下にする一方、前記シースを構成するフィラメントの平均型付け率を75〜95%、型付け率の標準偏差を10%以下にしたカーカス用スチールコード。
  5. 前記コア及びシースを構成するフィラメントがハラハラ撚り方式によって撚り合わされてなる請求項4に記載のカーカス用スチールコード。
  6. 前記シースが9本のフィラメントからなる請求項4または5に記載のカーカス用スチールコード。
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