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JP2005336080A - 血管新生療法用細胞の分離回収方法および分離回収システム - Google Patents

血管新生療法用細胞の分離回収方法および分離回収システム Download PDF

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JP2005336080A JP2004155614A JP2004155614A JP2005336080A JP 2005336080 A JP2005336080 A JP 2005336080A JP 2004155614 A JP2004155614 A JP 2004155614A JP 2004155614 A JP2004155614 A JP 2004155614A JP 2005336080 A JP2005336080 A JP 2005336080A
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Yuko Shioda
優子 塩田
Takahiro Hori
隆博 堀
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Abstract

【課題】 人体の疾患部位に注入することによって血管新生による治療を行うための血管新生療法用細胞を、原料細胞液から大量に分離回収する方法および該方法のためのシステムを提供すること。
【解決手段】 赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる細胞捕捉フィルターに血管新生に有効な細胞を含む原料細胞液を流すことにより血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させる捕捉工程、および該細胞捕捉フィルターに捕捉された該細胞を回収する回収工程を含む、血管新生療法用細胞の分離回収方法において、上記捕捉工程と上記回収工程とからなる捕捉・回収操作を同一のフィルターを用いて繰り返し行うことを特徴とする血管新生療法用細胞の分離回収方法、および該方法を実施するための血管新生療法用細胞の分離回収システム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、血管新生に有効な細胞と夾雑細胞とを含む原料細胞液から、血管新生に有効な細胞を分離回収する方法およびシステムに関する。
食生活の西欧化および高齢化の影響によって高脂血症あるいは糖尿病患者が急速に増大しており、その結果、血管障害による疾病が増大している。特に心臓血管あるいは脳血管の障害は、直接死に至る場合や、また重大な後遺症を伴う場合が多く、高齢化社会の進展と共に重大な問題となりつつある。
機能不全に陥った臓器や組織を回復させる手段として、臓器あるいは組織に分化する以前の細胞の移植によって臓器あるいは組織そのものを体内で再生させるいわゆる再生医療という概念については、世界的に注目され、多くの研究が行われている。再生医療の中で、血管内皮前駆細胞(EPC)による血管新生は、最近特に長足の進歩を遂げた領域である。浅原教授によって血管新生の新たなメカニズムが提唱され(非特許文献1参照)、それに基づく治療が試みられ、臨床効果が次々と発表されている(非特許文献2参照)。さらに、血管新生療法は臓器再生の領域まで広がりを見せており、たとえば膵臓の機能不全に対して虚血部位の血管を新生することによって幹細胞を活性化し、臓器再生を促す効果も報告されている(非特許文献3参照)。
現在、血管新生療法の臨床効果が先駆的に行われている分野は、下肢の閉塞性動脈硬化症である。下肢の血管障害としては、バージャー病と呼ばれる四肢や指趾の虚血に伴う潰瘍、壊疽がかねてより存在するが、最近は糖尿病由来の下肢閉塞性動脈硬化症の発症例増大が著しい。国内の閉塞性動脈硬化症の推定患者数は10万人であり、将来的には100万人に達すると予測されている(非特許文献4参照)。
特に、下肢の閉塞性動脈硬化症によって下肢切断を余儀なくされる患者が年々増えており、年間2万人とも言われている。下肢閉塞性動脈硬化症によって下肢切断に至った場合の予後は悪く、5年後には半数が死亡し、30%が対側の下肢の切断に至ることが報告されている(非特許文献5参照)。
下肢切断を回避する手段として、患者自身の単核球を採取し、虚血部位に輸注することによって閉塞性動脈硬化症を治療する方法が試みられ、高度先進医療として厚生労働省の認可を取得するに至った。高度先進医療として厚生労働省の認可を取得した治療方法は、骨髄液を採取し、単核球を分離して輸注する治療方法であるが、一方、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等の骨髄の刺激剤を静脈注射により投与し、骨髄中のCD34陽性細胞を含む単核球を大量に末梢血液中に動員し、引き続いて末梢血中の単核球を回収する方法等も試みられ、成果を上げている。特に後者の、G-CSF投与による方法については多くの臨床効果が発表されており(非特許文献6参照)、またG-CSF投与等の刺激を行わずに、末梢血中に存在する単核球を連続遠心法により回収し、血管の閉塞部位に輸注することによる治療への応用を試みている例もある(非特許文献7参照)。この方法では、末梢血中の単核球を採取し、末梢血中の単核球を欠乏させることによって、骨髄から末梢血への新たな単核球動因を促すというメカニズムも期待され、G-CSFの投与なしでも、血管新生を発現する細胞を採取できる可能性がある。これら末梢血単核球を用いた治療法は、骨髄採取に比べて患者の負担が軽く、頻回治療が可能であるという利点もある。
本発明で言う血管新生療法の範囲は、閉塞性動脈硬化症の他、以上述べた血管新生によって治療効果を発現しうる全ての領域を含む。
血管新生療法は、下肢閉塞性動脈硬化症の治療を発端とし、人体の様々な血管障害による疾患部位の治療へと発展し、さらに血管新生によって誘起される臓器再生への可能性を有する画期的な療法と言える。しかし血管新生療法用細胞組成物の分離濃縮においては、多くの問題が残されており、血管新生療法が疾病の初期段階で有効に利用される、あるいはさらに予防的に利用されるといった状態を実現するには多くの課題を解決しなければならない。
現在、単核球の分離濃縮に利用されているのは主として連続遠心法である。連続遠心法は体外循環しながら血液を遠心して赤血球、血小板、白血球、血漿等に分離し、必要成分を採取して残りはドナーに返すという方法で、成分献血等にも応用されている。しかし連続遠心法で使用される抗凝固剤はクエン酸系のACD-A等であり、たとえばヘパリンには対応できない。
抗凝固剤として一般に使用されているものはACD-Aの他、CPD、フサン、ヘパリン等があり、目的や条件において好適に選択されるものであるが、クエン酸系抗凝固剤は多量に用いると稀に中毒症状を起こすことが知られている。また閉塞性動脈硬化等の血管障害をもつ患者は原疾患として糖尿病を有する場合が多く、糖尿病性腎症を併発しているケースが多々ある。こういった場合すでに透析治療が行われており、透析装置に連結して同時に単核球分離回収を行うことができれば、効率的に治療ができ、患者の負担も軽減できるため望ましいが、透析において用いられる抗凝固剤はヘパリンであることから、連続遠心装置を透析装置に連結して同時に単核球の分離回収を行うことは難しい。ヘパリン系の抗凝固剤の使用できる単核球分離回収システムが実現は、クエン酸系抗凝固剤を用いた体外循環における副作用の問題を解決できるばかりでなく、透析患者における血管新生療法の適用において、患者負担と操作上の手間を軽減できるため、臨床現場での期待は大きい。
さらに、遠心分離ではなく何らかのフィルター操作によって単核球を分離した場合、単核球とフィルター表面との相互作用によって単核球を活性化させ、サイトカインの産生を促進することが可能となる。このことにより、G-CSF投与を行わない患者においても末梢血から治療効果の高い細胞あるいは成分を効率的に回収できる可能性がある。
血管新生による治療方法の拡大に対して、現状の遠心分離法の限界を超える新規の血液処理システムが大きな役割を果たすことが期待される。
これまで、フィルターによる細胞の回収の試みはいくつかなされている。繊維をカラムに充填し、さらに繊維表面をコーティングした材料によって白血球を回収する概念は特許文献1及び特許文献2に開示されており、またそれらのシステムを示した特許文献としては特許文献3がある。特に単核球を含む有核細胞の回収を目的とした文献には特許文献4及び特許文献5、さらにそのシステムを示したものとして特許文献6及び特許文献7がある。いずれも原料液の目詰まりを防ぎつつ効果的に目的細胞を回収する技術が開示されている。また体外循環を前提とした白血球の除去システムとして特許文献8及び特許文献9がある。しかしこれまでの設計思想において、体外循環によって大量の血液を処理し、しかも血液処理によって細胞捕捉フィルターに捕捉された細胞を回収し、特定の治療に使用することに関する検討は不十分である。治療に必要な細胞数からみて、採血によって得られる血液量、例えば500mL以下では、必要細胞数をまかなうことができない場合が多い。したがって体外循環システムの導入を考慮する必要があり、体外循環システムにおいては小さなプライミングボリュームで多くの血液を処理するためのフィルター閉塞の回避や、所定量の細胞を捕捉できる容量を確保すること、あるいは患者への負担軽減を考慮した場合、抗凝固剤としてヘパリンを使用できること、さらには捕捉した細胞を効果的に回収する方法などを設計思想に加える必要があり、これまでになかった発想が必要である。
細胞捕捉フィルターを用いて末梢血を大量に処理し、血管新生に有効な細胞を捕捉した上で、さらに回収するという方法は、これまでに実現できなかった発想である。またフィルターによる特定細胞に対する選択的な捕捉性能、フィルター表面による捕捉細胞への活性化促進の相互作用は、フィルターによるデバイスが実現して初めて可能となる機能であり、従来の連続遠心法では実現し得なかったものである。このようなデバイスが構成されることによってG-CSF投与を行わず、患者負担の軽い治療法においても、優れた効果を期待できる治療方法が実現しうる。
Isner, J. &Asahra,T. J.Clin.Invest., 103: 1231-1236 Tateishi-Yuyama E., Matsubara H., et.al. THE LANCET, vol360, Aug.10, 2003 Sakano, S.,et.al., Nature Biotechnology, July issue(2003) 「下肢閉塞性動脈硬化症」重松宏監修(2001) Management of Peripheral Arterial Disease J Vasc Surg 31,2000 堀江卓 日本再生医療学会雑誌 vol2 Suppl Po-058(2003) 浅井隆善、清水直美他 日本輸血学会誌vol.49 No.2,Page259(2003) 特開昭55−129755号公報 特開昭57−145662号公報 特開平9−56813号公報 特開平11−9270号公報 特開平11−56351号公報 特開2001−136956号公報 特開2001−198214号公報 特開昭62−243561号公報 特開2001−161812号公報
本発明は、人体の疾患部位に注入することによって血管新生による治療を行うための血管新生療法用細胞を、末梢血から大量に分離回収する方法および該方法のためのシステムを提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討を重ね、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる細胞捕捉フィルターに、血管新生に有効な細胞を含む原料細胞液を流すことにより、血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させる工程、および該細胞捕捉フィルターに捕捉された該細胞を回収する工程を含む血管新生療法用細胞の分離回収方法において、一定量の細胞捕捉材に大量の原料細胞液を流すと捕捉した細胞が回収されにくくなること、また細胞捕捉材と原料細胞液を長時間接触させ続けることにより該細胞捕捉材に細胞が強固に付着し回収されにくくなることを発見し、短時間に少しずつ細胞を回収することが高効率で細胞を分離回収するために必要であることを見出した。さらにこの知見を実際に利用可能なシステムとするとき、同一のフィルターを用いて少しずつ、繰り返し捕捉回収を行うことにより、細胞の回収効率を高く、システムをよりシンプルにできることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明によれば、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる細胞捕捉フィルターに血管新生に有効な細胞を含む原料細胞液を流すことにより血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させる捕捉工程、および該細胞捕捉フィルターに捕捉された該細胞を回収する回収工程を含む、血管新生療法用細胞の分離回収方法において、上記捕捉工程と上記回収工程とからなる捕捉・回収操作を同一のフィルターを用いて繰り返し行うことを特徴とする血管新生療法用細胞の分離回収方法が提供される。
好ましくは、前記血管新生に有効な細胞は、有核細胞を含む。
好ましくは、前記血管新生に有効な細胞は、単核球を含む。
好ましくは、前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液中の血管新生に有効な細胞の総数を、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定する。
好ましくは、前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液中の血管新生に有効な細胞の総数は1×107〜1×109個である。
好ましくは、前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回についての細胞捕捉材と原料細胞液の接触時間を、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定する。
好ましくは、前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回についての細胞捕捉材と原料細胞液の接触時間は5〜50分である。
好ましくは、前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液を、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定する。
好ましくは、前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液は10〜60cm3である。
好ましくは、血管新生に有効な細胞の回収率は50%以上である。
好ましくは、回収する単核球の総量は1010個以上である。
好ましくは、前記細胞捕捉フィルターを血液体外循環システムの血液回路の一部に直列または並列に組み込んで行う。
本発明の別の側面によれば、上記した血管新生療法用細胞の分離回収方法により得られる血管新生療法用細胞が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、原料細胞液の導出口、上流側管路、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる細胞捕捉フィルター、下流側管路、原料細胞液の返却口がこの順に接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側に回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側に細胞回収手段が設けられ、さらにまた上流側管路と下流側管路とをバイパスする管路が接続されていることを特徴とする血管新生療法用細胞の分離回収システムが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、原料細胞液の導出口、途中から複数に分岐する上流側管路、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる、上流側管路の分岐の数と同じ数の細胞捕捉フィルター、細胞捕捉フィルターと同じ数の分岐を持つ下流側管路、原料細胞液の返却口がこの順に接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側の分岐した個々の管路に接続される回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側の分岐した個々の管路から細胞を回収する細胞回収手段が設けられていることを特徴とする血管新生療法用細胞の分離回収システムが提供される。
好ましくは、上記した血管新生療法用細胞の分離回収システムは血液体外循環システムの血液回路の一部に直列または並列に組み込まれている。
好ましくは、血液体外循環システムは血液透析システムである。
好ましくは、細胞回収手段に、さらに細胞濃縮装置が接続されている。
好ましくは、細胞濃縮装置は中空糸膜型細胞濃縮器である。
本発明を用いることにより、シンプルなシステムで回収効率よく、大量の血管新生療法用細胞を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言う血管新生に有効な細胞とは、有核細胞および血小板などを言い、有核細胞の中でも、単核球が特に血管新生に有効な細胞である。また血管新生療法用細胞組成物とは、上記血管新生に有効な細胞を成分として含む組成物のすべてを意味する。
血管新生療法用細胞組成物において、血管新生に有効な細胞以外に含まれる成分としては、原料細胞液中に混在する赤血球が挙げられる。赤血球は血管への分化能を有さず、血管新生に有効な液性因子等を産生する機能を持たないため、血管新生療法においては特に必要とされない細胞である。しかし、原料細胞液から血管新生に有効な細胞を分離回収する過程で完全に除去することは困難であるため、血管新生療法用細胞組成物における夾雑細胞として組成物中に含まれることがある。
本発明で言う血管新生に有効な細胞を含む原料細胞液とは、少なくとも血管新生に有効な細胞を含有する細胞浮遊液であればよく、末梢血、骨髄液、臍帯血等が例示できる。
血管新生療法の範囲は上記した通り、閉塞性動脈硬化症の他、血管新生によって治療効果を発現しうる全ての領域を含み、血管新生によって治療効果を発現し得る病態としては、糖尿病由来の閉塞性動脈硬化症がひとつの例であり、冠状動脈の閉塞症あるいは下肢閉塞性動脈硬化症等が挙げられる。
本発明で言う細胞捕捉フィルターとは、細胞捕捉材を原料細胞液導入口と原料細胞液導出口を有する容器に充填したものである。
細胞捕捉材としては多孔質体が好ましく用いられる。ここで言う多孔質体とは、繊維からなる多孔質体、粒子からなる多孔質体およびスポンジ状多孔質体から成る群から選ばれる1種以上であることが好ましい。細胞を効果的に捕捉するためには、原料細胞液が細胞捕捉材を通過する間に、細胞捕捉材を構成する材料の表面と効果的に接触することが好ましく、従って原料細胞液が多孔質体の細孔を通過する形が好ましい。該多孔質体は、一般的な不織布や焼結体の他、原料細胞液処理時に多孔質体の形状を為しているものであればよく、たとえば繊維をカラムに充填したもの、粒子をカラムに充填したものも、多孔質体として採用することができる。またスポンジ状多孔質体とは、相分離によって得られる多孔質体、発泡によって得られる多孔質体、さらには電離性の放射線照射やエッチングによって開孔される多孔質体もその範疇の中に含む。
これら多孔質体の素材としては、赤血球は実質的に捕捉せず、血管新生に有効な細胞は捕捉するものならば、いかなる材料も使用できるが、成形性や滅菌性に優れ、細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン/テトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等、その他各種合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属が挙げられる。
これらの中で、ポリエステルあるいはポリプロピレンを素材とする不織布フィルターは白血球除去フィルターとしての実績が多く、本発明において好適に使用することができる。たとえば、平均繊維径1.0〜30μmの不織布は、単核球を含む有核細胞あるいは血小板の捕捉性能の面で好適な素材であり、細胞捕捉フィルターの構成要素として好適に採用され、さらに好ましくは平均繊維径1.0〜10μmである。1.0μm未満では血管新生に有効な細胞が強固に捕捉されてしまい回収困難となる可能性がある。また30μmを超えると血管神聖に有効な細胞が繊維に捕捉されず素通りする可能性が高くなる。いずれの場合も回収率の低下につながるおそれがあるので好ましくない。
使用条件や使用目的によって、細胞捕捉材の細孔内表面は適宜改質されているものを選択することができる。たとえば素材表面を親水化した細胞捕捉材は、原料細胞液をフィルターに均一に流すために効果的であり、好適に選択される。表面改質の方法は、親水性の表面を構築することが基本となり、公知の方法を目的に応じて採用することができる。たとえば電離性の放射線照射後、熱水で処理することによって表面を親水化することが可能である。また両親媒性の高分子をコーティングすることによっても表面改質は可能である。たとえばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアクリルあるいはメタクリル系の高分子、あるいはアミン系高分子やポリエチレングリコール系高分子、またはそれらの共重合体等による親水化である。これらの中で、ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体は、白血球を選択的に吸着する性能に優れたコーティング剤として実績があり、好適に採用される(特開平10−234361号公報)。また、グラフト重合法は細胞捕捉材に化学的に親水性を有する高分子を結合させる方法で、溶出の心配が無いなどの利点を有する。特開2000−185094号公報に記載された方法などが好適に採用される。
この細胞捕捉材を充填する、原料細胞液の導入口と導出口を有する容器の材質としては、成形性や滅菌性に優れ、細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン/テトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等、その他各種合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属が挙げられる。
容器の構造としては、形状は直方体、立方体、円柱形、楕円柱形などがあげられるが、いずれの形状でもよい。また、原料細胞液の入口と出口の位置としては、入口は濾材の最上層に液体を導入できる位置であればよく、また出口は濾材の最下層から液体を導出できる位置であればよい。
以上述べた細胞捕捉フィルターへ原料細胞液を流す方法は、フィルターに液体を導入し、一定方向に通液させればよい。原料細胞液を細胞捕捉フィルターに導入する手段は、シリンジポンプ、ブラッドポンプ、ペリスタポンプ等の装置を用いるものや、簡便法としてシリンジを手で押す方法、液体を貯留したバッグを押しつぶして液流を惹起する方法、落差処理等があげられるが、フィルターを体外循環システムに組み込んで使用する場合は、ブラッドポンプやペリスタポンプが好ましく用いられる。
細胞捕捉フィルターに原料細胞液を流す際のフィルター前後の差圧は、0.01以上50kPa未満が好ましく、さらに好ましくは0.1以上20kPa未満である。原料細胞液に高濃度の赤血球を含む場合、差圧が大きすぎると血球の変性を免れない。上記差圧範囲ならば血球の変性を回避することができ、また一定の処理速度を維持できる。
細胞捕捉フィルターに原料細胞液を流すに際しては、充填された細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液中の血管新生に有効な細胞の総数を、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定することが好ましい。例えば、細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液中の血管新生に有効な細胞の総数は、1×107〜1×109個であることがさらに好ましい。ここで言う細胞捕捉材の表面積とは、血管新生に有効な細胞、主として単核球を捕捉し、赤血球は通過する捕捉材の材料表面積を指し、たとえば不織布を細胞捕捉材として用いる場合、以下の式により算出される。
細胞捕捉材表面積(m2)=(4×A×10-3)/(B×C)
A:細胞捕捉材の重量(mg)
B:細胞捕捉材の平均繊維径(μm)
C:細胞捕捉材の材質の比重(g/cm3
血管新生に有効な細胞の総数が細胞捕捉材の表面積1m2あたり1×107個未満では、充分な量の原料細胞液を流すことができず、細胞を回収することが難しくなり、血管新生に有効な細胞の総数が細胞捕捉材の表面積1m2あたり1×109個より多い場合は、血液流速が速すぎて処理そのものが困難になり、また処理できたとしても回収率が著しく低下するため好ましくなく、さらに捕捉材表面に細胞が積層され、また細胞捕捉材の細孔に細胞が潜り込んでしまうため、回収率の低下を招くため好ましくない。
また細胞捕捉フィルターに原料細胞液を流す際、細胞捕捉材と原料細胞液の接触時間は、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定することが好ましい。例えば、前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回についての細胞捕捉材と原料細胞液の接触時間は、5分以上50分以下、より好ましくは5分以上30分以下とすることができる。ここで言う接触時間とは、細胞捕捉フィルターに原料細胞液を導入しはじめてから、後述するようなフィルターの洗浄液を導入するまでの時間、洗浄操作を工程に加えない場合は、原料細胞液を導入しはじめてから回収液を導入するまでの時間を指す。接触時間が5分未満では、たとえばフィルターを体外循環システムに組み込んだ場合、流す血液の流速は30〜80cm3/分程度が適当であるが(流速が遅すぎると体外循環回路内で凝固する原因になり、速すぎるとドナーの負担が大きく血流が取れない)、処理する血液量が少ないため、回収時に充分な量の細胞が得られなくなる可能性があり、好ましくない。一方、接触時間が50分を超えると、フィルターに捕捉された細胞が濾材表面に強固に張り付いてしまい、回収率の低下を招くため好ましくない。
さらに、細胞捕捉フィルターに原料細胞液を流す際、細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液量は、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定することが好ましい。例えば、前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液量は10〜60cm3であることが好ましい。原料細胞液量が10cm3未満の場合には、充分量の血管新生に有効な細胞を流すことができず、細胞を回収することが難しくなり、原料細胞液量が60cm3より多い場合には、捕捉材表面に細胞が積層され、また細胞捕捉材の細孔に細胞が潜り込んでしまうため、回収率の低下を招くため好ましくない。
本発明の方法によれば、血管新生に有効な細胞の回収率は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
本発明で言う捕捉細胞を回収する方法とは、細胞捕捉フィルターに原料細胞液の通液方向と同一方向または逆方向に向かって回収液を送り出し、細胞捕捉フィルターに捕捉された細胞を回収することを言う。回収液を細胞捕捉フィルターに導入する手段は、シリンジポンプ、ブラッドポンプ、ペリスタポンプ等の装置を用いるものや、簡便法としてシリンジを手で押す方法、液体を貯留したバッグを押しつぶして液流を惹起する方法、落差処理等があげられるが、捕捉された細胞にある程度の剪断応力を加えることが回収率向上のために好ましく、細胞捕捉の際の差圧より高い領域で回収操作を行うのが望ましい。
回収液としては、血管新生に有効な細胞の変性が少ないものの例として、生理食塩水、ダルベッコリン酸塩緩衝液(D-PBS)、ハンクス液(HBSS)等の緩衝液、RPMI1640等の培地等が好適に採用される。また、効率よく回収するためには一定の粘性を有した方が好ましく、血管新生に有効な細胞への悪影響が少ない範囲で粘度調整を行うことが好ましい。デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、グルコース、サッカロース、トレハロース等を添加することによって、血管新生に有効な細胞保護のメリットを得る他、回収液の粘度の調整によって回収率を向上させることが可能となる。また、2価カチオンを除去して細胞剥離を容易にする目的でEDTA等のキレート剤が含有されていてもよい。
上記血管新生療法用細胞の分離回収方法においては、細胞捕捉フィルターに原料細胞液を流した後、さらに該細胞捕捉フィルターを洗浄する工程を加えることにより、赤血球の混入量を減らすことができるため、洗浄する工程を加えることが好ましい。
細胞捕捉フィルターの洗浄方法は、該フィルターに原料細胞液の通液方向と同一方向あるいは逆方向から洗浄液を送り出せばよい。このとき洗浄液を送り出す方向は、原料細胞液を通液させる方向と同一方向の方が、フィルター上に捕捉された血管新生に有効な細胞の流出防止の点で有効であり、より好ましい。洗浄液としては、細胞に損傷を与えず、赤血球を流出させるものならば特に限定しないが、好ましいものを例示すると、生理食塩水、PBS(リン酸緩衝液)やHBSS(ハンクス液)等の緩衝液、RPMI1640等の細胞培養用培地が挙げられ、これらの液体に、細胞保護、栄養補給、抗凝固性付与、粘度向上等の目的で必要に応じ、血漿、血清、アルブミン、グロブリン、グルコース、サッカロース、トレハロース、クエン酸化合物、EDTA、デキストラン、ゼラチン等を添加してもよい。また、洗浄液を細胞捕捉フィルターに導入する手段は、シリンジポンプ、ブラッドポンプ、ペリスタポンプ等の装置を用いるものや、簡便法としてシリンジを手で押す方法、液体を貯留したバッグを押しつぶして液流を惹起する方法、落差処理等があげられる。
上記方法により得た血管新生療法用細胞は、直接あるいは何らかの処理を加えた後、疾患部位に輸注される。ここでいう何らかの処理とは、さらなる濃縮操作、あるいは希釈操作、また凍結、加温等の温度履歴などを言い、治療の手順によってこれら処理方法は適宜選択される。すなわち、少量ずつ長期に輸注される場合、散在する疾患部位の何箇所かに輸注される場合、特定の臓器に輸注される場合、輸注面積の大小や疾患の程度によって該細胞組成物の輸注の方法は最良のものが選択される。また輸注による治療を受ける患者と、血液中の血管新生に有効な細胞を提供する人とは、同一人であることが好ましい。同一人であることによって、移植に伴う拒絶反応は基本的に回避することができる。
本発明における血管新生療法用細胞の分離回収方法によって、大量の、特に1010個以上の単核球を採取するためには、同一のフィルターを用いて上記捕捉回収の工程を繰り返し行うと、効率よく大量の単核球を得ることができる。先に述べたように細胞捕捉フィルターに充填された細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液中の有核細胞総数は1×107〜1×109個であることが望まく、1010個の単核球を回収するためには、少なくとも1010個以上の単核球を含む原料細胞液を流さねばならず、原料細胞液が末梢血である場合、有核細胞中の単核球の含有率は30〜40%であるため、細胞捕捉材は30m2以上が必要となる。たとえば細胞捕捉材として不織布を用いた場合、表面積30m2以上の細胞捕捉材をフィルターに充填するとなると、フィルターの容積は500〜1000cm2にもなり、医療現場で日常的に使用するには現実的でない。そこで、たとえば細胞捕捉材の量を10分の1とし、原料細胞液を10等分して、同一のフィルターを用いて10回捕捉回収操作を繰り返すと、捕捉回収操作1回あたり、細胞捕捉材1m2に流れる有核細胞の数は109個となり、高効率で単核球が回収でき、かつフィルターの容積も50〜100cm2とコンパクトにでき、実用に供するに足るフィルターシステムができる。
本発明における血管新生療法用細胞の分離回収方法は、体外循環システムを用いて行うことが好ましい。血管新生によって一定の治療効果を上げるためには、所定量以上の血管新生に有効な細胞が濃縮されていることが好ましく、たとえば糖尿病による重篤な下肢の閉塞性動脈硬化症に必要な細胞の個数は、単核球において1010個と言われている。ただこれは血管新生療法を適用する疾患部位の面積にも依存し、輸注を行う部位が限定されている場合、必ずしも1010個の単核球を必要とせず、場合によっては108個の単核球によって一定の治療効果が期待できる場合もありうる。しかし実際には、疾患部位に有効な治療を行うためには109個以上、好ましくは1010個以上の単核球が必要と言われており、その場合は体外循環が前提となる。また上記のような同一のフィルターを用いて繰り返し捕捉回収を行うシステムを組み込むと、フィルターをコンパクトにできるため体外循環血液量を減らすことができ、かつ高効率で単核球が回収できるためさらに好ましい。
体外循環の場合の抗凝固剤は、適宜選択される。ACD-A、CPD等のクエン酸系抗凝固剤の他、メシル酸ナファモスタットを含有するフサン等が想定されるが、ヘパリン系の抗凝固剤は血液透析に一般的に採用されており、副作用の少ない抗凝固剤として好適に採用される。特にヘパリンを採用することによって血液透析回路に連結して処理することが可能となり、透析患者に対しては通常の透析治療以外に単核球採取を目的とした行為が必要なくなるという大きな利点を得ることができる。
本発明による血管新生療法用細胞の分離回収方法は、原料細胞液の導出口、上流側管路、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる細胞捕捉フィルター、下流側管路、原料細胞液の返却口がこの順に接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側に回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側に細胞回収手段が設けられている血管新生療法用細胞の分離回収システムを用いて行うことができる。また、上記システムに上流側管路と下流側管路とをバイパスする管路が接続されているシステムを用いて行うことができる。さらにまた、原料細胞液の導出口、途中から複数に分岐する上流側管路、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる、上流側管路の分岐の数と同じ数の細胞捕捉フィルター、細胞捕捉フィルターと同じ数の分岐を持つ下流側管路、原料細胞液の返却口がこの順に接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側の分岐した個々の管路に接続される回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側の分岐した個々の管路から細胞を回収する細胞回収手段が設けられている血管新生療法用細胞の分離回収システムを用いて行うことができる。
以下、図面を参照して、本発明のシステムを説明する。図1に細胞捕捉フィルターの構造の1例を示す。細胞捕捉材積層体1は、構造あるいは素材の異なる2層以上の細胞捕捉材が積層されたものを示す。図1においては、細胞捕捉材積層体1として、細胞捕捉材A(5)、細胞捕捉材B(6)及び細胞捕捉材C(7)が積層されたものを示している。図1aは、1組の細胞捕捉材積層体1を細胞捕捉フィルターケース4内に収納したものである。原料細胞液は細胞捕捉フィルター入口2から流入し、細胞捕捉材積層体1を通過して、細胞捕捉フィルター出口3から流出する構造となっている。細胞捕捉材積層体1は、構造あるいは素材の異なる3層の細胞捕捉材を積層した構造を示しているが、積層する細胞捕捉材の種類、層数及び組み合わせは、目詰まりを回避し、効率的に細胞を捕捉回収する構造が選択される。
図1bは、細胞捕捉フィルターケース4内に2組の細胞捕捉材積層体1を充填したものである。原理的には、図1aと同様であるが、1つの容器に2組の細胞捕捉材積層体を導入することによって、細胞捕捉フィルターケース内の膜面積を大きく確保することができる。図1bは、細胞捕捉フィルター入口2より導入された原料細胞液は、細胞捕捉材積層体の外部空間9にまず導入され、細胞捕捉材積層体1を透過して、細胞捕捉材積層体によって挟まれた空間8に流入し、引き続いて、細胞捕捉フィルター出口3より流出する形式となっている。細胞捕捉フィルターの構造は、図1aと同様な考え方で構成できる。
図1cは、細胞捕捉フィルター入口2より導入された原料細胞液が、細胞捕捉材積層体によって挟まれた空間8にまず導入され、細胞捕捉材積層体を透過して、細胞捕捉材積層体の外部空間9に流入し、引き続いて、細胞捕捉フィルター出口3より流出する形式となっている。やはり細胞捕捉フィルターの構造は、図1aと同様な考え方で構成できる。
図2a、bは、それぞれ図1a、bを正面から見た図である。形状はひし形となっており、図2aは、1組の細胞捕捉材積層体を細胞捕捉フィルターケースに収納したものであり、図2bは、2組の細胞捕捉材積層体を収納したものである。図2bの細胞捕捉材積層体外周の黒く縁取られた細胞捕捉材接着部10が2組の細胞捕捉材積層体を接着した部分となる。図1cに対応する正面図は、基本的には図2bを上下反転させたものと同様である。図2c、dは、図2a、bについて、長方形の形状としたものである。成形のしやすさ、流れの均一性等から、形状は適宜選択できる。
上記細胞捕捉フィルターを閉鎖系で使用するためのシステムは、特開2001−198214号公報に記載されている構成を好適に採用することができる。図3に概略を示した。
図3aにおいて、11は原料細胞液の導出口、12は原料細胞液の返却口である。また、回収液導入手段14及び細胞回収手段16が、それぞれ細胞捕捉フィルターの下流と上流に付加されている。これら各種液の導入手段あるいは回収手段を接続している部分は、細胞捕捉フィルター20の上流あるいは下流にあって、チューブ途中より分岐した形となっている。分岐部13、15及び17は、T字管あるいはY字管にクランプ等を組み合わせたもの、あるいは三方活栓等が適宜採用される。また、各種液の導入手段あるいは回収手段が当初から接続されている必要はなく、それぞれの分岐したチューブの先端にスパイクやルアー、金属針等を設置することによって、あるいは先端を封止したチューブを無菌接続器を用いて接続する等により、各種液の導入手段、回収手段の使用時に閉鎖系を維持したまま接続することが可能である。
使用方法の一例として体外循環システムに組み込んだ場合を説明すると、まず分岐部15は原料細胞液の導出口11と細胞捕捉フィルター20のみが連通するように、分岐部13は細胞捕捉フィルター20と原料細胞液の返却口12のみが連通するようにしておく。原料細胞液導出口11より、患者の静脈から血液が流入するように接続し、さらに抗凝固剤としてヘパリンを導入する手段を設け、細胞捕捉フィルター20に血液を導入し、単核球を含む細胞を細胞捕捉材積層体内に捕捉し、処理後の血液を、原料細胞液の返却口12を通じて患者に戻す。
所定量の原料細胞液を処理した後、回収液の入った、回収液導入手段たるシリンジ14を、分岐部13を通じて細胞捕捉フィルター20のみに連通させ、分岐部15は細胞捕捉フィルター20と細胞回収手段たる血液バッグ16のみが連通するようにした後、シリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押すと細胞捕捉フィルター20に捕捉されている細胞は血液バッグ16に回収される。
回収液による細胞回収に先立って、細胞捕捉フィルター内部の残存血液を該回収液に置換する操作、すなわち洗浄工程を導入するには、次のように行うとよい。図3aにおいて、細胞回収手段たる輸液バッグ16に、洗浄液を予め導入しておき、細胞捕捉フィルター20内に血液処理によって単核球を含む細胞を捕捉させた後、分岐部15を通じて、該洗浄液をフィルターユニット20に透過させ、残存している原料細胞液を細胞捕捉フィルターから排出する。しかる後に、分岐部13を細胞捕捉フィルター20とシリンジ14のみを連通させ、シリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押すと細胞捕捉フィルター20に捕捉されている細胞は輸液バッグ16に回収される。図3bには、洗浄液導入手段としての血液バッグ18を、分岐部17を介して接続した例である。使用方法は、上記と同様である。原料細胞液処理後、輸液バッグ18より細胞捕捉フィルター20に洗浄液を透過させ、しかる後に、シリンジ14より、回収液を導入し、単核球を含む細胞を細胞回収手段たる輸液バッグ16に回収する。図3cは、回収液導入手段たるシリンジ14を細胞捕捉フィルター20の上流に、細胞回収手段たる輸液バッグ16を細胞捕捉フィルターの下流に設置した例である。図3cにおいて、原料細胞液処理によって単核球を含む細胞を細胞捕捉フィルター20に捕捉させた後、洗浄液を洗浄液導入手段たる輸液バッグ18より流入させ、引き続いてシリンジ14より回収液を導入し、単核球を含む細胞を細胞回収部たる輸液バッグ16に回収することができる。
図3dに示したのは、分岐部15と輸液バッグ16の間に、濃縮フィルター19を設置したものである。濃縮フィルター19は、細胞捕捉材積層体に捕捉された細胞を回収する際に、液体成分の一部を除去し、細胞の濃度を増大させる機能がある。また図3eのごとく、回収した細胞をさらに濃縮フィルター19を用いて濃縮してもよい。そのとき濃縮された回収液は輸液バッグ21に回収される。
図4は、複数個の細胞分離フィルターを接続した場合で、例として2個のフィルターを並列接続した構成を示している。上記と同様に、細胞捕捉フィルターに原料細胞液を流し、各々から回収する操作を一度に実施してもよいが、片方のフィルターに原料細胞液を流す間は他方のフィルターにつながる管路を鉗子やクランプ等で止め、このフィルターの回収操作をする間に他方のフィルターに原料細胞液を流し、同フィルターの回収操作をする間に、最初に原料細胞液を流して回収操作を終えたフィルターに再び原料細胞液を流す、というように、複数個のフィルターを交互に使用しながら細胞を回収するという方法をとると、効率よく細胞の分離回収をすることが可能である。このとき細胞回収手段は、個々のフィルターごとに設置してもよいが(図4a)、図4bのごとく、ひとつの細胞回収手段に各々のフィルターから管路をつなぎ、ひとつの輸液バッグに貯留できるようにしてもよい。
図5に示したのは、細胞捕捉フィルターケース内に円筒型にして細胞捕捉材を導入した例である。円筒形の具体的形状は、図5aのように、単純に円筒に各種細胞捕捉材を積層したもの、図5bのようにプリーツ型としたもの、あるいは図5cのようにスパイラル型としたものなど、適宜選択することが可能である。
図6に示したのは、血液透析システムに組み込んだ場合である。22は透析装置を示し、図6aは透析装置に直列に接続した場合、図6bは並列に接続した場合である。バイパス管路23は必要に応じて適宜設置される。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
1.細胞捕捉フィルター
図1aに示す細胞捕捉フィルターを作成した。容器外寸(縦×横×厚み)は、26×26×15mmで液体流出口と液体流入口とを対角線上に持つポリカーボネート製容器に、細胞捕捉材積層体を1組導入した。細胞捕捉材積層体は、平均繊維径33μmのポリエステル不織布12枚、平均繊維径12μmのポリエステル不織布12枚、平均繊維径1.7μmのポリエステル不織布9枚を、この順に積層したものを用い、細胞捕捉フィルター入口側に平均繊維径33μmの不織布がくるように充填した。各不織布のカット寸は21×21mmで、濾過断面積は4.6cm2、繊維の表面積は0.5m2であった。このフィルターに親水性ポリマーのコーティングを行った。すなわち、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートのモル比で97:3)の1%エタノール溶液を該フィルターの入口側から通液した後、窒素ガスを通して乾燥させた。
2.血管新生療法用細胞分離回収システムおよび操作
上記1で作成した細胞捕捉フィルターを回路に組み込み、図3bに対応するシステムを構成した。原料細胞液は、抗凝固剤としてヘパリン5U/cm3を添加した人新鮮末梢血を用いた。原料細胞液導出口11に血液を入れた輸液バッグ、原料細胞液返却口12に処理後の血液を保持するための輸液バッグを接続し、さらに回収液導入手段たるシリンジ14及び細胞回収手段たる輸液バッグ16、洗浄液導入手段たる輸液バッグ18を接続した。シリンジ14にはあらかじめ回収液を導入した。洗浄液には生理食塩水(大塚製薬製)、回収液にはデキストラン40注(小林製薬製)を用いた。
血液を入れた輸液バッグから、ペリスタポンプを用いて、流速0.46cm3/分で20分間、9.2cm3の血液をフィルターに導入した。このとき、9.2cm3の血液に含まれていた有核細胞は4.7×107個で、充填した不織布の表面積1m2あたり9.4×107個の有核細胞を流した。単核球は1.7×107個であった。細胞捕捉フィルターを通った血液は、そのまま処理血液バッグに流入し、濾過終了後、洗浄液導入手段たる輸液バッグ18より洗浄液5cm3を、血液同様ペリスタポンプを用いて流速0.46cm3/分で細胞捕捉フィルターユニット20に流し、引き続いてシリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押し、回収液9cm3を該細胞捕捉フィルターに導入し、細胞回収手段たる血液バッグ16に単核球を含む細胞を回収した。しかる後に、再び血液を入れた輸液バッグからペリスタポンプを用いて、流速0.46cm3/分で20分間、9.2cm3の血液をフィルターに導入し、洗浄液5cm3を流し、引き続いて回収操作を行った。この捕捉回収の工程を合計10回、トータルで92cm3の血液を処理した。原料血液および細胞捕捉フィルターを通って処理血液バッグに流入した血液、回収液はすべて多項目自動血球計数装置(ミクロセルカウンター、シスメックス社製)により、細胞数と各細胞分画の含有率を測定した。
単核球の回収率は以下の式により算出した。
単核球回収率(%)=(1回の捕捉回収操作で得られた回収液に含まれる単核球数)/(1回の捕捉回収操作で流した元血液に含まれる単核球数)×100
操作10回での単核球回収率の平均値は64.0%、回収された単核球の総数は1.1×108個であった。
[実施例2]
1.細胞捕捉フィルター
図1aに示す細胞捕捉フィルターを作成した。容器外寸(縦×横×厚み)は、105×105×14mmで液体流出口と液体流入口とを対角線上に持つスチレン・ブタジエンブロック共重合体製容器に、細胞捕捉材積層体を1組導入した。細胞捕捉材積層体は、平均繊維径33μmのポリエステル不織布4枚、平均繊維径12μmのポリエステル不織布4枚、平均繊維径1.7μmのポリエステル不織布9枚を、この順に積層したものを用い、細胞捕捉フィルター入口側に平均繊維径33μmの不織布がくるように充填した。各不織布のカット寸は96.5×96.5mmで、濾過断面積は93cm2、繊維の表面積は9.9m2であった。このフィルターに親水性ポリマーのコーティングを行った。すなわち、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートのモル比で97:3)の1%エタノール溶液を該フィルターの入口側から通液した後、窒素ガスを通して乾燥させた。
2.血管新生療法用細胞分離回収システムおよび操作
上記1で作成した細胞捕捉フィルターを回路に組み込み、図3bに対応するシステムを構成した。原料細胞液は、抗凝固剤としてACDを、血液:ACD=8:1となるように添加した牛1日保存血を用いた。原料細胞液導出口11に血液を入れた輸液バッグ、原料細胞液返却口12に処理後の血液を保持するための輸液バッグを接続し、さらに回収液導入手段たるシリンジ14及び細胞回収手段たる輸液バッグ16、洗浄液導入手段たる輸液バッグ18を接続した。シリンジ14にはあらかじめ回収液を導入した。洗浄液には生理食塩水(大塚製薬製)、回収液にはデキストラン40注(小林製薬製)を用いた。
血液を入れた輸液バッグから、ペリスタポンプを用いて、流速20cm3/分で20分間、400cm3の血液をフィルターに導入した。このとき、400cm3の血液に含まれていた有核細胞は2.4×109個で、充填した不織布の表面積1m2あたり2.4×108個の有核細胞を流した。単核球は1.2×109個であった。細胞捕捉フィルターを通った血液は、そのまま処理血液バッグに流入し、濾過終了後、洗浄液導入手段たる輸液バッグ18より洗浄液70cm3を、血液同様ペリスタポンプを用いて流速20cm3/分で細胞捕捉フィルターユニット20に流し、引き続いてシリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押し、回収液70cm3を該細胞捕捉フィルターに導入し、細胞回収手段たる血液バッグ16に単核球を含む細胞を回収した。しかる後に、再び血液を入れた輸液バッグからペリスタポンプを用いて、流速20cm3/分で20分間、400cm3の血液をフィルターに導入し、洗浄液70cm3を流し、引き続いて回収操作を行った。この捕捉回収の工程を合計10回、トータルで4000cm3の血液を処理した。原料血液および細胞捕捉フィルターを通って処理血液バッグに流入した血液、回収液はすべて多項目自動血球計数装置(ミクロセルカウンター、シスメックス社製)により細胞数を、フローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で各細胞分画の含有率を測定した。単核球回収率の計算式は実施例1に同じ。
操作10回での単核球回収率の平均値は90.8%、回収された単核球の総数は1.0×1010個であった。
[比較例1]
1.細胞捕捉フィルター
実施例1に同じ
2.血管新生療法用細胞分離回収システムおよび操作
実施例1と同様のシステムを用い、原料細胞液は、抗凝固剤としてヘパリン5U/cm3を添加した人新鮮末梢血を用いた。
血液を入れた輸液バッグから、ペリスタポンプを用いて、流速0.46cm3/分で200分間、92cm3の血液をフィルターに導入した。このとき、92cm3の血液に含まれていた有核細胞は3.5×108個で、充填した不織布の表面積1m2あたり、7.0×108個の有核細胞を流した。単核球は1.7×108個であった。細胞捕捉フィルターを通った血液は、そのまま処理血液バッグに流入し、濾過終了後、洗浄液導入手段たる輸液バッグ18より洗浄液5cm3を、血液同様ペリスタポンプを用いて流速0.46cm3/分で細胞捕捉フィルターユニット20に流し、引き続いてシリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押し、回収液9cm3を該細胞捕捉フィルターに導入し、細胞回収手段たる血液バッグ16に単核球を含む細胞を回収した。原料血液および細胞捕捉フィルターを通って処理血液バッグに流入した血液、回収液はすべて多項目自動血球計数装置(ミクロセルカウンター、シスメックス社製)により、細胞数と各細胞分画の含有率を測定した単核球回収率の計算式は実施例1に同じ。
単核球回収率は21.3%、回収された単核球の総数は3.6×107個であった。
[比較例2]
1.細胞捕捉フィルター
実施例2に同じ
2.血管新生療法用細胞分離回収システムおよび操作
実施例2と同様のシステムを用い、原料細胞液は、抗凝固剤としてACDを、血液:ACD=8:1となるように添加した牛1日保存血を用いた。
血液を入れた輸液バッグから、ペリスタポンプを用いて、流速20cm3/分で200分間、400cm3の血液をフィルターに導入した。このとき、400cm3の血液に含まれていた有核細胞は2.4×1010個で、充填した不織布の表面積1m2あたり、2.4×109個の有核細胞を流した。単核球は1.2×1010個であった。細胞捕捉フィルターを通った血液は、そのまま処理血液バッグに流入し、濾過終了後、洗浄液導入手段たる輸液バッグ18より洗浄液70cm3を、血液同様ペリスタポンプを用いて流速20cm3/分で細胞捕捉フィルターユニット20に流し、引き続いてシリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押し、回収液70cm3を該細胞捕捉フィルターに導入し、細胞回収手段たる血液バッグ16に単核球を含む細胞を回収した。原料血液および細胞捕捉フィルターを通って処理血液バッグに流入した血液、回収液はすべて多項目自動血球計数装置(ミクロセルカウンター、シスメックス社製)により細胞数を、フローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で各細胞分画の含有率を測定した。単核球回収率の計算式は実施例1に同じ。
単核球回収率は12.7%、回収された単核球の総数は1.5×109個であった。
[比較例3]
1.細胞捕捉フィルター
実施例2に同じ
2.血管新生療法用細胞分離回収システムおよび操作
実施例2と同様のシステムを用い、原料細胞液は、抗凝固剤としてACDを、血液:ACD=8:1となるように添加した牛1日保存血を用いた。
血液を入れた輸液バッグから、ペリスタポンプを用いて、流速5cm3/分で200分間、1000cm3の血液をフィルターに導入した。このとき、1000cm3の血液に含まれていた有核細胞は5.9×109個で、充填した不織布の表面積1m2あたり、6.0×108個の有核細胞を流した。単核球は2.9×109個であった。細胞捕捉フィルターを通った血液は、そのまま処理血液バッグに流入し、濾過終了後、洗浄液導入手段たる輸液バッグ18より洗浄液70cm3を、血液同様ペリスタポンプを用いて流速5cm3/分で細胞捕捉フィルターユニット20に流し、引き続いてシリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押し、回収液70cm3を該細胞捕捉フィルターに導入し、細胞回収手段たる血液バッグ16に単核球を含む細胞を回収した。原料血液および細胞捕捉フィルターを通って処理血液バッグに流入した血液、回収液はすべて多項目自動血球計数装置(ミクロセルカウンター、シスメックス社製)により細胞数を、フローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で各細胞分画の含有率を測定した。単核球回収率の計算式は実施例1に同じ。
単核球回収率は35.5%、回収された単核球の総数は1.1×109個であった。
これらの実施例1,2、比較例1〜3の細胞分離方法の特徴および得られた単核球回収率、回収単核球数を表1に示した。
Figure 2005336080
本発明によれば、体外循環によって大量の血液を処理し、特定の有用な成分を吸着し、効率よく回収する、簡便かつ有効な手法を提供することが可能である。本発明の方法は、体外循環における患者負担が少なく、患者本人が有効成分の提供者となりうる点に大きな特徴がある。本発明は、血管新生による治療方法にとどまらず、幹細胞移植による再生医療や、あるいは同腫間移植による細胞治療などへの展開の可能性を有し、産業上非常に有用である。
細胞捕捉フィルター構造を示す図である。 細胞捕捉フィルターの正面図を示す図である。 細胞捕捉フィルターの回路を示す図である。 細胞捕捉フィルターの構造を示す図である。 細胞捕捉フィルターの構造を示す図である。 血液透析システムに組み込んだ細胞捕捉フィルターの回路を示す図である。
符号の説明
1 細胞捕捉材積層体
2 細胞捕捉フィルター入口
3 細胞捕捉フィルター出口
4 細胞捕捉フィルターケース
5 細胞捕捉材A
6 細胞捕捉材B
7 細胞捕捉材C
8 細胞捕捉材積層体によって挟まれた空間
9 細胞捕捉材積層体の外部空間
10 細胞捕捉材接着部
11 原料細胞液の導出口
12 原料細胞液の返却口
13 分岐部
14 回収液導入手段
15 分岐部
16 細胞回収手段
17 分岐部
18 リンス液導入手段
19 濃縮フィルター
20 細胞捕捉フィルター
21 細胞回収手段
22 透析装置
23 バイパス管路


Claims (19)

  1. 赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる細胞捕捉フィルターに血管新生に有効な細胞を含む原料細胞液を流すことにより血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させる捕捉工程、および該細胞捕捉フィルターに捕捉された該細胞を回収する回収工程を含む、血管新生療法用細胞の分離回収方法において、上記捕捉工程と上記回収工程とからなる捕捉・回収操作を同一のフィルターを用いて繰り返し行うことを特徴とする血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  2. 前記血管新生に有効な細胞が有核細胞を含む、請求項1記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  3. 前記血管新生に有効な細胞が単核球を含む、請求項1または2記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  4. 前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液中の血管新生に有効な細胞の総数を、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定する、請求項1乃至3のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  5. 前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液中の血管新生に有効な細胞の総数が1×107〜1×109個である、請求項1乃至4のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  6. 前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回についての細胞捕捉材と原料細胞液の接触時間を、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定する、請求項1乃至5のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  7. 前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回についての細胞捕捉材と原料細胞液の接触時間が5〜50分である、請求項1乃至6のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  8. 前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液を、血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上となるように設定する、請求項1乃至7のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  9. 前記捕捉工程と前記回収工程とを含む捕捉・回収操作1回につき細胞捕捉材の表面積1m2あたりに流す原料細胞液が10〜60cm3である、請求項1乃至8のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  10. 血管新生に有効な細胞の回収率が50%以上である、請求項1乃至9のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  11. 回収する単核球の総量が1010個以上である、請求項1乃至10のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  12. 前記細胞捕捉フィルターを血液体外循環システムの血液回路の一部に直列または並列に組み込んで行う、請求項1乃至11のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収方法により得られる血管新生療法用細胞。
  14. 原料細胞液の導出口、上流側管路、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる細胞捕捉フィルター、下流側管路、原料細胞液の返却口がこの順に接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側に回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側に細胞回収手段が設けられ、さらにまた上流側管路と下流側管路とをバイパスする管路が接続されていることを特徴とする血管新生療法用細胞の分離回収システム。
  15. 原料細胞液の導出口、途中から複数に分岐する上流側管路、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉材を充填してなる、上流側管路の分岐の数と同じ数の細胞捕捉フィルター、細胞捕捉フィルターと同じ数の分岐を持つ下流側管路、原料細胞液の返却口がこの順に接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側の分岐した個々の管路に接続される回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側の分岐した個々の管路から細胞を回収する細胞回収手段が設けられていることを特徴とする血管新生療法用細胞の分離回収システム。
  16. 請求項14または15記載の血管新生療法用細胞の分離回収システムが血液体外循環システムの血液回路の一部に直列または並列に組み込まれている血管新生療法用細胞の分離回収システム。
  17. 血液体外循環システムが血液透析システムである請求項16記載の血管新生療法用細胞の分離回収システム。
  18. 細胞回収手段に、さらに細胞濃縮装置が接続されていることを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の血管新生療法用細胞の分離回収システム。
  19. 細胞濃縮装置が中空糸膜型細胞濃縮器であることを特徴とする請求項18に記載の血管新生療法用細胞の分離回収システム。

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