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JP2006032665A - 発光ダイオード - Google Patents

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JP2006032665A
JP2006032665A JP2004209665A JP2004209665A JP2006032665A JP 2006032665 A JP2006032665 A JP 2006032665A JP 2004209665 A JP2004209665 A JP 2004209665A JP 2004209665 A JP2004209665 A JP 2004209665A JP 2006032665 A JP2006032665 A JP 2006032665A
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泰一郎 今野
Masahiro Arai
優洋 新井
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Abstract

【課題】従来の電流ブロック層を備えた発光ダイオードよりも生産性に優れ、歩留り良く低コストで製造することのできる高輝度発光ダイオードを提供すること。
【解決手段】基板1上に、少なくとも活性層5をn型クラッド層4とp型クラッド層6で挟んだ発光部、その上に高濃度に導電型決定不純物を含有したオーミックコンタクト層7、その上に透明導電膜8が形成され、その表面側と裏面側に表面電極9、裏面電極10が形成された構造の発光ダイオードにおいて、前記発光部と前記透明導電膜8の間であり、且つ前記発光ダイオードの表面電極9と略一致しない面領域部分に、金属から成る電流ブロック層11を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、化合物半導体から成る発光ダイオード(LED)に関わり、特に、発光ダイオードに電流ブロック層を備えてリーク電流の発生を抑止し、且つ逆方向電圧不良を低減し、それにより、高輝度であり、且つ製造コストが安価な発光ダイオードに関する。
AlGaInP系材料は、窒化物を除くIII−V族化合物半導体の中で最大のバンドギャップを有する直接遷移型半導体であり、それを用いて作製した発光ダイオードは、560nm〜660nmの発光帯域において非常に高い輝度が得られることから、現在でも盛んに研究・開発が行われており、特に、更なる高輝度化の研究が盛んである。また最近では、AlGaInP系発光ダイオードは低価格化競争の最中にあり、各社メーカー共に発光ダイオードの原価低減、スループット向上に努めている。
ここで、AlGaInP系発光ダイオードの製造にかかるコストとしては、主に電流拡散層の形成にかかるコストが占めている。この要因として、一つには高輝度を得るためには電流拡散層の膜厚を厚くする必要があることが挙げられる。この問題の解決には、電流拡散層としての材料にできるだけ抵抗率の低い材料を用いるのが有効とされ、電流拡散層としての材料は主にGaP、AlGaAsから成っている。しかし、これら抵抗率の低い材料を用いても、やはり電流分散効果を良くして、発光ダイオードの高輝度化、低動作電圧化を図るためには、この電流拡散層の膜厚を大体8μm以上とする必要があった。すると、電流拡散層の成長に掛かる原料費用が高くなり、更には、成長に掛かる時間がスループットを悪化させ、総合的にAlGaInP系発光ダイオードの製造原価を高くしていた。
この問題の解決手段としては、半導体から成る窓層の代わりに、キャリア濃度が非常に高く、薄い膜厚で十分な電流分散効果を得ることができる、金属酸化物のITO(インジウム・スズ酸化物)から成る透明導電膜を窓層として用いる方法が開発されている。
通常、金属酸化物を窓層に用いた場合、その上に金属電極が形成されるが、半導体層と金属酸化膜である透明導電膜の間に接触抵抗が発生してしまい、順方向動作電圧が高くなるという問題がある。
しかし一方で、最上の半導体層のキャリア濃度を極めて高くすることで、トンネル電流によりLEDを駆動させるという方法も開示されている(ELECTRONICS LETTERS、7Th December1995、2210〜2212頁参照)。
また、LEDとして充分な特性を達成させるための方法として、半導体最上層、つまりクラッド層とITO透明電極の間に、p型GaAsコンタクト層を用いることにより、ITO透明電極との接触抵抗を低下させる技術が開発されている。すなわち、最上半導体層としてCを添加物としたGaAsコンタクト層を用い、そのC添加物の原料として四臭化炭素(CBr4)を用いて、高輝度、低動作電圧、高信頼性の半導体発光素子を製作すると言う方法も開示されている(特許文献1)。
更にまた、高輝度を得る別の方策として、電流ブロック層を備えた電流狭窄型の発光ダイオードが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に示された発光ダイオードでは、発光層と電流拡散層との間に、電流拡散層と逆の導電性を有する半導体層(電流ブロック層)を成長させ、これを選択的にエッチングし、電流ブロック層の円形のパターンニングを行う。その後、その電流ブロック層上に電流拡散層を再成長させることで電流狭窄型発光ダイオードを得ている。
特開平11−307810号公報 特開2002−64219号公報
しかしながら、上記した特許文献1の発光ダイオードの場合、ITO透明電極(金属酸化物窓層)に約5%程度の剥がれが生じると言う問題のあることが分かった。更には、逆方向電圧が低くなると言う問題も発生した(逆方向電圧測定条件は10μA、その時の電圧が−5V以下を不良とした)。つまり、金属酸化物窓層である透明導電膜の剥がれと、逆方向特性の悪化(順方向でのリーク電流発生)により、歩留りが悪いと言う、大きな問題もあった(不良率:約20%)。つまり、歩留りが80%であった。
また特許文献1では、GaAsコンタクト層とその下側のInGaAlPクラッド層とのバンド不連続を緩和するために、GaAsコンタクト層とその下側のInGaAlPクラッド層の間に、GaAlAsやInGaAlPから成る中間バンドギャップ層を入れると言う構造も開示している。しかし、この構造でも順方向電圧をある程度低くすることはできるが、金属酸化物である透明導電膜と接しているコンタクト層がGaAs層であることから、当然のことながら、前記した金属酸化物である透明導電膜の剥がれと、逆方向特性の悪化を改善することはできない。また、GaAsコンタクト層とInGaAlPクラッド層の間に中間バンドギャップ層を設けた場合、該中間バンドギャップ層の分だけ、高コストになる。
また、上記した特許文献2の方法では、MOCVD法による成長工程が二度必要になる為、発光ダイオードの製造原価を低減することが難しい。特に、MOCVD装置については、1成長におけるウェハの処理枚数が少ない為、スループットが悪く、製造コストが高くなってしまう。また逆メサ方向では、電流ブロック層が逆テーパになることから、二度目のMOCVD法による成長時に、欠陥ができてしまうことが多々あり、制御性が悪く、再現性等に問題がある。つまり技術的にも難しく、歩留りが悪いことから製造コストが高くなる。
つまり現状では、高輝度で低コストの発光ダイオードを、歩留り良く製作することが難しい。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、従来の電流ブロック層を備えた発光ダイオードよりも生産性に優れ、歩留り良く低コストで製造することのできる高輝度発光ダイオードを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1の発明に係る発光ダイオードは、基板上に、少なくとも活性層をn型とp型の導電性を示すクラッド層で挟んだ発光部、その上に高濃度に導電型決定不純物を含有したオーミックコンタクト層、その上に透明導電膜が形成され、その表面側と裏面側に電極が形成された構造の発光ダイオードにおいて、前記発光部と前記透明導電膜の間であり、且つ前記発光ダイオードの表面側電極と略一致しない面領域部分に、金属から成る電流ブロック層が設けられたことを特徴とする。ここで発光ダイオードの表面側電極と略一致しない面領域部分と言った場合、発光ダイオードの表面側電極と略一致しない面領域のうちの一部又は全部のいずれの形態をも含む。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発光ダイオードにおいて、前記表面側電極の略直下にも金属から成る電流ブロック層が設けられたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の発光ダイオードにおいて、前記発光ダイオードの表面側電極と略一致しない面領域部分に設けられる金属から成る電流ブロック層が、発光ダイオードの周囲に設けられたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、前記高濃度に導電型決定不純物を含有したオーミックコンタクト層が、1×1019/cm3以上のMgを含有したGaxIn1-xP(0≦X≦0.7)から成ることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、前記高濃度に導電型決定不純物を含有したオーミックコンタクト層が、1×1019/cm3以上のZnを含有したAlxGa1-xAs(0≦X≦0.4)から成ることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、前記金属から成る電流ブロック層がTi、Ni、AuBeのいずれかから成ることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項2に記載の発光ダイオードにおいて、前記表面側電極の略直下にある金属から成る電流ブロック層の面積が、前記表面電極と同等またはそれより大きい面積を有することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、前記基板がGaAsであり、前記発光部がGaInP、AlInP、またはAlGaInPから成ることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、前記オーミックコンタクト層の膜厚が1nm以上25nm以下であることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、前記透明導電膜がITOから成り膜厚が200nm以上600nm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、発光部と透明導電膜の間であり、且つ発光ダイオードの表面側電極と略一致しない面領域部分に、金属から成る電流ブロック層を設けたので、逆方向電圧不良(順方向でのリーク電流不良)やITOの剥がれを防止して、歩留り良く発光ダイオードを製造することができる。従って、歩留りが良く再現性に優れ、且つ極めて安価で高輝度、高信頼性、低動作電圧の発光ダイオードを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を実施例を中心に説明する。
図1に第一の実施形態に係る発光ダイオードの構成を示す。この発光ダイオードは、その前提として、基板1上に、少なくとも活性層5をn型クラッド層4とp型クラッド層6で挟んだ発光部と、そのp型クラッド層6上に形成した高濃度に導電型決定不純物を含有したオーミックコンタクト層7と、その上に形成したITOから成る透明導電膜8を具備し、さらに、その表面側に形成した表面電極9と裏面側(基板側)に形成した裏面電極10を具備する。そして、この発光ダイオードの特徴として、上記オーミックコンタクト層7と上記透明導電膜8の間であり、且つ、発光ダイオードの表面電極9と略一致しない面領域部分に、金属から成る電流ブロック層11を具備する。
図2に第二の実施形態に係る発光ダイオードの構成を示す。この発光ダイオードは、オーミックコンタクト層7と、ITOからなる透明導電膜8の間において、発光ダイオードの周囲部に、金属から成る電流ブロック層11を設ける一方、更に金属から成る電流ブロック層12を、表面電極9に略一致した場所にも同時に備える高輝度発光ダイオードの構成としたものである。
図2の実施形態では、電流拡散層としてITOからなる透明導電膜8を用い、更に発光部と透明導電膜との間に電流ブロック層を備えた構造において、電流ブロック層12を金属によって形成する。更に上記電流ブロック層12の形成時に、同時に発光ダイオードの周囲部にも金属によって電流ブロック層11を設けることにより、逆方向電圧不良(順方向でのリーク電流不良)や透明導電膜の剥がれを防止して、歩留り良く製造することを可能にする。つまり、歩留りが良く再現性に優れ、且つ極めて安価で高輝度、高信頼性、低動作電圧の発光ダイオードを得るものである。
<実施例1>
実施例として、図1に示した構造の発光波長630nm付近の赤色帯発光ダイオードを製作した。製作の過程は次の通りである。
n型GaAsからなる基板1上に、MOVPE法でn型GaAsからなるバッファ層2、n型のブラッグ反射(DBR)層3、n型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるn型クラッド層4、アンドープ(Al0.10Ga0.900.5In0.5Pからなる活性層5、p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型クラッド層6、p型GaAsからなるオーミックコンタクト層7を順次成長させ、発光ダイオード用エピタキシャルウェハを作製した。ちなみに上記DBR層3は、n型AlInP(約50nm)とn型GaAs(約40nm)から成る積層構造とし、そのペア数は15ペアとした。
上記発光ダイオード用エピタキシャルウェハをMOVPE装置から搬出した後、該エピタキシャルウェハの表面、つまりオーミックコンタクト層7側へ、金属からなる電流ブロック層11を形成した。この電流ブロック層11の形成方法は、次の通りである。
上記発光ダイオード用エピタキシャルウェハをMOVPE装置から搬出した後、その発光ダイオード用エピタキシャルウェハの表面にスピンコーターを用いて、ネガレジスト膜を一面に塗布して熱硬化した。
次に、マスクアライナーを用いて発光ダイオードの周囲部の全て(発光ダイオードの周囲:4辺)にあたる部分に10μm幅のラインが形成されるように露光し、更にその後に現像することで、前記の形状にパターンニングし、該電流ブロック層11となる金属を真空蒸着法により形成し、リフトオフ法により、10μm幅の該電流ブロック層11を形成した。この時の電流ブロック層11は、Ni、Ti、AuBeの3種類を製作した。この時の電流ブロック層11の膜厚は、10nmである。
さらに上記電流ブロック層11が形成された発光ダイオード用エピタキシャルウェハに真空蒸着法によってITOからなる膜厚300nmの透明導電膜8を形成した。因みにこの時、同一バッチ内にセットしたガラス基板を取り出し、Hall測定が可能なサイズに切断し、ITOからなる透明導電膜の電気特性を評価した所、キャリア濃度1.27×1021/cm3、移動度22.4cm2/Vs、抵抗率2.31×10-4Ω・cmであった。上記透明導電膜8を形成後、該透明導電膜8の上面に、直径125μmの円形の表面電極(p側電極)9を、該電流ブロック層11と中心が略一致するように、前記したリフトオフ法を用いてマトリクス状に蒸着で形成した。表面電極9は、ニッケル、金を、それぞれ20nm、500nmの順に蒸着した。更にエピタキシャルウェハ底面には、全面に裏面電極(n側電極)10を形成した。裏面電極10は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金を、それぞれ60nm、10nm、500nmの順に蒸着し、その後、電極の合金化であるアロイを、窒素ガス雰囲気中400℃で5分行った。
その後、このエピタキシャルウェハをダイシング等でチップサイズ300μm角のチップ形状に加工し、更にダイボンディング、ワイヤボンディングを行って発光ダイオードチップを製作した。
この発光ダイオードチップのLED特性を評価した結果、Niからなる電流ブロック層、Tiからなる電流ブロック層、AuBeからなる電流ブロック層を形成した時の発光出力は、2.51±0.2mWであった。また、順方向動作電圧も2.0V以下であった。このため良好なLED特性が得られることを確認できた。更に、透明導電膜8の剥がれ及び逆方向電圧不良も1%未満であり、歩留りを良く作製することに成功した。
以上のように、電流拡散層である透明導電膜8よりも下方向に位置する場所へ金属から成る電流ブロック層11を備えたことで、従来の電流ブロック層を具備しない発光ダイオード(図3)よりも高出力の発光ダイオードを、歩留り良く、且つ再現性良く作製することができた。
以上のように、電流拡散層である透明導電膜8よりも下方向に位置する場所であり、且つ発光ダイオードの周囲部に、金属から成る電流ブロック層11を備えたことで、従来の電流ブロック層を具備しない発光ダイオードよりも歩留り良く作製することができた。
<比較例>
比較例として、図3に示した構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオードを製作した。製作の過程は次の通りである。
n型GaAsからなる基板1上に、MOVPE法でn型GaAsからなるバッファ層2、n型のDBR層3、n型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるn型クラッド層4、アンドープ(Al0.10Ga0.900.5In0.5Pからなる活性層5、p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型クラッド層6、p型GaAsからなるオーミックコンタクト層7を順次成長させ、発光ダイオード用エピタキシャルウェハを作製した。ちなみに上記DBR層3は、n型AlInP(約50nm)とn型GaAs(約40nm)から成る積層構造とし、そのペア数は15ペアとした。
上記発光ダイオード用エピタキシャルウェハをMOVPE装置から搬出した後、該エピタキシャルウェハの表面、つまりオーミックコンタクト層7側へ、真空蒸着法によってITOからなる膜厚300nmの透明導電膜8を形成した。この時、同一バッチ内にセットしたガラス基板を取り出し、ホール(Hall)測定が可能なサイズに切断し、透明導電膜の電気特性を評価した所、キャリア濃度1.27×1021/cm3、移動度22.4cm2/Vs、抵抗率2.31×10-4Ω・cmであった。
そして、この発光ダイオード用エピタキシャルウェハ上面には、直径125μmの円形の表面電極9を、マトリクス状に蒸着で形成した。この表面電極9は、ニッケル、金を、それぞれ20nm、500nmの順に蒸着した。
更にエピタキシャルウェハ底面には、全面に裏面電極10を形成した。裏面電極10は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金を、それぞれ60nm、10nm、500nmの順に蒸着し、その後、電極の合金化であるアロイを、窒素ガス雰囲気中400℃で5分行った。
その後、このエピタキシャルウェハをダイシング等でチップサイズ300μm角のチップ形状に加工し、更にダイボンディング、ワイヤボンディングを行って発光ダイオードチップを製作した。
この発光ダイオードチップのLED特性を評価した結果、発光出力2.49mWを得た。しかし、逆方向電圧不良及び透明導電膜の剥がれるにより、歩留りが80%であった。
<実施例2>
本発明における上記実施例1では、オーミックコンタクト層7とITOからなる透明導電膜8の間において、且つ発光ダイオードの周囲部に、金属から成る電流ブロック層11を設けた。しかし、図2に示すように、更に金属から成る電流ブロック層12を、オーミックコンタクト層7とITOからなる透明導電膜8の間において、且つ表面電極9に略一致した場所に同時に備える構成とすることもでき、これによっても同様に、透明導電膜の剥がれと逆方向特性の悪化を改善する効果を得ることができる。この電流ブロック層12は、電流ブロック層11を形成する工程の一環として設けることができる。
<最適条件に付いての根拠>
(1)発光ダイオードの周囲に設ける電流ブロック層11について
第1に発光ダイオードの周囲に設ける電流ブロック層の幅は、最適値がある。
発光ダイオードの周囲に設ける電流ブロック層の幅は、大きい方が逆方向電圧不良及び透明導電膜の剥がれが少なくなり、歩留りが向上する。しかし、あまり大きくしすぎると、若干の光吸収層となる。また順方向電圧も、高くなる方向になる。このためあまり大きくしすぎたり、小さくしすぎたりすることは望ましくない。よって、好ましくは3μmから50μmであり、より好ましくは5μmから30μmである。
第2に発光ダイオードの周囲に設ける電流ブロック層の膜厚には、最適値がある。何故ならば、発光ダイオードの周囲に設ける電流ブロック層の膜厚が厚くなりすぎると、発光した光を取り出しにくくなるからである。また薄くしすぎると、逆方向電圧不良及び透明導電膜の剥がれ不良が多くなるからである。よって発光ダイオードの周囲に設ける電流ブロック層11の膜厚は、2〜25nmが好ましく、より好ましいのは5〜15nmである。
(2)発光ダイオードの電極直下に設ける電流ブロック層12について
第3に、電極直下に設ける電流ブロック層のサイズ、つまり直径は、表面電極つまり透明導電膜の上に形成される電極の直径とほぼ同等であるか、若しくはそれよりも大きめに作製することが好ましい。
何故ならば、電流ブロック層の直径が表面電極の直径よりも小さいと、電極直下に流入した電流を遮蔽できない箇所が存在し、電流狭窄効果による発光出力の増大を縮小してしまうことになるからである。
また、電流ブロック層から、活性層までの間の半導体層の距離によっても電流ブロック層の直径を最適化する必要がある。例えば、上記実施例の場合、活性層から電流ブロック層までの距離はおよそ1μm程度であり、この程度であれば、電流ブロック層を迂回して流入する電流が電流ブロック層よりも下の半導体層で廻り込むことも殆どなく、極めて効率の高い電流狭窄効果による高輝度化が達成できる。逆に、電流ブロック層から活性層までの半導体層の距離が10μm程度と長い場合、電流ブロック層を迂回して流入した電流が活性層までの半導体層によって、再び電極直下の位置に廻り込んでしまい、結果的に電極直下での発光が増加し、大幅な輝度向上が望めなくなってしまう。この様な場合の対処としては、電極の直径よりも電流ブロック層の直径を大きくすることによって解決される。
第4に、発光ダイオードの電極直下に設ける電流ブロック層の膜厚は、最適値がある。何故ならば、電流ブロック層の膜厚が厚くなりすぎると、発光した光を取り出しにくくなるからである。また薄くしすぎると、電流ブロック効果が薄れ、発光出力が向上しなくなるからである。よって電流ブロック層の膜厚は、2〜25nmが好ましく、より好ましいのは5〜15nmである。
第5に、発光ダイオードの電極直下に設ける電流ブロック層の金属は、酸化しやすい金属を用いることが望ましい。何故ならば、酸化した方が、より電流ブロック効果が出るからである。また、発光した光に対しても、透明になり、より光取り出しが良くなり、より発光出力が高くなるからである。
(3)オーミックコンタクト層について
第6に、透明導電膜と接するオーミックコンタクト層7は、主に高濃度にZnが添加されたAlxGa1-xAs(0≦X≦0.4)又は主に高濃度にMgが添加されたGaxIn1-xP(0≦X≦0.7)であることが望ましい。
ITOからなる透明導電膜は基本的にn型の半導体材料に属し、また、発光ダイオードは通常、pサイドアップで作製されるのが一般的である。この為、ITOからなる透明導電膜を電流拡散層に付帯した発光ダイオードは、導電型が基板の側からn/p/n接合となってしまう。この為に発光ダイオードではITOからなる透明導電膜とp型半導体層との界面に大きな電位障壁が生じ、通常は非常に動作電圧の高い発光ダイオードとなってしまう。この問題を解消する為、p型半導体層には非常に高いキャリア濃度を有するオーミックコンタクト層が必要となる。
それには上記に示した、主に高濃度にZnが添加されたGaAsから低Al混晶比のAlGaAsが適しており、詳しくは、1×1019/cm3以上のキャリア濃度を有していることが好ましい。又は、上記に示した、主に高濃度にMgが添加されたGaxIn1-xP(0≦X≦0.7)が適しており、詳しくは、1×1019/cm3以上のキャリア濃度を有していることが好ましい。
第7に、上記オーミックコンタクト層7は、例えばGaAsから低Al混晶比のAlGaAsであり、このオーミックコンタクト層の膜厚は1nmから50nmの範囲にあることが好ましい。
何故ならば、上記オーミックコンタクト層7は、いずれも活性層5で発光した光に対し吸収層となるバンドギャップを有している為、膜厚が厚くなるに連れ、発光出力が低下してしまう。従って、オーミックコンタクト層7の膜厚の上限をおよそ50nmとする。しかし、より好ましくは30nmまでである。また、オーミックコンタクト層7の膜厚が1nm未満になってくると、今度はITOからなる透明導電膜8とオーミックコンタクト層7との間でのトンネル接合が難しくなってくる為、低動作電圧化、動作電圧の安定化が困難になる。従ってITOからなる透明導電膜8と接するオーミックコンタクト層7の膜厚には最適値があり、それは1nmから50nmなのである。
(4)ITOからなる透明導電膜8について
第8に、ITOからなる透明導電膜8を形成する方法は、真空蒸着法であることが望ましい。理由は、以下製造方法ごとに述べる。
まずスパッタ法においては、スパッタ装置自体の設備額が高額で、更に、1バッチあたりのチャージ枚数が少ないことから、スループットが問題となる。
次に、MOD溶液を用いたスプレー法においては、第一に基板の表面温度を500℃以上に加熱しないとITOから成る透明導電膜の抵抗率を下げることができない為、発光ダイオード用エピタキシャルウェハに対する熱の影響が大きく、オーミックコンタクト層の表面を酸化してしまい、トンネル接合が達成されなくなってしまうという問題が発生する。また、ITOからなる透明導電膜の高温での成膜になるので、ITOのキャリア濃度が低下してしまい、トンネル接合しずらい状況を作ってしまうことも問題である。更には、多数枚チャージ、つまりスループットの高い製造設備の作製が難しく、安定した量産を行うには難しい。
次に、塗布法においてはスプレー法、スパッタ法、真空蒸着法と比較して、抵抗率を下げることが非常に難しいことが挙げられる。このことからオーミックコンタクト層とのトンネル接合が非常に難しい。更には、ITOからなる透明導電膜を200nmから500nm程度まで形成するのに、塗布、乾燥、焼成といった工程を幾度となく行う必要があることから、スループットが非常に悪い。
以上の理由から、製造装置の価格が安く、且つ安定性に優れ、スループットの高い方法である真空蒸着法が、ITOからなる透明導電膜8の成膜方法として好ましいのである。
第9にITOからなる透明導電膜8の膜厚は200nmから500nmの範囲にあることが好ましい。
下限が200nmである所以は、充分な電流分散効果を得る為にはおよそ200nm程度の膜厚が必要だからである。次に上限が500nmである所以は、真空蒸着法で形成する場合、ITOからなる透明導電膜8の膜厚が500nm程度になってくると、ITOからなる透明導電膜8の透明性、つまり透過率が徐々に悪化してしまうという現象がある為である。また、およそ200nmから300nm程度のITOからなる透明導電膜8によって充分な電流分散効果が得られることから、あまり厚くし過ぎても製造コストを増加させてしまうだけになる。
従って、ITOからなる透明導電膜8の膜厚は200nmから500nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは200nmから400nm程度であると言える。
<変形例1>
本発明における実施例では、AlGaInP系発光ダイオードを挙げて詳しく説明したが、本発明が意図するのは、発光ダイオードの周囲部であり、且つ半導体層とITOからなる透明導電膜の間に金属から成る電流ブロック層を設ける技術であり、これはAlGaInP系発光ダイオードに限定されるものではない。すなわち、本発明は、他の材料、例えばAlGaAs系発光ダイオードや、InGaAsP系長波長発光ダイオードにも適用可能である。
<変形例2>
本発明における実施例では、発光部をn型クラッド層4、活性層5、p型クラッド層6によって構成したが、例えば、導電型決定不純物の拡散を抑止する為の半導体層(拡散抑止層)を活性層の上下、若しくは上側か下側の一方に追加的に設けることもできる。かかる構成の下でも、同様に、透明導電膜の剥がれと逆方向特性の悪化を改善する効果を得ることができる。この拡散抑止層はアンドープであるか、若しくは低濃度の半導体層であっても良い。いずれにしろ、この導電型決定不純物の拡散を抑止する為の拡散抑止層の有無に関わりなく本発明を適用することができる。
<変形例3>
本発明における実施例では、GaAsからなる基板1上に発光ダイオード構造を形成し、それに電流ブロック層11、ITOからなる透明導電膜8を順次形成することで発光ダイオードを得たが、その他にも例えば、基板がGeからなる場合や、または実施例のように一度GaAsからなる基板上に発光ダイオード構造を形成し、その後、種々のウェハ融着技術を用いて、当初形成した発光ダイオード構造を生かし、異種基板に貼り付けられた状態での発光ダイオードにおいても、本発明に示した金属による電流ブロック層と、ITOからなる透明導電膜によって構成される電流狭窄型の発光ダイオードは、基板の材料に関わらず適用可能であり、本発明の意図する効果を得ることができる。
<変形例4>
本発明における実施例では、活性層をクラッド層で挟み込んだ単純なダブルヘテロ構造としたが、他にも例えば活性層が量子井戸構造であっても、本発明の意図する効果を得ることができる。
本発明の一実施形態にかかるAlGaInP系赤色発光ダイオードの断面構造図である。 本発明の他の実施形態にかかるAlGaInP系赤色発光ダイオードの断面構造図である。 従来例にかかるAlGaInP系赤色発光ダイオードの断面構造図である。
符号の説明
1 基板
2 バッファ層
3 ブラッグ反射層
4 n型クラッド層
5 活性層
6 p型クラッド層
7 オーミックコンタクト層
8 透明導電膜
9 表面電極
10 裏面電極
11 電流ブロック層
12 電流ブロック層

Claims (10)

  1. 基板上に、少なくとも活性層をn型とp型の導電性を示すクラッド層で挟んだ発光部、その上に高濃度に導電型決定不純物を含有したオーミックコンタクト層、その上に透明導電膜が形成され、その表面側と裏面側に電極が形成された構造の発光ダイオードにおいて、
    前記発光部と前記透明導電膜の間であり、且つ前記発光ダイオードの表面側電極と略一致しない面領域部分に、金属から成る電流ブロック層が設けられたことを特徴とする発光ダイオード。
  2. 請求項1に記載の発光ダイオードにおいて、
    前記表面側電極の略直下にも金属から成る電流ブロック層が設けられたことを特徴とする発光ダイオード。
  3. 請求項1に記載の発光ダイオードにおいて、
    前記発光ダイオードの表面側電極と略一致しない面領域部分に設けられる金属から成る電流ブロック層が、発光ダイオードの周囲に設けられたことを特徴とする発光ダイオード。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、
    前記高濃度に導電型決定不純物を含有したオーミックコンタクト層が、1×1019/cm3以上のMgを含有したGaxIn1-xP(0≦X≦0.7)から成ることを特徴とする発光ダイオード。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、
    前記高濃度に導電型決定不純物を含有したオーミックコンタクト層が、1×1019/cm3以上のZnを含有したAlxGa1-xAs(0≦X≦0.4)から成ることを特徴とする発光ダイオード。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、
    前記金属から成る電流ブロック層がTi、Ni、AuBeのいずれかから成ることを特徴とする発光ダイオード。
  7. 請求項2に記載の発光ダイオードにおいて、
    前記表面側電極の略直下にある金属から成る電流ブロック層の面積が、前記表面電極と同等またはそれより大きい面積を有することを特徴とする発光ダイオード。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、
    前記基板がGaAsであり、前記発光部がGaInP、AlInP、またはAlGaInPから成ることを特徴とする発光ダイオード。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、
    前記オーミックコンタクト層の膜厚が1nm以上25nm以下であることを特徴とする発光ダイオード。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の発光ダイオードにおいて、
    前記透明導電膜がITOから成り膜厚が200nm以上600nm以下であることを特徴とする発光ダイオード。
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