概要 結論から述べよう。 「ラブライブ!」とは、極めてシンプルな企画要素から生まれ映画で創発的に完成した青春物語ではないだろうか。 具体的には、TV版の間では少なくとも表層的には迷走することもあったテーマ、分断されていた要素が、映画版によって遡及的に(=過去の評価を上書きしながら)一つのテーマにまとめ上げられるという見方ができる。即ち、映画版を見ることで、TV版を最初からまっすぐに一つのテーマを貫きつづけた物語であると見て取ることが可能になる。そして、そのように見て取ったTV版を無意識下で担保とすることで、省略・分断・現実とイメージの融合表現が多く「難解ではないが強引」な映画版を単体でも傑作であると感じることが可能になる。 また、もう一つの興味深い点として、この作品は、各所で指摘されているので詳細には述べないが、企画の成長と作品内でのキャラクターの成長が共鳴しているメタフィクション的な特徴