西アフリカではニジェールにおける昨年のクーデタ以来、ニジェールを含む3カ国とそれ以外の国の間で対立が深まっている。この対立を加熱してきたのは、ニジェールの資源開発などに既得権を持つフランスと、なりふり構わずアフリカ進出を目指すロシアのテコ入れである。この対立の果てにニジェールが駐留米軍にも撤退を求めたことで、この地域でロシアが隠然と影響力を伸ばすのはほぼ確実とみられている。 アフリカの貧困国が超大国アメリカに部隊の撤退を求める。こうした逆転現象は西アフリカのサハラ砂漠一帯、いわゆるサヘル地域での緊張と分断の果てに生まれた。 西アフリカに生まれた新同盟 サヘルでの緊張のきっかけは、ニジェールで昨年7月末にクーデタが発生し、その対応をめぐって周辺国が分裂したことだった。 周辺国が加盟する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はクーデタを批判し、経済制裁を発動しただけでなく軍事介入も示唆した。