阪神大震災が起こったとき、米国に滞在していた。故郷、神戸の炎上を映し出すテレビ画面を、ただ惚(ほう)けたように見つめていた記憶がある。CNNテレビに、小紙ワシントン総局の古森義久記者が招かれ、キャスターの質問に答えていた。 ▼「なぜ、日本人はこれほどの惨事のなかで、暴動も略奪もなく、冷静、沈着に行動できるのですか」。古森記者がどのように説明したのか、忘れてしまった。小欄なら、「日本人だから」としか、答えようがない。 ▼マグニチュード9・0という世界最大級の東日本大震災に見舞われた日本に、世界の耳目が再び集まっている。ある中国紙は、「多くの中国人が、地震発生後の日本人の秩序ある行動に敬服している」と伝えたという。 ▼一方で、福島第1原発の爆発には、一様に衝撃を受けたもようだ。各国のメディアは、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故や米スリーマイル島原発事故を引き合いに出して、報じている。東京電力は、