「急激に減少する現役世代が社会保障費を賄うには限界が来ている」─。このように指摘するのはアステラス製薬会長の安川健司氏。全ての人が公的医療保険に加入し、全員が保険料を支払うことでお互いの負担を軽減する国民皆保険が1961年にスタートして60年以上が経過した。この間に大きく環境が変化したものの、制度はその変化に追いついていない。日本の社会保障制度を持続させるためには何が必要なのか。安川氏が訴えるものとは。 健康保険法の理念とは? ─ 少子高齢化、社会保障、薬価の問題など製薬業界を取り巻く環境は依然として厳しいものがあります。直面している課題についてどう考えますか。 安川 1958年策定の国民健康保険法は戦後すぐの54年頃に起草されました。当時は第二次世界大戦の敗戦で荒廃し、国民は極貧生活を強いられていました。その中でも、貧富の差があっても、せめて主食の米と医療は皆平等に受けられるようにしよう