11月から米国で発売される、ホンダの折り畳み可能な電動コミューター「モトコンパクト」。実車が国内初披露されたジャパンモビリティショーの撮りおろしカットを交えつつ、各部詳細をお届けしよう。情報筋によると「特定小型原付」として日本での発売が検討されているらしい!

さらに同時公開された「ポケットコンパクト」は、50cc相当の原付一種として市販化されるとの情報も! ‘80年代のモトコンポのコンセプトを継承する2台が揃って、令和に復活することになりそうだ。

意外とライポジはコンパクトじゃなく余裕アリ

当WEBで予想したとおり、ジャパンモビリティショー2023で本邦初公開された「Motocompacto(モトコンパクト)」。1981年に登場した積載可能な「モトコンポ」のコンセプトを受け継いだ電動モデルとして大きな反響を呼んだ1台だ。

ハンドルやシートを折り畳んでキャリーケース状にできることから、公共交通機関への持ち込みも視野に入れている。ホンダ自ら「モトコンポの再定義」としており、より幅広い使い方が可能だ。エンジンではなく電動としているのがモトコンポとの大きな違いで、車重はわずか18kgしかない。

 

アタッシュケースのような薄い箱型デザインがクールなモトコンパクト(左側が展開状態、右側が格納状態)。11月からアメリカで市販化が決定した。最高出力は490W(0.66PS)と原付バイクより自転車に近い。可搬重量は約120kgだ。

 

実車は、その名の通り非常にコンパクトだった。四角い本体はおよそ長さ740mm×高さ535mmに過ぎず、そこからハンドルやシートが伸びている。またがらせてもらうと、10cm足らずの超スリムな車体が際立つ。そして車体は小さいのに、ハンドル、シート、ステップの位置は決して窮屈ではなく、ライポジに余裕があることに驚いた。

そして折り畳み状態はまさにアタッシュケース。約19kgあるのでヒョイヒョイ持ち運びできるほど軽くはないが、車輪をキャスターにして転がせば移動はラクラク。電車やバスなど公共交通への持ち込みも可能だろう。

 

自然に手を伸ばした位置にハンドルがあり、ヒザとの空間がしっかり確保されている。折り畳み式ステップの位置も前側で、ヒザの曲がりも緩やか。ミニマムな車体のわりにライポジに余裕がある。ステップはしっかり剛性感があった。※ライダー=身長177cm、体重63kg

シート高は622.3mm。ボディ幅はわずか93mmと超スリムだ。両足がベッタリ接地し、まだまだ余裕がある。テールライトは装備するが、ウインカーやナンバープレートを設置するホルダーなどはない。

モーターは前輪に搭載。最高速24km/hには7秒で到達する。バイクでは珍しいレイアウトだが、ホンダの社内起業制度から生まれた特定小型原付「ストリーモ」なども前輪駆動だ。サイドには反射板を設置。

ボディに格納できる後輪にはドラムブレーキを備える。

ヘッドライトはLEDの小型タイプ。その下に充電用コネクターの差し込み口がある。

ハンドルは横一文字のフラットなバータイプ。グリップはレザー調で質感が高い。右グリップ根元のスイッチがアクセルとなり、親指で押し下げる。ブレーキレバーは左側のみ、ウインカーは非装備だ。

メーターには速度計とバッテリー残量、モードと思われる「1」の数字が確認できる。

シートも本革風。自転車のサドル的な形状ながら、座り心地は悪くなかった。横幅が確保されているので、すぐお尻が痛くなることはなさそう。その下にはHONDAの刻印がある。

車体の右側後部にリヤタイヤのリリースレバーがある。これを操作することで後輪を格納できる。直線的なバータイプのステップは後輪方向に折り畳む。

折り畳むにはまずシートを外して車体に収納。次にハンドルのロックを解除し、90度回転して本体に格納する。ステップとスタンド、後輪を収納したら、アタッシュケース風に!

約19kgあるのでアタッシュケースのように片手で持つには少々重いが、クルマへの積載などは問題なし。移動する場合はキャリーケースのようにタイヤで転がせばラクだ。

大反響のため市販化の可能性大、小改造で対応可能か

既にアメリカでは現地価格995ドル(約14万9000円)で11月の発売が決定している。気になるのは日本での市販化だが、ホンダブースの広報担当者に訊ねてみると「今のところない」という。

一方、噂によると今回のショーでの反響が凄まじく、「特定小型原付として日本の法規に対応する可能性はある」らしい。

特定小型原付は、2023年7月から解禁されたカテゴリーで大いに話題を呼んだ。一定の条件を備えた電動キックボードなら、16歳以上は免許不要、ヘルメット非着用(努力義務)で運転できる。

モトコンパクトの最高出力は490W(0.66PS)。モーターの定格出力は不明だが、日本では600W以下で上限20km/hなどの法規に合致すれば特定小型原付として扱われる。

北米版のモトコンパクトはウインカーが装備されていないので、日本で公道走行するにはもちろん灯火類などの保安部品も必要。特定小型原付の電動キックボードは、バーエンドにウインカーが設置されているので、小改造で済むかもしれない。

なお関係者筋によると、モトコンパクトは足で蹴り出して発進するほどのパワーとのこと。ちなみに特定小型原付のキックポードも、ゼロ発進では足で地面を蹴って勢いをつけないとアクセルをオンにしても始動できない仕組みだ。

特定小型原付として国内に導入されれば、電動キックボードのようにバーエンドへウインカーが設置されるかも。上限6km/hのモードを備えれば、自転車のように歩道を走行することも可能だ。

もう一台の現代版モトコンポ=ポケットコンセプトは原付一種として登場?

同じくモトコンポの遺伝子を継ぐ電動モデルがもう1台、ジャパンモビリティショーに登場した。「ポケットコンセプト」もまたハンドルなどを車体に格納し、クルマへの積載を考慮した電動コミューターだ。

'80年代のモトコンポとシティを思わせる、電動カーの「SUSTAINA-C Concept」(サステナ シーコンセプト)と合わせて紹介&展示され、往年のファンは懐かしさを覚えたハズだ(開発者インタビューはコチラ。https://news.webike.net/motorcycle/341848/)。

噂によると、どうやらポケットコンセプトは原付一種(50cc以下)相当として国内導入が検討されている模様だ。モーターの出力や搭載バッテリーに関しては一切不明だが、実現すれば、特定原付で上限20km/hのモトコンパクトに対し、ポケットコンセプトは上限30km/hなど、より上位の原付一種となる。

昭和のモトコンポが時を超えて、令和に2台揃い踏みなるか。今後の動向を楽しみに待ちたい!

ジャパンモビリティショーで世界初公開されたポケットコンセプト(参考出展)。独特なデザインが特徴で、モーターはモトコンパクトと同じくフロントホイールに設置する。ホイールはモトコンパクトより大径の8インチ。

会場では、電動カーのサステナCコンセプトと並べて展示。今回のモビリティショーでは車載した展示はなかったが、「2輪と4輪のセットの生活をご提案したいと思います」と開発者は語っていた。

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