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JP4893249B2 - 露光装置とそれを用いた半導体素子または液晶素子の製造方法 - Google Patents

露光装置とそれを用いた半導体素子または液晶素子の製造方法 Download PDF

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JP4893249B2 JP2006304878A JP2006304878A JP4893249B2 JP 4893249 B2 JP4893249 B2 JP 4893249B2 JP 2006304878 A JP2006304878 A JP 2006304878A JP 2006304878 A JP2006304878 A JP 2006304878A JP 4893249 B2 JP4893249 B2 JP 4893249B2
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Description

本発明は、半導体素子や液晶素子を露光する装置にかかわり、特に、露光装置のミラ−が係止される鏡筒温度制御に関する。また、その露光装置を用いた素子の製造方法に関する。
露光装置の鏡筒内において、マスクを経由した露光光が複数のミラ−からなる投影光学系にて縮小されウェハ上に結像する。この投影光学系反射ミラ−は露光光からの吸熱による高温化を防止するため輻射冷却板をミラ−裏面側に設け、ペルチェ素子等で輻射冷却板を冷却することで、適宜温度調整を行っている。
輻射冷却板やペルチェ素子等からなるミラ−冷却装置を固定する支持棒(ステ−)は鏡筒外から固定することは困難で、通常、鏡筒の内壁に係止され固定されている。投影光学系の内部にも例えば6枚の反射ミラ−が配置されるが、ミラ−の輻射冷却板の温度は鏡筒温度より低く制御されるので、これらミラ−冷却装置が固定される鏡筒内壁には支持棒を通じて熱が伝わる。したがって従来、連結部にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の断熱材を配するなどして、断熱する工夫が施されている。
しかし、PTFEは熱可塑性樹脂であるため、高温雰囲気下では軟化しやすく、またコ−ルドフロ−性もあって、締め付け圧力が高いと材質の流れ出しや面圧の低下が懸念されるなど安定性に欠ける。 また、物理的に接続されている以上断熱効果は完全とはいえず、このため支持部材の断面積を小さく距離を長くし、かつ熱伝導率の小さいSUS部材を用いて振動の伝わりにくい形状とする等の工夫をしているが、PTFE等の断熱材をも超えて熱が鏡筒に伝わることが懸念されていた。特許文献1には、従来構造の一例が記載されている。
特開2004−39851
このような熱の伝達により、鏡筒のステ−係止部が保つべき所定温度より低温又は高温となり、露光装置が温度不安定となるだけでなく、鏡筒に生じる温度不均一によって鏡筒が部分伸縮しミラ−同士の間隔が安定せず、露光の光学特性劣化が懸念されていた。
本発明においては上記問題点に鑑み、鏡筒のステ−係止部周囲に生じる温度不均一を解消し、露光装置の鏡筒の温度安定性を高いレベルで実現することで、露光装置の性能を最大限引き出し、露光精度を維持向上した露光装置を提供することにある。
この発明にかかる露光装置は、鏡筒内に露光光を反射させるミラ−と、ミラ−温度を調整する第一の温度調整部と、第一の温度調整部を鏡筒内に係止する係止部材と、鏡筒を温度調整する第二の温度調整部を備え、第二の温度調整部は、係止部材が鏡筒に係止される位置に対向する鏡筒外側であって、鏡筒と非接触に設置されていることを特徴とする。
また、好ましくはこの発明にかかる露光装置は、係止部材と鏡筒を係止する部位の鏡筒温度を検出し、第二の温度調整部を制御するための温度検出部を備えることを特徴とする。
また、好ましくはこの発明にかかる露光装置は、第二の温度調整部が少なくとも輻射熱を受ける輻射温調板と電子冷却素子を含むことを特徴とする。
また、好ましくはこの発明にかかる露光装置は、露光装置の露光光波長がEUV領域であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体素子または液晶素子の製造方法は、鏡筒内に露光光を反射させるミラ−とミラ−温度を調整する第一の温度調整部と、第一の温度調整部を鏡筒内に係止する係止部材と、鏡筒を温度調整する第二の温度調整部を備え、第二の温度調整部が、係止部材が鏡筒に係止される鏡筒外側位置であって、鏡筒と非接触に設けられており、係止部材と鏡筒を係止する部位の鏡筒温度を検出する温度検出部を備え、鏡筒温度を検出する温度検出部から鏡筒の温度を検出する工程と、検出した温度に基づき第二の温度調整部の出力制御を行う工程とを有することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体素子または液晶素子の製造方法は、液冷放熱方式のペルチェ素子と輻射温調板からなり、露光光を反射させるミラ−と非接触に設置され鏡筒内に設けられたミラ−冷却装置と、液冷放熱方式のペルチェ素子と輻射温調板からなり鏡筒の外部に鏡筒と非接触に支持され、かつ、ミラ−冷却装置を鏡筒内部に係止する係止部位の裏面外側に設けられた鏡筒温調装置と、ミラ−冷却装置を鏡筒内部に係止する係止部位の裏面外側に接触して設けられた温度計を備え、温度計からの鏡筒温度を検出する工程と、検出した温度に基づき鏡筒温調装置の出力を制御することにより鏡筒を所定の基準温度に均一保持する工程とを有することを特徴とする。
特に高い精度が要求される露光装置において、冷却対象レンズの冷却装置が固定される鏡筒自体が真空筐体(ボディ)の中に設置される場合であっても、空冷等の冷却手段が使用できない環境下で鏡筒の温度不均一を解消することができ、ひいては温度に起因した鏡筒伸縮による、露光精度の悪化を低減できる。
本発明の実施形態にかかる模式図を図1に示す。
この図において、ミラ−11は投影光学系のミラ−であり露光光10を反射する。EUV露光装置においては、反射率は理論上70%程度であり残りの大部分はミラ−11にて反射されず、ミラ−11の表面上で熱に変換される。
ミラ−11は、それ自体がミラ−11の裏側で図面に記載しない支持ステ−により別途支えられる。ミラ−11の裏面側では温調効果により鏡筒13との温度差が小さい状態に制御され維持されており、また、ミラ−11自体を支える支持ステ−は、板バネ状構造部を有し温度が伝わりにくい支持ステ−にて支えられているので、ミラ−11の本体から鏡筒13へ温度が伝わることはない。
一方、ミラ−11の裏面側にはミラ−11と独立に対向して輻射温調板12が載置されている。この輻射温調板12はミラ−11の熱を輻射熱として吸収するため、ミラ−11の裏面側に対向する面上に輻射率の高い高輻射率素材が設けられる。
輻射熱はミラ−11の裏面と輻射温調板12の間でやりとりされ、両者の温度差があるかぎり熱平衡になるまで続けられる。したがって、輻射温調板12はミラ−11裏面側から輻射熱を受けるよう、相対的に低温に制御される。この温度制御はペルチェ素子16を用いて輻射温調板12を電子冷却することで行い、また輻射温調板12に取り付けられた図示しない温度計の検出値をもとに、ペルチェ素子16への供給電力量を制御することで冷却出力が正確に制御される。このとき、輻射温調板12は鏡筒基準温度より0.1℃から1℃程度低い温度となる。
ペルチェ素子16の裏面側には液冷ジャケット15を取り付け、ペルチェ素子16自体の放熱は、この液冷ジャケット15を通じて行う。液冷ジャケット15には循環冷媒が供給され、最終的にはこの循環冷媒を介して鏡筒13内から熱が運びだされる。
ここで、輻射温調板12は前述のごとくペルチェ素子16にて低温度に維持されており、この温度差は鏡筒13と輻射温調板12の間で最大1℃程度となる。このため、輻射温調板12の支持ステ−14を介して鏡筒への係止部1d周辺の熱を奪うような熱の伝導が生じ、結果として、鏡筒13の係止部1dの温度が局所的に低温化されることで、鏡筒13の温度に分布が生じるので鏡筒温度分布を均一に保てなくなる。また、支持ステ−14を介して奪われる熱は係止部1カ所につき10mW程度となるが、係止部は複数あるので装置全体としては、合計で数十〜数百mW程度にも達する。
このため、鏡筒の係止部1dに対向する外側の位置に別のペルチェ素子17と輻射温調板18を設けることで、鏡筒の係止部1dを局所的に温調する構成とする。また、この鏡筒13の外部に設けられた輻射温調板18はボディ1cに支持ステ−1bを介して係止部1eに支持されているが、係止部1eの温度局所変化による露光装置全体としての性能への影響はほとんど無い。
鏡筒外側の冷却装置の輻射温調板18と対向する鏡筒の面には、輻射温調板18と同様、高輻射率の素材を塗布してもよい。鏡筒は精密な制御を要求されることから、バイメタル的なコ−ティングによる応力発生等を避ける必要もあるが、数μm〜100μm厚程度の高輻射率素材のコ−ティングは、温度差が1℃程度であることを考慮すればその影響は無視でき、むしろ効率的な熱輻射による授受を行う観点から好ましい。
この実施形態では温度計1aを鏡筒13の係止部1dの外側位置に接触して設けるので、係止部1dを介した鏡筒13の温度変化を迅速に検出し、ペルチェ素子17の駆動制御を的確に行うことで、鏡筒13の係止部1dの温度は実質的に殆ど変化することなく、0.01℃程度の変動範囲内で安定制御することが可能となる。この場合の温度制御は、温度計1aの検出値に基づきPID制御により行う。
また、周囲の空気が露光に対して悪影響を及ぼすので、真空に近く極めて安定した雰囲気下で露光を行う必要があって、このような極限の光学的コントロ−ルには高い技術が求められる。
このため、鏡筒13自体はボディ1cの中に載置されるが、ボディ1c内も鏡筒13内も共に真空状態に保持されるため、係止部1dの温度調整に空調は使用困難となる。しかし、例えばヒ−タ−を用いた加温は使用することができるので、この場合には係止部1dの外側にヒ−タ−を接触させてもよい。また、液体媒体による温調としてもよい。
また、ペルチェ素子17は、輻射温調板18とともに係止部1dを局所的に加温すればよく1cm四方程度の大きさで十分であり、大型で高出力である必要はない。ただし、係止部1dは投影光学系のミラ−1セットあたり3〜4カ所設けられるため、ミラ−が6枚ある投影光学系においては18〜24カ所の係止部が生じることになり、係止部の数に対応する個数の冷却装置を係止部ごとに独立に設けることが、鏡筒全体の温度分布を迅速に低減する上で好ましい。
投影光学系のミラ−11それ自体の温度制御は、0.1℃〜0.2℃程度の範囲内で安定制御することで露光装置の精度は保たれるが、鏡筒13の温度制御はミラ−11自体の温度制御よりもより精密に行う必要がある。
すなわちミラ−11については、その温度変化によってミラ−11の載置位置自体が変動することはほとんど無いが、鏡筒13の温度が変化すると、約1mの高さからなる鏡筒13全体の熱による伸縮により、鏡筒13に係止されるミラ−11の相対位置変動の要因となって影響する。
つまりミラ−11の載置位置に変動をきたすことで、露光光の反射精度の悪化を招来することとなる。このため、露光装置に要求される鏡筒13の温度変化や温度分布の許容範囲は厳しく、許容温度変動、分布範囲はおおよそ0.01℃の範囲内となる。鏡筒13は、このような特性から、熱伸縮の極めて少ない合金であるス−パ−インバ−等を用いることが好ましい。
さらに、ボディ1cやボディ1cの中に載置される鏡筒13の周辺には装置に関わる他の電子部品や構造材等が配置されており、これらに起因する発熱、冷却等が生じることで温度変動の要因となる。
通常、露光装置全体としてクリ−ンル−ム内に載置されているので、この室内空調により装置全体として安定温度に制御されてはいるが、局所的には鏡筒13の係止部1dを介した熱伝導等による温度分布が発生する。この場合、ミラ−11を温調している輻射温調板12に温度を奪われながら、装置全体の温調のみで速やかに鏡筒13を安定温度、安定温度分布に維持するのは困難である。
また、係止部1dの温調装置は、鏡筒13に振動が伝わるのを防ぐ必要性から、鏡筒13と非接触に設けることが好ましい。鏡筒13に振動が伝わると、ミラ−11等での振動発生要因となるなど、露光精度そのものに悪影響がでるからである。また、非接触とすることで鏡筒13から構造的に独立させ得るので、それぞれ別個に保守、点検することができメンテナンス作業が容易となる。
次に、図2に示す本発明の実施形態にかかる露光装置概念図について説明する。
EUV露光装置100は、露光の照明光としてEUV光を用いる。EUV光の波長は0.1〜400nmの範囲であるが、この実施形態において好ましくは1〜50nm程度の波長のEUV光を用いる。ウエハ103上に照射されるパタ−ンは、反射型のレチクル102により決定する。これにより、ウエハ103上にはレチクル102によるパタ−ンの縮小像が形成されることとなる。上記のレチクル102は、レチクルステ−ジ104の下側に図示しない静電チャックを介して固定する。
また、ウエハ103はウエハステ−ジ105上に配置する。露光は、例えばステップ・スキャン方式を用いることができる。露光装置全体は、所定の温度範囲に保たれたクリ−ンル−ムに配置しており、装置内部も所定の温度範囲となるように制御する。
露光時の照明光に使用されるEUV光は大気に対する透過性が低いので、EUV光が通過する光経路は、真空ポンプ107で真空に保たれた真空チャンバ106内に配置する。また、EUV光はレ−ザプラズマX線源によって生成する。レ−ザプラズマX線源は、レ−ザ源光108(励起光源として作用)とキセノンガス供給装置109から構成される。このレ−ザプラズマX線源は、真空チャンバ110で取り囲まれておりレ−ザプラズマX線源で生成されたEUV光は真空チャンバ110の窓111を通過する。
放物面ミラ−113は、キセノンガス放出部の近傍に配置する。放物面ミラ−113は、プラズマによって生成されたEUV光を集光する集光光学系を構成する。この放物面ミラ−113の焦点位置は、ノズル112からのキセノンガスが放出される位置の近傍にくるように調節されている。EUV光は、放物面ミラ−113の多層膜で反射し、真空チャンバ110内の窓111を通じて集光ミラ−114へと達する。集光ミラ−114は、レチクル102へEUV光を集光、反射させる。
EUV光は、集光ミラ−114で反射され、レチクル102の所定の部分に到達する。すなわち、放物面ミラ−113と集光ミラ−114はこの露光装置の照明システムを構成する。レチクル102、放物面ミラ−113、集光ミラ−114等の反射面は、高精度に加工された石英を基板として、その上にMoとSi等の多層膜を形成する構成とする。
レチクル102は、EUV光を反射する多層膜とパタ−ンを形成するための吸収体パタ−ン層を有している。レチクル102でEUV光が反射されることで、EUV光はパタ−ン化される。パタ−ン化されたEUV光は投影光学系101を通じてウエハ103に達する。
図2において投影光学系101は、第一ミラ−115a、第二ミラ−115b、第三ミラ−115c、第四ミラ−115dの4つの投影光学系ミラ−(反射ミラ−)から構成する。各々のミラ−115a〜115dは、EUV光を反射する多層膜を備える。
レチクル102で反射されたEUV光は、第一ミラ−115aから第四ミラ−115dまで順次反射され、レチクル102のパタ−ンの縮小像(例えば、1/4、1/5、1/6の縮小率)を形成する。投影光学系101は、像の側(ウエハ103の側)でテレセントリックになるように設定する。
レチクル102は、可動のレチクルステ−ジ104によって少なくともX−Y平面内で支持される。ウエハ103は、好ましくはX,Y,Z方向に可動のウエハステ−ジ105によって支持、固定される。
ウエハ103上のダイを露光するときには、照明システムによりEUV光がレチクル102の所定の領域に照射される。そして、レチクル102とウエハ103とは投影光学系101に対して上記の縮小率に従った所定の速度で動く。このようにして、レチクルパタ−ンはウエハ103上の所定の露光範囲(ダイに対して)に露光される。
露光の際には、ウエハ103上のレジストから生じるガスが投影光学系101のミラ−115a〜115dに影響を与えないように、ウエハ103はパ−ティション116の後ろのウエハチャンバに配置されることが好ましい。パ−ティション116は開口部116aを有しており、開口部116aを通じてEUV光がミラ−115dからウエハ103上へと照射される。
パ−ティション116内の空間は真空ポンプ117により真空排気されている。このようにして、露光時に生じるガス状のゴミがミラ−115a〜115dあるいはレチクル102に付着するのを防ぎ、これらコンタミによる光学性能の悪化を防止する。
投影光学系101には4枚の投影光学系ミラ−115a〜115dを搭載するが、特に、この投影光学系ミラ−115a〜115dは、高精度な安定特性が要求されるので本発明に好適である。しかし、他のミラ−系やマスクに適用しても、本発明の効果は発揮される。また、投影光学系ミラ−は4枚に限らず、5〜8枚であってもよい。
次に、図3に示す本発明の実施形態フロ−により時系列的に説明する。
まず、露光対象物たる半導体装置の決定により露光条件が決められ、この露光条件下にて露光装置により露光が開始されると、露光装置内のミラ−に露光光が照射され反射される(ステップ31)。
光照射を受けたミラ−は、ミラ−表面にて受けた光エネルギ−の約3割を熱エネルギ−へと変換し、残りの光を反射する。熱エネルギ−はミラ−の裏面へと数分オ−ダ−かけてゆっくりと伝達されることで、ミラ−に蓄熱されミラ−裏面の温度が徐々に上昇する。
このミラ−温度の上昇を低減するため、ミラ−の冷却装置のペルチェ素子が駆動を開始し、ペルチェ素子はまず直接接触している輻射温調板を冷却する(ステップ32)。
冷却された輻射温調板は、ミラ−対向面と輻射温調板に設けられたセラミック等の高輻射率素材との間で輻射熱の授受をし、ミラ−を冷却する。一方で、輻射温調板を支える支持ステ−も輻射温調板に熱を伝導により奪われることで冷却される(ステップ33)。この温度低下は最大1℃程度である。
そして、支持ステ−が係止される鏡筒の係止部も支持ステ−に熱を奪われ冷却されることとなり(ステップ34)、鏡筒の係止部外側に設けられた温度計にて温度低下が検出される(ステップ35)。
温度低下が検出されると、速やかに鏡筒係止部外側のペルチェ素子を駆動することで係止部を加温し(ステップ36)、係止部の局所的な温度変化を抑制することで遅滞なく鏡筒温度全体の安定化、温度分布低減化を実現する(ステップ37)。
次に、この実施形態にかかる熱伝達について図4の熱伝達の模式図を用いて説明する。
投影光学系ミラ−41表面で発生した熱49により、投影光学系ミラ−41の厚さ方向に熱勾配4aを生じ、投影光学系ミラ−41裏面側へ熱49がゆっくりと伝わる。伝わる速度は、細かくはミラ−材質により異なるが、おおまかに分単位のオ−ダは必要である。
投影光学系ミラ−41裏面に達した熱4aは、輻射(放射)により高輻射率の表面被覆材42にて高効率で吸収される。輻射吸収は、投影光学系ミラ−41の裏面と対向する輻射温調板43全面で、温度差がある限り行われる。
一方、輻射温調板43の裏面に接触して設けられたペルチェ素子46により接合領域4cがまず冷却される。このため、輻射温調板43で吸収された熱4dは、ペルチェ素子46側へ向かい、輻射温調板43内にも若干の熱勾配が生じることになる。また、ペルチェ素子46の冷却温度をモニタする温度計44を、輻射温調板43裏面にペルチェ素子46の中心から距離Lだけ離して配置する。この構成では、温度計44が輻射温調板43に設置されるので、投影光学系のミラ−41は、その支持ステ−を除いて独立であり、温度計44を介した変形や振動、熱等の影響を受けることはない。
このため、ペルチェ素子46による冷却出力の増減を速やかに検出するためには、輻射温調板43に取り付ける温度計44との距離Lは、ペルチェ素子46に近い方が好ましいが、一方で、ペルチェ素子46の接着面に温度計44が設置されると、ペルチェ素子46と輻射温調板43の熱伝導の阻害要因となるので好ましくない。
従って、ペルチェ素子46と輻射温調板43の接合面外で、かつL=30mm以内に温度計44を設けることが必要である。L=30mm以内であれば、ペルチェ素子46の温度変化が10秒以内(典型的には約6〜7秒)で検出できる距離であり、ミラ−温度の制御に不調を来すような検出遅れは生じない。輻射温調板43で吸収された熱4dは、ペルチェ素子46側へと向かい液冷ジャケット45による循環冷却により、冷媒ホ−ス47を通じて放熱4eとして排出される。
この実施形態においては、予め露光装置に搭載される投影光学系ミラ−と冷却装置等を用いた疑似鏡筒系において、投影光学系ミラ−41中央の裏面に別途温度計48を設置し、ここをミラ−特定点として、ミラ−特定点が23℃一定に保持される制御を行う。
この際、投影光学系ミラ−41裏面と輻射温調板43との距離は、投影光学系ミラ−41大きさの約100分の1程度であり2mm程度と短いので、投影光学系ミラ−41裏面の放熱量と輻射温調板吸熱量は等しいと考えてよい。
ただし、実際の露光装置による露光時には温度計48は無いので、温度計48は確認モニタ−用として、ペルチェ素子出力制御は、温度計44の検出値を基に行うものとし、距離Lは25mmとして行う。
一方、輻射温調板43はペルチェ素子46により冷却されており、投影光学系ミラ−41はもちろん鏡筒の基準温度よりも低く制御されている。このため、輻射温調板43の支持ステ−4gも冷やされることとなる。支持ステ−4gは、このような熱伝導を低減させるため断熱材を利用し、断面積を小さく、距離は長くし、かつ振動の伝達されにくい形状に工夫されているが、熱伝達を完全に阻止することはできず鏡筒が冷やされる結果となる。
この実施形態にいう鏡筒は、典型的には露光装置の真空ボディ内に搭載され、投影光学系ミラ−が搭載される真空チャンバ−のことをいう。しかし、真空筐体の中に保持される筐体であって、局所的に温度制御することで温度安定性が求められる筐体に適用してもよい。
また、この実施形態にいう露光光とは、典型的には半導体素子や液晶素子に塗布されたレジスト等に対して描画することで、半導体素子や液晶素子に所定の配線を施したり、所定の形状構造に造形したりするための描画装置に用いられる光をいう。しかしこれに限られず、半導体素子等に一定の処理を施すために光エネルギ−を供給するものであればよい。
また、この実施形態にいうミラ−とは、例えば反射面形状が非球面である反射鏡であってEUV光の反射率を向上して70%に近づけるためのMo/Si多層膜が形成されているものでよい。投影光学系ミラ−に求められる小さな波面収差を満たすために開口数0.2〜0.3であって、波面収差が1nmRMS以下の要求に耐えうる高精度な非球面ミラ−からなるミラ−群であることが好ましい。また、多層膜はベリリウムやシリコン等の物質とルテニウムやロジウム等から形成してもよい。
また、この実施形態にいう第一の温度調整部は、鏡筒内のミラ−を所定の温度である例えば23℃に安定制御するための冷却加温装置であって、ペルチェ素子と輻射温調板と液冷装置等から構成されるものでよい。さらに、温度検出のための温度計を備えるものでもよく、ペルチェ素子の代わりにヒ−タや液冷、ヒ−トパイプによる温度調整としてもよい。
また、この実施形態にいう係止部材とは、アウトガスが少なく熱伝導率の小さいSUS等材料で構成されることが好ましく、さらには熱変形や熱伸縮が小さい素材が好まれる。例えばFeやNiからなる合金であるCr含有3元系合金やCo含有3元系合金でもよいし、いわゆるコバ−ル(Fe52%、Ni29%、Co17%)やインコネル(Ni72%、Cr15%、Fe6%)を用いてもよい。さらに、断面積が小さく距離が長く、かつ振動が大きくならない形状、例えば板バネ形状などが好ましい。
また、この実施形態にいう第二の温度調整部とは、典型的には鏡筒を加温、冷却するための装置等からなり、放射温度計や白金抵抗、熱電対等の温度計を備えていてもよい。真空雰囲気下でも温調がスム−ズに行えるペルチェ素子から構成されることが好ましい。さらに、真空度の低下を防止し原子レベルでの汚染を防ぐ意味から、アウトガスが少ない素材にて構成し、またはコ−ティングしたものが好ましく、高温処理やTiN等の表面処理されたものを用いてもよい。温調は状況に応じ加温してもよく、冷却してもよく、どちらにも対応できるものがより好ましい。
また、この実施形態にいう鏡筒外側とは、鏡筒の外殻であり最外殻であることに限定されない。すなわち、鏡筒が複数の層構造から構成される場合には、最内殻の外面を含めた外側であれば鏡筒外側である。好ましくは、輻射温調板の支持ステ−が係止される部分を有する層であって、熱が直接間接に伝達される最も近い外面層であるが、熱が伝わる限りにおいてさらにその外側層や外側層の内面側であってもよい。
また、この実施形態にいう非接触とは、典型的には物理的に離隔している状態をいう。しかし、振動や応力の発生伝達を防ぐことができる程度に保持されていれば、物理的に接触部分が含まれていても、実質的に非接触と考えられるので本発明を適用してもよい。
また、この実施形態にいう係止部とは、物理的、機械的に一定の保持状態を作り出すための接続箇所または締結箇所をいう。局所的な熱伝達は主としてこの係止部を介して行われるので、第二の温度調節部は、この係止部に対して温度調整が可能な位置に配置されることが好ましい。
一方で、鏡筒内壁とミラ−を含めた鏡筒内デバイスは輻射を通じて熱の授受を行うことから、鏡筒内面で局所的な温度分布が生じる箇所に対して温調装置を配置してもよい。なお、投影光学系のミラ−輻射温調板の支持ステ−は、EUV露光装置においては複雑な構成となるので、通常鏡筒内壁に保持されボディまで引き出して係止されることはない。
また、この実施形態において鏡筒温度は好ましくは基準温度として23℃に保たれる。ただし、多くの発熱源や吸熱源、熱伝達媒体を備える露光装置にあっては、局所的に温度分布や温度不安定な箇所が生じる可能性があるため、このような影響を極力排除する意味から鏡筒は真空筐体ボディ中に保持されることが好ましい。
また、この実施形態にいう輻射温調板とは、例えばミラ−の冷却や加温を行うために熱授受の中継伝達が行える板状熱媒体をいうが、板の形状は円盤状、矩形、扇状でもよく、立体的3次元形状でもよく形状には拘束されない。効率的に熱の伝達が行えるとともに、アウトガスの少なく熱的安定性が高い素材が好まれるのでス−パ−インバ−であってもよい。
さらに、輻射熱を効率的に授受するための高輻射率素材をその一部または全部に配した輻射温調板でもよい。高輻射率素材は、珪素酸化物や窒化物、金属酸化物でもよく、Al23、TiC、SiC、ZrC、AlN、TiN、BN、SiO2、ZrO2、MgO、3Al23などを用いてもよい。
また、ガラス、無機化合物で輻射率0.6以上、好ましくは輻射率0.7以上の高輻射率素材を、アルミニウム合金等の熱伝導の比較的良好な金属を母材としてセラミックコ−トし、例えばスパッタ、溶射、ホ−ロ−、貼り合わせ等にて数μm〜100μmの厚さに構成してもよい。そのほか、母材には金、銀、銅、タングステン、モリブデン、亜鉛などでもよく、高輻射率素材部以外は輻射率0.3以下、好ましくは輻射率0.2以下とすることで、ミラ−対向面以外との熱の授受による影響を低減できる。
昨今、半導体露光装置は、g線からi線へ、そしてエキシマレ−ザ−(KrF/ArF)露光装置へと微細露光技術の進化が進み、さらにはリソグラフィ−装置として超微細露光技術であるEUVL(Extreme Ultra Violet Lithography)−極紫外線リソグラフィ−へとシフトしている。また、液晶ディスプレ−用露光装置においては、液晶パネル基板サイズごとに第7、第8世代、次世代へと大型化が進んでいる。
このEUV露光装置は、シリコンウエハに微細な回路イメ−ジを焼き付ける技術として157nmリソグラフィ−・ツ−ルの次の世代として、電子ビ−ムリソグラフィと並んで次世代コンピュ−タチップ開発のための有望な技術であって、チップ製造に用いられる DUV(遠紫外線)の 1/20 程度の波長の光線を用いる。
本実施形態により係止部の鏡筒の温度調整が非接触にて行え、鏡筒全体の温度は安定に保ちつつ、係止部から鏡筒に伝わる局所的な温度変化に対し、効率的かつ迅速に温度調整することが可能となる。
また、鏡筒の係止部材が係止される位置の温度変化を速やかに検出し、より正確な目標温度制御が可能となる。
また、効率的かつ迅速な放熱が可能となるとともに、緻密な冷却制御が可能となる。
また、細密なパタ−ンであっても正確に露光し、パタ−ンニングすることができ、その課程で生じる熱による鏡筒への影響を低減することができる。
また、鏡筒の温度の不均一や不安定等を低減し、作製素子への鏡筒温度に起因する影響を排除し、全体として安定した素子作製をすることができる。
また、鏡筒の温度の不均一や不安定等を低減し、鏡筒を設計基準温度に維持できるので、作製素子への上記影響を排除し、全体として安定した素子作製をすることができる。
この実施形態は、真空系顕微鏡等であってミラ−冷却機構等を有する装置にも適用することができる。また、SUS等でできた鏡筒は温度変化での伸縮が大きいため、本発明を適用すると効果はより大きいものとなる。
次に、マイクロデバイスの製造方法を説明する。マイクロデバイスとは、ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等である。以下の説明では、マイクロデバイスの典型例として半導体デバイスを前提に説明する。
図5は、マイクロデバイスの製造工程を示すフロ−チャ−トである。図5に示すように、まず、ステップS201(設計ステップ)では、マイクロデバイスの機能・性能設計(半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパタ−ン設計を行う。続くステップS202(マスク製作ステップ)では、設計された回路パタ−ンを持つマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS203(ウエハ製造ステップ)では、シリコン等の半導体材料によりウエハを製造する。
次に、ステップS204(ウエハ処理ステップ)では、上記のマスクとウエハを使用したフォトリソグラフィにより、ウエハ上に回路等を形成する。続くステップS205(デバイス組立ステップ)では、処理後のウエハを用いてデバイスを組み立てる。このステップS205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケ−ジング工程(チップ封入)等の工程を、その必要に応じて含むものとする。
最後に、ステップS206(検査ステップ)では、組立後のマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした各工程を経た後に、マイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
図6は、図5におけるウエハ処理ステップ(ステップS204)の詳細なフロ−を示す図である。図6に示すとおり、ウエハ処理ステップは、前処理工程と後処理工程とを複数段階に亘って繰り返し、ウエハ上に回路パタ−ンを積層するものである。各段階の前処理工程では、以下の処理のうち必要な処理のみを必要に応じて選択的に実行する。
前処理工程のステップS211(酸化ステップ)では、ウエハの表面に酸化処理を施す。前処理工程のステップS212(CVDステップ)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。前処理工程のステップS213(電極形成ステップ)では、ウエハの表面に電極を蒸着によって形成する。前処理工程のステップS214(イオン打込みステップ)では、ウエハにイオンを打ち込むことでn型、p型等の電気的性質を形成する。
後処理工程の最初のステップS215(レジスト形成ステップ)では、ウエハにレジストを塗布する。続くステップS216(露光ステップ)では、投影露光装置によりマスクの回路パタ−ンでウエハ上のレジストを露光する。この投影露光装置は、上述したEUV露光装置を用いることができる。
続くステップS217(現像ステップ)では、レジストを現像する現像処理をウエハに施し、さらにステップS218(エッチングステップ)では、レジストをエッチングマスクとしたエッチング処理をウエハに施す。最後のステップS219(レジスト除去ステップ)では、エッチング処理後に残存したレジストを除去する。
このマイクロデバイスの製造方法では、図6のステップS216(露光ステップ)において上述した露光装置を使用するので、マイクロデバイスを高スル−プットに製造することができる。
半導体製造装置メ−カやその製造装置を用いた半導体製造工程、液晶製造装置メ−カやその製造装置を用いた液晶製造工程に利用できる。特に、露光に関係する製造装置メ−カに利用できる。
本発明の実施形態にかかる模式図 本発明の実施形態にかかる露光装置概念図 本発明の実施形態フロ− 熱伝達の模式図 マイクロデバイスの製造工程を示すフロ−チャ−ト ウエハ処理ステップの説明フロ−
符号の説明
10・・露光光、11・・ミラ−、12、18・・輻射温調板、13・・鏡筒、14・・支持ステ−、15、19・・液冷ジャケット、16、17・・ペルチェ素子、1a・・温度計、1b・・支持ステ−、1c・・ボディ、1d・・係止部、

Claims (6)

  1. 鏡筒内に露光光を反射させるミラーと、
    ミラー温度を調整する第一の温度調整部と、
    前記第一の温度調整部を前記鏡筒内に係止する係止部材と、
    前記鏡筒を温度調整する第二の温度調整部を備え、
    前記第二の温度調整部は、前記係止部材が前記鏡筒に係止される位置に対向する鏡筒外側であって、前記鏡筒と非接触に設置されていることを特徴とする露光装置。
  2. 前記係止部材と前記鏡筒を係止する部位の前記鏡筒温度を検出し、前記第二の温度調整部を制御するための温度検出部を備える
    請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記第二の温度調整部が、少なくとも輻射熱を受ける輻射温調板と電子冷却素子、を含むことを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記露光装置の露光光波長がEUV領域である
    請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の露光装置。
  5. 鏡筒内に露光光を反射させるミラーと、ミラー温度を調整する第一の温度調整部と、前記第一の温度調整部を前記鏡筒内に係止する係止部材と、前記鏡筒を温度調整する第二の温度調整部を備え、前記第二の温度調整部が、前記係止部材が前記鏡筒に係止される鏡筒外側位置であって、前記鏡筒と非接触に設けられており、前記係止部材と前記鏡筒を係止する部位の鏡筒温度を検出する温度検出部を備え、
    前記鏡筒温度を検出する温度検出部から鏡筒の温度を検出する工程と、
    前記検出した温度に基づき前記第二の温度調整部の出力制御を行う工程と、
    を有する半導体素子または液晶素子の製造方法。
  6. 液冷放熱方式のペルチェ素子と輻射温調板からなり、露光光を反射させるミラーと非接触に設置され、鏡筒内に設けられたミラー冷却装置と、
    液冷放熱方式のペルチェ素子と輻射温調板からなり、前記鏡筒の外部に前記鏡筒と非接触に支持され、かつ、前記ミラー冷却装置を鏡筒内部に係止する係止部位の裏面外側に設けられた鏡筒温調装置と、
    前記ミラー冷却装置を前記鏡筒内部に係止する係止部位の裏面外側に接触して設けられた温度計を備え、
    前記温度計からの鏡筒温度を検出する工程と、
    前記検出した温度に基づき前記鏡筒温調装置の出力を制御することにより鏡筒を所定の基準温度に均一保持する工程と、
    を有する半導体素子または液晶素子の製造方法。



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