「ウイグル人の強制労働と決別せよ」 2020年7月23日、NGOの連合が世界中の企業にこう呼びかけた。この声明を出したのは「ウイグル地域での強制労働廃絶のための連合(Coalition to End Forced Labour in the Uighur Region)」。世界の100以上のNGOと労働組合に加え、72のウイグル人権組織が参加する連合体である。彼らは、中国の新彊ウイグル自治区での人権問題を正面から指摘し、行動を呼びかけた。日本の企業と機関投資家は、これにどう応えるのか。いや、問題はそれだけにとどまらないだろう。今後、中国という国とどう付き合うのか。ウイグルの問題を切り口にして、中国と人権と投資行動という難しい問題を考えてみることにしたい。 1.ウイグル地区で何が起きているのか 中国は多民族国家である。人口の9割以上は漢民族と言われるが、残りは満州族、モンゴル族、回族、チベッ