JP7393626B2 - オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 - Google Patents
オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7393626B2 JP7393626B2 JP2019175613A JP2019175613A JP7393626B2 JP 7393626 B2 JP7393626 B2 JP 7393626B2 JP 2019175613 A JP2019175613 A JP 2019175613A JP 2019175613 A JP2019175613 A JP 2019175613A JP 7393626 B2 JP7393626 B2 JP 7393626B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- content
- welding
- uranami
- base material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
- 229910000963 austenitic stainless steel Inorganic materials 0.000 title claims description 19
- 239000000463 material Substances 0.000 claims description 43
- 229910052751 metal Inorganic materials 0.000 claims description 25
- 239000002184 metal Substances 0.000 claims description 25
- 239000000203 mixture Substances 0.000 claims description 19
- 239000000126 substance Substances 0.000 claims description 19
- 239000011324 bead Substances 0.000 claims description 16
- 239000012535 impurity Substances 0.000 claims description 14
- 239000010953 base metal Substances 0.000 claims description 11
- 239000002245 particle Substances 0.000 claims description 10
- 238000003466 welding Methods 0.000 description 53
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 33
- 229910000831 Steel Inorganic materials 0.000 description 27
- 239000010959 steel Substances 0.000 description 27
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 17
- 238000005336 cracking Methods 0.000 description 14
- 229910052761 rare earth metal Inorganic materials 0.000 description 13
- 230000035882 stress Effects 0.000 description 13
- 230000007797 corrosion Effects 0.000 description 9
- 238000005260 corrosion Methods 0.000 description 9
- 229910001566 austenite Inorganic materials 0.000 description 8
- 230000003749 cleanliness Effects 0.000 description 7
- 150000001247 metal acetylides Chemical class 0.000 description 7
- 238000000034 method Methods 0.000 description 7
- 239000002244 precipitate Substances 0.000 description 7
- 210000003371 toe Anatomy 0.000 description 7
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 description 6
- 238000007711 solidification Methods 0.000 description 6
- 230000008023 solidification Effects 0.000 description 6
- 230000032683 aging Effects 0.000 description 5
- 239000007789 gas Substances 0.000 description 5
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 4
- 229910052758 niobium Inorganic materials 0.000 description 4
- 230000003647 oxidation Effects 0.000 description 4
- 238000007254 oxidation reaction Methods 0.000 description 4
- 229910045601 alloy Inorganic materials 0.000 description 3
- 239000000956 alloy Substances 0.000 description 3
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 3
- 239000011159 matrix material Substances 0.000 description 3
- 229910052760 oxygen Inorganic materials 0.000 description 3
- 229920006395 saturated elastomer Polymers 0.000 description 3
- 239000000243 solution Substances 0.000 description 3
- 230000000087 stabilizing effect Effects 0.000 description 3
- 229910052717 sulfur Inorganic materials 0.000 description 3
- XKRFYHLGVUSROY-UHFFFAOYSA-N Argon Chemical compound [Ar] XKRFYHLGVUSROY-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 230000002411 adverse Effects 0.000 description 2
- 238000005275 alloying Methods 0.000 description 2
- 238000005520 cutting process Methods 0.000 description 2
- 238000005530 etching Methods 0.000 description 2
- 230000005496 eutectics Effects 0.000 description 2
- 238000009776 industrial production Methods 0.000 description 2
- 230000007774 longterm Effects 0.000 description 2
- 229910052748 manganese Inorganic materials 0.000 description 2
- 150000004767 nitrides Chemical class 0.000 description 2
- 229910052757 nitrogen Inorganic materials 0.000 description 2
- 239000002994 raw material Substances 0.000 description 2
- 239000006104 solid solution Substances 0.000 description 2
- 229910001122 Mischmetal Inorganic materials 0.000 description 1
- 206010070834 Sensitisation Diseases 0.000 description 1
- 239000002253 acid Substances 0.000 description 1
- 229910052786 argon Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910052799 carbon Inorganic materials 0.000 description 1
- 238000010622 cold drawing Methods 0.000 description 1
- 229910052802 copper Inorganic materials 0.000 description 1
- 230000012447 hatching Effects 0.000 description 1
- 238000001192 hot extrusion Methods 0.000 description 1
- 229910052747 lanthanoid Inorganic materials 0.000 description 1
- 150000002602 lanthanoids Chemical class 0.000 description 1
- 239000007788 liquid Substances 0.000 description 1
- 150000002739 metals Chemical class 0.000 description 1
- 239000000178 monomer Substances 0.000 description 1
- 238000001556 precipitation Methods 0.000 description 1
- 229910052706 scandium Inorganic materials 0.000 description 1
- 230000008313 sensitization Effects 0.000 description 1
- 229910001220 stainless steel Inorganic materials 0.000 description 1
- WFKWXMTUELFFGS-UHFFFAOYSA-N tungsten Chemical compound [W] WFKWXMTUELFFGS-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 229910052721 tungsten Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000010937 tungsten Substances 0.000 description 1
- 229910052720 vanadium Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910052727 yttrium Inorganic materials 0.000 description 1
- 229910000859 α-Fe Inorganic materials 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Arc Welding In General (AREA)
Description
前記溶接継手は母材と溶接金属とを有し、
前記母材はオーステナイト系ステンレス鋼からなり、熱影響部を含み、
前記母材の化学組成は、質量%で、
C:0.03~0.12%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.040%以下、
S:0.002%以下、
Ni:35.0~50.0%、
Cr:20.0~28.0%、
Mo:0.50%以下、
W:4.0~10.0%、
Ti:0.01~0.30%、
Nb:0.01~1.00%、
B:0.0005~0.0100%、
N:0.02%以下、
Al:0.0005~0.040%、
O:0.020%以下、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
REM:0~0.06%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記一方向に垂直な断面において、前記裏波ビードの止端部における接線と、前記母材表面の延長線とがなす角のうち、前記母材側の角度を裏波開き角度とした場合に、
前記裏波開き角度と前記熱影響部の平均粒度番号との関係が、下記(i)式を満足する、オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手。
D×G≧500 ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各記号は以下により定義される。
D:裏波開き角度(°)
G:熱影響部の平均粒度番号
Ca:0.0005~0.020%、
Mg:0.0005%~0.020%、および
REM:0.0003%~0.06%、
から選択される一種以上を含有する、上記(1)に記載のオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手。
C:0.04~0.14%、
Si:0.50%以下、
Mn:1.5%以下、
P:0.020%以下、
S:0.002%以下、
Ni:40.0~48.0%、
Cr:20.0~25.0%、
Mo:0.50%以下、
W:6.0~9.1%、
Ti:0.01~0.20%、
Nb:0.01~0.50%、
B:0.0100%以下、
N:0.0005~0.02%、
Al:0.040%以下、
O:0.020%以下、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
REM:0~0.06%、
残部:Feおよび不純物である、上記(1)または(2)に記載のオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手。
本発明に係る溶接継手は、一方向に延びる裏波ビードが形成された溶接継手である。溶接継手は、母材と溶接金属とを有する。また、母材はオーステナイト系ステンレス鋼からなり、熱影響部を含む。
溶接継手母材の各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、オーステナイト相を安定にする効果を有する。また、Nとともに微細な粒内炭窒化物を形成し、高温強度の向上に寄与する。このため、C含有量は、0.03%以上とする。C含有量は、0.04%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましい。
Siは、脱酸作用を有し、鋼の清浄性を向上させる効果を有する。また、Siは、高温での耐食性、および耐酸化性の向上に有効である。しかしながら、Si含有量が1.0%を超えると、オーステナイト相の安定性を低下させて、クリープ強度および靱性の低下を招く。このため、Si含有量は1.0%以下とする。Si含有量は、0.8%以下とするのが好ましく、0.6%以下とするのがより好ましい。一方、上記効果を得るためには、Si含有量は0.03%以上とするのが好ましい。
Mnは、Siと同様に、脱酸作用を有し、鋼の清浄性を向上させる効果を有する。また、Mnは、オーステナイト相の安定化にも寄与する。さらに、溶接時にSを固定化して、応力緩和割れを抑制する効果も有する。しかしながら、Mn含有量が2.0%を超えると、脆化を招き、クリープ延性および靱性の低下を招く。このため、Mn含有量は2.0%以下とする。Mn含有量は1.5%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mn含有量は0.05%以上とするのが好ましい。
Pは不純物として、鋼中に含有され、熱間加工性および靭性を低下させる。また、溶接時に液化割れを引き起こす場合がある。このため、P含有量は0.040%以下とする。P含有量は極力低減することが好ましいが、極端なPの低減は、製造コストの増加に繋がる。このため、P含有量は、0.001%以上とするのが好ましい。
Sは不純物として、鋼中に含有され、熱間加工性およびクリープ延性を低下させる。また、Sは、応力緩和割れを生じやすくする。このため、S含有量は0.002%以下とする。S含有量は極力低減することが好ましいが、極端なSの低減は、製造コストの増加に繋がる。このため、S含有量は、0.0002%以上とするのが好ましい。
Niはオーステナイトを安定化させ、クリープ強度を高める。このため、Ni含有量は、35.0%以上とする。Ni含有量は、38.0%以上とするのが好ましい。しかしながら、Niを、過剰に含有させると、上記効果が飽和し、製造コストも高くなる。このため、Ni含有量は50.0%以下とする。Ni含有量は、48.0%以下とするのが好ましい。
Crは、鋼の耐食性を向上させる効果を有する。このため、Cr含有量は20.0%以上とする。Cr含有量は21.0%以上とするのが好ましい。しかしながら、Crを、過剰に含有させると、クリープ強度および靭性が低下する。このため、Cr含有量は28.0%以下とする。Cr含有量は27.0%以下とするのが好ましい。
Moは、600~700℃での使用環境において、粒界に炭化物が生成するのを抑制する効果を有する。さらに、粒界強度を高め、クリープ強度を高める効果も有する。しかしながら、Moを、過剰に含有させると、オーステナイト相の安定性を低下させる。このため、Mo含有量は0.50%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Mo含有量は0.01%以上とするのが好ましい。
Wは、母相に固溶して高温でのクリープ強度および引張強さの向上に大きく寄与する。このため、W含有量は4.0%以上とする。W含有量は5.0%以上とするのが好ましい。しかしながら、Wを過剰に含有させても、その効果は飽和するか、却ってクリープ強度を低下させる場合がある。さらに、Wは高価な元素であるため、Wの過剰の含有はコストの増大を招く。このため、W含有量は10.0%以下とする。W含有量は9.0%以下とするのが好ましい。
Tiは、Nbと同様、微細な炭窒化物を形成して、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に寄与する。このため、Ti含有量は0.01%以上とする。Ti含有量は0.05%以上とするのが好ましい。しかしながら、Ti含有量が過剰になると、Nbと同様に使用初期に多量に析出し、靭性の低下を招く。このため、Ti含有量は0.30%以下とする。Ti含有量は0.25%以下とするのが好ましい。
Nbは、600~700℃の高温使用環境下において、Cと結合して炭窒化物を形成し、クリープ強度を高める効果を有する。このため、Nb含有量は0.01%以上とする。Nb含有量は0.05%以上とするのが好ましい。しかしながら、Nbを、過剰に含有させると、δフェライトが生成する。この結果、鋼のクリープ強度、靭性、および溶接性を低下させる。このため、Nb含有量は1.00%以下とする。Nb含有量は0.90%以下とするのが好ましい。
Bは、600~700℃での高温使用環境下において、粒界に偏析し、粒界強度を高める効果を有する。その結果、クリープ延性を高める。このため、B含有量は0.0005%以上とする。B含有量は0.0010%以上とするのが好ましい。しかしながら、Bを過剰に含有させると、溶接性および高温での熱間加工性が低下する。このため、B含有量は0.0100%以下とする。B含有量は0.0060%以下とするのが好ましい。
Nは母相に固溶することでオーステナイトを安定化させる、または粒内に微細な炭窒化物を形成することで、クリープ強度を高める効果を有する。しかしながら、Nを、過剰に含有させると、粒界でCr窒化物が形成され、溶接熱影響部での耐食性が低下する場合がある。また、加工性が低下する場合もある。このため、N含有量は0.02%以下とする。一方、Nの過剰な低減は、製造コストを増加させるため、N含有量は0.015%以上とするのが好ましい。
Alは脱酸作用を有し、鋼の清浄性を向上させる効果を有する。このため、Al含有量は0.0005%以上とする。Al含有量は、0.0010%以上とするのが好ましい。しかしながら、Alを過剰に含有させると、却って鋼の清浄性が低下する。また、鋼の加工性および延性も低下する。このため、Al含有量は0.040%以下とする。Al含有量は0.030%以下とするのが好ましい。
Oは、不純物として鋼中に含有され、鋼の清浄性、ならびに熱間加工性および靭性といった機械的特性を低下させる。このため、O含有量は0.020%以下とする。O含有量は極力低減するのが好ましいが、極端なOの低減は、製造コストの増加に繋がる。このため、O含有量は、0.001%以上とするのが好ましい。
Caは、OおよびSを介在物として固定することで、鋼の熱間加工性とクリープ延性とを高める効果を有する。このため、必要に応じて、含有させてもよい。しかしながら、Caを過剰に含有させると、鋼の熱間加工性およびクリープ延性を低下させる。このため、Ca含有量は0.020%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Ca含有量は0.0005%以上とするのが好ましい。
Mgは、OおよびSを介在物として固定することで、鋼の熱間加工性とクリープ延性とを高める効果を有する。このため、必要に応じて、含有させてもよい。しかしながら、Mgを過剰に含有させると、鋼の熱間加工性およびクリープ延性を却って低下させる。このため、Mg含有量は0.020%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Mg含有量は0.0005%以上とするのが好ましい。
REMは、OおよびSを介在物として固定することで、鋼の熱間加工性とクリープ延性とを高める効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REMを過剰に含有させると、鋼の熱間加工性およびクリープ延性を低下させる。このため、REM含有量は0.06%以下とする。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は0.0003%以上とするのが好ましい。
本発明に係る溶接継手は、後述する、裏波開き角度と、熱影響部の平均粒度番号との関係を規定する。具体的には、裏波開き角度と熱影響部の平均粒度番号との関係が、下記(i)式を満足する。
D×G≧500 ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各記号は以下により定義される。
D:裏波開き角度(°)
G:熱影響部の平均粒度番号
本発明に係る溶接継手において、溶接金属の化学組成は、質量%で、
C:0.04~0.14%、
Si:0.50%以下、
Mn:1.5%以下、
P:0.020%以下、
S:0.002%以下、
Ni:40.0~48.0%、
Cr:20.0~25.0%、
Mo:0.50%以下、
W:6.0~9.1%、
Ti:0.01~0.20%、
Nb:0.01~0.50%、
B:0.0100%以下、
N:0.0005~0.02%、
Al:0.040%以下、
O:0.020%以下、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
REM:0~0.06%、
残部:Feおよび不純物であるのが好ましい。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、溶接後の溶接金属中の相安定性を高める作用を有するとともに、微細な炭化物を形成し、高温使用中のクリープ強度を向上させる効果を有する元素である。さらには、溶接凝固中にCrと共晶炭化物を形成することで、凝固割れ感受性の低減にも寄与する。このため、C含有量は0.04%以上とするのが好ましい。C含有量は0.05%以上とするのがより好ましく、0.06%以上とするのがさらに好ましい。
Siは、溶接材料の製造時において脱酸に有効であるとともに、溶接後の溶接金属の高温での耐食性および耐酸化性の向上に有効な元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合には相安定性が低下して、靭性およびクリープ強度の低下を招くおそれがある。このため、Siの含有量は0.50%以下とするのが好ましい。Si含有量は0.40%以下とするのがより好ましく、0.30%以下とするのがさらに好ましい。
Mnは、Siと同様、溶接材料の製造時において脱酸に有効な元素である。また、Mnは、溶接後の溶接金属中の相安定性の向上にも寄与する。しかしながら、Mnの含有量が過剰になると脆化を招き、さらに、靭性およびクリープ延性の低下も生じるおそれがある。このため、Mnの含有量は1.5%以下とするのが好ましい。Mnの含有量は1.3%以下とするのがより好ましく、1.2%以下とするのがさらに好ましい。
Pは、不純物として溶接材料中に含まれ、溶接中に凝固割れ感受性を高める元素である。さらに、高温で長時間使用した後の溶接金属のクリープ延性を低下させる。このため、P含有量は0.020%以下とするのが好ましい。P含有量は0.015%以下とするのがより好ましく、0.010%以下とするのがさらに好ましい。
Sは、Pと同様に不純物として溶接材料中に含まれ、溶接中に凝固割れ感受性を高める元素である。さらに、Sは、溶接金属において長時間使用中に柱状晶粒界に偏析して脆化を招き、再熱割れ感受性を高める。このため、S含有量は0.002%以下とするのが好ましい。S含有量は0.0015%以下とするのがより好ましく、0.0010%以下とするのがさらに好ましい。
Niは、オーステナイトを安定化させ、高温でのクリープ強度を向上させる。このため、Ni含有量は40.0%以上とするのが好ましい。Ni含有量は41.0%以上とするのがより好ましく、42.0%以上とするのがさらに好ましい。しかしながら、Ni含有量が48.0%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなる。このため、Ni含有量は48.0%以下とするのが好ましい。Ni含有量は47.0%以下とするのがより好ましく、46.0%以下とするのがさらに好ましい。
Crは、溶接後の溶接金属の高温での耐酸化性および耐食性の確保のために有効な元素である。また、Crは、微細な炭化物を形成してクリープ強度の確保にも寄与する。さらに、溶接中にCと共晶炭化物を形成することで、凝固割れ感受性の低減にも寄与する。このため、Cr含有量は20.0%以上とするのが好ましい。Cr含有量は21.0%以上とするのがより好ましい。しかしながら、Crの含有量が25.0%を超えると、高温での相安定性が劣化してクリープ強度の低下を招くおそれがある。このため、Cr含有量は25.0%以下とするのが好ましい。Cr含有量は24.0%以下とするのがより好ましく、23.0%以下とするのがさらに好ましい。
Wは、母相に固溶して高温でのクリープ強度および引張強さの向上に大きく寄与する。このため、W含有量は6.0%以上とする。W含有量は7.0%以上とするのが好ましい。しかしながら、Wを過剰に含有させても、その効果は飽和するか、却ってクリープ強度を低下させる場合がある。さらに、Wは高価な元素であるため、Wの過剰の含有はコストの増大を招く。このため、W含有量は9.1%以下とする。W含有量は9.0%以下とするのが好ましい。
Tiは、NbおよびVと同様、微細な炭窒化物を形成して、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に寄与する。このため、Ti含有量は0.01%以上とする。Ti含有量は0.02%以上とするのが好ましい。しかしながら、Ti含有量が過剰になると、Nbと同様に使用初期に多量に析出し、靭性の低下を招く。このため、Ti含有量は0.20%以下とする。Ti含有量は0.18%以下とするのが好ましい。
Nbは、Tiと同様に、CまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度の向上に寄与する。このため、Nb含有量は0.01%以上とするのが好ましい。Nb含有量は0.02%以上とするのがより好ましい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると、炭化物または炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性および靭性の低下を招くおそれがある。このため、Nb含有量は0.50%以下とするのが好ましい。Nb含有量は0.40%以下とするのがより好ましい。
Nは、溶接金属中の組織を安定化させ、クリープ強度を向上させるとともに、固溶して引張強さの確保に寄与する元素である。このため、N含有量は0.0005%以上とするのが好ましい。N含有量は0.0006%以上とするのがより好ましい。しかしながら、過剰に含有されると、高温での使用中に多量の微細窒化物が粒内に析出してクリープ延性および靭性の低下を招くおそれがある。このため、N含有量は0.02%以下であるのが好ましい。N含有量は0.01%以下とするのがより好ましい。
本発明に係る溶接継手は、上記構成を有していれば、その効果を得られるが、例えば、以下のような製造方法を用いれば、安定して、本発明に係る溶接継手を得ることができる。
2 溶接金属
3 裏波ビード
4 接線
5 母材表面の延長線
6 裏波開き角度
7 溶接金属側の角度
8 溶接止端部
Claims (2)
- 一方向に延びる裏波ビードが形成された溶接継手であって、
前記溶接継手は母材と溶接金属とを有し、
前記母材はオーステナイト系ステンレス鋼からなり、熱影響部を含み、
前記母材の化学組成は、質量%で、
C:0.03~0.12%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.040%以下、
S:0.002%以下、
Ni:35.0~50.0%、
Cr:20.0~28.0%、
Mo:0.50%以下、
W:4.0~10.0%、
Ti:0.01~0.30%、
Nb:0.01~1.00%、
B:0.0005~0.0100%、
N:0.02%以下、
Al:0.0005~0.040%、
O:0.020%以下、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
REM:0~0.06%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記溶接金属の化学組成が、質量%で、
C:0.04~0.14%、
Si:0.50%以下、
Mn:1.5%以下、
P:0.020%以下、
S:0.002%以下、
Ni:40.0~48.0%、
Cr:20.0~25.0%、
Mo:0.50%以下、
W:6.0~9.1%、
Ti:0.01~0.20%、
Nb:0.01~0.50%、
B:0.0100%以下、
N:0.0005~0.02%、
Al:0.040%以下、
O:0.020%以下、
Ca:0~0.020%、
Mg:0~0.020%、
REM:0~0.06%、
残部:Feおよび不純物であり、
前記一方向に垂直な断面において、前記裏波ビードの止端部における接線と、前記母材表面の延長線とがなす角のうち、前記母材側の角度を裏波開き角度とした場合に、
前記裏波開き角度と前記熱影響部の平均粒度番号との関係が、下記(i)式を満足する、オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手。
D×G≧500 ・・・(i)
但し、上記(i)式中の各記号は以下により定義される。
D:裏波開き角度(°)
G:熱影響部の平均粒度番号 - 前記母材の化学組成が、質量%で、
Ca:0.0005~0.020%、
Mg:0.0005~0.020%、および
REM:0.0003~0.06%、
から選択される一種以上を含有する、請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼溶接継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019175613A JP7393626B2 (ja) | 2019-09-26 | 2019-09-26 | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019175613A JP7393626B2 (ja) | 2019-09-26 | 2019-09-26 | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021049571A JP2021049571A (ja) | 2021-04-01 |
JP7393626B2 true JP7393626B2 (ja) | 2023-12-07 |
Family
ID=75155241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019175613A Active JP7393626B2 (ja) | 2019-09-26 | 2019-09-26 | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7393626B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006159226A (ja) | 2004-12-06 | 2006-06-22 | Hitachi Ltd | 裏波溶接方法 |
JP2009195980A (ja) | 2008-01-25 | 2009-09-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶接材料および溶接継手構造体 |
JP2014141713A (ja) | 2013-01-24 | 2014-08-07 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | オーステナイト系耐熱合金部材 |
WO2016129666A1 (ja) | 2015-02-12 | 2016-08-18 | 新日鐵住金株式会社 | オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法およびそれを用いて得られる溶接継手 |
JP2016215228A (ja) | 2015-05-19 | 2016-12-22 | 新日鐵住金株式会社 | オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法およびそれを用いて得られる溶接継手 |
-
2019
- 2019-09-26 JP JP2019175613A patent/JP7393626B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006159226A (ja) | 2004-12-06 | 2006-06-22 | Hitachi Ltd | 裏波溶接方法 |
JP2009195980A (ja) | 2008-01-25 | 2009-09-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 溶接材料および溶接継手構造体 |
JP2014141713A (ja) | 2013-01-24 | 2014-08-07 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | オーステナイト系耐熱合金部材 |
WO2016129666A1 (ja) | 2015-02-12 | 2016-08-18 | 新日鐵住金株式会社 | オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法およびそれを用いて得られる溶接継手 |
JP2016215228A (ja) | 2015-05-19 | 2016-12-22 | 新日鐵住金株式会社 | オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法およびそれを用いて得られる溶接継手 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021049571A (ja) | 2021-04-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20230203632A1 (en) | Austenitic stainless steel weld joint | |
KR101256268B1 (ko) | 오스테나이트계 스테인리스강 | |
JP6323188B2 (ja) | Ni基耐熱合金溶接継手の製造方法 | |
JP6519007B2 (ja) | Ni基耐熱合金溶接継手の製造方法 | |
WO2018151222A1 (ja) | Ni基耐熱合金およびその製造方法 | |
JP6384610B2 (ja) | オーステナイト系耐熱合金及び溶接構造物 | |
KR102048482B1 (ko) | 오스테나이트계 내열합금 및 용접 구조물 | |
JPWO2019131954A1 (ja) | オーステナイト系耐熱合金 | |
JP2017053006A (ja) | Ni基耐熱合金管の製造方法 | |
JP7393627B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 | |
JP7393625B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 | |
JP2020105572A (ja) | オーステナイト系耐熱鋼 | |
JPWO2019070001A1 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属および溶接構造物 | |
KR102506230B1 (ko) | 오스테나이트계 스테인리스강 | |
JP6098393B2 (ja) | 溶接継手の製造方法および溶接継手 | |
JP5857914B2 (ja) | 二相ステンレス鋼用溶接材料 | |
JP6439579B2 (ja) | オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法およびそれを用いて得られる溶接継手 | |
JP7393626B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 | |
JP6795038B2 (ja) | オーステナイト系耐熱合金およびそれを用いた溶接継手 | |
WO2021220912A1 (ja) | オーステナイト系耐熱鋼 | |
JP7360032B2 (ja) | オーステナイト系耐熱鋼溶接継手 | |
JPS6034628B2 (ja) | 遠心鋳造管用耐熱合金 | |
JP2021025096A (ja) | オーステナイト系耐熱合金溶接継手 | |
JP2021025095A (ja) | オーステナイト系耐熱合金溶接継手 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220512 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230517 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230606 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230720 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20231024 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20231106 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7393626 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |