完全冷間時でもエンジンの始動性は抜群!!年式のわりにはメカノイズも少なく、走り出した直後は快調そのもの。ところが!?10程度走り、エンジンがしっかり温まった頃には吹けが悪くなり、片肺症状が出て、まともに走れなくなってしまうトラブルが発生した。当初はガス欠!?とも思ったが、どうやらそんな感じではなかった。そこで点火系を疑ってみると……。

イグナイター?IGコイル!?それとも……

エンジン不調原因は電気系!?それともエンジン本体!?状況判断で究明進行

エンジン暖機後に試運転開始。ところが、走り出して10分位経過すると、エンジンが片肺になってしまう。イグニッションコイルか? イグナイター(トランジスタ点火ユニット)か?それともピックアップコイルが原因か?カプラーオンで簡単に確認できる、壊れていないイグナイターへ交換して同条件で試運転。しかし、同じような片肺状態になってしまったので、イグナイター不良ではないと判断した。

ピックアップコイルがおかしい!?

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イグニッションコイル以上に簡単に交換できる部分からトラブルシューティング再開。クランクシャフトエンドの右側サイドカバー内のイグナイターユニットは、カプラ形状さえ合致すれば、系列の他モデル用を流用することもできそうだ。エンジン不調になったのでガレージに帰還。しかし、メンテナンスする頃にはエンジンが冷えてしまい。トラブル症状が消え去ってしまう……。この段階で、IGコイルかピックアップか? どちらかが間違いなくトラブル原因だと考えた。自宅周辺の道路をグルグル走り回り、不調になったら即ガレージへ戻って怪しい部分をテスターでチェック。すると1/4番ピックアップは規定の抵抗値があるのに対し、2/3番には抵抗が無く、つまり断線が判明!!温まっているときに2/3番ピックアップに導通は無く、その後、冷えると規定値の0.4~0.5KΩに復帰することも判明した。これはタチが悪いトラブル内容と言える。仕方ないので、知り合いのバイクショップから中古のピックアップコイルを借用して、2/3番ピックアップのみ交換してみた。

借用部品で試してみると

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メンテナンス車両は1/4番用と2/3番用のピックアップコイルをそれぞれ持つ輸出仕様のZ550GP。借用したピックアップコイルは、国内モデルのZ400GP用。2/3番の生きているコイルを借用したが、ハーネスがカットされていたので、接続カプラから配線ギボシ端子を専用ツールで抜き取り、配線をハンダ接続して復元した。カプラから端子を抜き取る際に、復元時の位置を間違えると面倒なので、分解前にスマホで位置関係を撮影しておくと良い。

将来的には強化型点火システムへ換装

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旧車トラブルの多くは電気系が多く、特に多いのが充電系のトラブルと点火系のトラブルだ。今回は単純な原因究明と部品交換で通常走行できるようになったが、将来的には新たな点火システムの構築で、点火系に関するトラブルはフリーにしたいと思っている。そんな点火系スペシャルパーツで、極めて高い評価を得ているのがASウオタニが開発販売するSPⅡフルパワーキットだ。残念ながら1981年型のZ550GP用キットのラインナップが無かったので、同系列エンジンを搭載したカワサキゼファーやゼファーχ用キットパーツを流用して、フルパワーキットを取り付けてみたいと思う。国内仕様のカワサキZ400FXの場合も、同じ方法で点火系強化が可能だ。

POINT

  • ポイント1・不調コンディション&症状を明確に判断 
  • ポイント2・電気の流れが目に見えるサーキットテスター
  • ポイント3・単純なユニット交換で快調になることもある

車両購入時はすでに車検が切れていて、その後は「自分仕様の追求」などと理想を掲げながらカスタマイズ&メンテナンスを夜な夜な楽しんできた1981年型の輸出モデル、カワサキZ550GP。購入から半年、車体周りを磨き込みで仕上げ、それなりのカタチになったところで、そろそろ試運転のタイミングになりつつあった。そこで、ユーザー車検の予約を入れて、晴れて検査をパス。昔と比べて自賠責保険費用が安くなった今、2年の継続車検なら、その費用は2万数千円!!検査書類は代書屋さんにお願いしているので、その気になればもっとお安く仕上げることもできるが、書類製作で失敗するのは面倒だ。ちなみに国産車だろうが外車だろうが、継続2年の車検費用はほぼ同じである。

車検取得の翌日にはナンバーを取り付け、しっかり暖機運転してから試運転開始。家から10分くらいのところに行き着けのガソリンスタンドがあるので、まずはそこまで走ってガス給油。セルフで給油後にエンジン始動。そして走り出したとたんに片肺症状が発生した……。道端に止めてエキパイを手で触れてみると、どうやら2/3番が燃えていない。1気筒だけ燃えていないならプラグやプラグキャップ、ハイテンコードを疑うことができるが、2/3番が燃えていないとなれば、原因は点火系にあるものだ。

ガレージに戻ってヘルメットを脱ぎ捨て、用足し後に再びエンジン始動。あれっ!?何事も無かったかのようにエンジンは気持ち良く吹ける……。仕方ないので、そのままもう一度試運転に出掛けると、今度は1分も走らないうちに同症状が発生。早速、ガレージに戻って火花確認すると、やはり2/3番が燃えていない。2/3番のIGコイル点火信号端子と1/4番コイルの端子を差し換えてみると、今度は1/4番プラグの火が飛ばなくなった。これで完全に点火系トラブルだと判断した。

後日、原因究明すると、トラブルは2/3番のピックアップコイル(この頃のカワサキはパルサーコイルと命名)にあることがわかった。2本のハーネス間の抵抗値を測定すると、1/4番ピックアップは常に0・4~0・5キロオームなのに対し、2/3番の「冷間時」は同じく0・4~0・5キロオーム、しかし、エンジン暖機を終え、コイルに熱が伝わると、何と導通はゼロ!!つまり断線状態になっていることが判明した。

結論としては、壊れていないピックアップコイルへ交換すると、その後は普通には走り続けることができた。トラブルシューティングの最中に、ASウオタニ製フルパワーキットを組み込んでいる車両と「点火火花の違い」をスパークブラグで確認してみた。すると、その火花の太さや力強さの違いに愕然……。こりゃ間違いなく効果アリ!!ですね。同キットを取り付けてみたいと、強く思った次第である。

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