米大統領選の討論会で、バイデンの能力が老いのため大幅に衰えていることが明らかになった。この討論会の後、民主党とホワイトハウスはパニックになり、バイデン降ろしの動きも強まっている。この状況を詳しく解説する。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)
大混乱に突入する米大統領選
能力の大きな減退が証明されたバイデン大統領を巡る状況について解説したい。2020年をさらに上回る新たな混乱に突入する可能性が大きい。
日本時間の6月28日に開催された2024年大統領選の第1回討論会は、トランプとバイデンが相互を批判しあうほとんど見るべき内容のないものであった。しかし、この討論会ではバイデンのすさまじい能力の衰えが衆目にさらされる結果となった。
むかしバイデンは吃音に悩まされた経緯があり、老人になるにしたがって、これが出てきたようだ。バイデンの発言はアメリカ人にとってもなにが言いたいのか分からず、本当にひどいものであった。
しかし、討論会を見ていたものを驚かせたのは、思考が途切れ、自分が何を言っているのか分からなくなった場面だった。逆にトランプから、「彼は自分が何を言っているのか分かっていないだろう」と揶揄される始末だった。
これを見ていたものの多くが、唖然とした。これは明らかに認知機能の低下である。
衰えを隠してきたバイデン陣営
実は、バイデン大統領の認知機能が低下していることは、ここ数年、ホワイトハウスや民主党の密室で語られてきた。そして、事実は隠されてきた。今月初め、「ウォール・ストリート・ジャーナル」がバイデンの健康状態について懸念を示す記事を掲載した後、民主党の首脳部はこの記事を非難し、批判をそらすことに成功した。
民主党は、国民にできるだけ知られることなく総選挙に臨もうとしてきたのだ。バイデンがイスラエルのガザ戦争を支持したことを理由に1月に辞任した元民主党全国委員会代表のトーマス・ケネディは、「バイデンの衰えぶりすべての議員は知っていたし、選挙民も知っていたし、献金者も知っていた。 誰もが知っていた」と言っている。民主党の内部では、バイデンの健康状態について懸念を表明しようとする努力は、何年もの間、決定的に封じられてきた。
さらに、2024年に別の候補者が立候補すべきだと提案したある民主党の議員は、他の議員から攻撃され、所属していた下院の委員会からの解任決議に直面したという。反対意見だけでなく、民主党内では、この話題に言及することがタブーとなる状況がこのが2年間続いている。
バイデン降しの激しい声
しかし、6月28日の第1回大統領討論会でのバイデンのパフォーマンスを見て、ホワイトハウスと民主党の首脳部たちはもはや問題を隠すことができなくなった。バイデンのあまりの衰えた状況が、衆目の目に明らかとなったのだ。
それと同時に、バイデン降しの声も非常に激しくなった。「ニューヨークタイムス」を始め大手のメディアは一斉にバイデンはもはや無理なので、新しい候補者に代えるべきだとの声が上がった。大人気のテレビニュース番組、「モーニング・ジョー」や、事実上の民主党支持の複数の大手メディア、またイギリスの「エコノミスト」などは、公然と、そして執拗にバイデンの辞任を求めている。
また、世論調査でも、国民はもううんざりしていることが明らかになった。「CBSニュース」の世論調査によれば、登録有権者のうちバイデンが選挙にとどまるべきだと考えているのはわずか28%で、72%はバイデンが精神的に大統領にふさわしくないことしている。
また、民主党の下院議員からもバイデン降しの声が出てくるようになっている。民主党の重鎮の一人でもあるテキサス州選出のトゲット下院議員は、「私はバイデン氏が撤退という辛く困難な決断を下すことを願っている」と声明した。