バレーボール女子でパリ五輪代表の井上愛里沙(姫路)が12日、今季限りで現役引退することを発表した。昨夏の五輪では主将の古賀紗理那さんらと並んで得点源となった29歳のアウトサイドヒッターが、ユニホームを脱ぐ決断をした。 チームを通じて「バレ…
バレーボール女子でパリ五輪代表の井上愛里沙(姫路)が12日、今季限りで現役引退することを発表した。昨夏の五輪では主将の古賀紗理那さんらと並んで得点源となった29歳のアウトサイドヒッターが、ユニホームを脱ぐ決断をした。
チームを通じて「バレーボールは私にとって宝物です。私を未知の世界へ連れて行ってくれた、それがバレーボール、楽しい、悔しい、苦しい、嬉(うれ)しい気持ちをたくさん感じさせてくれた、それがバレーボール、数々のかけがえのない出会いをもたらしてくれた、それがバレーボールでした。私はなりたい自分に近づくためにこれまで全力で駆け抜けてきました。自身の成長を感じさせてくれるバレーボールというスポーツに出会えて幸せな競技人生でした」などとコメントを発表した。
筑波大4年時の2018年に久光(現・SAGA久光)に内定選手として加入し、21~22年季にはエースとして全日本選手権、前身Vリーグの2冠制覇の立役者となった。21年の自国開催の東京五輪代表からは落選し「東京オリンピックに出るというところを1番の目標にしていた」と一度は引退も考えた。それでも諦めず、五輪の夢を追いかけた。
22~23年季はフランスリーグのサン=ラファエルに移籍し、海外勢の高さやパワーに対する攻防を経験。23~24年から国内リーグに復帰し、V2リーグの姫路でプレー。24年にはエース・古賀さんの対角を担い、ネーションズリーグで初の銀メダルを獲得した。その後、悲願のパリ五輪に初出場した。「これまでのいろんな自分の挫折とか挑戦してきたことが全て、今につながっている」と語った。
今季も姫路のエースとして活躍し、昨年12月の全日本選手権決勝で古巣・SAGA久光を3―2で破って優勝。大同生命SVリーグでは日本人2位の628得点を挙げている。チームもチャンピオンシップ出場圏内(上位8チーム)の6位につけている。
◆井上 愛里沙(いのうえ・ありさ)1995年5月8日、京都・舞鶴市生まれ。29歳。小学2年でバレーを始め、就実中、西舞鶴高を経て筑波大に進学。1年時の14年に日本代表初選出。21~22年季の前身Vリーグで優勝し、最高殊勲選手賞、ベスト6、計584点で日本人最多得点記録(当時)を更新。22~23年季はフランスリーグAのサン=ラファエルに移籍し、1季プレー。23~24年季にV2リーグの姫路に加入。178センチのアウトサイドヒッター。
◆井上のコメント全文は以下の通り。
「『バレーボール』は私にとって宝物です。私を未知の世界へ連れて行ってくれた、それが”バレーボール”、楽しい、悔しい、苦しい、嬉しい気持ちをたくさん感じさせてくれた、それが『バレーボール』、数々のかけがえのない出会いをもたらしてくれた、それが『バレーボール』でした。
私はなりたい自分に近づくためにこれまで全力で駆け抜けてきました。その中でこれまでの様々なご縁、人とのつながりの中で、一つ一つ積み重ね、今の自分があると思っています。自身の成長を感じさせてくれるバレーボールというスポーツに出会えて幸せな競技人生でした。
まず、私を受け入れてくださったヴィクトリーナ姫路のチームメイト、スタッフ、関係者の皆様。昨シーズンはV2リーグ優勝、今シーズンは天皇・皇后杯でチーム初となる優勝を皆様と分かち合えたことを非常に嬉(うれ)しく思います。これまで長く積み上げてきた土台があってこその結果であり、全員で掴み取ったあの頂の景色は今もこれからも忘れません。
また、日頃よりヴィクトリーナ姫路を支えて頂いているスポンサー様、後援会の皆様をはじめ関係者の皆様へこの場をお借りして改めて感謝の想いを伝えたいです。こうして当たり前のようにバレーボールができる環境が成立しているのは、皆様のご尽力の賜物です。ありがとうございます。
そして、どんな時でも応そして、どんな時でも応援して下さるファンの皆様。皆様の温かさに触れ、背中を押してくださり、数々の勇気をもらいました。ヴィクトリーナ姫路のアットホームな温かい応援が私は大好きです。残り試合少なくなってきたなかで、ひとりでも多くの皆様に会場で、そして配信を通じて、私のプレーを観て頂きたい、そしてお礼を伝えたいと考え、発表させていただきました。
シーズンも終盤になり、このメンバーで戦えるのもあとわずかです。皆様と一緒に最高の景色を見れるように、自分を、仲間を信じて頑張っていきますので、引き続き会場で、配信でご声援をよろしくお願いします。
最後に、前所属チームであるSAGA久光スプリングスでは、最高の環境下でトップレベルの技術、戦術、プロとしてあるべき姿を学ばせていただきました。また、長年の夢であった海外挑戦も背中を押してくださり本当に感謝しています。加えてフランスのSaint―Raphal、代表、それまでのカテゴリーといろいろなチームを経験しました。その中で一緒に戦ってくれた選手の皆さん、たくさん教えてくださった先輩方、選手を1番に考えて接してくださったスタッフの方々にも振り返ると改めて感謝の気持ちが込み上げてきます。ありがとうございました。
現役引退という選択をしたからには、自分が選んだ道を正解にできるよう、これからの自分の人生をより鮮やかにできるよう、やりたいことをやるために、まだまだ突っ走っていきます」