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JP5930261B2 - 金属表面用被覆材組成物及び積層成型品 - Google Patents

金属表面用被覆材組成物及び積層成型品 Download PDF

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Description

本発明は、金属表面用被覆材組成物及び積層成型品に関する。
紫外線硬化型樹脂組成物は、生産性や省エネルギーの観点から広く使用されており、例えば金属薄膜層が積層された樹脂成型品の金属薄膜層の表面を保護するトップコート材に利用されている。
このような紫外線硬化型樹脂組成物としては、例えば、特許文献1には、単独重合体のガラス転移温度が100℃以上である環構造を有する単量体単位及び他のビニル単量体単位を含有する共重合体、ビスフェノール骨格を有するウレタンジ(メタ)アクリレート並びに(メタ)アクリロイル基を有する単量体を含有する金属表面用被覆材組成物が開示されている。
特開2010−31152号公報
しかしながら、従来の金属表面用被覆材組成物の硬化物層は、耐湿性が十分でないので、高湿度条件下で使用した場合に金属表面から剥離し易いという問題があった。また、近年はトップコート材に対して更に高い耐摩耗性が要求されている。
本発明の目的は、金属に対して優れた付着性を有し、耐摩耗性に優れた硬化物層を得ることができる金属表面用被覆材組成物及びその硬化物層が積層された積層成型品を提供することである。
本発明は、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(A)(以下、「成分A」という。)、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)(但し前記(A)以外の化合物)(以下、「成分B」という。)及びビニル系単量体単位を含有する(共)重合体(C)(以下、「成分C」という。)を含む金属表面用被覆材組成物であって、成分A、成分B及び成分Cの合計に対して、成分Aが10〜30質量%、成分Bが50〜85質量%及び成分Cが5〜20質量%である組成物である。
また、本発明は、金属薄膜層が積層された成型品の金属膜表面に、前記金属表面用被覆材組成物の硬化物層が積層された積層成型品である。
本発明の金属表面用被覆材組成物(以下、「本被覆材組成物」という。)の硬化物層(以下、「本硬化物層」という)は、金属との付着性及び耐摩耗性に優れている。
以下先ず、本被覆材組成物の成分について詳しく説明する。
本被覆材組成物の成分である成分Aは、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートであり、活性エネルギーの照射により良好な重合活性を示し、低収縮と高硬度により金属との付着性と耐摩耗性に優れた性能を発現する成分である。また、成分Aは耐擦傷性を向上させる成分である。トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートは、例えば東亞合成(株)製、商品名アロニックスM−315として入手できる。
なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」との総称であり、その他の「(メタ)アクリ・・・」も同様に、「アクリル」と「メタクリル」から派生する基の総称である。
成分Aの使用割合は、成分A、成分B及び成分Cの合計に対して10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%であり、10質量%未満では本硬化物層の耐摩耗性が低下する。また30質量%を超えると金属と本硬化物層との付着性が低下する。
本被覆材組成物の成分である成分Bは、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する成分A以外の(メタ)アクリレートである。成分Bとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート等の重合性不飽和結合を有する単官能(メタ)アクリレート、又は多官能(メタ)アクリレート等が挙げられ、被膜の要求性能に応じて適宜選択すれば良い。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、モルフォリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)、アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート、無水フタル酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物等のモノ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。中でも、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(繰り返し単位数(以下「n」と記載する)=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(n=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロ−ルプロパンジアクリレ−ト、ビス(2−(メタ)アクリロキシエチル)−ヒドロキシエチル−イソシアヌレ−ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレ−ト、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト、ビスフェノールA型ジエポキシと(メタ)アクリル酸とを反応させたエポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシポリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタントリ(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、ジシクロメタンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、ジシクロメタンジイソシアネートとポリ(n=6−15)テトラメチレングリコールとのウレタン化反応物に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート等のウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルエタンとコハク酸及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステル(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルプロパンとコハク酸、エチレングリコ−ル、及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステル(メタ)アクリレート等のポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−トが好ましい。
これらは、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
成分Bの使用割合は、成分A、成分B及び成分Cの合計に対して50〜85質量%、より好ましくは65〜75質量%である。成分Bの量が50質量%未満では本硬化物層の耐摩耗性が低下する。また85質量%を超えると本硬化物層と金属膜との付着性が低下する。
本被覆材組成物の成分である成分Cはビニル系単量体単位を含有する(共)重合体である。成分Cは、1種類以上のビニル系単量体を単独重合又は共重合して得られる。その際に用いられる重合方法としては、例えばラジカル重合開始剤の存在下に行う溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等を挙げることができる。具体的なビニル系単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキシドの付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとプロピレンオキシドの付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンの付加物等の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと有機ラクトン類の付加物等の水酸基含有ビニルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン又はスチレン誘導体;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリロニトリルのような重合性不飽和ニトリル類;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等不飽和カルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。共重合体を製造する場合は、2種以上のビニル系単量体を併用する。C成分としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド化合物及びスチレン(誘導体)の各単量体単位を含む共重合体が好ましく、メチルメタクリレート、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、スチレン及びイソボルニルメタクリレートの各単量体単位を含む共重合体がより好ましい。
成分Cの使用割合は、成分A、成分B及び成分Cの合計量に対して5〜20質量%、より好ましくは8〜12質量%である。成分Cの量が5質量%未満では本硬化物層と金属膜との付着性が低下する。また20質量%を超えると本硬化物層の耐擦傷性、耐摩耗性及び平滑性が低下する。
本被覆材組成物
本被覆材組成物は、上述したように、成分A、成分B、成分Cを必須成分とするものである。
本発明においては、本被覆材組成物を硬化させるために紫外線を用いることが好ましく、本被覆材組成物中に光重合開始剤を含有することができる。
光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−エチルアントラキノン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これらは、単独又は2種以上を併用して用いることが出来る。これらの中でも、硬化性に優れている点で、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、メチルフェニルグリオキシレートが好ましい。
光重合開始剤の含有量としては、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。また、光重合開始剤の含有量としては、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部当たり15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
更に、本被覆材組成物には、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の光増感剤を添加することもできる。
また本被覆材組成物には、粘度を調整するために有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の例として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;ペンタン、ヘキサン、石油ナフサ等の脂肪族化合物;イソプロピルアルコール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール系化合物;1−メトキシプロパノール、1−メトキシプロパノールアセテート等のプロピレングリコール系化合物を挙げることができる。
有機溶剤の含有量としては、成分A、成分B及び成分Cの合計100質量部に対して100〜500質量部が好ましい。
更に、本被覆材組成物には、レベリング剤、消泡剤、沈降防止剤、潤滑剤、研磨剤、防錆剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等の添加剤を加えることができる。
本積層成型品
本積層成型品は金属薄膜層が積層された成型品の金属薄膜層の表面に本硬化物層が積層されたものである。用いられる成型品としては、例えば、ABS樹脂、PC樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂及びPP樹脂並びにこれら樹脂アロイ樹脂の樹脂成型品が挙げられる。
樹脂成型品の表面に金属薄膜層を積層する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
金属薄膜層が積層された樹脂成型品の金属薄膜層の表面に本硬化物層を積層する際に、必要に応じて、アンダーコート層を形成させ、次いで金属薄膜層を形成した後に本硬化物を積層することができる。樹脂成型品の表面に、まず、熱硬化性又は紫外線硬化性の公知のアンダーコート層を形成する。その後、形成されたアンダーコート層の表面に、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法等によって金属薄膜層を形成させる。樹脂成型品の表面に積層される金属としては、例えば、アルミニウム及び錫が挙げられる。
金属薄膜層の表面への本被覆材組成物の塗布方法としては、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、フローコート等の公知方法が挙げられるが、塗布作業性、被膜の平滑性、均一性等の点から、スプレーコート法及びフローコート法が好ましい。本被覆材組成物を塗布したときの膜厚は、硬化後の本硬化物層の膜厚が3〜40μm程度となるような膜厚にすることが好ましい。
塗布した本被覆材組成物を硬化する方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線及び電子線が挙げられる。活性エネルギー線の照射条件としては、例えば、高圧水銀灯を用いた場合には、照射される紫外線エネルギー量が500〜4,000mJ/cm程度の条件が好ましい。本被覆材組成物に前述した有機溶剤を添加した場合には、硬化させる前に溶剤を揮発させることが好ましい。溶剤を揮発する方法としては、例えば、赤外線ヒーターや温風等で加温して、40〜130℃及び1〜20分の条件下で有機溶剤を揮発させることができる。
また、本積層成型品は、金属成型品の表面に本硬化物層が積層されたものであってもよい。その場合の、本硬化物層の積層方法は、金属薄膜層の表面に積層する場合と同様である。
本積層成型品は、照明、ライト等の反射鏡、リフレクター部品及び携帯電話等の家電製品並びに化粧品容器等の各種用途に用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。尚、以下において「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、被覆材組成物の硬化物の各種評価は以下の方法により実施した。
1.耐湿試験後付着性
測定試料である積層樹脂成型品を80℃、相対湿度85%の恒温恒湿器に24時間入れ、その後被覆材組成物の硬化物層の表面にカッターナイフを用いて1mm間隔で樹脂基材まで達するクロスカットを行い、1mmの碁盤目を100個作成し、その上にセロハンテープを貼りつけ、急激に剥がし、剥離の状態及び剥離した碁盤目を数えた。耐湿試験後付着性の判定は以下の基準で行った。
◎ :剥離なし。
〇 :升目剥離はないがやや欠ける升目10個以内。
△ :升目剥離の数1〜50個。
× :升目剥離の数51〜100個
2.耐RCA摩耗性
測定試料である積層樹脂成型品の被覆材組成物の硬化物層の表面を、RCA摩耗試験機(荷重175g)により間欠擦り試験を行い、積層樹脂成型品の表面が素地露出を目視にて観察し、素地露出した時の擦り回数を以下の基準で評価した。
◎ :300回で素地露出なし。
〇 :200〜299回で素地露出。
△ :100〜199回で素地露出。
× :99回以下で素地露出。
[合成例1]共重合体(PC)の製造
2Lの4つ口フラスコにトルエン500gを仕込み、内温が80℃になるように加温した。次いで、内温を80℃に保ち、フラスコ内を攪拌しながら、滴下する単量体としてN−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド150g(30%)、メチルメタクリレート25g(5%)、スチレン75g(15%)及びイソボルニルメタクリレート250g(50%)と、重合触媒としてアゾビスイソブチルニトリル1gの混合物を、2時間等速滴下によりフラスコ内に滴下した。その後1時間毎にアゾビスイソブチルニトリル0.2gを合計4回追加投入しながら6時間攪拌し、GPC測定によるポリスチレン換算による質量平均分子量が1.8×10の共重合体(PC)を50%含むトルエン溶液を得た。
[アンダーコート材の調製]
合成例1において、滴下する単量体をN−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド150g(30%)、メチルメタクリレート200g(40%)及びスチレン150g(30%)に変更した以外は合成例1と同様にして、GPC測定によるポリスチレン換算による質量平均分子量が3.0×10の共重合体Kを50%含むトルエン溶液を得た。共重合体Kのトルエン溶液100部と、DPHA(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA)30部、EO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬(株)製、商品名:ニューフロンティアHBPE―4)10部、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業(株)製、商品名:ファンクリルFA−512A)5部、ベンゾフェノン5部、酢酸ブチル80部及びイソブタノール100部を混合し、攪拌してアンダーコート材を調製した。
なお、実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を表わす。
M−315:イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(東亞合成(株)製、商品名 アロニックスM−315)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA)
PETIA:ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステル A−TMM−3L)
THFA :テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名:ビスコート#150)
HCPK :1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
BNP :ベンゾフェノン
MPG :メチルフェニルグリオキシレート
PM−21:リン酸基含有メタクリレート(日本化薬(株)製、商品名:KAYAMER PM−21)
BYK−300:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK−300)
実施例1〜5、比較例1〜2
表1に示す組成の被覆材組成物の原料をステンレス容器に計量投入し、全体が均一になるまで30分間攪拌して、被覆材組成物を調製した。次いで、幅5cm、長さ9cm及び厚さ3mmのABS樹脂成型品のテストピースに、前述したアンダーコート材を硬化後の膜厚が15μmとなるようにスプレー塗装した。
この後、塗装された樹脂成型品のテストピースを、60℃の温風乾燥器中に5分間保持して有機溶剤を揮発させた。次いで、得られたテストピースを、空気中で、高圧水銀灯により、波長340〜380nm、積算光量1,000mJ/cmの紫外線を照射し、硬化後の膜厚が約15μm程度となるようにアンダーコート層を形成した。
次いで、日本真空技術(株)製の真空蒸着装置(商品名:EBX−6D)を使用してアルミニウム膜厚が約100nmとなるように真空蒸着させて、表面にアルミニウム膜が積層された樹脂成型品を得た。その後、樹脂成型品のアルミニウム膜の表面に、前述の被覆材組成物(1)の溶液を、硬化後の膜厚が10μmとなるようにスプレー塗装した。更に、得られた塗装物を60℃の温風乾燥器中に5分間保持して有機溶剤を揮発させ、空気中で、高圧水銀灯により、波長340〜380nm、積算光量1,000mJ/cmの紫外線を照射し、積層樹脂成型品を得た。得られた積層樹脂成型品の耐湿試験後付着性及び耐RCA磨耗性の評価結果を表1に示す。
実施例1〜5では成型品の表面の被覆材組成物の硬化物層は、耐湿試験後付着性及び耐RCA磨耗性に優れていることがわかる。これに対し、比較例1では被覆材組成物中に(A)成分の配合量が少な過ぎるので、硬化物層の耐RCA磨耗性が不良であった。また、比較例2では被覆材組成物中の(A)成分の配合量が多過ぎるので、硬化物層の耐湿性試験後付着性が不良であった。

Claims (2)

  1. トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(A)、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)(但し前記(A)以外の化合物)及びビニル系単量体単位を含有する(共)重合体(C)を含む金属表面用被覆材組成物であって、(A)、(B)及び(C)の合計に対して、
    (A)が10〜30質量%、
    (B)が50〜85質量%、
    及び
    (C)が5〜20質量%
    である組成物。
  2. 金属薄膜層が積層された成型品の金属膜表面に、請求項1に記載の金属表面用被覆材組成物の硬化物層が積層された積層成型品。
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