JP4248283B2 - 経皮的分析物測定システムおよび経皮的分析物測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体情報測定システムと方法に関するものであり、特に、生体組織中(血液中)の分析物を経皮的に非侵襲性または最小の侵襲度である抽出技術を用いて抽出し、抽出された分析物の量を再現性良く計測する経皮的分析物測定システムと方法に関する。
【0002】
【従来技術】
臨床検査においては、採血によって得られた血液中の物質の量や存在を測定することによって行われることが一般的である。糖尿病の患者は自分で頻繁に血糖値を測定し、この血糖値に基づいてインスリンの投与量を決定したり、食事制限や運動量等を決定する自己血糖管理を行ったりしている。このように糖尿病患者は一日に数回程度血糖値を測定する必要がある。通常、血糖値の測定は穿刺具等を用いて採取した血液試料の測定によって行われており、患者への肉体的苦痛や負担は決して少なくない。このような観点から、採血を伴わず患者への負担の少ない簡易検査が強く望まれている。
【0003】
このような要望に答えるため、血液を採取することなく非侵襲的に生体組織内の分析物を抽出して分析物の量や濃度を測定する方法が開発されてきている。このような測定方法としては、リバースイオントフォレシス法のように電気エネルギーを皮膚に付与することによって経皮的に分析物を抽出する方法を採用したもの(例えば特許文献1、特許文献2参照)、ソノフォレシス法のように超音波を皮膚に付与することによって皮膚のバリア機能を低下させ受動拡散を促進することにより経皮的に分析物を抽出する方法を採用したもの(例えば特許文献3、特許文献4参照)、ケミカルエンハンサー法のように皮膚にエンハンサーを付与することによって経皮的に分析物を抽出する方法を採用したもの、陰圧吸引法のように皮膚に陰圧を付与し吸引することによって経皮的に分析物を抽出する方法を採用したもの(例えば特許文献3参照)等が知られている。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5279543号明細書
【特許文献2】
国際公開第96/000110号パンフレット
【特許文献3】
国際公開第97/030628号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第97/030749号パンフレット
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した非侵襲的抽出方法を採用した測定方法や装置においては、抽出される分析物の量が経時的に変動してしまい、分析物量を安定して測定することが困難であった。また、例えばシグナス社から発売されているグルコウオッチでは、測定を平衡状態にさせるために実際の血糖値測定の開始前に装置を3時間程装着する必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、測定前に長時間待機する必要がなく、実際の生体内中の分析物量の変動に対する測定値の追随性に優れた経皮的分析物測定システムおよび経皮的分析物測定方法を提供するものである。
【0007】
即ち、本発明は、被験者の血糖値を経皮的に測定する経皮的分析物測定システムにおいて、被験者の皮膚の抽出領域の分析物透過パスを通じて生体組織中のグルコースを非侵襲的に抽出する抽出部と、抽出されたグルコースの量を測定する分析物量測定部と、前記抽出領域における分析物透過パス面積に基づいて前記グルコース量を血糖値と相関する値に補正する制御部とを備えたことを特徴とする経皮的分析物測定システムに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、非侵襲的に生体組織内の分析物を皮膚を介して抽出する。このような分析物の抽出方法としては、所定のエネルギーを皮膚に付与することによって、分析物が皮膚を透過するパス(汗腺や毛穴等のマクロポアや角質細胞の隙間等のミクロポア等)を形成し、このパスを通じて分析物を抽出する方法を採用することができる。
【0010】
一方、このように皮膚にマクロポアおよび/またはミクロポアからなる分析物透過パスを形成し、この分析物透過パスを通じて分析物を抽出する抽出方法においては、経時的に分析物の抽出量が変動してしまい安定した分析物量の測定が困難であるという問題がある。本発明者等は上記変動の要因に分析物透過パス面積の経時的な変動が起因していることを見出した。そして、分析物透過パス面積に基づいて抽出された分析物量を補正することによって、実際に採血して得られた測定値と相関のとれた分析物量を測定できることを見出したものである。
【0011】
本発明において、分析物透過パス面積とは、分析物を抽出する際に皮膚の抽出領域に形成された各分析物透過パスの開口面積の総和を意味する。分析物透過パス面積を求める方法としては、例えば、皮膚の抽出領域を染色して撮影し、得られた画像を解析して分析物透過パス面積を求める方法、あるいは皮膚の抽出領域に電力を印加した際の電気抵抗値等の通電結果から分析物透過パス面積を推定する方法等が挙げられる。以下に、電気抵抗値から分析物透過パス面積を推定する方法について説明する。
【0012】
皮膚の抽出領域に電極を配置して図1に示す電気回路を形成し、皮膚の電気抵抗値をRep、生体内の電気抵抗値をRsubとすると、通電時の合成抵抗Rは、下記式(1)で表わされる。
R=2×Rep+Rsub ・・・(1)
【0013】
一方、皮膚の構成組織には角質層、顆粒層、有棘層、基底層が存在するが、角質層の電気抵抗値が他の部分の電気抵抗値に比べて非常に大きいため、皮膚の電気抵抗値を考える場合には角質層の状況を考えればよい。分析物抽出中の皮膚の状態は、角質層中に分析物が透過できるパスが形成されている状態である。パスの数N(t)は、時間とともに変動し、それぞれの開口面積が一定でないため、各パスの抵抗値Riはそれぞれ異なる。この時、角質層の抵抗値をRscとすると、その電気回路は図2で示され、Repは以下の式(2)で表わされる。
【0014】
【数1】
【0015】
ここで、注目領域が小さく、角質層の状態に差が見られないと考えられる場合、各パスの抵抗値Riは、それぞれの開口面積Aiに反比例するので以下の(3)式で表わされる(式中、kは比例定数)。
Ri=k/Ai ・・・(3)
【0016】
式(3)を用いて、式(2)の全パスの合成抵抗(分母の括弧の部分)を求めると、以下の式(4)のようになる。
【0017】
【数2】
【0018】
式(4)を式(2)に代入し、角質層の抵抗値Rscが全パスの合成抵抗より非常に大きいとみなせるため、以下の式(5)が導かれる。
【0019】
【数3】
【0020】
式(5)においてA(t)は、任意の測定時刻tにおける全パスの面積の和である。式(1)および(5)よりある時刻tにおける皮膚の抵抗値をR(t)とすると、以下の式(6)が導かれ、この式(6)を用いて皮膚の電気抵抗値より全パスの面積和を推定することができる。
【数4】
A(t)=2k/(R(t)−Rsub) ・・・(6)
【0021】
次に、分析物がグルコースの場合に、パス面積の和による補正の有用性を確認するために、推定パス全面積を用いて透過グルコース量の補正を行った。ここで、グルコースは透過パスから抽出されること、各パスから抽出されるグルコース量は、血糖値に比例すること、血糖値が同じである場合、単位面積あたりから抽出されるグルコース量はパスによらず一定であること、を前提に単位面積あたりのグルコースの透過量をG(t)とすると、任意の時刻tにおいて、皮膚抵抗値と総抽出グルコース量gtotal(t)の間には下記式(7)の関係が成立する。
gtotal(t)=G(t)A(t)・・・(7)
【0022】
時刻t0においてキャリブレーションが行われており、実際の血糖値とG(t0)の関係が判明している場合、その時刻からのG(t)の変動率が分かれば時刻tにおける血糖値が計算できる。変動率をαとした場合、αは式(3)より以下の通り計算される。
【0023】
【数5】
【0024】
式(8)より、各測定時刻における抵抗値、抽出グルコース量の比から補正を行うことが可能である。また、比例定数kが求まっている場合、式(6)および(7)より下記式(9)の関係式が得られるので、直接G(t)を算出することが可能である。
【0025】
【数6】
【0026】
また、電源として定電流電源を用いる場合には、V(t)=R(t)×電流値、V(t0)=R(t0)×電流値、Vsub=Rsub×電流値であることから、上記式(8)は下記式(10)で表される。
【数7】
【0027】
なお、以上に測定時刻tにおける分析物透過パス面積を推定する方法について説明したが、測定時刻tを測定回数に変更してもよい。また、電源として定電圧電源を用いる場合には、I(t)=電圧値/R(t)、I(t0)=電圧値/R(t0)、Isub=電圧値/Rsubを用いて上記式(8)からαを求めることができる。
【0028】
図3は本発明の経皮的分析物測定システムを装置化し、経皮的分析物測定装置とした場合の制御回路の一例を示す模式図である。図3の経皮的分析物測定装置10は、上述した分析物量の補正制御並びに他の構成要素の動作制御を行う制御部1、被験者の皮膚に装着可能な陰極用電極および陽極用電極とこれらの電極に電圧を印加する電源と電圧計とを有する通電結果検出部2、被験者の皮膚の抽出領域において分析物を抽出する抽出部3、抽出部3によって抽出された分析物を測定し分析物量に対応する信号を出力する測定部(センサー)4、測定結果を表示出力する出力部5を備えている。制御部1はCPU、ROMおよびRAM等のメモリを備えており、メモリには動作プログラムや分析物量の補正処理プログラムが格納されると共に、通電結果検出部2や測定部4から入力されたデータを記憶する。
【0029】
上述した経皮的分析物測定装置は、制御部1、通電結果検出部2、抽出部3、測定部4および出力部5を全て一体化し被験者に装着可能にした構成であるが、一部の構成を別体としシステム化した構成でもよい。例えば、通電結果検出部2、抽出部3および測定部4を一体化構成として被験者に装着するようにし、制御部1および出力部5を別構成としてもよい。この場合、制御部1としてパーソナルコンピュータを用い、出力部5としてパーソナルコンピュータのディスプレイを用いることができる。また、通電結果検出部2および抽出部3を一体化構成として被験者に装着するようにし、測定部4、制御部1および出力部5を別構成としてもよい。このとき測定部4を制御部1および出力部5と一体的に構成しても、別構成としてもよい。また、上記経皮的分析物測定装置は皮膚の抵抗値等の通電結果から分析物透過パス面積を推定するために通電結果検出部2を有しているが、他の方法により分析物透過パス面積を求める場合には通電結果検出部2がない構成としてもよい。また、上記経皮的分析物測定装置は通電結果検出部2にて皮膚の抵抗値を検出することが好ましいが、電源として定電流電源を用いる場合には電圧値を検出し、また定電圧電源を用いる場合には電流値を検出するようにしてもよい。また、通電結果検出部2の電源あるいは電圧計を通電結果検出部2とは別体構成とし、他の構成部と一体化させてもよい。
【0030】
次に、測定された分析物量の補正方法の一例について説明する。まず被験者に装置を装着し、抽出部3による抽出並びに通電結果検出部2による抵抗値等の通電結果の検出を開始してから所定の待機時間が経過するのを待つ。これは測定開始直後には皮膚の表面や透過パス中に存在していた分析物が抽出されてしまい、測定が不正確になるからである。ここで待機時間は、被験者の皮膚の状態によって適宜設定すればよいが、目安としては0分〜30分の範囲内で設定することが好ましく、5分〜20分の範囲内で設定することがより好ましい。なお、予め被験者の皮膚表面や透過パス中に存在する分析物を除去する処理を行った後に測定を開始する場合には、待機時間を0分とすることが可能である。
【0031】
待機時間が経過した後、所定時間分析物の抽出を行いその間に抽出された分析物量g1の1回目の測定を行う。また、この所定時間内に検出された抵抗値の平均抵抗値R1を求める。1回目の測定により得られた平均抵抗値R1と上記式(6)から透過パス面積A1(=2k/(R1‐Rsub))が求められる。また、分析物量g1および透過パス面積A1と上記式(7)から単位面積当りの分析物透過量G1(=g1(R1−Rsub)/2k)が求められる。なお、1回目の分析物量の測定値g1に対してキャリブレーションを行い、測定値と血液等から測定した実際の分析物量との関係を較正しておくことが好ましい。分析物量g1に対するキャリブレーション結果をC1とする。
【0032】
次に1回目の測定後、所定時間分析物の抽出を行い、この間に抽出された分析物量g2の2回目の測定を行う。また、この所定時間内に検出された抵抗値の平均抵抗値R2を求める。1回目の測定の分析物量g1及び平均抵抗値R1と2回目の測定の分析物量g2及び平均抵抗値R2と式(8)から変動率α1が求められる。なお、生体内の抵抗値Rsubは実測値を設定するか、統計的に得られたデータを予め設定するか、抵抗値測定の際のデータからの予測値を使用すればよい。この予測値は以下のようにして求めることができる。例えば通電に定電流電源を用いた場合、抵抗値(=電圧値/電流値)は通電時間の経過と共に低下し、その後安定する。この安定した時の抵抗値をRsubの予測値とすることができる。このRsubの予測値は、所定時間通電した際の抵抗値あるいは電圧値の変化量から演算することができる。この変動率α1と分析物量g1とから分析物量g2の補正分析物量が求められ、また変動率α1と上記C1とから分析物量g2の補正キャリブレーション結果C2が求められる。ここでは、1回目の測定の平均抵抗値R1と分析物量g1とから求められる透過パス面積A1を透過パス面積基準値とし、また単位面積当りの分析物透過量G1を単位面積当りの分析物量基準値としている。
【0033】
その後同様に所定回数X(X=2・・・x)だけ、所定時間毎に分析物量gxおよび平均抵抗値Rxを測定し、その平均抵抗値Rxおよび分析物量gxから推定された単位面積当りの分析物透過量Gx並びに単位面積当りの分析物量基準値とを用いて、分析物量gxの補正分析物量や補正キャリブレーション結果を得ることができる。x回の測定が行われると測定を終了する。
【0034】
このような補正を行うことにより、抽出された分析物量を常に同じ透過パス面積における分析物量に補正しているため、透過パス面積の変動により分析物量が変動し、実際の生体内の分析物量との相関が取れなくなってしまう問題を解消することができる。
【0035】
また、上述したように抽出された分析物量を被験体の生体内の分析物量として出力するためには、被験体の血液から測定した分析物量と相関させれば良い。本発明によれば両者を相関させる場合も、最初に測定した分析物量と被験体の血液から測定した分析物量とのキャリブレーションを行うだけでよくなる。
【0036】
なお、以上においては、単位面積当りの分析物量と単位面積当りの分析物量基準値との比を用いて、分析物量gx(gtotal)を補正する方法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、透過パス数面積以外の補正項目があれば、透過パス面積変動の補正とそれ以外の補正項目による補正を測定された分析物量に対して行えばよい。また、透過パス面積および透過パス面積基準値との比を用いて、補正するようにしてもよい。また、上記においては所定時間内の平均抵抗値から透過パス面積を求めるようにしたが所定時間経過時の抵抗値から透過パス面積を求めるようにしても良い。また、上記においては1回目の測定において求めた単位面積当りの分析物量や透過パス面積を基準値としたが、任意の所定回目の測定において求めた単位面積当りの分析物量や透過パス面積を基準値としてもよい。また、上記においては分析物量を測定し補正するようにしたが分析物濃度を測定し補正するようにしてもよい。また、上記においては単位面積当りの分析物量と単位面積当りの分析物量基準値とを比較しその比を用いて分析物量の補正を行うようにしたが、これらの差を用いるようにしてもよい。また、各回の分析物量の測定は、連続的に行ってもよく、また間歇的に行ってもよい。
【0037】
本発明における抽出部で採用可能な非侵襲的な分析物抽出方法としては、汗腺や毛穴等のマクロポアや角質細胞の隙間等のミクロポアを分析物が皮膚を透過するパスとして使用して分析物を抽出する方法が使用可能である。このような抽出方法としては、例えば、皮膚の抽出領域に配置した電極間に電流を通電して生体中の分析物を抽出するリバースイオントフォレシス法、皮膚の抽出領域に超音波を照射して皮膚のバリア機能を低下させ受動拡散を促進することにより生体中の分析物を抽出するソノフォレシス法、皮膚の抽出領域を陰圧で吸引して生体中の分析物を抽出する陰圧吸引法、皮膚の抽出領域に分析物の経皮移動を促進するためのエンハンサーを付与するケミカルエンハンサー法等が挙げられる。また、透過パス数を増加させ分析物の抽出量を増やすため2種以上の抽出法を組合せて用いても良い。
【0038】
このような分析物抽出方法の中でもリバースイオントフォレシス法が好ましい。この場合分析物抽出用の電源としては直流電源、直流電源と交番電源の組み合わせが使用可能である。陰極と陽極との間に常に一定の抽出電流を付与する観点からは直流電源として定電流電源を用いることが好ましい。なお、リバースイオントフォレシス法の場合には分析物抽出用の電極および電源を透過パス面積検出用の電極および電源として兼用することができる。また、リバースイオントフォレシス法に、ソノフォレシス法、陰圧吸引法、ケミカルエンハンサー法等の方法を組合せて実施してもよい。
【0039】
図4はリバースイオントフォレシス法によって分析物の抽出を行う経皮的分析物測定装置10の制御回路を示す模式図である。図3の経皮的分析物測定装置と共通の構成については同じ符号を付している。図4の装置において、検出・抽出部6は電気エネルギーの付与により分析物を抽出するための、少なくとも陰極用電極と陽極用電極とこれらの電極に電圧を印加する定電流電源と電圧計とを備えている。そして、これらの電極および電源を透過パス検出用(抵抗検出用)の電極および電源としても使用している。
【0040】
図4の経皮的分析物測定装置においても、制御部1、検出・抽出部6、測定部4および出力部5を全て一体化し被験者に装着可能にした構成でも、一部を別体としてシステム化した構成でもよい。例えば、検出・抽出部6および測定部4を一体化構成として被験者に装着するようにし、制御部1および出力部5を別構成としてもよい。また、検出・抽出部6を被験者に装着するようにし、測定部4、制御部1および出力部5を別構成としてもよい。このとき測定部4を制御部1および出力部5と一体的に構成しても、別構成としてもよい。また、検出・抽出部6の電源あるいは電圧計を検出・抽出部6とは別体構成とし、他の構成部と一体化させてもよい。また、上記の経皮的分析物測定装置は検出・抽出部6にて皮膚の抵抗値を検出しているが、電源として定電流電源を用いる場合には電圧値を検出するようにしてもよい。
【0041】
図5はリバースイオントフォレシス法を採用した検出・抽出部6の概略構成図である。図5において、陰極用チャンバー11および陽極用チャンバー14が被験者の皮膚18上にセットされる。陰極用チャンバー11内には陰極用電極12および抽出物を収集するための抽出媒体13が収容され、陽極用チャンバー14内には陽極用電極15および抽出媒体16が収容されている。陰極用電極12および陽極用電極15は電源17に接続されており、電圧計19により電圧値をモニターできるようになっている。電源17は定電流電源である。また、抽出媒体13および抽出媒体16としては、抽出物を収集可能な固体、液体または半固体(例えばゲル)の物質が挙げられる。抽出媒体としては、例えば純水、イオン導電性水溶液、ヒドロゲル、イオン導電性ヒドロゲル等が挙げられる。また、抽出媒体として液体を用いる場合には、スポンジ等の吸水性多孔質材料や親水性ポリマー等に保持させて使用してもよい。
【0042】
電源17により電圧が印加されると陰極用電極12が負に、陽極用電極15が正に帯電される。正のイオン電荷を有する分析物は陰極側の抽出媒体13中に抽出され、負のイオン電荷を有する分析物は陽極側の抽出媒体16中に抽出される。また、グルコースは帯電されていない物質であるが主に陰極側の抽出媒体13中に抽出される。
【0043】
各回の分析物量の測定は、連続的に行ってもよく、また間歇的に行ってもよい。陰極用チャンバー11と陽極用チャンバー14のうち少なくとも分析物の抽出・測定を行うチャンバーについては、抽出・測定の度に交換可能なディスポーザブル構成としてもよい。特に分析物量の測定を間歇的に行う場合には、少なくとも分析物の抽出・測定を行うチャンバーをディスポーザブル構成とすることが好ましい。
【0044】
本発明によって測定される分析物としては、グルコースが好ましく、これ以外に乳酸、アスコルビン酸、アミノ酸、酵素基質、薬物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0045】
以下、分析物がグルコースの場合について説明する。本発明の測定部(センサー)で採用可能なグルコースの測定方法としては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた電気化学検出法、ヘキソキナーゼ法(HK法)、グルコースオキシターゼ(GOD)電極法、グルコースオキシターゼ(GOD)比色法等が挙げられる。このような測定法を用いた測定部は測定の度に交換可能なディスポーザブル構成とすることも可能である。
【0046】
このようにして測定されたグルコース量を上述した透過パス面積に基づいて補正することにより、採血によって測定した血糖値の変動に対する追随性が高く、血糖値と相関性のあるグルコース量とすることができる。
【0047】
以下、実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例) 図5において、陰極用チャンバー11および陽極用チャンバー14としてφ8mmのアクリル製チャンバーを用い、陰極用電極12としてリング状のAgClを用い、陽極用電極15としてリング状のAgを用いた。また、抽出媒体13および16として生理食塩水を用い、電源17として0.2mAの定電流電源を用いた。また、1回の抽出の通電時間は15分とした。生理食塩水中に採取されたグルコース量(濃度)は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた電気化学検出法を用いて測定した。
【0048】
まず、3時間絶食後の被験者の皮膚を洗浄し、陰極用チャンバー11、陽極用チャンバー14、陰極用電極12および陽極用電極15を被験者にセットした。チャンバー11および14に抽出媒体として生理食塩水を加え、0.2mAの定電流を15分間通電した。通電終了後、陰極用チャンバー11および陽極用チャンバー14内の生理食塩水を除去し、チャンバー11および14、電極12および15を洗浄した。
【0049】
(1回目の測定) チャンバー11および14に生理食塩水を加え、0.2mAの定電流を15分間通電した。通電期間中の電圧値を電圧計でモニターし、通電期間における平均の電気抵抗値R1を求めた。通電終了後、チャンバー11内の生理食塩水を採取し、生理食塩水中に抽出されたグルコース濃度をHPLCで測定した。その後チャンバー11および14、電極12および15を洗浄した。
【0050】
(2〜24回目の測定) 1回目の測定と同様の手順で2〜24回目の測定を繰返し行った。但し、8回目の測定後被験者が食事を取り、その後9回目以降の測定を実施した。
【0051】
この実施例においては、各回の測定において、通電期間中の電圧値をモニターし、通電期間における平均の電気抵抗値を求めた。また、補正処理プログラムが格納されたパーソナルコンピュータを用いて単位面積当りの分析物量および単位面積当りの分析物量基準値を決定し、これらを用いて各回の測定値の補正処理を行った。なお、被験者の生体内の抵抗値Rsubは4.19kΩであった。得られた測定結果のデータを表1に、また被験者から採血することにより測定した血糖値のデータを表2に示す。なお、表1中、「抽出グルコース濃度(補正無)」は1回目の抽出グルコース量に対してキャリブレーションを行い、グルコースの抽出量を濃度に換算するとともに実際の血糖値と相関させたものである。また、「抽出グルコース濃度(補正有)」は1回目の抽出グルコース量に本発明の補正処理を行った補正グルコース量に対してキャリブレーションを行い、グルコースの抽出量を濃度に換算するとともに実際の血糖値と相関させたものである。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
上記の測定結果を図6に示した。図6において、「◆」は採血により測定した血糖値を、「■」は本発明の補正処理を行った抽出グルコース濃度を、「▲」は補正処理を行っていない抽出グルコース濃度をそれぞれ表す。
【0055】
なお、図6において、測定点1点目(1回目の測定値)に対してキャリブレーションを行い、測定されたグルコースの抽出量を濃度に換算するとともに実際の血糖値と相関させている。そのため、測定1点目では実際の血糖値と測定値が等しい値を取っている。測定2点目以降、本発明の補正処理を行っていない抽出グルコース濃度の変動(図6中「▲」)は血糖値の変動と大きく異なっている。一方、本発明の補正処理を行った抽出グルコース濃度(図6中「■」)は、補正処理を行っていない抽出グルコース濃度に比べて実際の血糖値に追随するようになったことが理解される。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、測定前に長時間待機する必要がなく、実際の生体内中の分析物量の変動に対する追随性に優れた分析物量の測定値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 皮膚の抽出領域に電極を配置し通電した際の電気回路を示す図である。
【図2】 透過パスが形成された皮膚の電気回路を示す図である。
【図3】 本発明の経皮的分析物測定装置の一実施例を示す回路図である。
【図4】 本発明の経皮的分析物測定装置の一実施例を示す回路図である。
【図5】 本発明の経皮的分析物測定装置の抽出部を示す概略図である。
【図6】 抽出グルコース濃度および血糖値の時間変動を測定したグラフを示す図である。
【符号の説明】
1:制御部、2:通電結果検出部、3:抽出部、4:測定部、5出力部、6検出・抽出部、11:陰極用チャンバー、12:陰極用電極、13:抽出媒体、14:陽極用チャンバー、15:陽極用電極、16:抽出媒体、17:電源。
Claims (6)
- 被験者の血糖値を経皮的に測定する経皮的分析物測定システムにおいて、
被験者の皮膚の抽出領域の分析物透過パスを通じて生体組織中のグルコースを非侵襲的に抽出する抽出部と、
抽出されたグルコースの量を測定する分析物量測定部と、
前記抽出領域における分析物透過パス面積に基づいて前記グルコース量を血糖値と相関する値に補正する制御部とを備えたことを特徴とする経皮的分析物測定システム。 - 少なくとも一つは前記抽出領域に配置可能である複数の電極と、電極間に通電するための電源とを備え、前記分析物透過パス面積が電極間への通電結果から得られることを特徴とする請求項1記載の経皮的分析物測定システム。
- 前記抽出部が、少なくとも一つは前記抽出領域に抽出媒体を介して配置可能な複数の電極を備え、前記抽出部は電源による電極間への通電によって抽出領域の分析物透過パスを通じて生体組織中のグルコースを非侵襲的に前記抽出媒体中に抽出し、前記分析物透過パス面積は電極間への通電結果から得られることを特徴とする請求項1記載の経皮的分析物測定システム。
- 前記通電結果が抵抗値、電圧値または電流値であることを特徴とする請求項2または請求項3記載の経皮的分析物測定システム。
- 前記制御部が、分析物透過パス面積をパス面積基準値と比較し、この比較結果に基づいて前記グルコース量を血糖値と相関する値に補正することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の経皮的分析物測定システム。
- 前記比較結果が前記分析物透過パス面積と前記分析物透過パス面積基準値との比を含むことを特徴とする請求項5記載の経皮的分析物測定システム。
Priority Applications (2)
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