JPS5933511B2 - 円筒状工作物の内面研削盤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は枠体にワイヤ工具を架設する方式の円筒状工作
物の内面研削盤に関する。

〔従来技術〕

従来、砥粒を電着その他の手段により定着したワイヤ工
具をコ字状の枠体に架設し、ワイヤ工具を回転させると
ともに、枠体を上下動させ、工作物を研削〃ロエする装
置が種々存する。

しかし、それらの装置はいずれもワイヤ工具を架設した
枠体自体を昇降させてワイヤ工具を上下動させていたの
で、枠体に加わる偏荷重によつて枠体軸の求心性を損な
い、安定性に欠けて、精密研削をなしえない欠点があつ
た。また、従来装置においては研削の際、工作物を完全
に固定してしまうので、工作物の微妙な位置調整をする
ことができなかつた。〔発明の目的〕そこで、本発明は
従来装置のこれら欠点を除去するため、枠体を固定して
ワイヤ工具のみを上下動可能にするとともに、工作物自
体をも回転可能及び位置調整可能に構成し、以て従来機
械的に困難視されてきた小径工作物の内面精密研削を機
械的に可能ならしめた円筒状工作物の内面研削盤を提供
することを目的とするものである。

〔発明の構成〕

本発明は、基台上に、水平方向に延びる、腕部を上下２
個所に設けた空洞の柱体を立設し、柱体内にはモーター
によつて回転駆動される回転軸を配備し、上下腕部の先
端付近には、内壁に複数の突条を備えた円筒状の外装筒
を回転自在に軸支し、各外装筒内にはその突条に対応す
るスプライン溝を設けたスプライン管を装入し、更に各
スプライン管内に、内側端部にはチャックを備え、外側
端部には発条体を纒装するとともに該発条体を抑止する
ナツトを螺着した内装管を、上下方向に摺動可能かつス
プライン管の回転力が伝達可能な状態にて嵌装し、各外
装筒と前記回転軸とに無端ベルトを掛け回し、前記腕部
の付け根付近には、そこを貫いて油圧機構により規則的
に昇降する昇降杆を配備し、昇降杆の上下には、先端部
において前記スプライン管を回転自在に保持する作動棒
を取り付け、前記チヤツク間には、ダイヤモンド粒等を
砥粒を一部に付着させたワイヤ工具を張架し、一方基台
土に、水平面で直角方向に移動調整可能な調整台を定置
してその上に跨柱を立設し、該跨柱に、前記ワイヤ工具
を挿通するための透孔を穿つたテーブルを油圧機構で規
則的に昇降可能状態にて設置し、このテーブル上には、
工作物を固定する保持チヤツクとこれを回転駆動するモ
ーターとを設置してなる円筒状工作物の内面研削盤であ
つて、図面はその実施例を示すものである。

そこにおいて、１は基台２上に立設した中空の柱体で、
その上下に水平方向に延びる腕部１ａ，１ｂを設ける。
３は柱体１内に設置した回転軸、４は回転軸３を回転さ
せるモーターである。

５は内壁に適宜数の突条５ａを設けた外装筒で、腕部１
ａ，１ｂに、軸受を介して回転自在に装着する。

６は外装筒５内に嵌装したスプライン管で、その外周に
突条５ａに対応するスプライン溝を縦設する。

そうすることにより、スプライン管６は外装筒５に対し
上下に摺動自在となるとともに、外装筒５の回転がその
ままスプライン管６に伝達されることとなる。７は内装
管で、上記外装筒５とスプライン管６との結合関係と同
様の関係にて、スプライン管６内に嵌装する。

なお、単にスプライン管６の内壁に縦溝を設け、一方内
装管には、この縦溝に嵌合し、縦溝内を上下に摺動する
突起を設けることとしてもよい。内装管７の一端にはド
リルチヤツク、コレツトチヤツク等のチヤツク８を装着
し、他端には螺設してそこに発条体９を纒装し、ナツト
１０で抑止する。以上の外装筒５、スプライン管６、及
び、内装管７を以て回転体を構成する。１１，１１ａは
回転軸３と外装筒５とに掛け廻した無端ベルトで、通常
、タイミングベルトを用いる。

１２は腕部１ａ，１ｂの付け根付近に昇降可能に貫通設
置した昇降杆で、電磁弁を組み込んだ油圧式昇降装置等
の昇降装置１２ａを以て規則的に昇降させる。

１３，１３ａは昇降杆１２の上下に取り付けた作動棒で
、その先端部に上下方向に強い軸受を配備し、それヤ以
てスプライン管６を支承する。

１４は、一部にダイヤモンド粒等の砥粒１４ａを付着さ
せたハイスその他適宜資材製のワイヤ工具で、両端をチ
ャツク８，８ａに緊張固定する。

１５は旋盤等に用いられている往復台機構を直角方向に
二段に結合してなる調整台で、基台２上に設置し、通常
、手動によるハンドル操作により工作物を前後左右に微
動させる。

１６は調整台１５上に立設した跨柱、１７は跨柱１６に
上下動自在に取り付けたテーブルで、ワイヤ工具１４を
挿通するための透孔１７ａを穿ち、跨柱１６の差渡杵１
６ａを貫通して油圧式昇降装置１８に連結する引上杆１
７ｂを設ける。

１９はテーブル１７上に回転自在に載置した保持チャツ
クで、工作物２０を固定保持する。

２１は保持チヤツク１９を回転させるモーターである。

〔発明の作用〕

本発明の作用を図面に依拠して説明するに、工作物２０
を保持チャツク１９で固定し、砥粒１４ａが工作物２０
の内孔内に来るようにワイヤ工具１４を挿通し、ワイヤ
工具１４の両端をチャツク８，８ａに於いて緊張固定す
る。

その際、ナツト１０をさらに螺進させれば、発条体９が
ナツト１０をスプライン管６から遠ざけるよう作用し、
その結果、腕部１ａに於けるスプライン管７は引上げら
れ、逆に腕部１ｂに於けるスプライン管７は引下げられ
ることにより、ワイヤ工具１４の張りが強くなる。かか
る状態に於いてモーター４を始動させれば、回転軸３！
．それに無端ベルト１１，１１ａを介して連結された回
転体、チャツク８，８ａ、そしてワイヤ工具１４が回転
し、内面研削が始まる。また、モーター２１を始動させ
れば保持チヤツク１９が回転し（通例、ワイヤ工具１４
と保持チヤツク１９とを逆方向に回転させる。）、能率
よく研削が行われる。次に、昇降装置１２ａを始動して
昇降杆１２を規則的に昇降させ、作動棒１３，１３ａを
介して回転体を上下動（実際に上下動するのは回転体の
外装筒５を除いた部分である。）させるとともに、必要
に応じてさらに調整台１５を操作して工作物２０の位置
を調整すれば、砥粒１４ａが工作物２０の内面に均一に
接し、均一に研削することができる。なお、回転体の上
下動とテーブル１７の上下動は併用してもよいし、いず
れか一方のみとしてもよいこと勿論である。また、研削
中は、常法により適宜研削液を注ぐ。〔発明の効果〕本
発明は上記した通り、ワイヤ工具を架設する柱体は固定
してワイヤ工具のみを上下動させて研削する。

従つて、偏荷重による枠体の不安定さを考慮する必要が
なく、円筒状工作物の内面精密研削を精確になしうる。
また、工作物自体を上下動させることができるとともに
回転させることができ、効率よく精密研削を行うことが
できる。更に、調整台を操作することにより、工作物の
位置の微調整が可能となつた。このように本発明は従来
機械的に困難とされてきた小径工作物の内面研削をも機
械的に可能ならしめ、しかも研削を均一かつ精確になし
うる大変有用なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る円筒状工作物の内面研削盤を示す
部分断面図、第２図は回転体の構成を示す縦断面図、第
３図は同土横断面図、第４図は跨柱とテーブルとの結合
関係を示す図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基台上に、水平方向に延びる腕部を上下２個所に設
   けた空洞の柱体を立設し、柱体内にはモーターによつて
   回転駆動される回転軸を配備し、上下腕部の先端付近に
   は、内壁に複数の突条を備えた円筒状の外装筒を回転自
   在に軸支し、各外装筒内にはその突条に対応するスプラ
   イン溝を設けたスプライン管を装入し、更に各スプライ
   ン管内に、内側端部にはチャックを備え、外側端部には
   発条体を纒装するとともに該発条体を抑止するナットを
   螺着した内装管を、上下方向に摺動可能かつスプライン
   管の回転力が伝達可能な状態にて嵌装し、各外装筒と前
   記回転軸とに無端ベルトを掛け回し、前記腕部の付け根
   付近には、そこを貫いて油圧機構により規則的に昇降す
   る昇降杆を配備し、昇降杆の上下には、先端部において
   前記スプライン管を回転自在に保持する作動棒を取り付
   け、前記チャック間には、ダイヤモンド粒等の砥粒を一
   部に付着させたワイヤ工具を張架し、一方基台上に、水
   平面で直角方向に移動調整可能な調整台を定置してその
   上に跨柱を立設し、該跨柱に、前記ワイヤ工具を挿通す
   るための透孔を穿つたテーブルを油圧機構で規則的に昇
   降可能状態にて設置し、このテーブル上には、工作物を
   固定する保持チャックとこれを回転駆動するモーターと
   を設置してなる円筒状工作物の内面研削盤。