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JPH095322A - 生化学物質測定装置 - Google Patents

生化学物質測定装置

Info

Publication number
JPH095322A
JPH095322A JP7157425A JP15742595A JPH095322A JP H095322 A JPH095322 A JP H095322A JP 7157425 A JP7157425 A JP 7157425A JP 15742595 A JP15742595 A JP 15742595A JP H095322 A JPH095322 A JP H095322A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
saliva
sensor
concentration
biochemical substance
substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7157425A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Yamaguchi
昌樹 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP7157425A priority Critical patent/JPH095322A/ja
Publication of JPH095322A publication Critical patent/JPH095322A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B10/00Other methods or instruments for diagnosis, e.g. instruments for taking a cell sample, for biopsy, for vaccination diagnosis; Sex determination; Ovulation-period determination; Throat striking implements
    • A61B10/0045Devices for taking samples of body liquids
    • A61B10/0051Devices for taking samples of body liquids for taking saliva or sputum samples

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Measuring And Recording Apparatus For Diagnosis (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 非侵襲式の小型・軽量化した分析精度の高い
生化学物質測定装置を提供すること。 【構成】 本生化学物質測定装置1は、唾液の収集手
段として唾液吸引口11a及び減圧吸引口11bを備え
た吸引部材11と真空ポンプ20とからなる。装置本体
としてはCPU41と記憶装置42と表示装置50とか
ら構成される。この吸引部材11の唾液吸引口11aを
顎下腺管の開口部63を覆うように配置し、濾過材12
により濾過すれば測定される唾液中にセンサの生化学分
析を阻害する物質、例えば歯槽膿漏に起因して歯茎から
浸出する間質液や酵素等が混入しすることがなくなり、
検出精度が高くなる。このセンサにより酵素還元反応の
生成物の量を測定すれば、記憶装置42の対応情報によ
り血糖値が演算される。このため、非観血式の血糖値測
定装置を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体の血液中に含まれ
る所定の生化学物質、例えば糖分を測定するための生化
学物質測定装置に関し、特に非観血式の生化学物質測定
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、酵素の持つ厳密な分子識別機
能を巧みに利用したセンサ(バイオセンサと称する)が
種々考案され、生体の生理活性物質(生化学物質)の分
析に応用が進んでいる。たとえば、糖尿病治療において
はバイオセンサーが血糖計測技術に大きな変革をもたら
している。1970年代には、高分子にブドウ糖酸化還
元酵素であるグルコースオキシダーゼを固定化した酵素
膜を用いた血糖センサが開発され、それまで数十分から
1時間以上も必要であった血糖測定が数分で測定できる
ようになった。
【0003】しかし、これらのバイオセンサは被測定物
質として血液を用いていたので、患者は測定の度に採血
する必要があり、以下の問題点が未解決のまま残されて
いた。
【0004】即ち、採血時の肉体的苦痛や、血液を媒体
とするウイルス、例えばB型肝炎やAIDSへの感染の
恐れがあり、患者や看護者に常に精神的な不安感を与え
る等の問題がそれである。
【0005】これらの解決を図るために、光学的手法を
用いた非侵襲型の生理活性物質計測法が提案されてお
り、例えば七里元亮らの「血糖値の非侵襲的計測法―光
学的ブドウ糖センサの開発―、BME,Vol.5,No.
8,pp.16-21,1991」等が報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の光学的手法を用
いた血糖計測法では,ブドウ糖の吸光度をもとに血糖値
を推定するものであるが、ブドウ糖の吸収光の波長が9
〜11μmと長いために、その光源として赤外線が必要
である。しかし、現状の赤外線の光源、例えば赤外線レ
ーザは非常に大型であり冷却装置までも必要とすること
から、計測装置の小型化・携帯化が困難であった。
【0007】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、その目的は、従来のように採血
する必要がなく、小型化・携帯化が可能で分析精度の優
れた生化学物質測定装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明の生化学物質測定装置は、生体の分泌物として
口腔中に分泌される唾液を収集する収集手段と、その収
集手段により収集された唾液中に含まれる所定の生化学
物質の濃度に関連する情報を検出するセンサと、その生
化学物質に関する唾液中の濃度に関連する情報と血液中
の濃度との相関に関する対応情報を記憶する記憶手段
と、前記センサにより検出された前記生化学物質の濃度
に関連する情報と前記記憶手段に記憶された対応情報と
に基づき、血液中の生化学物質の濃度を算出する演算手
段とを備えた非観血式の生化学物質測定装置であって、
前記収集手段は、真空ポンプと、口腔内の顎下腺管の開
口部に装着可能な唾液吸引口と、その唾液吸引口に連通
されるとともに前記真空ポンプに接続される減圧吸引口
とからなる吸引部材とを備えている。
【0009】ここで、前記センサは、前記生化学物質を
反応させる少なくとも1種類の酵素と、前記反応により
生成される生成物の増減を検出するための電極とを備え
ていてもよい。
【0010】また、前記収集手段は、口腔中に収容可能
且つ前記センサに対して着脱可能に構成されていてもよ
い。
【0011】また、前記吸引部材は生化学物質の測定を
阻害する物質を通過するのを防ぐ濾過手段を備えていて
もよい。
【0012】また、前記酵素は少なくともグルコースオ
キシダーゼを含み、前記センサにより検出される生化学
物質の濃度はブドウ糖の濃度であってもよい。
【0013】
【作用】上記構成を有する本発明の生化学物質測定装置
に於いては、収集手段としての吸引部材の唾液吸引口を
口腔内の顎下腺管の開口部に装着し、真空ポンプを作動
させると、顎下腺から分泌された唾液のみが収集され、
センサにより収集された唾液に含まれる所定の生化学物
質の濃度に関連する情報が検出される。例えば、生化学
物質の量や濃度自体が検出されるのである。記憶手段は
前記所定の生化学物質に関して唾液中の濃度に関連する
情報と血液中の濃度との対応情報を記憶しており、演算
手段が前記センサにより検出された前記生化学物質の濃
度に関連する情報と前記記憶手段に記憶された対応情報
とに基づき、血液中の前記生化学物質の濃度を演算す
る。即ち、唾液は口腔内の顎下腺管の開口部から収集さ
れるので、収集された唾液中にセンサの生化学分析を阻
害する物質、例えば歯槽膿漏に起因して歯茎から浸出す
る間質液等が混入しないので分析精度が高まるのであ
る。
【0014】ここで、センサを前記生化学物質を反応さ
せる少なくとも1種類の酵素と、前記反応により生成さ
れる生成物の増減を検出するための電極とから構成する
場合には、センサから唾液中の生化学物質の濃度に比例
する電流値が検出され、濃度の検出が容易になる。
【0015】また、前記収集手段が口腔中に収容可能且
つ前記センサに対して着脱可能に構成されている場合
は、唾液の収集時にセンサを取り外しておけばセンサが
口腔中に接触する恐れがなくセンサの化学物質による生
体の悪影響が防止される。
【0016】また、前記吸引部材が生化学物質の測定を
阻害する物質を通過するのを防ぐ濾過手段を備える場合
には、仮に吸引部材の唾液吸引口から唾液以外に前記間
質液等が吸引されたとしても、唾液から前記間質液が除
去され、更に、唾液中の細菌、酵素等もまた除去される
ので、分析精度がより高まるのである。
【0017】また、前記酵素は少なくともグルコースオ
キシダーゼを含み、前記センサによる検出される生化学
物質の濃度はブドウ糖の濃度である場合は、血液の血糖
値を容易に把握することが可能となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を唾液中のグルコース濃度を測
定して血糖値を表示する非観血式(非侵襲式)の血糖値
測定器1に具体化した一実施例を、図1乃至図8を参照
して説明する。
【0019】図1は収集手段の一実施例を示す図であ
る。吸引部材11は、一側が拡径された円官形状をして
おり、拡径端部の端面が唾液吸引口11aとされ、他端
部の端面が減圧吸引口11bとされる。この唾液吸引口
11aは口腔内の顎下腺管の開口部に装着可能な形状及
び大きさである。また、前記拡径端部の前記唾液吸引口
11aよりも減圧吸引口側の内面には円板状の濾過材1
2が着脱可能に装着されている。この濾過材12は前記
唾液吸引口11aから吸引された唾液から不純物として
歯茎からの間質液や唾液中の細菌、酵素等を除去するた
めのものであり、樹脂、セラミック或いは紙からなる多
孔質材料を用いることが可能である。
【0020】この吸引部材11の減圧吸引口11bには
可撓性のチューブ13の一端が装着され、チューブ13
の他端は逆止弁14を介して3方活栓15の第1孔15
aに接続されている。この3方活栓15の残りの2孔の
うちの1孔15bは逆止弁16を介して唾液排出チュー
ブ18が接続され、他の1孔15cは逆止弁17,可撓
性チューブ19を介して真空ポンプ20に接続されてい
る。この真空ポンプ20には排気口21が取り付けられ
ている。この真空ポンプ20としては電動式のものであ
ってもよいし、手動式のものであってもよい。
【0021】また、3方活栓15の内部(唾液収容室)
には、後述のセンサ(バイオセンサ)30の測定部が取
着され、この測定部は電流測定部31に接続されてい
る。尚、このセンサ30は3方活栓15の内部に着脱可
能に設けることができる。また、着脱可能に設けない場
合にはセンサの耐久性に応じて1〜数百回の使用毎に使
い捨てとすればよい。この場合には3方活栓15を交換
することとなる。
【0022】前記吸引部材11,3方活栓15,真空ポ
ンプ20等により本発明の収集手段が構成される。
【0023】図2は血糖値測定器1の概略構成を示す図
である。血糖値測定器1は、前記3方活栓15に設けら
れたセンサ30にリード線で接続された電流検知部31
と、前記真空ポンプ20と、前記電流検知部からの検出
電流値を入力して所定の演算を行う演算部40と、演算
結果として血糖値を表示する出力手段としての液晶表示
方式の表示装置50とから構成されている。前記電流検
知部31は、後述のセンサの陽極と陰極との間に所定の
電圧を印加し、電流値を検出してその電流値をデジタル
出力するものである。前記演算部40は、CPU(演算
手段)41と記憶装置42と入出力ポートとから構成さ
れ、記憶装置42は後述の情報が記憶されたROM,演
算結果を一時記憶するためのRAMから構成されてい
る。このROMには制御プログラムや図8に示す唾液の
グルコース濃度と血糖値との対応関係を示す情報が記憶
されている。また、センサからの検出電流値I0と唾液
中のグルコース濃度との対応関係もまたROMに記憶さ
れている。
【0024】ここで、図3を参照しつつ唾液の収集方法
について説明する。図3は、生体の顎部に前記吸引部材
11を装着した時の状態を模式的に示した図である。
【0025】唾液を採取する場合は、まず吸引部材11
を口腔中の舌60の下に挿入し、唾液吸引口11aが顎
下腺管の開口部63を覆うように配置する。ここで、唾
液吸引口11aは比較的大きく形成されているので被検
者が大まかに配置しても確実に開口部63が覆われるの
である。この顎下腺管には顎下腺61及び舌下腺62が
開口しており、これらにより分泌された唾液は顎下腺管
を通って口腔に浸出しするのである。
【0026】ここで、逆止弁14、16を閉状態、逆止
弁17を開状態にし、真空ポンプ20を作動させて3方
活栓15の唾液収容室15a内を減圧する。この後、逆
止弁16、17を閉状態、逆止弁14を開状態にする
と、前記顎下腺61及び舌下腺62の唾液が3方活栓1
5内の唾液収容室15dに吸引される。ここに、吸引さ
れる唾液量は該3方活栓15の唾液収容室15dの容積
に応じて所定量に調節することが出来る。従って、後述
するように、センサ30により検出された生成物(酵素
による還元反応の生成物)の量と、唾液収容室15dの
容積に基づき、唾液中のグルコース濃度が算出可能であ
る。このとき前記濾過材12は、唾液中に含まれており
生化学物質の測定を阻害する物質、例えば細菌や酵素な
どの高分子物質(主に分子量5000以上)を濾過する
ためのものである。このような構成をとることにより、
唾液のみを選択的に収集することが可能となり、生化学
分析を阻害する物質、例えば歯槽膿漏に起因して歯茎か
ら浸出する間質液中の不純物や、口腔内の細菌、酵素を
取り除くことが可能となる。その結果、分析精度の優れ
た血糖値測定器を実現することが出来るのである。
【0027】本実施例では、特に濾過材を追加する例に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく前記
チューブ13に多孔質材を装着して濾過機能を具備させ
れば、さらに部品点数を減らし構造を簡単にすることも
可能である。また、本実施例のようにセンサ30は脱着
可能に構成されているので、唾液の収集時において該セ
ンサ30に含有される後述の化学物質が直接口腔に触れ
ることを防止することが可能となっているので、該化学
物質で生体が悪影響を受けることがないという利点を有
している。
【0028】次に、唾液のグルコース濃度から血糖値を
推定する方法を図4を参照しつつ説明する。
【0029】まず、唾液中のグルコース濃度と血糖値と
の相関関係を下記実験により確かめた。
【0030】歯槽膿漏が認められない健常な成人男子
(32歳)を被検者として経口糖負荷試験(Oral Gluco
se Tolerance Test,OGTT)をおこない、血液と唾液を1
0分間隔で2時間にわたって採取した。経口糖負荷試験
では、6時間絶食した被検者に75gのぶどう糖液(ト
レーランG、武田薬品工業株式会社)を服用させ、うが
いにより口腔内の残留物を洗浄した。試験中は安静に保
ち、副作用は認められなかった。血液の採取のために、
3方活栓を接続したサーフロリューチシン(太さ:20
ゲージ)を静脈に挿入し、血栓で閉塞しないようにヘパ
リン2ccを含む生理食塩水を25cc/hで静脈内点
滴した。血液の採取はこの3方活栓により行い、毎回リ
ューチシン内の血液2ccを排出した後に採血するよう
にした。唾液の採取は、舌下にロールワッテ(歯科用
綿)を挿入して主に顎下腺液・舌下腺液の混合唾液を毎
回5分間採取した。このロールワッテをディスポーザブ
ルのシリンジで圧縮して採取した唾液は、細菌や酵素を
除くために分画分子量5000の加圧式限外漉過器(日
本ミリポア株式会社、モルカット2- LCC)で30分か
けて漉過し、室温(約 25℃)で保存した。
【0031】血糖は、生化学自動分析装置(日立製作
所、7170)により採血の度にその都度測定した。唾液糖
は、グルコース測定用の酵素法試薬(和光純薬工業株式
会社、グルコースC2-テストワコー)を用いて行っ
た。酵素法試薬3.0mlに唾液100μlを混合・攪
拌し、37℃で 5分間加温することによって発色させ
た。そして、分光光度計(日立製作所、U-3200 形)で
波長505nmの吸光度を測定し、予め求めておいた検
量線(グルコース濃度=吸光度/0.0129)によっ
てグルコース濃度に換算した。本酵素法試薬の測定精度
は、100mg/dl以上の高濃度では±2%、1〜1
0mg/dlの低濃度では±10%である。
【0032】図4には、経口糖負荷試験における血糖と
唾液糖の経時変化を測定した結果を示した。空腹時の血
糖と唾液糖は各々92mg/dl、1.16mg/dl
であり、いずれも90分後には初期値に復帰した。ま
た、血糖と唾液糖の最大値は各々142mg/dl、
5.95mg/dlであり、血糖に対する唾液糖の時間
遅れは40分と認められた。本試験の結果は、血糖と唾
液糖との相関が認められるものであり、血糖の変動50
mg/dlが唾液糖の変化で判別できるものであった。
すなわち、唾液のグルコース濃度は血糖と相関を有して
いることが判る。従って、被検者は血糖値の測定のため
唾液採取の略1時間は絶飲絶食することになる。
【0033】尚、唾液中のグルコース濃度と血糖値の相
関関係に関しては、以下に列挙するように今までにいく
つかの研究も散見されている。
【0034】1)C.O.Reuterving:Pilocarpine-stimula
ted salivary flow rate andsalivary glucose concent
ration in alloxan diabetic rats. Influenceof sever
ity and duration of diabetes, Acta Physiol Scand,
126,pp.511-515,1986. 2)L.N.Forbat, R.E.Collins, G.K.Maskell, P.H.Sonk
sen:Glucoseconcentrations in parotid fluid and ven
ous blood of patientsattending a diabetic clinic,
Journal of the Royal Society ofMedicine, 74,pp.725
-728, 1981. 上記の実験にて得られた唾液中のグルコース濃度とその
時の血糖値との相関関係は前記ROM中に格納されてお
り、図8に示すグラフはその一例である。また、このR
OMには前記センサ30により検出された検出電流値
と、その時の唾液中のグルコース濃度との対応関係もま
た格納されているのである。この検出電流値I0は、唾
液中のグルコース濃度に比例するものである。
【0035】センサ30により検出された電流値I
0と、ROMに格納された対応情報に基づき、CPU4
1は唾液中のグルコース濃度を算出し、そのグルコース
濃度に対応する血糖値を算出して表示装置50に表示す
る。ここで、表示装置50に表示する替わりに、印字装
置に血糖値を印字することも可能であり、要するに、被
検者に血糖値が出力されればよいのである。
【0036】次に、本実施例のセンサ(酵素センサ;バ
イオセンサともいう)30について図5,6を使用して
説明する。
【0037】酵素センサ30は、基材31に高導電性材
料より成る電極32が着設され、その上に耐水性材料よ
り成る保護電極33が着設されている。前記電極32の
材質としては、金,銀,白金,プラチナ等の貴金属や、
銅,アルミニウムなどの金属材料が考えられる。また、
この電極32に水分が付着して腐食するのを防止するた
めに設けられる保護電極33は、それ自身が化学反応に
寄与しないことが望ましく、材質としてはカーボン等が
考えられる。ただし、この酵素センサを使い捨て式のセ
ンサとして用いる場合には、低コスト化のためにあえて
保護電極33を設ける必要はない。また、電極32に保
護電極33が着設されていない部位には、高分子などよ
り成る保護膜34が設けられている。さらに、前記保護
電極33上には、酵素膜35が設けられている。そし
て、この酵素膜35の経時変化を防止するために、該酵
素膜35は分離膜36で覆われている。該分離膜36
も、低コスト化のために省略することが出来る。この酵
素膜35に唾液が付着することによりグルコース濃度の
検出が行われるのであり、酵素膜35の部分がセンサの
測定部となるのである。
【0038】ここで、前記酵素センサ30の2次元形状
の一例を図6に示す。図6においては、前記電極32及
び保護電極33の形状を明確にするために、前記酵素膜
35及び分離膜36を省いた状態を示している。また、
電極32及び保護電極33は、各々陽極32a,33
a、陰極32b,33bの2つの部分から構成されてい
る。そして、点線Bで示した部分の内側に、前記酵素膜
35が形成される。そして、前記陽極32a,陰極32
bはリード線により前記電流測定部31に接続されてお
り、所定の電圧が印加されるのである。陽極端子と陰極
端子に所定の電圧が印加されると、後述の化学反応によ
る生成物(H22)の電気分解が行われるのである。
【0039】これら電極32、保護電極33及び保護膜
34の作成方法としては、例えばスクリーン印刷,エッ
チング,溶射等の方法によって形成することができる。
また、前記基材11,酵素膜35の母材,及び分離膜3
6の材質としては、例えば図7の表に挙げたものが考え
られる。
【0040】次に、前記酵素膜35及び分離膜36の作
成方法を以下に順を追って説明する。
【0041】1. 電極の前準備 1)純水1[L]に1[g]のカルボキシメチルセルロ
ース(以下、CMCと略す)を少量ずつ加えながら1〜
2時間攪拌した後に一晩放置し、0.1重量%のCMC
溶液を作成する。
【0042】2)保護電極33上に単位面積当たり0.
8[μL/mm2]のCMCを塗布する。
【0043】3)電極の劣化を防止するために、出来る
だけ低い温度、例えば40℃で1時間乾燥し、CMC層
を作成する。
【0044】2.酵素の溶解 例えば血糖センサを作成する場合には、10[mg]の
グルコースオキシダーゼを67[mL]の純水に混合
し、10[μM]の酵素溶液を作成する。このとき、酵
素の失活を防止するために、マグネチックスターラは使
用せず、手でゆっくりと攪拌するのが望ましい。
【0045】3.酵素の固定 1)16.463[g]のフェリシアン化カリウム(ヘ
キサシアノ鉄(3)カリウム、K3[Fe(CN)6])
を1[L]の純水に混合し、50[mM]のフェリシア
ン化カリウム溶液を作成する。
【0046】2)CMC溶液、酵素溶液及びフェリシア
ン化カリウム溶液各々10[mL]を1:1:1で加え
た混合水溶液を作成する。
【0047】3)混合水溶液を前記CMC層の上に単位
面積当たり1.0[μL/mm2]滴下した後40℃で1
時間乾燥し、酵素膜35を作成する。
【0048】4.分離膜の作成(必要に応じて行う) 1)1[g]のポリビニルピロリドン(以下、PVPと
略す)を100[g]のエタノールに混合し、約1時間
攪拌して、1重量%のPVP溶液を作成する。
【0049】2)PVP溶液を酵素膜35上に単位面積
当たり0.4[μL/mm2]展開し、40℃で20分間
乾燥させて分離膜36を形成する。
【0050】このように酵素膜35を構成する化学物質
は固体状態で保存されているので、経時的な変化の少な
い酵素膜を得ることが出来る。本実施例の酵素膜に固定
される酵素は前記グルコースオキシダーゼに限定させる
ものではなく、酸化還元酵素、加水分解酵素をはじめと
して種々の酵素を用いることが可能で、その結果グルコ
ース以外の生体生化学物質、例えばエタノール、乳酸,
尿酸,尿素,中性脂肪,総コレストロール,或いはピル
ビン酸などを測定するセンサを実現することが出来る。
【0051】また、酵素の固定化方法は物理的吸着法を
例にとって説明したが、これに限定されるものではな
く、例えば鈴木周一編:イオン電極と酵素電極,講談社
サイエンティフィック,1981年11月に開示されて
いるように、イオン結合法、共有結合法などの担体結合
法や、架橋法、包括法等を用いても良い。その他、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が考えられる。
【0052】本実施例の酵素膜に用いられて電気分解に
寄与する化学物質であるフェリシアン化カリウムは、一
般にメディエーターとも呼ばれているが、このフェリシ
アン化カリウムに限定させるものではなく、種々のイオ
ン化物質、すなわち金属や錯体を用いることが可能であ
る。
【0053】次に、本実施例の作用を説明する。
【0054】上述したようにして顎下腺61及び舌下腺
62の唾液が3方活栓15内の唾液収容室15dに吸引
されと、酵素センサ30の測定部に唾液が付着し、この
結果、唾液が電解質となり、前記酵素膜35に固定され
た酵素例えばグルコースオキシダーゼが唾液中に溶け出
すこととなる。その結果、酵素が触媒となって以下に示
される化学反応が行われる。
【0055】
【数1】
【0056】この時、前記電極32の陽極32a及び陰
極32bの間には所定電圧が印加されており、上記化学
反応で生成されたH22(酵素還元反応による生成物)
をもとに電気分解が発生する。以下の化学反応が行われ
るのである。
【0057】
【数2】
【0058】このとき、前記陽極32aと陰極32bの
間に流れる電流は、電流測定部31により測定され、そ
の値は前記H22の発生量に比例した値となる。即ち、
22の発生量が検出されるのである。式(1)からわ
かるように、このH22の量は前記β−D−グルコー
ス、すなわちブドウ糖の量に比例しているので、この電
流値I0は前記発汗に含まれるブドウ糖の量に比例する
ことが判る。
【0059】一方、センサ30の測定部に付着される唾
液量は、前記3方活栓15内の唾液収容室15aの容積
に等しいので、検出された電流値I0と、唾液量に基づ
いて唾液中のグルコース濃度が算出可能である。前記記
憶装置42のROMには、この電流値I0と唾液中のグ
ルコース濃度との対応関係が記憶されているので、検出
電流値I0に基づいて唾液中のグルコース濃度が算出さ
れることになる。
【0060】この検出電流値I0と、前記ROM中の対
応情報に基づいて血糖値が演算され、表示装置50に視
覚表示されるのである。
【0061】ここで、本実施例では検出電流値I0を一
旦唾液中のグルコース濃度に換算し、それを更に血糖値
に換算しているが、前記ROMに検出電流値I0(唾液
中のグルコース量)と血糖値との対応関係をそのまま記
憶させておき、直接血糖値を算出することも可能であ
る。これは、収集される唾液の量が略一定であるため、
検出されたグルコース量がその濃度と等価になるためで
ある。
【0062】本実施例によれば、口腔中に分泌される唾
液に含まれる物質を被測定物質として用いる事により、
小型化,軽量化して携帯化に適した生化学物質測定装置
を提供することができる。また、唾液中に含まれる不純
物を除去できるので検出精度を高めることができる。
【0063】尚、本発明は上述の実施例の血糖値測定器
にのみ限定されるものではなく、前述したように酵素セ
ンサ30には酸化還元酵素、加水分解酵素をはじめとし
て種々の酵素を用いることが可能で、その結果グルコー
ス以外の生体生化学物質、例えばエタノール,乳酸,尿
酸,尿素,中性脂肪,総コレストロール,或いはピルビ
ン酸などを測定する生化学物質測定装置を実現すること
も出来る。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したことから明らかなように、
本発明の生化学物質測定装置によれば、収集手段として
の吸引部材の唾液吸引口を口腔内の顎下腺管の開口部に
装着し、真空ポンプを作動させると、顎下腺から分泌さ
れた唾液のみが収集され、センサにより収集された唾液
に含まれる所定の生化学物質の濃度に関する情報が検出
され、記憶手段が前記所定の生化学物質に関して唾液中
の濃度に関する情報と血液中の濃度との対応情報を記憶
しており、演算手段が前記センサにより検出された前記
生化学物質の濃度に関する情報と前記記憶手段に記憶さ
れた対応情報とに基づき、血液中の前記生化学物質の濃
度を演算するように構成されている。このため、唾液は
口腔内の顎下腺管の開口部から収集されるので、従来の
ように採血する必要がなく、小型化・携帯化が可能であ
るばかりか、収集された唾液中にセンサの生化学分析を
阻害する物質、例えば歯槽膿漏に起因して歯茎から浸出
する間質液等が混入しないので分析精度を高めることが
できるという効果がある。
【0065】また、センサを前記生化学物質を反応させ
る少なくとも1種類の酵素と、前記反応により生成され
る生成物の増減を検出するための電極とから構成する場
合には、センサから唾液中の生化学物質の濃度に比例す
る電流値が検出され、濃度の検出が容易になり、回路構
成が簡単になって安価にできる効果を奏する。
【0066】また、前記収集手段が口腔中に収容可能且
つ前記センサに対して着脱可能に構成されている場合は
センサが直接口腔に接触しないので、センサに生体に対
する有害物質が使用されていたとしても生体への影響を
排除でき、実用的であるという効果を奏する。
【0067】また、前記吸引部材が生化学物質の測定を
阻害する物質を通過するのを防ぐ濾過手段を備える場合
には、仮に吸引部材の唾液吸引口から唾液以外に前記間
質液等が吸引されたとしても、唾液から前記間質液が除
去され、更に、唾液中の細菌、酵素等もまた除去される
ので、分析精度がより高まるのである。
【0068】また、前記酵素は少なくともグルコースオ
キシダーゼを含み、前記センサによる検出される生化学
物質の濃度はブドウ糖の濃度である場合は、血液の血糖
値を容易に把握することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の収集手段の一実施例の構成を示す図で
ある。
【図2】本実施例の血糖値測定器1の概略構成を示す図
である。
【図3】唾液の採取方法を示す説明図である。
【図4】唾液の中のグルコース濃度と血糖値との相関関
係を説明する図である。
【図5】酵素センサの一例を示す構成図である。
【図6】酵素センサの電極部分のみを示す平面図であ
る。
【図7】酵素センサの基材,酵素膜,分離膜の材質表を
示す図である。
【図8】記憶装置42に記憶された唾液中のグルコース
濃度と血糖値との対応関係を示す図である。
【符号の説明】
1 血糖値測定器(生化学物質測定装置) 10 収集手段 11 吸引部材 11a 唾液吸引口 11b 減圧吸引口 12 濾過材(濾過手段) 20 真空ポンプ 30 センサ 41 CPU 42 記憶装置 50 表示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 27/28 G01N 27/28 P 27/327 33/66 A 27/416 7823−4B C12Q 1/26 33/66 7823−4B 1/54 // C12Q 1/26 G01N 27/30 353R 1/54 27/46 336Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の分泌物として口腔中に分泌される
    唾液を収集する収集手段と、 その収集手段により収集された唾液中に含まれる所定の
    生化学物質の濃度に関連する情報を検出するセンサと、 その生化学物質に関する唾液中の濃度に関連する情報と
    血液中の濃度との相関に関する対応情報を記憶する記憶
    手段と、 前記センサにより検出された前記生化学物質の濃度に関
    連する情報と前記記憶手段に記憶された対応情報とに基
    づき、血液中の生化学物質の濃度を算出する演算手段と
    を備えた非観血式の生化学物質測定装置であって、 前記収集手段は、 真空ポンプと、 口腔内の顎下腺管の開口部に装着可能な唾液吸引口と、
    その唾液吸引口に連通されるとともに前記真空ポンプに
    接続される減圧吸引口とからなる吸引部材とを備えたこ
    とを特徴とする生化学物質測定装置。
  2. 【請求項2】 前記センサは、前記生化学物質を反応さ
    せる少なくとも1種類の酵素と、前記反応により生成さ
    れる生成物の増減を検出するための電極とを備えたこと
    を特徴とする請求項1に記載の生化学物質測定装置。
  3. 【請求項3】 前記収集手段は、口腔中に収容可能且つ
    前記センサに対して着脱可能に構成されていることを特
    徴とする請求項1または2に記載の生化学物質測定装
    置。
  4. 【請求項4】 前記吸引部材は生化学物質の測定を阻害
    する物質を通過するのを防ぐ濾過手段を具備したことを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の生化学物
    質測定物質。
  5. 【請求項5】 前記酵素は少なくともグルコースオキシ
    ダーゼを含み、前記センサにより検出される生化学物質
    の濃度はブドウ糖の濃度であることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれかに記載の生化学物質測定装置。
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