特集(2021年12月)
北米では、環境への配慮から飲料容器をアルミニウム製に切り替えるメーカーが増加しています。
活況を呈する北米アルミニウム缶市場の現状と、今後のリサイクルシステム構築への展望を紹介します。
サステナビリティ志向の高まりから
アルミニウム缶は“プレミアムプロダクト”へ
北米では年々、アルミニウム缶の需要が拡大しており、2030年まで年率5%で成長すると予測されています。こうした需要拡大の背景には、消費者の好みの変化があります。近年、サステナビリティを考慮して製品を選ぶ消費者や環境に関する知識が豊富な若者が増加しており、こうした人々は、アルミニウムが軽量で、リサイクル性に優れた低環境負荷素材だと理解しています。そうしたこともあり、かつては瓶入り飲料が高級品とされていましたが、昨今はアルミニウム缶が“プレミアムプロダクト”とされ、新たに発売される多くの飲料製品にアルミニウム缶が選ばれるようになったのです。
現在、北米のアルミニウム缶市場では、非常に明るい見通しが立っていることに加え、サステナビリティ関連の新たな成長機会も複数存在しています。私たちは、こうした機会を確実に捉え、より豊かな未来を目指して邁進していきます。
CO2排出量を大幅に削減するリサイクル。
その鍵となる“回収”の仕組みづくりに動き出したUACJ。
アルミニウムは、スクラップをリサイクルして新地金の使用割合を削減することによってCO2排出量を大幅に削減できます。そのリサイクルを推進していくうえでは、技術的なことのみならず、使用済みのアルミニウムを確実に“回収”する仕組みをつくることが重要になります。しかし、これは私たちだけでできることではなく、サプライチェーン全体で取り組む必要があります。
そのなかで、私たちはサプライチェーンのあらゆる関係者に呼びかけて、リサイクルシステムの構築をリードしていく考えです。例えば、缶であれば、消費者が廃棄したものを回収している自治体だけでなく、スクラップを取り扱う加工業者なども対象としていきます。
また、リサイクルにおいては、用途によって異なるライフサイクルも踏まえる必要があります。缶のようにライフサイクルが短いものは比較的短期間で回収できますが、自動車などでは10年以上使用されることもあります。こうした違いも踏まえながら、回収したアルミニウムをうまく組み合わせることで全体のリサイクル率向上を目指していきます。
私たちは、こうした取り組みを通じて、リサイクルの輪を広げるとともに、アルミニウムによる環境負荷低減を追求していきます。