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JPH09226071A - 化粧フィルム・シート及び化粧材料 - Google Patents

化粧フィルム・シート及び化粧材料

Info

Publication number
JPH09226071A
JPH09226071A JP3451796A JP3451796A JPH09226071A JP H09226071 A JPH09226071 A JP H09226071A JP 3451796 A JP3451796 A JP 3451796A JP 3451796 A JP3451796 A JP 3451796A JP H09226071 A JPH09226071 A JP H09226071A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
film
decorative
layer
decorative film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3451796A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Kono
孝之 河野
Toshimi Nikaido
俊実 二階堂
Masahiko Endo
雅彦 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority to JP3451796A priority Critical patent/JPH09226071A/ja
Priority to DE1997637591 priority patent/DE69737591T2/de
Priority to CN97192490A priority patent/CN1093035C/zh
Priority to PCT/JP1997/000486 priority patent/WO1997030848A1/ja
Priority to KR10-1998-0706530A priority patent/KR100435138B1/ko
Priority to EP97904599A priority patent/EP0893247B1/en
Priority to US09/125,112 priority patent/US6617008B1/en
Priority to CA 2246513 priority patent/CA2246513C/en
Publication of JPH09226071A publication Critical patent/JPH09226071A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面層の透明性が良好で、Vカット加工性,
ラッピング加工性に優れ、かつ廃棄の問題のない化粧フ
ィルム・シートを提供すること。 【解決手段】 表面層及び/又は基材に、(A)(イ)
13C−NMRスペクトルによるペンタッド分率におい
て、rrrr/(1−mmmm)×100が15〜50
%、(ロ)DSCで測定した融解ピーク温度(Tm)が
150℃以上及び(ハ)DSCで測定した融解エンタル
ピー(ΔH)が100J/g以下であるプロピレンの単
独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン単位
を含有するプロピレン系共重合体からなるポリプロピレ
ン系樹脂、又は(B)このポリプロピレン系樹脂99〜
60重量%と熱可塑性エストラマー共重合体1〜40重
量%との樹脂組成物からなるフィルム又はシートを用い
た化粧フィルム・シート、及びこの化粧フィルム・シー
トを木質基材,金属基材,無機基材に接着してなる化粧
材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化粧フィルム・シー
ト及び化粧材料に関し、さらに詳しくは、表面層の透明
性が良好で、曲げ加工性,Vカット加工性,ラッピング
加工性に優れ、かつ焼却時に塩素ガスなどが発生しない
ため、廃棄の問題のない積層化粧フィルム・シート、及
びこのものを用いた化粧材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、家具や台所製品のキャビネットな
どの表面化粧板としては、一般に、木質系材料からなる
基材上に木目調柄などを印刷した化粧フィルム・シート
を接着剤で貼合した構造のものが用いられている。この
ような表面化粧板に使用される化粧フィルム・シートに
は、通常ラッピング加工性、すなわち基材が凹凸部や
複雑な形状を有する場合、その形状に合わせて貼合せが
可能な加工適性、Vカット加工性、すなわち貼合せ後
の表面化粧板にVカット加工を施し、箱の組立てや末端
部の折り曲げ加工する際の加工適性、などが求められて
いる。具体的には、化粧フィルム・シートの折り曲げ部
分に亀裂や切断、白化などの不都合が生じないことが求
められる。
【0003】該化粧フィルム・シートにVカット加工
性、ラッピング加工性を付与するために、これまで、一
般に塩化ビニル樹脂製フィルム・シートが用いられてい
た。しかしながら、この塩化ビニル樹脂は耐候性や耐汚
染性が悪く、かつVカット加工時の強度を得るために厚
みが必要な上、燃焼時に塩素ガスを発生するため、その
廃棄性が問題となっている。これらの問題点を改良する
ために、これまで種々の提案がなされてきたが、いずれ
も必ずしも充分に満足しうるものではなかった。例え
ば、特開平3−202347号公報では、塩化ビニル樹
脂の代わりに、熱可塑性樹脂が用いられているが、この
場合、強度を出すために二層構造となり、製造工程が増
加するという問題がある。特開平6−262729号公
報では、アクリル系樹脂が用いられているが、この樹脂
は吸水性が高く、寸法安定性の違いにより、反りが生じ
る可能性がある。特開平7−246684号公報では、
熱硬化性樹脂が用いられているが、この樹脂は製造時の
取扱いが困難であるという欠点を有している。また、特
開平7−17005号公報,同7−24979号公報,
同7−137205号公報,同7−232415号公報
ではポリエステル系樹脂が、特開平6−198831号
公報ではポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂が用
いられているが、これらの樹脂では柔軟性が充分とはい
えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、曲げ加工性,Vカット加工性,ラッピング加
工性などに優れ、しかも表面層の透明性が良好である
上、焼却時に塩素ガスなどが発生しないため廃棄の問題
のない化粧フィルム・シート、及びこのものを用いた化
粧木質材料などの化粧材料を提供することを目的とする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、表面層,接着
剤層,絵柄層,接着剤層及び基材からなる積層構造、又
は表面層,接着層及び絵柄層からなる積層構造を有する
化粧フィルム・シートにおいて、表面層や基材として、
特定のポリプロピレン系樹脂又はこのポリプロピレン系
樹脂と熱可塑性エラストマー共重合体とを特定の割合で
含有する樹脂組成物からなるフィルム又はシートを用い
ることにより、その目的を達成しうることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、表面層,接着剤層,絵柄層,接着
剤層及び基材からなる積層構造、又は表面層,接着剤層
及び絵柄層からなる積層構造を有する化粧フィルム・シ
ートにおいて、表面層又は基材あるいはその両方に、
(A)(イ)同位体炭素核磁気共鳴(13C−NMR)ス
ペクトルによるペンタッド分率において、rrrr/
(1−mmmm)×100が15〜50%、(ロ)示差
走査熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度
(Tm)が150℃以上及び(ハ)DSCにて測定した
融解エンタルピー(ΔH)が100J/g以下であるプ
ロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオ
レフィン単位を含有するプロピレン系共重合体からなる
ポリプロピレン系樹脂、又は(B)上記(A)成物のポ
リプロピレン系樹脂99〜60重量%と熱可塑性エラス
トマー共重合体1〜40重量%との樹脂組成物からなる
フィルム又はシートを用いたことを特徴とする化粧フィ
ルム・シートを提供するものである。また、本発明は、
上記化粧フィルム・シートを木質,金属,無機質基材に
接着してなる化粧木質材料,化粧金属材料,化粧無機材
料をも提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の化粧フィルム・シート
は、表面層,接着剤層,絵柄層,接着剤層及び基材から
なる積層構造、又は表面層,接着剤層及び絵柄層からな
る積層構造を有するものである。本発明においては、こ
の化粧フィルム・シートにおける表面層又は基材あるい
はその両方に、以下に示す(A)成分である特定の性状
を有するプロピレンの単独重合体及び/又は4重量%以
下の他のオレフィン単位を含有するプロピレン系共重合
体からなるポリプロピレン系樹脂、又は(B)成分であ
る上記(A)成分のポリプロピレン系樹脂と熱可塑性エ
ラストマー共重合体との樹脂組成物からなるフィルムや
シートが用いられる。ここで、上記(A)成分のプロピ
レンの単独重合体やプロピレン系共重合体の特定の性状
とは、下記の(イ)〜(ハ)に示す性状を指す。まず、
(イ)同位体炭素核磁気共鳴(13C−NMR)スペクト
ルによるペンタッド分率において、rrrr/(1−m
mmm)×100が15〜50%の範囲にあることが必
要である。この値が15%未満では耐熱性が不充分であ
り、また50%を超えると柔軟性が不足し、Vカット加
工性,ラッピング加工性が悪化する。耐熱性及び柔軟性
のバランスの面から、好ましいrrrr/(1−mmm
m)×100は20〜40%の範囲である。ここでrr
rrとは任意の連続する5つのプロピレン単位で構成さ
れる炭素−炭素結合による主鎖に対して、側鎖である5
つのメチル基が交互に反対方向に位置する立体構造ある
いはその割合を意味し、mmmmとは任意の連続する5
つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による
主鎖に対して、側鎖である5つのメチル基がいずれも同
方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。
【0007】なお、このrrrr/(1−mmmm)×
100は次のようにして測定した値である。すなわち、
JNM−FX−200(日本電子社製,13C−核共鳴周
波数50.1MHz)を用い、測定モード:プロトン完全
デカップリング法,パルス幅:6.9μs(45°),パ
ルス繰り返し時間:3s,積算回数:10000回,溶
媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(9
0/10容量%),試料濃度250mg/2.5ミリリッ
トル溶媒,測定温度:130℃の条件にて、13C−NM
R測定を行い、メチル基の立体規則性によるケミカルシ
フトの違いにより、すなわち、22.5〜19.5ppm領
域に現れるmmmm〜mrrmの各ピークの面積強度比
から、ペンタッド分率を測定し、rrrr/(1−mm
mm)×100の値を求めた。 mmmm:21.86ppm mmmr:21.62ppm mmrr:21.08ppm mmrm+rrmr:20.89ppm rrrr:20.36ppm mrrm:19.97ppm
【0008】次に、(ロ)示差走査熱量分析計(DS
C)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以
上であることが必要である。Tmが150℃未満では充
分な耐熱性が得られない。このTmは、通常150〜1
65℃の範囲である。なお、該Tmは、Perkin−
Elmer社製DSC−7を用いて測定を行い、JIS
K−7121に準拠して融解ピークの温度として求め
た値である。さらに、(ハ)DSCにて測定した融解エ
ンタルピー(ΔH)が100J/g以下であることを要
する。ΔHが100J/gを超えると柔軟性が損なわ
れ、Vカット加工性、ラッピング加工性が悪化する。ま
た、このΔHがあまり小さすぎると強度が不充分となる
ので、好ましいΔHは、10〜100J/gの範囲であ
る。なお、該ΔHは、Perkin−Elmer社製D
SC−7を用いて測定を行い、JIS K−7122に
準拠して、結晶融解時に吸収される総熱エネルギーとし
て求めた値である。なお、DSCの測定は、サンプルを
230℃に3分間保持した後、10℃/分で50℃まで
降温後、3分間保持し、10℃/分で230℃まで昇温
する条件で行った。
【0009】また、上記(A)成分のプロピレンの単独
重合体及び4重量%以下の他のオレフィン単位を含有す
るプロピレン系共重合体は、沸騰n−ヘプタン可溶分量
が7〜50重量%の範囲にあるものが好ましい。この沸
騰n−ヘプタン可溶分量が7重量%未満では柔軟性が不
足し、Vカット加工性,ラッピング加工性が悪化するお
それがあり、また、50重量%を超えると充分な機械的
強度や耐熱性が得られない。柔軟性,機械的強度及び耐
熱性のバランスの面から、より好ましい沸騰n−ヘプタ
ン可溶分量は10〜40重量%の範囲である。なお、沸
騰n−ヘプタン可溶分量は、ソックスレー抽出試験器を
用い、沸騰n−ヘプタンで6時間抽出した後の抽出残分
量から、可溶分量を算出して得られた値である。さら
に、このプロピレンの単独重合体及び4重量%以下の他
のオレフィン単位を含有するプロピレン系共重合体にお
いては、そのプロピレン連鎖部において、通常側鎖のメ
チル基を有する炭素が隣接して並ぶことはなく、すなわ
ち逆転結合はなく、一つおきに整然と並んでいる。つま
り、本発明においては、各プロピレン単位が頭−尾(he
ad-tail)結合により連結しており、頭−頭(head-head)
結合や尾−尾(tail-tail)結合は実質的に皆無である。
【0010】また、上記4重量%以下の他のオレフィン
単位を含有するプロピレン系共重合体において、他のオ
レフィン単位を形成するコモノマーのオレフィン類とし
ては、例えば、エチレン;ブテン−1;ペンテン−1;
4−メチル−1−ペンテン;ヘキセン−1;ヘプテン−
1;オクテン−1;ノネン−1;デセン−1などのα−
オレフィンを挙げることができる。これらの中では、エ
チレンが好適である。これらのオレフィン類はそれぞれ
単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても
よい。また、これらのコモノマーのオレフィン類は、得
られるプロピレン系共重合体中の該オレフィン類に由来
する単位の含有量が4重量%以下になるように用いるこ
とが必要である。本発明において、上記(A)成分とし
て用いられるポリプロピレン系樹脂は、メルトインデッ
クス(MI)が0.1〜50g/10分の範囲にあるのが
望ましい。このMIが0.1g/10分未満では成形が困
難であり、また50g/10分を超えると得られるフィ
ルムやシートの機械的物性が不充分となる。成形性及び
フィルムやシートの機械的物性のバランスの面から、よ
り好ましいMIは0.2〜30g/10分の範囲である。
なお、このMIは、JIS K7210に準拠し、荷重
2.16kgf,温度230℃の条件で測定した値であ
る。本発明における(A)成分のポリプロピレン系樹脂
は、例えば気相一段重合法,スラリー一段重合法,気相
多段重合法,スラリー多段重合法,又はブレンド法など
によって製造することができる。例えば、重合法によっ
て製造する場合には、 (a)(i)マグネシウム,チタン,ハロゲン原子及び
電子供与体からなる固体触媒成分、及び必要に応じて用
いられる(ii)結晶性ポリオレフィンから構成される固
体成分と、 (b)有機アルミニウム化合物と、 (c)一般式(I)
【0011】
【化1】
【0012】〔式中、R1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニ
トロ基を示し、mは1〜6の整数、nは0〜(6−m)
の整数を示す。〕で表されるアルコキシ基含有芳香族化
合物と、必要に応じて用いられる(d)電子供与性化合
物とからなる触媒系の存在下、プロピレンを単独重合又
はプロピレンとその他のオレフィン類とを共重合させれ
ばよい。上記(a)固体成分は、(i)成分のマグネシ
ウム,チタン,ハロゲン原子及び電子供与体からなる固
体触媒成分と、必要に応じて用いられる(ii)成分の結
晶性ポリオレフィンとから構成されている。該(i)成
分の固体触媒成分は、マグネシウム,チタン,ハロゲン
原子及び電子供与体を必須成分とするものであって、マ
グネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体とを接触
させることによって調製することができる。なお、この
場合、ハロゲン原子は、ハロゲン化物としてマグネシウ
ム化合物及び/又はチタン化合物などに含まれる。
【0013】該マグネシウム化合物としては、例えばマ
グネシウムジクロリドなどのマグネシウムジハライド、
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタル
サイト、マグネシウムのカルボン酸塩、ジエトキシマグ
ネシウムなどのジアルコキシマグネシウム、ジアリーロ
キシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、
アリーロキシマグネシウムハライド、エチルブチルマグ
ネシウムなどのジアルキルマグネシウム、アルキルマグ
ネシウムハライド、あるいは有機マグネシウム化合物と
電子供与体、ハロシラン、アルコキシシラン、シラノー
ル及びアルミニウム化合物等との反応物などを挙げるこ
とができるが、これらの中でマグネシウムジハライド、
ジアルコキシマグネシウム、ジアルキルマグネシウム、
アルキルマグネシウムハライドが好適である。またこれ
らのマグネシウム化合物は一種だけで用いてもよく、二
種以上を組み合わせて用いてもよい。また、マグネシウ
ム化合物として、金属マグネシウムとハロゲン及び/又
はハロゲン含有化合物とアルコールとの反応生成物を用
いることもできる。この際用いられる金属マグネシウム
は特に制限はなく、任意の粒径の金属マグネシウム、例
えば顆粒状、リボン状、粉末状などのものを用いること
ができる。また、金属マグネシウムの表面状態も特に制
限はないが、表面に酸化マグネシウムなどの被膜が生成
されていないものが好ましい。さらに、アルコールとし
ては任意のものを用いることができるが、炭素数1〜6
の低級アルコールを用いることが好ましく、特に、エタ
ノールは触媒性能の発現を著しく向上させる固体触媒成
分を与えるので好適である。アルコールの純度及び含水
量も限られないが、含水量の多いアルコールを用いると
金属マグネシウム表面に水酸化マグネシウムが形成され
るので、含水量が1重量%以下、特に2000ppm以
下のアルコールを用いることが好ましく、水分は少なけ
れば少ないほど有利である。
【0014】ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の
種類に制限はなく、ハロゲン含有化合物としては、ハロ
ゲン原子をその分子中に含む化合物であればいずれのも
のでも使用できる。この場合、ハロゲン原子の種類につ
いては特に制限されないが、塩素,臭素又はヨウ素、特
にヨウ素が好適に使用される。ハロゲン含有化合物の中
ではハロゲン含有金属化合物が特に好ましい。これらの
状態,形状,粒度などは特に限定されず、任意のもので
よく、例えばアルコール系溶媒(例えば、エタノール)
中の溶液の形で用いることができる。アルコールの使用
量は、金属マグネシウム1モルに対して通常2〜100
モル、好ましくは5〜50モルの範囲で選ばれる。アル
コール量が多すぎると、モルフォロジーの良好なマグネ
シウム化合物が得られにくい傾向がみられ、少ない場合
は、金属マグネシウムとの反応がスムーズに行われなく
なるおそれがある。ハロゲン及び/又はハロゲン含有化
合物は通常、金属マグネシウム1グラム原子に対して、
ハロゲン原子として0.0001グラム原子以上、好まし
くは0.0005グラム原子以上、さらに好ましくは0.0
01グラム原子以上の割合で用いられる。0.0001グ
ラム原子未満では、得られたマグネシウム化合物を粉砕
することなく用いた場合、担持量,活性,立体規則性,
生成ポリマーのモルフォロジーなどが低下し、粉砕処理
が不可欠なものとなり好ましくない。また、ハロゲン及
び/又はハロゲン含有化合物の使用量を適宜選択するこ
とにより、得られるマグネシウム化合物の粒径を任意に
コントロールすることが可能である。
【0015】金属マグネシウムとアルコールとハロゲン
及び/又はハロゲン含有化合物との反応それ自体は、公
知の方法を用いて行うことができる。例えば、金属マグ
ネシウムとアルコールとハロゲン及び/又はハロゲン含
有化合物とを、還流下で、水素ガスの発生が認められな
くなるまで、通常約20〜30時間反応させて所望のマ
グネシウム化合物を得る方法である。具体的には、例え
ばハロゲンとしてヨウ素を用いる場合には、アルコール
中に金属マグネシウム及び固体状のヨウ素を投入したの
ち、加熱し還流する方法、アルコール中に金属マグネシ
ウム及びヨウ素のアルコール溶液を滴下投入後加熱し還
流する方法、金属マグネシウムを含むアルコール溶液を
加熱しつつヨウ素のアルコール溶液を滴下する方法など
が挙げられる。いずれの方法も、例えば窒素ガス,アル
ゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で、場合により不活
性有機溶媒(例えば、n−ヘキサンなどの飽和炭化水
素)を用いて行うことが好ましい。金属マグネシウム、
アルコール、ハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物の
投入については、最初からそれぞれ全量を反応槽に投入
しておく必要はなく、分割して投入してもよい。特に好
ましい形態は、アルコールを最初から全量投入してお
き、金属マグネシウムを数回に分割して投入する方法で
ある。
【0016】このようにした場合、水素ガスの一時的な
大量発生を防ぐことができ、安全面から非常に望まし
い。また、反応槽も小型化することが可能となる。さら
には、水素ガスの一時的な大量発生により引き起こされ
るアルコールやハロゲン及び/又はハロゲン含有化合物
の飛沫同伴を防ぐことも可能となる。分割する回数は、
反応槽の規模を勘案して決めればよく、操作の煩雑さを
考えると通常5〜10回が好適である。また、反応自体
は、バッチ式,連続式のいずれでもよいことは言うまで
もない。さらには、変法として、最初から全量投入した
アルコール中に金属マグネシウムを先ず少量投入し、反
応により生成した生成物を別の槽に分離して除去したの
ち、再び金属マグネシウムを少量投入するという操作を
繰り返すということも可能である。こうして得たマグネ
シウム化合物を、次の固体触媒成分の調製に用いる場
合、乾燥させたものを用いてもよく、またろ別後ヘプタ
ンなどの不活性溶媒で洗浄したものを用いてもよい。い
ずれの場合においても、得られたマグネシウム化合物
は、粉砕あるいは粒度分布をそろえるための分級操作を
することなく次工程に用いることができる。
【0017】また、該チタン化合物としては、例えばテ
トラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−
n−プロポキシチタン,テトライソプロポキシチタン,
テトラ−n−ブトキシチタン,テトライソブトキシチタ
ン,テトラシクロヘキシロキシチタン,テトラフェノキ
シチタンなどのテトラアルコキシチタン、四塩化チタ
ン,四臭化チタン,四ヨウ化チタンなどのテトラハロゲ
ン化チタン、メトキシチタニウムトリクロリド,エトキ
シチタニウムトリクロリド,プロポキシチタニウムトリ
クロリド,n−ブトキシチタニウムトリクロリド,エト
キシチタニウムトリブロミドなどのトリハロゲン化モノ
アルコキシチタン、ジメトキシチタニウムジクロリド,
ジエトキシチタニウムジクロリド,ジプロポキシチタニ
ウムジクロリド,ジ−n−ブトキシチタニウムジクロリ
ド,ジエトキシチタニウムジブロミドなどのジハロゲン
化ジアルコキシチタン、トリメトキシチタニウムクロリ
ド,トリエトキシチタニウムクロリド,トリプロポキシ
チタニウムクロリド,トリ−n−ブトキシチタニウムク
ロリドなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタンなど
が挙げられるが、これらの中で高ハロゲン含有チタン化
合物、特に四塩化チタンが好適である。またこれらのチ
タン化合物は一種だけで用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0018】また、電子供与体としては、後で(d)成
分の電子供与性化合物として例示するものを用いること
ができる。該(i)固体触媒成分の調製は、公知の方法
(特開昭53−43094号公報,特開昭55−135
102号公報、特開昭55−135103号公報、特開
昭56−18606号公報、特開昭56−166205
号公報、特開昭57−63309号公報、特開昭57−
190004号公報、特開昭57−300407号公
報、特開昭58−47003号公報)で行うことができ
る。このようにして調製された(i)固体触媒成分の組
成は通常、マグネシウム/チタン原子比が2〜100、
ハロゲン/チタン原子比が5〜100、電子供与体/チ
タンモル比が0.1〜10の範囲にある。また、(a)固
体成分の調製において必要に応じて用いられる(ii)成
分の結晶性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチ
レン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ4−メチル−
1−ペンテンなどの炭素数2〜10のα−オレフィンか
ら得られる結晶性ポリオレフィンが挙げられる。この結
晶性ポリオレフィンは、(1)前記(i)固体触媒成分
と有機アルミニウム化合物と必要に応じて用いられる電
子供与性化合物とを組み合わせたものの存在下に、オレ
フィンを予備重合させる方法(予備重合法)、(2)粒
径の揃った結晶性ポリエチレンやポリプロピレンなどの
結晶性パウダーに、前記(i)固体触媒成分と必要に応
じて用いられる有機アルミニウム化合物と電子供与性化
合物(融点100℃以上)とを分散させる方法(分散
法)、(3)上記(1)の方法と(2)の方法とを組み
合わせる方法などを用いることにより得ることができ
る。上記(1)の予備重合法においては、アルミニウム
/チタン原子比は通常0.1〜100、好ましくは0.5〜
5の範囲で選ばれ、また電子供与化合物/チタンのモル
比は0〜50、好ましくは0.1〜2の範囲で選ばれる。
(a)固体成分における、(i)固体触媒成分と(ii)
結晶性ポリオレフィンとの割合については、(i)成分
に対する(ii)成分の重量比が通常、0.33〜200、
好ましくは0.10〜50の範囲になるように選ばれる。
【0019】次に、(b)成分として用いられる有機ア
ルミニウム化合物としては、一般式(II) AlR3 p 3-p ・・・(II) 〔式中、R3 は炭素数3〜20のアルキル基又は炭素数
6〜20のアリール基、Xはハロゲン原子、pは1〜3
の数を示す。〕で表される化合物を挙げることができ
る。例えば、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどの
トリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノ
クロリド、ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド、
ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジオクチルア
ルミニウムモノクロリドなどのジアルキルアルミニウム
モノハライド、エチルアルミニウムセスキクロリドなど
のアルキルアルミニウムセスキハライドなどを好適に使
用することができる。これらのアルミニウム化合物は一
種だけで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0020】本発明における触媒系には、(c)成分と
して、一般式(I)
【0021】
【化2】
【0022】〔式中、R1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水酸基又はニ
トロ基を示し、mは1〜6の整数、nは0〜(6−m)
の整数を示す。〕で表されるアルコキシ基含有芳香族化
合物が用いられる。
【0023】このアルコキシ基含有芳香族化合物の具体
例としては、m−メトキシトルエン;o−メトキシフェ
ノール;m−メトキシフェノール;2−メトキシ−4−
メチルフェノール;ビニルアニソール;p−(1−プロ
ペニル)アニソール;p−アリルアニソール;1,3−
ビス(p−メトキシフェニル)−1 −ペンテン;5−ア
リル−2−メトキシフェノール;4−ヒドロキシ−3−
メトキシベンジルアルコール;メトキシベンジルアルコ
ール;ニトロアニソール;ニトロフェネトールなどのモ
ノアルコキシ化合物、o−ジメトキシベンゼン;m−ジ
メトキシベンゼン;p−ジメトキシベンゼン;3,4−
ジメトキシトルエン;2,6−ジメトキシフェノール;
1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼンなどのジアル
コキシ化合物、1,3,5−トリメトキシベンゼン;5
−アリル−1,2,3−トリメトキシベンゼン;5−ア
リル−1,2,4−トリメトキシベンゼン;1,2,3
−トリメトキシ−5−(1−プロペニル)ベンゼン;
1,2,4−トリメトキシ−5−(1−プロペニル)ベ
ンゼン;1,2,3−トリメトキシベンゼン;1,2,
4−トリメトキシベンゼンなどのトリアルコキシ化合物
などが挙げられるが、これらの中でジアルコキシ化合物
及びトリアルコキシ化合物が好適である。これらのアル
コキシ基含有芳香族化合物は一種だけで用いてもよく、
二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】さらに、該触媒には、必要に応じ(d)成
分として電子供与性化合物が用いられる。この電子供与
性化合物は、酸素,窒素,リン,イオウ,ケイ素などを
含有する化合物であり、基本的にはプロピレンの重合に
おいて、規則性の向上性能を有するものが考えられる。
このような電子供与性化合物としては、例えば、有機ケ
イ素化合物,エステル類,チオエステル類,アミン類,
ケトン類,ニトリル類,ホスフィン類,エーテル類,チ
オエーテル類,酸無水物,酸ハライド類,酸アミド類,
アルデヒド類,有機酸類,アゾ化合物などを挙げること
ができる。
【0025】例えば、ジフェニルジメトキシシラン,ジ
フェニルジエトキシシラン,ジベンジルジメトキシシラ
ン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テ
トラフェノキシシラン,メチルトリメトキシシラン,メ
チルトリエトキシシラン,メチルトリフェノキシシラ
ン,フェニルトリメトキシシラン,フェニルトリエトキ
シシラン,ベンジルトリメトキシシラン,シクロヘキシ
ルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、モ
ノメチルフタレート,モノエチルフタレート,モノプロ
ピルフタレート,モノブチルフタレート,モノイソブチ
ルフタレート,モノアミルフタレート,モノイソアミル
フタレート,モノメチルテレフタレート,モノエチルテ
レフタレート,モノプロピルテレフタレート,モノブチ
ルテレフタレート,モノイソブチルテレフタレート,ジ
メチルフタレート,ジエチルフタレート,ジプロピルフ
タレート,ジブチルフタレート,ジイソブチルフタレー
ト,ジアミルフタレート,ジイソアミルフタレート,メ
チルエチルフタレート,メチルイソブチルフタレート,
メチルプロピルフタレート,エチルブチルフタレート,
エチルイソブチルフタレート,エチルプロピルフタレー
ト,プロピルイソブチルフタレート,ジメチルテレフタ
レート,ジエチルテレフタレート,ジプロピルテレフタ
レート,ジイソブチルテレフタレート,メチルエチルテ
レフタレート,メチルイソブチルテレフタレート,メチ
ルプロピルテレフタレート,エチルブチルテレフタレー
ト,エチルイソブチルテレフタレート,エチルプロピル
テレフタレート,プロピルイソブチルテレフタレート,
ジメチルイソフタレート,ジエチルイソフタレート,ジ
プロピルイソフタレート,ジイソブチルイソフタレー
ト,メチルエチルイソフタレート,メチルイソブチルイ
ソフタレート,メチルプロピルイソフタレート,エチル
ブチルイソフタレート,エチルイソブチルイソフタレー
ト,エチルプロピルイソフタレート,プロピルイソブチ
ルイソフタレートなどの芳香族ジカルボン酸エステル、
ギ酸メチル,ギ酸エチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢
酸ビニル,酢酸プロピル,酢酸オクチル,酢酸シクロヘ
キシル,プロピオン酸エチル,酪酸メチル,酪酸エチ
ル,吉草酸エチル,クロル酢酸メチル,ジクロル酢酸エ
チル,メタクリル酸メチル,クロトン酸エチル,ピバリ
ン酸エチル,マレイン酸ジメチル,シクロヘキサンカル
ボン酸エチル,安息香酸メチル,安息香酸エチル,安息
香酸プロピル,安息香酸ブチル,安息香酸オクチル,安
息香酸シクロヘキシル,安息香酸フェニル,安息香酸ベ
ンジル,トルイル酸メチル,トルイル酸エチル,トルイ
ル酸アミル,エチル安息香酸エチル,アニス酸メチル,
アニス酸エチル,エトキシ安息香酸エチル,p−ブトキ
シ安息香酸エチル,o−クロル安息香酸エチル,ナフト
エ酸エチルなどのモノエステル、γ−ブチロラクトン,
δ−バレロラクトン,クマリン,フタリド,炭酸エチレ
ンなどのエステル類、安息香酸,p−オキシ安息香酸な
どの有機酸類、無水コハク酸,無水安息香酸,無水p−
トルイル酸などの酸無水物、アセトン,メチルエチルケ
トン,メチルイソブチルケトン,アセトフェノン,ベン
ゾフェノン,ベンゾキノンなどのケトン類、アセトアル
デヒド,プロピオンアルデヒド,オクチルアルデヒド,
トルアルデヒド,ベンズアルデド,ナフチルアルデヒド
などのアルデヒド類、アセチルクロリド,アセチルブロ
ミド,プロピオニルクロリド,ブチリルクロリド,イソ
ブチリルクロリド,2−メチルプロピオニルクロリド,
バレリルクロリド,イソバレリルクロリド,ヘキサノイ
ルクロリド,メチルヘキサノイルクロリド,2−エチル
ヘキサノイルクロリド,オクタノイルクロリド,デカノ
イルクロリド,ウンデカノイルクロリド,ヘキサデカノ
イルクロリド,オクタデカノイルクロリド,ベンジルカ
ルボニルクロリド,シクロヘキサンカルボニルクロリ
ド,マロニルジクロリド,スクシニルジクロリド,ペン
タンジオレイルジクロリド,ヘキサンジオレイルジクロ
リド,シクロヘキサンジカルボニルジクロリド,ベンゾ
イルクロリド,ベンゾイルブロミド,メチルベンゾイル
クロリド,フタロイルクロリド,イソフタロイルクロリ
ド,テレフタロイルクロリド,ベンゼン−1,2,4−
トリカルボニルトリクロリドなどの酸ハロゲン化物類、
メチルエーテル,エチルエーテル,イソプロピルエーテ
ル,n−ブチルエーテル,イソプロピルメチルエーテ
ル,イソプロピルエチルエーテル,t−ブチルエチルエ
ーテル,t−ブチル−n−プロピルエーテル,t−ブチ
ル−n−ブチルエーテル,t−アミルメチルエーテル,
t−アミルエチルエーテル,アミルエーテル,テトラヒ
ドロフラン,アニソール,ジフェニルエーテル,エチレ
ングリコールブチルエーテルなどのエーテル類、酢酸ア
ミド,安息香酸アミド,トルイル酸アミドなどの酸アミ
ド類、トリブチルアミン,N、N’−ジメチルピペラジ
ン,トリベンジルアミン,アニリン,ピリジン,ピロリ
ン,テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、ア
セトニトリル,ベンゾニトリル,トルニトリルなどのニ
トリル類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパ
ン),2,2’−アゾビス(2−エチルプロパン),
2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)などのアゾ
結合に立体障害置換基が結合してなるアゾ化合物などが
挙げられる。
【0026】これらの中で有機ケイ素化合物、エステル
類,ケトン類,エーテル類,チオエーテル類,酸無水
物,酸ハライド類が好ましく、特に、ジフェニルジメト
キシシラン,フェニルトリエトキシシラン,シクロヘキ
シルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、
ジ−n−ブチルフタレート,ジイソブチルフタレートな
どの芳香族ジカルボン酸ジエステル、安息香酸,p−メ
トキシ安息香酸,p−エトキシ安息香酸,トルイル酸な
どの芳香族モノカルボン酸のアルキルエステルなどが好
適である。これらの電子供与性化合物は一種だけで用い
てもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒
系の各成分の使用量については、(a)固体成分はチタ
ン原子に換算して反応容積1リットル当たり、通常0.0
005〜1モルの範囲になるような量が用いられる。ま
た、(b)有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/
チタン原子の比が、通常1〜3000、好ましくは40
〜800になるような量が用いられ、この量が前記範囲
を逸脱すると触媒活性が不充分になるおそれがある。さ
らに、(c)アルコキシ基含有芳香族化合物は(a)固
体成分中のチタン原子に対するモル比が通常、0.01〜
500、好ましくは1〜300になるような割合で用い
られ、この量が0.01未満では生成ポリマーの物性が低
下するおそれがあり、500を超えると触媒活性が不充
分になるおそれがある。
【0027】本発明において、(A)成分のポリプロピ
レン系樹脂は、前記触媒系の存在下に、例えば一段重合
法にてプロピレンの単独重合又はプロピレンと少量の他
のオレフィンとを共重合させることにより製造すること
ができる。重合形式としては、特に制限はなく、スラリ
ー重合,気相重合,バルク重合,溶液重合,懸濁重合な
どが用いられる。気相重合により重合を行う場合、重合
圧力は通常10〜45kg/cm2 、好ましくは20〜
30kg/cm2 、重合温度は通常40〜90℃、好ま
しくは60〜75℃の範囲で適宜選ばれる。重合体の分
子量調節は、公知の手段、例えば、重合器中の水素濃度
を調節することにより行うことができる。また、重合工
程で比較的高分子量の(共)重合体を製造し、得られた
(共)重合体を有機過酸化物の存在下に溶融混練するこ
とにより調節することもできる。重合時間は5分〜10
時間程度で適宜選ばれる。
【0028】重合に際しては、触媒系を構成する各成
分、すなわち、(a)〜(d)成分を所定の割合で混合
し、接触させたのち、ただちに原料モノマーを導入し、
重合を開始してもよいし、接触後0.2〜3時間程度熟成
させたのち、原料モノマーを導入してもよい。さらに、
この触媒成分は不活性溶媒や原料モノマーのオレフィン
などに懸濁して供給することができる。重合後の後処理
は常法により行うことができる。すなわち、気相重合法
においては、重合後、重合器から導出されるポリマー粉
体に、その中に含まれる未反応モノマーなどを除くため
に、窒素気流などを通過させてもよい。また、所望に応
じて押出機によりペレット化してもよく、その際、触媒
を完全に失活させるために、少量の水、アルコールなど
を添加することもできる。また、バルク重合法において
は、重合後、重合器から導出されるポリマーから完全に
未反応モノマーを分離したのち、ペレット化することも
できる。
【0029】本発明においては、表面層や基材のフィル
ム又はシートとして、上記(A)成分のポリプロピレン
系樹脂を用いてもよく、また、(B)成分である該ポリ
プロピレン系樹脂と熱可塑性エラストマー共重合体との
樹脂組成物を用いてもよい。この(B)成分に用いられ
る熱可塑性エラストマー共重合体とは、成形加工温度に
おいて必要な可塑性、流動性という熱可塑性樹脂の特性
を示し、成形前又は成形後の常温下にはゴム的物性を示
す共重合体のことである。このような熱可塑性エラスト
マー共重合体としては、例えばスチレン−ジエン系共重
合エラストマー及びその水素添加物,エチレン−炭素数
3以上のα−オレフィン系共重合エラストマー,エチレ
ン−炭素数3以上のα−オレフィン−ポリエン系共重合
エラストマー及びその水素添加物,エチレン−不飽和カ
ルボン酸−α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合
エラストマー,アクリロニトリル系共重合エラストマー
などが挙げられる。
【0030】上記スチレン−ジエン系共重合エラストマ
ーとしては、例えばスチレン,α−メチルスチレン,ビ
ニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物と、ブタジエ
ン、イソプレンなどの共役ジエン化合物とのブロック共
重合体などが挙げられる。該芳香族化合物としては特に
スチレンが好ましく、また上記ブロック共重合体の形態
としては、シングルブロック共重合体、テレブロック共
重合体、ラジアルテレブロック共重合体、マルチブロッ
ク共重合体などが挙げられる。前記スチレン−ジエン系
共重合エラストマー中の芳香族ビニル化合物単位の含有
量は10〜50重量%の範囲が好ましく、この場合10
重量%未満では得られた組成物の成形性が劣る傾向にあ
り、50重量%を超えると低温衝撃性が低下する傾向が
みられる。また、上記ブロック共重合体の共役ジエン単
位部分を高度に水素添加することにより、主鎖中の不飽
和基を減少せしめて耐熱性を上げることも可能である。
特にスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合エ
ラストマーが好適である。
【0031】エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン
系共重合エラストマーは、例えばエチレンとプロピレ
ン,ブテン−1,ヘキセン−1,オクテン−1などとの
共重合体やエチレンとプロピレンとブテン−1などとの
共重合体などである。このようなものとしては、
(A)成分の存在下に二段重合して共重合されたもので
あってもよく、エラストマー単独で共重合されたもの
であってもよい。の場合には、エチレン単位含有量が
ほぼ10〜80重量%の共重合エラストマーであり、エ
チレン−プロピレン共重合体(エチレン単位含有量20
〜70重量%)が最も代表的である。またの場合に
は、エチレン単位含有量は、通常20〜90重量%程
度、好ましくは30〜85重量%である。
【0032】エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン
−ポリエン系共重合エラストマーにおいては、炭素数3
以上のα−オレフィンとして、例えばプロピレン,ブテ
ン−1,ヘキセン−1,ヘプテン−1,オクテン−1,
ノネン−1,デセン−1,ウンデセン−1,ドデセン−
1などが、一種又は二種以上用いられる。また、ポリエ
ンとしては、例えばブタジエン,イソプレン,ピペリレ
ンのような共役ジエン,1,4−ヘキサジエン;1,6
−オクタジエン;2−メチル−1,5−ヘキサジエン;
6−メチル−1,5−ヘプタジエン;7−メチル−1,
6−オクタジエン;シクロヘキサジエン;ジシクロペン
タジエン;メチルテトラヒドロインデン;5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン;5−メチレン−2−ノルボルネ
ン;5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン;6−ク
ロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンの
ような非共役ジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5
−ノルボルネン;2−エチリデン−3−イソプロピリデ
ン−5−ノルボルネン;2−プロペニル−2,2−ノル
ボルネン;1,3,7−オクタトリエン;1,4,9−
デカトリエンのようなトリエンなどを一種又は二種以上
用いることができるが、これらの中で共役ジエンや非共
役ジエンのジエン化合物が好適である。ポリエンの共重
合量は、エラストマーとしての特性が効果的に発揮され
るためには、共重合体のヨウ素価が30以下、好ましく
は5〜25の範囲になるように調節するのが有利であ
る。また、ヨウ素価が上記範囲になるように水素添加し
てもよい。
【0033】更に、エチレン−不飽和カルボン酸−α,
β−不飽和カルボン酸エステル系共重合エラストマーに
おいて用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばア
クリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、
シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸
などが挙げられ、これらは一種用いてもよいし、二種以
上を組み合わせて用いてもよい。また、α,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの
好ましくは炭素数3〜8のα,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸とメチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−プロピルアルコールなどの一
価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ールなどの二価アルコール、グリセリン、ペンタエリス
リトールなどの多価アルコールとのエステルが挙げら
れ、これらのエステルは一種用いてもよく、二種以上を
組み合わせてもよい。さらに、この共重合エラストマー
としては、所望により、前記不飽和カルボン酸の誘導
体、例えば酸無水物、アミド、イミド、金属塩などを共
重合させたものも用いることができる。
【0034】また、この共重合エラストマーは、エチレ
ン単位50〜95重量%、不飽和カルボン酸単位1〜1
0重量%及びα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エス
テル単位4〜49重量%を含有し、かつランダムに共重
合され、エラストマー特性を持つものが好適である。該
エチレン単位の含有量が95重量%を超える場合とか、
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単位が4
重量%未満のものは、エラストマー特性が充分に発現さ
れないおそれがあり、エチレン単位が50重量%未満の
場合とか、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステ
ル単位が49重量%を超えるものは低温衝撃性が低下す
る傾向にある。さらに不飽和カルボン酸単位が1重量%
未満のものは架橋性に劣り、また10重量%を超えるも
のはエラストマー特性が十分ではない。
【0035】一方、アクリロニトリル系共重合エラスト
マーとしては、例えばアクリロニトリルやメタクリロニ
トリルなどの不飽和ニトリルと、1,3−ブタジエンや
1,3−ヘキサジエンなどの鎖状ジエンとの共重合体、
アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−無水マレイン
酸三元共重合体、これらの共重合体のジエン部分を高度
に水添することにより、二重結合を飽和させた共重合体
などが挙げられる。本発明に係る上記熱可塑性エラスト
マー共重合体の諸特性は特に限定されるものではない
が、100℃におけるムーニー粘度が10〜80程度で
あり、引張伸びが500%以上であり、かつガラス転移
温度が−20℃以下のものが(A)成分のポリプロピレ
ン系樹脂の耐熱性を低下させることなく、その軟質化に
寄与する点で特に好適である。上記熱可塑性エラストマ
ー共重合体の中で、柔軟性,成形性,耐熱性などの点
で、特にエチレン−炭素数3以上のα−オレフィン系共
重合エラストマー,エチレン−炭素数3以上のα−オレ
フィン−ジエン系共重合エラストマー,スチレン−ジエ
ン系共重合エラストマー及びスチレン−ジエン系共重合
エラストマーの水素添加物が好適である。これらの熱可
塑性エラストマー共重合体は一種用いてもよく、二種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】本発明における(B)成分の樹脂組成物に
おいては、両成分の配合割合は、前記(A)成分のポリ
プロピレン系樹脂が99〜60重量%で、該熱可塑性エ
ラストマー共重合体が1〜40重量%である。熱可塑性
エラストマー共重合体量が40重量%を超えると透明性
が低下するとともに、柔軟性が過剰となる。また1重量
%未満では熱可塑性エラストマー共重合体を配合した効
果が充分に発揮されない。本発明においては、化粧フィ
ルム・シートの表面層及び/又は基材に、前記(A)成
分のポリプロピレン系樹脂又は(B)成分の樹脂組成物
からなるフィルム又はシートが用いられるが、このフィ
ルムやシートを成形する際、該ポリプロピレン系樹脂又
は樹脂組成物に、本発明の目的が損なわれない範囲で、
所望に応じ、プロセルオイル,他の熱可塑性樹脂,変性
ポリオレフィン,各種安定剤,無機又は有機充てん剤,
帯電防止剤,塩素捕捉剤,アンチブロッキング剤,防曇
剤,有機系難燃剤,難燃助剤,加工助剤,ブルーミング
抑制剤,ワックスなどを配合することができる。
【0037】上記プロセスオイルは、通常、合成ゴムの
加工時の軟化剤として使用されるものがそのまま適用で
きる。このプロセスオイルを使用することにより、特に
(B)成分において、両成分の混練時における熱可塑性
エラストマー共重合体の分子の動きがよくなり、内部摩
擦に基づく混練発熱を減少することができる。更には
(A)成分や(B)成分の成形加工性、成形品の屈曲
性、引張強度、耐摩擦性等の向上に寄与する。このプロ
セスオイルとしては鉱油、合成油を問わず適用でき、鉱
油の具体例としては、パラフィン基系原油、中間基系原
油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸溜して得られる留
出油、該常圧蒸溜残渣油の減圧蒸溜で得られる留出分の
精製油とか深脱ロウ油等を挙げることができる。合成油
としてはアルキルベンゼン、ポリブテン、ポリ(α−オ
レフィン)等が例示できる。
【0038】本発明に適用できるプロセスオイルに要求
される特性としては、特に限定されるものではないが、
特に(B)成分における両成分の混練には、40℃にお
ける動粘度が10〜1000cStのもの、特に20〜
700cStのものが好ましく使用される。上記他の熱
可塑性樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、高密
度ポリエチレン、他のポリプロピレン、ポリブテン,ポ
リ塩化ビニル,ポリスチレン、ポリアミド等の他、
(B)成分で用いられる熱可塑性エラストマー共重合体
に属しない共重合体のエチレン−ブテン−1共重合体,
エチレン−ヘキセン−1共重合体,エチレン−オクテン
−1共重合体などの直鎖状エチレン−α−オレフィン共
重合体、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエステル、ポ
リカーボネートなどが挙げられる。
【0039】これらの中でも、各種ポリエチレン,他の
ポリプロピレン,ポリブテンなどのポリオレフィン系樹
脂が相溶性の点で好ましく、特にポリエチレン,エチレ
ン−α−オレフィン共重合体が好ましい。また、変性ポ
リオレフィンとしては、例えばポリエチレン,ポリプロ
ピレン,エチレン−α−オレフィン共重合体,エチレン
−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(例え
ばEPDMなど),エチレン−芳香族モノビニル化合物
−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィン
を、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸などの不飽
和カルボン酸,無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸
の無水物、アクリル酸メチル,マレイン酸モノメチルな
どの不飽和カルボン酸のエステル、アクリル酸アミド,
マレイン酸モノアミドなどの不飽和カルボン酸のアミ
ド、マレイミド,N−ブチルマレイミドなどの不飽和カ
ルボン酸のイミドなどを用いて化学変性したものが挙げ
られる。この化学変性方法としては、例えば該ポリオレ
フィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシ
ドなどのラジカル発生剤を用いて、前記不飽和カルボン
酸やその誘導体と反応させる方法などを用いることがで
きる。
【0040】上記、各種安定剤としては酸化劣化、熱劣
化等に対する安定剤の使用が最も一般的であり、例え
ば、フェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、
チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤など
を用いることができる。フェノール系安定剤としては、
従来公知のもの、例えば、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4
‐メチルフェノール、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐エ
チルフェノール、2,6‐ジシクロヘキシル‐4‐メチ
ルフェノール、2,6‐ジイソプロピル‐4‐エチルフ
ェノール、2,6‐ジ‐t‐アミル‐4‐メチルフェノ
ール、2,6‐ジ‐t‐オクチル‐4‐n‐プロピルフ
ェノール、2,6‐ジシクロヘキシル‐4‐n‐オクチ
ルフェノール、2‐イソプロピル‐4‐メチル‐6‐t
‐ブチルフェノール、2‐t‐ブチル‐2‐エチル‐6
‐t‐オクチルフェノール、2‐イソブチル‐4‐エチ
ル‐5‐t‐ヘキシルフェノール、2‐シクロヘキシル
‐4‐n‐ブチル‐6‐イソプロピルフェノール、スチ
レン化混合クレゾール、dl‐α‐トコフェロール、t
‐ブチルヒドロキノン、2,2′‐メチレンビス(4‐
メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、4,4′‐ブチ
リデンビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノー
ル)、4,4′‐チオビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチ
ルフェノール)、2,2′‐チオビス(4‐メチル‐6
‐t‐ブチルフェノール)、4,4′‐メチレンビス
(2,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐メ
チレンビス[6‐(1‐メチルシクロヘキシル)‐p‐
クレゾール]、2,2′‐エチリデンビス(4,6‐ジ
‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐ブチリデンビス
(2‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール)、1,1,
3‐トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t‐ブ
チルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール‐ビス
[3‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐4‐ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、1,6‐ヘキサンジオー
ル‐ビス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、2,2′‐チオジエ
チレンビス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′‐ヘキサ
メチレンビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキ
シ‐ヒドロシンナミド)、3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4
‐ヒドロキシベンジルホスホネート‐ジエチルエステ
ル、1,3,5‐トリス(2,6‐ジメチル‐3‐ヒド
ロキシ‐4‐t‐ブチルベンジル)イソシアヌレート、
1,3,5‐トリス[(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐
ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソ
シアヌレート、トリス(4‐t‐ブチル‐2,6‐ジメ
チル‐3‐ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
2,4‐ビス(n‐オクチルチオ)‐6‐(4‐ヒドロ
キシ‐3,5‐ジ‐t‐ブチルアニリノ)‐1,3,5
‐トリアジン、テトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐
ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]メタン、ビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒ
ドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、ビス
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジルホ
スホン酸エチル)ニッケル、ビス[3,3‐ビス(3‐
t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)ブチリックアシ
ド]グリコールエステル、N,N′‐ビス[3‐(3,
5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピ
オニル]ヒドラジン、2,2′‐オキザミドビス[エチ
ル‐3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、ビス[2‐t‐ブチル‐4
‐メチル‐6‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐2‐ヒ
ドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、1,
3,5‐トリメチル‐2,4,6‐トリス(3,5‐ジ
‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
3,9‐ビス〔1,1‐ジメチル‐2‐[β‐(3‐t
‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)プロ
ピオニルオキシ]エチル〕‐2,4,8,10‐テトラ
オキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2‐ビス〔4
‐[2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシヒ
ドロシンナモイルオキシ)]エトキシフェニル〕プロパ
ン及びステアリル‐β‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジ
‐t‐ブチルフェノール)プロピオネートなどのβ‐
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)
プロピオン酸アルキルエステルなどが挙げられる。これ
らの中では、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェ
ノール、ステアリル‐β‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐
ジ‐t‐ブチルフェノール)プロピオネート、2,2′
‐エチリデンビス(4,6‐ジ‐t‐ブチルフェノー
ル)及びテトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジ‐t
‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
メタンが好適である。
【0041】また、有機ホスファイト系安定剤として
は、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリル
ホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス
イソデシルホスファイト、フェニルジイソオクチルホス
ファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニ
ルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオク
チルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイ
ト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリフェニル
ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、テト
ラトリデシル‐4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル
‐6‐t‐ブチルフェノール)‐ジホスファイト、4,
4′‐イソプロピリデン‐ジフェノールアルキルホスフ
ァイト(ただし、アルキルは炭素数12〜15程度)、
4,4′‐イソプロピリデンビス(2‐t‐ブチルフェ
ノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス
(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)‐
1,1,3‐トリス(2‐メチル‐5‐t‐ブチル‐4
‐ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス
(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)
ホスファイト、水素化‐4,4′‐イソプロピリデンジ
フェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニ
ル)・ビス[4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル‐
6‐t‐ブチルフェノール)]・1,6‐ヘキサンジオ
ールジホスファイト、ヘキサトリデシル‐1,1,3‐
トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t‐ブチル
フェノール)ジホスファイト、トリス[4,4′‐イソ
プロピリデンビス(2‐t‐ブチルフェノール)]ホス
ファイト、トリス(1,3‐ジステアロイルオキシイソ
プロピル)ホスファイト、9,10‐ジヒドロ‐9‐ホ
スファフェナンスレン‐10‐オキシド、テトラキス
(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)‐4,4′‐ビフ
ェニレンジホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリ
トールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、フェニル・4,4′‐イ
ソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト及びフェニルビスフェノール
‐A‐ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げ
られる。これらの中では、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト及びテトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブ
チルフェニル)‐4,4′‐ビフェニレンジホスファイ
トが好ましく、特にトリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフ
ェニル)ホスファイトが好適である。
【0042】さらに、有機チオエーテル系安定剤として
は、ジアルキルチオジプロピオネート及びアルキルチオ
プロピオン酸の多価アルコールエステルを用いることが
好ましい。ここで使用されるジアルキルチオジプロピオ
ネートとしては、炭素数6〜20のアルキル基を有する
ジアルキルチオジプロピオネートが好ましく、またアル
キルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルとして
は、炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルチオ
プロピオン酸の多価アルコールエステルが好ましい。こ
の場合に多価アルコールエステルを構成する多価アルコ
ールの例としては、グリセリン、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及
びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなどを挙げ
ることができる。
【0043】このようなジアルキルチオジプロピオネー
トとしては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネー
ト、ジミリスチルチオジプロピオネート及びジステアリ
ルチオジプロピオネートなどを挙げることができる。一
方、アルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステ
ルとしては、例えば、グリセリントリブチルチオプロピ
オネート、グリセリントリオクチルチオプロピオネー
ト、グリセリントリラウリルチオプロピオネート、グリ
セリントリステアリルチオプロピオネート、トリメチロ
ールエタントリブチルチオプロピオネート、トリメチロ
ールエタントリオクチルチオプロピオネート、トリメチ
ロールエタントリラウリルチオプロピオネート、トリメ
チロールエタントリステアリルチオプロピオネート、ペ
ンタエリスリトールテトラブチルチオプロピオネート、
ペンタエリスリトールテトラオクチルチオプロピオネー
ト、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオ
ネート、ペンタエリスリトールテトラステアリルチオプ
ロピオネートなどを挙げることができる。これらの中で
は、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチ
オジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウ
リルチオプロピオネートが好適である。
【0044】ヒンダードアミン系安定剤としては、例え
ば、ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリ
ジル)セバケート、コハク酸ジメチル‐1‐(2‐ヒド
ロキシエチル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テ
トラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6‐(1,1,
3,3‐テトラメチルブチル)イミノ‐1,3,5‐ト
リアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン
[2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イ
ミノ]、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチル‐
4‐ピペリジル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカル
ボキシレート、2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピ
ペリジルベンゾエート、ビス‐(1,2,6,6‐ペン
タメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐(3,5‐ジ‐t‐
ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマ
ロネート、ビス‐(N‐メチル‐2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)セバケート、1,1′‐
(1,2‐エタンジイル)ビス(3,3,5,5‐テト
ラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6
‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,
2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、(ミック
スト1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジ
ル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカル
ボキシレート、ミックスト〔2,2,6,6‐テトラメ
チル‐4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメ
チル‐3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピ
ロ(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4
‐ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト〔1,
2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル/β,
β,β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,
8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]
ジエチル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシ
レート、N,N′‐ビス(3‐アミノプロピル)エチレ
ンジアミン‐2,4‐ビス[N‐ブチル‐N‐(1,
2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)アミ
ノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリアジン縮合物、ポ
リ[6‐N‐モルホリル‐1,3,5‐トリアジン‐
2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル‐
4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミド]、
N,N′‐ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐
ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2‐ジブロ
モエタンとの縮合物、[N‐(2,2,6,6‐テトラ
メチル‐4‐ピペリジル)‐2‐メチル‐2‐(2,
2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]
プロピオンアミドなどを挙げることができる。
【0045】これらのヒンダードアミン系安定剤の中で
は、特に、コハク酸ジメチル‐1‐(2‐ヒドロキシエ
チル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチ
ルピペリジン重縮合物、ポリ[6‐(1,1,3,3‐
テトラメチルブチル)イミノ‐1,3,5‐トリアジン
‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル
‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,
2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミ
ノ]、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4
‐ピペリジル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボ
キシレート、ビス(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4
‐ピペリジル)‐2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐
ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマロネート、
1,1′‐(1,2‐エタンジイル)ビス(3,3,
5,5‐テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト
2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/トリ
デシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレ
ート、(ミックスト1,2,2,6,6‐ペンタメチル
‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブ
タンテトラカルボキシレート、ミックスト〔2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/β,β,
β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,8,1
0‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチ
ル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレー
ト、ミックスト〔1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐
4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメチル‐
3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4‐
ブタンテトラカルボキシレート、N,N′‐ビス(3‐
アミノプロピル)エチレンジアミン‐2,4‐ビス[N
‐ブチル‐N‐(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐
ピペリジル)アミノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリ
アジン縮合物、ポリ[6‐N‐モルホリル‐1,3,5
‐トリアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐
テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレ
ン[(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジ
ル)イミド]、N,N′‐ビス(2,2,6,6‐テト
ラメチル‐4‐ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと
1,2‐ジブロモエタンとの縮合物、[N‐(2,2,
6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐メチル
‐2‐(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジ
ル)イミノ]プロピオンアミドが好適である。
【0046】また、無機系充てん剤としては、例えば球
状フィラー,板状フィラー,繊維状フィラーなどがあ
る。球状フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム,カ
オリン(ケイ酸アルミニウム),シリカ、パーライト,
シラスバルーン,セリサイト,ケイソウ土,亜硫酸カル
シウム,焼成アルミナ,ケイ酸カルシウム,結晶質ゼオ
ライト,非晶質ゼオライトなどが、板状フィラーとして
は、例えばタルクやマイカなどが、繊維状フィラーとし
ては、例えばウオラストナイトのような針状のもの、マ
グネシウムオキシサルフェイト,チタン酸カリウム繊
維,繊維状炭酸カルシウムのような繊維状のもの、さら
には、ガラス繊維のような完全に繊維状のものなどが挙
げられる。一方、有機充てん剤としては、例えば木粉や
木綿粉などの木質粒子,モミ殻粉末,架橋ゴム粉末,プ
ラスチック粉末,コラーゲン粉末などが挙げられる。難
燃剤としては、例えば水和アルミニウム,水和石膏,ホ
ウ酸亜鉛,ホウ酸バリウム,ホウ砂,カオリン,クレ
ー,炭酸カルシウム,明ばん石,塩基性炭酸マグネシウ
ム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウムなどが挙げ
られる。なお、これらの充てん剤のうち、透明性に悪影
響するものは、表面層ではなく、基材にもっぱら充てん
される。
【0047】本発明において、表面層及び/又は基材に
用いるフィルムやシートを成形するには、例えばまず、
(A)成分のポリプロピレン系樹脂に所望により各種添
加剤を、あるいは(A)成分のポリプロピレン系樹脂に
前記熱可塑性エラストマー共重合体及び所望により各種
添加剤を配合し、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミ
キサーなどで混合するか、又は混合後さらに単軸押出機
や多軸押出機を用いて溶融混練造粒するか、あるいはニ
ーダー,バンバリーミキサーなどで溶融混練造粒するこ
とにより、成形材料を調製する。次いで、この成形材料
をキャスト成形,インフレーション成形,カレンダー成
形などの成形方法により、厚さ0.03〜0.5mm程度の
フィルム又はシート状に加工するのが有利である。この
ようにして得られたフィルムやシートは、接着性,印刷
性などを向上させるために、コロナ処理,オゾン処理,
プラズマ処理などの表面処理を施すのが望ましい。ま
た、このフィルムやシートを基材に用いる場合は、成形
時に顔料を添加することにより、隠蔽効果を付与させて
もよい。本発明の化粧フィルム・シートは、表面層,接
着剤層,絵柄層,接着剤層及び基材からなる積層構造を
有するもの、いわゆるダブリングフィルムであってもよ
く、あるいは表面層,接着剤層及び絵柄層からなる積層
構造を有するもの、いわゆるバックプリントフィルム
(表面層に直接印刷し、基材をもたないもの)であって
もよい。
【0048】上記化粧フィルム・シートにおける接着剤
層としては、例えばポリウレタン系樹脂,エポキシ系樹
脂,アクリル系樹脂,ビニル系樹脂,酢酸ビニル系樹
脂,ポリエステル系樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合
体樹脂,アクリル−酢酸ビニル共重合体樹脂,ポリアミ
ド系樹脂,アイオノマー系樹脂などを主成分とする公知
の接着剤、又は変性ポリオレフィンからなる厚さ1〜2
0μm程度のものを好ましく挙げることができる。ここ
で、変性ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレ
ン,ポリプロピレン,エチレン−α−オレフィン共重合
体,エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共
重合体(例えばEPDMなど),エチレン−芳香族モノ
ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリ
オレフィンを、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸
などの不飽和カルボン酸,無水マレイン酸などの不飽和
カルボン酸の無水物、アクリル酸メチル,マレイン酸モ
ノメチルなどの不飽和カルボン酸のエステル、アクリル
酸アミド,マレイン酸モノアミドなどの不飽和カルボン
酸のアミド、マレイミド,N−ブチルマレイミドなどの
不飽和カルボン酸のイミドなどを用いて化学変性したも
のが挙げられる。
【0049】なお、加工時の接着剤の形態については特
に制限はなく、液状,半溶融状,フィルム・シート状の
いずれであってもよい。また、接着剤層が二層ある場
合、一層目の接着剤層と二層目の接着剤層は同一の材料
からなるものであってもよく、異なる材料からなるもの
であってもよい。一方、絵柄層には、例えば木目,石
目,天然皮革の表面柄,布目,抽象柄などを表現する印
刷が付されており、これらの絵柄模様を設けるインキの
バインダーとしては、特に制限はなく、例えばポリウレ
タン系樹脂,塩化ビニル系樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニ
ル系共重合体樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体
樹脂/アクリル系樹脂,塩素化ポリプロピレン系樹脂,
アクリル系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリアミド系樹
脂,ブチラール系樹脂,ポリスチレン系樹脂,ニトロセ
ルロース系樹脂,アセチルセルロース系樹脂などの中か
ら任意のものが用いられる。また、該インキには、顔
料,染料などの着色剤,体質顔料,溶剤などが適宜混合
されている。この絵柄模様層の厚さは、通常1〜5μm
程度である。
【0050】本発明においては上記絵柄層は、絵柄模様
層と隠蔽層の二層構造からなるものが特に好適である。
この隠蔽層の形成に用いられるインキとしては、バイン
ダーに顔料,染料などの着色剤,体質顔料,溶剤,安定
剤,可塑剤,触媒,硬化剤などを適宜混合したものが使
用される。該バインダーとしては、上記絵柄模様層を設
けるのに用いられるインキのバインダーとして例示した
ものと同じものを挙げることができる。この隠蔽層とし
ては、厚さ1〜20μm程度のベタ印刷層が好適であ
る。この隠蔽層は絵柄模様層の下層として設けられる。
さらに、本発明の化粧フィルム・シートにおいては、耐
摩耗性,耐候性,エンボス加工性,耐傷付性,耐汚染性
などを改良する目的で表面層上に所望により、アクリル
系樹脂やポリウレタン系樹脂などからなる厚さ1〜20
μm程度のトップコート層を形成してもよい。また表面
層には、所望によりエンボス加工を施したり、その凹部
にワイピングインキなどを充填してもよい。
【0051】本発明の化粧フィルム・シートの製造方法
としては、前記積層構造を有するものが得られる方法で
あればよく、特に制限はないが、例えば表面層,接着剤
層,絵柄層,接着剤層及び基材からなる積層構造を有す
るものは、次に示す二種の方法を用いて製造するのが有
利である。まず、第一の方法としては、基材上に接着剤
層,絵柄層及び接着剤層をグラビア印刷,スクリーン印
刷,オフセット印刷,フレキソ印刷などの一般的な印刷
方法により順次積層したのち、接着剤層上に、(1)表
面層となるフィルムやシートを熱ラミネーションなどに
より貼り合せる方法、(2)表面層となるフィルムやシ
ートをドライラミネーション又はウェットラミネーショ
ンなどにより貼り合せる方法、(3)表面層となるフィ
ルムやシート上に、グラビア印刷,スクリーン印刷,オ
フセット印刷,フレキソ印刷などの一般的な印刷方法、
又はロールコートなどのコーティング方法により同じ組
成の接着剤層を設け、接着剤層同士を重ねて熱ラミネー
ションなどにより貼り合せる方法、(4)表面層となる
樹脂を押出ラミネーションにより表面層を形成する方
法、などが用いられる。
【0052】次に、第二の方法としては、基材上に接着
剤層及び絵柄層をグラビア印刷,スクリーン印刷,オフ
セット印刷,フレキソ印刷などの一般的な印刷方法によ
り順次積層したのち、(1)表面層となるフィルムやシ
ート上に、グラビア印刷,スクリーン印刷,オフセット
印刷,フレキソ印刷などの一般的な印刷方法又はロール
コートなどのコーティング方法により接着剤層を設け、
次いで、このものをその接着剤層が絵柄層上に接するよ
うに重ねて熱ラミネーションなどにより貼り合せる方
法、(2)(1)と同様の方法により表面層となるフィ
ルムやシート上に接着剤層を設け、ドライラミネーショ
ン又はウェットラミネーションなどにより貼り合せる方
法、(3)絵柄層と表面層となるフィルムやシートの間
に接着剤層となる樹脂を溶融状態で押出、貼り合せる方
法(押出ラミネーション)、(4)接着剤層と表面層と
なる樹脂を共押出ダイレクトラミネーションにより、接
着剤層と表面層を形成する方法、などが用いられる。
【0053】本発明は、またこのようにして得られた化
粧フィルム・シートを、各種基材に接着してなる化粧材
料をも提供するものである。この化粧材料の基材に用い
られるものとしては、例えば木材,合板,集成材,ある
いはパーチクルボード,ハードボードなどの木質基材
や、例えば鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウム板など
の金属基材や、例えば石膏ボードのような無機系の基材
が挙げられる。化粧材料を製造するには、上記基材に、
接着剤を用いて、該化粧フィルム・シートをその基材又
は絵柄層が対面するようにラミネートすればよい。この
際、使用する接着剤としては、特に制限はなく、従来公
知の接着剤の中から適宜選び用いることができる。
【0054】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 実施例1 (1)プロピレンホモポリマーの製造 マグネシウム化合物の調製 内容積約6リットルの撹拌機付きガラス製反応器を窒素
ガスで充分に置換した後、これにエタノール約2,430
g、ヨウ素20g及び金属マグネシウム160gを仕込
み、撹拌しながら加熱して、還流条件下で系内からの水
素ガスの発生がなくなるまで反応させ、固体状反応生成
物を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧下
乾燥させることによりマグネシウム化合物を得た。 固体触媒成分(a)の調製 窒素ガスで充分に置換した内容積5リットルのガラス製
反応器に、上記で得られたマグネシウム化合物(粉砕
していないもの)160g,精製ヘプタン800ミリリ
ットル,四塩化ケイ素24ミリリットル及びフタル酸ジ
エチル23ミリリットルを仕込み、系内を80℃に保
ち、撹拌しながら四塩化チタン770ミリリットルを加
えて110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離し
て90℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チ
タン1,220ミリリットルを加え、110℃で2時間反
応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成
分(a)を得た。
【0055】気相重合 内容積200リットルの重合槽に、上記で得られた固
体触媒成分(a)6.0g/時間、トリイソブチルアルミ
ニウム(TIBA)0.2モル/時間、1−アリル−3,
4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.006モル/時
間、シクロヘキシルメチルジメトキシンラン(CHMD
MS)0.03モル/時間、プロピレン43kg/時間で
供給し、70℃,28kg/cm2 Gで重合を行った。
ポリマーの生成量は30kg/時間であった。この重合
で得られたポリマーは、プロピレンホモポリマーであ
り、その極限粘度〔η〕(135℃,デカリン中)は、
5.04デシリットル/gであった。また、上記ホモポリ
マーの沸騰n−ヘプタン不溶成分量は88.2重量%であ
り、該沸騰n−ヘプタン不溶成分の〔η〕は5.42デシ
リットル/g、沸騰n−ヘプタン可溶成分の〔η〕は2.
07デシリットル/gであった。一方、該ホモポリマー
13C−NMRスペクトルから算出したペンダッド分率
rrrr/(1−mmmm)×100は24.2%であ
り、DSCにて測定した融解ピーク温度(Tm)は15
8.7℃、融解エンタルピー(ΔH)は80.7J/gであ
った。また、プロピレンの頭−尾間の結合に関する逆転
結合はみられなかった。得られたポリプロピレンのパウ
ダーに、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル
パーオキシ)−ヘキサンを混合し、さらに酸化防止剤、
熱安定剤、塩素捕捉剤を添加した後、40mmφ押出機
で押し出してペレットを得た。このペレトのメルトイン
デックス(MI)は2.5g/10分であった。なお、上
記ポリマーを過酸化物で分解して低分子量化したが、こ
の低分子量化ポリマーにあっても、上述したペンダッド
分率,融解ピーク温度及び融解エンタルピーに変化はな
かった。
【0056】(2)表面層フィルムの成形 上記(1)で得られたプロピレンホモポリマーペレット
を90mmφキャスト成形機により、樹脂温度250
℃,引取速度10m/分の条件で厚さ100μmのフィ
ルムを成形した。このフィルムには成形と同時に片面に
シボ加工を行い、また両面コロナ処理(5.0kW)を行
った。コロナ処理面の濡れ指数(JISK6768に準
拠して求めた)は50dyne/cmであった。 (3)接着剤層の積層 上記(2)で得られたフィルムの平滑面側に、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体樹脂を主成分とするプライマー
を用い、グラビア印刷により厚さ3μmの接着剤層を設
けた。 (4)印刷フィルム(絵柄層)の作製 厚さ90μmの着色高密度ポリエチレンフィルム上に塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を主成分とするプラ
イマーと、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂をバイ
ンダーとするインキをグラビア印刷により順次積層し、
さらに塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を主成分と
するプライマーを同様に積層し、印刷フィルムを作製し
た。この印刷フィルムの全厚みは100μmであった。
【0057】(5)表面層フィルムと印刷フィルムのラ
ミネート 上記(3)で得られた表面層フィルムの接着剤層面と上
記(4)で得られた印刷フィルムの接着剤層面とを重ね
て、120℃の熱ロールを通して貼合せを行い、化粧シ
ートを得た。 (6)合板への接着及び二次加工性評価 上記(5)で得られた化粧フィルムは表面層の透明性が
良好で、絵柄層に深みが付与されていた。また、従来の
ポリ塩化ビニルフィルムからなる化粧フィルムと柔軟性
は同等であった。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を
主成分とする接着剤を用い、凹凸部を有する中密度パー
ティクルボード上に、上記化粧フィルムを、その着色高
密度ポリエチレン層が接するように貼合せた。また、平
板上のボード上にも同様に貼合わせ、Vカット加工を行
った。折り曲げ部分の亀裂、白化などはなく、ラッピン
グ加工性及びVカット加工性は良好であった。
【0058】実施例2 (1)共押出ダイレクトラミネーションによるラミネー
ト 実施例1−(1)で得られたプロピレンホモポリマー
と、このポリマー80重量%に無水マレイン酸変性ポリ
オレフィン〔出光石油化学(株)製ポリタックE−10
0〕20重量%を混合して得られた接着性樹脂を共押出
し、これにオゾン処理を施したのち、実施例1−(4)
の印刷フィルムと、ラミネートして化粧フィルムを得
た。共押出時の溶融樹脂の樹脂温度は290℃、得られ
た化粧フィルムの厚みは160μmであった。 (2)合板の接着及び二次加工性評価 上記(1)で得られた化粧フィルムは表面層の透明性が
良好で、絵柄層に深みが付与されていた。また、従来の
ポリ塩化ビニルフィルムからなる化粧フィルムと柔軟性
は同等であった。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を
主成分とする接着剤を用い、凹凸部を有する中密度パー
ティクルボード上に、上記化粧フィルムを、その着色高
密度ポリエチレン層が接するように貼合せた。また、平
板上のボード上にも同様に貼合わせ、Vカット加工を行
った。折り曲げ部分の亀裂、白化などはなく、ラッピン
グ加工性及びVカット加工性は良好であった。
【0059】実施例3 (1) バックプリントフィルムの作製 実施例1−(2)で得られたフィルムを表面層とし、そ
の平滑面側に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を
主成分とするプライマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体樹脂をバインダーとするインキを用い、グラビア印
刷で接着剤層及び絵柄層を順次積層し、さらに、上記イ
ンキに顔料を混合したものを用い、グラビア印刷でベタ
塗り層を積層して化粧フィルムを作製した。 (2)合板への接着及び二次加工性評価 上記(1)で得られた化粧フィルムは表面層の透明性が
良好で、絵柄層に深みが付与されていた。また、従来の
ポリ塩化ビニルフィルムからなる化粧フィルムと柔軟性
は同等であった。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を
主成分とする接着剤を用い、凹凸部を有する中密度パー
ティクルボード上に、上記化粧フィルムを、ベタ塗り層
面が接するように貼合せた。また、平板上のボード上に
も同様に貼合わせ、Vカット加工を行った。折り曲げ部
分の亀裂、白化などはなく、ラッピング加工性及びVカ
ット加工性は良好であった。
【0060】比較例 (1)表面層フィルムの成形 ポリプロピレン樹脂〔住友化学(株)製ノーブレンFL
6315G,融解ピーク温度(Tm):140℃〕90
重量%と熱可塑製エラストマー〔(株)クラレ製ハイブ
ラーHVS−3〕10重量%をドライブレンドし、40
mmφキャスト成形機により、樹脂温度230℃,引取
速度5m/分の条件で厚さ80μmのフィルムに成形し
た。このフィルムには片面にシボ加工を行い、また両面
コロナ処理(4.5kW)を行った。コロナ処理面の濡れ
指数は49dyne/cmであった。 (2)接着剤層の積層 上記(1)で得られたフィルムの平滑面側に、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体樹脂を主成分とするプライマー
を用い、グラビア印刷により、厚さ3μmの接着剤層を
設けた。 (3)印刷フィルム(絵柄層)の作製 厚さ90μmの着色高密度ポリエチレンフィルム上に塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を主成分とするプラ
イマーと、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂をバイ
ンダーとするインキをグラビア印刷により順次積層し、
さらに塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を主成分と
するプライマーを同様に積層し、印刷フィルムを作製し
た。この印刷フィルムの全厚みは100μmであった。
【0061】(4)表面層フィルムと印刷フィルムのラ
ミネート 上記(2)で得られた表面層フィルムの接着剤層面と上
記(3)で得られた印刷フィルムの接着剤層面と重ね
て、120℃の熱ロールを通して貼合せを行い、化粧シ
ートを得た。 (5)合板への接着及び二次加工性評価 上記(4)で得られた化粧フィルムは表面層の透明性は
やや悪いが、柔軟性は従来のポリ塩化ビニルフィルムか
らなる化粧フィルムと同等であった。エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体樹脂を主成分とする接着剤を用い、凹凸部
を有する中密度パーティクルボード上に、上記化粧フィ
ルムをその着色高密度ポリエチレン層が接するように貼
合せた。また、平板上のボード上にも同様に貼合わせ、
Vカット加工を行った。しかし、低温時にラッピング加
工及びVカット加工を行うと折り曲げ部分に白化が認め
られた。以上の結果を、第1表にまとめて示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明の化粧フィルム・シートは、表面
層の透明性が良好で、Vカット加工性,ラッピング加工
性などに優れ、かつ焼却時に塩素ガスなどが発生しない
ので、廃棄の問題がないなど、商品価値の極めて高いも
のである。本発明の化粧フィルム・シートは上記の優れ
た特徴を有することから、例えば家具用部材,冷蔵庫や
テレビなどのキャビネット,建築用内装材などに好適に
用いられる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面層,接着剤層,絵柄層,接着剤層及
    び基材からなる積層構造、又は表面層,接着剤層及び絵
    柄層からなる積層構造を有する化粧フィルム・シートに
    おいて、表面層又は基材あるいはその両方に、(A)
    (イ)同位体炭素核磁気共鳴(13C−NMR)スペクト
    ルによるペンタッド分率において、rrrr/(1−m
    mmm)×100が15〜50%、(ロ)示差走査熱量
    分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)
    が150℃以上及び(ハ)DSCにて測定した融解エン
    タルピー(ΔH)が100J/g以下であるプロピレン
    の単独重合体及び/又は4重量%以下の他のオレフィン
    単位を含有するプロピレン系共重合体からなるポリプロ
    ピレン系樹脂、又は(B)上記(A)成分のポリプロピ
    レン系樹脂99〜60重量%と熱可塑性エラストマー共
    重合体1〜40重量%との樹脂組成物からなるフィルム
    又はシートを用いたことを特徴とする化粧フィルム・シ
    ート。
  2. 【請求項2】(A)成分のポリプロピレン系樹脂におい
    て、(ハ)の融解エンタルピー(ΔH)が10〜100
    J/gである請求項1記載の化粧フィルム・シート。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマー共重合体が、エチ
    レン−炭素数3以上のα−オレフィン系共重合エラスト
    マー,エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン−ジエ
    ン系共重合エラストマー,スチレン−ジエン系共重合エ
    ラストマー及びスチレン−ジエン系共重合エラストマー
    の水素添加物の中から選ばれた少なくとも一種である請
    求項1記載の化粧フィルム・シート。
  4. 【請求項4】 絵柄層が、絵柄模様層と隠蔽層の二層構
    造からなるものである請求項1記載の化粧フィルム・シ
    ート。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧フ
    ィルム・シートを木質基材に接着してなる化粧木質材
    料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧フ
    ィルム・シートを金属基材に接着してなる化粧金属材
    料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧フ
    ィルム・シートを無機質基材に接着してなる化粧無機材
    料。
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