WO2018012008A1

WO2018012008A1 - 編込みファスナーストリンガー

Info

Publication number: WO2018012008A1
Application number: PCT/JP2016/086759
Authority: WO
Inventors: 吾一木本; 秀信加藤; 齋藤　崇; 昭司松井
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2016-07-11
Filing date: 2016-12-09
Publication date: 2018-01-18
Also published as: TW201801636A; TW201801635A; CN109475207B; WO2018011866A1; JPWO2018011866A1; US20190328088A1; EP3482645A4; CN107692414A; TWI638617B; US11134757B2; CN116268719A; JP6705898B2; TWI620528B; EP3482645A1; CN207444425U; CN109475207A

Abstract

編込みファスナーストリンガー（１）は、テープ主体部（１１）と、テープ主体部の一側縁に沿って形成されるエレメント取付部（１２）と、を有するファスナーテープ（１０）と、ファスナーテープの編成と同時にエレメント取付部に編込み固定される連続状のファスナーエレメント（２０）と、を備え、テープ主体部は、ファスナーテープを縫製対象物に縫製する縫い糸が通る縫製領域（１５）を備え、縫製領域は、ファスナーテープのテープ外側縁（１０ｂ）から３ウェール（Ｗ４～Ｗ６）以内に配され、縫製領域のテープ外側縁から１ウェール目（Ｗ６）と２ウェール目（Ｗ５）に、異なる３種類の編目を構成する糸が配され、且つ／又は、縫製領域のテープ外側縁から１ウェール目と２ウェール目に跨るように配される編糸の太さが２２０デシテックス以上に設定される。

Description

編込みファスナーストリンガー

　この発明は、スライドファスナーの編込みファスナーストリンガーに関する。

　従来の編込みファスナーストリンガーとして、テープ主体部の一側縁に沿ってエレメント取付部が配された経編組織のファスナーテープと、ファスナーテープの編成と同時にエレメント取付部に編込み固定された連続状のファスナーエレメントとを有し、エレメント取付部は、少なくともファスナーエレメントの一対の上下脚部をテープ表裏方向にて挟持固定する固定用鎖編糸を用いて構成され、固定用鎖編糸は、エレメント取付部の地組織に編み込まれる第１ニードルループと、上下脚部を締め付け固定する第２ニードルループとを有するものが知られている（例えば、特許文献１参照）。

　この特許文献１に記載の編込みスライドファスナーでは、図６に示すように、ファスナーテープＴのウェール数が１２～１５ウェールであり（ファスナーテープＴのテープ幅は１２ｍｍ～１５ｍｍあるいはそれ以上になる。）、テープを生地へ取り付けるための縫い糸Ｓを縫製する縫製領域１５を概ねファスナーエレメントＥ側から数えて６～８ウェール目に配して、生地に縫製することが当該技術分野での通常技術常識として想定されている。
　これは、通常、スライドファスナーのファスナーエレメントＥと反対側のテープ部分を生地で覆い隠すように縫製されることが想定されているためである。なお、図６中の符号１１はテープ主体部であり、符号１２はエレメント取付部である。

　これに対し、ＰＣＴ／ＪＰ２０１６／０７０４６１には、スライドファスナーのファスナーエレメントと反対側のテープ部分を生地で覆い隠さないように縫製するという新たな縫製製品が提案されており、具体的には、図７及び図８に示すように、スライドファスナー１１０の一方のファスナーストリンガー１１１がズボンＰの下前身頃Ｐ２の側縁部Ｐ２１に縫い糸Ｓ１により縫着され、当該縫い糸Ｓ１におけるファスナーテープＴよりも上側に位置する部分が、ファスナーテープＴの上側の面と接触している。同じく、他方のファスナーストリンガー１１２がズボンＰの上前身頃Ｐ３の側縁部Ｐ３１に縫い糸Ｓ２により縫着され、当該縫い糸Ｓ２におけるファスナーテープＴよりも下側に位置する部分が、ファスナーテープＴの下側の面と接触している。

国際公開第２０１３／０１１５５９号

　ところで、上記したＰＣＴ／ＪＰ２０１６／０７０４６１に記載のファスナーストリンガー取付構造では、ファスナーストリンガーのテープ幅を、通常のファスナーストリンガー（テープ幅１２ｍｍ～１５ｍｍ）よりも細幅にすることが縫製製品としての見栄えの観点からは望ましいが、従来の汎用の織組織からなる織製品のファスナーテープを裁断して細幅とする場合、織成テープは裁断部から糸がほつれやすい（糸がほどけて抜けやすい）傾向にあるという不具合があった。また、通常のファスナーテープに対して、縫い糸をテープの中間の領域において１シームの縫い糸で縫製すると、縫い糸の両側のファスナーテープの浮きが大きくなってしまうという不具合があった。また、生地にスライドファスナーを縫製するにあたり、その取付強度としては、通常、２００Ｎ／ｉｎｃｈ以上の強度が必要とされており、そのような縫製上の強度の品質要求を満たすように縫い糸の周辺のファスナーテープの強度を維持しておきつつ、テープの細幅化をする必要がある、そのようなスライドファスナーはこれまで存在していなかった。

　本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記したＰＣＴ／ＪＰ２０１６／０７０４６１に記載のファスナーストリンガー取付構造のように、スライドファスナーのファスナーエレメントと反対側のテープ部分を生地で覆い隠さないように縫製するという新たな縫製製品に最適なスライドファスナーを提供することにある。また、別の目的には、ファスナーストリンガーのファスナーテープの外縁部の強度を高めることができる編込みファスナーストリンガーを提供することにもある。

　本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１）テープ主体部と、テープ主体部の一側縁に沿って形成されるエレメント取付部と、からなるファスナーテープと、ファスナーテープの編成と同時にエレメント取付部に編込み固定される連続状のファスナーエレメントと、を備える編込みファスナーストリンガーであって、テープ主体部は、ファスナーテープを縫製対象物に縫製する縫い糸が通る縫製領域を備え、縫製領域は、ファスナーテープのテープ外側縁から３ウェール以内に配され、縫製領域のテープ外側縁から１ウェール目と２ウェール目に、異なる３種類の編目を構成する糸が配され、且つ／又は、縫製領域のテープ外側縁から１ウェール目と２ウェール目に跨るように配される編糸の太さが２２０デシテックス以上に設定されることを特徴とする編込みファスナーストリンガー。
（２）テープ主体部のウェール数が２～５ウェールにより構成されることを特徴とする（１）に記載の編込みファスナーストリンガー。
（３）テープ主体部のウェール数が３ウェールにより構成されることを特徴とする（１）に記載の編込みファスナーストリンガー。
（４）縫製領域のテープ外側縁から１ウェール目と２ウェール目に、逆挿入糸とトリコット編糸が配され、逆挿入糸とトリコット編糸の少なくとも１方に、高収縮糸が使用されることを特徴とする（１）に記載の編込みファスナーストリンガー。
（５）縫製領域のテープ外側縁から２ウェール目と３ウェール目に、２本の正挿入糸が配され、２本の正挿入糸の少なくとも１方に、高収縮糸が使用されることを特徴とする（４）に記載の編込みファスナーストリンガー。
（６）ファスナーエレメントの連結部から幅方向外側に１ウェール目と２ウェール目に、鎖編糸（３４，３５）がそれぞれ配され、連結部から幅方向外側に１ウェール目の鎖編糸の太さが、１００～１８０デシテックスに設定されることを特徴とする（１）～（５）のいずれか１つに記載の編込みファスナーストリンガー。
（７）ファスナーエレメントの連結部から幅方向外側に１ウェール目に、逆挿入糸が配され、連結部から幅方向外側に１ウェール目の逆挿入糸の太さが、１５０～３００デシテックスに設定されることを特徴とする（１）～（６）のいずれか１つに記載の編込みファスナーストリンガー。
（８）ファスナーテープは、第１～第６ウェールの６列のウェールにより構成されることを特徴とする（１）～（７）のいずれか１つに記載の編込みファスナーストリンガー。
（９）エレメント取付部が、第１～第３ウェールにより構成され、テープ主体部が、第４～第６ウェールにより構成され、縫製領域が、第４～第６ウェールに配されることを特徴とする（８）に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
（１０）（１）～（９）のいずれか１つに記載の編込みファスナーストリンガーの縫製領域と縫製対象物とを縫い糸で縫製したことを特徴とする縫製品。

　本発明によれば、細幅の編込みスライドファスナーを提供するにあたり、テープ主体部が、ファスナーテープを縫製対象物に縫製する縫い糸が通る縫製領域を備え、縫製領域が、ファスナーテープのテープ外側縁から３ウェール以内に配され、縫製領域のテープ外側縁から１ウェール目と２ウェール目に、異なる３種類の編目を構成する糸が配され、且つ／又は、縫製領域のテープ外側縁から１ウェール目と２ウェール目に跨るように配される編糸の太さが２２０デシテックス以上に設定されるため、編込みファスナーストリンガーのファスナーテープの外縁部の強度を高めることができ、しかも、ＰＣＴ／ＪＰ２０１６／０７０４６１に記載のような新たな縫製製品に最適な細幅のスライドファスナーを提供することができる。

本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第１実施形態におけるファスナーテープの編組織を示す組織図である。図１に示すファスナーテープに使用される各構成糸の組織図である。第１実施形態のファスナーテープの第１変形例を示す組織図である。第１実施形態のファスナーテープの第２変形例を示す組織図である。第５実施形態のファスナーテープの編組織を示す組織図である。従来の編込みファスナーストリンガーにおけるファスナーテープの編組織を示す組織図である。本願出願人のファスナーストリンガー取付構造が採用されたズボンの前開き周辺の正面図である。図７に示すスライドファスナーの周辺の断面図である。

　以下、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの各実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。

　例えば、以下の実施形態において説明するファスナーストリンガーの連続状のファスナーエレメントは、モノフィラメントをコイル状に成形することによって形成されているが、本発明はこれに限定されず、ファスナーエレメントは、モノフィラメントをジグザグ状に成形することによって形成されていてもよい。また、ファスナーテープを構成する糸の材質や繊度、ファスナーテープの厚さ、及びウェール数などについても、必要に応じて任意に変更することが可能である。

　また、以下の説明では、ファスナーテープの長手方向をコース方向と定義し、後述する各ウェールはコース方向に延びている。さらに、ファスナーテープの平面上で長手方向に直交する方向をファスナーテープの幅方向と定義する。

（第１実施形態）
　まず、図１～図４を参照して、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第１実施形態について説明する。

　本実施形態の編込みファスナーストリンガー１は、図１に示すように、テープ主体部１１及びエレメント取付部１２を有するファスナーテープ１０と、エレメント取付部１２に編込み固定された連続状のファスナーエレメント２０と、を有する。この場合、ファスナーエレメント２０は、従来の編込みファスナーストリンガーにて用いられている一般的なファスナーエレメントと同様に構成されており、ファスナーエレメント２０の大きさや取付ピッチも従来のものと同様に設定されている。

　本実施形態のファスナーエレメント２０は、噛合頭部２１と、噛合頭部２１からテープ幅方向に延出する上下脚部２２と、隣り合うファスナーエレメント２０間を連結する連結部（反転部とも言う）２３と、を有する。ファスナーエレメント２０は、例えば、合成樹脂製のモノフィラメントをスタンピング加工により所定の間隔で押圧することにより噛合頭部２１を形成し、その後、そのモノフィラメントをコイル状に捲き回すことによって形成されている。

　ファスナーエレメント２０は、噛合頭部２１が、ファスナーテープ１０におけるエレメント取付部１２側のテープ側縁（以下、このテープ側縁をテープ内側縁１０ａと言い、その反対側のテープ側縁をテープ外側縁１０ｂと言う）から外方に突出するようにして、ファスナーテープ１０の編成と同時に上下脚部２２がエレメント取付部１２に編込み固定されている。

　この場合、ファスナーエレメント２０の上下脚部２２は、エレメント取付部１２を構成する第１～第３ウェールＷ１～Ｗ３の３列に跨って、同一コース内を緯方向に走行しながら、第２及び第３ウェールＷ２，Ｗ３に編み込まれる後述する第２及び第３鎖編糸３２，３３により、テープ表裏方向に締め付けられて固定されている。

　本実施形態のファスナーテープ１０は、図１に示すように、第１～第６ウェールＷ１～Ｗ６の６列のウェールにより構成されており、最もテープ内側縁１０ａ側に配されるウェールが第１ウェールＷ１であり、最もテープ外側縁１０ｂ側に配されるウェールが第６ウェールＷ６である。

　ファスナーテープ１０は、経編組織を有するテープ主体部１１と、テープ主体部１１の一側縁に沿って一体に編成されるエレメント取付部１２と、を備える。そして、本実施形態では、図１に示すように、エレメント取付部１２が、第１～第３ウェールＷ１～Ｗ３により構成され、テープ主体部１１が、第４～第６ウェールＷ４～Ｗ６により構成されている。なお、エレメント取付部１２とテープ主体部１１を構成するウェール数については、スライドファスナーやファスナーエレメントの大きさなどに応じて任意に設定することができるが、テープ主体部１１は２～５ウェールとして細幅にすることが好ましい。さらに好ましくは、テープ主体部１１は３ウェールとして、後述する縫製領域１５となる部分を３ウェール幅残しつつ、縫製領域１５とエレメント取付部１２とを連結する通常テープ部分（縫製領域１５としては使われない部分）を最小限の連結糸で構成することが望ましい。

　また、テープ主体部１１は、ファスナーテープ１０を縫製対象物である生地、例えば、ズボンの下前身頃Ｐ２や上前身頃Ｐ３に縫製する縫い糸Ｓ１，Ｓ２が通る縫製領域１５を備えており、この縫製領域１５は、本実施形態では、ファスナーテープ１０のテープ外側縁１０ｂから３ウェール目までの領域に配され、具体的には、第４～第６ウェールＷ４～Ｗ６に配されている。なお、実際に縫い糸Ｓ１，Ｓ２が通る場所は、第４ウェールＷ４と第５ウェールＷ５とのウェール間である（図１参照）ことが強度面からは望ましいが、第５ウェールＷ５と第６ウェールＷ６とのウェール間であってもよいように本発明のファスナーは編糸が構成されている。

　エレメント取付部１２の編組織は、図１及び図２に示すように、第１～第３ウェールＷ１～Ｗ３にそれぞれ配される第１～第３鎖編糸３１～３３と、第１～第３ウェールＷ１～Ｗ３にそれぞれ配される第１～第３経挿入糸４１～４３と、第１～第３ウェールＷ１～Ｗ３に跨ってジグザグ状に挿入される第１正挿入糸（緯挿入糸）５１と、第２～第４ウェールＷ２～Ｗ４に跨ってジグザグ状に挿入される第２正挿入糸（緯挿入糸）５２と、第３～第５ウェールＷ３～Ｗ５に跨ってジグザグ状に挿入される第３正挿入糸（緯挿入糸）５３と、第１及び第２ウェールＷ１，Ｗ２に跨ってジグザグ状に挿入されると共に、第１及び第２正挿入糸５１，５２とコース間で交差する第１逆挿入糸（緯挿入糸）６１と、第３及び第４ウェールＷ３，Ｗ４に跨ってジグザグ状に挿入されると共に、第１～第３正挿入糸５１～５３とコース間で交差する第２逆挿入糸（緯挿入糸）６２と、から構成されている。

　テープ主体部１１の編組織は、図１及び図２に示すように、第４～第６ウェールＷ４～Ｗ６にそれぞれ配される第４～第６鎖編糸３４～３６と、第４及び第５ウェールＷ４，Ｗ５に跨って挿入される第１トリコット編糸７１と、第５及び第６ウェールＷ５，Ｗ６に跨って挿入される第２トリコット編糸７２と、第４～第６ウェールＷ４～Ｗ６に跨ってジグザグ状に挿入されると共に、第２及び第３正挿入糸５２，５３とコース間で交差する第３逆挿入糸（緯挿入糸）６３と、から構成されている。また、エレメント取付部１２の編組織の第２正挿入糸５２、第３正挿入糸５３、及び第２逆挿入糸６２は、テープ主体部１１の編組織にも挿入されている。

　このように構成されたファスナーテープ１０では、縫製領域１５のテープ外側縁１０ｂから１ウェール目と２ウェール目、即ち、第６及び第５ウェールＷ６，Ｗ５に、異なる３種類の編目を構成する糸（鎖編糸、トリコット編糸、逆挿入糸）が配され、具体的には、第６及び第５ウェールＷ６，Ｗ５に、第５及び第６鎖編糸３５，３６、第２トリコット編糸７２、第３逆挿入糸６３が配されている。これにより、ファスナーテープ１０の外縁部の強度を高めることができる。また、特に、第３逆挿入糸６３を配することにより、ファスナーテープ１０の外縁部である第４～第６ウェールＷ４～Ｗ６の幅方向の引っ張り強度を高めることができる。

　なお、本実施形態の編込みファスナーストリンガー１は、上述のような編組織にて編成された後に、熱処理（熱セット）が施されることにより、ファスナーテープ１０の編組織及び形態が固定されて保持される。

　以上説明したように、本実施形態の編込みファスナーストリンガー１によれば、ファスナーテープ１０の縫製領域１５のテープ外側縁１０ｂから１ウェール目と２ウェール目、即ち、第６及び第５ウェールＷ６，Ｗ５に、異なる３種類の編目を構成する糸（鎖編糸、トリコット編糸、逆挿入糸）が配されるため、ファスナーテープ１０の外縁部の強度を高めることができ、これにより、ファスナーテープ１０の外縁部の損傷を防止することができる。

　なお、本実施形態の第１変形例として、図３に示すように、第３逆挿入糸６３が、第５及び第６ウェールＷ５，Ｗ６に跨ってジグザグ状に挿入されていてもよい。

　また、本実施形態の第２変形例として、図４に示すように、テープ主体部１１が４ウェール（第４～第７ウェールＷ４～Ｗ７）で構成されていてもよい。この場合、第７鎖編糸３７及び第３トリコット編糸７３が追加される。また、第３逆挿入糸６３が第５～第７ウェールＷ５～Ｗ７に跨ってジグザグ状に挿入される。

（第２実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第２実施形態について説明する。なお、第１実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態では、上記第１実施形態を基礎として、第３逆挿入糸６３と第２トリコット編糸７２に、高収縮糸（ＨＳＹ：Ｈｉｇｈ　Ｓｈｒｉｎｋａｇｅ　Ｙａｒｎ）が使用されている。高収縮糸とは、ポリエステルフィラメント糸であり、乾熱収縮率が１５％～３０％の範囲のものが好ましい。なお、第３逆挿入糸６３と第２トリコット編糸７２は、縫製領域１５のテープ外側縁１０ｂから１ウェール目（第６ウェールＷ６）と２ウェール目（第５ウェールＷ５）に配される糸である。

　このように構成された編込みファスナーストリンガー１によれば、第３逆挿入糸６３と第２トリコット編糸７２に高収縮糸が使用されることにより、製造工程における熱処理により糸が収縮するため、テープ外側縁１０ｂに露出する第３逆挿入糸６３と第２トリコット編糸７２のループが目立たなくなり、ファスナーテープ１０の外観性を向上することができる。また、第３逆挿入糸６３と第２トリコット編糸７２が熱処理により収縮するため、ファスナーテープ１０のテープ幅を小さくすることができる。なお、本実施形態では、テープ幅が約９ｍｍのファスナーテープを実現することができる。

　また、本実施形態の変形例として、第３逆挿入糸６３、第２トリコット編糸７２、及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用してもよく、さらに、第３逆挿入糸６３、第２トリコット編糸７２、第２正挿入糸５２、及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用してもよい。この場合、ファスナーテープ１０のテープ幅を更に小さくすることができる。なお、第２正挿入糸５２と第３正挿入糸５３は、縫製領域１５のテープ外側縁１０ｂから２ウェール目（第５ウェールＷ５）と３ウェール目（第４ウェールＷ４）に配される糸である。
　その他の構成及び作用効果については、上記第１実施形態と同様である。

（第３実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第３実施形態について説明する。なお、第１実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態では、上記第１実施形態を基礎として、第４鎖編糸３４の太さが細く設定されている。通常、第４鎖編糸３４はエレメント取付部１２とテープ主体部１１との連結部としての強度を重視して２２０デシテックス程度の糸が使用されている。しかしながら、本実施形態では、第４鎖編糸３４の太さは１００～１８０デシテックスの範囲に設定されており、最も好ましい太さは１６７デシテックスである。

　このように構成された編込みファスナーストリンガー１によれば、ファスナーテープ１０のスライダーレールと接触する部分の厚さが薄くなるため、スライダーの摺動抵抗を低下させ、スライダーの摺動性を向上することができる。なお、本実施形態では、第４ウェールＷ４がスライダーレールが通過する領域である。

　また、本実施形態の変形例として、第２逆挿入糸６２の太さが細く設定されていてもよい。通常、第２逆挿入糸６２はエレメント取付部１２とテープ主体部１１との連結部としての強度を重視して、１６７デシテックスの糸を２本揃えて合計３３４デシテックスの太さにするか、それと同等程度の太さの糸を入れるようにされていた。しかしながら、本実施形態では、第２逆挿入糸６２の太は１５０～３００デシテックスの範囲に設定されており、最も好ましい太さは２５０デシテックスである。この場合も、スライダーの摺動性を向上することができる。

　さらに、第４鎖編糸３４と第２逆挿入糸６２の両方の太さを上記したように細く設定してもよい。この場合、スライダーの摺動性をより一層向上することができる。
　その他の構成及び作用効果については、上記第１実施形態と同様である。

（第４実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第４実施形態について説明する。なお、第１～第３実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態は、上記第１実施形態に、上記第２実施形態の編糸に高収縮糸を使用する３つのタイプの構成のいずれか１つと、上記第３実施形態の編糸の太さを細くする３つのタイプの構成のいずれか１つを付加したものである。

　そして、上記第２実施形態の編糸に高収縮糸を使用する３つのタイプの構成と上記第３実施形態の編糸の太さを細くする３つのタイプの構成との組み合わせは自由である。例えば、第３逆挿入糸６３、第２トリコット編糸７２、及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用する構成に、第４鎖編糸３４の太さを細くする構成、第２逆挿入糸６２の太さを細くする構成、及び第４鎖編糸３４と第２逆挿入糸６２の両方の太さを細くする構成をそれぞれ組み合わせてもよい。
　その他の構成及び作用効果については、上記第１～第３実施形態と同様である。

（第５実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第５実施形態について説明する。なお、第１実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態では、上記第１実施形態を基礎として、図５に示すように、ファスナーテープ１０の縫製領域１５のテープ外側縁１０ｂから１ウェール目と２ウェール目、即ち、第６及び第５ウェールＷ６，Ｗ５に跨るように配される第２トリコット編糸７２の太さを２２０デシテックス以上に設定することで、第３逆挿入糸６３を不要としている。これにより、ファスナーテープ１０の外縁部の強度を高めることができる。

　以上説明したように、本実施形態の編込みファスナーストリンガー１によれば、ファスナーテープ１０の縫製領域１５のテープ外側縁１０ｂから１ウェール目と２ウェール目、即ち、第６及び第５ウェールＷ６，Ｗ５に跨るように配される第２トリコット編糸７２の太さが２２０デシテックス以上に設定されるため、ファスナーテープ１０の外縁部の強度を更に高めることができ、これにより、ファスナーテープ１０の外縁部の損傷を防止することができる。
　その他の構成及び作用効果については、上記第１実施形態と同様である。

（第６実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第６実施形態について説明する。なお、第５実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態では、上記第５実施形態を基礎として、第２トリコット編糸７２に、高収縮糸（ＨＳＹ：Ｈｉｇｈ　Ｓｈｒｉｎｋａｇｅ　Ｙａｒｎ）が使用されている。

　このように構成された編込みファスナーストリンガー１によれば、第２トリコット編糸７２に高収縮糸が使用されることにより、製造工程における熱処理により糸が収縮するため、テープ外側縁１０ｂに露出する第２トリコット編糸７２のループが目立たなくなり、ファスナーテープ１０の外観性を向上することができる。また、第２トリコット編糸７２が熱処理により収縮するため、ファスナーテープ１０のテープ幅を小さくすることができる。

　また、本実施形態の変形例として、第２トリコット編糸７２及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用してもよく、さらに、第２トリコット編糸７２、第２正挿入糸５２、及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用してもよい。この場合、ファスナーテープ１０のテープ幅を更に小さくすることができる。
　その他の構成及び作用効果については、上記第５実施形態と同様である。

（第７実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第７実施形態について説明する。なお、第５及び第３実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態は、上記第５実施形態に、上記第３実施形態の編糸の太さを細くする３つのタイプの構成のいずれか１つを付加したものである。
　その他の構成及び作用効果については、上記第５及び第３実施形態と同様である。

（第８実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第８実施形態について説明する。なお、第５、第６、第３実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態は、上記第５実施形態に、上記第６実施形態の編糸に高収縮糸を使用する３つのタイプの構成のいずれか１つと、上記第３実施形態の編糸の太さを細くする３つのタイプの構成のいずれか１つを付加したものである。

　そして、上記第６実施形態の編糸に高収縮糸を使用する３つのタイプの構成と上記第３実施形態の編糸の太さを細くする３つのタイプの構成との組み合わせは自由である。例えば、第２トリコット編糸７２及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用する構成に、第４鎖編糸３４の太さを細くする構成、第２逆挿入糸６２の太さを細くする構成、及び第４鎖編糸３４と第２逆挿入糸６２の両方の太さを細くする構成をそれぞれ組み合わせてもよい。
　その他の構成及び作用効果については、上記第５、第６、第３実施形態と同様である。

（第９実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第９実施形態について説明する。なお、第１実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態では、上記第１実施形態を基礎として、ファスナーテープ１０の縫製領域１５のテープ外側縁１０ｂから１ウェール目と２ウェール目、即ち、第６及び第５ウェールＷ６，Ｗ５に跨るように配される第３逆挿入糸６３の太さを２２０デシテックス以上に設定することで、第２トリコット編糸７２を不要としている。これにより、ファスナーテープ１０の外縁部の強度を高めることができる。

　以上説明したように、本実施形態の編込みファスナーストリンガー１によれば、ファスナーテープ１０の縫製領域１５のテープ外側縁１０ｂから１ウェール目と２ウェール目、即ち、第６及び第５ウェールＷ６，Ｗ５に跨るように配される第３逆挿入糸６３の太さが２２０デシテックス以上に設定されるため、ファスナーテープ１０の外縁部の強度を高めることができ、これにより、ファスナーテープ１０の外縁部の損傷を防止することができる。
　その他の構成及び作用効果については、上記第１実施形態と同様である。

（第１０実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第１０実施形態について説明する。なお、第９実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態では、上記第９実施形態を基礎として、第３逆挿入糸６３に、高収縮糸（ＨＳＹ：Ｈｉｇｈ　Ｓｈｒｉｎｋａｇｅ　Ｙａｒｎ）が使用されている。

　このように構成された編込みファスナーストリンガー１によれば、第３逆挿入糸６３に高収縮糸が使用されることにより、製造工程における熱処理により糸が収縮するため、テープ外側縁１０ｂに露出する第３逆挿入糸６３のループが目立たなくなり、ファスナーテープ１０の外観性を向上することができる。また、第３逆挿入糸６３が熱処理により収縮するため、ファスナーテープ１０のテープ幅を小さくすることができる。

　また、本実施形態の変形例として、第３逆挿入糸６３及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用してもよく、さらに、第３逆挿入糸６３、第２正挿入糸５２、及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用してもよい。この場合、ファスナーテープ１０のテープ幅を更に小さくすることができる。
　その他の構成及び作用効果については、上記第９実施形態と同様である。

（第１１実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第１１実施形態について説明する。なお、第９及び第３実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態は、上記第９実施形態に、上記第３実施形態の編糸の太さを細くする３つのタイプの構成のいずれか１つを付加したものである。
　その他の構成及び作用効果については、上記第９及び第３実施形態と同様である。

（第１２実施形態）
　次に、本発明に係る編込みファスナーストリンガーの第１２実施形態について説明する。なお、第９、第１０、第３実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一或いは同等符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。

　本実施形態は、上記第９実施形態に、上記第１０実施形態の編糸に高収縮糸を使用する３つのタイプの構成のいずれか１つと、上記第３実施形態の編糸の太さを細くする３つのタイプの構成のいずれか１つを付加したものである。

　そして、上記第１０実施形態の編糸に高収縮糸を使用する３つのタイプの構成と上記第３実施形態の編糸の太さを細くする３つのタイプの構成との組み合わせは自由である。例えば、第３逆挿入糸６３及び第３正挿入糸５３に高収縮糸を使用する構成に、第４鎖編糸３４の太さを細くする構成、第２逆挿入糸６２の太さを細くする構成、及び第４鎖編糸３４と第２逆挿入糸６２の両方の太さを細くする構成をそれぞれ組み合わせてもよい。
　その他の構成及び作用効果については、上記第９、第１０、第３実施形態と同様である。

　なお、本発明は上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
　例えば、上記第１～第８実施形態では、縫製領域に第３逆挿入糸を配することによりファスナーテープの外縁部の強度を高めているが、これに限定されず、第３逆挿入糸を配さず、縫製領域にサテン編み組織や二目編み組織を配してもよい。また、第３逆挿入糸を配さず、縫製領域の鎖編糸やトリコット編糸に、高強力糸（ＨＴＹ：Ｈｉｇｈ　Ｔｅｎａｃｉｔｙ　Ｙａｒｎ）を使用してもよい。
　また、テープ主体部１１を２ウェールのみから構成する場合は、図１のＷ５のウェールを欠落させるように編糸を構成することになる。

　次に、本発明に係る縫製品の一実施形態について説明する。縫製品は、例えば、図７及び図８に示すズボンＰであり、このズボンＰのスライドファスナー１１０のファスナーストリンガー１１１，１１２に本発明に係る編込みファスナーストリンガー１が使用されている。そして、図１に示すように、編込みファスナーストリンガー１の縫製領域１５と縫製対象物である下前身頃Ｐ２や上前身頃Ｐ３とを縫い糸Ｓ１，Ｓ２で縫製している。なお、縫製品は、ズボンに限定されず、例えば、スカート、セーター類、カバン類、靴やブーツ類などであってもよい。

　　１　　　ファスナーストリンガー
　　１０　　ファスナーテープ
　　１０ａ　テープ内側縁
　　１０ｂ　テープ外側縁
　　１１　　テープ主体部
　　１２　　エレメント取付部
　　１５　　縫製領域
　　２０　　ファスナーエレメント
　　２１　　噛合頭部
　　２２　　上下脚部
　　２３　　連結部
　　３１　　第１鎖編糸
　　３２　　第２鎖編糸
　　３３　　第３鎖編糸
　　３４　　第４鎖編糸
　　３５　　第５鎖編糸
　　３６　　第６鎖編糸
　　４１　　第１経挿入糸
　　４２　　第２経挿入糸
　　４３　　第３経挿入糸
　　５１　　第１正挿入糸（緯挿入糸）
　　５２　　第２正挿入糸（緯挿入糸）
　　５３　　第３正挿入糸（緯挿入糸）
　　６１　　第１逆挿入糸（緯挿入糸）
　　６２　　第２逆挿入糸（緯挿入糸）
　　６３　　第３逆挿入糸（緯挿入糸）
　　７１　　第１トリコット編糸
　　７２　　第２トリコット編糸
　　Ｗ１　　第１ウェール
　　Ｗ２　　第２ウェール
　　Ｗ３　　第３ウェール
　　Ｗ４　　第４ウェール
　　Ｗ５　　第５ウェール
　　Ｗ６　　第６ウェール
　　Ｐ２　　縫製対象物（生地、下前身頃）
　　Ｐ３　　縫製対象物（生地、上前身頃）
　　Ｓ１，Ｓ２　　縫い糸

Claims

　テープ主体部（１１）と、前記テープ主体部（１１）の一側縁に沿って形成されるエレメント取付部（１２）と、からなるファスナーテープ（１０）と、
　前記ファスナーテープ（１０）の編成と同時に前記エレメント取付部（１２）に編込み固定される連続状のファスナーエレメント（２０）と、を備える編込みファスナーストリンガー（１）であって、
　前記テープ主体部（１１）は、前記ファスナーテープ（１０）を縫製対象物に縫製する縫い糸が通る縫製領域（１５）を備え、
　前記縫製領域（１５）は、前記ファスナーテープ（１０）のテープ外側縁（１０ｂ）から３ウェール（Ｗ４～Ｗ６）以内に配され、
　前記縫製領域（１５）のテープ外側縁（１０ｂ）から１ウェール目（Ｗ６）と２ウェール目（Ｗ５）に、異なる３種類の編目を構成する糸が配され、且つ／又は、前記縫製領域（１５）のテープ外側縁（１０ｂ）から１ウェール目（Ｗ６）と２ウェール目（Ｗ５）に跨るように配される編糸の太さが２２０デシテックス以上に設定されることを特徴とする編込みファスナーストリンガー（１）。
　前記テープ主体部（１１）のウェール数が２～５ウェールにより構成されることを特徴とする請求項１に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
　前記テープ主体部（１１）のウェール数が３ウェールにより構成されることを特徴とする請求項１に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
　前記縫製領域（１５）のテープ外側縁（１０ｂ）から１ウェール目（Ｗ６）と２ウェール目（Ｗ５）に、逆挿入糸（６３）とトリコット編糸（７２）が配され、
　前記逆挿入糸（６３）と前記トリコット編糸（７２）の少なくとも１方に、高収縮糸が使用されることを特徴とする請求項１に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
　前記縫製領域（１５）のテープ外側縁（１０ｂ）から２ウェール目（Ｗ５）と３ウェール目（Ｗ４）に、２本の正挿入糸（５３，５２）が配され、
　前記２本の正挿入糸（５３，５２）の少なくとも１方に、高収縮糸が使用されることを特徴とする請求項１又は４に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
　前記ファスナーエレメント（２０）の連結部（２３）から幅方向外側に１ウェール目（Ｗ４）と２ウェール目（Ｗ５）に、鎖編糸（３４，３５）がそれぞれ配され、
　前記連結部（２３）から幅方向外側に１ウェール目（Ｗ４）の前記鎖編糸（３４）の太さが、１００～１８０デシテックスに設定されることを特徴とする請求項１～５のいずれか１項に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
　前記ファスナーエレメント（２０）の連結部（２３）から幅方向外側に１ウェール目（Ｗ４）に、逆挿入糸（６２）が配され、
　前記連結部（２３）から幅方向外側に１ウェール目（Ｗ４）の逆挿入糸（６２）の太さが、１５０～３００デシテックスに設定されることを特徴とする請求項１～６のいずれか１項に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
　前記ファスナーテープ（１０）は、第１～第６ウェール（Ｗ１～Ｗ６）の６列のウェールにより構成されることを特徴とする請求項１～７のいずれか１項に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
　前記エレメント取付部（１２）が、前記第１～第３ウェール（Ｗ１～Ｗ３）により構成され、前記テープ主体部（１１）が、前記第４～第６ウェール（Ｗ４～Ｗ６）により構成され、
　前記縫製領域（１５）が、前記第４～第６ウェール（Ｗ４～Ｗ６）に配されることを特徴とする請求項８に記載の編込みファスナーストリンガー（１）。
　請求項１～９のいずれか１項に記載の編込みファスナーストリンガー（１）の縫製領域（１５）と縫製対象物（Ｐ２，Ｐ３）とを縫い糸（Ｓ１，Ｓ２）で縫製したことを特徴とする縫製品（Ｐ）。