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JP2001079929A - 熱可塑性高分子シートの製造方法及びその製造装置 - Google Patents

熱可塑性高分子シートの製造方法及びその製造装置

Info

Publication number
JP2001079929A
JP2001079929A JP26063699A JP26063699A JP2001079929A JP 2001079929 A JP2001079929 A JP 2001079929A JP 26063699 A JP26063699 A JP 26063699A JP 26063699 A JP26063699 A JP 26063699A JP 2001079929 A JP2001079929 A JP 2001079929A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic polymer
roll
polymer sheet
sheet
die
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26063699A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshimasa Eguchi
敏正 江口
Junji Tanaka
順二 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP26063699A priority Critical patent/JP2001079929A/ja
Publication of JP2001079929A publication Critical patent/JP2001079929A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑性に優れ、平面のリタデーション複
屈折率が小さい、つまり、光学的位相差の小さく、反り
が少ない、熱可塑性高分子シートの連続製造法を提供す
ること。 【解決手段】 Tダイもしくはコートハンガーダイから
溶融押し出された熱可塑性高分子を、熱可塑性高分子の
ガラス転移点(Tg)に対し、加熱部の温度(V1)が
Tg≦V1≦Tg+100(℃)の雰囲気中を、表面が
鏡面加工されたロール上に流し、加熱部中をロールの回
転と共に移動させ、熱可塑性高分子シートをロールの表
面の鏡面に、ロール温度(V2)がTg−30≦Tg+
30(℃)のニップロールにて圧着して鏡面を転写させ
た後、ロールに密着させながら移動させ、熱可塑性高分
子シートをロールより剥がすときのロール温度(V3)
がV3<Tg−100(℃)になっている熱可塑性高分
子シートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性高分子シ
ートの製造方法において、平面のリタデーションが小さ
く、平面平滑性に優れ、シートの反りが少ない熱可塑性
高分子シートを効率良く製造する方法に関するもので、
この様なシートは光学用シートに適している。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示素子用透明電極基板には
ガラス基板が採用されてきたが、ガラス基板を用いた液
晶表示素子においては、ガラス基板自体が厚いため液晶
表示素子自体の薄型化が困難であると共に、軽量化しに
くいという欠点があり、更に、可とう性、耐衝撃性の点
で問題があった。このガラス基板液晶表示素子のもつ欠
点を改善する方法として、プラスチックフィルムを用い
て液晶パネルを作製することにより、液晶パネルの軽量
化、耐衝撃性の向上が検討されている。例えば、特開昭
53−68099号公報及び特開昭54−126559
号公報には、ガラス基板の代わりに導電性酸化金属物質
を蒸着した長尺のポリエステルフィルムを用いて液晶表
示素子パネルを連続して製造することが示されている
が、光学的特性において優れているとは言い難いもので
あった。この問題を解決するため、光学等方性に優れた
熱可塑性樹脂シートをこれらの用途に応用すべく研究を
重ねたところ、溶融押し出し製膜工程において発生する
分子配向に起因するシートのリタデーションが重大な欠
点となることが分かった。例えば、TN(Twisted Nema
tic)型液晶表示素子では偏光板により直線偏光された
入射光が、透明電磁シートの複屈折性及びそのシート面
内の偏差から部分的に異なる楕円偏光になるため、コン
トラストの低下、表示ムラを生じさせている。 更に、
STN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子で
は、透明電磁シートの複屈折性より発現する光学的位相
差からTN型液晶表示素子以上に高精細な表示が得られ
ないばかりでなく、液晶分子より発生するリターゼイシ
ョンもあることから、光学的位差を補償するための偏光
板、位相差板及び透明電極シートによる液晶セルの組み
合わせの最適化が非常に煩雑なものとなっている。
【0003】更に、熱可塑性樹脂シートを用いた液晶セ
ルが実用化されるにつれて、表示面積が大型化し、電極
同志を均一間隔に保つ、いわゆるギャップ維持のため、
基材として変形し難いことが要求されている。基材厚み
は当初の100μm厚から300μmを越える場合が出
てきており、高分子シートを用いた開発も行われている
が、平面のリタデーションによる液晶表示のコントラス
トの問題、表面性、平面平滑性が原因である表示欠点の
問題、反りによる液晶封子部の剥がれ、及び素子の変形
が課題となっており、早急な改善が望まれている。光学
用材料の位相差を改善する方法として、特殊な2価フェ
ノールを構造単位とする特殊ポリカーボネートを用いる
方法(特開昭63−108023号公報)、固有複屈折
が正の材料と負の材料をブレンドする方法(T.Inoue et
al.,Journalof Polymer Science ,Part B,25,1629(198
7).)、固有複屈折が正のポリカーボネートと負のポリ
スチレンをグラフト共重合させる方法(日経ニューマテ
リアル、1988年9月26日号、60〜62頁の記
事)、極性基を有したノルボルネン系樹脂を用いる方法
(機能材料、1993年1月号、40〜52頁の記事)
等が提案されているがいずれも実用化には至っていな
い。
【0004】又、押し出し法にて押し出されたシートが
冷却ロールで冷却固化され巻き取られるまでの短時間の
間に、ダイス内で生じるせん断応力や、ダイスリップか
ら出た樹脂が延伸されることによる流れ方向及び厚み方
向に生じる温度分布によりシート内で発生する面内及び
厚み方向での分子配向を避けることが出来なかった。こ
の傾向はシートが厚くなればなるほど顕著になる性質が
あり、表示画面の大型化に伴い重大な欠点となってい
た。表面平滑性については、一般的に知られているTダ
イやコートハンガーダイを使用した溶融押し出し法で
は、熱可塑性樹脂高分子の通る流路内でのせん断応力や
滞留、更には、ダイスの面やリップの精度により生じる
とされているダイラインと呼ばれる筋がシート面に発生
し、表面の平滑性を低下させている。表面平滑性を向上
させる手段として、熱可塑性高分子を溶剤に溶解させ、
フィルムもしくは金属ベルト等にコーティングし乾燥さ
せる溶剤キャスト法が知られているが、シート厚みが厚
くなった場合の生産性及びシート中の残留溶剤が問題と
なる。
【0005】他方、表面を高精度に仕上げたロールとロ
ール、金属ベルトとロール、又は金属ベルトと金属ベル
トの間で溶融押し出した熱可塑性高分子をニップし、ロ
ール又は金属ベルトの表面を転写させる方法もあるが、
挟み込みを行うため光学的歪み、即ち、リタデーション
が発生し、光学用のシートとして使用することは困難で
あった。又、表面を高精度に仕上げた金型に熱可塑性高
分子を封入して成形する射出成型法もCDディスクで知
られるようにリタデーションの制御が可能であり、生産
性も問題ないことから有力候補と考えられるが、射出成
型法では数mmオーダーの厚みのシートが限界であり、
数百μmの厚みには対応できない。表面性を向上させる
ために後加工を行うことも知られているが、表面を高精
度で仕上げた板でシートをプレスし、表面平滑性を向上
させる方法は生産性が悪く、大量生産には向いておら
ず、又、PETフィルムで知られてるような延伸加工を
行う方法は、シートの表面は向上するが複屈折が生じる
ため光学用シートの製造方法としては適さない。
【0006】シートの反りについては、一般的に知られ
ている冷却ロールでの冷却方法は、冷却固化時に冷却ロ
ールの円周を形取ることによりシートの反りが発生する
と考えられているが、その解決方法として極めて大きな
冷却ロールを使用し曲率半径を増加させることが考えら
れるが経済的に適さない。又、曲率のない平板上で高分
子シートを冷却固化させることにより解決が見いだされ
ると考えられるが、冷却面に接触している高分子シート
の表面温度と高分子シートの反対側の表面温度との差に
よりシートに反りが発生しやすくなる。他方、射出成型
法、板によるプレス法、金属ベルトによるニップ法等は
シートに反りを生じさせない製法であるが、前述のよう
に光学用シートとしては平面のリタデーションの点で問
題がある。
【0007】本発明者は、これら問題点を解決するため
検討を行い、特願平11−37823号、特願平11−
51423号を出願し、溶融押し出した熱可塑性高分子
シートを金属ベルト上に接触させ、金属ベルトの各部分
の温度条件を制御させることにより表面平滑性に優れ、
複屈折率が小さく、且つシートの反りの少ない目的とす
る熱可塑性高分子シートを得ることは可能となった。し
かし、高分子シートを金属ベルトから引き離す際に、高
分子シートと金属ベルト溶融密着し、外観不良を生じ易
く、連続生産性に問題が残っていた。本発明者は、更に
検討を進め、特願平11−238846号を出願し、く
これら問題点を解決する方法を発明した。しかし、該方
法は設備の設置場所が大がかりになる、品質管理が難し
い、生産効率が悪い等の問題を有していた。このよう
に、表面平滑性に優れ、複屈折率が小さく、シートの反
りが小さく、且つ安定して、効率よく連続生産を可能な
熱可塑性高分子シートの製法は現状技術では困難であっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、高分子シートの表面平滑性が優れ、複屈折率が
小さい、つまり光学的位相差の小さいシートであり、更
に高分子シートの反りが小さく、液晶表示パネル用とし
て問題なく使用出来る熱可塑性高分子シートの効率よく
連続生産可能な製造方法及び設備を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、Tダイもしく
はコートハンガーダイから溶融押し出された熱可塑性高
分子を、熱可塑性高分子のガラス転移点(Tg)に対
し、加熱部の温度(V1)がTg≦V1≦Tg+100
(℃)の雰囲気中を、表面が鏡面加工されたロール上に
流し、加熱部中をロールの回転と共に移動させ、熱可塑
性高分子シートをロールの表面の鏡面に、ロール温度
(V2)がTg−30≦Tg+30(℃)のニップロー
ルにて圧着して鏡面を転写させた後、ロールに密着させ
ながら移動させ、熱可塑性高分子シートをロールより剥
がすときのロール温度(V3)がV3<Tg−100
(℃)になっており、且つ、V3<V2<V1の範囲に
ある熱可塑性高分子シートの製造方法である。好ましい
実施形態としては、Tダイもしくはコートハンガーダイ
の熱可塑性高分子が通過する面の表面粗さの最大(Rm
ax)が、0.5μm以下であり、ダイスのリップ間隙
が熱可塑性高分子シートの厚みに対し、1倍以上50倍
以下であり、ニップロールとロールとの間隔が熱可塑性
高分子シートの厚みに対し、1.0倍以上、1.5倍以
下である前記熱可塑性高分子シートの製造方法である。
又本発明は、Tダイもしくはコートハンガーダイから溶
融押し出される熱可塑性高分子シートが光学用シートで
あり、熱可塑性高分子シートのガラス転移点が150℃
以上であり、シート厚みが50μm以上500μm以下
であり、平面に於けるリタデーションが20nm以下で
あり、少なくともシートの片面の表面の粗さが0.1μ
m以下であり、且つ300mm角のシートの反り量が5
mm以下であり、好ましくは、熱可塑性高分子シートが
ガラス転移点温度150℃以上の非晶質樹脂であり、熱
可塑性高分子シートがポリエーテルサルホンである前記
熱可塑性高分子シートの製造方法。更に本発明は、熱可
塑性高分子が溶融押し出されるTダイもしくはコートハ
ンガーダイ、表面が鏡面加工されたロール、及びロール
に圧着するニップロールからなる熱可塑性高分子シート
の製造装置において、溶融押し出された熱可塑性高分子
をロール上に流す部位に、熱可塑性高分子のガラス転移
点(Tg)対し、加熱部の温度(V1)がTg≦V1≦
Tg+100(℃)の雰囲気である加熱部を有する熱可
塑性高分子シートの製造装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に使用する熱可塑性高分子
のガラス転移点(Tg)は、150℃以上が好ましく、
更に好ましくは180℃以上である。熱可塑性高分子の
ガラス転移点(Tg)が150℃未満になると液晶組立
工程の熱処理、例えば、配向膜焼成及びシール硬化温度
にてシートが軟化して不具合が生じてしまう。本発明に
於けるTgが150℃以上の熱可塑性高分子としては、
例えば、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエ
ーテルイミド、高耐熱ポリカーボネート、ノルボルネン
系高分子及びこれをブレンドした樹脂をあげることがで
きるが、中でもポリエーテルサルホンが好ましい。又イ
ミドで変性した高分子、例えばイミド変性ポリメチルメ
タクリレート等も用いることができる。
【0011】本発明の熱可塑性高分子シートの厚みは、
50μm以上500μm以下が好ましく、更に好ましく
は150μm以上400μm以下である。高分子シート
の厚みが50μm未満であるとガラスのラインに転用し
た場合に取り扱いが困難であり、又、液晶のセルギャッ
プ保持が難しく、特に、大面積の液晶表示素子ではセル
ギャップ保持することは出来ない。500μmを越える
とロール上でシートのロール側の面と反対側の面との温
度差により、屈折率が異なりリタデーションが大きくな
りコントラストの低下、表示ムラを生じる。又、冷却ロ
ールの曲率により反りが発生し易く液晶セルが変形し易
くなる。
【0012】本発明の熱可塑性高分子シートの平面のリ
タデーションは、好ましくは20nm以下、更に好まし
くは10nm以下である。平面のリタデーションとは、
Re=(Nx−Ny)×dで表されるもので、Nxは高
分子シート内面の最大屈折率であり、Nyは高分子シー
ト内面の最小屈折率である。dはシートの厚みである。
リタデーションが20nmを越えると液晶表示のコント
ラストの低下が発生し、表示が明瞭に見えなくなる。
【0013】本発明の熱可塑性高分子シートの表面粗さ
(Rmax)は0.1μm以下が好ましく、更に好まし
くは0.05μm以下である。表面の粗さの最大が0.
1μmを超えると、液晶のセルギャップ異常が発生し表
示不良となる。熱可塑性高分子シートの反りは、300
mm角の大きさで5mm以下が好ましく、更に好ましく
は3mm以下で、より好ましくは1mm以下である。高
分子シートの反りが5mmを越えると液晶表示のセルギ
ャップの保持が難しく、表示不良になるばかりか、シー
トの反りによる応力により液晶セルが変形し、シール部
が剥離するといった信頼性の低下につながる。
【0014】熱溶融された熱可塑性高分子が通過するダ
イス面の表面粗さの最大(Rmax)は、0.5μm以
下が好ましく、更に好ましくは0.3μm以下である。
表面粗さの最大(Rmax)が0.5μmを越えると、
ダイスより押し出された高分子シートの表面は、ダイス
の表面性の影響を受けダイラインと呼ばれる筋、つま
り、シートの表面に凹凸の筋が発生し、加熱温度部の雰
囲気中で冷却ロール上に垂れ流しても、ニップロールに
て圧着しても消す去ることは困難である。
【0015】ダイスのリップ間隔は、シート厚みに対し
1倍以上、50倍以下であることが好ましく、更に好ま
しくは5倍以上40倍以下である。ダイスリップの間隔
がシートの厚みに対し1倍未満であるとダイスより溶融
押し出された高分子シートを引き延ばす作用が出来なく
なり、高分子シートの表面粗さが悪化する。ダイス表面
の表面粗さを向上させることにより改善は出来るが技術
的にも経済的にも問題がある。50倍を越えると高分子
シートの表面粗さに関しては、改善の方向であるが、厚
み調整が難しく、厚みのバラツキが大きくなる等の他
に、高分子シートに延伸作用が働き、高分子シートのリ
タデーションが悪化する原因ともなる。
【0016】本発明に使用するロールの表面粗さの最大
(Rmax)0.1μm以下であることが好ましく、更
に好ましくは0.05μm以下である。高分子シートは
冷却ロールの面を転写するため、冷却ロールの表面性が
0.1μmを越えると高分子シートの表面粗さの最大も
0.1μm以上となるため光学用シートとしては問題と
なる。ロールの直径は好ましくは0.5〜7m、更に好
ましくは1〜5mであり高分子シートの厚みにより変更
可能である。又その構造は重量及び熱効率の点から表面
層は熱容量が小さいようにチタン合金等の金属やポリイ
ミド等の高耐熱樹脂製の薄い層とし、中央部は断熱層が
好ましい。
【0017】ダイスリップから溶融押し出された熱可塑
性高分子シートをロールから剥がすときの温度(V3)
は、V3<Tgー100(℃)であるが、ロールに接触
するまで及びニップロールで圧着されるまでの間は加熱
部の温度(V1)で加熱されており、すなわち高分子シ
ートは加熱部温度雰囲気中をロールの回転と共に密着し
て移動するが、該加熱部雰囲気中で内部応力は緩和さ
れ、分子構造は安定する。 加熱部温度はTg≦V1≦
Tg+100(℃)の範囲であり、好ましくはTg≦V
1≦Tg+80(℃)である。V1がTg未満であると
ダイスより溶融押し出された高分子シートが急冷され、
急冷と呼ばれる外観不良となる。また、V1がTg+1
00(℃)を超えるとダイス温度より高い温度で冷却す
る不具合の他、高分子シートが熱分解する可能性があ
る。又、加熱部は精密制御可能な方法であればいずれで
も良いが、一般的には炭酸ガスレーザー加熱、赤外線加
熱、遠赤外線ヒーター加熱、熱媒オイル、水蒸気などの
加熱方式が挙げられいずれであってもよい。
【0018】本発明では、ニップロールにて高分子シー
トをロールの鏡面に圧着して、高分子シートに鏡面を転
写させる。ここでニップロールとロールとの間隔は高分
子シートの厚みに対して、1.0倍以上、1.5倍以下
が好ましい。1.0倍未満の場合はシートの引き取りが
難しく。1.5倍以上の場合は厚み調整が難しく、厚み
のバラツキが大きくなり、延伸作用が働き、シートのリ
タデーションが悪化する。また、ニップロールの温度
(V2)は、Tg−30≦V2≦Tg+30(℃)の範
囲であり、好ましくは、Tg−20≦V2≦Tg+20
(℃)である。V2の温度がTg−30(℃)未満であ
ると高分子シートへのロールの表面の鏡面の転写が不足
する、Tg+30(℃)を越えると、高分子シートの固
化が十分に行われず、シートに反りが発生することと、
高分子シートのリタデーションが悪化してしまうことが
問題となる。又、V2<V1の温度条件が必要であり、
V2>V1となると高分子シートがニップロールに溶着
する場合が発生し安定したシートが得られない。又、ニ
ップロールの位置はダイスリップと冷却ロールの中心の
角度に対し、好ましくは45°〜90°である。90°
を超えると高分子シートの安定した冷却固化が難しく、
45°未満では作業手順に問題が出やすい。ただし、ニ
ップロールの位置はロールの直径によっても異なる。
【0019】本発明において、ロール上に流された熱可
塑性高分子シートがロールに密着しながら移動し、ロー
ルから離れるときの温度(V3)は、V3<Tg−10
0(℃)である。熱可塑性高分子シートの分子構造はV
1の条件で決定されており、即ち平面の平滑性、平面の
リタデーションも変わることがないため、冷却ロールか
ら離れる時点でいかに安定して引き離せるかが効率的な
連続生産性のポイントとなる。V3≧Tg−100
(℃)の場合高分子シートが冷却ロールより離れる際に
高分子シートがロールに溶融密着することがあり、外観
不良を引き起こし高分子シートの安定した連続生産の問
題となる。V3<Tg−100(℃)の場合、すでに一
定化した物性の高分子シートが安定しており、反りの少
ない熱可塑性高分子シートの連続生産が可能となる。更
に、V1、V2,V3の温度はV3<V2<V1(℃)
の関係にあるのが必要で、この関係にないと効率のよい
高分子シートの生産は行われない。この様な生産方法に
より製造された高分子シートを用い、液晶表示素子を作
成したところ、表示欠点のない、フラットな液晶表示が
得られた。
【0020】
【実施例】以下本発明を実施例、比較例によって説明す
る。シートの光学的物性は次の方法により測定した。 (1)シート厚み 接触式ダイヤルゲージで高分子シートの幅方向に20m
m間隔で測定した平均値。 (2)高分子シートの表面粗さの最大(Rmax) 接触式の精密段差計(TENCOR INSTRUME
NTS製 ALPHA−STEP200)により、高分
子シートの幅方向に2mmのスキャン幅にて全幅を測定
した凹凸の最大値。 (3)高分子シートのリタデーション オリンパス(株)製偏光顕微鏡BH2とベレックコンペ
ンセーターを用い、波長550nmでのリタデーション
を測定した。 (4)高分子シートの反り 高分子シートの流れ方向に300mm長さ、幅方向に3
00mm長さに切り取った正方形のサンプルを、定盤に
対して、高分子シートの表側を上にした場合と下にした
場合の、定盤の面から最大に離れた高分子シートの高さ
を測定し、その最大値をシートの反りとした。 (5)ロールの表面粗さの最大(Rmax) 接触式表面粗さ計((株)ミツトヨ製のサーフテスト3
01)により、ロールの幅方向にカットオフ長さ0.8
mmにて全幅を測定したときの凹凸の最大値。 (6)ダイスの表面粗さの最大(Rmax) 接触式表面粗さ計((株)ミツトヨ製のサーフテスト3
01)により、ダイスの幅方向にカットオフ長さ0.8
mmにて全幅を測定したときの凹凸の最大値。
【0021】《実施例1》住友化学工業(株)のポリエ
ーテルサルホン樹脂:ビクトレックスPES4100
(Tg=226℃)を表面粗さの最大(Rmax)が
0.4μm、リップ間隙が3mmのダイスを用い、表面
粗さの最大(Rmax)が0.1μm、ダイから押し出
された高分子シートを直径1.5mのロール上に加熱部
温度(V1)を赤外線ヒーターにより250℃に、ニッ
プロール温度(V2)を210℃、ニップロールとロー
ルとの間隔を250μmとし、高分子シートが離れる際
のロールの温度(V3)が110℃の条件で流し、高分
子シートの厚みが200μmシートを作成した。その結
果、平面に於けるリタデーションが15nmであり、且
つ、金属ベルト面に節した高分子シートの表面の粗さの
最大(Rmax)が0.06μm、300mm角の高分
子シートの最大反り量が2mmである高分子シートを安
定して、連続的に得ることができた。実施例1で得られ
た200μm厚みのシートを用い、分子量1540、融
点70℃のエポキシアクリレートプレポリマー(昭和高
分子製、VR−60)100重量部、酢酸ブチル400
重量部、セロソルブアセテート100重量部、ベンゾイ
ンエチルエーテル2重量部を50℃にて撹拌、溶解して
均一な溶液としたものをグラビヤロールコーターで塗布
し、80℃で10分間加熱して溶媒を除去し、80w/
cmの高圧水銀灯により15cmの距離で30秒間照射
して樹脂を硬化させ、0.5μm厚の有機層を両面に形
成した。次にこのシートの上にDCマグネトロン法によ
り初期真空度3×10-4Paに引き、酸素/アルゴンガ
ス9%の混合ガスを導入、3×10-1Paの条件下にお
いて無機層を製膜し500Å厚のSiO2を得た。この
無機膜の酸素バリヤー性はモコン法により測定したとこ
ろ1cc/24hr・m2であり、表面抵抗率を測定し
たところ8.1×1012Ωであった。次ぎに透明導電膜
として、同じくDCマグネトロン法により初期真空度3
×10-4Paに引き、酸素/アルゴンガス4%の混合ガ
スを導入し、1×10-1Paの条件下に於いて製膜し、
In/In+Snの原子比が0.98であるIn23
らなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1600
Å、非抵抗は4×10-4Ω−cmであった。成膜後、レ
ジストを塗布、現像し、エッチング液として10vol
%HCL、液温40℃中でパターンエッチングし、対角
長さ3インチ、L/S=150/50μmのアクティブ
マトリックス用パターンを形成した。パターン形成後、
配向膜を塗布し、150℃2hrの焼成処理を行った
後、ラビング処理を行った。ラビング処理後、スペーサ
ーを散布し、シール剤を塗布し、150℃でシール硬化
させてセル化し、液晶を注入した。偏光板をコントラス
トの最大となる位置に貼り合わせ、点灯試験を行ったと
ころ、シートのリタデーションや液晶のセルギャップ異
常による表示欠点は見られず、コントラストの良い表示
を示した。また、液晶セルの形状は、フラットであり、
定盤上での反りは全く確認されなかった。
【0022】《比較例1》実施例1の高分子シート作成
の条件の内、高分子シートがロールより離れるときのロ
ール温度(V3)を140℃とし、他は実施例1と全て
同一条件で高分子シートを作成すると、高分子シートが
ロールに溶着して、離れ難く連続生産できなかった。こ
の結果、平面に於けるリタデーションは実施例1と同様
15nmであったが、この時高分子シートの反りは2〜
7mmとばらついていた。又この高分子シートを使用
し、同様の方法で液晶表示素子を作成したところ、液晶
のセルギャップ保持が難しく、表示不良が発生した。
【0023】《比較例2》実施例1の条件の内、V1の
温度を190℃としたところ、ロール上で皺が発生し、
鏡面転写が不完全で、良好なシートかできなかった。
【0024】《比較例3》実施例1の条件の内、V2の
温度を265℃としたところ、高分子シートがニップロ
ールに溶着し、良好なシートが安定して出来なかった。
【0025】《比較例4》実施例1の条件の内、V2の
温度を180℃としたところ、高分子シートへのロール
の表面の鏡面転写が不完全で、シートの表面粗さの最大
(Rmax)は50mmとなった。このシートを用い実
施例1と同様の液晶セルを作成したところ、セルギャッ
プ異常による表示欠点が確認された。
【0026】《比較例5》実施例1の条件の内、ロール
の表面粗さの最大(Rmax)を0.3μmとしたとこ
ろ、シートの表面粗さの最大(Rmax)は50nmと
なった。このシートを用い、実施例1と同様に液晶セル
を作成したところセルギャップ異常による表示欠点が確
認された。
【0027】《比較例6》実施例1の条件の内、直径
0.45mのロールを使用したところ、高分子シートの
平面のリタデーションが45nm、シートの反りが12
mmとなった。
【0028】《比較例7》実施例1の条件の内、ニップ
ロールとロールとの間隔を350μmにしたところ高分
子シートは延伸する必要があり、高分子シートの平面の
リタデーションが50nmとなった。このシートを用
い、実施例1と同様に液晶セルを作成したところ、コン
トラストが悪く表示が明瞭でなく、表示ムラが発生し
た。
【0029】
【発明の効果】本発明により平面のリタデーションが小
さく、表面平滑性が優れ、基板の反りが少ない熱可塑性
高分子シートの安定した、効率よい連続製造方法が可能
になった。また、本発明により得られたシートは光学用
シートとして最適で、フレキシブル液晶表示素子用透明
電極シートとして液晶表示パネルとして実装した場合表
示ムラのない高精細な表示を示した。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Tダイもしくはコートハンガーダイから
    溶融押し出された熱可塑性高分子を、熱可塑性高分子の
    ガラス転移点(Tg)に対し、加熱部の温度(V1)が
    Tg≦V1≦Tg+100(℃)の雰囲気中を、表面が
    鏡面加工されたロール上に流し、加熱部中をロールの回
    転と共に移動させ、熱可塑性高分子シートをロールの表
    面の鏡面に、ロール温度(V2)がTg−30≦Tg+
    30(℃)のニップロールにて圧着して鏡面を転写させ
    た後、ロールに密着させながら移動させ、熱可塑性高分
    子シートをロールより剥がすときのロール温度(V3)
    がV3<Tg−100(℃)になっており、且つ、V3
    <V2<V1の範囲にあることを特徴とする熱可塑性高
    分子シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 Tダイもしくはコートハンガーダイの熱
    可塑性高分子が通過する面の表面粗さの最大(Rma
    x)が、0.5μm以下であり、ダイスのリップ間隙が
    熱可塑性高分子シートの厚みに対し、1倍以上50倍以
    下である請求項1記載の熱可塑性高分子シートの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ニップロールとロールとの間隔が熱可塑
    性高分子シートの厚みに対し、1.0倍以上、1.5倍
    以下である請求項1又は2記載の熱可塑性高分子シート
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 Tダイもしくはコートハンガーダイから
    溶融押し出される熱可塑性高分子シートが光学用シート
    であり、熱可塑性高分子シートのガラス転移点が150
    ℃以上であり、シート厚みが50μm以上500μm以
    下であり、平面に於けるリタデーションが20nm以下
    であり、少なくともシートの片面の表面の粗さが0.1
    μm以下であり、且つ300mm角のシートの反り量が
    5mm以下である請求項1〜3記載の熱可塑性高分子シ
    ートの製造方法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性高分子シートがガラス転移点温
    度150℃以上の非晶質樹脂である請求項1〜4記載の
    熱可塑性高分子シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 熱可塑性高分子シートがポリエーテルサ
    ルホンである請求項1〜5記載の熱可塑性高分子シート
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱可塑性高分子が溶融押し出されるTダ
    イもしくはコートハンガーダイ、表面が鏡面加工された
    ロール、及びロールに圧着するニップロールからなる熱
    可塑性高分子シートの製造装置において、溶融押し出さ
    れた熱可塑性高分子をロール上に流す部位に、熱可塑性
    高分子のガラス転移点(Tg)対し、加熱部の温度(V
    1)がTg≦V1≦Tg+100(℃)の雰囲気である
    加熱部を有することを特徴とする熱可塑性高分子シート
    の製造装置。
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