JP4893249B2 - 露光装置とそれを用いた半導体素子または液晶素子の製造方法 - Google Patents
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Description
輻射冷却板やペルチェ素子等からなるミラ−冷却装置を固定する支持棒(ステ−)は鏡筒外から固定することは困難で、通常、鏡筒の内壁に係止され固定されている。投影光学系の内部にも例えば6枚の反射ミラ−が配置されるが、ミラ−の輻射冷却板の温度は鏡筒温度より低く制御されるので、これらミラ−冷却装置が固定される鏡筒内壁には支持棒を通じて熱が伝わる。したがって従来、連結部にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の断熱材を配するなどして、断熱する工夫が施されている。
本発明においては上記問題点に鑑み、鏡筒のステ−係止部周囲に生じる温度不均一を解消し、露光装置の鏡筒の温度安定性を高いレベルで実現することで、露光装置の性能を最大限引き出し、露光精度を維持向上した露光装置を提供することにある。
また、好ましくはこの発明にかかる露光装置は、係止部材と鏡筒を係止する部位の鏡筒温度を検出し、第二の温度調整部を制御するための温度検出部を備えることを特徴とする。
また、好ましくはこの発明にかかる露光装置は、露光装置の露光光波長がEUV領域であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体素子または液晶素子の製造方法は、鏡筒内に露光光を反射させるミラ−とミラ−温度を調整する第一の温度調整部と、第一の温度調整部を鏡筒内に係止する係止部材と、鏡筒を温度調整する第二の温度調整部を備え、第二の温度調整部が、係止部材が鏡筒に係止される鏡筒外側位置であって、鏡筒と非接触に設けられており、係止部材と鏡筒を係止する部位の鏡筒温度を検出する温度検出部を備え、鏡筒温度を検出する温度検出部から鏡筒の温度を検出する工程と、検出した温度に基づき第二の温度調整部の出力制御を行う工程とを有することを特徴とする。
この図において、ミラ−11は投影光学系のミラ−であり露光光10を反射する。EUV露光装置においては、反射率は理論上70%程度であり残りの大部分はミラ−11にて反射されず、ミラ−11の表面上で熱に変換される。
ミラ−11は、それ自体がミラ−11の裏側で図面に記載しない支持ステ−により別途支えられる。ミラ−11の裏面側では温調効果により鏡筒13との温度差が小さい状態に制御され維持されており、また、ミラ−11自体を支える支持ステ−は、板バネ状構造部を有し温度が伝わりにくい支持ステ−にて支えられているので、ミラ−11の本体から鏡筒13へ温度が伝わることはない。
輻射熱はミラ−11の裏面と輻射温調板12の間でやりとりされ、両者の温度差があるかぎり熱平衡になるまで続けられる。したがって、輻射温調板12はミラ−11裏面側から輻射熱を受けるよう、相対的に低温に制御される。この温度制御はペルチェ素子16を用いて輻射温調板12を電子冷却することで行い、また輻射温調板12に取り付けられた図示しない温度計の検出値をもとに、ペルチェ素子16への供給電力量を制御することで冷却出力が正確に制御される。このとき、輻射温調板12は鏡筒基準温度より0.1℃から1℃程度低い温度となる。
ここで、輻射温調板12は前述のごとくペルチェ素子16にて低温度に維持されており、この温度差は鏡筒13と輻射温調板12の間で最大1℃程度となる。このため、輻射温調板12の支持ステ−14を介して鏡筒への係止部1d周辺の熱を奪うような熱の伝導が生じ、結果として、鏡筒13の係止部1dの温度が局所的に低温化されることで、鏡筒13の温度に分布が生じるので鏡筒温度分布を均一に保てなくなる。また、支持ステ−14を介して奪われる熱は係止部1カ所につき10mW程度となるが、係止部は複数あるので装置全体としては、合計で数十〜数百mW程度にも達する。
このため、鏡筒13自体はボディ1cの中に載置されるが、ボディ1c内も鏡筒13内も共に真空状態に保持されるため、係止部1dの温度調整に空調は使用困難となる。しかし、例えばヒ−タ−を用いた加温は使用することができるので、この場合には係止部1dの外側にヒ−タ−を接触させてもよい。また、液体媒体による温調としてもよい。
すなわちミラ−11については、その温度変化によってミラ−11の載置位置自体が変動することはほとんど無いが、鏡筒13の温度が変化すると、約1mの高さからなる鏡筒13全体の熱による伸縮により、鏡筒13に係止されるミラ−11の相対位置変動の要因となって影響する。
通常、露光装置全体としてクリ−ンル−ム内に載置されているので、この室内空調により装置全体として安定温度に制御されてはいるが、局所的には鏡筒13の係止部1dを介した熱伝導等による温度分布が発生する。この場合、ミラ−11を温調している輻射温調板12に温度を奪われながら、装置全体の温調のみで速やかに鏡筒13を安定温度、安定温度分布に維持するのは困難である。
EUV露光装置100は、露光の照明光としてEUV光を用いる。EUV光の波長は0.1〜400nmの範囲であるが、この実施形態において好ましくは1〜50nm程度の波長のEUV光を用いる。ウエハ103上に照射されるパタ−ンは、反射型のレチクル102により決定する。これにより、ウエハ103上にはレチクル102によるパタ−ンの縮小像が形成されることとなる。上記のレチクル102は、レチクルステ−ジ104の下側に図示しない静電チャックを介して固定する。
露光時の照明光に使用されるEUV光は大気に対する透過性が低いので、EUV光が通過する光経路は、真空ポンプ107で真空に保たれた真空チャンバ106内に配置する。また、EUV光はレ−ザプラズマX線源によって生成する。レ−ザプラズマX線源は、レ−ザ源光108(励起光源として作用)とキセノンガス供給装置109から構成される。このレ−ザプラズマX線源は、真空チャンバ110で取り囲まれておりレ−ザプラズマX線源で生成されたEUV光は真空チャンバ110の窓111を通過する。
レチクル102は、EUV光を反射する多層膜とパタ−ンを形成するための吸収体パタ−ン層を有している。レチクル102でEUV光が反射されることで、EUV光はパタ−ン化される。パタ−ン化されたEUV光は投影光学系101を通じてウエハ103に達する。
レチクル102で反射されたEUV光は、第一ミラ−115aから第四ミラ−115dまで順次反射され、レチクル102のパタ−ンの縮小像(例えば、1/4、1/5、1/6の縮小率)を形成する。投影光学系101は、像の側(ウエハ103の側)でテレセントリックになるように設定する。
ウエハ103上のダイを露光するときには、照明システムによりEUV光がレチクル102の所定の領域に照射される。そして、レチクル102とウエハ103とは投影光学系101に対して上記の縮小率に従った所定の速度で動く。このようにして、レチクルパタ−ンはウエハ103上の所定の露光範囲(ダイに対して)に露光される。
投影光学系101には4枚の投影光学系ミラ−115a〜115dを搭載するが、特に、この投影光学系ミラ−115a〜115dは、高精度な安定特性が要求されるので本発明に好適である。しかし、他のミラ−系やマスクに適用しても、本発明の効果は発揮される。また、投影光学系ミラ−は4枚に限らず、5〜8枚であってもよい。
まず、露光対象物たる半導体装置の決定により露光条件が決められ、この露光条件下にて露光装置により露光が開始されると、露光装置内のミラ−に露光光が照射され反射される(ステップ31)。
光照射を受けたミラ−は、ミラ−表面にて受けた光エネルギ−の約3割を熱エネルギ−へと変換し、残りの光を反射する。熱エネルギ−はミラ−の裏面へと数分オ−ダ−かけてゆっくりと伝達されることで、ミラ−に蓄熱されミラ−裏面の温度が徐々に上昇する。
冷却された輻射温調板は、ミラ−対向面と輻射温調板に設けられたセラミック等の高輻射率素材との間で輻射熱の授受をし、ミラ−を冷却する。一方で、輻射温調板を支える支持ステ−も輻射温調板に熱を伝導により奪われることで冷却される(ステップ33)。この温度低下は最大1℃程度である。
温度低下が検出されると、速やかに鏡筒係止部外側のペルチェ素子を駆動することで係止部を加温し(ステップ36)、係止部の局所的な温度変化を抑制することで遅滞なく鏡筒温度全体の安定化、温度分布低減化を実現する(ステップ37)。
投影光学系ミラ−41表面で発生した熱49により、投影光学系ミラ−41の厚さ方向に熱勾配4aを生じ、投影光学系ミラ−41裏面側へ熱49がゆっくりと伝わる。伝わる速度は、細かくはミラ−材質により異なるが、おおまかに分単位のオ−ダは必要である。
投影光学系ミラ−41裏面に達した熱4aは、輻射(放射)により高輻射率の表面被覆材42にて高効率で吸収される。輻射吸収は、投影光学系ミラ−41の裏面と対向する輻射温調板43全面で、温度差がある限り行われる。
従って、ペルチェ素子46と輻射温調板43の接合面外で、かつL=30mm以内に温度計44を設けることが必要である。L=30mm以内であれば、ペルチェ素子46の温度変化が10秒以内(典型的には約6〜7秒)で検出できる距離であり、ミラ−温度の制御に不調を来すような検出遅れは生じない。輻射温調板43で吸収された熱4dは、ペルチェ素子46側へと向かい液冷ジャケット45による循環冷却により、冷媒ホ−ス47を通じて放熱4eとして排出される。
この際、投影光学系ミラ−41裏面と輻射温調板43との距離は、投影光学系ミラ−41大きさの約100分の1程度であり2mm程度と短いので、投影光学系ミラ−41裏面の放熱量と輻射温調板吸熱量は等しいと考えてよい。
一方、輻射温調板43はペルチェ素子46により冷却されており、投影光学系ミラ−41はもちろん鏡筒の基準温度よりも低く制御されている。このため、輻射温調板43の支持ステ−4gも冷やされることとなる。支持ステ−4gは、このような熱伝導を低減させるため断熱材を利用し、断面積を小さく、距離は長くし、かつ振動の伝達されにくい形状に工夫されているが、熱伝達を完全に阻止することはできず鏡筒が冷やされる結果となる。
また、この実施形態にいう露光光とは、典型的には半導体素子や液晶素子に塗布されたレジスト等に対して描画することで、半導体素子や液晶素子に所定の配線を施したり、所定の形状構造に造形したりするための描画装置に用いられる光をいう。しかしこれに限られず、半導体素子等に一定の処理を施すために光エネルギ−を供給するものであればよい。
また、この実施形態にいう係止部とは、物理的、機械的に一定の保持状態を作り出すための接続箇所または締結箇所をいう。局所的な熱伝達は主としてこの係止部を介して行われるので、第二の温度調節部は、この係止部に対して温度調整が可能な位置に配置されることが好ましい。
また、この実施形態において鏡筒温度は好ましくは基準温度として23℃に保たれる。ただし、多くの発熱源や吸熱源、熱伝達媒体を備える露光装置にあっては、局所的に温度分布や温度不安定な箇所が生じる可能性があるため、このような影響を極力排除する意味から鏡筒は真空筐体ボディ中に保持されることが好ましい。
また、ガラス、無機化合物で輻射率0.6以上、好ましくは輻射率0.7以上の高輻射率素材を、アルミニウム合金等の熱伝導の比較的良好な金属を母材としてセラミックコ−トし、例えばスパッタ、溶射、ホ−ロ−、貼り合わせ等にて数μm〜100μmの厚さに構成してもよい。そのほか、母材には金、銀、銅、タングステン、モリブデン、亜鉛などでもよく、高輻射率素材部以外は輻射率0.3以下、好ましくは輻射率0.2以下とすることで、ミラ−対向面以外との熱の授受による影響を低減できる。
本実施形態により係止部の鏡筒の温度調整が非接触にて行え、鏡筒全体の温度は安定に保ちつつ、係止部から鏡筒に伝わる局所的な温度変化に対し、効率的かつ迅速に温度調整することが可能となる。
また、効率的かつ迅速な放熱が可能となるとともに、緻密な冷却制御が可能となる。
また、細密なパタ−ンであっても正確に露光し、パタ−ンニングすることができ、その課程で生じる熱による鏡筒への影響を低減することができる。
また、鏡筒の温度の不均一や不安定等を低減し、鏡筒を設計基準温度に維持できるので、作製素子への上記影響を排除し、全体として安定した素子作製をすることができる。
この実施形態は、真空系顕微鏡等であってミラ−冷却機構等を有する装置にも適用することができる。また、SUS等でできた鏡筒は温度変化での伸縮が大きいため、本発明を適用すると効果はより大きいものとなる。
図5は、マイクロデバイスの製造工程を示すフロ−チャ−トである。図5に示すように、まず、ステップS201(設計ステップ)では、マイクロデバイスの機能・性能設計(半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパタ−ン設計を行う。続くステップS202(マスク製作ステップ)では、設計された回路パタ−ンを持つマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS203(ウエハ製造ステップ)では、シリコン等の半導体材料によりウエハを製造する。
図6は、図5におけるウエハ処理ステップ(ステップS204)の詳細なフロ−を示す図である。図6に示すとおり、ウエハ処理ステップは、前処理工程と後処理工程とを複数段階に亘って繰り返し、ウエハ上に回路パタ−ンを積層するものである。各段階の前処理工程では、以下の処理のうち必要な処理のみを必要に応じて選択的に実行する。
続くステップS217(現像ステップ)では、レジストを現像する現像処理をウエハに施し、さらにステップS218(エッチングステップ)では、レジストをエッチングマスクとしたエッチング処理をウエハに施す。最後のステップS219(レジスト除去ステップ)では、エッチング処理後に残存したレジストを除去する。
Claims (6)
- 鏡筒内に露光光を反射させるミラーと、
ミラー温度を調整する第一の温度調整部と、
前記第一の温度調整部を前記鏡筒内に係止する係止部材と、
前記鏡筒を温度調整する第二の温度調整部を備え、
前記第二の温度調整部は、前記係止部材が前記鏡筒に係止される位置に対向する鏡筒外側であって、前記鏡筒と非接触に設置されていることを特徴とする露光装置。 - 前記係止部材と前記鏡筒を係止する部位の前記鏡筒温度を検出し、前記第二の温度調整部を制御するための温度検出部を備える
請求項1に記載の露光装置。 - 前記第二の温度調整部が、少なくとも輻射熱を受ける輻射温調板と電子冷却素子、を含むことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の露光装置。 - 前記露光装置の露光光波長がEUV領域である
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の露光装置。 - 鏡筒内に露光光を反射させるミラーと、ミラー温度を調整する第一の温度調整部と、前記第一の温度調整部を前記鏡筒内に係止する係止部材と、前記鏡筒を温度調整する第二の温度調整部を備え、前記第二の温度調整部が、前記係止部材が前記鏡筒に係止される鏡筒外側位置であって、前記鏡筒と非接触に設けられており、前記係止部材と前記鏡筒を係止する部位の鏡筒温度を検出する温度検出部を備え、
前記鏡筒温度を検出する温度検出部から鏡筒の温度を検出する工程と、
前記検出した温度に基づき前記第二の温度調整部の出力制御を行う工程と、
を有する半導体素子または液晶素子の製造方法。 - 液冷放熱方式のペルチェ素子と輻射温調板からなり、露光光を反射させるミラーと非接触に設置され、鏡筒内に設けられたミラー冷却装置と、
液冷放熱方式のペルチェ素子と輻射温調板からなり、前記鏡筒の外部に前記鏡筒と非接触に支持され、かつ、前記ミラー冷却装置を鏡筒内部に係止する係止部位の裏面外側に設けられた鏡筒温調装置と、
前記ミラー冷却装置を前記鏡筒内部に係止する係止部位の裏面外側に接触して設けられた温度計を備え、
前記温度計からの鏡筒温度を検出する工程と、
前記検出した温度に基づき前記鏡筒温調装置の出力を制御することにより鏡筒を所定の基準温度に均一保持する工程と、
を有する半導体素子または液晶素子の製造方法。
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