本誌記者の目の前に、3冊のノートがある。ノートの持ち主は、福島第一原発の爆発事故に中心となって立ち向かった人物である。 海江田万里・元経済産業相(63)。彼は事故直後から、原発を管轄する担当大臣として、誰が、どこで、何を語り、事態がどう推移したかについて克明に記録してきた。その海江田氏が本誌に口を開いた。 「このノートは、事故直後から私が経済産業相を辞任するまでの176日間の、原発との闘いの記録であり、私が実際に目の当たりにした真実の記録です。 今年に入って、原子力災害対策本部など政府の震災関連組織で議事録が作成されなかったことが明らかになり、政府の情報管理の杜撰さが厳しく批判されています。しかし、私はそこに参加していました。私のノートを、事故から1年が経過する今、世に出そうと思います。 事故直後は走り書きですが、東京電力の本店に統合対策本部が設置され、そこに常駐するようになってからは克明
東京電力福島第一原発の事故で日米両政府が最悪の事態の引き金になると心配した4号機の使用済み核燃料の過熱・崩壊は、震災直前の工事の不手際と、意図しない仕切り壁のずれという二つの偶然もあって救われていたことが分かった。 4号機は一昨年11月から定期点検に入り、シュラウドと呼ばれる炉内の大型構造物の取り換え工事をしていた。1978年の営業運転開始以来初めての大工事だった。 工事は、原子炉真上の原子炉ウェルと呼ばれる部分と、放射能をおびた機器を水中に仮置きするDSピットに計1440立方メートルの水を張り、進められた。ふだんは水がない部分だ。 無用の被曝(ひばく)を避けるため、シュラウドは水の中で切断し、DSピットまで水中を移動。その後、次の作業のため、3月7日までにDSピット側に仕切りを立て、原子炉ウェルの水を抜く計画だった。 ところが、シュラウドを切断する工具を炉内に入れようとしたところ、工具を
Astand終了のお知らせ 朝日新聞社「Astand」は、2023年7月でサービスを終了しました。 朝日新聞社が有料で提供する情報サービスの配信サイト Astand(エースタンド)は、各サービスの終了にともない2023年7月31日をもちまして閉鎖しました。 今後は、朝日新聞社が運営するニュースサイト「朝日新聞デジタル」をご利用いただきますようお願い申し上げます。朝日新聞デジタルのコンテンツはこちらでご案内しております。 https://digital.asahi.com/info/about/ なお、朝日新聞社のオンライン共通ID 「朝日ID」は引き続きご利用いただけます。 https://id.asahi.com/asahiID/asahiID_site.html
太陽電池を製造するには、高温でシリコン原料を溶かさなければならない。このときに大量の電力を使う。さらに太陽電池には寿命がある。このため、「太陽電池は元が取れない」という意見をよく耳にする。実際はどうなのか。火力発電や原子力発電とも比較した。 そろそろ企業の決算報告が出そろう時期となった。大手家電メーカーからは軒並み赤字の数字が出ているが、電力各社も東京電力*1)を除く9社のうち、7社が最終赤字となった。原因は、原子力発電所の停止後、火力発電所で代替し、燃料費がかさんだためとされている。 *1) 東京電力は2月7日現在、2011年4~12月期連結決算を発表していない。 現在日本にある発電用原子炉54基のうち、稼働中のものは3基。2012年4月中には全原子炉が停止する見込みだ。稼働可能なものの多くは定期点検による停止だが、地元の反発などが強く、再稼働は難しいだろう。そうなれば、火力発電への依存
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 2011年10月3日、古川元久・国家戦略担当大臣を議長とするエネルギー・環境会議は、「コスト等検証委員会」を設置することを決定した。これは、東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故を踏まえて、ゼロから見直すことになったエネルギー環境戦略を検討するための第一歩であった。特に、従来、安いとされてきた原発のコストなどを徹底的に検証することは、聖域なき検証の大前提になるという認識に基づくものであった。 これから、5回にわたり、このコスト等検証委員会が、2011年12月19日にまとめた報告書のポイントについて、当該委員会の事務局メンバーが解説する。但し、解説の内容については、各執筆者個人の文責によるものである。 第1回は、原子力発電のコストにつ
原発事故 国本部の議事録作成せず 1月22日 17時44分 東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って、避難区域や除染の方針など重要な決定を行ってきた政府の「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったことが分かりました。専門家は「将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。 政府の原子力災害対策本部は、総理大臣を本部長とし、経済産業大臣をはじめ全閣僚をメンバーとするもので、原発事故当日の去年3月11日に設けられ、避難区域や除染の基本方針、農作物の出荷制限など原発事故を巡る重要な決定を行ってきました。NHKで、去年11月、それまでに開かれた21回の会議について「議事録や内容をまとめた資料など」の情報公開請求を行ったところ、公開されたのは、議題を記した1回の会議について1ページの「議事次第」だけで、議論の中身を記した議事
福島第一発事故に関して、「危険!」ってのと「まあ平気なんじゃない?」って両方の噂があります。原発問題は推進も反対もいろんな利権が絡んでるから、どっちの情報も利権絡みの可能性があります。だから疑心暗鬼になるのも無理ないよね。福島に住んでる僕の友人も同じ不安を抱えてました「結局俺の住んでるとこって安全なの?他の国と比較してどうなの?」と。でも震災の影響で彼は今も大変な状況。正しい情報を調べる余裕は無いです。 ってことで代理で線量測定に行ってきました。行ったのは8か国。チェルノブイリのあるウクライナも含みます。図にすると大体こんな感じ。赤い点がチェルノブイリです。 計測に主観が入らないように、陸上で測る場所は原則地球の歩き方で最初に紹介されてる地点を測りました。 最初に測ったのは飛行機の中です。実は宇宙からは宇宙線という放射線が降ってきてます。窒素に当たるとトリチウムという放射性物質を作ったりす
今年3月の福島第1原発事故に伴って政府が設置した「原子力災害対策本部」と「政府・東京電力統合対策室」で、取り扱われる公文書が適切に管理されていない状態が続いている。公文書管理法(今年4月施行)に基づく「ファイル管理簿」も作成されていないなど、同法の趣旨に反する疑いも指摘されている。識者らからは「政府の事故対応の是非を検証するために必要な文書が散逸する恐れがある」と懸念が出ている。【吉永磨美、臺宏士、青島顕】 ●「メモだから非公開」 「政府・東電統合対策室」(対策室)は今年3月、東京・内幸町の東電本店内に設けられた。実質的な事務は経済産業省の原子力安全・保安院が担っている。細野豪志・原発事故担当相を筆頭に、東電の職員や厚生労働省、文部科学省など関係省庁の連絡担当者が集まり、毎日午後6時から、各省庁による原発事故の収束作業などに関する「全体会議」が行われている。 先月7日にあった対策室の合同会
未曽有の大規模災害をもたらした「3・11東日本大震災」への初動対応は、日本政府にとって、最も困難な時期だった。被災地救援のための自衛隊派遣、世界を震撼(しんかん)させた東京電力福島第1原発事故、過酷な移転生活を強いた周辺住民への避難指示、日本政府に疑念の目を向けた米国……。菅直人前首相はそのとき、何を考え、どう行動したのか。前首相の証言をもとに構成した。(肩書は当時、日本時間) 3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9・0の大地震が東日本を襲った。宮城県北部は震度7を記録。東北を中心に太平洋沿岸は津波にのまれた。緊急災害対策本部を設置した菅首相が最初に指示したのは「自衛隊は最大限の活動をすること」だった。 「(95年1月の)阪神大震災のとき、自衛隊の出動要請が遅れた。兵庫県知事から(派遣要請が)なかなか来なくて、出動できなかったことを覚えていたから、とにかく準備に入って
畑村洋太郎東大名誉教授(70)は「失敗学」、つまり、何が間違っていたかを突き止める専門家として知られる。その実績を買われ、福島第1原発危機の原因解明を託された。24日、同原発の事故原因を究明する第三者機関「事故調査・検証委員会」の委員長に指名されたのだ。 仙谷由人官房副長官は記者会見で、同委が事故対応の調査のほか、日本の原子力行政の「歴史的経緯に踏み込まざるを得ない」と述べた。 与えられた任務はまさに畑村氏の得意とする分野にある。同氏が運営する特定非営利活動法人「失敗学会」は、過去の失敗に学び、再発を防ぐ方法を研究している。同氏はまた、科学技術振興機構のプロジェクトで構築した「失敗知識データベース」を公開している。失敗学会は数年にわたり、原発事故に関する過去の分析も集めた。福島第1ほか東電の原発の例もある。 失敗学は、2000年の「失敗学のすすめ」出版をきっかけに国内で強い支持を得た。サク
◇福島第1原発、津波…燃料棒溶融…爆発 ◇3.11から2日間、官邸・保安院・東電は 東日本大震災は国内未曽有の原発事故を引き起こした。首相官邸や東電、防衛省・自衛隊はどう対処したのか。米国の動きは。発生直後からの2日間を追った。【震災検証取材班】 ■発生 11日14:46 ◇暗闇の建屋脱出30分 「はぐれるな、手をつなごう」 ◇「全員官邸に集合」 閣僚右往左往 その時、東電の下請け会社に勤めるベテラン従業員は福島第1原発4号機タービン建屋の地下1階で鉄材の切断作業をしていた。11日午後2時46分、激しい揺れに必死で配管にしがみつく。 「足場が倒れたら危ない」。3人の同僚と声をかけ合っていると突然、照明が消えた。暗闇の中、危険箇所を示す電池式の警告灯だけが赤く点滅している。 頭が混乱して方向感覚がない。「はぐれたら大変だぞ。手をつないで行こう」。警告灯を懐中電灯代わりに、4人は一列になって1
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く