JPH06212522A - 複合加工糸の製造方法 - Google Patents
複合加工糸の製造方法Info
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- JPH06212522A JPH06212522A JP5021806A JP2180693A JPH06212522A JP H06212522 A JPH06212522 A JP H06212522A JP 5021806 A JP5021806 A JP 5021806A JP 2180693 A JP2180693 A JP 2180693A JP H06212522 A JPH06212522 A JP H06212522A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 芯鞘構造を呈し, かつ,糸条の長手方向に交
互に存在する未解撚部と過解撚部の撚の安定性が著しく
向上するとともに,織編物にすれば,ボリューム感があ
って,しかもソフトな風合を呈する複合加工糸の製造方
法を提供する。 【構成】 熱収縮率が20%以上である延伸糸Aと,延伸
糸Aよりも熱収縮率が10%以上小さい延伸糸Bを供給糸
とする。この2本の糸条を引き揃えて,流体による交絡
処理を施した後,0.1g/d以下の張力下で間歇的に仮
撚加工する。
互に存在する未解撚部と過解撚部の撚の安定性が著しく
向上するとともに,織編物にすれば,ボリューム感があ
って,しかもソフトな風合を呈する複合加工糸の製造方
法を提供する。 【構成】 熱収縮率が20%以上である延伸糸Aと,延伸
糸Aよりも熱収縮率が10%以上小さい延伸糸Bを供給糸
とする。この2本の糸条を引き揃えて,流体による交絡
処理を施した後,0.1g/d以下の張力下で間歇的に仮
撚加工する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,芯鞘構造を呈し, か
つ,糸条の長手方向に仮撚加撚方向の撚を有する未解撚
部と解撚方向の撚を有する過解撚部とが交互に存在する
複合加工糸の製造方法に係り,さらに詳しくは,撚の安
定性が著しく向上するとともに,織編物にした場合,ボ
リューム感があって,しかもソフトな風合を呈する複合
加工糸の製造方法に関するものである。
つ,糸条の長手方向に仮撚加撚方向の撚を有する未解撚
部と解撚方向の撚を有する過解撚部とが交互に存在する
複合加工糸の製造方法に係り,さらに詳しくは,撚の安
定性が著しく向上するとともに,織編物にした場合,ボ
リューム感があって,しかもソフトな風合を呈する複合
加工糸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】仮撚加工において,仮撚スピンドルや仮
撚ノズル等の仮撚施撚体を間歇的に作動させて非定常仮
撚加工することにより,糸条に交互撚を形成させる方法
は数多く提案されている。この方法によれば,加工速度
の遅い撚糸工程を必要とせず,高速で,しかも一工程で
強撚糸調の加工糸を製造することができる。
撚ノズル等の仮撚施撚体を間歇的に作動させて非定常仮
撚加工することにより,糸条に交互撚を形成させる方法
は数多く提案されている。この方法によれば,加工速度
の遅い撚糸工程を必要とせず,高速で,しかも一工程で
強撚糸調の加工糸を製造することができる。
【0003】しかしながら,これらの方法において延伸
糸を供給糸として用いた場合,繊維構造が安定してお
り,ヤング率等が大きいためか,交互撚を形成させても
撚固定が容易ではなく,そのため,加工時や後工程で掛
かる張力等によって交互撚が相殺されたり,撚密度が低
下するという問題があった。
糸を供給糸として用いた場合,繊維構造が安定してお
り,ヤング率等が大きいためか,交互撚を形成させても
撚固定が容易ではなく,そのため,加工時や後工程で掛
かる張力等によって交互撚が相殺されたり,撚密度が低
下するという問題があった。
【0004】この改善策として,芯糸に延伸糸,鞘糸に
ヤング率等の低い高伸度糸を配した交互撚複合加工糸の
製造方法が特公平2-23610号公報に開示されている。こ
の方法は,張力に対して伸度安定性のよい延伸糸と,撚
固定性のよい高伸度糸を用いることにより前記の欠点を
改善するものであるが,高伸度糸が延伸糸の周りに螺旋
状に捲きついているだけなので,加工時あるいは後加工
時において,ガイドやローラ等との接触による摩擦やし
ごきによって鞘糸がずれて交互撚形態が崩れたり,ネッ
プや毛羽が発生しやすいという問題や,高伸度糸が部分
的に伸びて加工糸の品位が低下する,あるいは染色工程
で染斑が発生するという問題がある。
ヤング率等の低い高伸度糸を配した交互撚複合加工糸の
製造方法が特公平2-23610号公報に開示されている。こ
の方法は,張力に対して伸度安定性のよい延伸糸と,撚
固定性のよい高伸度糸を用いることにより前記の欠点を
改善するものであるが,高伸度糸が延伸糸の周りに螺旋
状に捲きついているだけなので,加工時あるいは後加工
時において,ガイドやローラ等との接触による摩擦やし
ごきによって鞘糸がずれて交互撚形態が崩れたり,ネッ
プや毛羽が発生しやすいという問題や,高伸度糸が部分
的に伸びて加工糸の品位が低下する,あるいは染色工程
で染斑が発生するという問題がある。
【0005】さらに,一般に伸度差のある2本の糸条を
引き揃えて仮撚加工した場合,高伸度糸が低伸度糸の周
りに捲きついた芯鞘構造の複合加工糸が得られる。これ
は,施撚によって高伸度糸が伸ばされて,低伸度糸に比
べて糸長が大となるためである。しかしながら,伸度差
の大きい2本の糸条を用いたとしても,伸度差に相当す
る糸長差が発現することはなく,単に施撚数に応じた糸
長差が発現するだけである。したがって,伸度差が大き
い割には糸長差を大きくすることが困難であり,布帛に
した場合,ボリューム感等に欠けるものであった。ま
た,施撚数を増加させると糸長差は大きくなる傾向にあ
るが,間歇的に仮撚加工する場合,仮撚施撚体の作動及
び停止を短時間のサイクルで繰り返す必要があるので,
施撚数の増加には限界がある。
引き揃えて仮撚加工した場合,高伸度糸が低伸度糸の周
りに捲きついた芯鞘構造の複合加工糸が得られる。これ
は,施撚によって高伸度糸が伸ばされて,低伸度糸に比
べて糸長が大となるためである。しかしながら,伸度差
の大きい2本の糸条を用いたとしても,伸度差に相当す
る糸長差が発現することはなく,単に施撚数に応じた糸
長差が発現するだけである。したがって,伸度差が大き
い割には糸長差を大きくすることが困難であり,布帛に
した場合,ボリューム感等に欠けるものであった。ま
た,施撚数を増加させると糸長差は大きくなる傾向にあ
るが,間歇的に仮撚加工する場合,仮撚施撚体の作動及
び停止を短時間のサイクルで繰り返す必要があるので,
施撚数の増加には限界がある。
【0006】一方,複数の糸条を用いて糸条表面にルー
プを形成させるための嵩高交絡処理を施した後,間歇的
に仮撚加工して交互撚を形成する方法が特公平1-56166
号公報及び特開昭61−266628号公報等に開示されてい
る。しかしながら,これらの方法によって得られる加工
糸は,表面にループを有するため,織編物にした場合,
ハーシーな風合となり,また,ループが存在するため,
染色しても光の反射の影響により色が淡く見えてしまう
という問題がある。
プを形成させるための嵩高交絡処理を施した後,間歇的
に仮撚加工して交互撚を形成する方法が特公平1-56166
号公報及び特開昭61−266628号公報等に開示されてい
る。しかしながら,これらの方法によって得られる加工
糸は,表面にループを有するため,織編物にした場合,
ハーシーな風合となり,また,ループが存在するため,
染色しても光の反射の影響により色が淡く見えてしまう
という問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように,芯鞘構
造の交互撚複合加工糸において撚固定性がよいこと,交
互撚が相殺され難いこと,鞘糸のずれやネップ等が極め
て発生し難いこと,十分な糸長差が発現し,布帛にした
場合にボリューム感を呈すること等を同時に満足するも
のは得られていなかった。
造の交互撚複合加工糸において撚固定性がよいこと,交
互撚が相殺され難いこと,鞘糸のずれやネップ等が極め
て発生し難いこと,十分な糸長差が発現し,布帛にした
場合にボリューム感を呈すること等を同時に満足するも
のは得られていなかった。
【0008】本発明は,このような現状に鑑みて行われ
たもので,上記の要件をすべて満足することのできる複
合加工糸の製造方法を提供することを技術的な課題とす
るものである。
たもので,上記の要件をすべて満足することのできる複
合加工糸の製造方法を提供することを技術的な課題とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果,本発明に到達し
た。すなわち,本発明は,熱収縮率が20%以上である延
伸糸Aと,延伸糸Aよりも熱収縮率が10%以上小さい延
伸糸Bを含む少なくとも2本の糸条を引き揃えて,流体
による交絡処理を施した後,0.1g/d以下の張力下で
間歇的に仮撚加工することを特徴とする複合加工糸の製
造方法を要旨とするものである。なお,本発明でいう熱
収縮率は,JIS L1090B法によって測定される
熱水収縮率の値(%)である。
題を解決するために鋭意研究した結果,本発明に到達し
た。すなわち,本発明は,熱収縮率が20%以上である延
伸糸Aと,延伸糸Aよりも熱収縮率が10%以上小さい延
伸糸Bを含む少なくとも2本の糸条を引き揃えて,流体
による交絡処理を施した後,0.1g/d以下の張力下で
間歇的に仮撚加工することを特徴とする複合加工糸の製
造方法を要旨とするものである。なお,本発明でいう熱
収縮率は,JIS L1090B法によって測定される
熱水収縮率の値(%)である。
【0010】以下,本発明について詳細に説明する。
【0011】まず,本発明において,熱収縮率が20%以
上である延伸糸A(以下,単に糸条Aと記す。)と,糸
条Aよりも熱収縮率が10%以上小さい延伸糸B(以下,
単に糸条Bと記す。)を含む少なくとも2本の糸条を供
給糸として用いる必要がある。
上である延伸糸A(以下,単に糸条Aと記す。)と,糸
条Aよりも熱収縮率が10%以上小さい延伸糸B(以下,
単に糸条Bと記す。)を含む少なくとも2本の糸条を供
給糸として用いる必要がある。
【0012】このように熱収縮率差が10%以上ある糸条
Aと糸条Bを用いることにより,後の間歇的な仮撚加工
の際に概ね熱収縮率差に相当する大きな糸長差を発現さ
せることができる。糸条Aと糸条Bとの熱収縮率差が10
%未満の場合には糸長差が小さくなり,本発明の目的を
達成することが困難となる。また,糸条Aの熱収縮率を
20%以上とすることにより,収縮後の糸条Aに柔軟性が
付与され,織編物にした場合,ソフトとなり,糸条Bと
の糸長差によりボリューム感を呈する。ただし,延伸糸
であっても,熱収縮率が大き過ぎると,収縮後の糸条の
伸度が大きくなって糸条にかかる張力によって引き伸ば
される場合があるので,糸条Aの熱収縮率は40%以下,
さらには35%以下に抑えることが好ましい。また,糸条
Aの熱収縮率が20%未満の場合,上記の効果が顕著でな
くなるうえに,糸条Bの熱収縮率を小さくする必要があ
り,特に5%未満にする必要がある場合,通常の紡糸,
延伸法では製造困難となる。
Aと糸条Bを用いることにより,後の間歇的な仮撚加工
の際に概ね熱収縮率差に相当する大きな糸長差を発現さ
せることができる。糸条Aと糸条Bとの熱収縮率差が10
%未満の場合には糸長差が小さくなり,本発明の目的を
達成することが困難となる。また,糸条Aの熱収縮率を
20%以上とすることにより,収縮後の糸条Aに柔軟性が
付与され,織編物にした場合,ソフトとなり,糸条Bと
の糸長差によりボリューム感を呈する。ただし,延伸糸
であっても,熱収縮率が大き過ぎると,収縮後の糸条の
伸度が大きくなって糸条にかかる張力によって引き伸ば
される場合があるので,糸条Aの熱収縮率は40%以下,
さらには35%以下に抑えることが好ましい。また,糸条
Aの熱収縮率が20%未満の場合,上記の効果が顕著でな
くなるうえに,糸条Bの熱収縮率を小さくする必要があ
り,特に5%未満にする必要がある場合,通常の紡糸,
延伸法では製造困難となる。
【0013】また,糸条Bとして,単糸繊度が1d以
下,さらには0.5d以下のマルチフィラメント糸を用い
ると,糸条Aの収縮による効果と相まって,ボリューム
感やソフト感がより一層向上するので好ましい。
下,さらには0.5d以下のマルチフィラメント糸を用い
ると,糸条Aの収縮による効果と相まって,ボリューム
感やソフト感がより一層向上するので好ましい。
【0014】ここで,本発明でいう延伸糸とは,通常の
紡糸又は高速紡糸によって得られた未延伸糸又は高配向
未延伸糸のマルチフィラメント糸を,常法により延伸し
て得られた糸条を意味し,その破断伸度は40%以下が好
ましい。
紡糸又は高速紡糸によって得られた未延伸糸又は高配向
未延伸糸のマルチフィラメント糸を,常法により延伸し
て得られた糸条を意味し,その破断伸度は40%以下が好
ましい。
【0015】熱収縮率が20%以上である糸条Aを製造す
る方法は,特に限定されるものではないが,最も好まし
くは,糸条Aを構成する重合体を改質する方法である。
糸条Aを構成する重合体としては,例えば,ポリエステ
ル,ポリアミド,ポリオレフィン,ビニル系重合体等が
あるが,ポリエステルの代表例としてポリエチレンテレ
フタレートについていえば,30モル%以下の範囲内でイ
ソフタル酸,ナトリウムスルホイソフタル酸,ナフタレ
ンジカルボン酸,シクロヘキサンジカルボン酸やポリエ
チレングリコール, ポリテトラメチレングリコール, ブ
タンジオール,ネオペンチルグリコール,ビスフェノー
ルA,ヒドロキシ安息香酸等を共重合することによって
改質したポリエチレンテレフタレート系コポリエステル
が好ましい。このような共重合体を用いる場合,常法の
紡糸,延伸によって容易に糸条Aを製造することができ
る。
る方法は,特に限定されるものではないが,最も好まし
くは,糸条Aを構成する重合体を改質する方法である。
糸条Aを構成する重合体としては,例えば,ポリエステ
ル,ポリアミド,ポリオレフィン,ビニル系重合体等が
あるが,ポリエステルの代表例としてポリエチレンテレ
フタレートについていえば,30モル%以下の範囲内でイ
ソフタル酸,ナトリウムスルホイソフタル酸,ナフタレ
ンジカルボン酸,シクロヘキサンジカルボン酸やポリエ
チレングリコール, ポリテトラメチレングリコール, ブ
タンジオール,ネオペンチルグリコール,ビスフェノー
ルA,ヒドロキシ安息香酸等を共重合することによって
改質したポリエチレンテレフタレート系コポリエステル
が好ましい。このような共重合体を用いる場合,常法の
紡糸,延伸によって容易に糸条Aを製造することができ
る。
【0016】糸条Bの製造方法についても特に限定され
るものではなく,糸条Bを構成する重合体を特に改質し
なくても,常法の紡糸,延伸によって容易に製造するこ
とができる。
るものではなく,糸条Bを構成する重合体を特に改質し
なくても,常法の紡糸,延伸によって容易に製造するこ
とができる。
【0017】本発明では,前記した糸条A及び糸条Bを
含む少なくとも2本の供給糸を引き揃えて交絡処理を施
すことが必要である。交絡処理は,市販のインターレー
スノズルを用い,オーバーフイード率1〜5%で供給さ
れる糸条に1〜5kg/cm2 程度の圧縮空気等の流体を衝
突させる一般的な方法により実施できる。この場合,糸
条に付与する交絡数は,10〜120個/m,さらには20〜1
00個/mが好ましい。
含む少なくとも2本の供給糸を引き揃えて交絡処理を施
すことが必要である。交絡処理は,市販のインターレー
スノズルを用い,オーバーフイード率1〜5%で供給さ
れる糸条に1〜5kg/cm2 程度の圧縮空気等の流体を衝
突させる一般的な方法により実施できる。この場合,糸
条に付与する交絡数は,10〜120個/m,さらには20〜1
00個/mが好ましい。
【0018】本発明において,交絡処理は,間歇的な仮
撚加工によって糸条に交互撚を形成させる以前の段階で
行う必要がある。その理由は,第一に,糸条Aと糸条B
間で実質的に糸長差が発現していない状態で交絡処理を
施すことにより,両者を問題なく混繊,交絡させること
ができ,後に鞘糸となる糸条Bが外力によってずれるこ
とを防止できるためである。第二に,交絡した糸条Aと
糸条Bは,後の仮撚加工の際に熱収縮するとともに捲縮
が付与されること等に起因して交絡部分にも柔軟性が付
与され,織編物にした場合,ソフト感の向上に寄与する
ためである。一方,交互撚を形成させた後に交絡処理を
施す場合には,糸条Bは糸条Aに捲きついているため,
両糸条を効率的に交絡させることが困難となる。
撚加工によって糸条に交互撚を形成させる以前の段階で
行う必要がある。その理由は,第一に,糸条Aと糸条B
間で実質的に糸長差が発現していない状態で交絡処理を
施すことにより,両者を問題なく混繊,交絡させること
ができ,後に鞘糸となる糸条Bが外力によってずれるこ
とを防止できるためである。第二に,交絡した糸条Aと
糸条Bは,後の仮撚加工の際に熱収縮するとともに捲縮
が付与されること等に起因して交絡部分にも柔軟性が付
与され,織編物にした場合,ソフト感の向上に寄与する
ためである。一方,交互撚を形成させた後に交絡処理を
施す場合には,糸条Bは糸条Aに捲きついているため,
両糸条を効率的に交絡させることが困難となる。
【0019】また,従来のように伸度差のある2本の糸
条を用いて交互撚を形成させる以前の段階で交絡処理を
施すことは,糸長差の発現や芯鞘構造の交互撚複合加工
糸の製造には不利な方法である。すなわち,2本の糸条
に糸長差が発現することによって,糸長大なる高伸度糸
が低伸度糸に捲きついて芯鞘構造となるが,両糸条間に
交絡があると,低伸度糸の作用によって高伸度糸の伸び
が抑制されるとともに,前述したように,伸度差に応じ
た糸長差は発現しないこともあって,糸長差の発現には
不利となる。さらに,鞘糸として延伸糸を用いると,引
き伸ばされ難いことや撚を固定し難いといった悪条件が
付加される。
条を用いて交互撚を形成させる以前の段階で交絡処理を
施すことは,糸長差の発現や芯鞘構造の交互撚複合加工
糸の製造には不利な方法である。すなわち,2本の糸条
に糸長差が発現することによって,糸長大なる高伸度糸
が低伸度糸に捲きついて芯鞘構造となるが,両糸条間に
交絡があると,低伸度糸の作用によって高伸度糸の伸び
が抑制されるとともに,前述したように,伸度差に応じ
た糸長差は発現しないこともあって,糸長差の発現には
不利となる。さらに,鞘糸として延伸糸を用いると,引
き伸ばされ難いことや撚を固定し難いといった悪条件が
付加される。
【0020】しかるに,本発明において,交互撚を形成
させる以前の段階で交絡処理を施すのは,伸度差のある
糸条を用いた場合の問題を,特定の熱収縮率を有する延
伸糸を用いることですべて解決できることを見出したか
らである。すなわち,熱収縮率が20%以上である糸条A
と,糸条Aよりも熱収縮率が10%以上小さい糸条Bとを
用いることで,つまり熱収縮率差が10%以上ある糸条A
と糸条Bを用いることで,仮撚加工時の施撚数に大きく
影響されることなく,概ね熱収縮率差に相当する糸長差
を発現させることが可能となったのである。さらに,こ
の糸長差の発現に起因するものと考えられるが,従来の
単に熱収縮率差を利用した異収縮混繊技術からは予想し
得なかった効果,すなわち,鞘糸となる糸条Bの撚固定
性を著しく向上し得る効果があることも分かった。
させる以前の段階で交絡処理を施すのは,伸度差のある
糸条を用いた場合の問題を,特定の熱収縮率を有する延
伸糸を用いることですべて解決できることを見出したか
らである。すなわち,熱収縮率が20%以上である糸条A
と,糸条Aよりも熱収縮率が10%以上小さい糸条Bとを
用いることで,つまり熱収縮率差が10%以上ある糸条A
と糸条Bを用いることで,仮撚加工時の施撚数に大きく
影響されることなく,概ね熱収縮率差に相当する糸長差
を発現させることが可能となったのである。さらに,こ
の糸長差の発現に起因するものと考えられるが,従来の
単に熱収縮率差を利用した異収縮混繊技術からは予想し
得なかった効果,すなわち,鞘糸となる糸条Bの撚固定
性を著しく向上し得る効果があることも分かった。
【0021】この理由については不明であるが,次のよ
うなことが原因ではないかと考えられる。すなわち,間
歇的に作動する施撚体を用いて伸度差のある2本の糸条
を施撚する場合,施撚によって糸条にかかる張力が増大
すると,高伸度糸は比較的容易に引き伸ばされるので,
施撚数が高くなった状態で撚固定される。しかしなが
ら,延伸糸を用いた場合には,容易に引き伸ばされない
ため,施撚数が低い状態で撚固定されることになる。
うなことが原因ではないかと考えられる。すなわち,間
歇的に作動する施撚体を用いて伸度差のある2本の糸条
を施撚する場合,施撚によって糸条にかかる張力が増大
すると,高伸度糸は比較的容易に引き伸ばされるので,
施撚数が高くなった状態で撚固定される。しかしなが
ら,延伸糸を用いた場合には,容易に引き伸ばされない
ため,施撚数が低い状態で撚固定されることになる。
【0022】一方,本発明においては,施撚によって糸
長差が発現するのでなく,熱収縮率差に応じて糸長差が
発現するように設計されているので,施撚数に大きく影
響されることなく,熱収縮率の小さい糸条Bは熱収縮率
の大きい糸条Aに十分に捲きつくことができる。そし
て,糸条Bは糸条Aに十分に捲きついた状態で熱処理さ
れるので,糸条Bは延伸糸であるにもかかわらず,容易
に撚固定されるものと考えられる。
長差が発現するのでなく,熱収縮率差に応じて糸長差が
発現するように設計されているので,施撚数に大きく影
響されることなく,熱収縮率の小さい糸条Bは熱収縮率
の大きい糸条Aに十分に捲きつくことができる。そし
て,糸条Bは糸条Aに十分に捲きついた状態で熱処理さ
れるので,糸条Bは延伸糸であるにもかかわらず,容易
に撚固定されるものと考えられる。
【0023】本発明では,糸条Aと糸条Bを含む少なく
とも2本の糸条に交絡処理を施した後,0.1g/d以下
の張力下で間歇的に仮撚加工を施す。実質的に糸長差の
発現していない糸条Aと糸条Bを含む交絡糸条を間歇的
に仮撚加工することにより,糸長差が発現し,糸条Bが
糸条Aの周りに捲きついた芯鞘構造の交互撚複合加工糸
を得ることができる。
とも2本の糸条に交絡処理を施した後,0.1g/d以下
の張力下で間歇的に仮撚加工を施す。実質的に糸長差の
発現していない糸条Aと糸条Bを含む交絡糸条を間歇的
に仮撚加工することにより,糸長差が発現し,糸条Bが
糸条Aの周りに捲きついた芯鞘構造の交互撚複合加工糸
を得ることができる。
【0024】間歇的に仮撚加工する方法は種々あるが,
ここでは代表例として,仮撚施撚体として圧縮空気等の
流体を用いた施撚ノズル(以下,単にノズルと記す。)
による一方向間歇施撚の場合について説明する。
ここでは代表例として,仮撚施撚体として圧縮空気等の
流体を用いた施撚ノズル(以下,単にノズルと記す。)
による一方向間歇施撚の場合について説明する。
【0025】まず,糸条Aと糸条Bを含む少なくとも2
本の糸条を引き揃え,交絡処理を施して交絡糸条とした
後,ノズルを用いた仮撚加工工程に通し,ノズルに流体
を間歇的に供給することによって交絡糸条の旋回,停止
を繰り返し,交絡糸条に仮撚の過渡現象を利用した交互
撚を形成させる。この場合,まずノズルに流体を供給す
ると,ノズル通過以前の加撚ゾーンにおいて施撚されな
がら,加撚ゾーンに設けられた加熱装置を通過する時に
糸条Aと糸条Bは熱収縮率差に応じた糸長差を発現し,
熱収縮率の大きい,すなわち,糸長小なる糸条Aは張力
が増大して芯糸となり,加撚方向の撚をもった芯糸の周
りに熱収縮率の小さい,すなわち,糸長大なる糸条Bが
捲きついた状態で撚が熱固定される。次いで,流体の供
給を停止すると,加撚ゾーンで固定された撚は,ノズル
通過以降の解撚ゾーンにおいては解撚作用を受けること
なく通過し,加撚方向の撚を有する未解撚部が引き出さ
れる。流体の供給停止によって解撚ゾーンを通過する糸
条部分の加撚撚が減少してくるが,ここで流体の供給を
再開すると,解撚ゾーンにおいて急激な解撚作用を受
け,解撚方向の撚を有する過解撚部が引き出される。ま
た,未解撚部から過解撚部に至る区間及び過解撚部から
未解撚部に至る区間において無撚部が引き出される。
本の糸条を引き揃え,交絡処理を施して交絡糸条とした
後,ノズルを用いた仮撚加工工程に通し,ノズルに流体
を間歇的に供給することによって交絡糸条の旋回,停止
を繰り返し,交絡糸条に仮撚の過渡現象を利用した交互
撚を形成させる。この場合,まずノズルに流体を供給す
ると,ノズル通過以前の加撚ゾーンにおいて施撚されな
がら,加撚ゾーンに設けられた加熱装置を通過する時に
糸条Aと糸条Bは熱収縮率差に応じた糸長差を発現し,
熱収縮率の大きい,すなわち,糸長小なる糸条Aは張力
が増大して芯糸となり,加撚方向の撚をもった芯糸の周
りに熱収縮率の小さい,すなわち,糸長大なる糸条Bが
捲きついた状態で撚が熱固定される。次いで,流体の供
給を停止すると,加撚ゾーンで固定された撚は,ノズル
通過以降の解撚ゾーンにおいては解撚作用を受けること
なく通過し,加撚方向の撚を有する未解撚部が引き出さ
れる。流体の供給停止によって解撚ゾーンを通過する糸
条部分の加撚撚が減少してくるが,ここで流体の供給を
再開すると,解撚ゾーンにおいて急激な解撚作用を受
け,解撚方向の撚を有する過解撚部が引き出される。ま
た,未解撚部から過解撚部に至る区間及び過解撚部から
未解撚部に至る区間において無撚部が引き出される。
【0026】上記のように,流体の停止時には未解撚部
が,流体の供給時には過解撚部が引き出される。本発明
においては,熱収縮率差が10%以上ある糸条Aと糸条B
を用いているため,両者が交絡していても十分な糸長差
が発現し,芯鞘構造の交互撚複合加工糸を容易に製造す
ることができる。
が,流体の供給時には過解撚部が引き出される。本発明
においては,熱収縮率差が10%以上ある糸条Aと糸条B
を用いているため,両者が交絡していても十分な糸長差
が発現し,芯鞘構造の交互撚複合加工糸を容易に製造す
ることができる。
【0027】上記の間歇的な仮撚加工は,仮撚ゾーンを
通過する糸条にかかる張力が0.1g/d以下となる条件
で施す必要がある。間歇的な仮撚加工においては,通常
の連続的仮撚加工とは異なり,糸条に掛かる張力の変動
が大きくなる。これは,流体の供給によって糸条を施撚
すると,撚縮みが起こって張力が増大するのに対し,流
体を停止すると,撚縮みがなくなり,張力が減少するか
らである。
通過する糸条にかかる張力が0.1g/d以下となる条件
で施す必要がある。間歇的な仮撚加工においては,通常
の連続的仮撚加工とは異なり,糸条に掛かる張力の変動
が大きくなる。これは,流体の供給によって糸条を施撚
すると,撚縮みが起こって張力が増大するのに対し,流
体を停止すると,撚縮みがなくなり,張力が減少するか
らである。
【0028】本発明において, 0.1g/d以下の張力下
で間歇的に仮撚加工するとは,糸条の熱収縮と撚縮みが
起こった状態で糸条に掛かる平均張力が0.1g/d以下
ということを意味するが,実質的に無張力の状態は除外
するものである。鞘糸は,無張力状態が好ましいが,芯
糸には0g/dより大きな張力が必要である。そうでな
ければ,糸長差は発現するが,芯鞘構造を形成すること
が困難となる。ただし,ここでの張力(g/d)は,張
力計で測定した張力(g)を複合加工糸の総繊度(d)
で除した値である。
で間歇的に仮撚加工するとは,糸条の熱収縮と撚縮みが
起こった状態で糸条に掛かる平均張力が0.1g/d以下
ということを意味するが,実質的に無張力の状態は除外
するものである。鞘糸は,無張力状態が好ましいが,芯
糸には0g/dより大きな張力が必要である。そうでな
ければ,糸長差は発現するが,芯鞘構造を形成すること
が困難となる。ただし,ここでの張力(g/d)は,張
力計で測定した張力(g)を複合加工糸の総繊度(d)
で除した値である。
【0029】また,間歇的な仮撚加工において, 0.1g
/d以下の張力とする方法としては,糸条Aと糸条Bの
熱収縮率に応じて仮撚ゾーンのオーバーフィード率
(%)と流体の圧力を適宜設定することで容易に調整で
きる。好ましいオーバーフィード率の下限は,糸条Bの
熱収縮率よりも10%高いオーバーフィード率であり,好
ましい上限は,糸条Aの熱収縮率よりも20%高いオーバ
ーフィード率であるが,流体圧力等の他の加工条件によ
っても変わるので,特に限定されるものではない。
/d以下の張力とする方法としては,糸条Aと糸条Bの
熱収縮率に応じて仮撚ゾーンのオーバーフィード率
(%)と流体の圧力を適宜設定することで容易に調整で
きる。好ましいオーバーフィード率の下限は,糸条Bの
熱収縮率よりも10%高いオーバーフィード率であり,好
ましい上限は,糸条Aの熱収縮率よりも20%高いオーバ
ーフィード率であるが,流体圧力等の他の加工条件によ
っても変わるので,特に限定されるものではない。
【0030】ノズルに供給する流体の圧力は糸条の施撚
数に影響し,その施撚数によって張力が変わるので,流
体の圧力によってもある程度張力の調整は可能である
が,通常は,施撚数を設定するために圧力を調整するの
で,オーバーフィード率で張力を調整するほうが好まし
い。流体の圧力によって張力を調整する場合には,1〜
8kg/cm2 程度の範囲内が一般的である。
数に影響し,その施撚数によって張力が変わるので,流
体の圧力によってもある程度張力の調整は可能である
が,通常は,施撚数を設定するために圧力を調整するの
で,オーバーフィード率で張力を調整するほうが好まし
い。流体の圧力によって張力を調整する場合には,1〜
8kg/cm2 程度の範囲内が一般的である。
【0031】また,流体の供給及び停止時間,供給と停
止の周期は,目的とする複合加工糸の形態や加工速度に
よって変わるが,糸条の未解撚部,過解撚部及び無撚部
の長さがそれぞれ数cm〜数mのオーダーとなるように調
整することが好ましい。このような調整は,ノズルに接
続した流体配管の途中に電磁弁等を設け,コンピュータ
ーで電磁弁の開閉を一定周期又はランダム周期で制御す
ることにより容易に実施することができる。
止の周期は,目的とする複合加工糸の形態や加工速度に
よって変わるが,糸条の未解撚部,過解撚部及び無撚部
の長さがそれぞれ数cm〜数mのオーダーとなるように調
整することが好ましい。このような調整は,ノズルに接
続した流体配管の途中に電磁弁等を設け,コンピュータ
ーで電磁弁の開閉を一定周期又はランダム周期で制御す
ることにより容易に実施することができる。
【0032】次に,本発明を図面により説明する。図1
は,本発明の一実施態様を示す概略工程図である。図1
において,熱収縮率が20%以上の糸条Aと熱収縮率が糸
条Aよりも10%以上小さい糸条Bは,フィードローラー
1で引き揃えられて交絡ゾーンに供給され,インターレ
ースノズル2で圧縮空気等の流体によって糸条間に交絡
が付与された後,第1デリベリローラー3に引き取られ
る。なお,この時点での両糸条には,熱収縮率差による
糸長差は実質的に発現していない。
は,本発明の一実施態様を示す概略工程図である。図1
において,熱収縮率が20%以上の糸条Aと熱収縮率が糸
条Aよりも10%以上小さい糸条Bは,フィードローラー
1で引き揃えられて交絡ゾーンに供給され,インターレ
ースノズル2で圧縮空気等の流体によって糸条間に交絡
が付与された後,第1デリベリローラー3に引き取られ
る。なお,この時点での両糸条には,熱収縮率差による
糸長差は実質的に発現していない。
【0033】次いで,交絡された糸条は仮撚ゾーンへ送
られ,加熱装置4により糸条Aと糸条Bとの熱収縮率差
又は条件によってはオーバーフィード率と糸条Bの熱収
縮率との差に応じて糸長差が発現するとともに,施撚ノ
ズル5の旋回作用で芯鞘構造を形成しながら加撚され,
撚固定される。そして,施撚ノズル5通過後の解撚ゾー
ンにおいては,流体が停止していれば未解撚部として,
流体が供給されていれば過解撚部として第2デリベリロ
ーラー6から引き出され,捲き取り装置7により本発明
の目的とする芯鞘構造の交互撚複合加工糸8が捲き取ら
れる。
られ,加熱装置4により糸条Aと糸条Bとの熱収縮率差
又は条件によってはオーバーフィード率と糸条Bの熱収
縮率との差に応じて糸長差が発現するとともに,施撚ノ
ズル5の旋回作用で芯鞘構造を形成しながら加撚され,
撚固定される。そして,施撚ノズル5通過後の解撚ゾー
ンにおいては,流体が停止していれば未解撚部として,
流体が供給されていれば過解撚部として第2デリベリロ
ーラー6から引き出され,捲き取り装置7により本発明
の目的とする芯鞘構造の交互撚複合加工糸8が捲き取ら
れる。
【0034】図1では,供給糸(糸条A及び糸条B)と
して延伸糸を用いたが,両糸条のうち少なくとも一方は
未延伸糸又は高配向未延伸糸を供給糸とし,これを延伸
した後,連続して図1の工程に供給してもよい。また,
図1には,供給糸として糸条Aと糸条Bの2本の糸条を
示したが,これらと同時に他の糸条を併せて供給しても
よい。他の糸条としては,特に限定されるものではな
く,例えば,熱収縮率が糸条Bより大きく,かつ糸条A
よりも小さい延伸糸,6000m/分以上の速度で超高速紡
糸された超高配向未延伸糸(熱収縮率はポリエチレンテ
レフタレートの場合で通常5%以下)等がある。
して延伸糸を用いたが,両糸条のうち少なくとも一方は
未延伸糸又は高配向未延伸糸を供給糸とし,これを延伸
した後,連続して図1の工程に供給してもよい。また,
図1には,供給糸として糸条Aと糸条Bの2本の糸条を
示したが,これらと同時に他の糸条を併せて供給しても
よい。他の糸条としては,特に限定されるものではな
く,例えば,熱収縮率が糸条Bより大きく,かつ糸条A
よりも小さい延伸糸,6000m/分以上の速度で超高速紡
糸された超高配向未延伸糸(熱収縮率はポリエチレンテ
レフタレートの場合で通常5%以下)等がある。
【0035】
【実施例】次に,本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
説明する。
【0036】実施例1〜3,比較例1〜3 糸条Aとして,種々の熱収縮率となるようにイソフタル
酸を共重合したポリエチレンテレフタレート系コポリエ
ステルよりなる50d/24fの延伸糸を,糸条Bとして,
実質的にポリエチレンテレフタレートホモポリマーより
なり,紡糸,延伸条件を適宜選定して目的とする熱収縮
率とした 110d/288fの延伸糸を用い,図1に示した工
程に従って複合加工糸を製造した。なお,比較例3は,
供給糸に交絡処理を施すことなく,間歇的な仮撚加工を
施した。
酸を共重合したポリエチレンテレフタレート系コポリエ
ステルよりなる50d/24fの延伸糸を,糸条Bとして,
実質的にポリエチレンテレフタレートホモポリマーより
なり,紡糸,延伸条件を適宜選定して目的とする熱収縮
率とした 110d/288fの延伸糸を用い,図1に示した工
程に従って複合加工糸を製造した。なお,比較例3は,
供給糸に交絡処理を施すことなく,間歇的な仮撚加工を
施した。
【0037】糸条Aと糸条Bの熱収縮率と加工条件,得
られた複合加工糸及び織物の評価結果を表1に示す。
られた複合加工糸及び織物の評価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】なお,織物の評価は,複合加工糸を使用し
製織した後,染色仕上げ加工して得られた織物(経糸密
度 130本/2.54cm, 緯糸密度70本/2.54cm,2/2ツイ
ル)について,顕微鏡や目視による観察と手触りによ
り,次の基準で行った。 ◎:非常に良好, ○:良好, △:普通,
×:不良
製織した後,染色仕上げ加工して得られた織物(経糸密
度 130本/2.54cm, 緯糸密度70本/2.54cm,2/2ツイ
ル)について,顕微鏡や目視による観察と手触りによ
り,次の基準で行った。 ◎:非常に良好, ○:良好, △:普通,
×:不良
【0040】表1から明らかなように,実施例1〜3で
得られた複合加工糸は,交互撚が安定した芯鞘構造を有
しており,鞘糸のずれもなかった。また,これらの複合
加工糸を製織して得られた織物は,ボリューム感とソフ
ト感に富み,染色斑もなかった。
得られた複合加工糸は,交互撚が安定した芯鞘構造を有
しており,鞘糸のずれもなかった。また,これらの複合
加工糸を製織して得られた織物は,ボリューム感とソフ
ト感に富み,染色斑もなかった。
【0041】一方,比較例1,2で得られた複合加工糸
は交互撚が不安定であり,これらの複合加工糸を製織し
て得られた織物は,ボリューム感とソフト感に乏しいも
のであった。また,比較例3で得られた複合加工糸は,
交互撚はかなり安定したものであったが,鞘糸がずれや
すく,この複合加工糸を製織して得られた織物はボリュ
ーム感とソフト感は有するものの,染色斑が認められ
た。
は交互撚が不安定であり,これらの複合加工糸を製織し
て得られた織物は,ボリューム感とソフト感に乏しいも
のであった。また,比較例3で得られた複合加工糸は,
交互撚はかなり安定したものであったが,鞘糸がずれや
すく,この複合加工糸を製織して得られた織物はボリュ
ーム感とソフト感は有するものの,染色斑が認められ
た。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば,糸条の長手方向に仮撚
加撚方向の撚と解撚方向の撚を交互に有するとともに撚
の安定性が著しく向上した芯鞘構造を呈し,嵩高性や柔
軟性も有するので,製編織すれば,ボリューム感,ソフ
ト感,ウォーム感のある布帛となる複合加工糸を容易
に,しかも安定して製造することが可能となる。
加撚方向の撚と解撚方向の撚を交互に有するとともに撚
の安定性が著しく向上した芯鞘構造を呈し,嵩高性や柔
軟性も有するので,製編織すれば,ボリューム感,ソフ
ト感,ウォーム感のある布帛となる複合加工糸を容易
に,しかも安定して製造することが可能となる。
【図1】本発明の一実施態様を示す概略工程図である。
A 延伸糸(芯糸用) B 延伸糸(鞘糸用) 1 フィードローラ 2 インターレースノズル 3 第1デリベリローラ 4 加熱装置 5 施撚ノズル 6 第2デリベリローラ 7 捲き取り装置 8 複合加工糸
Claims (2)
- 【請求項1】 熱収縮率が20%以上である延伸糸Aと,
延伸糸Aよりも熱収縮率が10%以上小さい延伸糸Bを含
む少なくとも2本の糸条を引き揃えて,流体による交絡
処理を施した後,0.1g/d以下の張力下で間歇的に仮
撚加工することを特徴とする複合加工糸の製造方法。 - 【請求項2】 延伸糸Bの単糸繊度が1d以下である請
求項1記載の複合加工糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5021806A JPH06212522A (ja) | 1993-01-14 | 1993-01-14 | 複合加工糸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5021806A JPH06212522A (ja) | 1993-01-14 | 1993-01-14 | 複合加工糸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06212522A true JPH06212522A (ja) | 1994-08-02 |
Family
ID=12065302
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5021806A Pending JPH06212522A (ja) | 1993-01-14 | 1993-01-14 | 複合加工糸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06212522A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR970015812A (ko) * | 1995-09-11 | 1997-04-28 | 다구찌 에이이찌 | 복합 가공사, 복합가공사의 제조방법, 복합가공사를 사용한 편직물 및 복합가공사의 제조장치 |
EP0777002A2 (en) * | 1995-09-13 | 1997-06-04 | Toray Industries, Inc. | A composite textured yarn, a process for its production, woven or knitted fabrics made thereof, and an apparatus for producing it |
-
1993
- 1993-01-14 JP JP5021806A patent/JPH06212522A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR970015812A (ko) * | 1995-09-11 | 1997-04-28 | 다구찌 에이이찌 | 복합 가공사, 복합가공사의 제조방법, 복합가공사를 사용한 편직물 및 복합가공사의 제조장치 |
EP0777002A2 (en) * | 1995-09-13 | 1997-06-04 | Toray Industries, Inc. | A composite textured yarn, a process for its production, woven or knitted fabrics made thereof, and an apparatus for producing it |
EP0777002A3 (en) * | 1995-09-13 | 1999-11-10 | Toray Industries, Inc. | A composite textured yarn, a process for its production, woven or knitted fabrics made thereof, and an apparatus for producing it |
US6074751A (en) * | 1995-09-13 | 2000-06-13 | Toray Industries, Inc. | Composite textured yarn, a process for its production, woven or knitted fabrics made thereof, and an apparatus for producing it |
US6244031B1 (en) | 1995-09-13 | 2001-06-12 | Toray Industries, Inc. | Process for production of a composite textured yarn, woven or knitted fabrics made therefrom |
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