JP2001332815A - 半導体発光素子 - Google Patents
半導体発光素子Info
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Abstract
ことにより、転位密度を小さくしながら、広い範囲に亘
って平坦性が得られるチッ化物系化合物半導体層を積層
し、発光効率の優れたチッ化物系化合物半導体発光素
子、とくにしきい電流値を低下させた半導体レーザを提
供する。 【解決手段】 基板1上に第1のGaN層2が設けら
れ、その上に開口部3aを有するマスク層3が設けら
れ、そのマスク層3上に前記開口部3aから横方向に選
択成長される第2のGaN層4、さらに、発光層を形成
するように積層されるチッ化物系化合物半導体積層部1
5が設けられている。そして、マスク層3の上面側に凹
部3bが形成されている。換言すれば、たとえばマスク
層3上面側の凹部3bにより、第2のGaN層4の底面
とマスク層3との間にほぼ平行な空隙3cが形成される
ように第2のGaN系化合物半導体層4が成長されてい
る。
Description
導体(III 族元素とチッ素などとの化合物半導体)を用
い、高い記憶密度を有する光ディスクメモリや、レーザ
ビームプリンタの高精細化に必要な青色領域で発光可能
な半導体レーザや発光ダイオードなどの半導体発光素子
に関する。さらに詳しくは、発光層での転位密度をでき
るだけ少なくし、発振出力の大きい半導体レーザなどの
半導体発光素子に関する。
ーザは、たとえば図6に示されるように、サファイア基
板21上にIII 族チッ化物化合物半導体(チッ化物系化
合物半導体)が有機金属気相成長法(Metal Organic Ch
emical Vapour Deposition 以下、MOCVDという)
により順次積層されるもので、GaN緩衝層22、n形
GaNからなるコンタクト層23、Al0.12Ga0.88N
からなるn形クラッド層24、GaNからなるn形光ガ
イド層25、InGaN系化合物半導体の多重量子井戸
構造からなる活性層26、p形GaNからなるp形光ガ
イド層27、p形Al0.12Ga0.88Nからなるp形クラ
ッド層28、p形GaNからなるp形コンタクト層29
が順次積層され、積層された半導体層の一部が図6に示
されるようにドライエッチングなどによりエッチングさ
れてn形コンタクト層23を露出させ、その表面にn側
電極31、前述のp形コンタクト層29上にp側電極3
0がそれぞれ形成されることにより構成されている。
ァイア基板は、チッ化物系化合物半導体との格子定数が
大幅に異なり、両者間の格子整合が採れず、成長するチ
ッ化物系化合物半導体の転位密度が1×108cm-2以
上となり、赤色系のGaAs基板上に成長する化合物半
導体層の1×102cm-2程度と比べて大幅に転位密度
が大きくなっている。LED(発光ダイオード)では、
この程度の転位密度があっても実用化されているが、半
導体レーザダイオード(LD)の場合には、低しきい値
化、長寿命化のためには、少なくと1×107cm-3程
度以下の転位密度にすることが要望されている。しか
し、サファイアの他に工業的に適した基板も見つかって
いない。
を少なくする方法として、たとえばアキラ ウスイらに
よる「低転位密度の厚いGaNエピタキシャル成長(Th
ickGaN Epitaxial Growth with Low Dislocation Densi
ty)」(ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド
フィジックス(Jpn.J.Apply.Phys. )36巻(199
7年)、899〜902頁)に示され、図7に部分的な
断面説明図が示されるように、サファイア基板41上の
第1のGaN層42上に、SiO2マスク43が開口部
44を有するように設けられ、その開口部44を介して
横方向への選択成長により、第2のGaN層45を成長
する方法が開示されている。チッ化物系化合物では、縦
方向よりも横方向への成長が行われやすいため、直径が
2インチのサファイアウェハに成長して、転位密度が6
×107cm-2より小さくなり、クラックもなく、ミラ
ーフェースのGaN層が得られることが紹介されてい
る。
物系化合物半導体のエピタキシャル成長層は、転位密度
が非常に大きく、発光効率の低下にもつながり、信頼性
も低下する。一方、前述のSiO2マスクを用いること
による選択成長では転位密度が小さくなる。しかし、図
7に示されるように、一定間隔で設けられる両側の開口
部44から順次横方向に成長し、マスク43の中央部で
合致するように成長するが、マスク43上に成長する第
2のGaN層45は、中央部側にいくにしたがって、マ
スク43より浮き上がり、結晶軸が曲がりながら成長
し、底面および表面側が平坦な第2のGaN層45とは
ならない。そのため、図7に示されるように、マスクの
中央部側では、第2のGaN層45が浮き上がった状態
で両方から合流することによる空孔46が形成され、デ
バイス化するのに好ましくない。この傾向は、マスク幅
Mが大きくなると一層顕著になる。
たとえば前述の文献に紹介されている例でも、SiO2
マスクの幅Mは1〜4μm幅で、その周期(M+W)が
7μm程度と記載されているように、マスク幅Mが3μ
m以上になると空孔46が発生しやすくなる。しかも幅
Mが大きくなるにしたがって、空孔の高さも大きくな
り、それにより表面の平坦性が低下してデバイス特性も
低下する。また、空孔46ができないで、平坦性が得ら
れるぎりぎりの状態のところでも、その中央部の合致す
る部分では、転位密度が大きくなる。さらに、開口部4
4に成長する第2のGaN層45も第1のGaN層42
の転位密度が大きいため、そのまま転位密度の大きい領
域となる。そのため、転位密度の小さい連続した部分
は、マスク幅の半分の範囲で、しかもその半分の両端部
を除外したところしかなく、幅で1μm程度しか得られ
ない。
する場合で、ストライプ状の発光領域だけを転位密度の
小さい半導体層で構成しようとしても、ストライプ幅の
4〜5μmとアライメントマージンとを考慮し、マスク
幅の半分以下しか使用できないことを考えると、マスク
幅Mは10〜15μm以上必要となる。そのため、この
ような幅広のマスクを使用して、平坦性のよいチッ化物
系化合物半導体層を成長しなければ、実際のデバイスに
応用することができないという問題がある。
で、SiO2などのマスク上に選択成長をさせることに
より、転位密度を小さくしながら、広い範囲に亘って平
坦性が得られるチッ化物系化合物半導体層を積層し、発
光効率の優れたチッ化物系化合物半導体発光素子を提供
することにある。
に発光領域をストライプ状部分などに限定できる場合
に、少なくともそのストライプ状の発光領域部分におけ
る活性層の転位密度を小さくし、しきい電流値を下げ、
高出力を得ることができる半導体レーザを提供すること
にある。
上にチッ化物系化合物半導体層を横方向に選択成長する
場合に、マスクの中央部に行くにしたがって、成長する
半導体層の結晶軸が上方に曲って成長し、中央部近傍で
空孔が形成され、マスク幅が広くなればなるほどその空
孔部分が大きくなり、平坦な半導体層を成長することが
できないという問題を解決するため、鋭意検討を重ねた
結果、マスクの中央部側に成長するにしたがって、成長
する半導体層の結晶軸が上方に曲がる原因が、半導体層
とマスク層との接触部に働く接触応力に起因することを
見出した。そして、この接触部を離して、接触応力が働
かないようにすることにより、結晶軸の曲がりが発生し
ないで、転位密度が小さく、かつ、平坦な半導体層が成
長されることを見出した。
該基板上に設けられる第1のチッ化物系化合物半導体層
と、該第1のチッ化物系化合物半導体層上に設けられ、
開口部を有するマスク層と、該マスク層上に前記開口部
から横方向に選択成長される第2のチッ化物系化合物半
導体層と、該第2のチッ化物系化合物半導体層上に発光
層を形成するようにチッ化物系化合物半導体が積層され
る半導体積層部とからなり、前記マスク層の上面側に凹
部が形成されていたり、前記第2のチッ化物系化合物半
導体層の底面側が平坦面に形成され、かつ、該第2のチ
ッ化物系化合物半導体層の底面と前記マスク層との間に
ほぼ平行な空隙が形成されるように前記第2のチッ化物
系化合物半導体層が成長されている。
a、Al、InなどのIII 族元素とNまたはNと他のV
族元素との化合物からなる半導体を意味する。したがっ
て、GaNの他、AlとGaとの組成比が変えられるA
lGaN系化合物や、InとGaの組成比が変えられる
InGaN系化合物など、III族元素の混晶比やV族元
素の混晶比が適宜変化されるNを含む化合物半導体を意
味する。また、マスク層とは、たとえばSiO2のよう
に、チッ化物系化合物半導体層をエピタキシャル成長し
ようとしても、直接にはその表面にエピタキシャル成長
をすることができない材料からなる層を意味する。
成長する第2のチッ化物系化合物半導体層の下層となる
マスク層に凹部が設けられ、または第2のチッ化物系化
合物半導体層とマスク層との間に空隙が形成されるよう
に成長されているため、成長する第2のチッ化ガリウム
系化合物半導体層はマスク層から応力を受けることがな
くなる。その結果、第2のチッ化ガリウム系化合物半導
体層は、横方向に成長するにしたがってその結晶軸が上
方に押し曲げられることがなくなり、広い幅に亘って、
まっすぐ横方向に成長して、平坦性が優れ、かつ、転位
密度の小さい第2のチッ化物系化合物半導体層が得られ
る。そして、その上に積層されるチッ化物系化合物の半
導体積層部も、転位密度の小さい半導体層上に成長する
ため、転位密度が小さく、平坦性の優れた半導体積層部
が形成される。
たは2記載のチッ化物系化合物半導体発光素子におい
て、前記半導体積層部が半導体レーザを構成するように
積層されると共に、前記開口部により挟まれるマスク層
がストライプ状に設けられ、該マスク層のストライプ方
向に沿って前記凹部またはほぼ平行な空隙が一定幅で形
成され、該一定幅の半分の幅内上における前記半導体積
層部にストライプ状の電流注入領域が形成されるように
前記半導体積層部が形成されている。このような構成に
することにより、広い範囲に亘って、転位密度の小さい
半導体層が形成されなくても、ストライプ状の発光領域
に必要な領域の半導体積層部は転位密度の小さい層のみ
で、しかも平坦性よく形成され、しきい電流値が小さ
く、高出力で信頼性の優れた半導体レーザが得られる。
明の半導体発光素子について説明をする。本発明による
半導体発光素子は、図1にその一実施形態である半導体
レーザの断面説明図が示されるように、基板1上に第1
のチッ化物系化合物半導体層2が設けられ、その上に開
口部3aを有するマスク層3が設けられ、そのマスク層
3上に前記開口部3aから横方向に選択成長される第2
のチッ化物系化合物半導体層4、さらに、発光層を形成
するように積層されるチッ化物系化合物からなる半導体
積層部15が設けられている。そして、マスク層3の上
面側に凹部3bが形成されている。他の構成としては、
たとえばマスク層3上面側の凹部3bにより、第2のチ
ッ化物系化合物半導体層4の底面側が平坦面に形成さ
れ、かつ、第2のチッ化物系化合物半導体層4の底面と
マスク層3との間にほぼ平行な空隙3cが形成されるよ
うに第2のチッ化物系化合物半導体層4が成長されても
よい。
ァイア(Al2O3単結晶)基板が用いられるが、サファ
イアに限定されず、Si、Geなどの他の半導体基板な
どを用いることができる。どの材料が用いられても、G
aNとは格子定数が合わず、格子整合を採ることができ
ないが、マスク層を介して横方向の選択成長をすること
により、マスク層上に転位密度の小さい半導体層を成長
することができる。
とえば4μm程度の厚さで、ノンドープのGaNを、M
OCVD法などの通常のエピタキシャル成長法により形
成されたもので、後述する第2のチッ化物系化合物半導
体層4を選択成長する際のシードとするものである。
4、Wなどの、その上には直接半導体層をエピタキシャ
ル成長することができない材料が、スパッタリングなど
により、200nm程度の厚さに形成されている。この
厚さは、第1のGaN層2上に直接第2の半導体層が成
長しないようにマスクとするもので、マスクの機能を有
する程度に形成されれば、薄いほど段差が生じにくく好
ましい。このマスク層3は、ウェハの状態の一部断面説
明図が図2に示されるように、ウェハ状態では第1のチ
ッ化物系化合物半導体層2上に全面に設けられた後に、
パターニングされて開口部3a(この例では、図面に垂
直方向にストライプ状に延びている)が形成され、さら
に残ったマスク層3の表面側に凹部3bが、その開口部
3aに沿って形成されている。図1に示される半導体レ
ーザを製造する場合、この開口部3aの幅Wは、10〜
20μm程度で、マスク層3の幅Mは20μm程度に形
成されている。本発明によれば、このマスク幅の20μ
m程度を、さらに大きくしても平坦な第2の半導体層4
を成長することができる。図1では、ストライプ部およ
びその下のマスク層3部分が誇張して示されているた
め、マスク層3が1個しか示されていないが、実際には
前述のMとWの繰り返しで、1チップに多数個のマスク
層3が設けられている。
は、その形成時の断面説明図が図3に示されるように、
開口部3aが形成された後に、再度レジスト膜18が全
面に設けられ、パターニングによりレジスト膜18に1
6μm程度の幅Nの開口部18aを形成した後に、HF
系水溶液によりエッチングすることにより、マスク層3
の厚さtの半分程度、すなわち100nm程度の深さd
に形成されている。したがって、マスク層3の両端部か
ら2μm程度の幅Pをそれぞれ残して、それより内部側
の表面には凹部3bが形成されている。
トの精度を考慮して2μm程度設けられているが、開口
部3aから連続して凹部3b内に成長しないようにする
ためのもので、横方向への成長位置がマスク層3の大部
分の表面より高い位置で始まり、大部分の表面と横方向
に成長する第2の半導体層4との間に空隙が形成されれ
ばよい。そのため、凹部3bの形成でなくても、開口部
3a側に突起が形成される構造でも、第2の半導体層4
との間にほぼ平行な空隙が形成される構造になっておれ
ばよい。また、凹部3bの深さ(両端部に突起が設けら
れる場合はその高さ)は、横方向に成長する第2の半導
体層4との間に接触応力が働かない程度に段差が形成さ
れておればよい。そのため、第2の半導体層4が僅かに
底面側にも成長し、殆どマスク層3の大部分の表面と接
するぎりぎりの位置関係で、空隙が形成されない程度の
深さの凹部3bに形成されてもよいが、製造条件のバラ
ツキを考慮すれば、前述の100nm程度が好ましい。
とえばノンドープのGaN層で20μm程度の厚さに形
成される。この半導体層4は、前述のマスク層3の開口
部3aから露出する第1のGaN層2をシードとして成
長し始め、マスク層3の表面に達すると、横方向に選択
成長する。すなわち、GaN層は、縦方向の成長よりも
横方向への成長の方が早くしかも結晶性よく成長するた
め、マスク層3に凹部3bが設けられていても、下側に
は殆ど成長せず、マスク層3との間に空隙3cを形成し
ながら横方向に成長しながら上方にも僅かに成長し、最
終的にはマスク層3の中央部あたりで両方の開口部から
横方向に成長してきた半導体層が合致する。そしてマス
ク層3の表面が完全に埋まった後は上方に成長し、マス
ク層3上にも完全に第2のGaN層(半導体層)4が成
長する。この第2のGaN層4は、マスク層3上の両端
部(開口部3aに接する部分)および中央部の合致する
部分を除いた部分の結晶性がよく、転位密度も1桁ほど
小さくなる。
は、通常の半導体レーザを構成する半導体積層部になっ
ている。すなわち、たとえばSiが5×1018cm-3程
度にドープされたn形GaNからなるn形コンタクト層
5が0.5μm程度、たとえばSiが5×1018cm-3
程度にドープされたn形Al0.08Ga0.92Nからなるn
形クラッド層6が0.4μm程度、たとえばSiが1×
1018cm-3程度にドープされたn形GaNからなる第
1のn形ガイド層7が0.2μm程度、たとえばSiが
ドープされたIn0.01Ga0.99Nからなる第2のn形ガ
イド層8を50nm程度、In0.1Ga0.9Nからなるウ
ェル層を5nm程度、In0.02Ga0.98Nからなるバリ
ア層を5nm程度づつ交互にウェル層を5層積層した多
重量子井戸(MQW)構造からなる活性層9を50n
m、たとえばMgがドープされたAl 0.2Ga0.8Nから
なるp形キャップ層10を20nm程度、たとえばMg
が1×1018cm-3程度にドープされたGaNからなる
p形ガイド層11を0.1μm程度、たとえばMgが2
×1017cm-3程度にドープされたAl0.08Ga0.92N
からなるp形クラッド層12を0.4μm程度、たとえ
ばMgが3×1018cm- 3程度にドープされたGaNか
らなるp形コンタクト層13を0.1μm程度、それぞ
れ順次積層することにより形成されている。
この例に限定されるものではなく、活性層9も量子井戸
構造でないバルク構造のものでもよく、所望の発光波長
により定まる材料の活性層9が、それよりバンドギャッ
プの大きい材料からなるクラッド層6、12により挟持
される構成に形成される。また、図1に示される例のよ
うに半導体レーザを構成する場合、活性層9の屈折率が
クラッド層6、12より大きい材料により形成される。
そうすることにより、活性層9に光を閉じ込めることが
できるが、活性層9が薄く充分に光を閉じ込めることが
できないときは、図1に示される例のように、クラッド
層6、12と活性層9との間の屈折率を有する光ガイド
層7、8、11が設けられる。しかし、活性層9で充分
に光を閉じ込められれば光ガイド層7、8、11を設け
る必要はない。
ト層13は、メサエッチングが施されると共に、半導体
積層部15の一部がエッチングされてn形コンタクト層
5を露出させ、その表面の全面にSiO2が成膜されて
保護膜14が形成されている。そして、保護膜14のコ
ンタクト孔を介してp形コンタクト層13のメサ部上に
Ni-Auからなるp側電極16、およびn形コンタク
ト層と接続してTi-Alからなるn側電極17がそれ
ぞれ形成されている。そして、共振器長(紙面に垂直方
向の長さ)が500μm程度になるように劈開され、図
1に示されるレーザ(LD)チップが形成されている。
ストライプ状のメサ型にされた部分が電流注入領域とな
り(コンタクト層13がメサ型にされなくてもp側電極
がストライプ状に形成されておればストライプ状の電流
注入領域が形成される)、その下層に、マスク層3に設
けられるストライプ状凹部3bの幅の半分以下が位置す
るように、マスク層3およびp側電極16が位置合せし
て形成されている。
選択成長によりチッ化物化合物半導体層を成長する場合
に、マスク層の表面に凹部が形成されているため、半導
体層を選択成長することにより、マスク層上に半導体層
が成長しても、成長は横方向に進み、マスク層との間に
空隙が形成されており、成長の際にマスク層と半導体層
との間の接触応力は働かない。そのため、成長する半導
体層の結晶軸が応力により曲げられることはなく、長い
幅に亘って平坦な半導体層が成長する。(空隙が形成さ
れていなくても、凹部が形成されることにより、選択成
長する半導体層とマスク層との間に殆ど接触応力が働か
ない状態になっている。)また、横方向の成長であるた
め、転位密度は小さく5×106cm-2程度と1桁以上
小さく、結晶性および平坦性の非常に優れた半導体層が
広い範囲に亘って形成される。
けられる凹部がストライプ状に設けられると共に、その
半分の幅内にストライプ状の電流注入領域が形成される
ようにその上の半導体積層部が形成されることにより、
非常に結晶性がよく平坦性の優れた部分のみの半導体積
層部で発光させることができ、広い範囲の全面に亘って
結晶性よく、平坦性の優れた半導体層を成長することが
できなくても、しきい電流値が小さく、発振出力の大き
な半導体レーザを得ることができる。すなわち、図1に
示される構造の転位密度としきい電流値との関係が、図
5に示されるように、本発明によれば、転位密度が2×
108cm-2から5×106cm-2に下がり、しきい電流
値も10kAcm-2から5kAcm-2に低下した。
成長でも、マスクの開口部ではシードとなる第1の半導
体層の結晶性が悪く、転位密度が大きいため、その上に
成長する半導体層も転位密度が大きく、結晶性はよくな
い。また、マスク層の幅が広いと、マスク層の中央部に
いくにしたがって、平坦性を維持することが難しく、ま
た、両方の開口部から成長して合流する部分では、結晶
性も低下するため、広い面積の全面で結晶性もよく、平
坦性の優れた半導体層を得ることはできない。しかし、
前述の構成にすることにより、半導体レーザの発光させ
るストライプ状の共振器部分については、結晶性および
平坦性の優れた半導体層上に成長することができるた
め、その共振器部分の半導体積層部も結晶性よく成長
し、しきい電流値の小さい半導体レーザが得られる。
説明をする。たとえばMOCVDなどのエピタキシャル
成長装置を用いて、基板温度を1100℃程度にしてH
2雰囲気でサーマルクリーニングをする。その後、Ga
の原料ガスとしてのトリエチルガリウム(TEG)、N
の原料ガスとしてのアンモニア(NH3)を導入し、ノ
ンドープの第1のGaN層2を、4μm程度成長する。
ついで、成長装置から基板を採りだし、たとえばスパッ
タリング装置を用いて、SiO2膜を200nm程度成
膜する。その後、SiO2膜上にレジスト膜を設け、パ
ターニングし、HF水溶液を用いてSiO2膜をエッチ
ングすることにより、ストライプ状に開口部を形成し、
ストライプ状のマスク層3を形成する。さらに、図3に
示されるように、表面全面にレジスト膜18を設けてパ
ターニングすることにより、凹部3bを形成する部分を
開口する。そして、再度HF水溶液によりエッチングす
ることにより、図3に示される凹部3bをストライプ状
に(紙面に垂直方向)形成する。
置に入れて、原料ガスとして、前述のガスのほかにAl
のトリメチルアルミニウム(TMA)、Inのトリメチ
ルインジウム(TMIn)、n形ドーパントとして、S
iH4、p形ドーパントとしてシクロペンタジエニルマ
グネシウム(Cp2Mg)またはジメチル亜鉛(DMZ
n)の必要なガスをキャリアガスの水素と共に導入し
て、第2のGaN層4および半導体積層部15の各半導
体層をそれぞれ前述の厚さで成長する。この場合、第1
のn形ガイド層7までは、基板温度を1050℃程度で
成長し、第2のn形ガイド層8および活性層9は基板温
度を770℃程度にして成長し、その後の各層は再度基
板温度を1050℃程度にして成長する。
長装置から取出して、表面にレジストマスクを設け、リ
アクティブ イオン ビーム エッチング(RIBE)
装置で、図4(a)に示されるように、400μm周期
の一部の200μm幅で、半導体積層部15の一部をエ
ッチングし、n形コンタクト層5の一部を露出させる。
さらにレジストマスクを除去して再度レジストマスクを
設け、同装置によりp形コンタクト層13を4μm程度
の幅に残るようにメサエッチングをする。その後、たと
えばプラズマCVDのような成膜装置を用いて、SiO
2のような保護膜14を200nm程度の厚さで全面に
成膜し、電極の形成部をHF系エッチャントによりエッ
チングしてコンタクト孔を形成する。
0nm、Auを200nmそれぞれ真空蒸着装置により
成膜し、さらにn側電極17として、Tiを100n
m、Alを200nmそれぞれ成膜して電極16、17
を形成し、基板1の裏面を研削して60μm程度に薄く
した後、共振器長が500μm程度になるように劈開す
ることにより、LDチップが形成される。
サ型のストライプ形状にしただけのストライプ構造の半
導体レーザであったが、半導体層をエッチングしないで
電極だけをストライプ状に形成してもよく、また、活性
層の近くまでメサ型にしてもよく、さらには、プロトン
などを打ち込んだプロトン打込み型にすることもでき
る。さらに、電流制限層を埋め込む屈折率導波型構造に
することもできる。また、前述の例は、半導体レーザの
例であったが、発光ダイオード(LED)の場合でも、
本願発明によれば、広い範囲に亘って結晶性の優れた半
導体層が得られ、一部に転位密度の大きい部分が合って
も、その部分の全発光部に対する割合が小さいため、発
光効率が向上する。
っても、その上に横方向に選択成長する半導体層の結晶
軸が曲がることがなく、横方向への選択成長による低い
転位密度を維持しながら、半導体層の平坦性を保持する
ことができるため、広範囲に亘って結晶性および平坦性
の優れたチッ化物系化合物半導体層が得られ、青色系の
半導体発光素子などのチッ化物系化合物発光デバイスに
実用化することができる。とくに、チッ化物系化合物半
導体を用いた青色系の半導体レーザに応用することによ
り、しきい電流値の小さい半導体レーザが得られる。
説明図である。
説明図である。
ある。
パターン例の説明図である。
の変化の状態を転位密度に対して示した図である。
明図である。
場合のマスク層と開口部との関係を示す説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 基板と、該基板上に設けられる第1のチ
ッ化物系化合物半導体層と、該第1のチッ化物系化合物
半導体層上に設けられ、開口部を有するマスク層と、該
マスク層上に前記開口部から横方向に選択成長される第
2のチッ化物系化合物半導体層と、該第2のチッ化物系
化合物半導体層上に発光層を形成するようにチッ化物系
化合物半導体が積層される半導体積層部とからなり、前
記マスク層の上面側に凹部が形成されてなるチッ化物系
化合物半導体発光素子。 - 【請求項2】 基板と、該基板上に設けられる第1のチ
ッ化物系化合物半導体層と、該第1のチッ化物系化合物
半導体層上に設けられ、開口部を有するマスク層と、該
マスク層上に前記開口部から横方向に選択成長される第
2のチッ化物系化合物半導体層と、該第2のチッ化物系
化合物半導体層上に発光層を形成するようにチッ化物系
化合物半導体が積層される半導体積層部とからなり、前
記第2のチッ化物系化合物半導体層の底面側が平坦面に
形成され、かつ、該第2のチッ化物系化合物半導体層の
底面と前記マスク層との間にほぼ平行な空隙が形成され
るように前記第2のチッ化物系化合物半導体層が成長さ
れてなるチッ化物系化合物半導体発光素子。 - 【請求項3】 請求項1または2記載のチッ化物系化合
物半導体発光素子において、前記半導体積層部が半導体
レーザを構成するように積層されると共に、前記開口部
により挟まれるマスク層がストライプ状に設けられ、該
マスク層のストライプ方向に沿って前記凹部または空隙
が一定幅で形成され、該一定幅の半分の幅内上における
前記半導体積層部にストライプ状の電流注入領域が形成
されるように前記半導体積層部が形成されてなる半導体
レーザ。
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