特集(2020年12月)
気候変動や海洋プラスチック問題などの環境問題がクローズアップされる昨今。その解決への一助として期待を集めるのがアルミニウムです。UACJ は、今年再定義した新企業理念において持続可能な社会の実現に貢献することを掲げています。ここでは、その実現のための一つの社会の在り方「サーキュラーエコノミー※1」に通ずるアルミニウムのリサイクル性にスポットを当て、その意義と現状、今後の課題について説明します。
- ※1 「廃棄」されていた製品や原材料などを新たな「資源」と捉え、廃棄物を出すことなく資源を循環させる経済の仕組み
リサイクルすればするほど価値が出るアルミニウム
アルミニウムは、今後も需要が拡大すると言われている素材です。そのアルミニウム製品をそのまま捨てればゴミとなり、またいずれ原料資源であるボーキサイトが枯渇してしまいます。しかし、アルミニウムにはリサイクルしやすいという特徴があります。リサイクルすればゴミを削減でき、ボーキサイトの枯渇も避けられます。
また、リサイクルしたアルミニウムを使うことで、最もCO2排出量が多くなる製錬工程を省略でき、消費電力を97%も削減できるのです。このようにアルミニウムをリサイクルすることは、さまざまな効果・価値を生みます。そして、今後使用量の増加が見込まれますので、なおのことリサイクルの重要性が高まっています。
実は、こんなに進んでいるアルミニウムのリサイクル
アルミニウムのリサイクルは、実は結構行われています。例えば、身近な飲料缶。日本では、リサイクル率が約98%※2に達しています。そして、その多くがまた飲料缶になります。また、ノートパソコンやスマートフォン・タブレットにもリサイクルされたアルミニウムが使われています。最近では、新幹線にも。役目を終えた車両から取り出されたアルミニウム材がリサイクルされ、荷棚などの内装部品として使われるなど新幹線から新幹線への水平リサイクルが世界で初めて実現されました。
- ※2 2019年のリサイクル率。アルミ缶リサイクル協会調べ
もっとリサイクルをするために、私たちができること
まず私たちにできることは、多くの人がリサイクルできることを知っている飲料缶だけでなく、役目を終えたさまざまなものを資源とみなして、リサイクルさせることです。そして特に、アルミニウム事業を営む当社が取り組むべきことは、リサイクルしやすいアルミニウム合金を開発し、多くの製品に使えるようにすること、また、リサイクルする際に不純物を取り除くなどの技術を確立することです。当社は、国家プロジェクトに参画して取り組むとともに、循環型社会の実現のため、業界全体で連携し、これらの取り組みを進めています。
輸送用機械・建設資材の国内需要の見通し
出典: アルミニウム協会「アルミニウムVISION2050」
サプライチェーン全体でサステナビリティを考えるために。 日本のアルミニウム圧延メーカーとして初めてASIに加盟
ASI※3は、アルミニウムのサプライチェーン全体におけるサステナビリティの取り組み向上を図る世界的な団体です。当社は、この組織を通じて、リサイクルをはじめとしたサステナビリティにつながる活動をリードしていきます。そして、収益性を重視しながらも、サステナブルなグローバルカンパニーとしてブランド価値を高めていきます。
- ※3 Aluminium Stewardship Initiative