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JP2004069941A - 転写方法、転写装置、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成システム - Google Patents

転写方法、転写装置、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成システム Download PDF

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JP2004069941A
JP2004069941A JP2002228018A JP2002228018A JP2004069941A JP 2004069941 A JP2004069941 A JP 2004069941A JP 2002228018 A JP2002228018 A JP 2002228018A JP 2002228018 A JP2002228018 A JP 2002228018A JP 2004069941 A JP2004069941 A JP 2004069941A
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Application number
JP2002228018A
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English (en)
Inventor
Yasukuni Komata
小俣 安国
Hideaki Mochimaru
持丸 英明
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】記録体の両面に対するワンパス方式での画像形成を可能にしながら、記録体の含水量の上昇に起因して生ずる転写不良を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1転写ユニット15と、第2転写ユニット24とを有する両面転写手段に送られる前の転写紙Pを加熱すべく、その両面転写手段に転写紙Pを送り込むレジストローラ対31の少なくとも一方に発熱手段を設けた。なお、第1転写ユニット15は、4つの感光体1Y,M,C,K上に形成されたトナー像を第1中間転写ベルト8上に重ね合わせて1次転写するものである。また、第2転写ユニット24は、第1中間転写ベルト8上に重ね合わせ転写されたトナー像を、転写紙Pの一方の面に2次転写したり、第2中間転写ベルト16に2次転写した後、転写紙Pのもう一方の面に3次転写するものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体に担持される可視像を記録体の両面に静電的に転写せしめる転写方法及び画像形成方法、並びにこれらを用いる転写装置、画像形成装置及び画像形成システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、転写紙等の記録体の両面に画像を形成する方式として、いわゆるスイッチバック方式と、ワンパス方式とが知られている。スイッチバック方式では、感光体等の像担持体上の可視像を記録体に転写する転写手段と、転写された可視像を記録体に定着せしめる定着手段とを通過して一方の面に画像が形成された記録体を反転させる。そして、反転後の記録体を転写手段と定着手段とにスイッチバックさせて、そのもう一方の面にも画像を形成する。これに対し、ワンパス方式は、両面転写手段によって両面に可視像が転写せしめられた記録体を定着手段に通すことで、記録体をスイッチバックさせることなくその両面に画像を形成する。ワンパス方式は、次の点でスイッチバック方式よりも優れている。即ち、スイッチバック用の複雑な機構を設けることによるコストアップ、スイッチバックによる画像形成時間の長期化、定着手段による加熱でカールさせた記録体をスイッチバックさせることによるジャムを、何れも回避し得る点である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、従来、記録体に対して画像を静電的に転写する静電転写方式を用いる画像形成装置においては、記録体の含水量の上昇によって転写不良を引き起こすことがあった。環境の高湿化などによって含水量の上昇した記録体が静電転写用の電荷を十分に保持しなくなる結果、十分量の画像形成物質(例えばトナー)が記録体に静電転写しなくなるのである。ワンパス方式でも静電的な方式を採用する場合、このような転写不良が起こり得る。
【0004】
なお、従来、記録体の片面だけに画像を形成する画像形成装置として、転写前の記録体を加熱する転写前加熱手段を備えるものが提案されている。この画像形成装置によれば、転写前に記録体を加熱してその含水量を減らすことで、上述の転写不良を抑えることができる。しかし、ワンパス方式の画像形成プロセスにおける両面転写工程に先立って記録体を転写前加熱するものはなかった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような転写方法及び画像形成方法、並びにこれらを用いる転写装置、画像形成装置及び画像形成システムを提供することである。即ち、記録体の両面に対するワンパス方式での画像形成を可能にしながら、記録体の含水量の上昇に起因して生ずる転写不良を抑えることができる転写方法等である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、可視像の定着処理が施される前の記録体の両面に対して、像担持体に担持される可視像を静電的に転写せしめる両面転写工程を実施する転写方法において、上記両面転写工程に先立って、上記記録体を加熱する転写前加熱工程を実施することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、可視像の定着処理が施される前の記録体の両面に対して、像担持体に担持される可視像を静電的に転写せしめる両面転写手段と、記録体を収容する記録体収容手段と、該記録体収容手段に収容される記録体を該両面転写手段に搬送する記録体搬送手段とを備える転写装置において、上記両面転写手段による両面転写が施される前の記録体を加熱する転写前加熱手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の転写装置であって、上記両面転写手段が、記録体の両面にそれぞれ可視像を密着させながら一方の可視像を該記録体の一方の面に静電的に転写する前段転写を行った後、もう一方の可視像を該記録体のもう一方の面に静電的に転写する後段転写を行い、且つ、上記転写前加熱手段が、記録体を少なくとも該後段転写による転写が施される方の面側から加熱することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の転写装置であって、上記両面転写手段が、像担持体上の可視像が中間転写せしめられる第1中間転写体と、該第1中間転写体上の可視像が更に中間転写せしめられる第2中間転写体とを備え、上記前段転写を行う際に、可視像を保持している該第1中間転写体と、同じく可視像を保持している該第2中間転写体との間に記録体を挟み込むことで、該記録体の両面にそれぞれ可視像を密着させることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3の転写装置であって、上記両面転写手段は、像担持体上の可視像が中間転写せしめられる中間転写体を備え、上記前段転写を行う際に、可視像を担持している該像担持体と、可視像を保持している該中間転写体との間に記録体を挟み込むことで、該記録体の両面にそれぞれ可視像を密着させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2、3、4又は5の転写装置であって、上記記録体搬送手段が、互いに表面を順方向に無端移動させながら当接する無端移動体対を複数備え、それぞれの対の無端移動体間に記録体を挟み込んで搬送し、少なくとも1つの無端移動体に設けられた発熱手段からの熱で記録体を加熱することで、上記転写前加熱手段としての機能を兼ねることを特徴とするものである。また、請求項7の発明は、請求項6の転写装置であって、上記記録体搬送手段が、上記無端移動体対として、記録体を挟み込んだ状態で回転停止した後、所定のタイミングで回転再開して記録体を上記両面転写手段に向けて送り出すタイミングローラ対を備え、該タイミングローラ対の少なくとも一方のローラに上記発熱手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2、3、4又は5の転写装置において、上記転写前加熱手段を上記記録体収容手段に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の転写装置であって、上記転写前加熱手段が、上記記録体収容手段内の記録体を面状発熱体によって加熱することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、像担持体に担持される可視像を記録体の両面に静電的に転写せしめる転写方法を用いて、記録体の両面に画像を形成する画像形成方法であって、上記転写方法が、請求項1の写方法であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、可視像を担持する像担持体と、該像担持体上の可視像を記録体の両面に静電的に転写せしめる転写装置とを備える画像形成装置であって、上記転写装置が、請求項2、3、4、5、6、7、8又は9の転写装置であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置であって、上記転写装置として請求項4又は5のものを備えるとともに、上記像担持体を複数備え、各像担持体に担持される可視像を上記第1中間転写体又は中間転写体に重ね合わせて転写することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11又は12の画像形成装置であって、操作者の操作による命令を受け付ける命令受付手段と、該命令受付手段による受付結果に基づいて上記転写前加熱手段による加熱を強制的に停止させる強制停止手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項11又は12の画像形成装置であって、上記記録体収容手段に収容される記録体の含水量と相関関係にある環境要因を検知する環境要因検知手段と、該環境要因検知手段による検知結果に基づいて上記転写前加熱手段による加熱を強制的に停止させる強制停止手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項11又は12の画像形成装置であって、上記記録体収容手段に収容される記録体の含水量と相関関係にある環境要因を検知する環境要因検知手段と、該環境要因検知手段による検知結果に基づいて上記転写前加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項14又は15の画像形成装置であって、上記環境要因検知手段が、上記環境要因として湿度を検知する湿度検知手段であることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項16の画像形成装置であって、上記記録体収容手段と上記湿度検知手段とを、画像形成装置本体の筺体内に備えることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項11、12、13、14、15、16又は17の画像形成装置であって、上記記録体の厚み情報を取得する厚み情報取得手段と、該厚み情報取得手段による取得結果に基づいて上記発熱手段の発熱能力を調整する発熱能力調整手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項11、12、13、14、15、16又は17の画像形成装置であって、単位時間あたりにおける上記記録体と上記転写前加熱手段との接触面積を取得する接触面積取得手段と、該接触面積取得手段による取得結果に基づいて上記発熱手段の発熱能力を調整する発熱能力調整手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、画像を形成する画像形成装置と、これに制御信号を送信するコンピュータとを備える画像形成システムであって、上記画像形成装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18又は19のものを備えることを特徴とするものである。
これらの発明においては、可視像の定着処理が施される前の記録体の両面に可視像を静電的に転写して、ワンパス方式での画像形成を行うことが可能になる。しかも、可視像の両面転写が施される前の記録体を加熱してその含水量を減らすことで、該記録体の含水量の上昇に起因して生ずる転写不良を抑えることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの概略構成図であり、プリンタをその正面方向から示している。図において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図2に示すように、像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。感光体1Yは、直径10〜100[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に1次転写される。なお、現像装置は、トナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤を用いるものでも、トナー粉体だけを用いるものでもよい。また、トナーは、粉砕法によって製造された粉砕トナーでも、球形に形成されたトナーでもよく、粒径で6[μm]程度のものが良好である。
【0008】
上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中下方には露光装置7が配設され、その図中左側方には画像データ処理装置E1が配設されている。画像データ処理装置E1は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置7に送る。潜像形成手段たる露光装置7は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射する。この照射を受けて露光された感光体1Y,M,C,K上には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。また、露光装置7の筐体には、その上方に配設された各感光体1Y,M,C,Kから落下してくるトナーによる内部部品の汚染を防止するために、図示しないシール部材を設けている。
【0009】
各感光体1Y,M,C,K上に形成されたY,M,C,K用の静電潜像は、転写装置60による転写工程を経る。この転写装置60は、第1紙カセット25、第2紙カセット26、手差しトレイ27、記録体搬送手段たる給紙手段、両面転写手段などを備えている。
【0010】
上記転写装置60の第1紙カセット25、第2紙カセット26、手差しトレイ27は、それぞれ記録体収容手段として機能している。これらのうち、第1紙カセット25と第2紙カセット26とは、上述の露光装置7の図中下方で鉛直方向に重なるように配設されており、それぞれ内部には記録体たる転写紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容している。一方、手差しトレイ25は、プリンタ本体の筐体内でなく、筐体の側面から延出するように設けられており、この上には転写束が載置される。
【0011】
上記転写装置60の給紙手段は、第1給紙ローラ28、第2給紙ローラ29、手差し給紙ローラ30、レジストローラ対31、給紙路32、これに合流する給紙案内路33、搬送ローラ対34などから構成されている。第1給紙ローラ28、第2給紙ローラ29は、それぞれ上記第1紙カセット25、第2紙カセット26内に収容されている転写紙束の一番の転写紙Pに当接している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、その一番上の転写紙Pを給紙路32に向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、給紙路32の末端付近に配設されたレジストローラ対の第1レジストローラ31aと第2レジストローラ31bとの間に挟まれる。レジストローラ対31は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを互いに順方向に回転駆動させるが、ローラ間に記録体を挟み込むとすぐに両ローラの回転を一旦停止させる。そして、適切なタイミングで回転を再開して転写紙Pを後述の2次転写ニップに向けて送り出す。タイミングローラ対として機能しているのである。一方、手差し給紙ローラ30は、上記手差しトレイ27に載置されている転写紙束の一番上の転写紙Pに当接している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、その一番上の転写紙Pを給紙案内路33に向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、図示しない駆動手段によって互いに当接しながら順方向に回転せしめられる搬送ローラ対34のローラ間を経由して給紙路32の末端付近に至る。そして、第1レジストローラ31aと第2レジストローラ31bとの間に挟まれる。
【0012】
上記転写装置60の両面転写手段は、第1転写ユニット15と第2転写ユニット24とを有している。第1転写ユニット15は、上述のプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中上方に配設されており、第1中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,K、第1クリーニング装置10などを備えている。また、2次転写バックアップローラ12、第1クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。第1中間転写体たる第1中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、図示しない電源の供給を受けて、トナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)に印加する。第1中間転写ベルト8は、この1次転写バイアスによるトナー像の静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、樹脂フィルムやゴムなどからなる50〜500[μm]の厚みのベルト基体に、低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が10〜1014[Ωcm]になっている。また、表面抵抗率は、10〜1015[Ω/□]の範囲に調整されている。これら4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kの他に配設された上述の3つのローラは、全て電気的に接地されている。第1中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。各1次転写ニップでは、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。第1中間転写ベルト8を張架している2次転写バックアップローラ12は、後述の第2中間転写ベルト16に食い込むような配設位置になっている。このような食い込み配置により、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とをそれぞれ周長方向に広く当接させる2次転写ニップが形成されている。第1中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、2次転写ニップで第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、第1中間転写ベルト8は、そのループ外面(おもて面)側に当接するように配設された第1クリーニング装置10と、そのループ内面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ13との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーが第1クリーニング装置10に機械的あるいは静電的に回収されてクリーニングされる。なお、バイアス印加方式の4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kに代えて、電極から放電させるチャージャ方式のものを用いてもよい。
【0013】
上記両面転写手段の第2転写ユニット24は、第1転写ユニット15の図中右側方に配設されており、第2中間転写ベルト16、第2クリーニング装置18、転写チャージャ23などを備えている。また、2次転写ローラ17、ニップ拡張ローラ19、テンションローラ20、バックアップローラ21なども備えている。第2中間転写ベルト16は、これら4つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。上述した第1転写ユニット15の2次転写バックアップローラ12は、2次転写ローラ17とニップ拡張ローラ19との間の第2中間転写ベルト16架橋部分に食い込んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ17は、金属製ローラか、あるいは芯金に導電性のゴム層が被覆されたローラで、図示しない電源によってトナーと反対極性(例えばプラス極性)の2次転写バイアスが供給される。第2転写ユニット24におけるこれ以外のローラは全て接地されている。
【0014】
上述した給紙手段のレジストローラ対31は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、第1中間転写ベルト8上に1次転写された上記4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの第1面(後述のスタック部40上で上を向く面)に転写されるべき第1トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。よって、このとき、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、2次転写ニップでニップ圧や2次転写バイアスの作用を受けて第2中間転写ベルト16上に2次転写される。これに対し、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第2面(スタック部40上で下を向く面)に転写されるべき第2トナー像である場合には、レジストローラ対31は、この第2トナー像に同期させて転写紙Pを送り出す。よって、第2トナー像は、2次転写ニップで転写紙Pの第2面に2次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このとき、2次転写ニップで転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれている第1トナー像は、2次転写バイアスの作用によってベルト側に引き寄せられる。このため、転写紙Pの第1面に密着しているが、そこに2次転写されるわけではない。上記第2中間転写ベルト16は、このような静電的な2次転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、ポリイミドやポリアミドイミドなどからなる厚み50〜500[μm]のベルト基体に、フッ素などの低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が10〜1014になっている。また、表面抵抗率が10〜1015[Ω/□]に調整されている。
【0015】
上述の第1転写ユニット15において、2次転写バックアップローラ12は、第1中間転写ベルト8を、その移動方向をほぼ反転させるような形状で張架している。そして、移動方向を反転させつつある第1中間転写ベルト部分を第2中間転写ベルト16に当接させて2次転写ニップを形成している。よって、2次転写ニップの出口では、第1中間転写ベルト8が転写紙Pから離間し、転写紙Pが第2中間転写ベルト16の表面だけに保持されて搬送されるようになる。そして、第2転写ユニット24内において、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って、3次転写部に送られる。第2転写ユニット24の3次転写部では、第2中間転写ベルト16のバックアップローラ21による張架部分に対し、転写チャージャ23が所定の間隙を介して配設されている。第2中間転写ベルト16上の転写紙Pは、転写チャージャ23によって第2面側にトナーと反対極性(例えばプラス極性)の電荷が付与される。この電荷の付与により、転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれていた第1トナー像が転写紙Pの第1面に3次転写されてフルカラー画像になる。転写装置60は、転写紙Pに対して上記2次転写ニップでその第2面に第2トナー像を前段転写した後、上記3次転写部でその第1面に第1トナー像を後段転写するのである。なお、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される部材として、ローラ(9,17)ではなく、ブラシなど他の形状のものを用いてもよい。また、転写バイアスを部材に印加する静電転写方式ではなく、非接触放電式を採用してもよい。
【0016】
上記第2転写ユニット24において、3次転写によって両面転写が完了した転写紙Pは、第2中間転写ベルト16から分離されて後述の定着装置35に送られる。上記3次転写部を通過した後の第2中間転写ベルト16は、バックアップローラ21と第2クリーニング装置18との間に挟み込まれて、表面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。この第2クリーニング装置18が第2中間転写ベルト16に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第1トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置18は、図示しない揺動機構によって揺動軸18aを中心に図中矢印方向に揺動せしめられることで、第2中間転写ベルト16に接離するようになっている。そして、少なくともそのクリーニング位置を第1トナー像が通過する間は、第2中間転写ベルト16から離間して、第1トナー像のクリーニングを回避する。
【0017】
第2転写ユニット24の図中上方には、定着手段たる定着装置35が配設されている。この定着装置35は、互いに順方向に回転しながら当接して定着ニップを形成する2つの定着ローラ35a,bを有している。これら定着ローラ35a,bは、何れも図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を有しており、定着ニップに挟み込まれた転写紙Pを両面から加熱する。この加熱により、転写紙Pの両面にそれぞれ形成されたフルカラー画像が、これを構成するトナーの軟化によって転写紙Pに定着せしめられる。定着後の転写紙Pは、反転ガイド部材36に沿って反転せしめられた後、排紙ローラ対37を経て機外へと排出される。そして、プリンタ本体の筺体の上面に形成されたスタック部40にスタックされる。
【0018】
2つの定着ローラ35a,bは、それぞれ図示しない温度検知手段によって表面温度が検知される。この温度検知手段は、プリンタ本体の筺体内の最上部に配設された制御部E2に送信する。制御部E2は、温度検知手段から送られてくる表面温度の検知結果に基づいて、定着ローラ35a,bの上記発熱手段に対する電源供給をON/OFF制御して、定着ローラ35a,bの表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。但し、転写紙Pの片面にだけ画像を形成する片面プリントモードが実行されている場合には、両面プリントモードの場合に比べて少ない熱量で画像を定着させることができる。片面にしか画像が形成されていないため、両面のときよりも転写紙P上のトナー量が少なくなるからである。よって、片面プリントモードのときに、両面プリントモードのときよりも上記表面温度の目標範囲を低くすれば、省エネルギー化を図ることが可能になる。また、単色画像はフルカラー画像よりもトナー量が少なくなるので、単色プリントモードとフルカラープリントモードとの違いに応じて上記表面温度の目標範囲を切り替えることによっても、省エネルギー化を図ることが可能になる。
【0019】
以上のようにして、本プリンタ100は、フルカラー画像の定着処理を行う定着装置35に送られる前の転写紙Pに対して、上記両面転写手段によってその両面にフルカラー画像の前駆体である4色トナー像を転写する。そして、このことにより、転写紙Pの両面に対してワンパス方式での画像形成を行うことができる。なお、本プリンタ100のように、感光体等の像担持体を複数並べて配設し、それぞれで形成した可視像を連続的に重ね合わせ転写して多色画像等の重ね合わせ画像を形成する方式をタンデム方式という。これに対し、1つの像担持体に可視像を形成して中間転写体に転写した後、再び像担持体に可視像を形成して中間転写体上の可視像に重ね合わせ転写する工程を繰り返して重ね合わせ画像を形成する方式もある。この方式では、可視像の形成、転写という工程を繰り返し行わなくてはならない。一方、タンデム方式では、重ね合わせ転写すべき複数の可視像をそれぞれに対応する像担持体上でほぼ同時に形成することができるので、画像形成時間を大幅に短縮することができる。
【0020】
上述したように、上記第1トナー像は上記第2トナー像に先行して形成される。そして、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16に2次転写された後、上記3次転写部で転写紙の第1面に3次転写される。この第1面とは、上記スタック部40で上方を向く面である。よって、スタック部40にスタックされる転写紙Pは、先行して形成された第1トナー像を上に向け、且つその後に形成された第2トナー像を上に向けた状態で順次スタックされていく。本プリンタ100は、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第1トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を第1トナー像として形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部40において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面プリントモードを実行する際には、頁番号の小さい画像から順に形成していき、それぞれ転写紙Pの第2面に2次転写せしめる。このことにより、片面プリントモードにおいても、スタック部40で頁番号を下から順に揃えることができる。
【0021】
4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第2トナー像用に形成される各色トナー像は非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された各色トナー像が、1次転写、2次転写という2回の転写工程を経て転写紙Pに至る過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体上で正像として形成されることで、転写紙Pの第2面においても正像になるのである。これに対し、第1トナー像用に形成される各色トナー像は、3次転写まで行われるため、第2トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体上で鏡像として形成される。このことにより、転写毎に正像、鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第1面において正像となることができる。
【0022】
上述の第1転写ユニット15の図中上方には、ボトル収容器54が配設されている。このボトル収容器54内には、各プロセスカートリッジ(6Y,M,C,K)内の現像器に補給するためのトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKが収められている。
【0023】
本プリンタ100は、図3に示すように、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)200などから送られてくる画像情報信号に基づいて画像を形成する。図3では、パソコン200とプリンタ100とを通信ケーブルによって接続した画像形成システムの例を示したが、無線方式による接続を採用してもよい。プリンタ本体の前面左隅には、タッチパネル等からなる操作表示器51が固定されている。ユーザーは、この操作表示器51のディスプレイに現れるガイド表示に従って、作像プロセス条件や用紙条件等の各種パラメータを入力することができる。上述の片面プリントモードと、両面プリントモードとの切替については、この操作表示器51に用意されているモード切替ボタンを操作することによって行う。また、紙種の選択(紙収容カセットの選択)も、この操作表示器51に対する操作によって行う。但し、これらモードの切替や紙種の選択については、パーソナルコンピュータ200から設定信号を送信させることによっても行うことができる。
【0024】
プリンタ本体の前面には、前扉52が開閉自在に設けられている。前扉52が開かれると、図示しない上記第1転写ユニット(15)を支持する支持体53が大きく露出する。この支持体53は、図示しないガイドレール上をプリンタ本体の前後方向にスライド移動可能に構成され、プリンタ本体内から前面側に向けて引き出されることで、上記第1転写ユニット(15)を露出させる。そして、この露出により、上記第1転写ユニットの保守点検作業を容易にしている。また、前扉52が開かれると、支持体53の上方に配設されたボトル収容器54内のトナーボトルBY、BM、BC、BKの端面が露出する。それぞれ端面を露出させたトナーボトルBY、BM、BC、BKは、ボトル収容器54に対してプリンタ前後方向に着脱可能される。前扉52を開けば、プリンタ本体に対するトナーボトルBY、BM、BC、BKの前後方向への着脱が可能になる構成である。スタック部40が形成されているプリンタ本体上面を開閉自在な上扉とし、これを開いてトナーボトルBY、BM、BC、BKを上下方向に着脱するといった構成ではない。このため、オプションの図示しないスキャナ装置をプリンタ100の上方に配設してコピー機を構成する場合でも、トナーボトルBY、BM、BC、BKを着脱することができる。上述の第1紙カセット25、第2紙カセット26は、前扉52の下方に配設され、前後方向のスライド移動によってプリンタ本体から着脱されるように構成されている。前扉52を開いても、第1紙カセット25、第2紙カセット26の着脱や、操作表示器51への入力の操作性を損ねることはない。
【0025】
次に、本実施形態に係るプリンタ100の特徴的な構成について説明する。
先に示した図1において、転写装置60上記給紙手段は、そのレジストローラ対31の第1レジストローラ31a内に、図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を有している。そして、この第1レジストローラ31aにより、転写紙Pを両面転写に先立ってその第1面側から加熱する。転写装置60の上記給紙手段が、無端移動体対たるレジストローラ対31の一方のローラで転写紙Pを加熱することで、転写前転写手段としての機能を兼ねるのである。そして、転写前加熱のために新たなスペースを設けることなく、従来から使用していたレジストローラ対31の一方のローラに発熱手段を付設するだけで転写前加熱を実現している。第1レジストローラ31aに接触した転写紙Pは含有している水分の蒸発が転写前加熱によって促されて含水量を減らす。このことにより、転写紙Pの含水量の上昇に起因して生ずる転写不良が有効に抑えられる。
【0026】
新たなスペースを設けることなく、従来から使用していた何らかの部材に発熱手段を付設するだけで転写前加熱を実現する方法として、レジストローラ対31とは異なる無端移動体対に発熱手段を設けることも考えられる。本プリンタ100では、転写装置60の給紙手段における搬送ローラ対34の少なくとも一方のローラに発熱手段を設けるのである。しかしながら、全ての転写紙Pが搬送ローラ対34を経由するとは限らない。図示のように、第1紙カセット25や第2紙カセット26内に収容されている転写紙Pは搬送ローラ対34を経由しない。このため、全ての転写紙Pに対して転写前加熱を施すことができなくなったり、別の転写前加熱手段を設ける必要が生じたりする。これに対し、タイミングローラ対たるレジストローラ対31には、全ての転写紙Pに対してどの収容手段に収容されていたのかにかかわらず、転写前加熱を施すことができる。
【0027】
転写装置60の両面転写手段は、上記2次転写ニップにおいて、転写紙Pの第1面、第2面にそれぞれ可視像たる第1トナー像、第2トナー像を密着させながら、第2トナー像を第2面に静電転写する前段転写を行う。そして、この後、上記3次転写部において、第1トナー像を転写紙Pの第1面に静電転写する後段転写を行う。本発明者らは、鋭意研究により、このような2段階の静電転写によって転写紙Pの両面に画像を形成する画像形成装置において、転写紙Pの含水量の上昇に起因する転写不良が、特に第1面に生じ易くなることを見出した。第2面の画像の転写不良が殆ど認められなくても、第1面の画像の転写不良が顕著に認められるケースが発生したのである。これは、次に説明する理由によるものと考えられる。即ち、上述のような2段階の静電転写では、前段転写が行われる2次転写ニップを通過した後の転写紙Pから、可視像(本例では第2トナー像)の転写元となっていた無端移動体(本例では第1中間転写ベルト8)を引き離さなければならない。引き離さずに密着させたままの状態であると、後段転写が行われる3次転写部で転写チャージャ23を転写紙Pに対向させることができなくなるからである。このため、前段転写される可視像の転写元となる無端移動体は、2次転写ニップにおいてのみ転写紙Pに接触することになる。本プリンタ100を例にすると、第1中間転写ベルト8が2次転写ニップにおいてのみ転写紙Pに接触するのである。このため、第1中間転写ベルト8は、転写紙Pの第2面との接触時間が比較的短く、接触するとすぐにその表面の第2トナー像を静電転写によって転写紙Pの第2面に移行させ、その後すぐに第2面から離れる。このような接触時間の短い条件下において、第2トナー像は転写紙Pの水分をそれほど吸収する前に第2面への静電転写が完了してしまう。これに対し、後段転写される可視像(本例では第1トナー像)の転写元となる無端移動体(本例では第2中間転写ベルト16)は、転写紙Pを定着手段に受け渡しする必要性から、転写紙Pの第1面との接触時間が比較的長くなる。更に、後段転写される可視像は、2次転写ニップで転写紙Pの第1面に密着せしめられた後、3次転写部に搬送されるまで静電転写されないため、第1面に対する密着から静電転写までの時間が比較的長くなる。本プリンタ100を例にすると、第2中間転写ベルト16に保持される第1トナー像は、2次転写ニップで転写紙Pの第1面に密着せしめられた後、3次転写部に到達してようやく静電転写されるのである。よって、静電転写されるまでの間に転写紙Pの水分を吸収してトナー帯電量(Q/M)を低下させる可能性が高い。このようなトナー帯電量(Q/M)の低下により、第1面の画像に転写不良が生じ易くなっていると思われる。
【0028】
そこで、本プリンタ100においては、転写紙Pを後段転写による静電転写が施される方の第1面側から加熱すべく、第1レジストローラ31a、第2レジストローラ31bのうち、第1面に接触する方の第2レジストローラ31bに発熱手段を設けている。かかる構成では、転写紙Pを特に転写不良の生じ易い第1面側から加熱することで、転写紙Pの含水量の上昇に起因する転写不良をより確実に抑えることができる。なお、転写紙Pを第1面側からに加えて、第2面側からも加熱すると更によい。
【0029】
ところで、転写紙Pに向けて押圧された部材は、どうしても転写紙Pから若干の紙粉を付着せしめられる。像担持体たる4つの感光体1Y,M,C,Kに紙粉が付着すると、潜像形成性能や現像性能に影響を与えて画質を劣化させ易くなる。しかしながら、本プリンタ100の転写装置60は、上記両面転写手段が2次転写ニップで第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16との間に転写紙Pを挟み込んで前段転写を行うため、4つの感光体1Y,M,C,Kに転写紙Pを直接接触させることがない。4つの感光体1Y,M,C,Kに接触して1次転写ニップを形成する第1中間転写ベルト8には転写紙Pを直接接触させているが、これに付着した紙粉については各感光体に到達させる前に第1クリーニング装置10によってクリーニングすることができる。よって、記録体として転写紙P等の紙を用いても、4つの感光体1Y,M,C,Kに紙粉を付着させることによる画質劣化をほぼ解消することができる。
【0030】
上記第1紙カセット25の図中上方には、プリンタ本体の筺体内の湿度を検知する湿度検知手段たる機内湿度センサ70が配設されている。また、側方カバー50の外面における手差しトレイ27の近傍には、プリンタ本体の外部の湿度を検知する湿度検知手段たる機外湿度センサ71が配設されている。第1紙カセット25、第2紙カセット26、手差しトレイ27にセットされている転写紙Pは、それぞれ専用の図示しない紙サイズセンサによってサイズが検知されるようになっている。かかる紙サイズセンサとしては、セットされている転写紙Pを押さえるための押さえ用仕切り板の位置を検知することで紙サイズを検知するものなど、公知のものを採用することができる。内部の図示しない発熱手段によって昇温せしめられる第1レジストローラ31aの表面温度は、図示しない表面温度センサによって検知される。なお、先に示した図3において、ユーザーのキー操作による命令を受け付ける命令受付手段たる操作表示器51には、図示しない「加熱設定ボタン」が配設されている。
【0031】
図4は、本プリンタにおける上記第1レジストローラ(31a)の表面温度と、上記機内湿度センサ(70)や機外湿度センサ(71)による湿度検知結果との関係を示すグラフである。上記第1レジストローラ(31a)の表面温度は、上記機内湿度センサ(70)あるいは機外湿度センサ(71)による湿度検知結果に基づいて、グラフのように制御される。湿度が高くなるほど、第1レジストローラ(31a)の表面温度を高くして転写紙Pに対する加熱量を多くするのである。但し、湿度が50[%]未満の場合には、第1レジストローラ(31a)内の上記発熱手段に対する電源供給を停止して、表面温度の制御を行わない。なお、機内(筐体内)に設けられた上記第1紙カセット(25)や第2紙カセット(26)内に収容されている転写紙Pが用いられる場合には、上記機内湿度センサ(70)による機内湿度の検知結果が採用される。また、機外(筐体外)に設けられた手差しトレイ27に載置されている転写紙Pが用いられる場合には、上記機外湿度センサ(71)による機外湿度の検知結果が採用される。
【0032】
図5は、本プリンタ100の電気回路の一部を示すブロック図である。制御部E2は、図示しないCPU(演算手段)やRAM(記憶手段)等から構成されている。これには、上記操作表示器51、機内湿度センサ70、機外湿度センサ71が接続されている。また、表面温度センサ72、第1紙サイズセンサ73、第2紙サイズセンサ74、第3紙サイズセンサ75、受信部76、主ヒートスイッチ78、主サーモスイッチ79、副ヒートスイッチ81、副サーモスイッチ82なども接続されている。受信部76は、パソコン200からの信号を受信して制御部E2に送る。これらの他、電気回路内には、発熱電源77、主発熱手段80、副発熱手段83などが配設されている。
【0033】
上述したように、上記表面温度センサ72は、図示しない第1レジストローラ(31a)の表面温度を検知するものである。また、上記第1紙サイズセンサ73、第2紙サイズセンサ74、第3紙サイズセンサ75は、それぞれ、図示しない第1紙カセット(25)、第2紙カセット(26)、手差しトレイ(27)にセットされている転写紙のサイズを検知するものである。
【0034】
上記主発熱手段80、副発熱手段83は、何れも図示しない第1レジストローラ(31a)内に配設されている。主発熱手段80には、主ヒートスイッチ78と主サーモスイッチ79とを介して発熱電源77からの電源が供給され、両スイッチともに接点がONになっていないと電源の供給が停止する。また、副発熱手段83には、副ヒートスイッチ81と副サーモスイッチ82とを介して発熱電源77からの電源が供給され、両スイッチともに接点がONになっていないと電源の供給が停止する。
【0035】
制御部E2は、操作表示器51に対するユーザーのキー操作に基づく操作信号や、パソコン200から受信部76を介して送られてくる紙厚設定信号を受信することができる。そして、これにより、上記第1紙カセット(25)、第2紙カセット(26)、手差しトレイ(27)にセットされている転写紙Pについて、それぞれ「厚紙」、「普通紙」、「薄紙(トレッシングペーパーなど)」の何れかを示す紙厚情報を取得することができる。操作表示器51や受信部76が厚み情報取得手段として機能しているのである。
【0036】
また、受信部56は、外部のパソコン200から送られてくる画像情報信号を受信して制御部E2に出力する。この画像画像情報信号には、画像の画素データ情報の他、どの紙カセット(あるいは手差しトレイ)を使用するかを示す使用カセット情報や連続プリント枚数情報などが含まれている。制御部E2は、これら使用カセット情報及び連続プリント枚数情報や、予め記憶しているプロセス線速(感光体や各ベルトの周速)情報などに基づいて、第1レジストローラ(31a)と転写紙Pとの単位時間あたりにおける接触面積(以下、時間接触面積という)を算出することができる。受信部56と制御部E2との組合せにより、単位時間あたりにおける記録体と転写前加熱手段との接触面積を取得する接触面積取得手段が構成されているのである。
【0037】
図6は、上記制御部E2によって実施される加熱フラグ設定制御のフローを示すフローチャートである。この加熱フラグ設定制御では、まず、図示しない上記操作表示器(51)の「加熱設定ボタン」に対する押下操作の有無が判断される(S1)。そして、押下操作がなかった場合(S1でN)には、制御フローが終了する。一方、押下操作があった場合(S1でY)には、加熱実行フラグの状態が反転された後(S2)、制御フローが終了する。それまで加熱実行フラグがセットしていた場合には解除される一方で、それまで解除されていた場合にはセットされるのである。
【0038】
図7は、上記制御部E2によって実施される転写前加熱温度制御のフローを示すフローチャートである。この転写前加熱温度制御では、まず、上記加熱実行フラグについてセット中であるか否かが判断される(S1)。セット中でない場合(S1でN)には、上記「加熱設定ボタン」に対するユーザーの押下操作によって転写前加熱の停止モードが選択されていることになる。この停止モードでは、上記主ヒートスイッチ(78:図5参照)、副ヒートスイッチ(81)がともにOFFされた後(S3)に、制御フローが終了する。これらスイッチがOFFされれば、上記第1レジストローラ31(31a)内の上記主発熱手段(80)、副発熱手段(83)には何れも上記発熱電源(77)からの電気が供給されなくなる。転写前加熱の停止モードが選択されている場合には、転写前加熱が強制的に停止されるのである。一方、上記加熱実行フラグがセット中である場合(S1でY)には、転写前加熱の実行モードが選択されていることになる。この実行モードが選択されているからといって、転写前加熱が必ず実行されるわけではない。使用される転写紙Pに応じて選択される機内湿度又は機外湿度(以下、単に湿度という)が50[%]未満である場合には(S2でN)、停止モードと同様に、主、副のヒートスイッチ(78、81)がともにOFFされて(S3)、制御フローが終了する。
【0039】
転写前加熱の実行モードが選択されており、且つ湿度が50[%]である場合(S2でY)には、次に、上記時間接触面積について所定の閾値を超えているか否かが判断される。本プリンタ(100)では、上記時間接触面積がこの閾値以下である場合には、2つの発熱手段(80、83)のうち、上記主発熱手段(80)の発熱だけによる温度制御が可能になっている。しかし、閾値を上回っている場合には、上記主発熱手段(80)だけだと転写紙Pに奪われる熱量に加熱量が追いつかず、上記第1レジストローラ(31a)の表面温度を適切に制御できなくなるおそれがある。そこで、上記時間接触面積が閾値を上回っている場合(S4でY)には、上記主ヒートスイッチ(78)、副ヒートスイッチ(81)がともにONされて、2つの発熱手段による転写前加熱のモードがセットされる(S7)。これにより、上記主発熱手段(80)だけによる転写前加熱のモードに比べて、発熱能力が高められて、単位時間あたりの加熱量が多くなる。
【0040】
上記時間接触面積が閾値以下であるからといって、上記主発熱手段(80)だけで加熱量が追いつくとは限らない。使用される転写紙が「厚紙」であれば、上記時間接触面積が閾値を上回る場合と同様に、上記主発熱手段だけでは加熱量を不足させるおそれがある。このため、使用される転写紙の上記紙厚情報が「厚紙」である場合(S5でY)も、2つの発熱手段による転写前加熱のモードがセットされる(S7)。一方、上記時間接触面積が閾値以下で、且つ上記紙厚情報が「厚紙」でない場合(S5でN)には、2つのヒートスイッチ(78、81)のうち、主ヒートスイッチ(78)だけがONされる(S6)。これにより、主発熱手段(80)だけによる転写前加熱のモードがセットされる。これにより、2つの発熱手段(80、83)による転写前加熱のモードに比べて、発熱能力が低減されて、単位時間あたりの加熱量が少なくなる。何れかのモードがセットされると(S6、S7)、次に、図4に示したグラフに基づいて上記主サーモスイッチ(79)、副サーモスイッチ(82)がON/OFFされ(S8)、上記第1レジストローラ(31a)の表面温度が適正値に制御される。
【0041】
以上のような制御を実施する本プリンタ(100)では、図5に示した制御部E2、主ヒートスイッチ78、副ヒートスイッチ81などによって強制停止手段が構成されている。この強制停止手段とは、命令受付手段たる操作表示器51による操作受付結果に基づいて上記第1レジストローラ(31a)による加熱を強制的に停止させる手段である。そして、例えばプリントアウト画像がその品質を問われない下書き文書画像である場合など、高画質がユーザーに望まれない場合に、必要に応じて転写前加熱を停止して省エネルギーを図ることができる。
【0042】
また、制御部E2、主ヒートスイッチ78、副ヒートスイッチ81などからなる上記強制停止手段は、上記操作表示器51による操作受付結果だけではなく、湿度にも応じて上記第1レジストローラ(31a)による加熱を強制停止させている。環境要因検知手段たる機内湿度センサ70や機外湿度センサ71による湿度検知結果に基づいて転写前加熱手段による加熱を強制的に停止させる強制停止手段にもなっているのである。かかる構成では、転写紙が転写不良を生じさせるほど水分を含んでいない可能性が高いときに、転写前加熱手段による加熱を強制的に停止させて、無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【0043】
また、制御部E2、主ヒートスイッチ78、副ヒートスイッチ81などは、厚み情報取得手段たる操作表示器51や受信部76による紙厚情報の取得結果に基づいて発熱手段の発熱能力を調整する発熱能力調整手段としても機能している。かかる構成では、上述した転写前加熱温度制御のように、使用される転写紙Pが厚紙に比べて熱吸収量の少ない普通紙や薄紙である場合に、上記第1レジストローラ(31a)による加熱量を少なくすることが可能である。このことにより、厚紙が使用される場合と同じ加熱量にすることによる余計なエネルギー消費を回避することができる。また、使用される転写紙Pが普通紙に比べて熱吸収量の多い厚紙である場合には、上記第1レジストローラ(31a)による加熱量を多くして、加熱量不足による転写不良を抑えることもできる。転写紙の熱吸収量に応じて上記第1レジストローラ(31a)による加熱量を調整して、余計なエネルギー消費を回避したり、加熱量不足による転写不良を抑えたりすることができるのである。更に、制御部E2、主ヒートスイッチ78、副ヒートスイッチ81などは、上記時間接触面積に基づいて発熱手段の発熱能力を調整する発熱能力調整手段としても機能している。かかる構成では、第1レジストローラ(31a)による加熱量を転写紙の熱吸収量に応じた値により正確に調整して、より確実に余計なエネルギー消費を回避したり、加熱量不足による転写不良を抑えたりすることができる。
【0044】
一方、制御部E2、主サーモスイッチ79、副サーモスイッチ82などは、機内湿度センサ70や機外湿度センサ71による湿度検知結果に基づいて転写前加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段を構成している。かかる構成では、上記第1レジストローラ(31a)による加熱量を転写紙の含水量に適した値に制御して、余計なエネルギー消費を抑えることができる。
【0045】
なお、記録体たる転写紙の含水量と相関関係にある環境要因として温度を検知する温度センサを、環境要因検知手段として用いることもできる。但し、一般に、転写紙の含水量に対しては温度よりも湿度の方が良好な相関を示す。よって、環境要因検知手段として湿度センサを用いることで、温度センサを用いる場合よりも、含水量と環境要因との誤差に起因する省エネルギー性や確実な加熱性の低下を抑えることができる。
【0046】
本発明者らは、鋭意研究により、機外(筺体内)が機外(筺体外)よりも湿度上昇を抑えて、転写紙の吸湿による転写不良が抑えられることを見出した。そこで、図1に示したように、第1紙カセット25、第2紙カセット26については筺体内に配設し、これらに収容される転写紙Pの含水率を同じく機内に配設した機内湿度センサ70に基づいて把握させている。かかる構成では、機外よりも転写紙Pの吸湿が抑えられる機内に転写紙Pを収容させて、その転写紙の含水量を同じ機内の湿度に基づいて把握することで、機外に配設する場合に比べて転写前加熱によるエネルギー消費を抑えることができる。
【0047】
なお、第1レジストローラ31a内に発熱手段を設けて転写装置60の上記給紙手段に転写前加熱手段としての機能をもたせるのではなく、第1紙カセット25、第2紙カセット26、手差しトレイ27のそれぞれに転写前加熱手段としての発熱手段を設けても良い。かかる構成では、転写紙Pに対して1枚ずつではなく、ある程度まとめた枚数で転写前加熱を施すことができる。また、この場合には、発熱手段として面状発熱体を用いることが望ましい。そうすると、転写紙Pの全面をムラ無く転写前加熱して、その温度ムラによる転写ムラを抑えることができる。一方、図1に示したプリンタ100のように、レジストローラ対31に発熱手段を設けると、どうしても転写紙Pに温度ムラを発生させてしまう。レジストローラ対31がローラ間に転写紙Pを挟み込みながらその送り出しのタイミングを見計らっているときには、挟み込み部分だけを加熱するため、先端付近を他の部分よりも高温にしてしまうからである。そして、このことにより、転写ムラを発生させるおそれがある。但し、全ての記録体収容手段に発熱手段を設ける必要がないので、そのことによるコストアップを回避することができる。
【0048】
図8は、本実施形態に係るプリンタの変形例装置を示す概略構成図である。この変形例装置は、実施形態に係るプリンタと同様の4つのプロセスユニット6Y,M,C,BK、露光装置7、定着装置35、反転ガイド部材36、スタック部40を備えている。但し、実施形態に係るプリンタとは異なり、転写装置には、1つの転写ユニット42だけからなる両面転写手段が設けられている。また、上述の手差しトレイ(27)が設けられていない代わりに、記録体収容手段たるロール紙供給装置150が設けられている。更に、レジストローラ対31に発熱手段が設けられていない代わりに、第1紙カセット25、第2紙カセット26、ロール紙供給装置150内に、それぞれ図示しない発熱手段が設けられている。全ての記録体収容手段に転写前加熱手段たる発熱手段が設けられているのである。
【0049】
両面転写手段たる上記転写ユニット42は、中間転写体たる中間転写ベルト43、これを張架する4つの張架ローラ45,46,47,48、各色用の1次転写ニップを形成する4つの1次転写ローラ44Y,M,CKなどを備えている。また、2次転写チャージャ39、2次転写バックアップローラ49、ベルトクリーニング装置41なども備えている。この転写ユニット42も2段階の静電転写によって転写紙Pに対する両面転写を実現するものであるが、実施形態のプリンタとは異なり、前段転写、後段転写をそれぞれ各1次転写ニップ、2次転写部で行う。この2次転写部とは、最下流側のK用1次転写ニップと、定着装置35との間に配設された、2次転写チャージャ39と2次転写バックアップローラ49との対向部である。2次転写バックアップローラ49は中間転写ベルト43の裏面に当接して2次転写チャージャ39による2次転写をバックアップする。また、2次転写チャージャ39は、中間転写ベルト43のおもて面に所定の間隙を介して対向するように配設されている。
【0050】
4つの1次転写ローラ44Y,M,C,Kは、図中反時計回りに無端移動せしめられる中間転写ベルト43を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、図示しない電源の供給を受けて、トナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを中間転写ベルト43の裏面に印加する。各1次転写ニップでは、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト43上に重ね合わせて1次転写される。この1次転写により、転写紙Pの第1面(スタック部40で上を向く方の面)に転写されるべき4色トナー像からなる第1トナー像が中間転写ベルト43上に形成される。
【0051】
転写ユニット42の図中下方に設けられたレジストローラ対31は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、中間転写ベルト8上の第1トナー像に密着させ得るタイミングで転写ユニット42に向けて送り出す。但し、この送り出しに先立って、各感光体1Y,M,C,K上では、転写紙Pの第2面に転写されるべき第2トナー像の構成要素となるY,M,C,Kトナー像が形成される。これらY,M,C,Kトナー像は、レジストローラ対31から送り出されて来た転写紙Pに、それぞれY,M,C,K用1次転写ニップで密着し得るタイミングで形成される。よって、今度は各1次転写ニップにおいて、転写紙Pの第2面に各色トナー像が重ね合わせて1次転写される。各1次転写ニップにおける各色トナー像の第2面への重ね合わせ転写が、2段階の静電転写における前段転写に相当する。この前段転写の際、各1次転写ニップにて中間転写ベルト43と転写紙Pの第1面との間に挟まれている第1トナー像は、1次転写バイアスの作用によってベルト側に引き寄せられる。このため、転写紙Pの第1面に密着しているが、そこに2次転写されることはない。前段転写が終了した転写紙Pは、上記2次転写部を通過する際に、その第2面に第2トナー像が2次転写される。この2次転写が、2段階の静電転写における後段転写に相当する。なお、上記2次転写部を通過した中間転写ベルト43の表面に残留している転写残トナーは、ベルトクリーニング装置41によってクリーニングされる。
【0052】
かかる構成の両面転写手段たる転写ユニット42では、実施形態に係るプリンタの両面転写手段とは異なり、中間転写体を1つだけしか用いないので、プリンタ本体構成の簡素化を図ることができる。
【0053】
上記ロール紙供給装置150は、転写前加熱手段たる発熱手段の他、紙テンションローラ151、2つの送りローラ対152,154、両送りローラ対間に配設された紙裁断手段153などを有している。また、幅がA4サイズの短辺寸法で、長さが非定形のロール紙RPを収容している。ロール紙RPは、その先端が図中下側の送りローラ対153に挟まれた状態で、先端よりも下部がテンションローラ151に当接することで、その引き出し部に所定のテンションが印加される。図中下側の送りローラ対153が駆動すると、ロール紙RPの先端側が図中上側の送りローラ対154を経て、プリンタ本体内の給紙路32に送られる。そして、第2紙カセット26と第1紙カセット27との間に配設された搬送ローラ対34に挟まれる。更に、この搬送ローラ対34の駆動によって、レジストローラ対31に向けて搬送される。変形例装置では、かかる構成のロール紙供給装置150を備えることで、非定形の記録体に対しても画像を両面形成することが可能になっている。
【0054】
なお、4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第2トナー像用に形成される各色トナー像は鏡像として形成される。これは、感光体上で鏡像として形成された各色トナー像が、転写紙Pの第2面上で製造になるからである。これに対し、第1トナー像用の各色トナー像は、2次転写まで行われるため、第2トナー像の各色トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体上で正像として形成される。このことにより、転写毎に鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第1面において正像となることができる。
【0055】
これまで、潜像担持体としてドラム状の感光体を用いた例について説明したが、ベルト上の感光体など、他の方式のものを用いてもよい。また、中間転写体については、ベルト方式のものに限られず、ローラ方式などもものでも良い。また、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、電子写真方式のプリンタについて説明したが、直接記録方式の画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を中間転写体や記録体に直接付着させて画素像を形成することで、画像を直接形成する方式である。
【0056】
以上、実施形態に係るプリンタ100においては、転写装置60の両面転写手段が2段階の静電転写を行い、且つ、転写前加熱手段たる第1レジストローラ対31aが、転写紙Pの第1面側から加熱するようになっている。かかる構成により、転写紙Pを、2段階の静電転写方式にて特に転写不良の生じ易い第1面側から加熱して、転写紙Pの含水量の上昇に起因する転写不良をより確実に抑えることができる。
また、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16との間に転写紙Pを挟み込んで前段転写を行うことで、各感光体と転写紙Pとの直接接触を回避している。そして、このことにより、記録体として転写紙P等の紙を用いても、4つの感光体1Y,M,C,Kに紙粉を付着させることによる画質劣化をほぼ解消することができる。
また、変形例装置においては、実施形態に係るプリンタ100とは異なり、中間転写体を1つだけしか用いないので、プリンタ本体構成の簡素化を図ることができる。
また、実施形態に係るプリンタ100においては、無端移動体対たるレジストローラ対31に設けた転写前加熱手段たる発熱手段からの熱で転写紙Pを加熱している。かかる構成では、新たなスペースを設けることなく、レジストローラ対31に発熱手段を付設するだけで転写前加熱を実現することができる。
また、発熱手段を付設する対象の無端移動体対を、タイミングローラ対たるレジストローラ対31としているので、全ての転写紙Pに対してどの収容手段に収容されていたのかにかかわらず、転写前加熱を施すことができる。
また、レジストローラ対31ではなく、第1紙カセット25、第2紙カセット26、手差しトレイ27のそれぞれに転写前加熱手段としての発熱手段を設ければ、転写紙Pに対して1枚ずつではなく、ある程度まとめた枚数で転写前加熱を施すことができる。
また、これら記録体収容手段(25、26、27)に設ける発熱手段として面状発熱体を用いれば、転写紙Pの全面をムラ無く転写前加熱して、その温度ムラによる転写ムラを抑えることができる。
また、像担持体たる複数の感光体を設け、これらに担持される各色トナー像を第1中間転写体たる第1中間転写ベルト8に重ね合わせて転写せしめて4色トナー像を得ている。かかる構成では、図1に示したようにタンデム方式の重ね合わせ転写を実現する。そして、このことにより、1つの感光体に各色トナー像を個別に形成して中間転写体に順次重ね合わせ転写して4色トナー像を得る方式に比べ、画像形成速度を大幅に短縮することができる。
また、命令受付手段たる操作表示器51と、これによる操作受付結果に基づいて転写前加熱を強制的に停止させる強制停止手段とを設けているので、高画質がユーザーに望まれない場合に、必要に応じて転写前加熱を停止して省エネルギーを図ることができる。
また、環境要因検知手段たる湿度センサ(70、71)と、これによる検知結果に基づいて転写前加熱を強制的に停止させる強制停止手段とを設けているので、このことによっても、必要に応じて転写前加熱を停止して省エネルギーを図ることができる。
また、環境要因検知手段たる湿度センサ(70、71)と、これによる検知結果に基づいて転写前加熱手段たる第1レジストローラ31aによる加熱量を制御する加熱量制御手段と設けている。かかる構成では、第1レジストローラ(31a)による加熱量を転写紙の含水量に適した値に制御して、余計なエネルギー消費を抑えることができる。
また、環境要因検知手段として湿度検知手段たる湿度センサ(70、71)を用いているので、温度検知手段を用いる場合に比べ、転写紙Pの含水量と環境要因との誤差に起因する省エネルギー性や確実な加熱性の低下を抑えることができる。
また、記録体収容手段たる紙カセット(25、26)と、湿度検知手段たる機内湿度センサ70とを、機内に設けたので、機外に配設する場合に比べて転写前加熱によるエネルギー消費を抑えることができる。
また、厚み情報取得手段たる操作表示器51や受信部76と、これらによる紙厚情報の取得結果に基づいて発熱手段の発熱能力を調整する発熱能力調整手段とを設けている。かかる構成では、転写紙Pの熱吸収量に応じて第1レジストローラ31aによる加熱量を調整して、余計なエネルギー消費を回避したり、加熱量不足による転写不良を抑えたりすることができる。
また、制御部E2、操作表示器51、受信部76などからなる接触面積取得手段と、これによる取得結果に基づいて第1レジストローラ31a内の発熱手段の発熱能力を調整する発熱能力調整手段とを設けている。かかる構成によっても、転写紙Pの熱吸収量に応じて第1レジストローラ31aによる加熱量を調整して、余計なエネルギー消費を回避したり、加熱量不足による転写不良を抑えたりすることができる。
また、プリンタ100とパソコン200とからなる画像形成システムにおいては、パソコン200からの制御信号に基づいてプリンタ100に画像を出力しながら、転写紙Pの含水量の情報に起因する転写不良を抑えることができる。
【0057】
【発明の効果】
請求項1乃至20の発明によれば、記録体の両面に対するワンパス方式での画像形成を可能にしながら、記録体の含水量の上昇に起因して生ずる転写不良を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】同プリンタのY用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタとパソコンとからなる画像形成システムを示す斜視図。
【図4】同プリンタとにおける第1レジストローラの表面温度と、湿度センサによる湿度検知結果との関係を示すグラフ。
【図5】同プリンタの電気回路の一部を示すブロック図。
【図6】同プリンタの制御部によって実施される加熱フラグ設定制御のフローを示すフローチャート。
【図7】同制御部によって実施される転写前加熱温度制御のフローを示すフローチャート。
【図8】同プリンタの変形例装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
1Y,M,C,K 感光体(像担持体)
8        第1中間転写ベルト(第1中間転写体)
15       第1転写ユニット(両面転写手段の一部)
16       第2中間転写ベルト(第2中間転写体)
24       第2転写ユニット(両面転写手段の他の一部)
25       第1紙カセット(記録体収容手段)
26       第2紙カセット(記録体収容手段)
27       手差しトレイ(記録体収容手段)
31       レジストローラ対(無端移動体対、タイミングローラ対)
31a      第1レジストローラ(転写前加熱手段)
42       転写ユニット(両面転写手段)
43       中間転写ベルト(中間転写体)
51       操作表示器(命令受付手段、厚み情報取得手段)
60       転写装置
70       機内湿度センサ(環境要因検知手段、湿度検知手段)
71       機外湿度センサ(環境要因検知手段、湿度検知手段)
P        転写紙(記録体)

Claims (20)

  1. 可視像の定着処理が施される前の記録体の両面に対して、像担持体に担持される可視像を静電的に転写せしめる両面転写工程を実施する転写方法において、
    上記両面転写工程に先立って、上記記録体を加熱する転写前加熱工程を実施することを特徴とする転写方法。
  2. 可視像の定着処理が施される前の記録体の両面に対して、像担持体に担持される可視像を静電的に転写せしめる両面転写手段と、記録体を収容する記録体収容手段と、該記録体収容手段に収容される記録体を該両面転写手段に搬送する記録体搬送手段とを備える転写装置において、
    上記両面転写手段による両面転写が施される前の記録体を加熱する転写前加熱手段を設けたことを特徴とする転写装置。
  3. 請求項2の転写装置であって、
    上記両面転写手段が、記録体の両面にそれぞれ可視像を密着させながら一方の可視像を該記録体の一方の面に静電的に転写する前段転写を行った後、もう一方の可視像を該記録体のもう一方の面に静電的に転写する後段転写を行い、且つ、上記転写前加熱手段が、記録体を少なくとも該後段転写による転写が施される方の面側から加熱することを特徴とする転写装置。
  4. 請求項3の転写装置であって、
    上記両面転写手段が、像担持体上の可視像が中間転写せしめられる第1中間転写体と、該第1中間転写体上の可視像が更に中間転写せしめられる第2中間転写体とを備え、上記前段転写を行う際に、可視像を保持している該第1中間転写体と、同じく可視像を保持している該第2中間転写体との間に記録体を挟み込むことで、該記録体の両面にそれぞれ可視像を密着させることを特徴とする転写装置。
  5. 請求項3の転写装置であって、
    上記両面転写手段は、像担持体上の可視像が中間転写せしめられる中間転写体を備え、上記前段転写を行う際に、可視像を担持している該像担持体と、可視像を保持している該中間転写体との間に記録体を挟み込むことで、該記録体の両面にそれぞれ可視像を密着させることを特徴とする転写装置。
  6. 請求項2、3、4又は5の転写装置であって、
    上記記録体搬送手段が、互いに表面を順方向に無端移動させながら当接する無端移動体対を複数備え、それぞれの対の無端移動体間に記録体を挟み込んで搬送し、少なくとも1つの無端移動体に設けられた発熱手段からの熱で記録体を加熱することで、上記転写前加熱手段としての機能を兼ねることを特徴とする転写装置。
  7. 請求項6の転写装置であって、
    上記記録体搬送手段が、上記無端移動体対として、記録体を挟み込んだ状態で回転停止した後、所定のタイミングで回転再開して記録体を上記両面転写手段に向けて送り出すタイミングローラ対を備え、該タイミングローラ対の少なくとも一方のローラに上記発熱手段を有することを特徴とする転写装置。
  8. 請求項2、3、4又は5の転写装置において、
    上記転写前加熱手段を上記記録体収容手段に設けたことを特徴とする転写装置。
  9. 請求項8の転写装置であって、
    上記転写前加熱手段が、上記記録体収容手段内の記録体を面状発熱体によって加熱することを特徴とする転写装置。
  10. 像担持体に担持される可視像を記録体の両面に静電的に転写せしめる転写方法を用いて、記録体の両面に画像を形成する画像形成方法であって、
    上記転写方法が、請求項1の写方法であることを特徴とする画像形成方法。
  11. 可視像を担持する像担持体と、該像担持体上の可視像を記録体の両面に静電的に転写せしめる転写装置とを備える画像形成装置であって、
    上記転写装置が、請求項2、3、4、5、6、7、8又は9の転写装置であることを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項11の画像形成装置であって、
    上記転写装置として請求項4又は5のものを備えるとともに、上記像担持体を複数備え、各像担持体に担持される可視像を上記第1中間転写体又は中間転写体に重ね合わせて転写することを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項11又は12の画像形成装置であって、
    操作者の操作による命令を受け付ける命令受付手段と、該命令受付手段による受付結果に基づいて上記転写前加熱手段による加熱を強制的に停止させる強制停止手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項11又は12の画像形成装置であって、
    上記記録体収容手段に収容される記録体の含水量と相関関係にある環境要因を検知する環境要因検知手段と、該環境要因検知手段による検知結果に基づいて上記転写前加熱手段による加熱を強制的に停止させる強制停止手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項11又は12の画像形成装置であって、
    上記記録体収容手段に収容される記録体の含水量と相関関係にある環境要因を検知する環境要因検知手段と、該環境要因検知手段による検知結果に基づいて上記転写前加熱手段による加熱量を制御する加熱量制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項14又は15の画像形成装置であって、
    上記環境要因検知手段が、上記環境要因として湿度を検知する湿度検知手段であることを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項16の画像形成装置であって、
    上記記録体収容手段と上記湿度検知手段とを、画像形成装置本体の筺体内に備えることを特徴とする画像形成装置。
  18. 請求項11、12、13、14、15、16又は17の画像形成装置であって、
    上記記録体の厚み情報を取得する厚み情報取得手段と、該厚み情報取得手段による取得結果に基づいて上記発熱手段の発熱能力を調整する発熱能力調整手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  19. 請求項11、12、13、14、15、16又は17の画像形成装置であって、
    単位時間あたりにおける上記記録体と上記転写前加熱手段との接触面積を取得する接触面積取得手段と、該接触面積取得手段による取得結果に基づいて上記発熱手段の発熱能力を調整する発熱能力調整手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  20. 画像を形成する画像形成装置と、これに制御信号を送信するコンピュータとを備える画像形成システムであって、
    上記画像形成装置として、請求項11、12、13、14、15、16、17、18又は19のものを備えることを特徴とする画像形成システム。
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