JP2006257226A - 放射線硬化型樹脂組成物及びそれを用いた多層構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 硬度、耐擦傷性、密着性、耐熱性に優れ、特に未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理ポリプロピレン(PP)、及び繊維強化複合材料(FRP)等の難接着基材に対する密着性に優れた放射線硬化型樹脂組成物及びそれを用いた多層構造体を提供すること。
【解決手段】 基材上に硬化塗膜を形成するための放射線硬化型樹脂組成物であって、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mである放射線硬化型樹脂組成物、及びそれを用いた多層構造体。
【解決手段】 基材上に硬化塗膜を形成するための放射線硬化型樹脂組成物であって、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mである放射線硬化型樹脂組成物、及びそれを用いた多層構造体。
Description
本発明は、密着性、耐擦傷性、耐熱性に優れた放射線硬化型樹脂組成物に関し、更には、家電成型品、化粧品容器、プラスチックフィルム、自動車反射鏡などに用いる放射線硬化型塗料として有用な放射線硬化型樹脂組成物及びそれを用いた多層構造体に関するものである。
従来より、プラスチック成型品等に対して使用されるクリヤー塗料としては、アクリル系ラッカー塗料、アクリルメラミン硬化系塗料、アルミキレート硬化型アクリル系塗料があるが、これらの塗料は速乾性がないため、大量生産を行う場合にはその生産性を向上させることが困難であった。
そこで、ごく短時間の放射線の照射により硬化が完了することから、放射線硬化型樹脂組成物が、各種基材へのコーティング剤や接着剤、又は塗料等として幅広く用いられている。
そこで、ごく短時間の放射線の照射により硬化が完了することから、放射線硬化型樹脂組成物が、各種基材へのコーティング剤や接着剤、又は塗料等として幅広く用いられている。
このような放射線硬化型樹脂組成物として、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルと(メタ)アクリル酸ブチルエステルとその他の1分子中に重合性不飽和結合を1個含有する不飽和化合物とを共重合させて得られる共重合体に、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるアクリル系樹脂と光重合性単量体、並びに光重合開始剤を含有してなる光硬化型樹脂組成物(例えば、特許文献1参照。)や、1分子内に1個以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマー、数平均分子量10000〜500000であるアクリルポリマー、及び光重合開始剤を含有する組成物であって、該アクリルポリマーの含有量がモノマー及び/又はオリゴマー100質量部に対して1〜30質量部であり、かつ溶剤に溶解し、固形分90質量%に希釈した時の粘度が2000〜5000mPa・sの範囲である被覆材組成物(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
特開平4−366178号公報
特開2004−75785号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2の開示技術では、表面硬度や密着性についてはある程度効果はあるものの、耐擦傷性、耐熱性については満足のいくものではなく、また、難接着基材である未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理ポリプロピレン(PP)、及び繊維強化複合材料(FRP)等に対する密着性にもまだまだ改良の余地があった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、硬度、耐擦傷性、密着性、耐熱性に優れ、特に未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理ポリプロピレン(PP)、及び繊維強化複合材料(FRP)等の難接着基材に対する密着性に優れた放射線硬化型樹脂組成物及びそれを用いた多層構造体を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、基材上に硬化塗膜を形成するための放射線硬化型樹脂組成物であって、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mである放射線硬化型樹脂組成物が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
上記のぬれ張力は、JIS K 7100に基づく温度23℃、相対湿度50%RHの標準試験室雰囲気下にて、JIS K 6768「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」に基づき、測定されるものである。基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力を測定するにあたっては、基材より硬化塗膜を剥離して行われ、硬化塗膜が基材と密着している場合には、硬化塗膜側に液体窒素を滴下し、硬化塗膜を剥離して行われる。なお、液体窒素を滴下しても硬化塗膜が基材より、ぬれ張力が測定できる程度に正常に剥離しない場合には、硬化塗膜を構成する硬化型樹脂組成物を用いて、未処理ポリエチレンテレフタレート基材上に、塗工、硬化させたうえで、基材より剥離してぬれ張力の測定が行われる。
また、本発明では、ガラス転移温度(Tg)が0〜130℃、SP値が9.5以上、重量平均分子量(Mw)が10,000〜500,000のアクリル系ポリマー(A)、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)及び増感剤(C)を含有してなることが難接着基材への密着性の点で好ましく、更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー(D1)、リン酸基含有エチレン性不飽和モノマー(D2)から選ばれる少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマー(D)を含有してなることが基材密着性や樹脂の相溶性の点で好ましく、シラン系化合物(E)を含有してなること耐湿熱性の点で好ましく、シリカ(F)を含有してなることが耐擦傷性や意匠性の点で好ましい。
更に本発明では、上記の放射線硬化型樹脂組成物を基材に塗布し、放射線硬化させてなる多層構造体を提供するものである。
更に本発明では、上記の放射線硬化型樹脂組成物を基材に塗布し、放射線硬化させてなる多層構造体を提供するものである。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、基材上に硬化塗膜を形成するための放射線硬化型樹脂組成物であって、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mであるため、硬度、耐擦傷性、密着性、耐熱性に優れ、特に未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理ポリプロピレン(PP)、及び繊維強化複合材料(FRP)等の難接着基材に対する密着性に優れた効果を示し、とりわけアンカーコート剤又はトップコート剤、特にはトップコート剤として有用である。
以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明で用いる放射線硬化型樹脂組成物は、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mであるものであれば特に限定されないが、例えば、ガラス転移温度(Tg)が0〜130℃、SP値が9.5以上、重量平均分子量(Mw)が10,000〜500,000のアクリル系ポリマー(A)、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)及び増感剤(C)を含有してなる放射線硬化型樹脂組成物であることが速硬化性及び難接着基材に対する密着性の点で特に好ましい。
本発明で用いる放射線硬化型樹脂組成物は、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mであるものであれば特に限定されないが、例えば、ガラス転移温度(Tg)が0〜130℃、SP値が9.5以上、重量平均分子量(Mw)が10,000〜500,000のアクリル系ポリマー(A)、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)及び増感剤(C)を含有してなる放射線硬化型樹脂組成物であることが速硬化性及び難接着基材に対する密着性の点で特に好ましい。
かかるアクリル系ポリマー(A)としては、特に限定されず、アクリル酸エステル系モノマー(a1)の単独重合体やその他のエチレン性不飽和モノマー(a2)を共重合成分とするアクリル系ポリマーなどが挙げられる。
アクリル酸エステル系モノマー(a1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもアルキル基の炭素数が1〜12のアクリル酸アルキルエステルが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましく用いられる。
その他のエチレン性不飽和モノマー(a2)としては、例えば、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含不飽和モノマー、
グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有不飽和モノマー、
2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和モノマー、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド等のアミド基含有不飽和モノマー、
アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等のアミノ基含有不飽和モノマー、
エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等のスルホン酸基含有不飽和モノマー、
スチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含不飽和モノマー、
グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有不飽和モノマー、
2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和モノマー、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド等のアミド基含有不飽和モノマー、
アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等のアミノ基含有不飽和モノマー、
エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等のスルホン酸基含有不飽和モノマー、
スチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
かかるアクリル酸エステル系モノマー(a1)及びその他のエチレン性不飽和モノマー(a2)の含有割合(共重合比)は特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル系モノマー(a1)を20〜100重量%、その他のエチレン性不飽和モノマー(a2)を0〜80重量%とすることが好ましく、特にはアクリル酸エステル系モノマー(a1)を40〜100重量%、その他のエチレン性不飽和モノマー(a2)を0〜60重量%、更にはアクリル酸エステル系モノマー(a1)を80〜100 重量%、その他のエチレン性不飽和モノマー(a2)を0〜20重量%とすることが好ましい。アクリル酸エステル系モノマー(a1)の含有割合が20重量%未満では 硬化塗膜が耐水性・耐湿熱性等の耐久性に劣ることとなり好ましくない。
上記のアクリル系ポリマー(A)は、前記アクリル酸エステル系モノマー(a1)及びその他のエチレン性不飽和モノマー(a2)を有機溶剤中でラジカル共重合させる如き、当業者周知の方法によって容易に製造される。
かかる重合に用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。
かかるラジカル共重合に使用する重合触媒としては、通常のラジカル重合触媒であるアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が具体例として挙げられる。
かかる重合に用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。
かかるラジカル共重合に使用する重合触媒としては、通常のラジカル重合触媒であるアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が具体例として挙げられる。
かくして本発明で用いるアクリル系ポリマー(A)が得られるわけであるが、かかるアクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が0〜130℃であることが好ましく、特に好ましくは10〜120℃、更に好ましくは15〜110℃である。
本発明で用いられるアクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が0℃未満であると基材との密着性が低下するおそれがあり、逆に130℃を超えると塗面が硬く割れやすくなり、また金属蒸着膜の密着性が低下するおそれがあり好ましくない。
本発明で用いられるアクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が0℃未満であると基材との密着性が低下するおそれがあり、逆に130℃を超えると塗面が硬く割れやすくなり、また金属蒸着膜の密着性が低下するおそれがあり好ましくない。
また、アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜500,000であることが好ましく、更には20,000〜100,000、特には30,000〜80,000であることが好ましい。
かかるアクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)が、10,000未満であると塗工時の造膜性が劣りハジキが出やすくなり、逆に500,000を超えるとスプレー適性に劣ることとなり好ましくない。
かかるアクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)が、10,000未満であると塗工時の造膜性が劣りハジキが出やすくなり、逆に500,000を超えるとスプレー適性に劣ることとなり好ましくない。
更に、アクリル系ポリマー(A)のSP値が9.5以上であることが好ましく、更には9.7〜12.0、特には10.0〜11.0であることが相溶性及び基材密着性の点で好ましい。
かかるSP値が9.5未満であるとコーティング剤が白濁するかもしくは基材との密着性が低下し好ましくない。かかるSP値を有するアクリル系ポリマーは、例えば、アルキル基の炭素数が5以上のアルキルアクリレートの共重合割合を減らすことにより得られる。
かかるSP値が9.5未満であるとコーティング剤が白濁するかもしくは基材との密着性が低下し好ましくない。かかるSP値を有するアクリル系ポリマーは、例えば、アルキル基の炭素数が5以上のアルキルアクリレートの共重合割合を減らすことにより得られる。
本発明で用いられる分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)としては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールアルキレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3−アクリロイロキシアルキル(メタ)アクリレート及びこれらのアルキレン変性物、及びこれらの多量体等の2官能以上のアクリルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、アクリル樹脂系(メタ)アクリレート等が挙げられる。
かかる分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)として、上記のものを使用することができ、これらのものは、含有する不飽和結合の関与によって重合反応が生じて放射線硬化されるが、必要に応じて、更にその他の不飽和結合を有する化合物、例えばジアリルフマレート、トリアリルイソシアヌレート等を含有することもできる。
本発明においては、上記分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)は、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものであることが耐熱性の点で好ましい。
また、かかる分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)の含有量については、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して30〜150重量部、更には35〜130重量部、特には40〜100重量部であることが好ましい。かかる含有量が30重量部未満では硬化性が悪く、耐熱性に劣り、逆に150重量部を超えると硬化塗膜が脆くなり好ましくない。
本発明では、上記(A)及び(B)成分に加えて、更に必要に応じて、増感剤(C)を含有させることが放射線硬化の点で好ましい。
増感剤(C)としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、具体的には、ベンジルメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピレンフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4′,4″−ジエチルイソフタロフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、α−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ジメチルアミノ安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル等が挙げられ、中でも開裂型、水素引き抜き型光重合開始剤の少なくとも1種を用いることが好ましい。これら増感剤(C)は1種又は2種以上併用して用いられる。
増感剤(C)としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、具体的には、ベンジルメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピレンフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4′,4″−ジエチルイソフタロフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、α−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ジメチルアミノ安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル等が挙げられ、中でも開裂型、水素引き抜き型光重合開始剤の少なくとも1種を用いることが好ましい。これら増感剤(C)は1種又は2種以上併用して用いられる。
増感剤(C)の含有量としては特に限定されないが、アクリル系ポリマー(A)及び分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)の合計100重量部に対して2〜10重量部、更には2〜5重量部、特には3〜5重量部であることが好ましい。増感剤(C)の含有量がアクリル系ポリマー(A)及び分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)の合計100重量部に対して2重量部未満であると放射線硬化性が悪くなり、逆に10重量部を超えても効果は変わらず経済上不利であり好ましくない。
本発明においては、上記(A)〜(C)成分に加えて、必要に応じて更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー(D1)、リン酸基含有エチレン性不飽和モノマー(D2)から選ばれる少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマー(D)をアクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、1〜5重量部含有してなることが相溶性や密着性の点で好ましい。
かかるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー(D1)としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸が基材密着性や樹脂の相溶性の点で好ましく用いられる。
また、上記リン酸基含有エチレン性不飽和モノマー(D2)としては、例えば、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、リン酸エチレン(メタ)アクリレート、リン酸トリメチレン(メタ)アクリレート、リン酸1−クロロメチルエチレン(メタ)アクリレートが挙げられ、中でも2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートが金属蒸着膜の密着性の点で好適である。
また、上記リン酸基含有エチレン性不飽和モノマー(D2)としては、例えば、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、リン酸エチレン(メタ)アクリレート、リン酸トリメチレン(メタ)アクリレート、リン酸1−クロロメチルエチレン(メタ)アクリレートが挙げられ、中でも2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートが金属蒸着膜の密着性の点で好適である。
本発明においては、上記(A)〜(D)成分に加えて、必要に応じて更に、シラン系化合物(E)をアクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、1〜5重量部含有してなることが耐湿熱性向上の点で好ましい。
かかるシラン系化合物(E)としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等が挙げられ、中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが相溶性、耐湿熱性の点で好適に用いられる。
更に、本発明においては、上記(A)〜(E)成分に加えて、必要に応じて更に、平均粒子径が30nm以下、好ましくは5〜25nm、更に好ましくは5〜15nmのシリカ(F)をアクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、1〜100重量部、特には10〜80重量部、更には20〜60重量部含有してなることが組成物の相溶性、硬化物の透明性及び耐擦傷性の点で好ましい。
かかるシリカ(F)としては、シリカゾルであることが好ましく、該シリカゾルは、例えば、日産化学社製『PGM−ST』、『TOL−ST』、『IPA−ST』、『EG−ST』、『MEK−ST』、『MIBK−ST』、『PMA−ST』、『NPC−ST−30』等から入手可能であり、中でも『TOL−ST』、『MIBK−ST』が好適に用いられる。
更に、本発明においては、上記(A)〜(F)成分に加えて、必要に応じて更に、溶剤、表面調整剤、重合禁止剤等を添加することができる。
かかる溶剤は本発明の樹脂組成物を希釈して塗装しやすくする作用を有する。該溶剤としては特に限定されないが、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤等を挙げることができ、更に、これらに加えて、蒸発速度やコスト等に鑑み、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン等を併用することもできる。かかる溶剤の配合量は、必要に応じて増減することができる。
かかる溶剤は本発明の樹脂組成物を希釈して塗装しやすくする作用を有する。該溶剤としては特に限定されないが、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤等を挙げることができ、更に、これらに加えて、蒸発速度やコスト等に鑑み、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン等を併用することもできる。かかる溶剤の配合量は、必要に応じて増減することができる。
表面調整剤としては特に限定されず、例えば、セルロース系添加剤、ロジン、タッキファイアー、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
かかる表面調整剤は、塗布時の造膜性を付与する作用や、金属蒸着面との接着性を上げる作用を有する。該表面調整剤としては、流動性を低下させるために数平均分子量15000以上の高分子量品が好ましく、このようなものとしては、例えば、セルロースーアセテート−ブチレート樹脂等を挙げることができる。
かかる表面調整剤は、塗布時の造膜性を付与する作用や、金属蒸着面との接着性を上げる作用を有する。該表面調整剤としては、流動性を低下させるために数平均分子量15000以上の高分子量品が好ましく、このようなものとしては、例えば、セルロースーアセテート−ブチレート樹脂等を挙げることができる。
重合禁止剤としては、例えばp−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノ−t−ブチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール等を挙げることができる。
又、本発明の放射線硬化型樹脂組成物には、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、レベリング剤、安定剤、補強剤、艶消し剤、研削剤などの無機粒子等を配合することも可能である。
かくして放射線硬化型樹脂組成物が得られるが、本発明においては、後述の如く、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mとなる放射線硬化型樹脂組成物であることが必要であり、これにより、硬度、耐擦傷性、密着性、耐熱性に優れ、特に未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理ポリプロピレン(PP)、及び繊維強化複合材料(FRP)等の難接着基材に対する密着性に優れた放射線硬化型樹脂組成物となり、特にアンカーコート剤又はトップコート剤として有効に用いられる。
基材への放射線硬化型樹脂組成物の塗工に際しては、溶剤に溶解して溶液状態としたり、加熱して溶融状態としたりして一般のアプリケーターあるいはロールコーター、バーコーター等により塗工することができる。
基材への放射線硬化型樹脂組成物の塗工に際しては、溶剤に溶解して溶液状態としたり、加熱して溶融状態としたりして一般のアプリケーターあるいはロールコーター、バーコーター等により塗工することができる。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、基材に塗工後、放射線によって硬化されるのである。放射線照射により硬化するに当たっては、電子線照射や紫外線照射など種々選択できるが、中でも紫外線照射が利便性の点で好ましく、紫外線照射による硬化方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、100〜3000mJ/cm2程度、好ましくは200〜1000mJ/cm2程度照射すればよい。
そして、本発明では、かかる放射線硬化型樹脂組成物を基材上に塗布し、放射線硬化させて多層構造体とするのであるが、硬化塗膜とした場合に、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mであることが必要である。
基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37mN/m未満であると基材と密着せず剥離することとなり、また44mN/mを超えても基材と密着せず剥離することとなる。基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mとするには、ガラス転移温度(Tg)が0〜130℃、SP値が9.5以上、重量平均分子量(Mw)が10,000〜500,000のアクリル系ポリマー(A)を、塗工、乾燥、放射線硬化の段階で基材界面側に配向させるようにすることが有効で、例えば、アクリル系ポリマー(A)の種類を選択したり、高沸点と低沸点の溶剤を併用して濃度調整したり、乾燥条件を適宜調整したりすることなどにより行うことができる。
また、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40mN/m未満であると塗膜が白化したり、塗膜表面の硬度が不十分となったり、基材と密着せず剥離したりすることとなり、逆に45mN/mを超えると塗膜表面の硬度や耐久性が不十分となる。基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mとするには、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)を、塗工、乾燥、放射線硬化の段階で表面側に配向させるようにすることが有効で、例えば、重合性化合物(B)の種類を選択したり、上記と同様に、高沸点と低沸点の溶剤を併用して濃度調整したり、乾燥条件を適宜調整したりすることなどにより行うことができる。
更に、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2mN/m未満であると配向性が不十分となり、基材と密着せず剥離することとなり、逆に5mN/mを超えると塗料が層分離或いは白化する等、相溶性が悪くなる。基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mとするには、樹脂組成物を塗工、乾燥、放射線硬化する段階で、アクリル系ポリマー(A)を基材界面側に、重合性化合物(B)を表面側に配向させるようにして上記範囲にコントロールすればよく、組成配合や濃度調整、乾燥条件などを適宜調整すればよい。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン系樹脂や、それらの成型品(フィルム、シート、カップ、等)、金属、ガラス等に対しても優れた密着性能を有し、特に、未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理ポリプロピレン(PP)、及び繊維強化複合材料(FRP)等の難接着基材に対しても優れた密着性能を有する。
そして、本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、アンカーコート剤又はトップコート剤として有用で、家電成型品、化粧品容器、メタライジング、プラスチックフィルム等のコーティング剤に用いられる。
そして更に、自動車反射鏡用途にも有効で、かかる放射線硬化型樹脂組成物を用いて、自動車反射鏡を製造するにあたっては、例えば、FRP成型体を水系洗浄剤で洗浄した後、該放射線硬化型樹脂組成物を成型体表面に塗工し、その後放射線照射してアンカーコート層の塗膜を形成し、該塗膜上に金属を真空蒸着し、更にその上にトップコート層を形成するのである。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物のFRP成型体表面への塗工は、エアースプレー塗装、静電塗装、浸潰塗装等によって行うことができる。
上記塗工においては、乾燥膜厚が10〜40μmとなるように行い、上記放射線照射の前に、必要に応じて、70〜130℃で、5〜25分、好ましくは10〜20分の条件で、プレヒートして溶剤を蒸発させる。上記プレヒートの温度が70℃未満であると、耐水性、耐熱性に劣り、130℃を超えると性能に影響はないが、経済上不利である。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物のFRP成型体表面への塗工は、エアースプレー塗装、静電塗装、浸潰塗装等によって行うことができる。
上記塗工においては、乾燥膜厚が10〜40μmとなるように行い、上記放射線照射の前に、必要に応じて、70〜130℃で、5〜25分、好ましくは10〜20分の条件で、プレヒートして溶剤を蒸発させる。上記プレヒートの温度が70℃未満であると、耐水性、耐熱性に劣り、130℃を超えると性能に影響はないが、経済上不利である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
尚、実施例中で「%」、「部」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を表す。
尚、実施例中で「%」、「部」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を表す。
[アクリル系ポリマー(A)]
アクリル系ポリマー(A)として下記のアクリル系ポリマー(A−1)〜(A−5)を用意した。
(A−1)
メチルメタクリレートの単独重合体(Tg;105℃、Mw:47,500、SP値:10.0)
(A−2)
メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄社化学製、「P−1M」)=65/25/9.9/0.1(重量比)からなる共重合体(ガラス転移温度(Tg):75℃、重量平均分子量(Mw):50,000、SP値:10.2)
アクリル系ポリマー(A)として下記のアクリル系ポリマー(A−1)〜(A−5)を用意した。
(A−1)
メチルメタクリレートの単独重合体(Tg;105℃、Mw:47,500、SP値:10.0)
(A−2)
メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄社化学製、「P−1M」)=65/25/9.9/0.1(重量比)からなる共重合体(ガラス転移温度(Tg):75℃、重量平均分子量(Mw):50,000、SP値:10.2)
(A−3)
メチルメタクリレート/n−ブチルクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄社化学製、「P−1M」)=36/54/9.9/0.1(重量比)からなる共重合体(ガラス転移温度(Tg):0℃、重量平均分子量(Mw):49,700、SP値:10.2)
(A−4)
メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=30/64.9/5/0.1(重量比)からなる共重合体(ガラス転移温度(Tg):−13℃、重量平均分子量(Mw):475,000、SP値:10.0)
(A−5)
メチルメタクリレート/i−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート=10/41/5/41/3(重量比)からなる共重合体(ガラス転移温度(Tg):−26℃、重量平均分子量(Mw):130,000、SP値:9.5)
メチルメタクリレート/n−ブチルクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄社化学製、「P−1M」)=36/54/9.9/0.1(重量比)からなる共重合体(ガラス転移温度(Tg):0℃、重量平均分子量(Mw):49,700、SP値:10.2)
(A−4)
メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=30/64.9/5/0.1(重量比)からなる共重合体(ガラス転移温度(Tg):−13℃、重量平均分子量(Mw):475,000、SP値:10.0)
(A−5)
メチルメタクリレート/i−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート=10/41/5/41/3(重量比)からなる共重合体(ガラス転移温度(Tg):−26℃、重量平均分子量(Mw):130,000、SP値:9.5)
[分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)]
分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)として下記の(B−1)〜(B−3)を用意した。
(B−1)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学社製、「ライトアクリレートPE−4A」)
(B−2)
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート66.6g(0.3モル)、平均分子量2000のポリオール(エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/アジピン酸縮合体(旭電化社製「アデカニューエースV14−90」)400g(0.2モル)酢酸エチル74.3gを仕込み、Air雰囲気下、90℃で反応させ、残存イソシアネート基が2.5%となった時点で、温度を70℃に下げ、重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル0.2g(400ppm)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート23.2g(0.2モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート系樹脂溶液を得た。
得られたウレタンアクリレート系樹脂の樹脂分は79.6%、イソシアネート含有率は0.3%、重量平均分子量は18,000、ガラス転移温度(Tg)は−53℃であった。
(B−3)
トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製、「ライトアクリレートTMP−A」)
分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)として下記の(B−1)〜(B−3)を用意した。
(B−1)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学社製、「ライトアクリレートPE−4A」)
(B−2)
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート66.6g(0.3モル)、平均分子量2000のポリオール(エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/アジピン酸縮合体(旭電化社製「アデカニューエースV14−90」)400g(0.2モル)酢酸エチル74.3gを仕込み、Air雰囲気下、90℃で反応させ、残存イソシアネート基が2.5%となった時点で、温度を70℃に下げ、重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル0.2g(400ppm)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート23.2g(0.2モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート系樹脂溶液を得た。
得られたウレタンアクリレート系樹脂の樹脂分は79.6%、イソシアネート含有率は0.3%、重量平均分子量は18,000、ガラス転移温度(Tg)は−53℃であった。
(B−3)
トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製、「ライトアクリレートTMP−A」)
[増感剤(C)]
増感剤(C)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア184」)を用いた。
増感剤(C)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア184」)を用いた。
[エチレン性不飽和モノマー(D)]
エチレン性不飽和モノマー(D)として、下記の(D1)及び(D2)を用意した。
(D1)
アクリル酸
(D2)
2−アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄社化学製、「P−1A」)
エチレン性不飽和モノマー(D)として、下記の(D1)及び(D2)を用意した。
(D1)
アクリル酸
(D2)
2−アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄社化学製、「P−1A」)
[シラン系化合物(E)]
シラン系化合物(E)として、シランカップリング剤(日本ユニカー社製、「A−187」)を用意した。
シラン系化合物(E)として、シランカップリング剤(日本ユニカー社製、「A−187」)を用意した。
[シリカ(F)]
シリカ(F)として、シリカゾル(日産化学社製、「TOL−ST」)を用意した。
シリカ(F)として、シリカゾル(日産化学社製、「TOL−ST」)を用意した。
実施例1〜4、比較例1〜2
表1に示す如きアクリル系ポリマー(A)、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)、増感剤(C)、エチレン性不飽和モノマー(D)、シラン系化合物(E)、シリカゾル(F)を配合し、更に、酢酸エチル/トルエン(重量比=50/50)で、固形分25%となるように希釈し、放射線硬化型樹脂組成物の溶液を得た。
次いで、得られた放射線硬化型樹脂組成物溶液を用いて、以下の要領で多層構造体を作製して評価を行った。
表1に示す如きアクリル系ポリマー(A)、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)、増感剤(C)、エチレン性不飽和モノマー(D)、シラン系化合物(E)、シリカゾル(F)を配合し、更に、酢酸エチル/トルエン(重量比=50/50)で、固形分25%となるように希釈し、放射線硬化型樹脂組成物の溶液を得た。
次いで、得られた放射線硬化型樹脂組成物溶液を用いて、以下の要領で多層構造体を作製して評価を行った。
[多層構造体の製造]
各種成型体〔(1)未処理ポリエチレンテレフタレート基材(東レ社製、「ルミラーT−60」)、(2)未処理ポリプロピレン基材(日本テストパネル社製、「PP」)、(3)繊維強化複合材料基材(FRP)を酢酸エチルで洗浄し、乾燥後、上記で得られた放射線硬化型樹脂組成物溶液を、その成型体表面にエアースプレー塗工した。その後、80℃で3分間プレヒートして溶剤を除去し、80W/cm2の高圧水銀灯を使用し、400mJ/cm2の照射量で放射線を照射することによって硬化させ、成型体の表面に硬化塗膜(膜厚10μm)を形成し、多層構造体を作製した。
得られた硬化塗膜において、以下の評価を行った。評価結果は表2に示す。
各種成型体〔(1)未処理ポリエチレンテレフタレート基材(東レ社製、「ルミラーT−60」)、(2)未処理ポリプロピレン基材(日本テストパネル社製、「PP」)、(3)繊維強化複合材料基材(FRP)を酢酸エチルで洗浄し、乾燥後、上記で得られた放射線硬化型樹脂組成物溶液を、その成型体表面にエアースプレー塗工した。その後、80℃で3分間プレヒートして溶剤を除去し、80W/cm2の高圧水銀灯を使用し、400mJ/cm2の照射量で放射線を照射することによって硬化させ、成型体の表面に硬化塗膜(膜厚10μm)を形成し、多層構造体を作製した。
得られた硬化塗膜において、以下の評価を行った。評価結果は表2に示す。
(基材と接着する面側(界面)の硬化塗膜のぬれ張力(α))
未処理ポリエチレンテレフタレート基材(東レ社製、「ルミラーT−60」)上に塗工、硬化させた膜厚10μmの塗膜を基材と剥離させ、基材界面側のぬれ張力を測定した。なお、密着している場合は、塗膜側に液体窒素を滴下し、剥離した。
(基材と接着しない面側(表面)の硬化塗膜のぬれ張力(β))
未処理ポリエチレンテレフタレート(東レ社製、「ルミラーT−60」)上に塗工、硬化させた膜厚10μmの塗膜表面のぬれ張力を測定した。
未処理ポリエチレンテレフタレート基材(東レ社製、「ルミラーT−60」)上に塗工、硬化させた膜厚10μmの塗膜を基材と剥離させ、基材界面側のぬれ張力を測定した。なお、密着している場合は、塗膜側に液体窒素を滴下し、剥離した。
(基材と接着しない面側(表面)の硬化塗膜のぬれ張力(β))
未処理ポリエチレンテレフタレート(東レ社製、「ルミラーT−60」)上に塗工、硬化させた膜厚10μmの塗膜表面のぬれ張力を測定した。
(塗膜硬度)
上記の硬化塗膜について、JIS K 5400に準じて鉛筆硬度を測定した。
上記の硬化塗膜について、JIS K 5400に準じて鉛筆硬度を測定した。
(耐擦傷性)
上記の硬化塗膜について、300gの荷重をかけたスチールウール#0000を、硬化塗膜表面で20往復させた後の表面の傷付き度合いを目視により観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・傷が付かないもの、又は、傷が目立たないもの
△・・・多少傷つきが目立つもの
×・・・塗膜の一部が傷つきにより剥離したもの
上記の硬化塗膜について、300gの荷重をかけたスチールウール#0000を、硬化塗膜表面で20往復させた後の表面の傷付き度合いを目視により観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・傷が付かないもの、又は、傷が目立たないもの
△・・・多少傷つきが目立つもの
×・・・塗膜の一部が傷つきにより剥離したもの
(密着性)
カッターナイフで硬化塗膜を100個の1mm巾の碁盤目に切り、この上からセロハン粘看テープを貼って急速に剥したときの剥離しないで残った碁盤目の数を測定した。
カッターナイフで硬化塗膜を100個の1mm巾の碁盤目に切り、この上からセロハン粘看テープを貼って急速に剥したときの剥離しないで残った碁盤目の数を測定した。
(耐熱性)
FRP基材上に塗工、硬化させた試験片を180℃の熱風循環式乾燥炉の中に150時間放置してから取り出し、室温まで放冷した後、密着性を上記と同様の方法で評価した。
FRP基材上に塗工、硬化させた試験片を180℃の熱風循環式乾燥炉の中に150時間放置してから取り出し、室温まで放冷した後、密着性を上記と同様の方法で評価した。
本発明の放射線硬化型樹脂組成物は、基材上に硬化塗膜を形成するための放射線硬化型樹脂組成物であって、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mであるため、硬度、耐擦傷性、密着性、耐熱性に優れ、特に未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理ポリプロピレン(PP)、及び繊維強化複合材料(FRP)等の難接着基材に対する密着性に優れた放射線硬化型樹脂組成物であり、特には家電成型品、化粧品容器、プラスチックフィルム、自動車反射鏡などに用いる放射線硬化型塗料として有用である。
Claims (7)
- 基材上に硬化塗膜を形成するための放射線硬化型樹脂組成物であって、基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)が37〜44mN/mで、且つ、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)が40〜45mN/mであり、基材と接着しない面側の硬化塗膜のぬれ張力(β)と基材と接着する面側の硬化塗膜のぬれ張力(α)との差(β−α)が2〜5mN/mであることを特徴とする放射線硬化型樹脂組成物。
- ガラス転移温度(Tg)が0〜130℃、SP値が9.5以上、重量平均分子量(Mw)が10,000〜500,000のアクリル系ポリマー(A)、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)、及び増感剤(C)を含有してなることを特徴とする請求項1記載の放射線硬化型樹脂組成物。
- アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物(B)を30〜150重量部含有してなることを特徴とする請求項2記載の放射線硬化型樹脂組成物。
- 更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー(D1)、リン酸基含有エチレン性不飽和モノマー(D2)から選ばれる少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマー(D)をアクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、1〜5重量部含有してなることを特徴とする請求項2又は3記載の放射線硬化型樹脂組成物。
- 更に、シラン系化合物(E)をアクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、1〜5重量部含有してなることを特徴とする請求項2〜4いずれか記載の放射線硬化型樹脂組成物。
- 更に、平均粒子径が30nm以下のシリカ(F)をアクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、1〜100重量部含有してなることを特徴とする請求項2〜5いずれか記載の放射線硬化型樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれか記載の放射線硬化型樹脂組成物を基材に塗布し、放射線硬化させてなることを特徴とする多層構造体。
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