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JP4039187B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高輝度の半導体発光素子、特に極めて安価で低動作電圧の半導体発光素子の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)は、GaPの緑色、AlGaAsの赤色がほとんどであった。しかし、最近GaN系やAlGaInP系の結晶層をMOVPE法(有機金属気相成長法)で成長できるようになったことから、橙色、黄色、緑色、青色の高輝度LEDが製作できるようになってきた。
【0003】
MOVPE法で形成した半導体発光ダイオード用エピタキシャルウェハにより、これまでにできなかった短波長の発光や、高輝度が得られるLEDの製作が可能となった。しかし高輝度を得るためには、電流分散を良くするために窓層の膜厚を厚くする必要があり、LED用エピタキシャルウェハのコストが高くなり、半導体発光素子を安価に製作する事が難しかった。
【0004】
図7にAlGaInP系エピタキシャルウェハを用いて作製した発光ピーク波長590nmの黄色発光ダイオードチップを示す。全てのエピタキシャル層はMOVPE法によって成長している。n型GaAs基板21の上には、n型(Seドープ)GaAsバッファ層22、n型(Seドープ)AlGaInPクラッド層23、アンドープAlGaInP活性層24、p型(亜鉛ドープ)AlGaInPクラッド層25を順番に形成している。23〜25がAlGaInP4元ダブルヘテロ構造部分をなす。このAlGaInP4元ダブルヘテロ構造をなすp型AlGaInPクラッド層25の上に、p型(亜鉛ドープ)AlGaAsの電流分散層26(窓層)を形成している。28はp側電極(表面電極)、29はn側電極(裏面電極)である。
【0005】
表面電極28から供給された電流は、電流分散層26中でチップ横方向に広がり、その結果、上部電極直下以外の領域で発光する割合を高くしている。電流分散層26は、電気抵抗が低いほど効率良く横方向に電流を広げることができる為、電気抵抗を低くすることが望まれる。具体的には、キャリア濃度を高くすることと、膜厚を厚くすることで、低抵抗化を実現している。また、電流分散層26は、活性層24からの発光を透過する材料でなければならない。現状、電流分散層は、これらの条件を満足しているAlGaAs層(Al組成0.8以上)又は、GaP層が使われている。これらの材料の電流分散層を用いて電流を横方向に十分に広げる為には、電流分散層26は8μm以上もの膜厚が必要になる。
【0006】
発光ダイオードの製造コストを下げるためには、この窓層(電流分散層26)の膜厚を薄くし、且つ電流の分散を良くすればよい。つまり、窓層自体の抵抗率をさらに低くすれば良い。抵抗の低いエピタキシャル層を得るためには、移動度を大幅に変える、または、キャリア濃度を高くする方法がある。
【0007】
そこで、これらの問題を解決する方法として、窓層としてできるだけ抵抗の低い値が得られる材料として、例えばAlGaInP4元系LEDの場合には、窓層としてGaPやAlGaAsが用いられたりしている。しかし、これらの抵抗率の低い材料を用いても、p型で高キャリア濃度のエピタキシャル層を成長させることが難しいため、やはり電流分散効果を良くするためには、窓層の膜厚を8μm以上まで厚くする必要がある。また、他の半導体でそのような特性を有するものがあれば、それで代用する事ができる。しかし、その様な特性を満足する半導体は見当たらない。
【0008】
また例えばGaN系LEDの場合は、その他の方法として金属薄膜を透光性導電膜として用いている。しかし、金属薄膜は光を通すためには非常に薄くする必要があり、また十分な電流分散を得ようとすれば、透過率が悪くなってしまう。更に金属薄膜は、一般的に真空蒸着法で形成され、その真空排気時間が長い事も問題である。
【0009】
ここで、十分な透光性を有し、且つ電流分散を得られる電気特性を有する膜として金属酸化膜であるITO(Indium Tin Oxide)膜(酸化インジウムに錫が添加されている材料)がある。このITO膜を電流分散膜として用いることができれば、これまで電流分散膜用として半導体層を厚くしていたが、そのエピタキシャル層が要らなくなるため、安価に高輝度のLEDを生産できるようになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、従来技術の問題点を解決する手段としては、半導体による窓層の代わりに、キャリア濃度が非常に高く、薄い膜厚で十分な電流分散効果を得ることができる透明導電膜(ITO膜)を用いる方法が提案されている。
【0011】
しかしながら、通常、金属酸化物であるITO膜を窓層に用いた場合、その上に金属電極が形成されるが、半導体層と透明導電膜の間に接触抵抗が発生してしまい、順方向動作電圧が高くなるという問題がある。
【0012】
また一方で、半導体コンタクト層のキャリア濃度を極めて高くすることで、トンネル電流によりLEDを駆動させるという方法も開示されている(ELECTRONICS LETTERS,7Th December 1995,2210〜2212頁参照)。
【0013】
しかし、この様な構造をとる場合、高キャリア濃度化が難しい半導体層をコンタクト層として用いる事ができない。また、比較的高キャリア濃度化が容易な半導体層をコンタクト層として用いても、該半導体層を構成する材料との組み合わせの問題で、比抵抗の低い良質の金属酸化物窓層が形成できない等の問題があり、LEDの順方向動作電圧が高くなってしまうという問題があった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、金属酸化物からなる窓層を備えた構造の半導体発光素子において、比抵抗の低い良質の金属酸化物窓層(透明導電膜)が形成でき、且つ動作電圧を低くする方法を提供する事により、高輝度で低価格の半導体発光素子を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0016】
請求項1の発明に係る半導体発光素子は、第一導電型の基板の上に、活性層を導電型が異なる第一クラッド層と第二クラッド層で挟んだ発光部を形成し、その上に金属酸化物からなる窓層を形成し、その表面側の一部に表面電極を形成し、上記基板の裏面に全面又は部分電極から成る裏面電極を形成した半導体発光素子において、上記第二クラッド層と上記金属酸化物窓層の間に、第二導電型のGaAsから成るトンネル電流を発生させる第一半導体コンタクト層と、その上のP系、In系又はAl系の化合物から成り、上記第一半導体コンタクト層のキャリア濃度よりも低いキャリア濃度を有する第二半導体コンタクト層との積層構造を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1記載の半導体発光素子において、上記第二クラッド層と上記金属酸化物窓層の間に配設される積層構造の構成要素のうち、第一半導体コンタクト層が第二導電型のGaAsから成り、その上の第二半導体コンタクト層が、AGa1−xP(0≦x≦1)、AlIn1−xP(0≦x≦1)、(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)、AIn1−xAs(0≦x≦1)、(AlGa1−xIn1−yAs(0.1≦x≦1、0≦y≦0.9)、AlGa1−xAs(0.1≦x≦1)、AlIn1−xAs(0≦x≦1)、(AlGa1−xIn1−yAs(0.1≦x≦1、0≦y≦0.9)の何れか一つから成ることを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の半導体発光素子において、上記第二導電型の第一半導体コンタクト層の膜厚が1nm〜100nmの範囲にあることを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体発光素子において、上記第二半導体コンタクト層の材料が活性層のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有し、上記第二半導体コンタクト層の膜厚が1nm〜100nmの範囲にあることを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光素子において、上記第二導電型の第一半導体コンタクト層のキャリア濃度が1×1019cm−3以上であることを特徴とする。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体発光素子において、上記基板がGaAsであり、発光部がAlGaInPまたはGaInPであることを特徴とする。
【0022】
<発明の要点>
発明者は上記課題を解決するべく鋭意努力し研究を行った結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、トンネル電流を発生させるための第一半導体コンタクト層と比抵抗の低い良質の金属酸化物窓層を形成するための第二半導体コンタクト層とからなる半導体コンタクト層の積層構造をとることによって、低電圧でのトンネル電流を発生させ、極めて安価で、且つ低動作電圧の半導体発光素子を実現したものである。
【0023】
第二半導体コンタクト層を構成する半導体層は、P系の二元から五元の化合物、またはIn若しくはAlの二元から五元の化合物である。
【0024】
更に、トンネル電流を起こさせる半導体層は第一半導体コンタクト層であることから、キャリア濃度は低くても良い。
【0025】
ここで、第一半導体コンタクト層及び第二半導体コンタクト層の最適条件について触れる。
【0026】
第一半導体コンタクト層のキャリア濃度が低いとトンネル電流が流れなくなることから、上記第一半導体コンタクト層のキャリア濃度は1×1019cm-3以上が望ましい。また第一半導体コンタクト層のキャリア濃度は、高ければ高いほど好ましい。このため第一半導体コンタクト層に用いる半導体材料は、容易に高キャリア濃度にできることが望ましい。例えばGaAsなどである。
【0027】
第一半導体コンタクト層が第二半導体コンタクト層、或いは上記コンタクト層ともに、活性層のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有する材料を用いている場合は、発光した光に対して吸収層となってしまうことから、LEDとしての発光出力を低下させてしまい、十分な輝度を得ることができない。このため、薄い方が望ましい。
【0028】
第二半導体コンタクト層のキャリア濃度が低い場合は、当該第二半導体コンタクト層の膜厚が厚くなると、トンネル電流が流れなくなる。このため第二半導体コンタクト層のキャリア濃度が低い場合は、膜厚が薄ければ薄いほど良い。より好ましいのは、5nm以下である。
【0029】
金属酸化物窓層であるITO膜の比抵抗が高いとトンネル電流が流れなかったり、流れにくくなる。このため、金属酸化物窓層の比抵抗は低ければ低いほど好ましい。また金属酸化物窓層の比抵抗は低ければ低いほど好ましいため、第二半導体コンタクト層は、この金属酸化物窓層が形成しやすく、良質の金属酸化物窓層を得られる材料を選択することが望ましい。例えば、GaAs層を第二半導体コンタクト層として用いるのは、好ましくない。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、実施例を中心に説明する。
【0031】
<実施例>
本発明の一実施例にかかる、図1のような構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード用エピタキシャルウェハを作製した。
【0032】
第一導電型基板であるn型GaAs基板1上に、MOVPE法で、n型(Seドープ)GaAsバッファ層2、n型(Seドープ)(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pから成る第一クラッド層(第一導電型クラッド層)3、アンドープ(Al0.15Ga0.850.5In0.5P活性層4、p型(亜鉛ドープ)(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pから成る第二クラッド層(第二導電型クラッド層)5を成長させた。3〜5がAlGaInP4元ダブルヘテロ構造部分(発光部)をなす。
【0033】
p型AlGaInPクラッド層までのMOVPE成長は、成長温度700℃、成長圧力50Torr、各層の成長速度は0.3〜1.0nm/s、V/III比は300〜600で行った。P型クラッド層のキャリア濃度は5×l017cm-3、GaP層のキャリア濃度は1×1019cm-3である。
【0034】
このp型クラッド層5の上に、第一半導体コンタクト層6として、キャリア濃度1×1019cm-3のGaAs層を20nm成膜し、更に第二半導体コンタクト層7のP系、In系、Al系化合物として下記表1の材料を5nm成膜した。この時の第二半導体コンタクト層のキャリア濃度は5×1017cm-3である。
【0035】
第二半導体コンタクト層7を構成するP系化合物としては、GaxIn1-xP(0≦x≦1)、AlxGa1-xP(0≦x≦1)、AlxIn1-xP(0≦x≦1)、(AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x≦1、0≦y≦1)があり、In系化合物としては、GaxIn1-xAs(0≦x≦0.9)、AlxIn1-xAs(0≦x≦1)、(AlxGa1-xyIn1-yAs(0.1≦x≦1、0≦y≦0.9)があり、Al系化合物としては、AlxGa1-xAs(0.1≦x≦1)、AlxIn1-xAs(0≦x≦1)、(AlxGa1-xyIn1-yAs(0.1≦x≦1、0≦y≦0.9)がある。ここでは、第二半導体コンタクト層7として、GaP、Ga0.5In0.5P、InP、AlP、Al0.5Ga0.5P、Al0.5In0.5P、(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5P、Ga0.1In0.9As、InAs、(Al0.1Ga0.90.1In0.9As、Al0.1Ga0.9As、AlAsについて試作した。
【0036】
このエピタキシャルウェハに、金属酸化物窓層となるITO膜8をスプレー熱分解法にて、約200nm形成した。この時の成膜温度(基板表面温度)は、400℃である。
【0037】
このようにして製作されたITO膜付きエピタキシャルウェハ上のITO膜の比抵抗を調べたところ、下記の表1及び図2のようになった。
【0038】
このエピタキシャルウェハ上面には直径125μmの円形p側電極(表面電極)9を、マトリックス状に蒸着で形成した。p側電極9は、金・亜鉛、ニッケル、金を、それぞれ60nm、10nm、1000nmの順に蒸着した。更にエピタキシャルウェハ底面には、全面にn側電極(裏面電極)10を形成した。n側電極10は、金・ゲルマニウム、ニッケル、金を、それぞれ60nm、10nm、500nmの順に蒸着し、その後、電極の合金化であるアロイを、窒素ガス雰囲気中400℃で5分間行った。その後、上記ITO膜及び電極付きエピタキシャルウェハを、チップサイズ300μm角の発光ダイオードにするため、ダイシングにて切断加工して、発光ダイオードチップを製作した。
【0039】
このようにして製作されたLEDチップにつき、そのLED特性(20mA通電時の順方向動作電圧と発光出力)を調べたところ、下記の表1のような結果になった。
【0040】
【表1】
Figure 0004039187
【0041】
すなわち、キャリア濃度1×1019cm-3、厚さ20nmのGaAs層から成る第一半導体コンタクト層6と、その上の第二半導体コンタクト層7であって、GaP、Ga0.5In0.5P、InP、AlP、Al0.5Ga0.5P、Al0.5In0.5P、(Al0.5Ga0.50.5In0.5P、Ga0.1In0.9As、InAs、(Al0.1Ga0.90.1In0.9As、Al0.1GaAs、AlAsのいずれか一つから成り、厚さ5nmでキャリア濃度が5×1017cm-3である第二半導体コンタクト層7とを積層した積層構造を、上記第二クラッド層5と上記金属酸化物窓層たるITO膜8と間に挿入する事により、20mA通電時の順方向動作電圧は、表1及び図3に示すように2.00〜2.14(V)と低くなり、また発光出力は、表1及び図4に示すように2.00〜2.41(mW)と高い値を示した。
【0042】
<比較例1>
本発明の効果を確認するため、比較例1として、図6に示した構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード用エピタキシャルウェハを製作した。
【0043】
p型AlGaInPクラッド層までのエピタキシャル成長方法、エピタキシャル層の構造等は、基本的に上記の実施例と同じとし、p型クラッド層5の上に半導体コンタクト層16として、GaP層を2μm、MOVPE法で成長させた。
【0044】
GaPは、V/III比100、成長速度1nm/sで成長した。P型クラッド層のキャリア濃度は5×l017cm-3、GaP層のキャリア濃度は1×1019cm-3である。
【0045】
このエピタキシャルウェハに、金属酸化物窓層となるITO膜8をスプレー熱分解法にて、約200nm形成した。この時の成膜温度(基板表面温度)は400℃である。
【0046】
この時のITO膜の比抵抗は、1.39×10-4Ω・cmであった。
【0047】
LEDチップにした時のLED特性を調べた結果、20mA通電時の順方向動作電圧は、11.01Vであり、上記実施例の順方向動作電圧2.00〜2.14Vよりも一桁高い値であった。
【0048】
<比較例2>
また、比較例2として、半導体コンタクト層16以外は上記比較例1と同じとして、半導体コンタクト層16のみGaAs層としたエピタキシャルウェハも製作した。この時のGaAs層の膜厚は20nmである。
【0049】
このエピタキシャルウェハに、金属酸化物窓層となるITO膜8をスプレー熱分解法にて、約200nm形成した。この時の成膜温度(基板表面温度)も400℃である。この時のITO膜は、良質の膜が形成されず、1TO膜の比抵抗は、1.5×10-1Ω・cmであった。
【0050】
このエピタキシャルウェハも、上記したプロセスと同じ工程により、チップサイズ300μm角の発光ダイオードチップを製作した。
【0051】
このLEDは、チップ作製のための切断工程であるダイシングで、作製チップの80%以上でITO膜が剥がれた。またITO膜が剥がれていないチップのLEDの特性を調べた結果、20mA通電前に、LEDが破壊され、順方向動作電圧の評価ができなかった。このため20mA通電時の順方向動作電圧は、上記GaPコンタクト層の11.01Vよりも高い事が解った。
【0052】
以上のように、金属酸化物窓層とp型クラッド層の間に、第一半導体コンタクト層としてGaAs層、第二半導体コンタクト層としてP系、In系、Al系化合物の積層構造を挿入する事により、低動作電圧であり、且つ良好な発光出力を併せ持つLEDを製作することができた。
【0053】
<他の実施例、変形例>
上記実施例では発光部をAlGaInP4元ダブルヘテロ構造部分にて構成したが、GaInPで構成することもできる。
【0054】
また上記実施例では、表面電極と裏面電極の金属層の形状が円形であるが、異形状、例えば四角、菱形、多角形等でも、同様の効果を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、第二クラッド層と金属酸化物窓層の間に、第二導電型のAlxGa1-xAs(0≦x≦1)から成る第一半導体コンタクト層と、その上のP系、In系又はAl系の化合物から成る第二半導体コンタクト層との積層構造を設け、第一半導体コンタクト層でトンネル電流を発生させ、第二半導体コンタクト層で比抵抗の低い良質の金属酸化物窓層を形成するようにしたので、順方向動作電圧が低く、且つ良好な発光出力を発生するLEDを、極めて安価に製作することができるようになった。すなわち、順方向動作電圧が低いため、LED用のエピタキシャル層の膜厚は五分の一から数十分の一まで薄くする事ができるようになった。これは、LEDを構成するエピタキシャル層の中で窓層(電流分散層)の厚さが最も厚かったためである。これにより、LED用エピタキシャルウェハの価格を大幅に低減する事ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるAlGaInP系赤色LED用エピタキシャルウェハの断面構造図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる第二半導体コンタクト層の材料とITO膜の比抵抗の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施例にかかる第二半導体コンタクト層の材料とLEDの順方向動作電圧の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施例にかかる第二半導体コンタクト層の材料とLEDの発光出力の関係を示すグラフである。
【図5】GaAsコンタクト層膜厚と発光出力の関係を示すグラフである。
【図6】比較例にかかるAlGaInP系赤色LED用エピタキシャルウェハの断面構造図である。
【図7】従来のAlGaInP系発光ダイオードチップの外観図である。
【符号の説明】
1 基板
2 バッファ層
3 第一クラッド層
4 活性層
5 第二クラッド層
6 第一半導体コンタクト層
7 第二半導体コンタクト層
8 ITO膜(金属酸化物窓層)
9 p側電極(表面電極)
10 n側電極(裏面電極)

Claims (6)

  1. 第一導電型の基板の上に、活性層を導電型が異なる第一クラッド層と第二クラッド層で挟んだ発光部を形成し、その上に金属酸化物からなる窓層を形成し、その表面側の一部に表面電極を形成し、上記基板の裏面に全面又は部分電極から成る裏面電極を形成した半導体発光素子において、
    上記第二クラッド層と上記金属酸化物窓層の間に、第二導電型のGaAsから成るトンネル電流を発生させる第一半導体コンタクト層と、その上のP系、In系又はAl系の化合物から成り、上記第一半導体コンタクト層のキャリア濃度よりも低いキャリア濃度を有する第二半導体コンタクト層との積層構造を設けたことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 請求項1記載の半導体発光素子において、
    上記第二クラッド層と上記金属酸化物窓層の間に配設される積層構造の構成要素のうち、第一半導体コンタクト層が第二導電型のGaAsから成り、その上の第二半導体コンタクト層が、AGa1−xP(0≦x≦1)、AlIn1−xP(0≦x≦1)、(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1、0≦y≦1)、AIn1−xAs(0≦x≦1)、(AlGa1−xIn1−yAs(0.1≦x≦1、0≦y≦0.9)、AlGa1−xAs(0.1≦x≦1)、AlIn1−xAs(0≦x≦1)、(AlGa1−xIn1−yAs(0.1≦x≦1、0≦y≦0.9)の何れか一つから成ることを特徴とする半導体発光素子。
  3. 請求項1又は2記載の半導体発光素子において、
    記第二導電型の第一半導体コンタクト層の膜厚が1nm〜100nmの範囲にあることを特徴とする半導体発光素子。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体発光素子において、
    上記第二半導体コンタクト層の材料が活性層のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有し、上記第二半導体コンタクト層の膜厚が1nm〜100nmの範囲にあることを特徴とする半導体発光素子。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光素子において、
    上記第二導電型の第一半導体コンタクト層のキャリア濃度が1×1019cm−3以上であることを特徴とする半導体発光素子。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体発光素子において、
    上記基板がGaAsであり、発光部がAlGaInPまたはGaInPであることを特徴
    とする半導体発光素子。
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