●ストーリー ブルネットの美女を乗せて、マルホランド・ドライブを走り抜ける車。車は突然止まり、同乗していた男が彼女に銃を突きつける。その瞬間、後方から暴走してきた2台の車が彼女を乗せた車に激突をする。軽傷を負いながらも、彼女は車から這い出し、ハリウッドの街へと足を進めていく。翌朝、彼女は、あるベテラン女優が住むアパートに忍び込むが、そこにベテラン女優を叔母に持つベティがやってくる。ベティは、記憶喪失となったその美女を助けようとするのだが・・・。 ●悪夢が描かれたパズル 観る者の理性を混乱させること。それがリンチ監督のねらいである。小道具等を駆使した伏線・布石ををこれ見よがしに散りばめておいて、観客の想像力を刺激する。観客は、何とか話の辻褄を合わせようと理性を働かせるのだが、その試みは決まって失敗に終わる。なぜなら、一つの観点から辻褄を合わせようとすると、その意味づけとは矛盾する要素が作品中