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JP7222279B2 - 衛生洗浄装置及びトイレ装置 - Google Patents

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JP7222279B2
JP7222279B2 JP2019049407A JP2019049407A JP7222279B2 JP 7222279 B2 JP7222279 B2 JP 7222279B2 JP 2019049407 A JP2019049407 A JP 2019049407A JP 2019049407 A JP2019049407 A JP 2019049407A JP 7222279 B2 JP7222279 B2 JP 7222279B2
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Description

開示の実施形態は、衛生洗浄装置及びトイレ装置に関する。
従来、人体局部に温水を吐水する衛生洗浄装置が知られている。また、第1温度センサと第2温度センサとを備える衛生洗浄装置が、第1温度センサおよび第2温度センサによって検出された温度が所定関係にあるか否かに基づいて温度センサに異常があるかを検知し、安全な吐水ができるようにする技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2017-115298号公報
しかしながら、上記した技術には、温度センサの経年劣化等の要因により、温度センサの出力値と実際の温度との間に誤差が生じる場合がある。このような場合、衛生洗浄装置を継続して動作させることが難しくなるという課題があった。
また、貯湯式の衛生洗浄装置は、洗浄水を貯水しない瞬間式に比べて、貯湯タンク内の洗浄水の温度が均一化しやすいため、従来の方法では、ノズルから高温の洗浄水が吐水されることによる人体への影響を抑制することが難しいという課題があった。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、貯湯式の衛生洗浄装置において、人体への影響を抑制しつつ、衛生洗浄装置の動作を継続することのできる衛生洗浄装置及びトイレ装置を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る衛生洗浄装置は、洗浄水を貯水する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の洗浄水を人体局部に向けて吐水するノズルと、前記貯湯タンク内の洗浄水を加熱するヒータと、前記貯湯タンク内の洗浄水の温度を測定する第1温度センサおよび第2温度センサと、前記ヒータのオンおよびオフを制御することによって前記貯湯タンク内の洗浄水の温度をあらかじめ設定された目標温度に近づける保温制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1温度センサによる測定値である第1温度および前記第2温度センサによる測定値である第2温度の温度差に基づいて前記第1温度および前記第2温度のうち、少なくとも一方の値を補正する補正部を備える。
均一化して同程度の温度を測定するはずの温度センサの測定値に温度差が生じている場合、第1温度センサまたは第2温度センサのいずれかに不具合が生じているおそれがある。実施形態の一態様に係る衛生洗浄装置によれば、このような場合であっても、第1温度および第2温度の温度差に基づいて、第1温度および第2温度のうち、少なくとも一方の値を補正するため、不具合による人体への影響を抑制しつつ、衛生洗浄装置の動作を継続することができる。
また、前記補正部は、前記第1温度および前記第2温度のうち、温度が低い方の前記測定値を温度が高い方の前記測定値に補正する。
かかる構成によれば、温度が低い方の測定値を温度が高い方の測定値に補正することによって、高温の洗浄水が人体局部に向けて吐水されることを抑制することができる。このため、人体への影響をより適切に抑制することができる。
また、前記制御部は、前記第1温度に基づいて前記ヒータを制御することで前記貯湯タンク内の洗浄水を前記目標温度に近づける前記保温制御を行う保温制御部と、前記第2温度に基づいて前記ノズルからの吐水を禁止するか否かを判定する判定部とを備え、前記補正部は、前記第2温度が前記第1温度よりも低い場合に、前記第2温度を前記第1温度に補正する。
かかる構成によれば、ノズルから人体局部への吐水有無を判定するための第2温度を補正することにより、高温の洗浄水が人体局部に向けて吐水されることを抑制することができる。このため、人体への影響を抑制しつつ、衛生洗浄装置の動作を継続することができる。
また、前記補正部は、前記保温制御の実行中における、前記ヒータをオンとする直前に前記測定値の補正を行う。
かかる構成によれば、保温制御の実行中における、ヒータの加熱をオンとする直前に補正を行うため、貯湯タンク内の洗浄水の温度がより均一化されていると想定される状態で温度測定を行うことができ、第1温度および第2温度の温度差をより正確に判断することができる。
さらに、実施形態の一態様に係るトイレ装置は、上述した衛生洗浄装置と、前記衛生洗浄装置が設置される便器と、を備える。
かかる構成によれば、均一化して同程度の温度を測定するはずの温度センサの測定値に温度差が生じている場合に、第1温度および第2温度の温度差に基づいて、第1温度および第2温度のうち、少なくとも一方の値を補正するため、温度センサの経年劣化等の要因により、誤差が生じるようになった場合であっても、温度センサの値を補正することができる。このため、人体への影響を抑制しつつ、衛生洗浄装置の動作を継続することができる。
実施形態の一態様によれば、貯湯式の衛生洗浄装置において、人体への影響を抑制しつつ、衛生洗浄装置の動作を継続することのできる衛生洗浄装置及びトイレ装置を提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に示す斜視図である。 図2は、第1実施形態に係る衛生洗浄装置の構成の一例を示す図である。 図3は、第1実施形態に係る貯湯タンクを模式的に示す説明図である。 図4は、保温制御の説明図である。 図5は、温度ドリフトの説明図である。 図6は、第1実施形態に係る温度センサによる測定値を表すグラフである。 図7は、第1実施形態に係る補正の手順の一例を示すフローチャートである。 図8は、第2実施形態に係る補正の手順の一例を示すフローチャートである。
以下に、本開示に係る衛生洗浄装置及びトイレ装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示に係る衛生洗浄装置及びトイレ装置が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に示す斜視図である。なお、図1には、説明を分かり易くするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする3次元の直交座標系を図示している。また、本明細書において、「洗浄水」なる表現は、必ずしも冷水の意味ではなく、温水を含む意味で使用される場合がある。
図1に示すように、トイレ装置1は、洋式大便器(以下「便器」と記載する)10と、衛生洗浄装置20とを備え、トイレ室TR内に設置される。便器10は、洗浄水タンク11に貯留された洗浄水で洗浄を行うロータンク式であるが、これに限定されるものではなく、たとえばフラッシュバルブ式であってもよい。また、図1に示す例では、床置き式の便器10を示したが、これに限られず、壁掛け式などであってもよい。
衛生洗浄装置20は、便器10の上部に設けられる。衛生洗浄装置20は、本体部21と、便蓋22と、図示しない便座とを備える。便蓋22および便座はともに、開閉可能なように本体部21に取り付けられる。本体部21は、ケース23を備える。ケース23は、ノズル90などを収納する。
図2は、第1実施形態に係る衛生洗浄装置の構成の一例を示す図である。衛生洗浄装置20は、給水路30と、バルブユニット40と、貯湯タンク50と、ヒータ51と、電解槽ユニット60と、バキュームブレーカ70と、切替弁80と、ノズル90とを備える。また、衛生洗浄装置20は、温水サーミスタ101と、リミッタサーミスタ102とを備える。また、衛生洗浄装置20は、制御部200と、記憶部250とを備える。また、制御部200は、判定部201と、保温制御部202と、補正部203とを備える。
ヒータ51、温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102は、貯湯タンク50内に配置される。また、給水路30、バルブユニット40、貯湯タンク50、電解槽ユニット60、バキュームブレーカ70、切替弁80、ノズル90、制御部200および記憶部250は、衛生洗浄装置20のケース23内に収容される。
給水路30は、給水源の一例である水道管Aとノズル90とを接続し、水道管Aからの洗浄水をノズル90へ供給する。
給水路30には、上流側(すなわち水道管A側)から順に、バルブユニット40、貯湯タンク50、電解槽ユニット60、バキュームブレーカ70および切替弁80が設けられる。
バルブユニット40は、制御部200からの制御信号に応じて給水路30を開閉する。貯湯タンク50は、洗浄水を貯水する。貯湯タンク50内に貯水された洗浄水は、ヒータ51によって加熱される。なお、貯湯タンク50の詳細については、後述する。
電解槽ユニット60は、その内部に陽極板および陰極板を有し、制御部200からの制御信号に応じて駆動して内部を流れる洗浄水を電気分解することによって次亜塩素酸を含む水を機能水として生成する。
バキュームブレーカ70は、給水路30に負圧が生じた場合に、逆流する洗浄水を図示しない大気開放経路へ流すことで、ノズル90から貯湯タンク50等への洗浄水の逆流を防止する。
切替弁80は、制御部200からの制御信号に応じて駆動し、給水路30を流れる洗浄水の流出先を切り替える。たとえば、給水路30を流れる洗浄水は、切替弁80によって、その流出先をノズル90が備える複数の吐出口のいずれかに切り替えられる。また、給水路30を流れる機能水は、切替弁80によって、その流出先をノズル洗浄用流路85に切り替えられる。ノズル洗浄用流路85を流れる機能水は、ノズル90の表面に供給される。これにより、ノズル90が洗浄される。
ノズル90は、貯湯タンク50内の洗浄水を便座に着座した使用者の人体局部に向けて吐水する。ノズル90は、ケース23(図1参照)に対して進退可能に構成される。具体的には、ノズル90には、図示しないモータなどの駆動源が接続されており、ノズル90は、かかる駆動源により、便器10のボウル内へ進出した位置と、ケース23内に後退して格納される位置との間で進退させられる。ノズル90は、進出した位置で洗浄水を使用者の人体局部へ吐出させて人体局部を洗浄する。
温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102は、貯湯タンク50内の洗浄水の温度を測定する温度センサである。温水サーミスタ101は、ヒータ51を制御するために用いられる。リミッタサーミスタ102は、ノズル90から吐出される洗浄水の温度が人体にとって安全な温度であることを確認するために用いられる。
温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102による測定結果(以下、「測定値」と記載する)は、制御部200に入力される。温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102の測定値は、たとえば、0~255のデジタル値(以下、「AD値」と記載する)で表現される。制御部200は、温水サーミスタ101等から入力されるAD値を記憶部250にあらかじめ記憶されている変換テーブルを用いて温度に変換する。
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部250に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部200は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。かかる制御部200は、入力される各種の信号に基づいてバルブユニット40、貯湯タンク50、電解槽ユニット60、切替弁80等の制御を行う。記憶部250は、たとえばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等によって実現される。
制御部200は、温水サーミスタ101の測定値に基づき、ヒータ51のオンおよびオフを制御することによって貯湯タンク50内の洗浄水の温度をあらかじめ設定された目標温度THcに近づける保温制御を行う。
また、制御部200は、リミッタサーミスタ102の測定値が閾値以上である場合に、貯湯タンク50から流出した洗浄水の温度が人体にとって安全な温度を超えていると判定する。この場合、制御部200は、上述した温度制御処理を中止することで、洗浄水を加熱しないようにする。また、これに限らず、制御部200は、リミッタサーミスタ102の測定値が閾値以上である場合に、バルブユニット40を制御して洗浄水の吐出を強制停止してもよい。
判定部201は、温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102の内、異常検知の対象として設定された温度センサに異常が生じているか否かを判定する。本実施形態においては、リミッタサーミスタ102が異常検知の対象である。判定部201は、温水サーミスタ101が異常検知の対象として設定されている場合には、温水サーミスタ101に異常が生じているか否かの判定を行う。
保温制御部202は、貯湯タンク50内の洗浄水の温度が目標温度THcに維持されるように所定の温度幅Wでヒータ51のオンおよびオフを制御する。なお、保温制御部202の詳細については、後述する。
補正部203は、たとえば温水サーミスタ101またはリミッタサーミスタ102に経年劣化等による不具合が生じて、両測定値に誤差が生じるようになった場合に、測定値の補正を行う。なお、本実施形態においては、どちらか一方の測定値を補正するが、両方を補正するようにしてもよい。なお、補正の方法については、後述する。
図3は、第1実施形態に係る貯湯タンクを模式的に示す説明図である。上述したように、貯湯タンク50の内部には、ヒータ51と、温水サーミスタ101と、リミッタサーミスタ102とが配置される。図3に示すように、貯湯タンク50は、貯湯タンク50の上流側から貯湯タンク50内に洗浄水を流入させる流入口52と、貯湯タンク50内から貯湯タンク50の下流側に洗浄水を流出させる流出口53とを有する。
温水サーミスタ101は、リミッタサーミスタ102よりも流入口52に近い位置に配置される。リミッタサーミスタ102は、温水サーミスタ101よりも流出口53に近い位置に配置される。ヒータ51は、流出口53よりも流入口52に近い位置に配置される。
貯湯タンク50内の洗浄水は、ヒータ51によって加熱されると、まずヒータ51に近い流入口52付近から温度が上がり始める。加熱された洗浄水は、W1に示すように、次第に対流をはじめ、流出口53付近の温度も徐々に高くなる。このため、ヒータ51をオンにしている間は、流入口52付近にある温水サーミスタ101の測定値の方が、流出口53付近にあるリミッタサーミスタ102の測定値よりも高くなりやすい。
貯湯タンク50内の洗浄水は、徐々に均一化されていく。このため、ヒータ51をオフにしてしばらく経過すると、温水サーミスタ101の測定値とリミッタサーミスタ102の測定値は、同程度の値となりやすい。
保温制御部202が行う保温制御の詳細について図4を参照して説明する。図4は、保温制御の説明図である。
図4に示すように、保温制御部202は、貯湯タンク50内の洗浄水の温度が目標温度THcとなるように所定の温度幅Wでヒータ51のオンおよびオフを制御する。なお、所定の温度幅Wは、たとえば、上限値THc1を上限とし、下限値THc2を下限とする幅である。
保温制御部202は、ヒータ51への通電を行う(ヒータ51をオンにする)ことによって洗浄水を加熱した後、温水サーミスタ101の測定値が上限値THc1を超えたことを検知すると、ヒータ51への通電を停止する(ヒータ51をオフにする)。ヒータ51がオフされることにより、洗浄水は自然冷却する。そして、温水サーミスタ101の測定値が下限値THc2を下回ったことを検知すると、保温制御部202は、再度ヒータ51への通電を行う(ヒータ51をオンにする)。このように、保温制御部202は、洗浄水の温度が目標温度THcに維持されるように洗浄水の加熱と冷却とを繰り返す。
なお、本実施形態において、ヒータ51のオンおよびオフは、ヒータ51への通電を行うことおよびヒータ51への通電を停止することによって行われるが、ヒータ51への通電量を大きくすることおよびヒータ51への通電量を小さくすることによって行われても良い。
温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102は、たとえば衛生洗浄装置20の長期使用によって経年劣化等することで、温度ドリフトと呼ばれる現象が生じることがある。この点について、図5を参照して説明する。図5は、温度ドリフトの説明図である。
上述したように、制御部200は、温水サーミスタ101等の温度センサから入力されるAD値を予め記憶された変換テーブルを用いて温度に変換することで、貯湯タンク50の各地点における洗浄水の温度を認識し、それぞれの温度センサの測定値としている。たとえば、図5に例示するように、ある時間「t0」において温度センサ(たとえばリミッタサーミスタ102)から入力されたAD値が「80」であった場合、制御部200は、記憶部250に記憶された変換テーブルに従って、リミッタサーミスタ102が配置される場所における水の温度が「40℃」であると認識する。
ところが、リミッタサーミスタ102に温度ドリフトが発生すると、リミッタサーミスタ102は、実際の水温がたとえば45℃であるにも関わらず、AD値「80」を制御部200に出力するようになる。この場合、制御部200は、リミッタサーミスタ102が配置される場所における水の温度を、実際には45℃であるにも関わらず、AD値「80」に対応する「40℃」であると誤認識する。この結果、図5の矢印で示すように、ノズル90から吐出される水の実際の温度が、目標温度である40℃よりも5℃高温側にシフトし、45℃の水がノズル90から人体に吐出されることとなる。
このように、温度ドリフトとは、温度センサから出力されるAD値に予め対応付けられた温度と実際の温度とが乖離する現象、具体的には、全体的に上昇方向または下降方向へシフトする現象であり、温度ドリフトが生じることで、人体に吐出する水の温度を適切に制御することが困難となるおそれがある。なお、ここでは、リミッタサーミスタ102のAD値が高温側にシフトする場合について説明したが、リミッタサーミスタ102のAD値は、温度ドリフトによって低温側にシフトする場合もある。
図6は、第1実施形態に係る温度センサによる測定値を表すグラフである。なお、本実施形態においては、温水サーミスタ101を第1温度センサとして、温水サーミスタ101による測定値を第1温度としている。また、リミッタサーミスタ102を第2温度センサとして、リミッタサーミスタ102による測定値を第2温度としている。
図6は、制御部200の保温制御部202が保温制御を行っている状態のグラフを示している。また、図6には、ヒータ51(図3参照)が貯湯タンク50(図3参照)内の洗浄水を加熱し始める前(たとえば、衛生洗浄装置20の電源がオンされた時)の区間である加熱前区間Taと、ヒータ51がオンとなりオフされ、しばらく経過した後に再度ヒータ51がオンされる前の区間である安定区間Tbを示している。図6では、第1温度を実線で、第2温度を破線で示している。
なお、図6(a)には、温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102に経年劣化等の要因による測定値の誤差が生じていない状態を示している。一方、図6(b)には、リミッタサーミスタ102に経年劣化等の要因による測定値の誤差が生じている状態を示している。
図6(a)においては、温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102に経年劣化等の要因による測定値の誤差は生じていないため、第1温度および第2温度は、貯湯タンク50内の実際の温度を示している。図6(a)に示すように、第2温度は、第1温度より少し遅れて追従するように測定値が変動している。これは、上述したように、貯湯タンク50の流入口52(図3参照)付近の温度が先に上がり、その後、対流によって流出口53(図3参照)付近の温度も上がっていくためである。
第1温度と第2温度には、差が生じている区間もあるが、点線で囲んだ加熱前区間Taと安定区間Tbの区間では、第1温度と第2温度はほぼ同様の値となっている。すなわち、加熱前区間Taと安定区間Tbの区間においては、貯湯タンク50内の洗浄水の温度は均一化されていると想定することができる。
図6(b)においては、リミッタサーミスタ102に経年劣化等の要因による測定値の誤差が生じている。このため、第1温度の示す値は、貯湯タンク50内の実際の温度であるが、第2温度の示す値は、貯湯タンク50内の実際の温度と誤差が生じている。なお、図6(b)の例では、実際の温度より低い値を示すようになった場合を示している。図6(b)に示す第2温度は、図6(a)の第2温度と比較して低い値を示している。
上述したように、リミッタサーミスタ102に経年劣化等の要因による測定値の誤差が生じている(温度ドリフトが発生している)場合、人体に吐出する水の温度を適切に制御することが困難となるおそれがある。
そこで、制御部200の補正部203は、保温制御部202による保温制御の実行中における、ヒータ51をオンとする直前(すなわち、加熱前区間Taまたは安定区間Tbの時間帯)に第1温度および第2温度の温度差を算出する。補正部203は、たとえば、ヒータ51をオフしてからあらかじめ設定された時間が経過した場合に、ヒータ51をオンとする直前であると判定して、第1温度および第2温度の温度差を算出してもよい。また、補正部203は、たとえば、第1温度または第2温度の温度変化率があらかじめ設定された値以下となった場合に、第1温度および第2温度の温度差を算出してもよい。また、補正部203は、第1温度があらかじめ設定された値となった場合に、第1温度および第2温度の温度差を算出してもよい。
そして、第1温度と第2温度を比較し、第2温度が第1温度よりも低い場合に、第2温度に温度差の値を加算することで、第2温度を第1温度に補正する。
具体的には、図6(b)の矢印で示すように、加熱前区間Taまたは安定区間Tbの時間帯に第1温度および第2温度を測定し、たとえば、第1温度が34℃、第2温度が29℃であった場合、補正部203は、第2温度に5℃加算することで、第2温度を34℃に補正する。そして、次回の補正時まで、測定した元の第2温度に5℃加算した値を補正後の第2温度とする。なお、判定部201は、補正後の第2温度に基づき、ノズル90からの吐水を禁止するか否かを判定する。
補正の手順について図7を参照して説明する。図7は、第1実施形態に係る補正の手順の一例を示すフローチャートである。なお、補正部203は、保温制御の実行中におけるヒータ51(図3参照)の加熱をオンとする直前のタイミングになった場合に補正を開始する。
図7に示すように、補正部203は、温水サーミスタ101およびリミッタサーミスタ102から第1温度および第2温度を取得し(ステップS101)、第1温度と第2温度の温度差を算出する(ステップS102)。ステップS102において、補正部203は、第1温度から第2温度を引いても良いし、第2温度から第1温度を引いても良い。
つづいて、補正部203は、ステップS102の算出結果を用いて第2温度が第1温度よりも低いか否かを判定する(ステップS103)。たとえば、補正部203は、ステップS102において第2温度から第1温度を引いたとすると、算出結果がマイナスである場合に、第2温度が第1温度よりも低いと判定する。
ステップS103において、第2温度が第1温度よりも低いと判断した場合(ステップS103,Yes)、補正部203は、第2温度を第1温度に補正する(ステップS104)。具体的には、ステップS102で算出した温度差の値を補正前の第2温度に加算した値を、補正後の第2温度とする。その後、処理を終了する。
一方、ステップS103において第2温度が第1温度以上であると判断した場合(ステップS103,No)、補正部203は、第1温度を第2温度に補正する(ステップS105)。具体的には、ステップS102で算出した温度差の値を補正前の第1温度に加算した値を、補正後の第1温度として認識する。その後、処理を終了する。
なお、本実施形態においては、ステップS102で算出した温度差の値をそのまま加算したが、第2温度を第1温度に近づける補正であればよく、たとえば、算出した温度差の半分の値を加算するものであっても良く、所定の計算式により補正を行うものであっても良い。
なお、次回の補正時には、補正部203は、補正された後の第1温度および第2温度の値によって補正を行うのではなく、補正される前の第1温度および第2温度(生値)によって補正を行う。
このように、第1実施形態に係る衛生洗浄装置20では、制御部200は、第1温度および第2温度の温度差に基づいて第1温度および第2温度のうち、少なくとも一方の値を補正する補正部203を備える。具体的には、補正部203は、温度差の値(絶対値)を温度が低い方の測定値に加算、または、温度が高い方の測定値から減算している。このため、補正部203は、均一化して同程度の温度を測定するはずの温度センサの測定値に温度差が生じている場合に、補正を行うことができる。
このため、温度センサの経年劣化等の要因により、温度ドリフトのような誤差が生じるようになった場合であっても、この誤差による人体への影響を抑制しつつ、衛生洗浄装置20の動作を継続することができる。なお、たとえば、特性の異なる温度センサを用いて、比較的経年劣化しやすい温度センサの測定値を比較的経年劣化しにくい温度センサの測定値に補正することが好ましい。
また、補正部203は、第1温度および第2温度のうち、温度が低い方の測定値を温度が高い方の測定値に補正する。
これによって、貯湯タンク50(図3参照)内の洗浄水が高温であるにも関わらず、実際の温度より低い温度であると誤認識することを抑制することができる。このため、洗浄水が人体局部に向けて吐水されることを抑制することができるため、人体への影響を抑制しつつ、衛生洗浄装置の動作を継続することができる。
また、補正部203は、保温制御の実行中における、ヒータ51をオンとする直前に測定値の補正を行うことにより、保温制御の実行中における、ヒータ51の加熱をオンとする直前に補正を行う。このため、貯湯タンク50内の洗浄水の温度がより均一化されていると想定される状態で温度測定を行うことができ、第1温度および第2温度の温度差をより正確に判断することができる。
また、ここでは、補正部203によってヒータ51をオンとする直前に毎回補正を行う場合の例について説明したが、リミッタサーミスタ102の補正の実行タイミングは、例えば、1日1回の頻度や、1か月に1回の頻度で補正を行っても良い。これにより、補正部203の処理回数を減らすこと等ができる。
なお、本実施形態では、補正部203は、一度の第1温度および第2温度の温度差によって補正を行っているが、たとえば、複数回の温度差を測定し、その平均値に基づいて補正を行ってもよい。これにより、第1温度および第2温度の温度差をより正確に判断することができる。
(第2実施形態)
衛生洗浄装置20の補正部203は、第1温度および第2温度のうち、リミッタサーミスタ102の測定値である第2温度の補正のみを行うこととしてもよい。第2実施形態に係る補正の手順について図8を参照して説明する。図8は、第2実施形態に係る補正の手順の一例を示すフローチャートである。補正部203は、保温制御の実行中におけるヒータ51(図3参照)の加熱をオンとする直前のタイミングになると補正を開始する。
図8に示すように、補正部203は、第1温度と第2温度を取得し(ステップS201)、第1温度と第2温度の温度差を算出し(ステップS202)、第2温度が第1温度よりも低いか否かを判定する(ステップS203)。
ステップS203において、第2温度が第1温度よりも低いと判断した場合(ステップS203,Yes)、補正部203は、第2温度を第1温度に補正する(ステップS204)。具体的には、ステップS202で算出した温度差の値を補正前の第2温度に加算した値を、補正後の第2温度とする。その後、処理を終了する。
ステップS203において、第2温度が第1温度以上であると判断した場合(ステップS203,No)、補正部203は、処理を終了する。
ここでは、ステップS203において、第2温度が第1温度よりも低いか否かを判定し、低い場合に、第2温度を第1温度に補正することとした。これに限らず、補正部203は、ステップS203において、第1温度が第2温度よりも低いか否かを判定し、低い場合に、第1温度を第2温度に補正することとしてもよい。
第2実施形態に係る衛生洗浄装置20では、たとえば、経年劣化し難いという特性を持った温度センサの測定値に補正するようにあらかじめ設定しておくことで、より信頼性の高い補正をおこなうことなどが可能となる。
このように、第1および第2実施形態に係る衛生洗浄装置20では、ノズル90から人体局部への吐水有無を判定するために用いられるリミッタサーミスタ102の測定値である第2温度の方が低くなっている場合に、第1温度に補正することで、ノズル90から吐水される洗浄水の温度が高くなっていると認識する。このため、第2温度を少なくとも補正することにより、高温の洗浄水が人体局部に向けて吐水されることを抑制することができる。
また、ヒータ51の制御するに用いられる温水サーミスタ101の測定値である第1温度の方が低くなっている場合に、第2温度に補正することで、貯湯タンク50内の洗浄水の温度が高くなっていると認識する。このため、第1温度を少なくとも補正することにより、十分に加熱されて目標温度THcに到達している貯湯タンク50(図3参照)内の洗浄水を更に加熱することなどを抑制できる。
上述してきたように、実施形態に係る衛生洗浄装置20によれば、制御部200は、第1温度および第2温度の温度差に基づいて第1温度および第2温度のうち、少なくとも一方の値を補正する補正部203を備える。このため、補正部203は、均一化して同程度の温度を測定するはずの温度センサの測定値に温度差が生じている場合に、補正を行うことができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
A 水道管
TR トイレ室
1 トイレ装置
10 便器
20 衛生洗浄装置
30 給水路
40 バルブユニット
50 貯湯タンク
51 ヒータ
60 電解槽ユニット
70 バキュームブレーカ
80 切替弁
85 ノズル洗浄用流路
90 ノズル
101 温水サーミスタ
102 リミッタサーミスタ
200 制御部
201 判定部
202 保温制御部
203 補正部
250 記憶部
THc 目標温度
W 温度幅

Claims (5)

  1. 洗浄水を貯水する貯湯タンクと、
    前記貯湯タンク内の洗浄水を人体局部に向けて吐水するノズルと、
    前記貯湯タンク内の洗浄水を加熱するヒータと、
    前記貯湯タンク内の洗浄水の温度を測定する第1温度センサおよび第2温度センサと、
    前記ヒータのオンおよびオフを制御することによって前記貯湯タンク内の洗浄水の温度をあらかじめ設定された目標温度に近づける保温制御を行う制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記第1温度センサによる測定値である第1温度および前記第2温度センサによる測定値である第2温度の温度差に基づいて前記第1温度および前記第2温度のうち、少なくとも一方の値を補正する補正部
    を備える、衛生洗浄装置。
  2. 前記補正部は、
    前記第1温度および前記第2温度のうち、温度が低い方の前記測定値を温度が高い方の前記測定値に補正する、請求項1に記載の衛生洗浄装置。
  3. 前記制御部は、
    前記第1温度に基づいて前記ヒータを制御することで前記貯湯タンク内の洗浄水を前記目標温度に近づける前記保温制御を行う保温制御部と、
    前記第2温度に基づいて前記ノズルからの吐水を禁止するか否かを判定する判定部と
    を備え、
    前記補正部は、
    前記第2温度が前記第1温度よりも低い場合に、前記第2温度を前記第1温度に補正する、請求項2に記載の衛生洗浄装置。
  4. 前記補正部は、
    前記保温制御の実行中における、前記ヒータをオンとする直前に前記測定値の補正を行う、請求項1~3のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
  5. 請求項1~4のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置と、
    前記衛生洗浄装置が設置される便器と、
    を備える、トイレ装置。
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