近年、道路を移動する車両の交通量等の交通情報の提供、車両の運転支援、自動運転等のユースケースを実現するために、上記Uu通信と上記直接無線通信方式による車両と移動体との間の通信(以下、前記移動体が車両でない場合であっても、本明細書では「車車間通信」という)の両方を車両に導入することが進められている。また、車車間通信は、車両の安全走行に大きく関与する場合もあるため、高いセキュリティレベルが求められる。そこで、車車間通信を行う車両のエンジン等動力源が始動(以下、本明細書では「電源オン」という)したときに、所定の発行元(認証局)からUu通信を介して当該車両に電子証明書を発行し、この電子証明書を備えた車両でなければ、車車間通信を開始できないといった技術が検討されている。
しかしながら、上記車両に発行される電子証明書には、高いセキュリティレベルを維持する観点から有効期間が設定されるため、次のような課題がある。
道路上には、Uu通信が十分な品質で可能なセル圏内エリア、Uu通信ができないセル圏外エリア、セル圏内ではあるがUu通信の品質が低くUu通信を十分に行うことができないエリア(以下「低通信品質エリア」又は「不感エリア」という。)等がある。本明細書では、セル圏内エリアと比較して相対的に通信品質が劣るセル圏外エリア及び不感エリアを、まとめて「Uu通信不可エリア」と呼ぶ。そのUu通信不可エリア内で、車車間通信を行っていた車両を一時的に停車させエンジン等動力源を切った(以下、本明細書では「電源オフ」という)場合、その電源オフ期間内に、それまでに発行されていた電子証明書の有効期間が満了してしまうことがある。そのような場合、車両を一時停車状態からの再発車させるために電源を再びオンしても、Uu通信不可エリア内ではUu通信を介した新たな電子証明書の発行ができないため、電子証明書に基づく車車間通信をすぐに再開することができなくなる。
また、車車間通信を行っている車両の走行ルートに上記Uu通信不可エリアが含まれている場合、そのUu通信不可エリアを走行しているときに電子証明書の有効期間満了タイミングが到来する場合がある。この場合、Uu通信不可エリア内であっても車両の電源をオフにしない限り、車車間通信を引き続き行うことはできるが、当該車車間通信は有効期間が満了した電子証明書に基づくものであるため、セキュリティレベルを高く保つという観点から適切ではない。
本発明の一態様に係る車両は道路を走行可能な車両である。この車両は、移動通信の基地局を介したネットワーク通信によりサーバと第1の通信を行う第1の通信部と、車両と移動体との間で行われる直接無線通信方式による通信により周辺の他の移動体と第2の通信を行う第2の通信部と、前記第2の通信に用いる自車両の電子証明書が記憶される記憶部と、自車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報を、前記サーバから受信する情報受信部と、自車両の走行開始前に、前記電子証明書を前記サーバから取得して前記記憶部の揮発性記憶領域に記憶する証明書取得部と、を備える。前記証明書取得部は、自車両の走行開始後、自車両が前記第1エリアに近づいたとき、自車両が前記第1エリアに進入する前に、有効期間が新たに設定された新規の電子証明書を前記サーバから取得して前記記憶部の不揮発性記憶領域に記憶する。
本発明の他の態様に係る車両は道路を走行可能な車両である。この車両は、移動通信の基地局を介したネットワーク通信によりサーバと第1の通信を行う第1の通信部と、車両と移動体との間で行われる直接無線通信方式の通信により周辺の他の移動体と第2の通信を行う第2の通信部と、前記第2の通信に用いる自車両の電子証明書が記憶される記憶部と、自車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報を、前記サーバから受信する情報受信部と、自車両の走行開始前に、前記電子証明書を前記サーバから取得し、前記記憶部に記憶する証明書取得部と、を備える。前記証明書取得部は、自車両の走行開始後、自車両が前記第1エリアに近づいたとき、自車両が前記第1エリアに進入する前に、有効期間が延長された更新後の電子証明書を前記サーバから取得し、前記記憶部に記憶されている前記電子証明書を前記更新後の電子証明書に書き換える。ここで、前記証明書取得部は、前記電子証明書の有効期間の満了タイミングにおいて、前記車両が前記第1エリア内に位置すると予測された場合に、前記更新後の電子証明書を取得してもよい。
前記車両において、前記第1エリアは、前記基地局のセルの圏外エリアと、前記基地局のセルの圏内であって前記第1の通信の品質が前記基地局のセルの圏内の他のエリアより低い低通信品質エリアと、を含んでもよい。
前記車両において、自車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記自車両の位置情報と、前記サーバから受信した前記第1エリアの情報とに基づいて、前記第1エリアを回避する走行ルートの情報を生成するルート生成部と、を備えてもよい。
前記車両において、前記第2の通信を用いた走行支援システム(例えば、協調型車間距離維持支援システム(Cooperative AdaptiveCruise Control:CACC)等)による走行が可能な車両が自車両の周辺を走行している場合は、支援(以下、CACCの場合においては、本明細書では、複数車両のうちの一車両として、自他の車両の速度変化情報等を互いに共有し、車間維持制御等の互いに連携した運転支援を行う機能を発揮することをいう)が可能な車両の支援を受けて走行を行うように自車両の走行を制御する走行制御部を備えてもよい。
前記車両において、前記車両の走行ルートにおける前記第1エリアの有無に基づいて、前記車両に発行する電子証明書の有効期間を変更してもよい。例えば、自車両の走行ルートに前記第1エリアがない場合は、自車両に発行された電子証明書の有効期間を、前記発行時に設定された有効期間より短くしてもよい。
前記車両は、当該車両の最前列かつ最左端の席が運転席でない車両であってもよい。
前記車両は、電気自動車であってもよい。
本発明の更に他の態様に係るサーバは、移動通信の基地局を介したネットワーク通信により、道路を走行可能な車両と第1の通信を行う通信部と、前記車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報が記憶される記憶部と、前記車両の位置情報及び速度情報を含む車両情報を、前記車両から受信する情報受信部と、前記車両から受信した車両情報に基づいて、前記車両の走行予定ルートにおける前記第1エリアの情報を特定し、前記車両に送信する情報送信部と、走行開始前の前記車両からの要求に応じて、前記車両による第2の通信に用いられる電子証明書を発行して前記車両に送信する証明書処理部と、を備える。前記証明書処理部は、走行開始後の前記車両からの要求に応じて、前記車両による第2の通信に用いられる有効期間が新たに設定された新規の電子証明書又は有効期間が延長された更新後の電子証明書を発行し、前記車両に送信する。
前記サーバにおいて、前記第1エリアは、前記基地局のセルの圏外エリアと、前記基地局のセルの圏内であって前記第1の通信の品質が前記基地局のセルの圏内の他のエリアよりも低い低通信品質エリアと、を含んでもよい。
前記サーバにおいて、前記車両から受信する車両情報は、前記車両と前記基地局との間の無線通信の通信品質に関する通信品質情報を含み、前記車両から受信した前記位置情報と前記通信品質情報とに基づいて、前記第1エリアの情報の作成を行うエリア情報処理部を備えてもよい。
前記サーバにおいて、前記車両に通知される事前QoS通知(In-advance QoS Notification)に基づいて、前記第1エリアの情報の作成を行うエリア情報処理部を備えてもよい。
本発明の更に他の態様に係るシステムは、前記いずれかの車両と前記いずれかのサーバとを有する。
本発明の更に他の態様に係る方法は、道路を走行する車両を制御する方法である。この方法は、移動通信の基地局を介したネットワーク通信によりサーバと第1の通信を行うことと、車両と移動体との間で行われる直接無線通信方式の通信により周辺の他の車両と第2の通信を行うことと、前記第2の通信に用いる自車両の電子証明書を記憶することと、自車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報を、前記サーバから受信することと、自車両の走行開始前に、前記電子証明書を前記サーバから取得して揮発性記憶領域に記憶することと、自車両の走行開始後、自車両が前記第1エリアに近づいたとき、自車両が前記第1エリアに進入する前に、有効期間が新たに設定された新規の電子証明書を前記サーバから取得して不揮発性記憶領域に記憶することと、を含む。
本発明の更に他の態様に係る方法は、道路を走行可能な車両を制御する方法である。この方法は、移動通信の基地局を介したネットワーク通信によりサーバと第1の通信を行うことと、車両と移動体との間で行われる直接無線通信方式の通信により周辺の他の移動体と第2の通信を行うことと、前記第2の通信に用いる自車両の電子証明書を記憶することと、自車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報を、前記サーバから受信することと、自車両の走行開始前に、前記電子証明書を前記サーバから取得して記憶することと、自車両の走行開始後、自車両が前記第1エリアに近づいたとき、自車両が前記第1エリアに進入する前に、有効期間が延長された更新後の電子証明書を、前記サーバから取得し、前記記憶されている電子証明書を前記更新後の電子証明書に書き換えることと、を含む。
本発明の更に他の態様に係る方法は、移動通信の基地局を介したネットワーク通信により、道路を走行可能な車両と第1の通信を行うことと、前記車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報を記憶することと、前記車両の位置情報及び速度情報を含む車両情報を、前記車両から受信する情報受信部と、前記車両から受信した車両情報に基づいて、前記車両の走行予定ルートにおける前記第1エリアの情報を特定し、前記車両に送信することと、走行開始前の前記車両からの要求に応じて、前記車両による第2の通信に用いられる電子証明書を発行して前記車両に送信することと、走行開始後の前記車両からの要求に応じて、前記車両による第2の通信に用いられる有効期間が新たに設定された新規の電子証明書又は有効期間が延長された更新後の電子証明書を発行し、前記車両に送信することと、を含む。
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、道路を走行可能な車両に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、移動通信の基地局を介したネットワーク通信によりサーバと第1の通信を行うためのプログラムコードと、車両と移動体との間で行われる直接無線通信方式の通信により周辺の他の車両と第2の通信を行うためのプログラムコードと、前記第2の通信に用いる自車両の電子証明書を記憶するためのプログラムコードと、自車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報を、前記サーバから受信するためのプログラムコードと、自車両の走行開始前に、前記電子証明書を前記サーバから取得して揮発性記憶領域に記憶するためのプログラムコードと、自車両の走行開始後、自車両が前記第1エリアに近づいたとき、自車両が前記第1エリアに進入する前に、有効期間が新たに設定された新規の電子証明書を前記サーバから取得して不揮発性記憶領域に記憶するためのプログラムコードと、を含む。
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、道路を走行可能な車両に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、移動通信の基地局を介したネットワーク通信によりサーバと第1の通信を行うためのプログラムコードと、車両と移動体との間で行われる直接無線通信方式の通信により周辺の他の車両と第2の通信を行うためのプログラムコードと、前記第2の通信に用いる自車両の電子証明書を記憶するためのプログラムコードと、自車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報を、前記サーバから受信するためのプログラムコードと、自車両の走行開始前に、前記電子証明書を前記サーバから取得して記憶するためのプログラムコードと、自車両の走行開始後、自車両が前記第1エリアに近づいたとき、自車両が前記第1エリアに進入する前に、有効期間が延長された更新後の電子証明書を前記サーバから取得し、前記記憶されている前記電子証明書を前記更新後の電子証明書に書き換えるためのプログラムコードと、を含む。
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、道路を走行可能な車両に関する情報を処理するサーバに備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、移動通信の基地局を介したネットワーク通信により、道路を走行する車両と第1の通信を行うためのプログラムコードと、前記車両の走行予定ルートにおいて前記第1の通信の品質が相対的に劣る第1エリアの情報を記憶するためのプログラムコードと、前記車両の位置情報及び速度情報を含む車両情報を、前記車両から受信するためのプログラムコードと、前記車両から受信した車両情報に基づいて、前記車両の走行予定ルートにおける前記第1エリアの情報を特定し、前記車両に送信するためのプログラムコードと、前記車両からの要求に応じて、前記車両による第2の通信に用いられる前記車両に対する有効期間が新たに設定された新規の電子証明書又は有効期限が延長された更新後の電子証明書を発行し、前記車両に送信するためのプログラムコードと、を含む。
前記車両は、地上、地中、空中、水上又は水中を移動する車両であってもよい。
本発明によれば、車両が、ネットワーク通信の品質が十分なエリアから、ネットワーク通信品質が相対的に劣るエリアに移動する場合であっても、高いセキュリティレベルを維持した上で、電子証明書に基づく車車間通信を継続して行うことできる。従って、車車間通信を維持するという安全性または利便性と、可能な限り最新の電子証明書に基づき通信を行うというセキュリティの完全性等を両立させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るコネクテッドカー及びサーバ(MEC装置)を有するシステム(以下「車車間通信セキュリティ情報管理システム」ともいう。)は、車両の走行予定ルートにおけるセル圏外エリアや不感エリアなどのUu通信不可エリア(ネットワーク通信不可エリア)の有無を事前に検知し、PC5通信に用いる電子証明書の新規発行又は有効期間の延長を行うことにより、車両の走行予定ルートにUu通信不可エリアが含まれている場合でも、高いセキュリティレベルを維持して、電子証明書に基づくPC5通信を継続して行うことできるシステムである。特に、本システムは、セキュリティレベルが高い車車間通信が求められる持続的協調運転ユースケースにも活用することができる。
上記電子証明書は、例えば、PC5通信を行う車両(又は、車両に搭載されたUu通信可能な端末装置(UE))が当該PC5通信を利用する正規の主体(エンティティ)として予め所定の機関、団体、企業等に登録されていることを証明するためのものである。この電子証明書を車両が有していない場合は、PC5通信を不正に利用しようとしている車両(又は、端末装置)と判断され、他の車両または移動体との間でPC5通信を行うことができない。
図1は、本実施形態に係るシステムの全体構成の一例を示す説明図である。本実施形態のシステムにおいて、移動経路としての道路90の各車線を右方向に走行している複数の車両31,32はそれぞれ、移動通信システムの基地局16を介したネットワーク通信であるUu通信の機能と、PC5と呼ばれるインターフェースを用いて車両間で直接無線通信する車車間通信であるPC5通信の機能とを有する複数通信対応のコネクテッドカーである。
なお、以下の説明において、各車両31,32に共通する事項について説明する場合は車両30と記載する。
また、図1の例では、複数通信(Uu通信、PC5通信)対応の2台の車両31,32が走行している場合について示しているが、複数通信対応の車両の数は3台以上であってもよい。
車両30は、例えば、地上の移動経路である道路90を移動する自動車、トラック、バス、バイクなどである。本発明を適用可能な車両は、地上の車両30のほか、所定高度の上空における移動経路を飛行して移動可能な飛行体などの移動体であってもよい。また、移動体は、地下における移動経路を移動する地下移動体、水上(例えば海上)などにおける移動経路を移動可能な船舶などの水上移動体、又は、水中(例えば海中)の移動経路を移動する潜水ロボットなどの水中移動体であってもよい。
車両30は、電気自動車、燃料電池自動車、内燃機関と電動機を双方有するハイブリッド車であってもよい。また、車両30は、当該車両が乗員又は乗客のために複数の席を有する場合、その最前列かつ最左端の席が運転席でない車両であってもよい。即ち、最前列かつ最右端の席のみが運転席である車両であってもよいし、そもそも運転席を有さない自動運転の車両であってもよい。
図1において、本実施形態のシステムは、情報処理装置としてのサーバ10を備えている。サーバ10は、道路90上の移動通信システムのセル内を走行しているUu通信対応の複数の車両30から、所定の周期Tu(例えば、50、60、70、80、. . . .970、980、990、1000[msec]。ここで例示したいずれか2つの数値の間の値であってもよい)でアップロードされる各車両の車両情報(例えば、車両の位置及び速度の情報)を受信する。
車両情報は、例えば、車両識別情報(移動体の識別情報)と車載センサ情報とを含む。車載センサ情報は、GNSS受信機でGNSS衛星から電波を受信して取得した車両30の現在位置の情報、速度センサで取得した車両30の速度の情報などの車載センサ情報を含む。車両情報は、車両30の自動運転等の遠隔制御のための制御情報を含んでもよい。
本実施形態のサーバ10は、例えば、移動通信網15の基地局16に設けられ、車両30の通信装置との間で基地局16を介して送受信される各種のデータ処理を行うことができるMEC(Multi-access Edge Computing)装置である。MEC装置からなるサーバ10は、基地局16と移動通信網15のコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けてもよい。
サーバ10は、車両30に制御情報を送信して車両30の自動運転等を遠隔的に制御する遠隔制御装置の機能を有してもよい。また、サーバ10は、道路90の位置、形状、幅、車線、信号設置位置などの道路に関する情報を含む地図情報を管理する地図サーバの機能を有してもよい。
基地局16は、一つ又は複数のセル(セクタ、セクタセルとも呼ばれる。)を形成する。セルは地上又は海上に2次元的に形成してもよいし、上空から地上又は海上に向けて3次元的に形成してもよい。セルは、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセル、大セル等であってもよい。複数のセルは、複二次元的に又は三次元的に隣り合うように分布するセルラー構造を構成してもよいし、階層的に一部又は全部が重なり合った階層セル構造を構成してもよい。基地局16は、マクロセル基地局、スモールセル基地局、フェムトセル基地局、ピコセル基地局、大セル基地局、地上等に固定設置された固定基地局、地上、海上、上空などを移動可能な移動型の基地局等であってもよい。基地局16は、eNodeB(evolved Node B:eNB)、gNodeB(gNB)、en-NodeB(en-gNB)、アクセスポイント等と呼ばれる無線通信装置であってもよい。車両30と基地局16との通信は、道路90の周辺に設けられた路側通信中継装置RSU(Road Side Unit)を介して行ってもよい。
車両30の通信装置は、移動通信サービスの加入者として使用可能なネットワーク通信部を構成するユーザ装置(以下「UE」という。)を備える。UEは、ユーザ端末、端末、端末装置、移動局、移動機等と呼ばれる無線通信装置であってもよい。車両30のUEはそれぞれ、各車両の中で利用者が携帯した状態で使用する装置でもよいし、車両30に組み込んで設置された装置(例えばナビゲーション装置の一部として組み込まれた装置)であってもよい。
また、車両30の通信装置は、周辺の他の車両との間で直接無線通信(車車間通信)であるPC5通信を行う機能を有する。PC5通信は、例えばマイクロ波、ミリ波等の電波を用いられる。PC5通信の周波数は、例えば、1GHzよりも低い数百MHzでもよいし、1GHz以上の高周波数帯であってもよい。また、PC5通信の周波数は、ITS(Intelligent Transport Systems)やCACC(Cooperative Adaptive Cruise Control)で使用される700MHz帯(715MHz~725MHz)、5.8GHz帯(5770MHz~5850MHz)やLTE-V2X Sidelink(PC-5)で使用される5.9GHz帯(5850MHz~5925MHz)、NR-V2X Sidelink(PC-5)等であってもよい。また、PC5通信のため所定のビーム幅を有する複数のアンテナを備えてもよい。例えば、車両30は、前方の車両とPC5通信を行うための指向性アンテナと、後方の車両とPC5通信を行うための指向性アンテナと、右側方の車両とPC5通信を行うための指向性アンテナと、左側方の車両とPC5通信を行うための指向性アンテナとを備えてもよい。PC5通信は、道路90の周辺に設けられた路側通信中継装置RSUを介して行ってもよい。
図1のシステムにおいて、道路90を移動する車両30の交通量等の交通情報の提供、車両の運転支援、自動運転等のユースケースを実現するために、Uu通信とPC5通信の両方を車両に導入することが進められている。また、PC5通信のセキュリティレベルを高めるために、PC5通信を行う車両30には、電子証明書が発行され、その電子証明書には有効期間が設けられ、その有効期間はできる限り短く設定され、最新の電子証明書が頻繁に発行されることが望まれる。そこで、例えば、認証局としても機能するサーバ10からUu通信を介して車両30に新たな電子証明書を発行するタイミングを、車両30の電源がオンされたときに合わせることが検討されている。しかしながら、有効期間の満了時については検討されていないため、次のような課題がある。
例えば、予め設定された電子証明書の有効期間が、車両30が電源オフの期間にちょうど到達してしまう場合がある。具体的には、車両30がUu通信不可エリア内(Uu通信のセルの圏外エリアやセルの圏内ではあるがUu通信の品質が低くUu通信を行うことができない不感エリア等)を走行中に、乗客の突発的な所用等で車両を一時的に停車させ、車両の電源をオフする場合がある。この場合、予め設定された有効期間が、一時停車の電源オフ期間中に満了してしまうと、車両30の走行を再開させようと一時停車状態から電源をオンしたとき、Uu通信を介した新たな電子証明書の発行ができないため、電子証明書に基づくPC5通信が再開できなくなる。
また、電子証明書のセキュリティレベルを高く保つため、失効となるタイミングを、車両30の電源オフのタイミングに意図的に合わせたシステム設計がされる場合もある。この場合も同様に、一旦電源オフとなった車両30に対して再び電源オンしたとき、Uu通信不可エリアではPC5通信を再開することができない。
また、車両30の走行ルートに上記Uu通信不可エリアが含まれている場合、そのUu通信不可エリアを走行しているときに電子証明書の有効期間満了タイミングが到来する場合がある。この場合、車両30の電源オフをしない限り、有効期間が過ぎた電子証明書に基づき車車間通信は維持できるものの、有効期限外の電子証明書に基づく通信を維持することは、セキュリティ上好ましくない。
そこで、本実施形態では、以下に示すように、車両30の走行予定ルートにおけるUu通信不可エリアの有無を事前に検知し、PC5通信に用いる電子証明書の新規発行又は有効期間の延長を行うことにより、車両30の走行予定ルートにUu通信不可エリアが含まれている場合でも電子証明書に基づくPC5通信の継続と、高いセキュリティレベルの維持とを、両立できるようにしている。
図2~図4は、図1のシステムにおける複数のユースケースを想定した車両30で実行される処理及び制御の一例を示すフローチャートである。また、図5~図10はそれぞれ複数のユースケースにおける道路上の車両の動きの一例を示す説明図である。なお、図5~図10の車両の符号31(1)、31(2)、31(3)における括弧内の数字は時間変化の順番を表している。
図2は、図1のシステムにおける車両の電源オンから走行開始までの車両の処理及び制御の一例を示すフローチャートである。図2において、車両31の電源がオンされる(S101)と、車両31は、基地局16を介したサーバ10との間のUu通信を行うことができる状態にするために、基地局16との無線接続のセットアップ(RRC Connection Setup)を実行する(S102)。
次に、車両31は、PC5通信に用いる電子証明書の取得をサーバ10に要求し、サーバ10から発行された電子証明書を受信する(S103)。この走行開始前に受信した電子証明書は、PC5通信のセキュリティレベルを高めるために車両31内の記憶部の揮発性記憶領域に保存され、電源オフ時には消去されて失効する。
その後又はS103と並行して、車両31のナビゲーションシステムにおいて目的地が設定される(S104)と、車両31は、基地局16を介してサーバ10とUu通信を行い、ナビゲーションシステムが設定した現在位置から目的地までの走行予定ルートにおけるUu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)を検索する(S105)。例えば、車両31は、Uu通信不可エリアの検索をサーバ10に要求し、サーバ10は、車両31からの要求に応じて車両31の走行予定ルートにおけるUu通信不可エリアを検索し、Uu通信不可エリアの有無と、Uu通信不可エリアがある場合はその位置を車両31に送信する。
ここで、上記Uu通信不可エリアのうち、UEの混雑や通信パケットの停滞などによってUu通信の品質が低下している低通信品質エリア(不感エリア)の位置及び大きさは時々刻々と変化する可能性があり、車両31の通過時間によっては同一エリアが不感エリアになったり不感エリアにならなかったりする。そのため、サーバ10は、上記Uu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)の検索及び、当該エリアがUu通信不可エリアであるか否かの判定を、車両31の通過時間を考慮した上で行う。
上記Uu通信不可エリアが事前検知された場合、車両31は、乗員の操作指示により、又は、車両31の自律的な制御により、Uu通信不可エリアを通過する進入ルート及びUu通信不可エリアを回避する回避ルートのどちらかを選択する(S106)。
上記ステップS106で回避ルートが選択された場合、車両31は、ナビゲーションシステム及びサーバ10によって設定されたUu通信不可エリアを回避するルートに基づき、Uu通信不可エリアを回避して走行し目的地に到着する(S107)。例えば、図5に示すように、車両31(1)が基地局16のセルCに在圏しているときに、ナビゲーションシステムに対して目的地を設定する。サーバ10は、ナビゲーションシステムが探索したルートにUu通信不可エリアだと判定した情報を加えて、車両31(1)へ送信する。車両31(1)は、走行予定ルート上にUu通信不可エリアXが存在することを通知されると、Xを回避した目的地までのルートの再設定をナビゲーションシステム及びサーバ10に要求する。車両31(2)、31(3)は、ナビゲーションシステム及びサーバ10が示した回避ルートに従って、Uu通信及びPC5通信の双方を利用して自動運転または手動運転で走行することができる。
一方、図2のステップS106でUu通信不可エリア進入ルートが選択された場合、車両31は、ナビゲーションシステムがS105で設定した走行予定ルートに基づいて自動運転または乗員による運転を開始し、Uu通信不可エリアに達するまで、Uu通信及びPC5通信の双方を利用する(S108)。
なお、図2のステップS103において、サーバ10は、車両31の走行ルートにおけるUu通信不可エリアの有無に基づいて、走行開始前に車両31に発行する電子証明書の有効期間を変更してもよい。電子証明書の有効期間が長いほどPC5通信のセキュティのリスクが上がり、電子証明書の有効期間が短いほどPC5通信のセキュリティに対する信頼性は向上する。従って、車両31の移動時の走行ルート設定の際に、走行ルート上にUu通信不可エリアがない場合は、電子証明書の有効期限を短く再設定し、短周期に更新をかけ、PC5通信のセキュリティレベルの向上を図るようにしてもよい。例えば図6に示すように、車両31(1)は、電源オン時にサーバ10から発行された電子証明書を受信し、車両31(1)の目的地までのルート設定を行った後、サーバ10からの事前QoS通知(IQN:In-advance QoS Notification)により走行予定ルート上にUu通信不可エリアがないことを確認したとき、電子証明書の有効期間をより短い期間に(例えば有効期間1日から1時間に)書き換えてもよい。この場合、図6中の車両31(2),31(3)に示すように、短く書き換えた有効期間(例えば1時間)が経過するたびに、Uu通信によりサーバ10から新規発行の電子証明書を取得する。
図3は、図2のステップS106でUu通信不可エリア進入ルートが選択され、目的地までの走行を開始した車両の処理の一例を示すフローチャートである。図3において、車両31は、走行中、自車両の現在位置と、図2のS105においてサーバ10から受信したUu通信不可エリアとの距離を計測する。そして、走行予定ルートにおいてUu通信不可エリアが近づいたと判断する(S109)と、当該エリアで引き続きPC5通信を行うための電子証明書(以下「事前証明書」ともいう。)をサーバ10へ要求し、当該エリア進入前にサーバ10から事前証明書を受信する(S110)。上記ステップS109において、車両31は、既存の電子証明書の有効期間満了タイミングにおいて、自車がUu通信不可エリア内に位置するか否かの予測をさらに行ってもよい。そして、既存の電子証明書の有効期間満了タイミングにおいて、自車がUu通信不可エリア内に位置すると予測した場合は、事前証明書をサーバ10へ要求し、当該エリア進入前にサーバ10から事前証明書を受信する。なお、当該予測は、例えば、車両の現在地、車両が走行可能な速度、走行する道路の混雑状況・工事情報・天候等を考慮して行われる。また、当該予測をサーバ10が行い、車両31がUu通信不可エリアに進入する前に、車両31に通知する構成としてもよい。
上記受信した事前証明書が、有効期間が新たに設定された新規の電子証明書の場合は、走行開始前に取得した電子証明書の扱いとは異なり、当該事前証明書は、車両31の電源オフ時にも消去されて失効することがないように、車両31内の記憶部の不揮発性記憶領域(不揮発性メモリ)に保存される(S110)。
その後、車両31がUu通信不可エリアへ進入すると、Uu通信を使用するサービスは利用できないが、PC5通信を使用するサービスは利用できる(S111)。但し、Uu通信不可エリア内で車両31の電源がオフされると、走行開始前に取得して揮発性記憶領域に保存されていた電子証明書は消去されて失効する。その後、電源がオンになってもUu通信を利用できないため、その時点でサーバ10から新規の電子証明書を取得することはできない(S112)。しかしながら、Uu通信不可エリアへ進入する前に事前証明書をサーバ10から取得して不揮発性記憶領域(不揮発性メモリ)に保存しているため、その事前証明書を適用してPC5通信を実施することができる(S113,S114)。例えば、図7に示すように、車両31(1)が走行予定ルート上に存在するUu通信不可エリアXをサーバ10から通知された場合、Uu通信不可エリアXへ進入する前に事前証明書をサーバ10から取得し、不揮発性記憶領域(不揮発性メモリ)に保存する。その後、Uu通信不可エリアX内で車両31(2)の電源を一旦オフした場合であっても、再度電源がオンされると、車両31(3)は、Uu通信不可エリアXにおいて不揮発性記憶領域に保存した事前証明書を適用し、周辺の他の車両32との間でPC5通信を実施(継続)することができる。
また、走行開始前に取得し揮発性記憶領域に保存されていた電子証明書の有効期間が、Uu通信不可エリアの走行中に満了した場合(図3中のS112’)も、Uu通信不可エリアへ進入する前にサーバ10から取得して不揮発性記憶領域(不揮発性メモリ)に保存している事前証明書を適用することにより、PC5通信を高いセキュリティレベルで実施(継続)することができる(S113,S114)。
その後、車両31は、Uu通信不可エリアを出て基地局のセル圏内に戻ると、基地局を介したUu通信を再開する。このとき、車両はサーバ10に対して、Uu通信を介してすぐに新たな電子証明書の発行を要求してもよい。そして、ナビゲーションシステムが図2のステップS104及びS105で設定した走行予定ルートに基づいて、Uu通信及びPC5通信の双方を利用した自動運転または手動運転によって(S115)、目的地に到着することができる(S116)。
なお、本実施形態において、上記事前証明書は、前述の走行開始前に取得した電子証明書の有効期間が延長された更新後の電子証明書であってもよい。この事前証明書(有効期間が延長された電子証明書)の発行は、サーバ10が、Uu通信を介して、車両31(1)に対し、車両31(1)内の記憶部の揮発性記憶領域に保存されている電子証明書を書き換えるよう指示することによって行われる。この場合、図8に示すように、Uu通信不可エリアXを走行している車両31(2)は、有効期限が延長された事前証明書を適用して、周辺の他の車両32との間でPC5通信を実施(継続)することができる。
図4は、図1のシステムにおいて、Uu通信及びPC5通信による自動運転または手動運転の代わりに、CACCを利用した自動運転に切り替えた場合における目的地への到着までの車両の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS117~120、122、126は、全てUu通信不可エリア進入前に行われる。図4において、車両31は、図3のステップS109においてUu通信不可エリアが近づいたと判断すると、PC5通信を利用したCACCによる自動運転アプリケーションソフトを、サーバ10からダウンロードし、起動する(S117)。なお、CACCによる自動運転アプリケーションソフトは、走行前に車両31に予めダウンロードされ、車両31においてUu通信不可エリアが近づいたと判断した場合に、当該ソフトの最新版をサーバ10に要求し、最新のプログラムをダウンロードするという構成にしてもよい。次に、車両31は、Uu通信でサーバ10にアクセスし、自車がPC5通信を利用したCACCによる自動運転を行なう場合に、その支援が可能な車両を検索する(S118)。そして、Uu通信不可エリア及び基地局16のセル圏へ復帰できるエリアまで自車と同一ルートを走行する支援車両が存在した場合(S119で「あり」)、支援車両(前方車両)32に対して、PC5通信が十分に可能な位置まで接近し、Uu通信による自動運転から、車両32とのPC5通信を利用したCACCの自動運転へ切り替え(S120)、Uu通信不可エリアXに進入する(S121)。Uu通信不可エリアXでは、図9に示すように車両31(3)は支援車両(前方車両)32との速度、ステアリングなどをPC5通信で相互連携し、支援車両(前方車両)32に追従するようにCACCの自動運転を実施する。
なお、上記ステップS119において、基地局16のセル圏へ復帰エリアまでの自車と同一ルートを走行する支援車両が存在しなかった場合(S119で「なし」)、車両31は手動運転またはCACCを用いない自動運転によりUu通信不可エリアXに進入する(S122)。
その後、車両31は、Uu通信不可エリアを出て基地局のセル圏に戻る(S123)と、基地局を介したUu通信を再開する。このとき、車両はサーバ10に対して、Uu通信を介してすぐに新たな電子証明書の発行を要求してもよい。そして、ナビゲーションシステムが図2のステップS104及びS105で設定した走行予定ルートに基づいて、Uu通信及びPC5通信の双方を利用した自動運転または手動運転を実施し(S124)、目的地に到着することができる(S125)。
なお、図4において、車両31は、図3のステップS109においてUu通信不可エリアが近づいたと判断すると、Uu通信でサーバ10にアクセスし、Uu通信不可エリアにおける準静的または動的情報(例えば、図10に示すように故障車33の情報)を含む地図情報を事前にダウンロードしてもよい(S126)。この場合、Uu通信不可エリアXにおいて、車両31(3)は、ダウンロードした準静的または動的情報を含む地図情報を利用して、手動運転またはCACCを利用しない自動運転によってUu通信不可エリアXに進入する(S122)。準静的または動的情報を含む地図情報をUu通信不可エリア進入前に入手することにより、Uu通信不可エリアにおける手動運転または自動運転の安全性を向上することができる。
図11は、本実施形態に係るUu通信及びPC5通信の機能を有する車両31の主要な機能の一例を示すブロック図である。図11において、車両31は、サーバ10との間でUu通信を行うための第1通信部310と、周辺の他の車両との間でPC5通信を行うための第2通信部320と、証明書記憶部330と、無線測定部340と、位置情報取得部としてのGNSS受信機350と、アップリケ-ション(APP)実行部360とを、カーナビゲーションシステム370とを備える。
証明書記憶部330は、走行開始前に取得した電子証明書が保存される揮発性記憶領域と、前述のUu通信不可エリアXに対応した事前証明書が保存される不揮発性記憶領域(不揮発性メモリ)とを有する。
無線測定部340は、第1通信部310及び第2通信部320における無線通信の通信品質に関する情報(例えば、RSRP,RSRQ,SINRなど)を測定する。測定結果は、サーバ1ーにアップロードされる。
GNSS受信機350は、GNSS衛星の電波を受信して車両31の位置情報を、APP実行部360及びカーナビゲーションシステム370に出力する。また、車両31の位置情報は、車両31の速度情報などとともに、サーバ10にアップロードされる。
APP実行部360は、予めサーバ10などからダウンロードされたPC5通信用のアプリケーションソフト361やCACCなどの自動運転のアプリケーションソフト362を読み出して実行する。PC5通信用のアプリケーションソフト361は、Uu通信を使用できないときのための通信アプリケーションソフトである。また、APP実行部360は、CACCの自動運転のアプリケーションソフト362を実行することにより、PC5通信を用いたCACCによる走行支援が可能な車両が自車両の周辺を走行している場合は、当該車両の支援を受けてCACCによる走行を行うように自車両を制御する走行制御部としても機能する。
カーナビゲーションシステム370は、予めサーバ10などからダウンロードされた地図データと、GNSS受信機350から出力される現在位置の位置情報と、その他のセンサで検知された速度、加速度などの情報に基づいて、ルート検索、ルート案内などを行う。また、車両の乗員にそれらの情報を知らせるために、画像及び音声で出力してもよい。カーナビゲーションシステム370は、自車両の位置情報と、サーバ10から受信したUu通信不可エリアの情報とに基づいて、Uu通信不可エリアを回避する走行ルートの情報を生成するルート生成部としても機能する。
図12は、本実施形態に係るサーバ10の主要な機能の一例を示すブロック図である。図12において、サーバ10は、車両31との間でUu通信を行うための通信部110と、車両情報データベース(DB)120と、車両の通信履歴データベース(DB)130と、エリア情報データベース(DB)140と、PC5証明書処理部150と、アプリケーション(APP)記憶部160とを備える。
車両情報データベース(DB)120は、対象エリアの各車両からアップロードされてきた車両情報を保存して管理する。車両情報は、例えば、車両識別情報(ID)、位置情報、目的地、車両が有しているコネクテッドカーとしての能力(Capability)、タイムスタンプ、無線測定情報(例えば、RSRP、RSRQ、SINR等の通信品質情報)を含む。
車両の通信履歴データベース(DB)130は、対象エリアの各車両からアップロードされてきた過去の各車両との通信履歴を保存して管理する。通信履歴は、例えば、タイムスタンプ、無線測定情報(例えば、RSRP、RSRQ、SINR等の通信品質情報)を含む。
エリア情報データベース(DB)140は、前述のUu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)の情報を保存して管理する。Uu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)は、例えば、車両の通信履歴データベース(DB)130に基づいて作成したり更新したりすることができる。また、エリア情報データベース(DB)140は、車両31から受信した位置情報と上記通信品質情報とに基づいて、前述のUu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)の情報の作成及び修正を行うエリア情報処理部としても機能する。また、エリア情報データベース(DB)140は、車両31に通知される事前QoS通知(IQN)に基づいて、前述のUu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)の情報の作成及び修正を行ってもよい。
PC5証明書処理部150は、前述の車両31の走行開始前の電子証明書や前述の事前証明書の発行及び更新などの処理を行う。
アプリケーション(APP)記憶部160には、Uu通信を介して各車両にダウンロード可能なPC5通信用アプリケーションソフト161やCACC自動運転アプリケーションソフト162等のアプリケーションソフトが保存されている。PC5通信用のアプリケーションソフト161は、Uu通信を使用できないときのための通信アプリケーションソフトである。
上記構成のサーバ10は、過去の各車両31との通信履歴(タイムスタンプ、電界強度、品質情報)を保持している。この過去累積データより、サーバ10は、セル圏外エリアと、混雑等の影響による一時的な低通信品質エリア(不感エリア)を把握している。また、混雑等の影響による一時的な低通信品質エリア(不感エリア)は時々刻々と変化する。また、同一エリアにあっても、通過時間によっては不感エリアになったり不感エリアにならなかったりする。また、サーバ10は、車両31の走行速度により、車両があと何秒後にUu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)に侵入するかを把握している。また、サーバ10は、車両31で必要なデータのダウンロード(DL)に対し、Uu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)に到達するまでどの程度事前にDLを開始する必要があるか距離を把握している。また、サーバ10は、各車両の目的地の情報を持っているため、各車両について前述の事前対応区間の入口から出口までのルートも把握している。更に、サーバ10は、各車両のコネクテッドカーとしての能力(Capability)(例えば、CACC自動運転可能など)の情報を有している。サーバ10は、各車両31にIQNを通知する機能を搭載していてもよい。
以上、本実施形態によれば、車両31の走行予定ルートにUu通信不可エリア(セル圏外エリア、不感エリア)が含まれている場合でも電子証明書に基づくPC5通信を継続し、かつPC5通信のセキュリティレベルを高く保つことができる。
また、本明細書で説明された処理工程並びに移動通信システム、サーバ、基地局及び通信装置(端末、端末装置、ユーザ装置(UE)、移動局、移動機)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(Application Specific Integrated Circuit)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。