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JP5495412B2 - ゴム物品補強用スチールコードおよびタイヤ - Google Patents

ゴム物品補強用スチールコードおよびタイヤ Download PDF

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JP5495412B2 JP2007291568A JP2007291568A JP5495412B2 JP 5495412 B2 JP5495412 B2 JP 5495412B2 JP 2007291568 A JP2007291568 A JP 2007291568A JP 2007291568 A JP2007291568 A JP 2007291568A JP 5495412 B2 JP5495412 B2 JP 5495412B2
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Description

本発明は、ゴム物品補強用スチールコード(以下、単に「コード」とも称する)およびタイヤに関し、詳しくは、輸送車両や建造機械のような重車両用の空気入りラジアルタイヤに好適に用いられるゴム物品補強用スチールコード、および、それを用いたタイヤに関する。
建設車両用タイヤは、荒れた地表を走行することに加え、重い負荷が課せられることから、建設車両用タイヤのカーカスやベルトなどの各補強層に使用するスチールコードには、高い引張り強さ(切断荷重)が求められる。そのため、これら補強層には、一般に、1本のコアストランドの周りに複数本のシースストランドを撚り合わせた、例えば、7×(3+9)構造や7×(3+9+15)構造など、いわゆる複撚り構造のスチールコードが用いられている。
また、建設車両用タイヤは、荒れた地表面に接して重い負荷が課せられる結果として、外傷を受ける機会が多いため、これに対して、補強材としてのコードに太い径のものを用いるか、単位長さ当りのコードの打ち込み本数を多くする対応がなされている。
ところが、複数本のストランドを撚り合わせた複撚りコードでは、素線の強力の総和に比べて、撚り角に起因する減少のみでは説明できないほどコード強力が低下する場合があり、問題となっていた。この問題に対する対策として、例えば、特許文献1には、一部素線の先行破断を回避して、コード軸方向の強力の低下を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2には、互いに平行に引き揃えて配置した複数本のコアストランドの周りに複数本のシースストランドを撚り合わせた複撚り構造を有するゴム物品補強用スチールコードにおいて、コアストランドの本数およびシースストランドの本数と、シースストランドの撚りピッチおよびシースストランドの径とが、それぞれ所定の関係を満たすものとすることで、タイヤのゴム重量を増加させることなく、かつ、隣接コード間での亀裂の早期伝播を生じさせることなく、耐カット性を向上させる技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、コアストランドの周りにシースストランドを撚り合わせた複撚り構造のスチールコードにおいて、コード軸に直交する断面でのコード輪郭形状の最大径に対する最小径の比、および、シースストランドの最外層を構成する素線の径とシースストランドの径との比を、それぞれ所定範囲とすることで、コード軸方向の強力を低下させることなく、耐カット性を向上させる技術が開示されている。
再表01/34900号公報 特開2002−339277号公報(特許請求の範囲等) 特開2006−22440号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、これまでの建設車両用タイヤの補強材としてのスチールコードは、次のような状況下において、必ずしも満足の得られるものではなかった。すなわち、荒地走行を強いられる建設車両用タイヤのベルト層、特に、インナー側に最も近いベルト層は、比較的鈍的な突起物を踏んだ場合、大きく曲げられ、補強用スチールコードがコード軸方向引張り入力で先行的にコード破断をきたすことが多く見られた。一方、比較的鋭的な突起物を踏んだ場合には、ベルト層は局所的に曲げられ、突起物からのせん断力により、特にトレッド側に最も近いベルト補強層より、やはりコード破断をきたすことが多く見られた。
このようなことから、建設車両用タイヤに補強材として用いるスチールコードには、コード軸方向の引張り強さと、せん断方向の強さとの双方が求められている。また、ベルト層が厚い場合、突起物を踏んだ際の曲げられる時、インナー側のベルトコードは曲げの外側に位置するので、切断伸度に至る引張り入力が容易に加えられ易くなるため、ベルト層をできるだけ薄くすることが求められている。
そこで、本発明の目的は、コード軸方向の強力を低下させることなく、かつ、コード径方向の厚みを増すことなく、すなわちタイヤ重量を増加させることなく、鈍的および鋭的な突起物を踏んだ場合に切り目や穿孔などが生ずるいわゆるカットに対する耐久性を向上させたゴム物品補強用スチールコード、およびこのゴム物品補強用スチールコードを補強材として適用したタイヤ、特には建設車両用タイヤを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、下記構成とすることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のゴム物品補強用スチールコードは、複数本の素線を撚り合わせてなるストランドの複数本からなり、互いに略並行に引き揃えられた2本のコアストランドの周りに、複数本のシースストランドが撚り合わされてなる複撚り構造のゴム物品補強用スチールコードにおいて、
前記コアストランドおよびシースストランドが、複数本のコア素線の周りに複数本のシース素線を2層以上にて撚り合わされてなり、
コード断面形状が偏平であって、コード軸に直交する断面でのコード輪郭形状の最大径Aに対する最小径Bの比B/Aが0.65≦B/A≦0.85の範囲内にあり、
前記コアストランドの径Dcと前記シースストランドの径Dsとの比Dc/Dsが、1≦Dc/Ds≦1.4の範囲内にあり、かつ、
前記ストランドの最外層を構成する素線の径dと、該ストランドの径Dとの比d/Dが、0.19≦d/D≦0.20の範囲内にあることを特徴とするものである。
また、本発明のタイヤは、ラジアル配列コードによるプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部タイヤ半径方向外側に、並置配列コードが積層間で交差して配置されてなる少なくとも4層のベルトとを備えるタイヤにおいて、
前記ベルトのうち少なくとも互いに交錯する2層を構成するコードとして、上記本発明のゴム物品補強用スチールコードが、前記最大径Aが該ベルトの面内方向に沿う向きに適用されてなることを特徴とするものである。
本発明は、特には、建設車両用タイヤに適用した際に有用である。
本発明によれば、上記構成としたことにより、コード軸方向の強力を低下させることなく、かつ、タイヤ重量を増加させることなく、鈍的および鋭的な突起物を踏んだ場合におけるいわゆるカット耐久性を向上させたゴム物品補強用スチールコードおよびタイヤ、特には建設車両用タイヤを実現することが可能となった。
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の一好適実施形態に係るゴム物品補強用スチールコードの断面図を示す。図示するゴム物品補強用スチールコードは、複数本の素線を撚り合わせてなるストランドの複数本(図示例では12本)からなり、互いに略並行に引き揃えられた2本のコアストランド1の周りに、複数本(図示例では10本)のシースストランド2が撚り合わされてなる複撚り構造を有している。また、このコードの外周には、ラッピング素線3がコード外周に沿って螺旋状に巻回されている。
本発明においては、コアストランド1およびシースストランド2が、複数本のコア素線の周りに複数本のシース素線を2層以上にて撚り合わされてなる。図示する好適例では、コアストランド1は、最外層のシース素線がその内側の素線よりも太い径である3層撚り構造を有する。シースストランド2も同様の構造を有している。かかるコアストランド1およびシースストランド2を構成する素線の素線径および撚り構造は、ともに特に制限されるべきものではないが、本発明の所期の目的を達成する上で、シースストランドの撚り本数は、好ましくは8〜10本である。
また、本発明のコードにおいては、コード断面形状が偏平であって、コード軸に直交する断面でのコード輪郭形状の最大径Aに対する最小径Bの比B/Aが、0.65≦B/A≦0.85、好ましくは0.71≦B/A≦0.79の範囲内にあることが肝要である。これにより、コード軸方向の強力を低下させることなく、かつ、タイヤ重量を増加させることなく、カット耐久性を確保できる。この比B/Aが0.65より小さい場合、コードが偏平になりすぎて、素線の強力の総和に比べ、コード軸方向の強力が大幅に低下してしまうことになる。一方、比B/Aが0.85より大きい場合、コード断面形状が偏平であることによるベルト層の薄層化のメリットが低減してしまい、耐カット性の向上効果が得難くなる。
さらに、本発明においては、コアストランド1の径Dcとシースストランド2の径Dsとの比Dc/Dsが、1≦Dc/Ds≦1.4、好ましくは1≦Dc/Ds≦1.2の範囲を満足することが必要である。この比Dc/Dsが1未満である場合、特にコードの径が太い時、張力負担時に先行破断を起こして、強力低下を招き易い。一方、比Dc/Dsが1.4を超えると、コードの単位長さあたりのコアストランド長さに対してシースストランドが極端に長くなるため、やはり強力低下を招いてしまうこととなる。
さらにまた、本発明においては、ストランド1,2の最外層を構成する素線11,12の径dと、そのストランド1,2の径Dとの比d/Dが、0.18≦d/D≦0.21の範囲内にあることが好ましい。この比d/Dが0.21より大きい場合、最外層シース素線の先行破断は抑制されるものの、その内側の素線が先行破断してしまい、やはり必要な破断強力を得難くなる。また、0.17より小さい場合、最外層シース素線が先行破断してしまい、やはり必要な強力を得難い。なお、本発明のコードのコード径は、特に制限されるものではないが、好適には4.0mm以上とする。
図2に、本発明のタイヤの一好適例の片側断面図を示す。図示するタイヤは、ラジアル配列コードによるプライからなるカーカス22と、そのクラウン部タイヤ半径方向外側に、並置配列コードが積層間で交差して配置されてなる少なくとも4層(図示例では6層)のベルト24とを備えている。なお、図中の符号21はビードコアを示し、符号23はトレッド部を示す。
本発明のタイヤにおいては、ベルト24のうち少なくとも互いに交錯する2層を構成するコードとして、上記本発明のゴム物品補強用スチールコードを、その最大径Aがベルト24の面内方向に沿う向きに適用してなる。これにより、コード軸方向の強力の低下やタイヤ重量の増加なしで、優れたカット耐久性を得ることが可能となる。本発明は、特には建設車両用タイヤに適用した際に有用であり、例えば、リム径50インチ以上のタイヤに適用される。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
下記の表に示す条件に従って、各従来例、比較例および実施例のスチールコードを作製した。なお、スチールコードに使用した素線は、炭素含有量0.82重量%の高抗張力鋼であった。
これらスチールコードを、タイヤサイズ46/90R57の建設車両用タイヤのベルト層(総層数:6層)のうちトレッド側から3,4番目の2層のベルト層の補強材として、最大径Aがベルトの面内方向に沿う向きに適用した。なお、各供試タイヤは、それぞれスチールコードの重量が略同等となるように設計した。各供試タイヤをそれぞれJATMA規格の標準リムに組み込み、重荷重車両に装着して、平均車両速度30km/hで1000時間走行させた後、各タイヤの周方向の1/5相当の部分において、ベルト層に達したカット個数を数えた。また、タイヤ重量を測定して、従来例を100とする指数にて示した。その結果を、下記の表中に併せて示す。
Figure 0005495412
*1)コード軸に直交する断面でのコード輪郭形状の最大径および最小径である。
上記表中に示すように、本発明に従う実施例1,2の供試タイヤにおいては、従来例および比較例の供試タイヤに比して、ともにカット箇所数が減少していることがわかる。したがって、本発明により耐カット性を向上させた建設車両用タイヤが得られることが確かめられた。
本発明の一実施の形態に係るゴム物品補強用スチールコードを示す幅方向断面図である。 本発明の一実施の形態に係るタイヤを示す幅方向片側断面図である。 実施例2に係るゴム物品補強用スチールコードを示す幅方向断面図である。 従来例に係るゴム物品補強用スチールコードを示す幅方向断面図である。 比較例に係るゴム物品補強用スチールコードを示す幅方向断面図である。
符号の説明
1 コアストランド
2 シースストランド
3 ラッピング素線
11,21 最外層シース素線
21 ビードコア
22 カーカス
23 トレッド部
24 ベルト層

Claims (3)

  1. 複数本の素線を撚り合わせてなるストランドの複数本からなり、互いに略並行に引き揃えられた2本のコアストランドの周りに、複数本のシースストランドが撚り合わされてなる複撚り構造のゴム物品補強用スチールコードにおいて、
    前記コアストランドおよびシースストランドが、複数本のコア素線の周りに複数本のシース素線を2層以上にて撚り合わされてなり、
    コード断面形状が偏平であって、コード軸に直交する断面でのコード輪郭形状の最大径Aに対する最小径Bの比B/Aが0.65≦B/A≦0.85の範囲内にあり、
    前記コアストランドの径Dcと前記シースストランドの径Dsとの比Dc/Dsが、1≦Dc/Ds≦1.4の範囲内にあり、かつ、
    前記ストランドの最外層を構成する素線の径dと、該ストランドの径Dとの比d/Dが、0.19≦d/D≦0.20の範囲内にあることを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
  2. ラジアル配列コードによるプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部タイヤ半径方向外側に、並置配列コードが積層間で交差して配置されてなる少なくとも4層のベルトとを備えるタイヤにおいて、
    前記ベルトのうち少なくとも互いに交錯する2層を構成するコードとして、請求項1記載のゴム物品補強用スチールコードが、前記最大径Aが該ベルトの面内方向に沿う向きに適用されてなることを特徴とするタイヤ。
  3. 建設車両用タイヤである請求項2記載のタイヤ。
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