JPH1160338A - 高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびその製造方法 - Google Patents
高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびその製造方法Info
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- JPH1160338A JPH1160338A JP9238854A JP23885497A JPH1160338A JP H1160338 A JPH1160338 A JP H1160338A JP 9238854 A JP9238854 A JP 9238854A JP 23885497 A JP23885497 A JP 23885497A JP H1160338 A JPH1160338 A JP H1160338A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびそ
のセラミックスを提供する。 【解決手段】 窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりなる
混合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶として
0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配向
していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密
化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶か
らエピタキシャルに成長させたことを特徴とする高熱伝
導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法。
のセラミックスを提供する。 【解決手段】 窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりなる
混合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶として
0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配向
していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密
化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶か
らエピタキシャルに成長させたことを特徴とする高熱伝
導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高熱伝導性で機械
的強度が高い窒化ケイ素焼結体およびその製造方法に関
するものである。本発明の窒化ケイ素焼結体は、高い熱
伝導性と機械的強度が要求される高温熱機関、高温熱交
換器、高温ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性
基板材料として有用である。
的強度が高い窒化ケイ素焼結体およびその製造方法に関
するものである。本発明の窒化ケイ素焼結体は、高い熱
伝導性と機械的強度が要求される高温熱機関、高温熱交
換器、高温ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性
基板材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】一般に、窒化ケイ素焼結体は、αあるい
はβ型窒化ケイ素粉末に、MgO、CaO、Al
2 O3 、Y2 O3 、Yb2 O3 、HfO2 、Sc
2 O3 、CeO2 、ZrO2 、SiO2 、Cr2 O3 、
AlN等から選択された焼結助剤を添加し、得られた混
合粉末を成形後、1〜100気圧の窒素雰囲気中で16
00〜2100℃で焼結して製造される。あるいは、こ
れら混合粉末を、ガラスカプセルに封入後、1000気
圧程度のガス圧下でHIP(Hot Isostatic Pressing)
焼結、あるいは1気圧の窒素雰囲気中で20〜40MP
a程度の圧力下1600〜1800℃でホットプレス
(HP)焼結して製造される。しかし、これらの従来手
法で得られた窒化ケイ素焼結体の熱伝導率は10〜70
W/mKと低い。
はβ型窒化ケイ素粉末に、MgO、CaO、Al
2 O3 、Y2 O3 、Yb2 O3 、HfO2 、Sc
2 O3 、CeO2 、ZrO2 、SiO2 、Cr2 O3 、
AlN等から選択された焼結助剤を添加し、得られた混
合粉末を成形後、1〜100気圧の窒素雰囲気中で16
00〜2100℃で焼結して製造される。あるいは、こ
れら混合粉末を、ガラスカプセルに封入後、1000気
圧程度のガス圧下でHIP(Hot Isostatic Pressing)
焼結、あるいは1気圧の窒素雰囲気中で20〜40MP
a程度の圧力下1600〜1800℃でホットプレス
(HP)焼結して製造される。しかし、これらの従来手
法で得られた窒化ケイ素焼結体の熱伝導率は10〜70
W/mKと低い。
【0003】以下に、従来手法により得られた窒化ケイ
素焼結体の熱伝導率を例示する。 例1)Am. Ceram. Soc. Bull., vol. 57, No. 12, pp11
19-1122 (1978). α−窒化ケイ素粉末に15.4mol%のMgOを添加
し、20MPaの圧力下、1750℃で30分ホットプ
レス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は55W/mK
である。α−窒化ケイ素粉末に31mol%のAl2 O
3 を添加し、20MPaの圧力下、1750℃で30分
ホットプレス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は10
W/mKである。 例2)日本セラミックス協会学術論文誌,97〔2〕,
pp174-81 (1989). α−窒化ケイ素粉末に6mol%のY2 O3 を添加し、
60MPaの圧力下、1850℃で1時間HIP焼結し
て得られた焼結体の熱伝導率は70W/mKである。 例3)J. Mater. Sci., [3], pp 915-16 (1984). α−窒化ケイ素粉末に5wt%のMgOを添加し、1
4.7MPaの圧力下、1700℃で1時間ホットプレ
ス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は56W/mKで
ある。 例4)本発明者らの実験例 α−窒化ケイ素粉末に5wt%のY2 O3 と2wt%の
Al2 O3 を添加した混合粉末を、金型成形し、更に5
ton/cm2 の圧力でCIP成形後、9気圧の窒素中
1850℃で6時間焼結して得られた焼結体の熱伝導率
は25W/mKである。
素焼結体の熱伝導率を例示する。 例1)Am. Ceram. Soc. Bull., vol. 57, No. 12, pp11
19-1122 (1978). α−窒化ケイ素粉末に15.4mol%のMgOを添加
し、20MPaの圧力下、1750℃で30分ホットプ
レス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は55W/mK
である。α−窒化ケイ素粉末に31mol%のAl2 O
3 を添加し、20MPaの圧力下、1750℃で30分
ホットプレス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は10
W/mKである。 例2)日本セラミックス協会学術論文誌,97〔2〕,
pp174-81 (1989). α−窒化ケイ素粉末に6mol%のY2 O3 を添加し、
60MPaの圧力下、1850℃で1時間HIP焼結し
て得られた焼結体の熱伝導率は70W/mKである。 例3)J. Mater. Sci., [3], pp 915-16 (1984). α−窒化ケイ素粉末に5wt%のMgOを添加し、1
4.7MPaの圧力下、1700℃で1時間ホットプレ
ス焼結して得られた焼結体の熱伝導率は56W/mKで
ある。 例4)本発明者らの実験例 α−窒化ケイ素粉末に5wt%のY2 O3 と2wt%の
Al2 O3 を添加した混合粉末を、金型成形し、更に5
ton/cm2 の圧力でCIP成形後、9気圧の窒素中
1850℃で6時間焼結して得られた焼結体の熱伝導率
は25W/mKである。
【0004】上記のように、従来の手法で得られる窒化
ケイ素焼結体はいずれも熱伝導率が低く、改良すべき余
地があることから、当業界においては高熱伝導特性を有
する新しい焼結体の開発が強く要請されている状況にあ
った。
ケイ素焼結体はいずれも熱伝導率が低く、改良すべき余
地があることから、当業界においては高熱伝導特性を有
する新しい焼結体の開発が強く要請されている状況にあ
った。
【0005】また、汎用的な金属材料(鋼、ステンレス
等)を用いた場合、500℃を越える条件下では強度、
耐酸化性、耐食性が著しく低下するため冷却等を行うこ
となしに金属材料の適用は不可能であり、一方100℃
以下で使用されるIC等の放熱基板材料においては絶縁
を必要とするため適用が極めて困難である。更に、窒化
アルミニウム、炭化ケイ素等の高熱伝導性セラミックス
は機械的強度に欠けるため実用化が困難であった。
等)を用いた場合、500℃を越える条件下では強度、
耐酸化性、耐食性が著しく低下するため冷却等を行うこ
となしに金属材料の適用は不可能であり、一方100℃
以下で使用されるIC等の放熱基板材料においては絶縁
を必要とするため適用が極めて困難である。更に、窒化
アルミニウム、炭化ケイ素等の高熱伝導性セラミックス
は機械的強度に欠けるため実用化が困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らの一部は、先の出願(特願平7−348
099)において、窒化ケイ素セラミックスを製造する
際に、微少な窒化ケイ素単結晶を添加して焼結すると、
添加した結晶を核として長柱状に窒化ケイ素単結晶が成
長する知見をもとに、核となる窒化ケイ素単結晶を面内
に配向させることで一方向に窒化ケイ素結晶が配向した
組織を持つ窒化ケイ素焼結体を製造することが出来た。
先の出願によって製造された窒化ケイ素焼結体は、窒化
ケイ素結晶が一方向に配向することにより熱伝導におい
て抵抗となる結晶粒界が配向方向に対して減少すること
により高熱伝導性が発現する。同時にこのような組織
は、窒化ケイ素セラミックスの強度ならびに靱性を強化
する上でも好ましいものであり、機械的強度と高熱伝導
を同時に獲得することが出来た。
で、本発明者らの一部は、先の出願(特願平7−348
099)において、窒化ケイ素セラミックスを製造する
際に、微少な窒化ケイ素単結晶を添加して焼結すると、
添加した結晶を核として長柱状に窒化ケイ素単結晶が成
長する知見をもとに、核となる窒化ケイ素単結晶を面内
に配向させることで一方向に窒化ケイ素結晶が配向した
組織を持つ窒化ケイ素焼結体を製造することが出来た。
先の出願によって製造された窒化ケイ素焼結体は、窒化
ケイ素結晶が一方向に配向することにより熱伝導におい
て抵抗となる結晶粒界が配向方向に対して減少すること
により高熱伝導性が発現する。同時にこのような組織
は、窒化ケイ素セラミックスの強度ならびに靱性を強化
する上でも好ましいものであり、機械的強度と高熱伝導
を同時に獲得することが出来た。
【0007】しかしながら、半導体基板材料等の応用を
考えた場合、先の出願のように窒化ケイ素結晶を基板面
内に配向させた場合、基板厚み方向の熱伝導性は基板面
内のそれに比べて低くなる。したがって、基板上面の回
路素子から発生した熱流を回路素子裏面のヒートシンク
へ逃がすことが困難になるため、本発明者らは、更に検
討を重ねた結果、窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりな
る混合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶とし
て0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配
向していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻
密化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶
からエピタキシャルに成長させた窒化ケイ素焼結体を作
製すれば良いとの知見を得た。
考えた場合、先の出願のように窒化ケイ素結晶を基板面
内に配向させた場合、基板厚み方向の熱伝導性は基板面
内のそれに比べて低くなる。したがって、基板上面の回
路素子から発生した熱流を回路素子裏面のヒートシンク
へ逃がすことが困難になるため、本発明者らは、更に検
討を重ねた結果、窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりな
る混合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶とし
て0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配
向していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻
密化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶
からエピタキシャルに成長させた窒化ケイ素焼結体を作
製すれば良いとの知見を得た。
【0008】また、窒化ケイ素焼結体の短径が大きいほ
ど、その熱伝導率は大きくなることは公知の事実である
が、その場合、機械的強度が劣化する。本発明者らは、
種結晶を添加した焼結体と種結晶を添加しない焼結体の
熱伝導率を比較した場合、両者の焼結体の短径が同一で
も、種結晶の短径を0.3〜1μm、アスペクト比が3
以下であることを特徴とするより小さい形状の種結晶を
原料粉末に添加し、その種結晶からエピタキシャル成長
させた方が種結晶を添加しない焼結体よりも高熱伝導率
が発現することを見出した。本発明者らは、これらの知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
ど、その熱伝導率は大きくなることは公知の事実である
が、その場合、機械的強度が劣化する。本発明者らは、
種結晶を添加した焼結体と種結晶を添加しない焼結体の
熱伝導率を比較した場合、両者の焼結体の短径が同一で
も、種結晶の短径を0.3〜1μm、アスペクト比が3
以下であることを特徴とするより小さい形状の種結晶を
原料粉末に添加し、その種結晶からエピタキシャル成長
させた方が種結晶を添加しない焼結体よりも高熱伝導率
が発現することを見出した。本発明者らは、これらの知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、特定方向に種結晶が
配向していない成形体、および特定の形状の種結晶を用
いて高熱伝導で機械的強度が高い窒化ケイ素焼結体を簡
便かつ低コストで製造することが可能な高熱伝導性・高
強度窒化ケイ素焼結体の製造方法を提供することを目的
とするものである。また、本発明は、高い熱伝導性と機
械的強度が要求される高温熱機関、高温熱交換器、高温
ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性基板材料と
して好適に使用される窒化ケイ素焼結体およびその製造
方法を提供することを目的とするものである。
配向していない成形体、および特定の形状の種結晶を用
いて高熱伝導で機械的強度が高い窒化ケイ素焼結体を簡
便かつ低コストで製造することが可能な高熱伝導性・高
強度窒化ケイ素焼結体の製造方法を提供することを目的
とするものである。また、本発明は、高い熱伝導性と機
械的強度が要求される高温熱機関、高温熱交換器、高温
ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性基板材料と
して好適に使用される窒化ケイ素焼結体およびその製造
方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりなる混
合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶として
0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配向
していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密
化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶か
らエピタキシャルに成長させたことを特徴とする高熱伝
導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法、種結晶の短径
が0.3〜1μm、アスペクト比が3以下であることを
特徴とする前記の高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体の
製造方法、に係るものである。また、本発明は、前記の
方法により得られる窒化ケイ素焼結体であって、熱伝導
率が90W/mK以上であり、JIS−R1601で制
定される4点曲げ法で測定した曲げ強度が800MPa
以上であることを特徴とする高熱伝導・高強度窒化ケイ
素焼結体、前記の方法により得られる窒化ケイ素焼結体
であって、焼結体の切断面の観察において、β−窒化ケ
イ素粒のうち短径2μm以下を持つものの割合が60面
積%以上であることを特徴とする高熱伝導・高強度窒化
ケイ素焼結体、に係るものである。
の本発明は、窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりなる混
合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶として
0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配向
していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密
化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶か
らエピタキシャルに成長させたことを特徴とする高熱伝
導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法、種結晶の短径
が0.3〜1μm、アスペクト比が3以下であることを
特徴とする前記の高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体の
製造方法、に係るものである。また、本発明は、前記の
方法により得られる窒化ケイ素焼結体であって、熱伝導
率が90W/mK以上であり、JIS−R1601で制
定される4点曲げ法で測定した曲げ強度が800MPa
以上であることを特徴とする高熱伝導・高強度窒化ケイ
素焼結体、前記の方法により得られる窒化ケイ素焼結体
であって、焼結体の切断面の観察において、β−窒化ケ
イ素粒のうち短径2μm以下を持つものの割合が60面
積%以上であることを特徴とする高熱伝導・高強度窒化
ケイ素焼結体、に係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明により窒化ケイ素焼結体を作製するに
は、まず、窒化ケイ素原料粉末に所定量の焼結助剤を添
加する。窒化ケイ素原料は、α型、β型いずれの結晶系
のものを用いても良いが、平均粒径1μm以下の微粉末
を用いることが望ましい。焼結助剤としては、MgO、
CaO、Y2 O3 、Yb2 O3 、HfO2 、Sc
2O3 、CeO2 、ZrO2 、SiO2 等、一般に用い
られるものが使用される。ただし、最も一般的に用いら
れるAl2 O3 あるいはAlNは、焼結時に窒化ケイ素
中に固溶し、熱伝導率を著しく低下させるので使用を避
ける方が良い。これら焼結助剤の組み合わせ、添加量
は、緻密化の方法(ガス圧焼結、ホットプレス、熱間加
圧焼結(HIP))により異なるが、これら焼結助剤は
低熱伝導の第二相として試料中に残存することから、緻
密化が可能な最少量に留めることが望ましい。また、焼
結中に窒化ケイ素を柱状に異方粒成長させるために、焼
結助剤としてはY2 O3 、Yb2 O3 等の希土類酸化物
を含むことが望ましい。
説明する。本発明により窒化ケイ素焼結体を作製するに
は、まず、窒化ケイ素原料粉末に所定量の焼結助剤を添
加する。窒化ケイ素原料は、α型、β型いずれの結晶系
のものを用いても良いが、平均粒径1μm以下の微粉末
を用いることが望ましい。焼結助剤としては、MgO、
CaO、Y2 O3 、Yb2 O3 、HfO2 、Sc
2O3 、CeO2 、ZrO2 、SiO2 等、一般に用い
られるものが使用される。ただし、最も一般的に用いら
れるAl2 O3 あるいはAlNは、焼結時に窒化ケイ素
中に固溶し、熱伝導率を著しく低下させるので使用を避
ける方が良い。これら焼結助剤の組み合わせ、添加量
は、緻密化の方法(ガス圧焼結、ホットプレス、熱間加
圧焼結(HIP))により異なるが、これら焼結助剤は
低熱伝導の第二相として試料中に残存することから、緻
密化が可能な最少量に留めることが望ましい。また、焼
結中に窒化ケイ素を柱状に異方粒成長させるために、焼
結助剤としてはY2 O3 、Yb2 O3 等の希土類酸化物
を含むことが望ましい。
【0012】また、これらの原料の混合に当たっては、
粉体の混合あるいは混練に用いられる通常の機械を使用
することができる。この混合は、湿式、乾式のどちらで
も良いが、望ましくは湿式において混合される。湿式混
合においては、水、メタノール、エタノール、トルエン
などの溶剤が用いられるが、窒化ケイ素の酸化を抑える
ために有機溶媒を用いることが望ましい。有機溶剤を用
いた場合はカチオン性セルロースなどの分散剤を用いる
ことにより効果的に混合を行うことができる。
粉体の混合あるいは混練に用いられる通常の機械を使用
することができる。この混合は、湿式、乾式のどちらで
も良いが、望ましくは湿式において混合される。湿式混
合においては、水、メタノール、エタノール、トルエン
などの溶剤が用いられるが、窒化ケイ素の酸化を抑える
ために有機溶媒を用いることが望ましい。有機溶剤を用
いた場合はカチオン性セルロースなどの分散剤を用いる
ことにより効果的に混合を行うことができる。
【0013】次に、この様にして得られた混合粉末に種
結晶として単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を0.1〜2
0Vol%添加する。添加量が0.1Vol%以下で
は、焼結体中に十分な柱状粒子群を導入することができ
ない。一方、20Vol%以上においては、添加した種
結晶が焼結を阻害し、緻密な焼結体が得られないので、
種結晶の添加量は0.1〜20Vol%とした。また、
種結晶の形状は短径が0.3〜1μm、アスペクト比が
3以下であることが望ましい。種結晶の短径が0.3μ
mより小さいと、焼結中に溶解する可能性があり成長核
となりにくく、また1μmより大きいと、添加した種結
晶が焼結を阻害し、緻密な焼結体が得られない。一方、
アスペクト比が3以上の場合は、押出し成形法やドクタ
ーブレード成形法において、種結晶が成形方向に配向
し、基板厚み方向に種結晶を配向させることができな
い。
結晶として単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を0.1〜2
0Vol%添加する。添加量が0.1Vol%以下で
は、焼結体中に十分な柱状粒子群を導入することができ
ない。一方、20Vol%以上においては、添加した種
結晶が焼結を阻害し、緻密な焼結体が得られないので、
種結晶の添加量は0.1〜20Vol%とした。また、
種結晶の形状は短径が0.3〜1μm、アスペクト比が
3以下であることが望ましい。種結晶の短径が0.3μ
mより小さいと、焼結中に溶解する可能性があり成長核
となりにくく、また1μmより大きいと、添加した種結
晶が焼結を阻害し、緻密な焼結体が得られない。一方、
アスペクト比が3以上の場合は、押出し成形法やドクタ
ーブレード成形法において、種結晶が成形方向に配向
し、基板厚み方向に種結晶を配向させることができな
い。
【0014】種結晶として用いる単結晶β−窒化ケイ素
柱状粒子は、市販のβ−窒化ケイ素ウィスカーを用いる
こともできるが、大きさが均一でなく、また格子欠陥、
不純物を多く含むために、例えば、日本セラミックス協
会学術論文誌,101
柱状粒子は、市販のβ−窒化ケイ素ウィスカーを用いる
こともできるが、大きさが均一でなく、また格子欠陥、
不純物を多く含むために、例えば、日本セラミックス協
会学術論文誌,101
〔9〕,1077−80(199
3)に報告した手法等により作製された高純度でかつ、
大きさの揃った単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を用いる
ことが望ましい。種結晶の原料粉末への添加において
は、窒化ケイ素原料と焼結助剤を前記湿式混合により十
分混合して得られたスラリー中へ、超音波分散、あるい
は樹脂ポットと樹脂コートボールを用いたポット混合等
の手法により、種結晶を破壊しない様に行うことが重要
である。次に、上述のようにして得られた混合スラリー
は、真空エバポレーター等を用いて溶媒を除去し、更に
真空乾燥等を施した後、所定メッシュのふるいを通過さ
せ、焼結用混合粉末とし、押出し成形法やドクターブレ
ード法などの成形法を用いて特定方向に種結晶が配合し
ていない成形体を作製する。
3)に報告した手法等により作製された高純度でかつ、
大きさの揃った単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を用いる
ことが望ましい。種結晶の原料粉末への添加において
は、窒化ケイ素原料と焼結助剤を前記湿式混合により十
分混合して得られたスラリー中へ、超音波分散、あるい
は樹脂ポットと樹脂コートボールを用いたポット混合等
の手法により、種結晶を破壊しない様に行うことが重要
である。次に、上述のようにして得られた混合スラリー
は、真空エバポレーター等を用いて溶媒を除去し、更に
真空乾燥等を施した後、所定メッシュのふるいを通過さ
せ、焼結用混合粉末とし、押出し成形法やドクターブレ
ード法などの成形法を用いて特定方向に種結晶が配合し
ていない成形体を作製する。
【0015】次に、前記成形体は、ホットプレス手法な
どにより緻密化した後、1700〜2000℃の温度、
1〜200気圧の窒素中で加熱処理を行い、種結晶を核
として粗大柱状粒子を成長させる。この際、ホットプレ
ス処理時の圧力、温度、時間条件は試料が相対密度97
%以上に緻密化するように選定される。ホットプレス処
理は、窒素雰囲気中1800〜1900℃の温度、20
〜40MPaの圧力下で行うことが望ましい。また、助
剤系を選択することにより窒素中での加熱だけで緻密化
が可能な場合はホットプレス処理は省略することが可能
である。更に、熱処理においては、種結晶からβ−窒化
ケイ素柱状粒子を十分に発達させることが重要である。
このようにして得られた本発明の窒化ケイ素焼結体は、
種結晶を核としてエピタキシャルに成長した粗大なβ−
窒化ケイ素柱状粒子が微小粒子中にランダムに配向した
微構造を有する。
どにより緻密化した後、1700〜2000℃の温度、
1〜200気圧の窒素中で加熱処理を行い、種結晶を核
として粗大柱状粒子を成長させる。この際、ホットプレ
ス処理時の圧力、温度、時間条件は試料が相対密度97
%以上に緻密化するように選定される。ホットプレス処
理は、窒素雰囲気中1800〜1900℃の温度、20
〜40MPaの圧力下で行うことが望ましい。また、助
剤系を選択することにより窒素中での加熱だけで緻密化
が可能な場合はホットプレス処理は省略することが可能
である。更に、熱処理においては、種結晶からβ−窒化
ケイ素柱状粒子を十分に発達させることが重要である。
このようにして得られた本発明の窒化ケイ素焼結体は、
種結晶を核としてエピタキシャルに成長した粗大なβ−
窒化ケイ素柱状粒子が微小粒子中にランダムに配向した
微構造を有する。
【0016】上記のように、本発明者らは、窒化ケイ素
セラミックスを製造する際に、小さい形状の種結晶を原
料粉末に添加し、特定方向に種結晶が配向していない成
形体を作製し、その成形体を種結晶からエピタキシャル
に成長させると、高熱伝導性で機械的強度が高い窒化ケ
イ素焼結体を製造することができた。本法によって製造
された窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素結晶が種結晶か
ら粒成長した粗大柱状粒子を含有することにより、高熱
伝導性が発現する。同時にこのような組織は、窒化ケイ
素セラミックスの強度ならびに靱性を強化する上でも好
ましいものであり、機械的強度と高熱伝導性を同時に獲
得することができた。
セラミックスを製造する際に、小さい形状の種結晶を原
料粉末に添加し、特定方向に種結晶が配向していない成
形体を作製し、その成形体を種結晶からエピタキシャル
に成長させると、高熱伝導性で機械的強度が高い窒化ケ
イ素焼結体を製造することができた。本法によって製造
された窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素結晶が種結晶か
ら粒成長した粗大柱状粒子を含有することにより、高熱
伝導性が発現する。同時にこのような組織は、窒化ケイ
素セラミックスの強度ならびに靱性を強化する上でも好
ましいものであり、機械的強度と高熱伝導性を同時に獲
得することができた。
【0017】上記のように、窒化ケイ素原料粉末に液相
焼結を促進する焼結助剤および小さい形状の種結晶を加
えた混合粉末から、特定方向に種結晶が配向していない
成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密化と同時に
β窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶からエピタキ
シャルに成長させることにより、高熱伝導性で機械的強
度が高い窒化ケイ素セラミックスが得られる発見をもと
に、本発明はなされた。本発明方法により得られる窒化
ケイ素セラミックスは、基板厚み方向及び長さ方向に対
して90W/mK以上の高い熱伝導性と800MPa以
上の曲げ強度を示し、高い熱伝導性と機械的な強度が要
求される高温熱機関、高温熱交換器、高温ヒートパイプ
等の高温構造材料や高熱伝導性基板として好適である。
焼結を促進する焼結助剤および小さい形状の種結晶を加
えた混合粉末から、特定方向に種結晶が配向していない
成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密化と同時に
β窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶からエピタキ
シャルに成長させることにより、高熱伝導性で機械的強
度が高い窒化ケイ素セラミックスが得られる発見をもと
に、本発明はなされた。本発明方法により得られる窒化
ケイ素セラミックスは、基板厚み方向及び長さ方向に対
して90W/mK以上の高い熱伝導性と800MPa以
上の曲げ強度を示し、高い熱伝導性と機械的な強度が要
求される高温熱機関、高温熱交換器、高温ヒートパイプ
等の高温構造材料や高熱伝導性基板として好適である。
【0018】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1〜2 (1)単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子の作製 10m2 の比表面積を持つα−窒化ケイ素原料粉末30
gに0.447gの酸化イッテルビウムおよび2.57
9gの酸化ケイ素を添加し、メタノールを分散媒とし窒
化ケイ素製ボールとポットを用い、遊星ミルを用いて混
合を行った。(組成A)真空エバポレータを用いてメタ
ノールを除去し、更に、120℃で真空乾燥後、60メ
ッシュのふるいを通過させ、種結晶作製用配合物を得
た。窒化ケイ素ルツボに配合物を入れ、5気圧窒素中1
850℃で2時間加熱を行い、得られた凝集塊を再び6
0メッシュの大きさまで解砕した。
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。 実施例1〜2 (1)単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子の作製 10m2 の比表面積を持つα−窒化ケイ素原料粉末30
gに0.447gの酸化イッテルビウムおよび2.57
9gの酸化ケイ素を添加し、メタノールを分散媒とし窒
化ケイ素製ボールとポットを用い、遊星ミルを用いて混
合を行った。(組成A)真空エバポレータを用いてメタ
ノールを除去し、更に、120℃で真空乾燥後、60メ
ッシュのふるいを通過させ、種結晶作製用配合物を得
た。窒化ケイ素ルツボに配合物を入れ、5気圧窒素中1
850℃で2時間加熱を行い、得られた凝集塊を再び6
0メッシュの大きさまで解砕した。
【0019】このようにして得られた粉末をフッ酸・硝
酸混合水溶液(フッ酸:硝酸:水=45:5:50体積
%)、硫酸、希フッ酸、アンモニア水で順次処理を行
い、ガラス相成分である酸化イッテルビウム、酸化イッ
トリウムおよび酸化ケイ素を除去し、単結晶β−窒化ケ
イ素柱状粒子を得た。組成Aからは短径0.4μm、ア
スペクト比2(種結晶SA)の単結晶β−窒化ケイ素柱
状粒子が得られた。この種結晶も酸素含有量0.26%
以下、イッテルビウム含有量1.3ppm以下の極めて
高純度なものであった。
酸混合水溶液(フッ酸:硝酸:水=45:5:50体積
%)、硫酸、希フッ酸、アンモニア水で順次処理を行
い、ガラス相成分である酸化イッテルビウム、酸化イッ
トリウムおよび酸化ケイ素を除去し、単結晶β−窒化ケ
イ素柱状粒子を得た。組成Aからは短径0.4μm、ア
スペクト比2(種結晶SA)の単結晶β−窒化ケイ素柱
状粒子が得られた。この種結晶も酸素含有量0.26%
以下、イッテルビウム含有量1.3ppm以下の極めて
高純度なものであった。
【0020】(2)窒化ケイ素焼結体の作製 α−窒化ケイ素原料粉末(比表面積10m2 /g、平均
粒径0.1μm)に焼結助剤として酸化イットリウムを
5体積%添加し、溶媒としてメタノールを用いて、窒化
ケイ素製ボールとポットを用いて遊星ミルで3時間混合
を行った。得られたスラリーに種結晶を5あるいは10
体積%添加し、窒化ケイ素製ボールとポットを用いてボ
ールミル混合を24時間行った。このようにして得られ
たスラリーを真空エバポレータを用いてメタノールを除
去し、更に120℃で真空乾燥後、60メッシュのふる
いを通過させ、焼結用混合粉末を得た。この混合粉末を
45×50mmのカーボンダイスに入れて、40MPa
の圧力をカーボンダイスの鉛直方向に印加しつつ、9気
圧の窒素雰囲気中1900℃で2時間保持し、5×50
×10mmの直方体のホットプレス焼結体(実施例1、
実施例2)を得た。
粒径0.1μm)に焼結助剤として酸化イットリウムを
5体積%添加し、溶媒としてメタノールを用いて、窒化
ケイ素製ボールとポットを用いて遊星ミルで3時間混合
を行った。得られたスラリーに種結晶を5あるいは10
体積%添加し、窒化ケイ素製ボールとポットを用いてボ
ールミル混合を24時間行った。このようにして得られ
たスラリーを真空エバポレータを用いてメタノールを除
去し、更に120℃で真空乾燥後、60メッシュのふる
いを通過させ、焼結用混合粉末を得た。この混合粉末を
45×50mmのカーボンダイスに入れて、40MPa
の圧力をカーボンダイスの鉛直方向に印加しつつ、9気
圧の窒素雰囲気中1900℃で2時間保持し、5×50
×10mmの直方体のホットプレス焼結体(実施例1、
実施例2)を得た。
【0021】(3)焼結体についての評価試験 続いて、直方体の焼結体を3×4×40mmの試験片に
切断、研削を行った。得られた試験片について、密度測
定、JISR−1601による室温4点曲げ強度測定を
行った。また、試験片を鏡面研磨後、4弗化炭素ガス雰
囲気中において、FR100Wの出力で1分間プラズマ
エッチング処理を施した後、SEMにより研磨面上の
0.25mm2 の面積の窒化ケイ素粒子の形態を写真に
撮影した。そして、このSEM写真を画像処理装置を用
いて、全ての窒化ケイ素粒子の短径と面積を画像処理よ
り図1に示す要領で測定した。これらの測定されたデー
タを基に短径が2μm以下の持つものの粒子の面積の合
計が観測視野に占める割合を面積率(%)とした。
切断、研削を行った。得られた試験片について、密度測
定、JISR−1601による室温4点曲げ強度測定を
行った。また、試験片を鏡面研磨後、4弗化炭素ガス雰
囲気中において、FR100Wの出力で1分間プラズマ
エッチング処理を施した後、SEMにより研磨面上の
0.25mm2 の面積の窒化ケイ素粒子の形態を写真に
撮影した。そして、このSEM写真を画像処理装置を用
いて、全ての窒化ケイ素粒子の短径と面積を画像処理よ
り図1に示す要領で測定した。これらの測定されたデー
タを基に短径が2μm以下の持つものの粒子の面積の合
計が観測視野に占める割合を面積率(%)とした。
【0022】次に、直方体の焼結体を直径10mm、厚
さ3mmの円板状の試験片に加工し、レーザーフラッシ
ュ法(JIS−R1611に準拠)により熱拡散率と比
熱を測定した。このうち、熱拡散率の測定では、試料の
表面に黒鉛皮膜を形成した後、室温でレーザーパルスを
照射して、反対面の温度変化を赤外線温度検出器で測定
し、対数法により熱拡散率αを求めた。窒化ケイ素の比
熱cを0.67として、アルキメデス法で求めた密度ρ
より、熱伝導率κを下式に従って算出した。 κ=α×c×ρ これらの結果を表1にまとめて示してある。なお、比較
のため、種結晶を添加しない焼結体を同様に9気圧の窒
素雰囲気中1900℃で2時間保持し、5×50×10
mmの直方体のホットプレス焼結体(比較例1)を得
た。得られた焼結体について評価を行った結果も表1に
合わせて示してある。
さ3mmの円板状の試験片に加工し、レーザーフラッシ
ュ法(JIS−R1611に準拠)により熱拡散率と比
熱を測定した。このうち、熱拡散率の測定では、試料の
表面に黒鉛皮膜を形成した後、室温でレーザーパルスを
照射して、反対面の温度変化を赤外線温度検出器で測定
し、対数法により熱拡散率αを求めた。窒化ケイ素の比
熱cを0.67として、アルキメデス法で求めた密度ρ
より、熱伝導率κを下式に従って算出した。 κ=α×c×ρ これらの結果を表1にまとめて示してある。なお、比較
のため、種結晶を添加しない焼結体を同様に9気圧の窒
素雰囲気中1900℃で2時間保持し、5×50×10
mmの直方体のホットプレス焼結体(比較例1)を得
た。得られた焼結体について評価を行った結果も表1に
合わせて示してある。
【0023】また、比較のため、種結晶を作製する際
に、5m2 の比表面積を持つα−窒化ケイ素原料粉末3
0gに2.418gの酸化イットリウムおよび0.32
2gの酸化ケイ素を添加し、同様に混合を行った(組成
B)以外は、組成Aと同等に作製をし、組成Bからは短
径1.4μm、アスペクト比4(種結晶SB)の、単結
晶β−窒化ケイ素柱状粒子が得られた。この種結晶も酸
素含有量0.26%以下、イットリウム含有量1.3p
pm以下の極めて高純度なものであった。この種結晶S
Bを用いて、種結晶SAと同様の混合方法、焼結方法で
焼結体(比較例2、比較例3)作製を行い、同様に評価
を行った結果も表1に合わせて示してある。
に、5m2 の比表面積を持つα−窒化ケイ素原料粉末3
0gに2.418gの酸化イットリウムおよび0.32
2gの酸化ケイ素を添加し、同様に混合を行った(組成
B)以外は、組成Aと同等に作製をし、組成Bからは短
径1.4μm、アスペクト比4(種結晶SB)の、単結
晶β−窒化ケイ素柱状粒子が得られた。この種結晶も酸
素含有量0.26%以下、イットリウム含有量1.3p
pm以下の極めて高純度なものであった。この種結晶S
Bを用いて、種結晶SAと同様の混合方法、焼結方法で
焼結体(比較例2、比較例3)作製を行い、同様に評価
を行った結果も表1に合わせて示してある。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように、本発明により、
強度1000MPa以上、熱伝導率110W/mK以上
の窒化ケイ素焼結体を得ることが出来た。また、本発明
の焼結体は、焼結体の切断面の観察において、β−窒化
ケイ素粒のうち短径2μm以下を持つものの割合が60
面積%以上であった。
強度1000MPa以上、熱伝導率110W/mK以上
の窒化ケイ素焼結体を得ることが出来た。また、本発明
の焼結体は、焼結体の切断面の観察において、β−窒化
ケイ素粒のうち短径2μm以下を持つものの割合が60
面積%以上であった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、高熱伝導性で機械的強
度が高い窒化ケイ素焼結体を簡便かつ低コストで製造す
ることができる。本発明方法により得られる窒化ケイ素
セラミックスは、1000MPa以上の強度と110W
/mK以上の高い熱伝導率を有しており、高い熱伝導性
と機械的な強度が要求される高温熱機関、高温熱交換
器、高温ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性基
板材料として有用である。
度が高い窒化ケイ素焼結体を簡便かつ低コストで製造す
ることができる。本発明方法により得られる窒化ケイ素
セラミックスは、1000MPa以上の強度と110W
/mK以上の高い熱伝導率を有しており、高い熱伝導性
と機械的な強度が要求される高温熱機関、高温熱交換
器、高温ヒートパイプ等の高温構造材料や高熱伝導性基
板材料として有用である。
【図1】本発明の一実施例の9気圧窒素中1900℃、
2時間保持した試料の組織(研磨・エッチング面)の電
子顕微鏡写真(×3500)を示す。
2時間保持した試料の組織(研磨・エッチング面)の電
子顕微鏡写真(×3500)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平尾 喜代司 愛知県名古屋市北区名城2丁目2番地 6 −36号 (72)発明者 渡利 広司 愛知県小牧市城山1丁目5番地の1 サン ハイツF棟306 (72)発明者 マヌエル イー ブリト 愛知県名古屋市千種区北千種3丁目2番地 の4 千種東住宅 17−302号 (72)発明者 神崎 修三 愛知県春日井市藤山台8丁目12番地の4
Claims (4)
- 【請求項1】 窒化ケイ素原料粉末と焼結助剤よりなる
混合物に単結晶β−窒化ケイ素柱状粒子を種結晶として
0.1〜20vol%添加し、特定方向に種結晶が配向
していない成形体を作製し、この成形体を窒素中で緻密
化と同時にβ窒化ケイ素構造を持つ柱状粒子を種結晶か
らエピタキシャルに成長させたことを特徴とする高熱伝
導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法。 - 【請求項2】 種結晶の短径が0.3〜1μm、アスペ
クト比が3以下であることを特徴とする請求項1に記載
の高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の方法により得られる窒
化ケイ素焼結体であって、熱伝導率が90W/mK以上
であり、JIS−R1601で制定される4点曲げ法で
測定した曲げ強度が800MPa以上であることを特徴
とする請求項1に記載の高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼
結体。 - 【請求項4】 請求項1に記載の方法により得られる窒
化ケイ素焼結体であって、焼結体の切断面の観察におい
て、β−窒化ケイ素粒のうち短径2μm以下を持つもの
の割合が60面積%以上であることを特徴とする高熱伝
導・高強度窒化ケイ素焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9238854A JPH1160338A (ja) | 1997-08-20 | 1997-08-20 | 高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9238854A JPH1160338A (ja) | 1997-08-20 | 1997-08-20 | 高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1160338A true JPH1160338A (ja) | 1999-03-02 |
Family
ID=17036258
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9238854A Pending JPH1160338A (ja) | 1997-08-20 | 1997-08-20 | 高熱伝導・高強度窒化ケイ素焼結体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1160338A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002128568A (ja) * | 2000-10-18 | 2002-05-09 | Ngk Insulators Ltd | 耐蝕性部材 |
JP2003183078A (ja) * | 2001-12-17 | 2003-07-03 | Ngk Spark Plug Co Ltd | ガイドレール |
JP2019052072A (ja) * | 2017-09-19 | 2019-04-04 | 株式会社Maruwa | 窒化ケイ素焼結体基板、電子装置、及び、窒化ケイ素焼結体基板の製造方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03218974A (ja) * | 1990-01-23 | 1991-09-26 | Ngk Insulators Ltd | 窒化珪素焼結体およびその製造方法 |
JPH0558742A (ja) * | 1991-01-30 | 1993-03-09 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 窒化珪素基セラミツクスの製造法 |
JPH0834670A (ja) * | 1994-07-26 | 1996-02-06 | Natl Inst For Res In Inorg Mater | 窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法 |
JPH08143400A (ja) * | 1994-09-20 | 1996-06-04 | Agency Of Ind Science & Technol | 高強度・高靱性窒化ケイ素焼結体及びその製造方法 |
-
1997
- 1997-08-20 JP JP9238854A patent/JPH1160338A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH03218974A (ja) * | 1990-01-23 | 1991-09-26 | Ngk Insulators Ltd | 窒化珪素焼結体およびその製造方法 |
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JP4641609B2 (ja) * | 2000-10-18 | 2011-03-02 | 日本碍子株式会社 | 耐蝕性部材 |
JP2003183078A (ja) * | 2001-12-17 | 2003-07-03 | Ngk Spark Plug Co Ltd | ガイドレール |
JP2019052072A (ja) * | 2017-09-19 | 2019-04-04 | 株式会社Maruwa | 窒化ケイ素焼結体基板、電子装置、及び、窒化ケイ素焼結体基板の製造方法 |
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