JPS627400Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は水と圧縮気体との混合流を出口スリツ
トから噴出させる型式の二流体噴霧ノズルに関
し、さらに詳しくはスリツト長さ方向にわたつて
混合流体の噴射を均一化し、噴出水量の安定化お
よび広範囲にわたる正確な制御装置を可能にした
スリツト式二流体噴霧ノズルの構造に関するもの
である。

〔従来の技術〕

進行中の鋼板表裏面に冷却媒体を噴射して焼入
れなどの熱処理を行なう連続冷却にあつては、熱
処理材の均質性の確保および変形防止のため、特
に冷却開始位置において鋼板進行方向と直角な巾
方向で一様な冷却を行なうことが望まれる。巾方
向にわたつて均一な冷却を行なう装置としてスリ
ツト式噴霧ノズルが採用されている。

スリツト式噴霧ノズルとしては、高圧水のみを
使用し、該高圧水を所定の間隔（出口スリツト）
から膜状に噴出して鋼材等の冷却を行なう単相流
体噴霧ノズルが従来から知られている。しかし、
高圧水のみを使用するものは、噴射水量が多く冷
却能力が非常に大きいため、厚鋼板等の強冷却に
は適しているが、薄鋼板などのように冷却が急速
に進行する材料に対しては使用できなかつた。ま
た、冷却媒体の量を種々変化させて冷却能力を調
節しながら行なう鋼材の熱処理等に対しても使用
できなかつた。

そこで、広範囲にわたつて冷却能力を制御装置
することができ、かつ比較的均一な冷却を行なう
得るノズルとして水と圧縮気体とを併用する二流
体噴霧ノズルが提案された。この二流体噴霧ノズ
ルとしては、巾方向一定間隔毎に設けた複数個の
円形断面の噴射口（きり孔）から水と圧縮気体
（圧縮空気等）との混合流体を噴出させるきり孔
式のものが知られている。しかし、このきり孔式
のものでは、第１図に示す如く矢印Ａ方向に移動
中の鋼板等の処理材１２の表面に冷却媒体を噴射
する際、そこに形成される噴射パターン１４がス
ポツト模様になり、冷却開始位置Ｂで冷却パター
ンを一直線状に揃えることができず、熱処理材の
品質を一様にすることが困難であつた。

従来、この欠点を解決し巾方向に均一な冷却を
行なうことを目的として、噴出口を一定巾のスリ
ツトにして水と圧縮気体との混合流を噴出する型
式のスリツト式二流体噴霧ノズルも提案されてい
る。第２図は従来のスリツト式二流体噴霧ノズル
の構造を示すものであり、圧縮空気供給ヘツダ１
６に連通した混合室１８を設けるとともに、冷却
水供給ヘツダ２０と該混合室との間をスリツト状
間〓２２で接続し、混合室で合流された圧縮空気
と水との混合流体を、先端の出口スリツト２４か
ら進行中の鋼板等の処理材表面２６に噴射するよ
うに構成されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、このような従来のスリツト式二流体噴
霧ノズルでは、水が空気中に充分混合霧化されず
に出口スリツト２４の導かれるので、該出口スリ
ツトの絞り作用で空気の流れと水の流れが間欠的
に遮断され、比較的周期の短い圧力変動によるハ
ンチング現象を生じ、安定した噴霧が得られない
という欠点があつた。

本考案は、このような従来のスリツト式二流体
噴霧ノズルの欠点を解決することを目的とするも
のであり、噴射水量の調節を容易に行なうことが
できかつ水量の大小にかかわらず常に安定した混
合噴霧を維持することができ、もつてノズル長手
方向（移動鋼板の巾方向）に適正かつ均一な冷却
を行ないうるスリツト式二流体噴霧ノズルを提供
するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

すなわち、本考案によれば、水と圧縮気体との
混合流を出口スリツトかな噴出させる形式のスリ
ツト式二流体噴霧ノズルにおいて、鋼板の進行方
向に所定〓間をおいて配置された平行な二つの面
を有する絞り部を少なくとも噴出方向に二個以上
設け、該絞り部の断面積より大きな断面積を有す
る室を前記絞り部の間に設け、前記水と圧縮気体
との混合流をこれら絞り部及び室を通過させた後
前記出口スリツトから噴出させることを特徴とす
る鋼板冷却用スリツト式二流体噴霧ノズルが提供
される。

〔実施例〕

以下、第３図を参照して本考案の実施例を説明
する。

圧縮空気または加圧蒸気等の圧縮気体供給ヘツ
ダ３０に連通した混合室３２が形成され、該混合
室へは加圧冷却水等の水供給ヘツダ３４がきり孔
または一定隙間のスリツトで形成された絞り通路
３６を介して連通されている。比較的広い空間を
有する前記混合室はさらに、所定隙間をおいて配
置された平行な二つの面を有する第一の絞り部３
８を介して、該絞り部より大きな断面積を有する
室４０へ連通されている。該室４０は、所定隙間
をおいて配置された平行な二つの面を有する第二
の絞り部４２を介して、該絞り部端部に形成され
た出口スリツト４４へ通じている。

第３図のスリツト式二流体噴霧ノズルは以上の
構成を有するので、圧縮気体供給ヘツダ３０から
供給される圧縮気体（圧縮空気等）と絞り通路３
６を通して水供給ヘツダ３４から供給される水と
は混合室３２内で混合し、水は該混合室内で微細
な水滴になる。こうして生成された水と圧縮気体
との混合流体は第一の絞り部３８を高速で通過し
室４０内へ進み、その静圧が高まり圧力が平均化
された後、再び第二の絞り部４２を高速で通過
し、出口スリツト４４を通して外部へ噴出され、
膜状の混合噴霧流４８が形成される。該混合噴霧
流は冷却媒体等として例えば進行中の鋼板１２の
表面上へ噴射される。

なお、第３図の実施例では、混合室３２と出口
スリツト４４との間に、二個の絞り部３８，４２
とこれらの間に一個の室４０とを設けたが、絞り
部の数を三個以上としこれらの間に二個以上の室
を設けることも可能であり、本考案はこのような
構造のものも含むものである。

以上説明した本考案の実施例によれば、次のよ
うな作用効果が得られる。

前述の如く、従来のスリツト式二流体噴霧ノズ
ルでは混合室を直接出口スリツトへ連通させてい
たので、該出口スリツトの絞り効果により水の流
れおよび空気の流れを間欠的に遮断し、このため
出口スリツトから噴出する混合噴霧流にハンチン
グ現象が生じ、噴霧状態が不安定であつた。しか
るに、本考案では、ノズル内部に二個所以上の絞
り部を設けるとともにこれら絞り部の間に断面積
の大きな室を設けたので、最初の絞り部で水の流
れおよび空気の流れの間欠的遮断が生じ、ハンチ
ング現象が生じても、その下流側に設けた室内で
混合流体の静圧が高まり圧力が平均化されるの
で、圧力変動を解消することができる。こうして
一個以上の室で圧力変動を解消した後、再び絞り
部を通過させて出口スリツトから噴出させるの
で、外部へ噴出される混合噴霧流を安定した状態
に維持することができる。こうして、常時巾方向
に一様な水滴密度分布を有する混合噴霧流を生成
することができる。

〔考案の効果〕

以上説明した如く、本考案の鋼板冷却用スレツ
ト式二流体噴霧ノズルによれば、従来のノズルの
如き噴出時のハンチング現象を防止し、水量の多
少にかかわらず安定した混合噴霧流を得ることが
でき、さらに巾方向にも均一な噴霧状態を維持で
きるので、鋼板の連続冷却に使用することにより
均一な冷却を行なうことになり一様品質の鋼板を
製造することができる。

また、本考案では、混合流体の加速及び整流を
行なうための絞り部を平行な二つの面で形成した
ので、従来の出口スリツト部におけるようなテー
パー形状を必要とせず、したがつて加工が容易で
生産性に優れたスリツト式二流体噴霧ノズルを得
ることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図はきり孔式二流体噴霧ノズルを使用する
場合の噴射パターンを示す説明図、第２図は従来
のスリツト式二流体噴霧ノズルの構造を示す縦断
面図、第３図は本考案の実施例に係わる鋼板冷却
用スリツト式二流体噴霧ノズルの構造を示す断面
図である。 図面中の符号は以下のものを表示する。３０…
…圧縮気体供給ヘツダ、３２……混合室、３４…
…水供給ヘツダ、３８，４２……絞り部、４０…
…室、４４……出口スリツト、４８……混合噴霧
流をそれぞれ示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行する鋼板に相応して該鋼板の走行方向と直
   角方向に設けられ水と圧縮気体との混合流を出口
   スリツトから噴出させるスリツト式二流体噴霧ノ
   ズルにおいて、前記鋼板の進行方向に所定間隔を
   おいて配置された平行な二つの面を有する絞り部
   を少なくとも噴出方向に二個以上設け、該絞り部
   の断面積より大きな断面積を有する室を前記絞り
   部の間に設け、前記水と圧縮気体との混合流をこ
   れらの絞り部及び空間を通過させた後前記出口ス
   リツトから噴出させることを特徴とする鋼板冷却
   用スリツト式二流体噴霧ノズル。