JP2004292793A - フィルムまたはシートの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機ポリマーを含むフィルムまたはシートを、過熱水蒸気に接触させる。
【選択図】なし
Description
また、押出成形法などの溶融成形にて作製されたフィルムまたはシートは、通常、残留溶媒量が少ないが、使用する原料によってはフィルムまたはシート中に溶媒が残存することがあり、かかる場合には、同様に残留溶媒量を1%以下程度まで除去することが求められる。
一方、フィルムまたはシートの耐薬品性を改良する方法として、特定の環状オレフィン系樹脂を含むフィルムまたはシートを架橋させる方法が提案されている。すなわち、加水分解性官能基を有する環状オレフィン系樹脂を含むフィルムまたはシートを水の存在下で架橋する技術として、飽和水蒸気で処理する方法が提案されているが(特許文献1)、フィルムまたはシートの残留溶媒を除去する技術としては必ずしも十分とはいえない。また、低い温度で架橋させようとすると、架橋時間が長くなる。
さらに、有機ポリマーとして特定の環状オレフィン系重合体中に加水分解性シリル基を導入し、そのフィルムまたはシートに同処理を施した場合には、残留溶媒量が少なく寸法安定性に優れるだけではなく、架橋が架かった耐薬品性に優れるフィルムまたはシートが短時間で得られることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明において定義する過熱水蒸気とは、ある圧力のもとで蒸気と液体とが平衡を保ちうるための特定の温度以上に熱せられた水蒸気のことであり、一般的には過熱スチームあるいはスーパーヒートスチームと称することもある。例えば、1気圧で100℃以上に熱せられた水蒸気は過熱水蒸気である。
本発明において使用される環状オレフィン系重合体は、下記式(1−1)で表される構造単位(a)または下記式(1−2)で表される構造単位(b)を全構造単位中に70〜100モル%含むものである。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘプチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ドデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロオクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
N−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボイミド、
N−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボイミド、
5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5、6−ジ(メトキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
3−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
4−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
5−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナ−7−エン、
3−メチルトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナ−7−エン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、
トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−11−エン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
などが挙げられ、1種または2種以上用いられる。
5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(1−ブテニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ビニリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−3,9−ジエン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4,9−ジエン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4,8−ジエン、
トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−7,11−ジエン、
トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−6,11−ジエン、
トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−5,11−ジエン、
などの環状ジオレフィン系化合物を付加重合または開環重合し、しかる後、側鎖に存在するオレフィン性不飽和結合を水素化することにより、構造単位(a)または構造単位(b)とすることができる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、
である。
また、endo体を少なくとも80%以上含有する
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、
を用いて付加重合して得られる構造単位(a)または、開環重合および水素化して得られる構造単位(b)を全構造単位中に10モル%以上含むことにより、高い靭性の架橋されたフィルムまたはシートが得られる。
また、本発明の構造単位(b)を含む環状オレフィン系重合体には、下記式(2−2)で表される構造単位(d)が含まれてもよい。係る構造単位(d)は、「特定の単量体(2)」を開環重合後、水素化することにより形成される。
5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メトキシクロロメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メトキシヒドリドメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメトキシヒドリドシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メトキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジエトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エトキシクロロメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジエトキシヒドリドシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エトキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エトキシジエチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−プロポキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリプロポキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリフェノキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリメトキシシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメチルクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジエチルクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチルジクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(2−トリメトキシシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(2−ジメトキシクロロシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(1−トリメトキシシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(2−トリメトキシシリル)プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(1−トリメトキシシリル)プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエトキシシリルエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメトキシメチルシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリメトキシプロピルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−5−(3−トリエトキシシリル)プロポキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
8−トリエトキシシリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチルジメトキシシリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラフェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,3’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,4’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,3’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−フェニル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−スピロ−シクロヘキシル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−エチル−4’−ブチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’−ジメチル−5’メチレン−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−3’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,7’−ジオキサ−1’−シラシクロヘプチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
8−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−3−エン、
8−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−3−エン、
などが挙げられる。これらの「特定の単量体(2)」は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
「特定の共役ジエン化合物」の具体例として1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどが挙げられるが、好ましくは1,3−シクロヘキサジエン、シクロペンタジエンである。
これらの化合物は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
以下、その製造法について説明する。
[Pd(CH3CN)4][BF4]2 、[Pd(PhCN)4][SbF6]、
[(η3-crotyl)Pd(cycloocta,5-diene)][PF6]、
[(η3-crotyl)Ni(cycloocta,5-diene)][B(3,5-(CF3)2C6F3)4]、
[(η3-crotyl)Ni(cycloocta,5-diene)][PF6]、
[(η3-allyl)Ni(cycloocta,5-diene)][B(C6F5)4]、
[(η3-crotyl)Ni(cycloocta,5-diene)][SbF6]、
Toluene・Ni(C6F5)2 、Benzene・Ni(C6F5)2 、Mesitylene・Ni(C6F5)2 、Ethylether・Ni(C6F5)2
などが挙げられる。
・ジ−μ−クロロ-ビス(6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−endo−5σ,2π)Pdと、メチルアルモキサン(MAOと略す)、AgSbF6、AgBF4、から選ばれた化合物との組み合わせ、
・[(η3−アリル)PdCl]2とAgSbF6またはAgBF4、との組み合わせ、
・[(1,5-COD)Pd(CH3)Cl]とPPh3とNaB[3,5−(CF3)2C6H3]4 との組み合わせ、
などの組み合わせが挙げられる。
1)−1 ニッケル化合物、パラジウム化合物、コバルト化合物:
・ニッケル、パラジウムまたはコバルトの有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、β−ジケトン化合物などから選ばれた化合物。
例えば、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、オレイン酸ニッケル、ドデカン酸ニッケル、ドデカン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、ビス(エチルアセトアセテート)ニッケル、2−エチルヘキサン酸パラジウム、ナフテン酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナート)パラジウム、ジブチル亜リン酸パラジウムなど。
・上記のニッケル、パラジウムの有機カルボン酸塩を六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ素酸、トリフルオロ酢酸、六フッ化アセトンなどの超強酸で変性した化合物、
・ニッケルのジエンもしくはトリエン配位錯体。例えば、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、[(η3−クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル]ヘキサフルオロホスフェート、およびそのテトラフルオロボレート、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)]ボレート錯体、(1,5,9−シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(ノルボルナジエン)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルなどのニッケル錯体など。
・ニッケルにP、N、Oなどの原子を有する配位子が配位した錯体。例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、ビス[N−(3−t−ブチルサリシリデン)フェニルアミネート]ニッケル、Ni[PhC(O)CH](Ph)、Ni(OC(C6H4)PPh)(H)(PCy3)、Ni[OC(O)(C6H4)P](H)(PPh3)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとPhC(O)CH=PPh3との反応物、[2,6−(i−Pr)2C6H3N=CHC6H3(O)(Anth)](Ph)(PPh3)Niなどのニッケル錯体。
(ここで、Anthは9−anthracenyl、Phはphenyl、Cyはcyclohexylの略称である。)
などが挙げられる。
[t-BuNSiMe(Me4Cp)]TiCl2、(Me4Cp)(O-iPr2C6H3)2TiCl、(Me4Cp)TiCl3、(Me4Cp)Ti(OBu)3、[t-BuNSiMeFlu]TiMe2、[t-BuNSiMeFlu]TiCl2、Et(Ind)2ZrCl2、Ph2C(Ind)(Cp)ZrCl2、iPr(Cp)(Flu)ZrCl2、 iPr(3-tert-But-Cp)(Ind)ZrCl2、 iPr(Cp)(Ind)ZrCl2、 Me2Si(Ind)2ZrCl2、Cp2ZrCl2、[ここで、CpはCyclopentadiene、IndはIndenyl、FluはFluorenylの略称である。]
などが挙げられる。
超強酸としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロ砒酸、トリフルオロ酢酸、フルオロ硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフルオロプロピオン酸などが挙げられる。
ルイス酸化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素とエーテル、アミン、フェノールなどとの錯体、三フッ化アルミニウムのエーテル、アミン、フェノールなどの錯体、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボラン、などのホウ素化合物、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムフロライド、トリ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラニル、ヘキサフルオロメチルエチルケトン
などのルイス酸性を示す有機ハロゲン化合物、その他、四塩化チタン、ペンタフルオロアンチモンなどのルイス酸性を示す化合物などが挙げられる。
イオン性ホウ素化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートなどが挙げられる。
例えば、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサンなどのアルキルアルモキサン化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、または上記アルキルアルモキサン化合物と上記アルキルアルミニウム化合物との混合物などが好適に使用される。
ニッケル化合物、パラジウム化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物およびジルコニウム化合物などの遷移金属化合物は単量体1モルに対して0.02〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物は遷移金属化合物1モル原子に対して1〜5,000モル、また超強酸、ルイス酸、イオン性ホウ素化合物は遷移金属化合物の1モル原子に対して0〜100モルである。
また、上記環状オレフィン系開環重合体が、構造単位(b)および構造単位(d)を含む場合は、「特定の単量体(1)」と「特定の単量体(2)」を開環重合させた後にさらに水素化することにより製造される。
1)単成分系触媒としては、
ビスシクロペンタジエニル−3,3−ジメチルチタナシクロブタン、ビスシクロペンタジエニル−3−t−ブチルチタナシクロブタンや、
W(OR9)2(=NAr)(=CH(C(CH3)2R10),
Mo(OR11)2(=NAr)(=CH(C(CH3)2R12),
W(Br)2(OCH2(t−Bu))2(=CH(t−Bu)),
W(CO)4(=C(OMe)(CH2CH2CH=CH2),
RuCl2[PPh3]2(=CHCO2Et),
RuCl2[PCy3]2(=CHCH=CPh2),
RuCl2[PCy3]2(=CHPh),
Ta(OAr)3(=CH(t−Bu)),
Ta(SAr’)3(=CH(t−Bu))
[ここで、R9〜R12は炭化水素基あるいはハロゲン化炭化水素基であり、ArおよびAr’は芳香族置換基を表す。]などの化合物を挙げることができる。
(C−1)成分として適当なタングステン、モリブデン、レニウム、チタン、ハフニウムの化合物としては、これらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシド、フェノキシド、カルボン酸塩、β−ジケトン化合物、スルフォン酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、シクロペンタジエニル錯体、インデニル錯体、ヒドリド錯体、およびそれらの誘導体、あるいはこれらの2種以上の組み合わせで使用されるが、タングステンおよびモリブデンの化合物は、特にアルコキシド、フェノキシド、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物が高い重合活性を示すことから好ましく使用される。
触媒成分の添加量は、遷移金属原子1グラム原子当たりで単量体成分の合計が100〜100,000モルとなるような範囲にあることが好ましい。これらの重合操作はバッチ式でも連続式でも行うことができる。
また、「特定の単量体(1)」または「特定の単量体(2)」のいずれかを先に重合し、他を重合操作中に反応容器へと段階的あるいは連続的に導入するなどの方法で、傾斜またはブロック状に組成分布のある重合体を得ることもできる。
水素化反応は、水素圧1.0〜15MPaの範囲、温度50〜200℃の範囲で行われる。水素化触媒としては、不均一系のシリカ、アルミナ、ゼオライト、ケイソウ土、マグネシア、カーボン、炭酸カルシウムなどから選ばれた担体にパラジウム、白金、プラチナ、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、ニッケルから選ばれた金属が担持された不均一触媒、あるいはオクタン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、オクタン酸コバルト/トリエチルアルミイウム、オクタン酸コバルト/n-ブチルリチウム、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド/ジエチルアルミニウムクロライド、酢酸パラジウム/トリエチルアルミニウム、トリス(トリフェニルホスフィン)クロロロジウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリド・カルボニル・クロロ・ルテニウム、トリス(トリトリルホスフィン)ヒドリド・カルボニル・クロロ・ルテニウム、トリス(トリキシリルホスフィン)ヒドリド・カルボニル・クロロ・ルテニウム、トリス(トリシクロヘキシルホスフィン)ヒドリド・カルボニル・クロロルテニウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ジヒドロ・カルボニル・ルテニウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロルテニウムなどの均一系触媒が好適に用いられる。
水素化触媒は、通常、開環重合体に対し、遷移金属原子換算で10〜1,000ppmの範囲で使用される。
水素化率は、通常、95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.5%以上である。水素化率が95%未満の場合には、耐熱劣化性が不十分になる場合がある。
なお、本発明でいう水素化とは、分子内のオレフィン性不飽和結合に対する水素化であり、分子内に芳香族基が存在する場合、かかる芳香族基の水素化は含まない。かかる芳香族基が水素化されずに残存した方が、光学特性や耐熱性の点で有利な場合もある。
これらの芳香族重合体は、スルホン酸基などを有していてもよい。
溶液キャスティング法の一般的な工程としては、まず、有機ポリマーおよび溶剤、必要に応じて酸化防止剤あるいはレベリング剤などの添加剤や配合剤を含む有機ポリマー溶液組成物(以下、「キャスティング用組成物」という。)を調製し、しかる後、金属ベルト、金属ドラムあるいはプラスチックフィルムなどの支持体上にキャスティング用組成物を流延して乾燥し、その後支持体を剥離し、必要に応じてさらに乾燥する一連の工程が例示できるが、本発明はこの例示に限定されるものではない。なお、キャスティング用組成物の流延方法(製膜するための塗布方法)は特に限定されるものではなく、はけやブラシを用いた塗布、スプレーによる吹き付け、スクリーン印刷法、フローコーティング法、ダイコーターなどのコーターを用いて塗布する方法、スピンコート法あるいはディッピング法など公知の方法を適用できる。
また、該有機ポリマーが析出しない範囲内で、該有機ポリマーを溶解しない溶媒(以下、「貧溶媒」ともいう。)を良溶媒に添加してもよい。
上記良・貧溶媒としては、例えば、シクロペンタン、シクロペンテン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、エタノール、イソプロピルアルコールブタノールなどのアルコール、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステルなどが挙げられ、本発明の有機ポリマーの溶解性により、良溶媒もしくは貧溶媒として使用する。
本発明においては、一次乾燥したフィルムまたはシートを支持体から剥離した後、そのフィルムまたはシートを過熱水蒸気を含むガスに接触して残留溶媒量を5重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下まで低減できる。フィルムまたはシート中の残留溶媒量を、1重量%以下まで低減することで、フィルムまたはシートの二次乾燥工程を省略することも可能である。
このようにして得られたフィルムまたはシートの膜厚は、1〜1,000μm、好ましくは10〜250μmである。1μm未満では、強度が弱く実用に耐えない。一方、1,000μmを超えると、残留溶媒の除去が困難となる場合がある。
以下に、処理するための具体的方法を例示する。
b)トリアルキル亜リンエステル、トリアリール亜リン酸エステル、ジアルキル亜リン酸エステル、モノアルキル亜リン酸エステル、次亜リン酸エステルなどの亜リン酸エステルで、水蒸気の存在下、50〜300℃に加熱することで加水分解し、酸を発生する化合物。
c)有機カルボン酸の第2級または第3級アルコールのエステル、有機カルボン酸のヘミアセタールエステル、有機カルボン酸のトリアルキルシリルエステル、p−トルエンスルフォン酸のアルキル、シクロアルキル、アリールエステルなどで、水蒸気の存在下、50〜300℃に加熱することで加水分解し、酸を発生する化合物。
なお、係る化合物をキャスティング用組成物に予め配合する場合、a)群の酸を用いるとキャスティング用組成物中で架橋反応が進行してゲル化することがあるので、b)またはc)群の化合物を用いることが好ましく、特にb)群の化合物は少量で有効なので好ましい。
これらa)、b)、c)群の化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、スズ、アルミニウム、亜鉛、チタニウム、アンチモンなどの金属酸化物、アルコキサイド化合物、フェノキサイド化合物、β−ジケトン化合物、アルキル化合物、ハロゲン化合物、有機酸塩化合物、リン酸塩化合物、亜リン酸塩化合物から選ばれた化合物をキャスティング用組成物に配合しフィルムまたはシートに含有させておくことも、架橋反応速度や架橋構造の点では有効である。ただし、これら化合物をキャスティング用組成物に配合すると、キャスティング用組成物中で架橋反応が進行してゲル化することがあるので、キャスティング用組成物のポットライフの管理が必須となる。
過熱水蒸気以外のガスとしては、フィルムまたはシートの特性を損なうことがなければ、特に限定されないが、窒素、アルゴンガスなど危険性の低いガスが好ましい。また、残留溶媒を低減させる目的で、残留している溶媒と親和性のあるガスを、10モル%以下添加することもできる。
a)メタノール、エタノール、プロピルアルコール、などのアルコール類
b)アセトンなどのケトン類
c)メチルエーテル、エチルエーテル、ジメチルエーテルなどのエーテル類
d)塩化メチレン、などのハロゲン化炭化水素
などの蒸気が挙げられる。
上記高温のガス組成物とフィルムまたはシートを接触させる方法としては、特に限定されるものではなく、上記高温のガス組成物が満たされた空間に、フィルムまたはシートを通過させる。また、接触させる時間は、処理前のフィルムまたはシートに含有される添加物および残留溶媒量、処理温度により異なるが、通常、0.5分〜10時間である。さらに、係る接触はバッチ式で実施してもよく、連続式で実施してもよい。
なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量基準である。
また、環状オレフィン系重合体の分子量、ガラス転移温度、残溶媒量、膨潤度、線膨張率は、下記の方法で測定した。
ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で東ソー(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比 Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。
動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いてTanδのピーク温度を測定した。
(3)残溶媒量分析
トルエン以外の残留溶媒量を測定する場合、1gのフィルムをトルエン20mlに溶解または膨潤させて、フィルム中の残留溶媒を抽出し、ガスクロマトグラフィー装置HP−5890(ヒューレット・パッカード社製)にカラムとしてPoraplotQ(ヒューレット・パッカード社製)装着して残留溶媒量を測定した。またフィルム中の残留トルエン量を測定する場合には、1gのフィルムをシクロヘキサン20mlに溶解または膨潤させて、前記同手法で測定、定量した。残留トルエン量を測定する場合は、1gのフィルムをアセトン20mlに溶解または膨潤させて、フィルム中の残留トルエンを抽出し、同装置を用いて残留トルエン量を測定した。
(4)膨潤度
縦4cm、横4cmのフィルムを架橋前のフィルムが溶解する溶媒に3時間、25℃にて浸漬して、浸漬前後のフィルムの重量を測定して、下記式から求めた。
膨潤度(%)=(浸漬後の重量/浸漬前の重量)×100
(5)線膨張率の測定法
TMA(Thermal Mechanical Analysis)SS6100(セイコーインスツルメント社製)を用い、試験形状として、膜厚150μm、縦10mm、横10mmにしたフィルム片を直立、固定し、プローブにより、1g重の荷重をかけた。
フィルムの熱履歴を除去するため、室温から200℃まで5℃/min.で一旦昇温した後、再度、室温から5℃/min.で昇温し、50℃〜150℃でのフィルム片の伸びの傾きから線膨張率を求めた。
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 750ミリモル(70.5 g)、endo含有量が95%のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン 475ミリモル(63.6 g)、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 25ミリモル(6.4 g)を溶媒としてシクロヘキサン562g、塩化メチレン141g、分子量調節剤としてスチレン 15.0ミリモルを2,000mlの反応容器に窒素下で仕込んだ。予めヘキサン溶液のオクタン酸Niを六フッ化アンチモン酸と−10℃でモル比1:1で反応させ、副生する沈殿したNi(SbF6)2を除去し、トルエン溶液で希釈したオクタン酸Niの六フッ化アンチモン酸変性体をNi原子として0.25ミリモル、トリエチルアルミニウム2.50ミリモル、三フッ化ホウ素エチルエーテラート0.75ミリモルを仕込み、重合を行った。15℃で3時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。単量体の重合体への転化率は85%であった。
この重合体溶液を孔径10μmのメンブランフィルターで濾過し、異物を除去した後、25℃でポリエステルフィルム上にキャストし、徐々に雰囲気の温度を80℃まで上げ、溶媒を蒸発させその後剥離して、フィルム中の残留溶媒が10%で膜厚が100μmの未処理フィルムAを得た。
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 750ミリモル(70.5 g)、endo含有量が95%のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン 450ミリモル(60.3 g)、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 50ミリモル(12.8 g)を用いた以外は参考例1と同様の方法で重合を行い重合体Bを得た。単量体の重合体への転化率は83%であった。
300ミリリットルのガラス製耐圧ビンに窒素雰囲気下で溶媒のトルエン80ミリリットル、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンを165ミリモル、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン5ミリモル、分子量調節剤の1−ヘキセンを42.5ミリモル仕込み、さらに触媒成分としてトリエチルアルミニウムを0.119ミリモル,六塩化タングステンのメタノール変性物[メタノール/タングステン=3(モル/モル)]を0.017ミリモルの順に加えた。80℃で2時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。単量体の開環重合体への転化率は97%であった。重合反応溶液へ水660mlおよび乳酸47.5ミリモルを加えて攪拌した後、静置分離した。触媒成分の反応物を含む水相を除去し、重合反応溶液を3リットルのイソプロパノールに加えて開環重合体を凝固することで未反応単量体を除去し、真空下、50℃で15時間乾燥し、開環重合体Cを得た。
開環重合体Cのベンゼン−d6中における270MHz1H−NMRスペクトルより、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンに由来する構造単位の含有量は98モル%と定量された(メトキシカルボニル基に基づく3.2〜3.6ppmの吸収と、二重結合に隣接する水素に基づく5.4〜5.8ppmの吸収との比から算出した。)。5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンに由来する構造単位の割合は2.0モル%であった。
1H−NMR測定から求められた水素化率は99.7%であった。(水素化率はメトキシカルボニル基に基づく3.2〜3.6ppmの吸収と、水素化されずに残った開環重合体の二重結合に隣接する水素に基づく5.4〜5.8ppmの吸収との相対比から算出した。)5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンに由来する構造単位の割合は2.0モル%であった。また、開環重合体CHのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は19,000、重量平均分子量(Mw)は75,000、Mw/Mnは3.7であった。またそのガラス転位温度は168℃であった。
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン 750ミリモル(70.5 g)、endo含有量が95%のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン 500ミリモル(66.9 g)、を溶媒としてシクロヘキサン562g、塩化メチレン141g、分子量調節剤としてスチレン 15.0ミリモルを2,000mlの反応容器に窒素下で仕込んだ。予めヘキサン溶液のオクタン酸Niを六フッ化アンチモン酸と−10℃でモル比1:1で反応させ、副生する沈殿したNi(SbF6)2を除去し、トルエン溶液で希釈したオクタン酸Niの六フッ化アンチモン酸変性体をNi原子として0.25ミリモル、トリエチルアルミニウム2.50ミリモル、三フッ化ホウ素エチルエーテラート0.75ミリモルを仕込み、重合を行った。15℃で3時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。単量体の重合体への転化率は85%であった。
この重合体溶液を孔径10μmのメンブランフィルターで濾過し、異物を除去した後、25℃でポリエステルフィルム上にキャストし、徐々に雰囲気の温度を80℃まで上げ、溶媒を蒸発させその後剥離して、フィルム中の残留溶媒が11%で膜厚が100μmの未処理フィルムDを得た。
(ポリマー合成)
2,5−ジクロロ−4'−(4−フェノキシフェノキシベンゾフェノン)と4,4−ジクロロベンゾフェノンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンから得られる4−クロロベンゾイル末端のオリゴマー(数平均分子量11,200)から得られる共重合体(数平均分子量50,000)をスルホン化し、スルホン酸当量2.08ミリ当量/gのスルホン化ポリマーを得た。
(キャスト〜一次乾燥)
このスルホン化ポリマーを、NMPとメタノールからなる混合溶媒(重量比1/1)に溶解して、該スルホン化ポリマーの15%溶液を調製し、これをPETフィルム上に流延し、150℃のオーブンで1時間乾燥させることにより、厚さ40μmの未処理フィルムEを得た。このときのフィルム中のNMP量は14%であった。
参考例5と同様にして合成したスルホン化ポリマーを、γ-ブチロラクトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる混合溶媒(重量比6/4)に溶解して、該スルホン化ポリマーの15wt%溶液を調製し、これをPETフィルム上に流延し、120℃のオーブンで1時間乾燥させることにより厚さ40μmの未処理フィルムFを得た。この時のフィルム中のγ-ブチロラクトン量は8.7%であった。
ステンレス製密閉容器に縦5cm、横3cmの未処理フィルムAを入れ、容器内を窒素置換した。その後、150℃、大気圧の過熱水蒸気を用いて内温を150℃に保ち、15分の乾燥と架橋反応を行った。この処理を行ったフィルムA−1の評価結果を表1に示す。
実施例1にて、過熱水蒸気による処理時間を60分とする以外は、実施例1と同様の方法で処理フィルムA−2を得た。フィルムA−2の評価結果を表1に示す。
実施例1にて、過熱水蒸気の温度を200℃とする以外は、実施例1と同様の方法でフィルムA−3を得た。フィルムA−3の評価結果を表1に示す。
実施例1にて、過熱水蒸気の温度を200℃とし、処理時間60分とする以外は実施例1と同様の方法でフィルムA−4を得た。フィルムA−4の測定結果を表1に示す。
ステンレス製の耐圧密閉容器に縦5cm、横3cmの未処理フィルムAを入れ、容器内を窒素置換した。その後、150℃、0.48MPaの飽和水蒸気を用いて内温を150℃に保ち、60分の架橋反応を行った。この処理で得られたフィルムを後100℃で2時間真空乾燥し、処理されたフィルムA−5を得た。フィルムA−5の評価結果を表1に示す。
ステンレス製密閉容器に縦5cm、横3cmの未処理フィルムBを入れ、容器内を窒素置換した。その後、200℃、大気圧の過熱水蒸気を用いて内温を200℃に保ち、60分の乾燥を行った。この処理を行ったフィルムB−1の評価結果を表1に示す。
順風乾燥器に縦5cm、横3cmの未処理フィルムBを入れ、乾燥空気にて200℃に保ち、60分の乾燥を行った。この処理で得られたフィルムを後100℃で2時間真空乾燥し、処理されたフィルムB−2を得た。フィルムB−2の評価結果を表1に示す。
ステンレス製密閉容器に縦5cm、横3cmの未処理フィルムCを入れ、容器内を窒素置換した。その後、150℃、大気圧の過熱水蒸気を用いて内温を150℃に保ち、60分の乾燥を行った。この処理を行ったフィルムC−1の評価結果を表1に示す。
順風乾燥器に縦5cm、横3cmの未処理フィルムCを入れ、乾燥空気にて150℃に保ち、60分の乾燥を行った。この処理で得られたフィルムを後100℃で2時間真空乾燥し、処理されたフィルムC−2を得た。フィルムC−2の評価結果を表1に示す。
ステンレス製密閉容器に縦5cm、横3cmの未処理フィルムDを入れ、容器内を窒素置換した。その後、200℃、大気圧の過熱水蒸気を用いて内温を200℃に保ち、60分の乾燥を行った。この処理を行ったフィルムD−1の評価結果を表1に示す。
順風乾燥器に縦5cm、横3cmの未処理フィルムDを入れ、乾燥空気にて200℃に一定に保ち、60分の乾燥を行った。この処理で得られたフィルムを後100℃で2時間真空乾燥し、処理されたフィルムD−2を得た。フィルムD−2の評価結果を表1に示す。
比較例1において、未処理フィルムAの代わりに、未処理フィルムBを用いる以外、比較例1と同様にして行ない、処理されたフィルムB−3を得た。評価結果を表1に示す。
比較例1において、未処理フィルムAの代わりに、未処理フィルムDを用いる以外、比較例1と同様にして行ない、処理されたフィルムD−3を得た。評価結果を表1に示す。
一方、実施例7においては、加水分解性シリル基を有さない環状オレフィン系重合体を用いたフィルムであるため、本発明の処理を実施しても架橋が形成されず耐薬品性の向上は認められなかったが、残留溶媒の低減効果が顕著であることは比較例4および6との対比で明らかである。
参考例5で得られた一次乾燥後の未処理フィルムEを内容量90Lの真空乾燥機に入れ、120℃の過熱水蒸気を10NL/minの流量で供給し乾燥を行った。なお、乾燥機の真空用ラインは大気に開放されており、内部の圧力は大気圧(0.1MPa)であった。この処理を30分から120分間行ったサンプルA-1についての評価結果を表2に示す。また、比較例として、一次乾燥までを同じ処理で行い、過熱水蒸気乾燥の雰囲気のみ空気に変えたて乾燥を行ったサンプルA-2の結果についても表中に示す。なお、過熱水蒸気処理によって得られたフィルムの品質は良好で、表面検査による欠陥などなく、機能、機械的強度などを損なうこともなかった。
参考例6で得られた未処理フィルムFを内容量90Lの真空乾燥機に入れ、110℃の過熱水蒸気と空気の混合ガスを10NL/minの流量で供給し乾燥を行った。空気は凝縮を防ぐために混合しており、過熱水蒸気と空気の体積比は7:3とした。乾燥機の真空用ラインは大気に開放されており、内部の圧力は大気圧(0.1MPa)であった。この処理を分15分から60分間行ったサンプルB-1についての評価結果を表3に示す。また、比較例として、一次乾燥までを同じ処理で行い、過熱水蒸気と空気の混合比のみを3:7に変えて乾燥を行ったサンプルA-2の結果についても表中に示す。なお、過熱水蒸気処理によって得られたフィルムの品質は良好で、表面検査による欠陥などなく、機能、機械的強度などを損なうこともなかった。
Claims (6)
- 有機ポリマーを含むフィルムまたはシートを、過熱水蒸気を含むガスに接触させることを特徴とするフィルムまたはシートの処理方法。
- 有機ポリマーが、環状オレフィン系重合体または芳香族系重合体である請求項1記載のフィルムまたはシートの処理方法。
- 環状オレフィン系重合体として、請求項2記載の構造単位(a)と下記式(2−1)で表される構造単位(c)とを含む、または請求項2記載の構造単位(b)と下記式(2−2)で表される構造単位(d)とを含む環状オレフィン系重合体を用いる請求項1または2項に記載のフィルムまたはシートの処理方法。
- 芳香族系重合体がスルホン酸基を有する請求項2記載のフィルムまたはシートの処理方法。
- 処理温度において酸を発生させる化合物を併用する請求項1〜5いずれか1項に記載のフィルムまたはシートの処理方法。
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