JP2006135203A - 輻射温調部材および露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 複雑な形状でも製造が容易であって、堅牢で加工性が高く、かつ輻射による温調の制御性に優れた輻射温調部材を提供する。
【解決手段】 真空チャンバ内に配置された被温調ユニットを輻射で冷却するための輻射温調部材であって、表面にセラミックス被膜が施された輻射面を備える金属製またはシリコン製の本体と、本体を熱交換器に接続する熱交換器取付部と、を有することを特徴とする。このセラミックス被膜は、輻射面の輻射温調を行う領域に選択的に施されることが望ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 真空チャンバ内に配置された被温調ユニットを輻射で冷却するための輻射温調部材であって、表面にセラミックス被膜が施された輻射面を備える金属製またはシリコン製の本体と、本体を熱交換器に接続する熱交換器取付部と、を有することを特徴とする。このセラミックス被膜は、輻射面の輻射温調を行う領域に選択的に施されることが望ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は真空中で使用される輻射温調部材について、特にEUV露光装置内の光学素子などを効率的に冷却できる輻射温調部材に関する。
近年、半導体集積回路の一層の微細化要求に伴って、光の回折限界によって制限される光学系の解像力向上がさらに求められている。その解決策の1つとして紫外線よりも短い波長のEUV光(Extreme Ultraviolet)を利用した投影リソグラフィ技術の開発が進められている。
EUV露光装置は、主としてEUV光源、照明光学系、マスクステージ、結像光学系、ウェハステージ等により構成される。EUV光の波長(5〜20nm)は大気に吸収されて減衰するため、同装置のEUV光の光路は真空雰囲気下に維持される。また、EUV光の波長域(特に11〜14nm)では物質の屈折率が1に非常に近いので屈折を利用した光学素子を使用できない。そのため、EUV露光装置では、全反射を利用した斜入射ミラーや、反射面に多層膜を形成された多層膜反射鏡等が使用されている。
EUV露光装置は、主としてEUV光源、照明光学系、マスクステージ、結像光学系、ウェハステージ等により構成される。EUV光の波長(5〜20nm)は大気に吸収されて減衰するため、同装置のEUV光の光路は真空雰囲気下に維持される。また、EUV光の波長域(特に11〜14nm)では物質の屈折率が1に非常に近いので屈折を利用した光学素子を使用できない。そのため、EUV露光装置では、全反射を利用した斜入射ミラーや、反射面に多層膜を形成された多層膜反射鏡等が使用されている。
そして、これらのミラーはEUV光の照射時にエネルギを吸収して発熱する。そのため、EUV露光装置において安定した転写位置精度を確保するためには、温度上昇によるミラーの変形を抑制することが不可欠となる。この点に関し、本発明者は、EUV露光装置内の光学素子を有効に冷却できる露光装置の構成を特許文献1に開示している。
特開2004−153064号公報
上記のようにEUV露光装置において液冷配管による冷却機構でミラーを冷却する場合には、冷却媒体の乱流等に起因する振動が配管からミラーに伝達されうる。また、EUV露光装置ではミラーが真空雰囲気下にあるため、対流による物体表面からの冷却はできない。そのため、EUV露光装置内に輻射冷却板を配置して、真空雰囲気下のミラーを輻射により被接触で冷却することが検討されている。
上記の輻射冷却板の材質は、輻射率の高さに着目すればセラミックス(例えばアルミナ等)が有利である。しかし、輻射冷却板をセラミックスで製作した場合には、以下の不都合が生じることが指摘されている。
第1に輻射冷却板の形状が複雑な場合には焼結が困難となるので製造難度が高くなる。第2にセラミックスの薄板はもろく、壊れやすい。特に、輻射冷却板の厚さは3mm程度であるので、熱交換器の取付用や露光装置内の位置決め用にねじ穴等を形成する場合に輻射冷却板に割れや欠けが生じることが多く、加工性の低さも問題となっていた。第3にセラミックスの熱伝導率はさほど高くはないため、輻射温調を行う領域内において温度のムラが生じやすくなる。しかも、セラミックス製の輻射冷却板では輻射温調を行う領域以外でも高い効率で輻射が行われるため、周囲との不要な熱の授受によって温調制御が困難になる可能性がある。
第1に輻射冷却板の形状が複雑な場合には焼結が困難となるので製造難度が高くなる。第2にセラミックスの薄板はもろく、壊れやすい。特に、輻射冷却板の厚さは3mm程度であるので、熱交換器の取付用や露光装置内の位置決め用にねじ穴等を形成する場合に輻射冷却板に割れや欠けが生じることが多く、加工性の低さも問題となっていた。第3にセラミックスの熱伝導率はさほど高くはないため、輻射温調を行う領域内において温度のムラが生じやすくなる。しかも、セラミックス製の輻射冷却板では輻射温調を行う領域以外でも高い効率で輻射が行われるため、周囲との不要な熱の授受によって温調制御が困難になる可能性がある。
本発明は上記従来技術の課題を解決するためにされたものであり、その目的は、複雑な形状でも製造が容易であって、堅牢で加工性が高く、かつ輻射による温調の制御性に優れた輻射温調部材を提供することである。
請求項1の発明は、真空チャンバ内に配置された被温調ユニットを輻射で冷却するための輻射温調部材であって、表面にセラミックス被膜が施された輻射面を備える金属製またはシリコン製の本体と、前記本体を熱交換器に接続する熱交換器取付部と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記セラミックス被膜は、前記輻射面の輻射温調を行う領域に選択的に施されることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記セラミックス被膜は、前記輻射面の輻射温調を行う領域に選択的に施されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記本体が、アルミニウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、銀、銅、金、ベリリウム、マグネシウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、ナトリウム、カリウム、または上記金属のいずれか1以上を主成分とする合金で形成されてなることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明において、前記セラミックス被膜が、窒化アルミニウム、アルミナ、酸化チタン、シリカ、炭化タングステンのいずれかで形成されてなることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明において、前記セラミックス被膜が、窒化アルミニウム、アルミナ、酸化チタン、シリカ、炭化タングステンのいずれかで形成されてなることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明において、前記本体の表面に光沢処理が施されていることを特徴とする。
請求項6の発明に係る露光装置は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の輻射温調部材を用いた輻射冷却装置を有することを特徴とする。
請求項6の発明に係る露光装置は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の輻射温調部材を用いた輻射冷却装置を有することを特徴とする。
本発明の輻射温調部材は、金属製またはシリコン製の本体の表面にセラミックス被膜を施して輻射面を形成する。輻射面のセラミックス被膜は輻射率に優れる一方で、金属製またはシリコン製の本体部分の輻射率は低いため、セラミックス被膜以外での不要な熱の授受が著しく低減し、輻射による被温調ユニットの温調制御が容易となる。また、本体部分の熱伝導率は高いので熱交換器からセラミックス被膜へ効率的に伝熱が行われ、輻射面における温度ムラの発生も抑制される。
さらに、本発明の輻射温調部材は本体が金属製またはシリコン製であるので堅牢で加工性も高い。すなわち、本発明の輻射温調部材は複雑な形状であっても製造が容易であり、熱交換器の取付部にねじ穴を形成することなども容易に行うことができる。
(第1実施形態の説明)
図1、図2は本発明の第1実施形態に係る輻射温調部材を示す図である(請求項1から請求項5の輻射温調部材に対応する)。輻射温調部材1は、被温調ユニットである円形ガラス基板2(輻射率0.9)とともにEUV露光装置の真空チャンバ内に配置される。第1実施形態では、輻射温調部材1は円形ガラス基板2の裏面から2mmの間隔をおいて配置されている。
図1、図2は本発明の第1実施形態に係る輻射温調部材を示す図である(請求項1から請求項5の輻射温調部材に対応する)。輻射温調部材1は、被温調ユニットである円形ガラス基板2(輻射率0.9)とともにEUV露光装置の真空チャンバ内に配置される。第1実施形態では、輻射温調部材1は円形ガラス基板2の裏面から2mmの間隔をおいて配置されている。
輻射温調部材1の本体部分は厚さ4mmの金属平板で形成される。本体部分の全体形状は円形ガラス基板とほぼ同寸法の円形に形成され、本体部分の外周には突起部3が等間隔で3つ形成されている。各突起部3には輻射温調部材1を架台8に固定するためのねじ穴3aがそれぞれ形成されている。
この輻射温調部材1の本体部分の材質は熱伝導率が高い金属、あるいはシリコンであることが好ましい。本体部分を金属とする場合には、熱伝導率が100W/mK以上の単体金属(例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、銀、銅、金、ベリリウム、マグネシウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、ナトリウム、カリウム)か、あるいは上記の金属のいずれか1以上を主成分とする合金で本体部分を形成するのが好ましい。
この輻射温調部材1の本体部分の材質は熱伝導率が高い金属、あるいはシリコンであることが好ましい。本体部分を金属とする場合には、熱伝導率が100W/mK以上の単体金属(例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、銀、銅、金、ベリリウム、マグネシウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、ナトリウム、カリウム)か、あるいは上記の金属のいずれか1以上を主成分とする合金で本体部分を形成するのが好ましい。
もっとも、輻射温調部材1の製造コスト、材質の毒性、製品としての安定性などを考慮すれば、本体部分の材質は、アルミニウム、タングステン、モリブデン、亜鉛が特に好ましい。なお、第1実施形態では輻射温調部材1の本体部分はアルミニウムで形成される。
また、一般的に金属、シリコンの輻射率は低いので、本体部分の材質を上記の金属(単体金属、合金)とした場合やシリコンとした場合には、いずれも輻射率は0.1程度となる。なお、本体部分の輻射率が低下するほど本体部分での不要な輻射熱の授受が抑制されるので、輻射温調部材1の本体部分には光沢処理を施すのが好ましい。
また、一般的に金属、シリコンの輻射率は低いので、本体部分の材質を上記の金属(単体金属、合金)とした場合やシリコンとした場合には、いずれも輻射率は0.1程度となる。なお、本体部分の輻射率が低下するほど本体部分での不要な輻射熱の授受が抑制されるので、輻射温調部材1の本体部分には光沢処理を施すのが好ましい。
本体部分における円形ガラス基板2との対向面(輻射面)にはセラミックス被膜4が施されている。本明細書ではセラミックス被膜4にはガラス質による被膜も含まれる。セラミックス被膜4は、アルミナ、酸化チタン、シリカなどの酸化物のほか、窒化アルミニウムなどの窒化物、炭化タングステンなどの炭化物で形成されるのが好ましい。もっとも、より薄い膜厚で効率的な熱伝導を行うためには、熱伝導率が金属並みに高い窒化アルミニウム(輻射率0.6、熱伝導率80〜200W/mK)でセラミックス被膜4を形成することが特に好ましい。
また、セラミックス被膜4は、(1)スパッタ、蒸着で被膜形成材料を輻射面に薄膜形成する方法、(2)プラズマ溶射で被膜形成材料を輻射面に直接射出する方法、(3)琺瑯のようにガラス質材料の釉薬を輻射面に焼き付ける方法、で形成することができる。上記の方法では本体部分の金属とセラミックスとが直接接合されるため密着性が高い。あるいは、(4)板厚が数100μm〜1mm程度のセラミックス板を製造し、インジウム(熱伝導率82W/mK)などの熱伝導率の高いボンディング材でセラミックス板を輻射温調部材1の輻射面に接着してもよい。なお、上記(1)〜(4)の方法では厚さ1μm〜1mmの範囲でセラミックス被膜4を形成することができる。もっとも、本体部分とセラミックス被膜4との効率的な伝熱などの観点からすれば、セラミックス被膜4の厚さは10μm〜400μmの範囲に設定するのが特に好ましい。
さらに、輻射面におけるセラミックス被膜4は、種々の条件(被温調ユニットの変位および伝熱特性、被温調ユニットおよび輻射温調部材の配置など)を考慮して最適化された範囲に選択的に形成される。この第1実施形態では、円形ガラス基板2の表面の光学的有効領域2aからの熱伝達効率をシミュレーションした結果、輻射面の全領域にプラズマ溶射で窒化アルミニウムのセラミックス被膜4を膜厚200μmで形成した。なお、輻射面の一部にセラミックス被膜4を選択的に形成する場合、遮蔽板を用いて所定範囲のみにセラミックス被膜4を形成してもよく、あるいは、輻射面全体にセラミックス被膜4を一旦形成してから不要な部分を研削等で除去してもよい。
一方、本体部分における熱交換器取付面(輻射面の裏面)の中央近傍には、熱交換器取付部としてのねじ穴5が形成されている。そして、本体部分の熱交換器取付面の中央には熱交換器ユニット6を内蔵するケーシング7がボルト5aで固定されている。熱交換器ユニット6は、例えばペルチェ素子と排熱用の液冷配管とから構成されている(熱交換器ユニット6の詳細な図示は省略する)。
第1実施形態の輻射温調部材1は上記のように構成され、以下その作用を説明する。第1実施形態では円形ガラス基板2の輻射率は0.9であり、輻射温調部材1のセラミックス被膜4の輻射率は0.6である。そのため、EUV光の照射時に円形ガラス基板2と輻射温調部材1との間で輻射による十分効率的な排熱を行うことができ、円形ガラス基板2の熱変形を光学性能が変化しない程度に抑制することができた。
また、輻射温調部材1において輻射温調を行う領域(セラミックス被膜4の範囲)の輻射率は0.6であるが、本体部分の輻射率は0.1程度である。そのため、冷却時には本体部分での不要な輻射熱の授受が抑制されるので、輻射温調部材1による温調の制御性は良好に保たれる。さらに、アルミニウム製の本体部分は高い熱伝導率を有するので熱交換器ユニット6からセラミックス被膜4までの熱伝達は良好であり、輻射温調を行う領域での温度ムラも少ない。
さらに、輻射温調部材1の本体部分はアルミニウムであるから成形性、強度に問題はなく、タップによるねじ加工も容易に行うことができる。また、窒化アルミニウムの溶射によるセラミックス被膜4の形成も容易に行うことができた。
一方、第1実施形態と同形状の輻射温調部材をアルミナ等で焼結成形する場合には、焼結時やねじ穴形成時に割れや欠けが発生して歩留まりが悪かった。また、このセラミックス製の輻射温調部材を使用した場合には、円形ガラス基板と対向する部分以外でも輻射率が高いので、不要な輻射熱の授受が発生して温調の制御が困難であった。
一方、第1実施形態と同形状の輻射温調部材をアルミナ等で焼結成形する場合には、焼結時やねじ穴形成時に割れや欠けが発生して歩留まりが悪かった。また、このセラミックス製の輻射温調部材を使用した場合には、円形ガラス基板と対向する部分以外でも輻射率が高いので、不要な輻射熱の授受が発生して温調の制御が困難であった。
(第2実施形態の説明)
図3、図4は本発明の第2実施形態に係る輻射温調部材を示す図である(請求項1から請求項5の輻射温調部材に対応する)。この第2実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態と共通の構成には同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の輻射温調部材10は、円形ガラス基板2とともにEUV露光装置の真空チャンバ内に配置される。輻射温調部材10の本体部分は厚さ2mmの金属平板で形成されている。本体部分は円形ガラス基板とほぼ同寸法の円形部11と、基端が円形部11と接続された長方形状のアーム部12とを有している。また、アーム部12の先端側は図中上方に向けて垂直に折り曲げられており、本体部分の縦方向断面はL字状をなしている。そして、アーム部12先端側の折曲部分にはねじ穴5が開口され、熱交換器ユニット6を内蔵するケーシング7がアーム部12にボルト5aで固定されている。なお、輻射温調部材10は、アーム部12の折曲部分において露光装置に固定されている(露光装置との固定部の図示は省略する)。
図3、図4は本発明の第2実施形態に係る輻射温調部材を示す図である(請求項1から請求項5の輻射温調部材に対応する)。この第2実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態と共通の構成には同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の輻射温調部材10は、円形ガラス基板2とともにEUV露光装置の真空チャンバ内に配置される。輻射温調部材10の本体部分は厚さ2mmの金属平板で形成されている。本体部分は円形ガラス基板とほぼ同寸法の円形部11と、基端が円形部11と接続された長方形状のアーム部12とを有している。また、アーム部12の先端側は図中上方に向けて垂直に折り曲げられており、本体部分の縦方向断面はL字状をなしている。そして、アーム部12先端側の折曲部分にはねじ穴5が開口され、熱交換器ユニット6を内蔵するケーシング7がアーム部12にボルト5aで固定されている。なお、輻射温調部材10は、アーム部12の折曲部分において露光装置に固定されている(露光装置との固定部の図示は省略する)。
第2実施形態では円形部11の上面側が円形ガラス基板2と0.5mmの間隔をおいて対向配置されており、この円形部11の上面側が輻射面を構成する。第2実施形態では円形ガラス基板2表面の光学的有効領域2aからの熱伝達効率をシミュレーションした結果、輻射温調を行う領域をアーム部12の反対方向に寄せた楕円状に設定した。そして、輻射温調を行う領域には、プラズマ溶射でアルミナ(輻射率0.9、熱伝導率38W/mK)のセラミックス被膜4を膜厚100μmで形成した。
上記の第2実施形態の輻射温調部材10においても、第1実施形態とほぼ同様に輻射による十分効率的な排熱を行うことができ、円形ガラス基板2の熱変形を光学性能が変化しない程度に抑制することができた。また、本体部分における不要な輻射熱の授受が抑制されるとともに、輻射温調を行う領域での温度ムラも少ないので、輻射温調部材10による温調の制御性は良好に保たれる。さらに、第2実施形態においても輻射温調部材10の成形性、加工性、強度はいずれも良好であった。
一方、第2実施形態と同形状の輻射温調部材をアルミナ等で成形する場合には、折り曲げ形状の板状体を焼結成形しなければならないので、製造時に大半の製品に割れが発生して歩留まりが非常に悪かった。また、このセラミックス製の輻射温調部材を使用した場合には、円形ガラス基板と対向する部分以外でも輻射率が高いので、不要な輻射熱の授受が発生して温調の制御が困難であった。
(第3実施形態の説明)
図5に本発明の第3実施形態に係るEUV光リソグラフィシステム100を模式化して示す(請求項6の露光装置に対応する)。この第3実施形態の投影露光装置は、露光の照明光として波長5〜20nm程度のEUV光を用いる。投影像は像光学系システム101を用いたもので、ウエハ103上には反射型マスク102のパターンの縮小像が形成される。なお、図5において像光学系システム101の光軸はZ方向に伸びている。Y方向は紙面に垂直な方向である。
図5に本発明の第3実施形態に係るEUV光リソグラフィシステム100を模式化して示す(請求項6の露光装置に対応する)。この第3実施形態の投影露光装置は、露光の照明光として波長5〜20nm程度のEUV光を用いる。投影像は像光学系システム101を用いたもので、ウエハ103上には反射型マスク102のパターンの縮小像が形成される。なお、図5において像光学系システム101の光軸はZ方向に伸びている。Y方向は紙面に垂直な方向である。
EUV光リソグラフィシステム100の露光は、典型的にはステップ・スキャンによりなされる。ここで、マスクパターンは連続的な部分(露光領域)に投影され、露光の間、マスクステージ104とウエハステージ105はそれぞれ相対的に位相を合わせて移動する。反射型マスク102とウエハ103とのスキャンは、像光学システム101に対して1自由度方向に行なわれる。反射型マスク102の全ての領域をウエハのそれぞれの領域に露光すると、ウエハ103のダイ上へのパターンの露光は完了する。次に、露光はウエハ103の次のダイへとステップして進む。
露光時の照明光に使用されるEUV光は大気に対する透過性が低いので、EUV光が通過する光路は真空ポンプ107で真空に保たれた真空チャンバ106に囲まれている。EUV光はレーザ源108(励起光源として作用)とキセノンガス供給装置109からなるレーザプラズマX線源によって生成される。レーザプラズマX線源は真空チャンバ110によって取り囲まれている。レーザプラズマX線源によって生成されたEUV光は真空チャンバ110の窓111を通過する。窓111はレーザプラズマX線源が妨害を受けずに通過できる開口としても構わない。なお、キセノンガスを放出するノズル112によりゴミが生成される傾向があるので、真空チャンバ110は真空チャンバ106から分離されていることが好ましい。
レーザ源108は、例えば、YAGレーザ、エキシマレーザなどの紫外線以下の波長を持つレーザ光を発生させる。レーザ源108からのレーザ光は集光されて、ノズル112から放出されるキセノンガスの流れに照射される。キセノンガスの流れにレーザ光を照射するとレーザ光がキセノンガスを十分に暖め、プラズマを生じさせる。レーザで励起されたキセノンガスの分子が低いエネルギ状態に落ちる時、EUV光の光子が放出される。
放物面ミラー113と集光ミラー114は図5に示した装置の照明システムを構成する。放物面ミラー113および集光ミラー114は表面にEUV光を反射する多層膜をそれぞれ備えている。なお、放物面ミラー113および集光ミラー114の近傍には、それぞれ上記第1実施形態または第2実施形態の輻射温調部材が配置される(輻射温調部材の図示は省略する)。
放物面ミラー113はキセノンガス放出部の近傍に配置され、プラズマによって生成されたEUV光を集光する集光光学系を構成する。EUV光は多層膜で反射されて、真空チャンバ110の窓111を通じて集光ミラー114へと達する。そして、集光ミラー114は反射型マスク102へとEUV光を集光、反射させて、反射型マスク102の所定の部分を照明する。
反射型マスク102でEUV光が反射されると、EUV光は反射型マスク102からのパターンデータにより「パターン化」される。パターン化されたEUV光は投影システム101を通じてウエハ103に達する。
第3実施形態での像光学システム101は、凹面第1ミラー115a、凸面第2ミラー115b、凸面第3ミラー115c、凹面第4ミラー115dの4つの反射ミラーからなっている。各ミラー115a〜115dはEUV光を反射する多層膜が備えられている。本実施形態のミラー115a〜115dは、それぞれの光軸が互いに一致するように配置されている。なお、各ミラー115a〜115dの近傍にも、それぞれ上記第1実施形態または第2実施形態の輻射温調部材が配置される(輻射温調部材の図示は省略する)。
第3実施形態での像光学システム101は、凹面第1ミラー115a、凸面第2ミラー115b、凸面第3ミラー115c、凹面第4ミラー115dの4つの反射ミラーからなっている。各ミラー115a〜115dはEUV光を反射する多層膜が備えられている。本実施形態のミラー115a〜115dは、それぞれの光軸が互いに一致するように配置されている。なお、各ミラー115a〜115dの近傍にも、それぞれ上記第1実施形態または第2実施形態の輻射温調部材が配置される(輻射温調部材の図示は省略する)。
各ミラー115a〜115dによって決定される光路が妨げられるのを防ぐために、第1ミラー115a、第2ミラー115b、第4ミラー115dには、適当な切り欠きが設けられている(図13において、ミラーの破線部分はそれぞれの切り欠き部分を示している)。反射型マスク102により反射されたEUV光は第1ミラー115aから第4ミラー115dまで順次反射されて、マスクパターンの縮小された像を形成する。この場合、ウエハ103の露光域内で所定の縮小率β(例えば、1/4、1/5、1/6)で像が形成される。像光学系システム101は、像の側(ウエハの側)でテレセントリックになるように設定されている。
反射型マスク102は可動のマスクステージ104によって少なくともX−Y平面内で下向きに支持されている。ウエハ103は、好ましくはX,Y,Z方向に可動のウエハステージ105によって支持されている。ウエハ上のダイを露光するときには、EUV光が照明システムにより反射型マスク102の所定の領域に照射され、反射型マスク102とウエハ103は像光学系システム101に対して像光学系システム101の縮小率に従った所定の速度で動く。このようにして、マスクパターンはウエハ103上の所定の露光範囲に露光される。
露光の際には、EUV光の照射によりウエハ103上のレジストから生じるガス状のゴミがミラー115a〜115dに影響を与えないように、ウエハ103はパーティション116の後ろに配置されることが好ましい。パーティション116には開口116aが形成され、開口116aを通じてEUV光がミラー115dからウエハ103へと照射される。また、パーティション116内の空間は真空ポンプ117により真空排気されている。これは、上記のレジストから生じるガス状のゴミに起因する光学性能の悪化を防止するためである。
上記の第3実施形態の露光装置では、第1実施形態または第2実施形態の輻射温調部材によってミラーが非接触で効率よく冷却されるので、露光装置の光学性能の低下を抑制し、露光装置の信頼性や生産性をより向上させることができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上記の実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態ではEUV光を用いた投影露光装置の例を説明しているが、本発明の輻射温調部材は荷電粒子線を用いた露光装置や、X線を用いた光学装置にも適用することができる。また、本発明の輻射温調部材は、露光装置のミラーのみならず、真空チャンバ内に配置された部材を非接触で冷却する場合に広く適用できる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上記の実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態ではEUV光を用いた投影露光装置の例を説明しているが、本発明の輻射温調部材は荷電粒子線を用いた露光装置や、X線を用いた光学装置にも適用することができる。また、本発明の輻射温調部材は、露光装置のミラーのみならず、真空チャンバ内に配置された部材を非接触で冷却する場合に広く適用できる。
本発明は、例えばEUV光、荷電粒子線を用いた露光装置、X線を用いた光学装置に使用される輻射冷却装置に適用できる。
1 輻射温調部材
2 円形ガラス基板
2a 光学的有効領域
3 突起部
3a ねじ穴
4 セラミックス被膜
5 ねじ穴
5a ボルト
6 熱交換器ユニット
7 ケーシング
8 架台
8a ボルト
10 輻射温調部材
11 円形部
12 アーム部
100 EUV光リソグラフィシステム
101 像光学系システム
102 反射型マスク
103 ウエハ
104 マスクステージ
105 ウエハステージ
106 真空チャンバ
107 真空ポンプ
108 レーザ源
109 キセノンガス供給装置
110 真空チャンバ
111 窓
112 ノズル
113 放物面ミラー
114 集光ミラー
115a〜115d ミラー
116 放物面ミラー
116a 開口
117 真空ポンプ
2 円形ガラス基板
2a 光学的有効領域
3 突起部
3a ねじ穴
4 セラミックス被膜
5 ねじ穴
5a ボルト
6 熱交換器ユニット
7 ケーシング
8 架台
8a ボルト
10 輻射温調部材
11 円形部
12 アーム部
100 EUV光リソグラフィシステム
101 像光学系システム
102 反射型マスク
103 ウエハ
104 マスクステージ
105 ウエハステージ
106 真空チャンバ
107 真空ポンプ
108 レーザ源
109 キセノンガス供給装置
110 真空チャンバ
111 窓
112 ノズル
113 放物面ミラー
114 集光ミラー
115a〜115d ミラー
116 放物面ミラー
116a 開口
117 真空ポンプ
Claims (6)
- 真空チャンバ内に配置された被温調ユニットを輻射で冷却するための輻射温調部材であって、
表面にセラミックス被膜が施された輻射面を備える金属製またはシリコン製の本体と、前記本体を熱交換器に接続する熱交換器取付部と、を有することを特徴とする輻射温調部材。 - 前記セラミックス被膜は、前記輻射面の輻射温調を行う領域に選択的に施されることを特徴とする請求項1に記載の輻射温調部材。
- 前記本体が、アルミニウム、タングステン、モリブデン、亜鉛、銀、銅、金、ベリリウム、マグネシウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、ナトリウム、カリウム、または上記金属のいずれか1以上を主成分とする合金で形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輻射温調部材。
- 前記セラミックス被膜が、窒化アルミニウム、アルミナ、酸化チタン、シリカ、炭化タングステンのいずれかで形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の輻射温調部材。
- 前記本体の表面に光沢処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の輻射温調部材。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の輻射温調部材を用いた輻射冷却装置を有することを特徴とする露光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004324548A JP2006135203A (ja) | 2004-11-09 | 2004-11-09 | 輻射温調部材および露光装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004324548A JP2006135203A (ja) | 2004-11-09 | 2004-11-09 | 輻射温調部材および露光装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006135203A true JP2006135203A (ja) | 2006-05-25 |
Family
ID=36728460
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004324548A Withdrawn JP2006135203A (ja) | 2004-11-09 | 2004-11-09 | 輻射温調部材および露光装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006135203A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017021350A (ja) * | 2007-10-09 | 2017-01-26 | カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー | 光学素子の温度制御装置 |
-
2004
- 2004-11-09 JP JP2004324548A patent/JP2006135203A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017021350A (ja) * | 2007-10-09 | 2017-01-26 | カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー | 光学素子の温度制御装置 |
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