警察庁が導入を検討している「仮装身分捜査」は、捜査員が架空の人物になりすまして身分証明書を使うなど、従来の「おとり捜査」から踏み込んだ捜査手法となる。どのような課題があるのか。 警察ではこれまで、おとり捜査を、違法薬物や銃器の取引などで限定的に実施してきた。おとり捜査とは、捜査員や捜査協力者が身分や目的を隠して、犯罪をするように働きかけ、相手が実行に踏み切った際に摘発する手法。 最高裁は2004年7月の決定で、薬物捜査など直接の被害者がいない犯罪で、通常の捜査手法だけでは摘発が困難な場合、機会があれば犯罪をする意思があると疑われる人物に対するおとり捜査は、任意捜査として適法だと示した。 一方で、捜査員が身分を偽る仮装身分捜査は実施してこなかった。捜査手法の高度化に関する有識者研究会の中間報告(11年)では、米国、ドイツ、フランス、イタリア、豪州に潜入捜査員による偽装身分の使用を認める制度が