- 第1章 東葛地域からの報告
- 第2章 飯舘村からの報告(その一)
- 第3章 大熊町からの報告
- 第4章 浪江町からの報告
- 第5章 飯舘村からの報告(その二)
- 第6章 福島市からの報告
- 第7章 二本松市からの報告
- 第8章 郡山市からの報告
- 第9章 最終章へ向けて
- 最終章
- 最後に
- あとがき
第1章 東葛地域からの報告
ホットスポットに甲状腺がんの子どもが3人
・東葛地域=松戸市、野田市、柏市、我孫子市、流山市、鎌ケ谷市の6市
・松戸市議増田薫
・甲状腺は、いわゆる「のどぼとけ」のすぐ下にある重さ10~20g程度の小さな臓器で、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌している。
甲状腺の病気は、男性よりも女性に多く見られ、これらは腫瘍ができるもの(腫瘍症)とそうでないもの(非腫瘍症:甲状腺腫、バセドウ病、慢性甲状腺炎「橋本病」など)に分けられる。さらに甲状腺の腫瘍のうち大部分は「良性」で、がんではない。しかしながら、中には大きくなったり、ほかの臓器に広がる「悪性」の性質を示す腫瘍があり、これを甲状腺がんという。甲状腺がんでは、通常、しこり(結節)以外の症状はほとんどないが、違和感、痛み、飲み込みにくさ、声のかすれなどの症状が出てくることがある。このため、甲状腺の病気が甲状腺がんかどうかは、診察や検査をもとに詳しく調べていくことになる。
大人も含めて甲状腺がんは、年間、10万人に7人前後の割合で発症するとされている。組織の特徴(組織型)により、乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、髄様がん、未分化がんに大きく分類される。また、甲状腺から発生するリンパ系のがんとして悪性リンパ腫を加えて分類される場合もある。これらは悪性度(広がりやすさ、ふえやすさ)、転移の起こりやすさなどにそれぞれ異なった特徴があり、治療費も大きく異なる。
・木村真三『放射能汚染地図の今』(講談社 2014年)
・検査内容は、まず一次検査として超音波(エコー) 検査を行い、検査結果は、結節(しこり)と嚢胞(のうほう。体液がたまった袋状のもの)の大きさによって、福島県独自の判断として次の4つに分類される。
①結節や嚢胞がなかったもの―A1 (医学的な問題はない)
②小さな結節や嚢胞が見つかったもの―A2 (5ミリ以下のしこり、もしくは20ミリ以下の嚢胞)
③大きな結節や嚢胞があった場合―B (5.1ミリ以上のしこり、もしくは20.1ミリ以上の嚢胞)
④甲状腺の状態から判断して、ただちに二次検査が必要な場合―C
ここでB判定またはC判定となった場合は、「二次検査」が行われる。二次検査では、問診と詳細な超音波検査に加えて、血液検査や尿検査によって甲状腺ホルモンの数値などを確認する。二次検査でさらに詳細な検査が必要とされた場合、細胞診(細い針を刺して細胞を採取し、その細胞を観察して良性か悪性かを判断すること)を行う。最終的に、甲状腺がんの疑いが強い場合は、手術をして甲状腺の一部または全部を摘出し、その組織が悪性であれば甲状腺がんと確定する。
・このことに対し、福島県県民健康調査検討委員会は「甲状腺超音波エコーの精度が向上したこと等による過剰診断(スクリーニング効果)」だと主張し、津田が次のように反論している。
「過剰では説明できないという決定的根拠は、私どもの論文(著者注 Epidemiology誌の2016年5月号)にも引用したチェルノブイリの非曝露(著者注 放射線には曝されていない)集団・低曝露集団での経験がある。そこでは、計47,203名の未成年での甲状腺検診で、甲状腺がんは全く検出されなかった。これがチェルノブイリ周辺での甲状腺がんの多発は過剰診断ではなく事故による多発であることが決着したデータである。
—中略—
また、検診で検出された甲状腺がん症例の90%が、がんの性格を示すリンパ節転移・遠隔転移・甲状腺外浸潤(著者注 次第におかして広がること)のいずれかが術後に判明したことも、過剰診断だけでは説明がつかない。」
それと一回目の検査では検出されなかったが、二回目の検査で検出されている人がいるので、検討委員会の主張はまちがいである。
過剰診断についてはこのぐらいにしておきたい。
・山田國廣『初期被曝の衝撃――その被害と全貌――』(風媒社 2017年11月)
・大谷尚子、白石草、吉田由布子『3.11後の子どもと健康』(岩波書店 2017年7月)
・三田茂医師 小平→岡山県に移住
・放射線管理区域 「1平方メートル当たり4万ベクレル以上」
公園内の線量を測定する
・松戸市議ラッパーDELI
・0.23μSv/h(≒年間1ミリシーベルト)以上であれば除染
・「ホットスポットファインダー」=シンチレーションカウンターとGPS機能が連動 約160万円
・雨水がたまるような場所が高い=「環境濃縮」
・常磐平公園 最大値0.732μSv/h
被曝の問題は、みんなの問題
・平均値はあまり意味がない 汚染はまだら状
・「被曝の問題って環境の問題だから、イデオロギーとか、それぞれの立場を超越していると思うんです」
自治を問う
・松戸市役所健康推進課 指導監竹次京子、健康推進班長栄養士長吉村雅子
・甲状腺検査→「心配のない方に対して、わざわざやってくださいという姿勢ではない」
・松戸市検査 322人
・自己負担4370円
・診断された人には「特定非営利法人3.11甲状腺子ども基金」から給付が出る
・松戸市のチラシ「福島第一原発事故による放射性ヨウ素の初期被ばくについては、「松戸市での被ばく線量は少なく、甲状腺の影響は極めて低い」というのが大方の専門家の意見のため、医学的見地から検査の必要性を見出すのは難しいと考えています。」「今回の検査は現在の甲状腺の状態を知るためのもので、原発事故における放射線の影響との関連性を評価するものではありません。」
第2章 飯舘村からの報告(その一)
写真家、安齋徹71歳
・飯舘村で被災→福島県伊達市伏黒の仮設住宅
・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ『チェルノブイリの祈り――未来の物語』(2011年6月 岩波現代文書)ノーベル文学賞
・山口県で写真家福島菊次郎(『ピカドン―ある原爆被災者の記録』1961年東京中日新聞)に30、40年後に生きてくるから何でも撮れと言われる
・写真家那須圭子祝島で子ども保養プロジェクト
次々に起こる奇妙な現象
・金属のにおいの雲
・3月19日と翌日、栃木県鹿沼市鹿沼フォレストアリーナ(体育館)へ村民511名を避難させる
・飯舘村3月29日京大今中哲二助教らの調査
・菅野典雄村長 原子力に詳しい東工大理工学部博士中退、善仁寺住職杉岡誠
・正式な避難指示は4月22日、5月末までに
・「見守り隊」で1年間パトロール。これで被爆した。
・鼻血、脱毛、ダルさ
復興に向けての帰還政策
・震災前人口5850人→618人
・小中一貫校再開75名、通学予定者75名事故前の15% コシノジュンコの制服
・14億の道の駅、学校改修40億
・復興資金を使い、菅野村長によって帰還政策が打ち出されているが、安齋によれば、原発事故の直後からつい最近まで、村は御用学者を使い、放射能は危険ではない、と吹聴してまわった、というのだ。
★チッソが垂れ流してきた水俣病の有機水銀が原因だと認定されるまで16年の歳月がかかった。被曝についても、様々の病気が原発の事故による放射性物質と認められるまで長い歳月がかかると予想し、水俣病を引き合いに出す反原発の人たちが多いが、似ているのはそればかりではない。水俣病では田宮猛雄日本医学会会長、小林芳人東京大学名誉教授(薬学)、沖中重雄東京大学医学部教授(内科学)、勝沼晴雄東京大学医学部教授(公衆衛生学)といった御用学者が財界によって動員され、水俣病の原因は有機水銀ではない、と論陣をはった。原発についても、原発を維持し、推進しようとしている勢力によって御用学者が動員され、人体に被曝の影響はない、と被曝地でいってまわっている。その最たる人物が山下俊一である。山下は長崎大学の副学長であったが、その地位のまま福島県立医科大学の副学長に招聘されている。
・安齋によれば、御用学者がきて、「飯舘は安全だから、家の戸を開けてもよい。洗濯物を外に干してもよい。畑から作物を採ってきて食べてもいい。子どもさんは外で遊ばせてよい」といい、翌日、国によって計画的避難区域に指定され、避難が始まった、というのだ。学者のメンツは丸つぶれである。ネットで調べてみると、その学者は近畿大学教授の杉浦紳之となっていた。
・原子力規制委員会田中俊一初代委員長、飯舘村復興アドバイザー、一ヶ月の半分を飯舘村で過ごす
村議会議員、佐藤八郎
・共産党村議2016年村長選
震災後の飯舘村
・「村は、リスコミ(著者注 リスクコミュニケーションの略。リスコミとは、あるリスクについて関係者の間で、情報を共有したり、対話や意見交換をして意志の疎通をはかること)事業の一環で多くの専門家を招き、講演会や懇談会を開いてそれぞれの知見を村民と共有しました。また、小中学校で放射線教育を実施するためのカリキュラムもまとめ、授業を行う教員の研修会も行っています。」
・公的資料に紹介されている学者は、近畿大学教授の杉浦紳之ともう一人は山下俊一と同じ長崎大学の教授で、福島県放射線健康管理アドバイザーの高村昇である。いずれも反原発の運動をやっている人たちからは御用学者と呼ばれている。また、かつて右翼の笹川良一が競艇を牛耳り、博打の儲けを財源とする日本財団が、講演会にかかわっていることが公的資料の写真でわかる。学者たちは講演会や懇談会を行い、放射能は恐くない、といってまわった。
・『飯舘村全村避難4年半のあゆみ までいの村に陽はまた昇る』(2015年)と佐藤のチラシ
◇3月12日、午前5時4分には原発から10キロ圏内に避難指示範囲が拡大。午後3時30分には1号機が爆発し、避難指示も午後6時25分に半径20㎞圏内にまで広がりました。県道12号線は避難車両で渋滞。(『あゆみ』より)
◇3/12一部電力復帰・避難受け入れ(チラシ)
◇村が設置した避難所では、職員のほか消防団や女性消防隊、婦人会、村社会福祉協議会をはじめ多くの村民が避難者(南相馬市と双葉地方)の対応にあたりました。(『あゆみ』より)
◇3/13一部水道復帰、3/14水道・電力全村復帰(チラシ)
◇県は、14日、「いちばん館」前にモニタリングポストを設置。その数値が急上昇したのは15日の正午頃からでした。(『あゆみ』より)
◇3月15日の午前1時には、村内の一部を含む、原発から30㎞圏内が屋内退避区域に指定され、「やすらぎ」には村民用の避難所を開設しました。村は一時間毎に、「いちばん館」前のモニタリングポストの数値を県の災害対策本部へ報告。測定値は、午後6時20分頃、44.74μSv時を記録します。日中の雨が夜には雪になっていました。(『あゆみ』より)
◇17日、村は行政区長に、住民の避難意向調査を至急で依頼。希望者の第一陣が栃木県鹿沼市へ緊急避難したのは15日でした。(『あゆみ』より)
◇20日には村内の水道水から基準値を超える放射性ヨウ素が検出され、翌日から取水制限を実施。22日・23日には県による村民対象のスクリーニング検査が実施され、検査を受けた1330人から重度の体表汚染は検出されませんでした。(『あゆみ』より)
・菅野村長、菅直人首相宛の提言書「本村は反核の旗手になるつもりはない」
・糸長浩司 建築家、農村計画学者。彼が飯舘村と今中教授を繋ぐ。杉岡氏がアテンド。
なぜ、菅野村長は村民の避難を遅らせたのか
・村長は22年も努め、自分の村作りの総決算の時期だった
元飯舘村村民見習い人、伊藤延由74歳
・1943年11月生まれ。2010年から飯舘村で研修所の管理人をしながら農民見習いを始めました。人生で最高に楽しい一年でした。楽しさが最高だっただけに原発事故とその処理に対する政府、東電と村の態度は許されません。余生を反原発にかけます。
・ソフトウェア会社の研修所
コミュニティーの崩壊
・葛尾村の松本允秀村長は避難指示前に住民を避難させた
・菅野村長、44.7μSv/hがでたとき「村民に教えるな」
・飯館村のように広い家に住んでいた人には仮設の狭い家は耐えられない
野の科学者
・「自然の循環サイクルに組み込まれた放射性物質は、消す手立てがないので物理学的な半減を待つしかないんです。300年かけると千分の一になるという事実はわかっています。昨年の10月に裏山の土を持ってきて分析しているんですけど、キロあたり4万4893ベクレルありました。事故前の土壌の汚染は、10か20ベクレルです。4万4000ベクレルのうち、約10%はセシウム134なので2年で半減期を迎えるので、セシウム137だけが4万ベクレルあったとすると、30年かけて2万、60年かけて1万、90年かけて5000、ずっといって、300年たっても30ベクレルですから。もう30年たつと20ベクレルくらいになるんです」
・モニタリングポストの疑惑。33個所測ったところ、3個所は同じ値で、30箇所はモニタリングポストより高い数値が出た。
・「農地はですね、表土を5センチ剥ぎとります。それをフレコンバッグに詰め込んで表土5センチを覆土し、きれいな砂をかけます」「ちょっと農業の嗜みがある人なら、表土5センチがいかに大切な土かってことがわかるわけですよ。よい土をつくるのに10年かかる、といわれているわけです」「山へ行けばいくらでも腐葉土はあります。それを鋤き込んで、さらに堆肥を入れて土づくりをした、そのおいしいところを5センチとっちゃう」「で、山砂を入れるんです。1ヘクタールの農地から剥ぎとった土が1000トン出るんですね。このフレコンバッグが村には240万個があるといわれています」
・木材は皮、杉は芯部にたまる 薪にできない
・「長さ30センチのパイプを土中に刺し込んで土壌を採取します。5センチずつ刻んでセシウムの量を測るんです。合計で3万6878ベクレルなんですけど、98%は5センチの中に入っている。ですから、農地の表土を5センチとるというのは、ある意味正しいんですね」
「でも、この下には1500、1600、1700ベクレルがある。農地は原発の事故前は10から20ベクレルだったんです。これが汚染の実態なんですね。これはですね、すぐ近くにあるお宅の宅地です。1万8588ベクレルあるんですが、この方は事故後すぐに長野県信濃町に土地を買って農業を再開しています。そこの宅地は51ベクレルです。この51ベクレルも、福島から飛んで行ったのが入っています」
・山菜はランダム。キノコは最悪だけど、それもランダム。放射性物質は測定すればするほど不可解。理解不能。
第3章 大熊町からの報告
ドキュメント逃避行
・事故当日。原発を見に行く。双葉病院、老人介護施設「ドーヴィル双葉」
・11日の夜、翌日の息子の受験に備えて母子は仙台へ行く 受験は中止
・12日の夜戻る。大型バスに乗せてもらえなかった山側部落の人たちと話して 13日・14日避難、犬と猫がいたので避難が遅れる
・田村市の総合体育館へ
・大熊町や双葉町で取り残された人たちが、自衛隊の車両によって体育館に避難してきたのは3月20日すぎだった、と木幡はいう。3月12日に一号機が爆発し、それから一週間以上が経過している。取り残された人たちは相当被曝した、といってまちがいはない。
・飼い犬の火葬後。骨を測定したらストロンチウム90が3.39ベクレル。
・大熊町、小児甲状腺がんおよび疑い3人=657人に1人
第4章 浪江町からの報告
パパ、生きている
・今野寿美雄 元原発作業員 浪江町→飯坂温泉の復興住宅
・京大原子核工学河野益近先生 問題は内部被ばく 1ベクレルの不溶性の放射性物質が体内に入れば、1年間で16ミリシーベルト被爆する
いまのところはね
・国や東電から放射能に関する情報を伝えられていなかった浪江町は、バスを使って3月15日ま でに海沿いに住む町民1万人をもっとも線量の高かった津島地区にある公民館や民家などに避難させている。津島地区は浪江町と福島市を結ぶ国道114号線上にある山間地で、今野の息子は、公民館で放射能によって汚染された雪を食べた、という。息子だけでなく、津島地区に避難した人たちは被曝したはずだ、と今野はいう。因みにジャニーズ系アイドルのTOKIOが農業体験をした「ダッシュ村」は津島地区にあり、そこは国によって帰還困難区域に指定され、TOKIOに農業指導をしていた三瓶明雄は白血病で死んでいる。
・「SPEEDIというコンピューター・シミュレーションがある。政府が130億円を投じ てつくっているシステムだ。放射線量、地形、天候、風向きなどを入力すると、漏れた放射性物質がどこに流れるかをたちまち割り出す。3月12日、1号機で水素爆発が起こる2時間前、文部科学省所管の原子力安全技術センターがそのシミュレーターを実施した。
放射性物質は津島地区の方向に飛散していた。しかし政府はそれを住民には告げなかった。 SPEEDIの結果は福島県も知っていた。」(『プロメテウスの罠 特別版』朝日新聞デジタル)
・福島県立医科大学 病気が2倍くらいになっているというデータ
・「食品の基準として、いま100ベクレル以下なら食べてもいい、といわれていますよね。これ発電所へ行くと100ベクレル以上のものは、放射性廃棄物として管理しなくてはいけない(著者注 福島第一原発事故が起きる前まで、原子炉等規制法によって100ベクレルが基準とされていた)。キャスト、ドラム缶に入れるんです。発電所ではそういう管理をしているんですよ」
第5章 飯舘村からの報告(その二)
第6章 福島市からの報告
甲状腺がんについて
・大越良二72歳『週刊金曜日』2018年3月9日号鼎談「甲状腺がんの患者が語る」
・震災直後は高血圧(160位)、急性下痢、一週間以上の下血、3ヵ月おきの通風、心臓の痛みが20分くらい続くなど、震災前にはなかった体調不良を覚え、16年8月に福島市内の診療所で自主的に超音波の検査を受けたところ、左側の甲状腺に13ミリの結節を発見。県立医大病院での細胞診で「左葉乳頭がん、リンパ節転移の疑い」と判定され、16年12月1日に全部摘出(郭清)。
・「チラーヂンというホルモン剤を毎日、175ミリをのんでいるんですが、実際、体から出るホルモンとはちがうわけですよね。めまいがするんです。あと昔とちがうのは、体を動かすのがおっくうになってくるんですね」
喉を切る
・穿刺吸引細胞診の痛さ、喉を切る恐怖
・アイソトープ治療の辛さ
稽留流産
・大阪 医療問題研究会 早期死亡と周産期死亡が5%→20%
部落から出て行け
・放射性核種ランタン 光って見える
・『ふぁーむ庄野』1000部 「部落から出て行け」という匿名の手紙
第7章 二本松市からの報告
福島の詩人、関久雄
・「福島スタディツアー」
被曝の影響
・「取材の腰を折るようで悪いんだけど、いま、福島の状況は複雑だし、現状を肯定している人もいるわけだよ。放射能は、そんなにたいしたことはなかったんじゃないか。不安になっている人はバカ。ぼくみたいに保養とかいっている者に対して、保養は不安を煽る。いわゆる風評被害は、差別を生む行為だとバッシングされるんです。そういうことで、いまどちらかといえば、福島は全体主義で、とても物をいえる状況ではない。」
そして飯舘村へ
・郡山の集い 沓沢大三、飛田晋秀
第8章 郡山市からの報告
見ざる聞かざる言わざる
・高校教師渡辺紀夫『週刊金曜日』甲状腺がん鼎談の一人 2015年4月左葉摘出
・ペット検査 放射性物質を注射し集まる所を調べる
・「甲状腺がんが人を殺すんじゃなくて、転移して、多臓器不全(著者注 生命維持に不可欠な脳、心臓、肝臓、腎臓などの臓器のうち2臓器が正常に機能しなくなった状態)で死んじゃうんです。だから、病名は多臓器不全。2人に1人はがんで死にます、といっているけど、がんで死んだという診断書が下りる人はほとんどいないんです。わたしは甲状腺を摘出し、生きているので、お医者さんに『がん』と書いてください、と頼んだ。良性腫瘍みたいなことを書かれたら、がん保険はおりないんですよ」
第9章 最終章へ向けて
・情報開示請求 放医研職員保田浩志氏「山下先生も小児の甲状腺被ばくは深刻なレベルに達する可能性があるとの見解です」2011年3月21日
プロの写真家
・福島県三春町飛田晋秀
・江戸時代、三春町は秋田家5万石の城下町として栄え、町の中には寺院が多い。樹齢千年といわれている滝桜も有名だが、先進的な小学校教育をしてきた町としても広く知られている。また、自由民権運動の発祥地でもある。それと甲状腺被曝を防ぐため、安定ヨウ素剤を備蓄していた自治体としても知られ、原発の事故後、町民に配布された。
・「わたしがこれを徹底的にやろうと思ったのは、2012年の8月に、当時、小学校2年生の女の子が、『大きくなったら、お嫁さんになれる?』って。これをいわれたときにね、わたしは本当に心臓が止まるんじゃないかと思うぐらい、声も出なくて。その子に『ごめんね』っていうだけいって、あとは車の中で号泣して帰ってきましたよ」
★水俣病の患者を撮った写真家、ユージン・スミスの妻、アイリーン・美緒子・スミスが水俣と福島に共通する10の手口というものを示した。
1 誰も責任を取らない/縦割り組織を利用する
2 被害者や世論を混乱させ「賛否両論」に持ち込む
3 被害者同士を対立させる
4 データをとらない/証拠を残さない
5 ひたすら時間稼ぎをする
6 被害を過少評価するような調査をする
7 被害者を疲弊させ、あきらめさせる
8 認定制度を作り、被害者数を絞り込む
9 海外に情報を発信しない
10 御用学者を呼び、国際会議を開く
・福島市蓬萊町 中島未来、21歳 汚染土をどこかに運ぶトラック
最終章
・福島県立医科大学附属病院みらい棟 2016年12月完成
・「福島の子どもは、大丈夫です」早野龍五×緑川早苗 / 服部美咲 シノドス2018.05.12の記事
・当初の予定では、ライターで、のちに放射線医学県民健康管理センターの広報担当に転じた田中成省を想定し、わたしは質問事項を書いてきた。福島県立医科大学々報によれば、田中は健康管理センターに所属し、特任教授になっていた。なぜ、そうなったのか、同じようなことをやっている身としては少なからず興味はあった。『ワタミの理念経営』(日経BPコンサルティング)を書いたライターの田中が、まったく畑ちがいの県立医科大学の特任教授になっていたからだ。
・特任教授、戸井田淳
・落合栄一郎「福島第一原子力発電事故による健康被害」『アジア太平洋ジャーナル』第13巻、第38号、No.2、2015年9月28日
・病院のレセプト統計
最後に
・損害賠償訴訟に備えて
あとがき
12/10読了
◆要約:著者の住む東葛地域で小児甲状腺がんが3名発生したことを契機に、被災した各地で様々な人(被ばく、健康被害について発信している人)にインタビューして、健康被害の実際のところを調査するルポルタージュ。
◆感想:警戒しながら読んだがなかなか面白かった。飯舘村の事情などがよくわかる。
出てくる人の意見は人それぞれ。注意して抑制的に話す人もいるし、ちょっと陰謀論気味と感じる人も出てくる。
でもこの本は、現地の生の声を集めるというのが主題なのでそれでいいと思った。
しかし、著者が重視している落合栄一郎氏のデータなどは根拠が非常に怪しいと感じる。
国はデータを隠すので、健康被害の証明は本当に難しいと感じた。