JP7236921B2 - 打撃工具 - Google Patents
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Description
この打撃工具においては、ツールホルダに先端工具が装着されない状態や、先端工具を被加工面に押し付けていない状態(以下これらを「非打撃状態」という。)では、ピストンが往復動しても打撃子による中間子への打撃が行われないように空打ち防止機構を備えたものが知られている。例えば特許文献1には、シリンダの先端に係止用Oリングを設け、中間子には円錐面を形成して、非打撃状態では、最初の空打ちで通常打撃時よりも前進した中間子の円錐面に係止用Oリングが係合して中間子の前後移動に抵抗を加えることで、中間子の打撃子側への移動を規制してその後の空打ちを防止するようにした発明が記載されている。
ツールホルダ内における中間子の前側でツールホルダと中間子との間に、少なくとも1つが金属製である少なくとも2つのリング部材が、それぞれ前後方向へ移動して互いの間にクリアランスが発生可能な状態で収容されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、リング部材は2つであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、リング部材は何れも金属製であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、中間子は、ツールホルダの内面に対して摺動する大径部と、大径部から前方へ突出してリング部材に遊挿する小径部とを含んでなることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、最前方位置のリング部材の前面は、ツールホルダに形成された先細りリング状の段部に当接する同形状のテーパ面となっていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかの構成において、ツールホルダに、非打撃状態で中間子に当接してその前後移動に抵抗を付与可能な抵抗体が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、リング部材の1つは弾性材料で形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7の構成において、弾性材料で形成されるリング部材は、外周がツールホルダの内面に、内周が中間子の外面にそれぞれ接触していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、リング部材を2つとしているので、最小限の部品の追加で空打ち防止機能を発揮させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、2つのリング部材を何れも金属製としているので、耐久性も確保できる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、中間子を大径部と小径部とを含んでなるものとしているので、小径部によってリング部材を前側へ確実に配置できる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、最前方位置のリング部材の前面を、ツールホルダに形成された先細りリング状の段部に当接する同形状のテーパ面としているので、当該リング部材をツールホルダ内に適正姿勢で配置できる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の何れかの効果に加えて、ツールホルダに、非打撃状態で中間子に当接してその前後移動に抵抗を付与可能な抵抗体を設けたことで、空打ちによって前進する中間子を減勢して跳ね返りをより効果的に抑えることができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、リング部材の1つをの弾性材料で形成することで、前進する中間子の勢いを吸収できる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に加えて、弾性材料で形成されるリング部材の外周をツールホルダの内面に、内周を中間子の外面にそれぞれ接触させることで、リング部材の変形を抑えて耐久性を維持できると共に、当該リング部材と中間子との間の空間が密閉され、クッション効果が得られる。
図1は、打撃工具であるハンマードリル1の一例を示す中央縦断面図である。
ハンマードリル1は、本体ハウジング2の前側下部に、出力軸5を上向きにしたモータ4を収容するモータハウジング3を上下方向に連結し、その上方に、それぞれ出力軸5と噛合するクランクシャフト7及び中間シャフト8を収容したギアハウジング6を内設している。ギアハウジング6の前側には、筒状のツールホルダ10を前向きに収容する前ハウジング9を組み付けている。本体ハウジング2の後部には、スイッチ及びスイッチレバーを設けて電源コードが接続される図示しないハンドルハウジングが連結され、本体ハウジング2の前部には、前ハウジング9を覆うハウジングカバー11が連結されている。
中間シャフト8は、ツールホルダ10の後端に設けられたベベルギア12と噛合し、ツールホルダ10の先端には、操作スリーブ13によってドリルビット等の先端工具Tが装着可能となっている。
中間子20は、中間部位がツールホルダ10の内面に対して摺動する大径部21となっており、中間子20の後部には、後方へ行くに従って徐々に小径となり、大径部21と同軸で後方へ突出する後軸部22が形成されている。中間子20の前部にも、大径部21よりも小径の小径部23が同軸で突設されている。
一方、ツールホルダ10の内周面には、ピストン16及び打撃子18が収容される後ガイド面24と、中間子20が収容されて後ガイド面24よりも小径の前ガイド面25とがそれぞれ形成されている。また、後ガイド面24において、図1に示す通常打撃時での打撃子18の前進位置よりも前側には、後ガイド面24の内径よりも大径で、空打ち時に前進した打撃子18の外周面と非接触となる非ガイド面26が部分的に設けられて、非ガイド面26の位置でツールホルダ10には、ツールホルダ10の内外を連通させる空気抜き孔27,27が貫通形成されている。
これら前受けリング28、把持リング29、後受けリング30は、前受けリング28が後ガイド面24と前ガイド面25との間に形成される段部に当接して前方への移動が規制された状態で、把持リング29、後受けリング30の順に収容されて、後受けリング30が後ガイド面24に係止する係止リング31によって後退が規制されることで前後への位置決めがなされている。
この抵抗ピン36の位置でツールホルダ10の外周には、リーフスプリング37が外装されている。このリーフスプリング37は、帯状の金属板をC字状に折曲してなるもので、長手方向の端部に抵抗ピン36の基端を挿通させて抵抗ピン36をツールホルダ10の中心側へ押圧し、先端が貫通孔35から内側へ突出する突出位置に付勢している。
この段部41の後方で中間子20の前側には、前リング42と後リング43とが前後移動可能に収容されている。この2つのリング42,43は金属製で、何れも中間子20の小径部23が遊挿可能な内径を有している。前リング42は、後リング43よりも軸方向に長く形成されており、前面には、段部41の内面側の傾斜に合わせた先細りリング状のテーパ面44が形成されている。
よって、通常打撃時から中間子20が前進すると、中間子20は段部41に直接当接せず、後リング43に当接するようになっている。
ここで、ツールホルダ10の先端から先端工具Tを差し込み装着し、先端工具Tの先端を被加工面に押し当てると、先端工具Tが押し込まれて中間子20を後退させ、中間子20が前受けリング28に当接して後軸部22を後受けリング30内に臨ませた図1の後退位置で押し込みが規制される。この後退位置では、ツールホルダ10内に突出している抵抗ピン36の先端部が中間子20の大径部21に当接するため、抵抗ピン36は、リーフスプリング37の付勢に抗して貫通孔35内を径方向外側へ後退し、先端を大径部21の外周に押圧させた状態となる。
また、前進した中間子20は、後リング43に当接することになるが、前述のように前リング42と後リング43とはツールホルダ10内で前後移動が規制されていないので、先端工具Tが押し込まれた際等に後方へ移動することで、段部41と前リング42との間、前リング42と後リング43との間にそれぞれクリアランスが生じやすくなっている。よって、中間子20が当接した後リング43が前リング42に当接したり、前リング42が段部41に当接したりすることで中間子20の跳ね返りが不規則になり、跳ね返り量は少なくなってその後の空打ちは防止される。
なお、中間子20が跳ね返っても、中間子20が前進して突出位置に復帰している抵抗ピン36の先端が大径部21の後端に後方から係合するため、ここで中間子20の後退は規制され、後退位置まで戻ることはない。
また、ツールホルダ10の後ガイド面24には、打撃子18より大径の非ガイド面26が形成されているので、打撃子18が最初の空打ちで前進する際、非ガイド面26の内側に進入して後ガイド面24による前進のガイドを失わせる。これにより、打撃子18が通常打撃時の前後動の軸線から傾きやすくなり、中間子20に対する最初の空打ちの打撃力自体が弱められる。なお、打撃子18の前軸部19の前端面と中間子20の後軸部22の後端面とは、互いに相手側へ膨出する球面状となっているため、打撃子18に多少の傾きが生じても前軸部19による後軸部22への適正な当接は確保される。
また、前リング42と後リング43とを何れも金属製としているので、耐久性も確保できる。
さらに、中間子20を、ツールホルダ10の内面に対して摺動する大径部21と、大径部21から前方へ突出して前リング42及び後リング43に遊挿する小径部23とを含んでなるものとしているので、小径部23によって前リング42と後リング43とを前側へ確実に配置できる。
また、ツールホルダ10に、非打撃状態で中間子20に当接してその前後移動に抵抗を付与可能な抵抗ピン36(抵抗体)を設けているので、空打ちによって前進する中間子20を減勢して跳ね返りをより効果的に抑えることができる。
なお、抵抗体としては、中間子に対して抵抗を付与するものに限らず、先端工具に対して抵抗を付与するものとしてもよい。抵抗体の数や配置も適宜変更可能である。但し、抵抗体は省略可能である。非ガイド面も省略できる。
また、リング部材は全て金属製とすると耐久性が得られるが、リング部材の1つをゴム等の弾性材料で形成することもできる。弾性材料とすれば前進する中間子の勢いを吸収できる。この場合、弾性材料のリング部材は前側にあってもよい。
さらに、弾性材料で形成されるリング部材は、外周をツールホルダの内面に、内周を中間子の外面にそれぞれ接触させるのが望ましい。このようにすれば、当該リング部材の変形を抑えて耐久性を維持できると共に、当該リング部材と中間子との間の空間が密閉され、クッション効果が得られる。
さらに、打撃工具としてはハンマードリルに限らず、打撃機構のみを備えた電動ハンマであっても本発明は適用可能である。
Claims (8)
- 先端工具を保持する筒状のツールホルダと、モータからの回転に伴って前後動するピストンと、当該ピストンに連動して前後動する打撃子と、当該打撃子と前記先端工具との間で前記ツールホルダ内へ前後移動可能に収容され、通常打撃時には前記先端工具の後端に当接して前記打撃子からの打撃を前記先端工具へ間接的に伝える中間子とを含んでなる打撃機構を備えた打撃工具であって、
前記ツールホルダ内における前記中間子の前側で前記ツールホルダと前記中間子との間に、少なくとも1つが金属製である少なくとも2つのリング部材が、それぞれ前後方向へ移動して互いの間にクリアランスが発生可能な状態で収容されていることを特徴とする打撃工具。 - 前記リング部材は2つであることを特徴とする請求項1に記載の打撃工具。
- 前記リング部材は何れも金属製であることを特徴とする請求項2に記載の打撃工具。
- 前記中間子は、前記ツールホルダの内面に対して摺動する大径部と、前記大径部から前方へ突出して前記リング部材に遊挿する小径部とを含んでなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の打撃工具。
- 最前方位置の前記リング部材の前面は、前記ツールホルダに形成された先細りリング状の段部に当接する同形状のテーパ面となっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の打撃工具。
- 前記ツールホルダに、非打撃状態で前記中間子に当接してその前後移動に抵抗を付与可能な抵抗体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の打撃工具。
- 前記リング部材の1つは弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の打撃工具。
- 前記弾性材料で形成される前記リング部材は、外周が前記ツールホルダの内面に、内周が前記中間子の外面にそれぞれ接触していることを特徴とする請求項7に記載の打撃工具。
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