【ローマ藤原章生】移民を巡る社会問題が先鋭化しているイタリアで、違法移民をかくまう市民には禁固刑を科し、自警団による巡回を合法とする治安法が施行された。欧州議会やローマ法王庁などからも「外国人差別を促す」「ファシズムの再来」との批判が出ていたが、安定多数の中道右派与党が押し切り、野党は、外国人を犯罪者とみなす市民の過剰防衛が広がる危険を警告している。 治安法の主な内容は、(1)違法移民は5000~1万ユーロ(66万~132万円相当)の罰金を科し、国外に追放する(2)医師と学校職員を除く公務員には、違法移民に関する情報を当局に報告する義務を課す(3)元警察官らで組織された自警団は違法移民の捜索、摘発ができる(4)違法移民に部屋を賃貸した者は6カ月から3年の禁固刑--など。 移民関係以外では、スプレーでの落書きなどに最高6カ月の禁固刑を科し、飲酒運転に対する免許取り消しも盛り込まれた。 ベルル