JPH11508549A - 治療活性物質または化粧品とくに皮膚処理剤としてのソホロリピドの使用 - Google Patents
治療活性物質または化粧品とくに皮膚処理剤としてのソホロリピドの使用Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、糖脂質に属するソホロリピドの化合物、その薬学的に受容できる塩、もしくはソホロリピド化合物を脱アセチル化し、そのカルボキシル基をエステル化した化合物の、人体または動物の医療処置の手段上有用な治療物質として、及び特にマクロファージ類の活性化剤として、線維素溶解剤として、癒合促進剤として、表皮剥離促進剤として、及び脱色素剤としての新しい用途に関する。
Description
【発明の詳細な説明】
治療活性物質または化粧品とくに皮膚処理剤としてのソホロリピドの使用
本発明は糖脂質に属するソホロリピドの新しい用途に関する。
ソホロリピドは別名ソホロサイドとも言い、一般に目的に適したバクテリアの
株を基質中で発酵させることによって得られる。ソホロリピドの製造方法は特に
FR−A−2,399,438.国際特許出願PCT/FR91/01027ま
たはUS−A−3,205,150およびUS−A−3,312,684および
刊行物JALS Vol 65,No9,1988,1460-1466,Asmer,H,Jetal;″
微生物学的生産、ソホローズ脂質類の構造の詳細と生物学的転換″中に記載があ
る。
ソホロリピド類には多数の種類がある。とくにソホローズの6’および6”の
位置がアセチル化されたラクトン体であるかどうか、或いは6’の位置がアセチ
ル化された酸型であるかどうか、脂肪酸についてはその炭素鎖の長さ、その不飽
和結合の数と位置、水酸基の位置等によって区別される。
特許請求WO95/34282はソホロリピド類の毛髪、皮膚に対する保護作
用とくにその抗ラジカル特
性及び抗エラスターゼ特性に関して例を挙げて記述している。US4,305,
961はソホロリピド類のすべての第二級アルコールとアセチル化されていたヒ
ドロキシル基とをエーテル化してヒドロキシアルキル体としたものを保湿剤とし
て配合した化粧品の組成に関して記載している。さらにイノウエはProc World c
onf.biotechnol fats oil,ind,1988,206-9″生物学的界面活性剤の化粧品分
野への応用″中で皮膚保湿剤としてのソホロリピド類について記述している。
ソホロリピド類はすでに特許EP−B209,783に記載があるようにラク
トン体の形でフケ防止のためのトリートメント剤として化粧品に応用されている
。またデオドラント製品中に静菌剤として配合されている例もある。
要約すれば、これらの文献はソホロリピド類の化粧品分野への応用に関するも
のである。
本発明の目的はソホロリピド類がこれらの既に提起された生物学的作用のほか
にも、一般的な皮膚のトリートメント作用および特に創傷の処置及びエステテイ
ックの仕上げ或いは皮膚疾患の治療に興味ある効果を示すことを明らかにする点
にある。
本発明はこれらの効果を持つところの一般式[1]または[2]で表されるソホロリ
ピド化合物に関する。式中R1は水素またはアセチル基を表す。R3が炭素数7〜
16の飽和炭化水素残基であるとき、R2は水素
または炭素数1〜9のアルキル残基を表し、またR3が不飽和炭化水素残基であ
るとき、R2は水素またはメチル基を表す。ヒトまたは動物の体の医療処置にお
いてこれらを有効物質として利用するときは[1]の化合物の薬学的に受容しうる
塩を用いる。また同様に本発明はヒトまたは動物の体の医療処置において一般式
[1]のソホロリピドを脱アセチル化し、カルボキシル基をエステル化した化合物
を応用することに関する。
本発明はとくにソホロリピド化合物が皮膚治療に効果を持つことによるその領
域への応用に関するものである。
本発明の特に好適な実施態様としては、このソホロリピド化合物がマクロファ
ージ活性化剤、線維素溶解剤、とくに創傷治療時の癒合促進剤、またはその角質
細胞の接着性に対する作用から表皮剥離(desquamation)の促進剤としての応用
が考えられ、或いはまた皮膚脱色素剤またはメラニン産生の部分的抑制とくに局
部的な褐色斑の処置への応用が考えられる。
本発明はまた薬学的に不活性な添加剤を含み且つ有効成分として、少くとも前
掲の式[1]または式[2]、または前掲の式[1]の塩または少くとも式[1]を脱アセチ
ル化し、カルボキシル基をエステル化したものを含むことによって特徴づけられ
る医薬品の組成物に関する。
また本発明は前掲の式[1]または式[2]または式[1]の塩または[1]を脱アセチル
化し、カルボキシル基をエステル化した化合物の表皮剥離を容易にするような、
また皮膚の脱色素作用を容易にするような化粧料の組成物への応用に関する。
本発明は以下の説明を読み、実施例を検討し、添付した表のデータを参照する
ことによって一層容易に理解できるだろう。表1は供試試料によってマクロファ
ージから遊離したインターロイキン1(以下、IL−1と略する)の量を表す。
表2はインビトロにおける線維素溶解(fibrinolyse)を示したものである。表
3Aと表3Bは本発明に係る生産物の毒性を、細胞の種類の差を考慮して示した
ものである。表4は表皮剥離のテスト結果を示したものである。表5は本発明に
係る生産物を接触させたメラニン産生細胞中のメラニンの量を試験した結果を示
したものである。
前掲の式[1]及び[2]が示すように、ソホロリピド類の脂質(リピド)部分は変
化する。一般のソホロリピド類は種々の異なるソホロリピドの混合物である。そ
して最も多いのは17−ヒドロキシ9−オクタデセン酸、別名17−ヒドロキシ
オレイン酸である。そのため以下に引用したすべての試験は酸型は式(a)のソホ
ロリピドで、ラクトン型は式(b)のソホロリピドで実施した。ソホロリピド(a)は
その塩またはエステル型のもので行ったとしても同様の結果が得られると考えら
れる。エステル型は、脱アセチル化した式[1]のソホロリピドのアルコール例え
ばメタノールの溶液をH+タイプのカルボン酸樹脂に通すことで得られる。この
操作によって脱アセチル化されたメチルエステルを得ることが出来る。ソホロリ
ピドの混合物によってはエステル化に先立って中和によって鹸化し、ほとんど全
てのソホロリピドを脱アセチル及び脱ラクトン化してからエステル化を行うこと
もある。ソホロリピドはまたNa,CaまたはMgのようなアルカリ金属或いは
アルカリ土類金属の塩とすることも出来る。
本発明の発明者は本発明におけるソホロリピド類が単球(monocyte)とマクロ
ファージを強く活性化する能力を示すことを、インターロイキン−1の放出をイ
ンビトロで証明することによって確認し、そのことから本発明におけるソホロリ
ピド類が前炎症症状を起こす作用があることを見いだした。サイトカイン類や成
長因子などの多くの因子が創傷の癒合過程に重要な役割を演じていることはよく
知られている。それらの因子の中では表皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長
因子(FGF)、血小板成長因子(PDGF)、形質転換増殖因子β(TGF−
β)などが知られている。これらに加えてインターロイキン−1(IL−1)の
ようなサイトカイン類や腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキン−6(I
L−6)などもまた創傷の癒合過程に重要な役割を演じている。これらの因子は
他の物質と協同してさまざまな方向から線維芽細胞のような皮膚及び表皮の各要
素の急激な増殖を誘導するために活動する。
IL−1の生物学的な作用についてはそれが多面発現的であることから関心が
もたれている。実際IL−1は生体の多くの種類の細胞の分化、生長および活性
に関与している。免疫系の中でIL−1は活性Tリンパ球によるインターロイキ
ン−2(IL−2)回路の活性化に必要な二次シグナルとして作用している。I
L−1はまた他のサイトカイン類の作用をも活性化す
る。またこれはBリンパ球の分化とその免疫グロブリンの生産に関与している。
IL−1はまた内皮細胞から化学伝達物質を放出させることによって脈管の透過
性を変化させる。またその表面から前凝固活性をもつ因子の産生を誘導する。ま
た線維芽細胞の増殖促進作用によって創傷の修復期にも関与する。
ソホロリピド類によるマクロファージの活性化効果を示すために、マクロファ
ージを含む培養液の上澄液についてエリザ(ELisa)−サンドウイッチテス
トを行った。このテストは例えばインターテストキット1X X(付着標識)によ
って実施することができ、ソホロリピドの効果をマクロファージからのIL−1
の放出によって証明することができる。ソホロリピド(酸型)及びソホロリピド
(ラクトン型)の存在によって放出されたIL−1のそれぞれの濃度を表1に示
した。比較の対象としては同様にIL−1を放出するリポポリサッカライドの、
IL−1の濃度としてほぼ近くなるように調製したもの用いた。また作用物質不
含品をコントロールとした。実験の結果、酸型のソホロリピドの10-5Mの濃度
でリポポリサッカライドの10-4Mの場合の2倍の作用を示した。このテストは
マクロファージからサイトカインの放出を誘発するという、ソホロリピドの活性
化剤としての効果を明瞭に示すものである。免疫系の中でマクロファージから種
々のIL、サイトカイン類および成長因子を同時に放
出させることから、ソホロリピド類は創傷の手当てまたは治癒の促進作用によっ
て一般外用剤などの医薬品として利用することができる。これらのソホロリピド
類は全ての型の創傷に適用できる。その一部を挙げれば例えば外傷性または縫合
などの外科的創傷、滲出性または慢性またはそれ以外の焼痂、褥そう、静脈瘤性
潰瘍、動脈炎等がある。創傷に対する処置として今日では多くの周知のガレヌス
的手法が取られている。それによって例えばソホロリピドはゲル、ポマード、固
形製剤とくに水性コロイド、アルギン酸不織布、ガーゼなどそれ自身が傷面の被
覆効果を持つ媒体に保持させて創傷面上に薄く広げることができる。ソホロリピ
ド類を基剤(デキストロアノマー、アルギン酸カルシウム、コラーゲン --)と
共に粉末または顆粒としたものは散布剤として同一用途に用いることができる。
またこれらのソホロリピド類は増粘性高分子化合物、安定剤、酸化防止剤、等張
化剤、緩和剤などの、薬学的に受容できる処方の構成に必要な製剤化のための公
知の添加剤に配合することができる。
マクロファージの活性化剤としてのソホロリピド類は種々の異なるサイトカイ
ンの放出を誘導する。これらサイトカインの役割の一つに遊走(走化性)単球の
創面における増加がある。ソホロリピドはサイトカインを介して間接的に他の種
々の細胞に働きかける。活性化したマクロファージは創傷部位に堆積するバクテ
リアや細胞や細胞の破片などを捕食する役割をする。この浄化作用は創傷の順調
な回復に不可欠なことである。特に焼痂のような慢性の創傷では壊死性線維が蓄
積するので、これらを除去することが治癒の初期段階である癒合の開始に必要な
のである。他の型の創傷の場合にも同様のことが言える。即ち滲出液の吸収と壊
死線維の再生を支援することである。要するにソホロリピド類はマクロファージ
を刺激することによって創傷部位を間接的に浄化するのである。
壊死斑に対するソホロリピド類の作用はさらに直接的である。実際、本発明者
はソホロリピド類が線維素溶解作用を持っていることをインビトロで、フィブリ
ン凝塊が明らかに溶解するのを見て確認した。この溶解は牛のトロンビンとヒト
のフィブリノーゲンから調製された試料について測定した。凝塊の上に、試料を
含む0.5mlのリン酸塩−食塩緩衝液を層積し、フィブリンゲルの厚みの変化
を4時間後と24時間後に測定することによってフィブリン溶解能力を定量した
。その結果を溶解した%で表して表2に示した。この活性は創傷面における凝塊
の溶解を支援し、焼痂斑にも作用して良好な癒合を形成する。また組織が良好に
酸素化されることを可能にする。その上ソホロリピド類はその界面活性作用によ
って分子や細胞の残滓を溶解し、創傷面の壊死細胞によるシミを除去する。この
最後の作用は後述する表皮の剥脱作用においてとくに
顕著である。
フィブリン溶解作用と界面活性による清浄化作用及びマクロファージ刺激作用
を併せ持つことは本発明に係る活性型のソホロリピド類を医療材料、医薬品とく
に創傷部の清浄化の段階で用いる製剤などの製造に有用な物質とした。ソホロリ
ピドの有効性とそれが無害であることから肉芽形成、上皮形成など創傷癒合のど
の段階にでも、その製剤中の配合量の調整によって対応することができる。それ
が可能なのは即ち表3A、表3Bに示したようにソホロリピドの毒性が低いから
なのである。
本発明に係る生産物の毒性は皮膚の二つのタイプの細胞、即ち線維芽細胞L9
29と別の皮膚線維芽細胞、細胞NCTC2544と表皮の角化細胞(ケラチノ
サイト)を用いたニュートラルレッドテストによって評価した。その結果を表3
A,表3Bに、コントロール(無処理)に対する細胞生存率(%)で表した。例
えば表3Aにおいてソホロリピド(酸型)の10-6Mの濃度まで、線維芽細胞は
コントロールに対して99.65%の生存率を示した。ここに掲げたデータを考
察することによって、酸型の毒性はラクトン型の1/10であることが確認され
た。これらの結果は既に明らかとなっている表1の結果と対応するものであるこ
とが分かる。
このことはソホロリピドの酸型が創傷治療への応用
の点でそのラクトン型よりもさらに有望であることを証明していると言えるだろ
う。
以下の実施例1〜3の2は、各々異なる製剤形態を呈し、各々異なる瘢痕形成
段階において使用する3種の医薬組成物に対応するものである。
それら医薬組成物中のソホロリピド化合物(ソホロ−ス含有糖脂質)濃度は、
通常、0.01〜5重量%(乾燥物質)である。しかしながら、かかる組成物の
枠内で考えられる濃度範囲は、乾燥物質として0.01〜35重量%であってよ
い。
実施例1:
下記の組成物は、創傷表面洗浄段階で用いるゲル組成物に相当する:
精製水 100にするだけの量
カルボマ−940 1%
トロメタミン 0.8%
ポリビニルピロリドン 1%
塩化ナトリウム 0.6%
イミダゾリジニル尿素 0.3%
クエン酸 0.1%
ソホロリピド 0.01〜5%
パンテノ−ル 0.6%
グルタミン酸 1%
メチルパラベン 0.2%
安息香酸ナトリウム 0.2%
ソルビン酸カリウム 1%
アセマンナンヒドロゲル 4%
メタ重亜硫酸ナトリウム 0.3%
実施例2:
下記の組成物は、肉芽形成段階で使用するパップ剤含浸ヒドロゲル組成物に相
当する。
アルギン酸プロピレングリコ−ル 5%
ポリクウォ−タ−ニウム−20 0.1%
ソホロリピド 0.01〜5%
精製水 100にするだけの量
実施例3および3の2:
下記の組成物は、ポリウレタンフイルムに膜状に塗布したヒドロゲル組成物に
相当し、その全体を上皮形成段階で使用する。
実施例3:
アセマンナン 5%
キサンタン 1%
ポリクウォ−タ−ニウム−10 2%
ソホロリピド 0.01〜5%
グルコン酸カリウム 0.2%
精製水 100とするだけの量
実施例3の2:
ソホロリピド 0.01〜5%
リパシド 0.05%
ソルビン酸カリウム 0.1%
精製水 100とするだけの量
創傷治療におけるソホロリピド類のこの作用と平行して、本発明の発明者は、
ソホロリピド類が、角質細胞(corneocyte)の剥脱に効果を及ぼして、生理的剥
離を促進することを確認した。製品の剥離作用は、表皮の保護層(角質層)の表
面部分を除去することにあることが想起される。この保護層は、角質細胞と呼ば
れる分化の最終段階のケラチノサイトで構成されている。乳酸などのヒドロキシ
酸類は、角質溶解剤が引き起こすような角質層表層角質細胞の崩壊を引き起こさ
ないことは既知である。実際は、それらは、あらたに形成される下層のレベルで
角質細胞の結合に作用することにより、角質層の厚みを減少させる。下記の実験
により、ソホロリピドの場合にもこの機能が証明された。この検討のための細胞
モデルとして、細胞分化促進条件下におかれたケラチノサイトの培養を選んだ。
選択した細胞モデルの角質細胞剥離に対する酸型のソホロリピドA、ラクトン型
のソホロリピドBおよび乳酸の作用を、インビトロで、平行して試験した。結果
は表4に示した。各実験において、差の平均値T60
−T0(角質細胞/ml)ならびに無処理コントロール(TN)に対する%で表
した角質細胞剥離率(%/TN)を求めた。サンプルとコントロールとの差の統
計的有意性(スチュ−デントのtテスト)はpで表現するが、それは、実施した
すべての試験について、0.001未満である。変動係数CVは次式によって求
める:
CV=(標準偏差/平均)×100(%)
ニュ−トラルレッド試験により測定した細胞の生存能力を、コントロールと比
較して表現する(%)。用量反応が実現されるとき、製品の活性は、濃度T20
0によって定義できる。T200は、コントロールで観察されるものの2倍の角
質細胞遊離を惹起する濃度である。表4は、乳酸の場合にT200がほぼ10-3
Mの濃度に相当するが、ソホロリピド類では濃度10-4Mに相当することを示し
ている。それゆえ、ソホロリピド類は、乳酸よりも10倍活性である。角質細胞
間結合に対するソホロリピド類のこの作用は、角質層の柔軟性に対する作用およ
び表皮水和作用を伴う。それゆえ、これらソホロリピド類は、皮膚科において、
魚鱗癬、アクネ、乾燥症、剥皮など、多くの適応に用いることができ、美容にお
いても、表皮剥離剤として、しわ防止剤として、または再生剤として採用できる
。すなわち、治療のための適用が、付随的に、美容上
の適用にもなる。これら美容上の適用は、欧州特許EP−B−209783に記
載されている美容上の適用と比較するとき、とりわけ驚くべきものである。すな
わち、この文書では、ふけ防止のためにソホロリピド類を使用している。しかし
、普通、ふけ処理のために表皮剥離用製品を使用することはない。期待する効果
に反する効果が得られるからである。それゆえ、ソホロリピド類の治療目的での
適用から導き出されたそれらの美容上の適用は、既知の美容上の適用という観点
から容易に類推できるものではない。創傷治療に関して上記したところと同様に
、表皮剥離を促進する医薬組成物または化粧品組成物の製剤形態は様々である。
例として、しわ防止・再生用クリームとして用いる場合の、皮膚表皮剥離促進化
粧品組成物の一つを以下に示す。
ステアリン酸グリセリルSE 12%
セテアレス(ceteareth)−12 1%
オクチルドデカノ−ル 10%
酸型ソホロリピド 0.01〜5%
ミリスチン酸イソプロピル 6%
コムギ胚芽油 4%
トケイソウ油 3%
グリセリン 5%
水 100とするだけの量
この表皮剥離作用と平行して、本発明のソホロリピド類がメラニン産生の部分
阻害剤として、またとくに脱色剤として、または治療上または美容上の褐色斑の
処置に使用できることも見出された。皮膚の老化が表皮の機能の低下をもたらす
ことは明らかである:メラニンがもはや皮膚表面に一様に生じることはなく、特
定の細胞の内部に集中し、褐色斑が、主として手、前腕および胸・肩・背の露出
部分に現れる。ソホロリピド類は、メラニン産生に影響を及ぼすことにより、と
くにメラニン産生を減少させることにより、この皮膚着色を漸進的に消去するこ
とを可能ならしめうる。この脱色作用は、表皮剥離剤というソホロリピド類の役
割からくるそれらの表層細胞剥脱に対する効果によって増幅される。ソホロリピ
ド類のこの作用を証明するために、つぎのように行った:メラニン形成細胞Aを
7日間および14日間を培養し、メラニン形成細胞を回収し、洗い(燐酸緩衝食
塩液:PBS)、遠心分離する(20000rpm、20分間、+4℃)。沈渣
をPBS/トライトン(Triton)X−100(1%v/v)にとり、30秒間超
音波処理する。細胞溶解液を超遠心分離する(105000rpm、40分間、
+4℃)。得られた沈渣をつぎに1mlのPBSにとる。比色法(バイオラッド
)によりタンパク質含量を測定し、つぎに1.5mg/mlに調整する。つぎに
、1N炭酸ナトリウムにより90℃で4時間加水分解
後、合成メラニン〔シグマ〕を用いて作成した色相標準と比較しての420nm
での分光光度計の読みにより、メラニン含量を求める。
これらの結果を対コントロール(TN)%すなわち%/TNとして、すなわち
つぎのようにして計算したメラニン合成増加百分率として表わす:
%/TN=100−(試験対象製品でのメラニン含量×100/コントロール中
のメラニン含量)
%/TNはコントロール(無処理)に相当する。
試験した製品は、ポリ不飽和脂肪酸であるリノレイン酸ならびに酸型ソホロリ
ピドAである。表5は、リノレイン酸とは反対に、酸型ソホロリピドがメラニン
合成の低減を引き起こすことを示している。褐色斑および皮膚の脱色への適用以
外に、治療上または美容上の様々の応用を考えることができる。従って、やはり
、製剤形態は様々になる。しかしながら、美容に使用するか治療に使用するかに
関わりなく、手のためのしわ防止クリ−ムの一例を以下に示す:
セテアレス30 13%
ココ脂肪酸PEG7グリセリル 20%
パラフィン油 5%
グリセリン 20%
水 100とするだけの量
ソホロリピド類の上記の利用はいずれも、局所適用に関して行われるだけであ
る。それら医薬製剤と化粧品製剤とが、利用のいくつかの場合において、同一で
はないにしてもきわめて類似した形態をもちうることは明らかである。
美容上の利用の範囲内では、本発明に従ったソホロリピド化合物の濃度は、乾
燥物質として0.01〜35重量%としうる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.一般式[1]または[2]の構造を持つソホロリピド化合物 (式中R1は水素またはアセチル基を表す。R3が炭素数7〜16の飽和炭化水素 残基であるとき、R2は水素または炭素数1〜9のアルキル残基を表し、またR3 が炭素数13から17の不飽和炭化水素残基であるとき、R2は水素またはメチ ル基を表す)、および人体または動物の医療処置の手段上有用な物質として使用 することが薬学的に受容できる式[1]の化合物の塩。 2.人体または動物の医療処置の手段上有用な物質として使用することができる 、脱アセチル化し且つカルボキシル基をエステル化した式[1]のソホロリピド化 合物。 3.その使用が皮膚の医療処置である、請求項1または2のソホロリピド化合物 。 4.その使用がマクロファージ類の活性化剤としてである、請求項1または2の ソホロリピド化合物。 5.その使用が線維素溶解剤としてである、請求項1または2のソホロリピド化 合物。 6.その使用が創傷の癒合促進剤としてである、請求項1または2のソホロリピ ド化合物。 7.その使用が表皮剥離促進剤としてである、請求項1または2のソホロリピド 化合物。 8.その使用がメラニン産生の部分的抑制剤としてである、請求項1または2の ソホロリピド化合物。 9.その使用が脱色素剤としてである請求項1または 2のソホロリピド化合物。 10.有効成分としての、少くとも請求項1で示した式[1]または[2]で表される 化合物または少くとも請求項1で示した式[1]の化合物の塩、または少くとも請 求項1で示した式[1]の化合物を脱アセチル化し且つそのカルボキシル基をエス テル化した化合物と、薬学的に不活性な賦形剤とを含む医薬組成物。 11.少くとも請求項1で示した式[1]または[2]で表される化合物、もしくは少 くとも請求項1で示した式[1]の塩、もしくは少くとも請求項1で示した式[1]の 化合物を脱アセチル化し、そのカルボキシル基をエステル化した化合物の、皮膚 からの表皮剥離を促進することを目的とした化粧料調製への使用。 12.少くとも請求項1で示した式[1]または[2]で表される化合物、もしくは少 くとも請求項1で示した式[1]の塩、もしくは少くとも請求項1で示した式[1]の 化合物を脱アセチル化し、そのカルボキシル基をエステル化した化合物の、皮膚 の脱色素を促進することを目的とした化粧料調製への使用。 13.そのソホロリピド化合物の配合量が、基剤乾燥重量当たり0.01〜35 %である、請求項11および12のいずれかの使用。
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