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澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

立憲民主党代表選への連合の影響力に深刻な懸念

(2021年11月21日)
 一昨日、立憲民主党代表選がスタートした。立候補したのは、逢坂誠二、小川淳也、泉健太、西村智奈美の各氏である。

 ネット配信の映像を見ると、さすがに皆さん、なかなかのもの。連合寄りイメージの強い泉さんを別にして好感がもてる。国民からの人気が湧いてきそうな論戦の予感。期待したい。

 国会議員票は割れそうで、勝敗を決するのは地方の議員票や党員票というもっぱらの予想だが、各地の状況はよく分からない。たまたま、青森の知人が、昨日付の地元紙・東奥日報の記事を送ってくれた。『泉氏支持複数・野党共闘巡り温度差』という標題。ウーン、なんだこれは、という以下の青森事情。

 「立憲民主党代表選が告示された19日、県連関係者からは、中道志向などを理由に泉健太政調会長を支持する声が複数聞かれた。争点となる見通しの共産党との野党共闘の是非については温度差が見られた。」というリード。

 何人かの幹部に対する個別の取材記事が掲載されている。たとえば、「共同代表の山内崇氏は、投票先を未定とし『新代表には(前代表の)枝野さんの立憲らしさを相応に残した上で、党のマインド(精神)をさらに強く発信してもらいたい』との考えを表明。野党共闘については『野党が力を合わせることは必要。全国一律ではなく、地域の実情に合わせた共闘が大事だ』とした」。これは常識的なところだろう。

 ところが、中には、こんな意見も紹介されている。「筆頭副代表の田名部定男県議は泉氏支持を表明。政権を全否定するのではなく、合意点も見いだしながら国民の支持を広げる「中道改革路線」が望ましいとの観点で判断したという。個別政策では原子力施設が立地する本県の事情を踏まえ、エネルギー政策が現実的なものとなっているかを重視。野党共闘の是非の議論は「代表が決まってから(でもよい)」とした」という。一瞬、自民党地方組織の意見かと錯覚させられた。《原子力施設が立地する本県の事情を踏まえ》《エネルギー政策が現実的なものとなっているかを重視》とは、要するに電力会社と関連企業の立場だ。そして、その御用組合として徹底している連合の見解。これが、国民民主党ではなく立憲民主党の地方幹部の意見なのだ。

 私が、青森の情勢に関心をもつのは、ここでは参院選での野党共闘の成功体験があるからだ。参院議員現職の田名部匡代は2016年参院選で民進党から立候補した。これを社民党が推薦し、日本共産党、生活の党が支持して、野党統一候補となった。特に、共産党は予定候補者吉俣洋を比例区に回して協力している。自公対野党統一の一騎打ちで、野党統一側が勝利した。このときは、東北6県で野党共闘が成立し、野党側の5勝1敗。その田名部匡代は、今、立憲所属の議員である。

 東奥日報はこんな市議会議員の意見も紹介している。「共同代表を務める田名部匡代参院議員のお膝元・八戸市の寺地則行市議は『保守中道を目指すべきだ。若さや謙虚さに期待したい』として泉氏支持。野党共闘については『「立憲共産党」と言われるようなことは避けるべき。選挙で勝つための野合はいかがなものか』とくぎを刺した」という。これって、連合の意見ではないのか?

 ネットで調べると八戸市議会の議員定数は32。そのうちの8人が、連合推薦議員である。その内訳は、電力労連推薦の無所属議員が1人。その他の7人全員が立憲民主党である。立憲民主党の人事や政策が連合の影響下に決定されることには深刻な危惧をいだかざるを得ない。何しろ、連合とは、大企業や国家・自治体の徹底した御用組合なのだから。

 なお、代表選の4人は、来年の参院選の勝敗を左右する32の「1人区」について、自公候補との1対1対立の構図をつくる必要性で一致したと伝えられている。それは結構なことだが、共闘は共闘相手に対する誠実さ、真摯さがなくては成立し得ない。「票が足りないから積み上げが欲しい」だけでは、短期的な成功さえおぼつかない。

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