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JP7161329B2 - 制御装置、空調システム及び制御方法 - Google Patents

制御装置、空調システム及び制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、制御装置、空調システム及び制御方法に関する。
特許文献1には、空気調和機により温度制御された空調エアを床面に配置されたパネルボードに送り、パネルボードを冷却または加熱して、該パネルボードからの冷気または暖気を室内に放射する空気式放射空調システムが開示されている。この空気式放射空調システムでは、パネルボードを通過した空調エアをパネルボード端部のグリルより室内へ吹き出す。これにより、パネルボードからの熱放射だけでなく、空調エアによっても室内を冷暖房することができる。また、特許文献1には、室内へ吹き出した空調エアが、再び空気調和機に吸引され再利用されることが記載されている。
また、特許文献2には、ヒートポンプで冷却した冷水を床裏の水流路に供給する床冷房装置において、床材表面に結露が発生せず安定した表面温度となるよう制御する方法が記載されている。特許文献2には、床材表面への結露を防止するために放射温度計で床材表面の温度を検出し、床材表面の温度が露点温度に基づいて設定された基準温度以下となるとヒートポンプの運転を停止する制御が記載されている。
特開2004-232989号公報 特開2011-174657号公報
特許文献1に記載されているような空気式放射空調システムでは、冷房時に床面のパネルボードが冷却されるとパネルボードの表面が結露する可能性がある。特許文献2に記載された冷水を循環させる床冷房装置における結露防止制御(ヒートポンプ停止)が、必ずしも空調エアを室内に循環させる空気式放射空調システムに適しているとは限らない。例えば、空気調和機の運転を停止させるとその間にグリルからの空調エアの吹き出しが停止してしまい、快適性が低下する可能性がある。空気式放射空調システムに適した結露防止制御が求められている。
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる制御装置、空調システム及び制御方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、制御装置は、空調対象となる空間の空気を吸入して前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムの運転において、冷房運転中の前記空間の温度が所定の第1温度より低く、前記空気調和機が備える室内熱交換器での前記温度制御により冷却された前記空気が前記空間の露点温度より低く、前記放射パネルモジュールの放射面の温度が前記空間の露点温度より高く且つ所定の第2温度より低い場合、前記ファンの回転数を所定値に低下させる。
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、冷房運転中の前記空間の温度が所定の第3温度より高く、前記空気調和機が備える室内熱交換器での前記温度制御により冷却された前記空気が前記空間の露点温度より低く、前記放射パネルモジュールの放射面の温度が前記空間の露点温度より高く且つ所定の第4温度より低い場合、前記ファンの回転数を所定値に上昇させる。
本発明の一態様によれば、前記第3温度は、設定温度より第3閾値だけ高い温度であり、前記第4温度は、前記空間の露点温度より第4閾値だけ高い温度である。
本発明の一態様によれば、空調システムは、空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、前記放射パネルモジュールの放射面の表面温度を計測するセンサと、上記の何れかに記載の制御装置と、を備える。
本発明の一態様によれば、制御方法は、空調対象となる空間の空気を吸入して前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムの運転において、冷房運転中の前記空間の温度が所定の第1温度より低く、前記空気調和機が備える室内熱交換器での前記温度制御により冷却された前記空気が前記空間の露点温度より低く、前記放射パネルモジュールの放射面の温度が前記空間の露点温度より高く且つ所定の第2温度より低い場合、前記ファンの回転数を所定値に低下させ、前記第1温度は、設定温度より第1閾値だけ高い温度であり、前記第2温度は、前記空間の露点温度より第2閾値だけ高い温度である。
本発明の一態様によれば、前記制御方法において、冷房運転中の前記空間の温度が所定の第3温度より高く、前記空気調和機が備える室内熱交換器での前記温度制御により冷却された前記空気が前記空間の露点温度より低く、前記放射パネルモジュールの放射面の温度が前記空間の露点温度より高く且つ所定の第4温度より低い場合、前記ファンの回転数を所定値に上昇させる。
本発明の一態様によれば、前記制御方法における前記第3温度は、設定温度より第3閾値だけ高い温度であり、前記第4温度は、前記空間の露点温度より第4閾値だけ高い温度である。

本発明によれば、放射式空調システムにおいて、放射パネルの表面(放射面)への結露を防止することができる。
本発明の一実施形態における空調システムの一例を示す概略図である。 本発明の一実施形態における放射パネルとその配置例を示す図である。 本発明の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。 本発明の一実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態における結露防止制御のフローチャートである。
<実施形態>
以下、本実施形態の空調システムについて図を参照しつつ説明を行う。
図1は、本発明の一実施形態における空調システムの一例を示す概略図である。
空調システム100は、室内機10と、室外機20と、放射パネルモジュール40A,40Bと、ダクト13と、を備える。以下、放射パネルモジュール40A,40B等を総称して放射パネルモジュール40と記載する場合がある。
室内機10は、空調対象となる室内の空間W0の天井裏などに設置され、吸込口W1から空間W0の空気Wを吸入し、この空気Wを適切な温度に調節してダクト13へ送出する。空間W0の床、壁面、天井などには、少なくとも1つの放射パネルモジュール40が配置され、ダクト13へ送出された温度制御済みの空気Wは、放射パネルモジュール40へ供給される。放射パネルモジュール40は、ふく射熱を空間W0へ放射する放射パネルと、室内機10から供給される空気Wが通過する風路を備える。放射パネルは空間W0と接するように床、壁、天井などの表面にその放射面(放射パネル)が空間W0側を向くように配置され、放射パネルの裏面を通過する温度制御済みの空気Wが放射パネルを冷却または加熱する。放射パネルが冷却または加熱されることにより、放射パネルを介してふく射熱が空間W0へ伝達し、空間W0を冷房または暖房する。なお、放射パネルモジュール40A、放射パネルモジュール40Bは、配管等で接続されていて、放射パネルモジュール40Aを通過した空気Wは、放射パネルモジュール40Bへ供給される。室内機10から供給される空気Wは、放射パネルモジュール40A、放射パネルモジュール40Bを通過し、吹出口W2Aから空間W0へ吹き出され、空間W0を冷却または加熱する。このように空調システム100は、放射式および対流式の2方式による空調を行って空間W0の冷暖房を行う。
空調システム100は、放射パネルモジュール40の放射パネルの表面温度を計測する温度センサ16を備える。放射面の温度を計測する温度センサ16とは、例えば、赤外線温度センサ14である。あるいは、温度センサ16は、放射パネルモジュール40A、40Bの放射面に設けられた熱電対15A,15Bでもよい。図1の例のように放射パネルモジュール40を床面に配置する場合、温度センサ16は、床面温度を計測する。
次に放射パネルモジュール40の構成および配置の一例について説明する。
図2は本発明の一実施形態における放射パネルモジュールとその配置例を示す図である。図2に放射パネルモジュール40の平面図を示す。図2に示す例では、空間W0の床面に4つの放射パネルモジュール40A,40B,40C,40Dが配置されている。放射パネルモジュール40Aを例に放射パネルモジュール40の構成を説明する。放射パネルモジュール40Aは、ダンパー42Aと、流路形成部材41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6と、ダンパー制御部43Aと、入口部44Aと、出口部45Aと、を備えている。また、放射パネルモジュール40Aの上側の面(空間W0の床面)は、図示しない放射パネルで形成されている。ダンパー制御部43Aは、制御装置30の指示に基づいてダンパー42Aの開閉動作を制御する。ダンパー42Aが実線で示す位置にあるとき(開状態とする)、入口部44Aから流入した空気Wは、実線矢印が示す方向にバイパス流路46Aを通過し、出口部45Aから送り出される。一方、ダンパー制御部43Aの制御によりダンパー42Aが破線で示す位置にあるとき(閉状態とする)、入口部44Aから流入した空気Wは、破線矢印が示す方向に熱交換流路47A1,47A2,47A3,47A4,47A5,47A6,47A7を通過し、出口部45Aから送り出される。
空気Wが、熱交換流路47A1等を通過すると、放射パネルモジュール40Aからのふく射熱が増大し、暖房時には床(放射パネル)が暖かくなる。反対に空気Wがバイパス流路46Aを通過した場合には、放射パネルモジュール40Aが配置された領域の床の温度上昇は抑えられ、暖かい空気Wは対流式の空調で利用される。例えば、ユーザが、放射パネルモジュール40Aが配置された領域で過ごす場合、リモートコントローラ等によって、放射パネルモジュール40Aのダンパー42Aを切り替える指示を行い、空気Wが熱交換流路47A1等を通過するように制御することができる。あるいは、冷房運転時にユーザが、放射パネルモジュール40Aが配置された領域で過ごす場合、足元が冷えるのを抑えるためにリモートコントローラにより、ダンパー42Aを切り替える指示を行い、空気Wがバイパス流路46Aを通過するように制御することができる。放射パネルモジュール40B~40Dについても同様に構成されている。
図示するように放射パネルモジュール40Aと放射パネルモジュール40Bは配管50Aで接続されている。同様に放射パネルモジュール40Cと放射パネルモジュール40Dは配管50Cで接続されている。ダクト13は2つに分岐して、入口部44A,44Cと接続している。室内機10からダクト13を介して温度制御済みの空気Wが放射パネルモジュール40Aの入口部44Aと放射パネルモジュール40Cの入口部44Cへ供給される。放射パネルモジュール40Aへ供給された空気Wは、バイパス流路46A又は熱交換流路47A1等を通過して出口部45Aから配管50Aを介して放射パネルモジュール40Bの入口部44Bへ供給される。同様に放射パネルモジュール40Cへ供給された空気Wは、放射パネルモジュール40Cの内部を通過して出口部45Cから配管50Cを介して放射パネルモジュール40Dの入口部44Dへ供給される。放射パネルモジュール40B,40Dについても同様である。放射パネルモジュール40B,40Dがそれぞれ出口部45B,45Dから送り出した空気Wは、吹き出し口W2A~W2Dから空間W0へ吹き出される。
放射パネルモジュール40A~40Dのダンパー42A等は、各々独立して制御することができるので、例えば、放射パネルモジュール40Aのみ空気Wが熱交換流路47A1等を流れるようにダンパー42Aを閉状態とし、放射パネルモジュール40B~40Dについては、それぞれダンパー42B~42Dを開状態に制御することができる。
吹き出し口W2A~W2Dから空間W0へ吹き出された空気Wは、空間W0を冷房または暖房して、再び吸込口W1から室内機10へ吸入される。図1、図2に例示するように、天井の吸入口W1と吹出口W2A~W2Dとを離れた位置に設け、その間に複数の放射パネルモジュール40を並べて配置することができる。例えば、吸入口W1と吹出口W2A等とが、空調対象の部屋の両端に近い位置に設けられていれば、対流式の空調において部屋全体を偏りなく空調することができる。また、複数の放射パネルモジュール40を、配管50を介して任意の方向に接続することで2次元平面状に放射パネルを配置することができる。これにより、放射式の空調によっても部屋全体を空調することができる。
なお、ダンパー42Aの切り替えは、完全な開状態と閉状態との間で切り替える制御に限定されない。例えば、ステッピングモータを用いて、開状態と閉状態との間を多段階に切り替えられるように制御してもよい。これにより、熱交換流路47A1等に流入する空気Wの流量とバイパス流路46Aに流入する空気Wの流量とを調整し、より細やかな温度制御を行うことができる。例えば、暖房中に床の温度が高いと感じた場合、ユーザの指示によりダンパー制御部43Aは、ダンパー42Aの位置を開状態と閉状態の中間の位置に制御してもよい。すると、閉状態に制御した場合よりは少ない量の空気Wが熱交換流路47A1等へ流入するため、床の温度上昇を抑えることができる。
図1に戻り、吸込口W1から吸入された空気Wは、室内機10が備える室内熱交換器2との間で熱交換を行い、適切な温度に制御され、ファン9によって再びダクト13へ送出される。室内機10は、室内熱交換器2、ファン9、温度センサ11、湿度センサ12、制御装置30を備える。また、制御装置30は、温度センサ16と接続されている。温度センサ11は、吸込口W1から吸入された空気Wの温度を計測する。湿度センサ12は、吸込口W1から吸入された空気Wの湿度(相対湿度)を計測する。制御装置30は、温度センサ11および湿度センサ12の計測値に基づいて、ファン9の回転数を制御し、空気Wをダクト13へ送出する。室内機10は、室外機20と冷媒配管6、図示しない通信線等で接続される。室内機10と室外機20は、冷凍サイクルを構成しており、冷媒を冷凍サイクル内で循環させることによって冷媒の加熱・冷却を行い、室内熱交換器2を通じて空気Wを所望の温度に制御する。
ここで、図3を用いて、室内機10と室外機20による冷凍サイクルの運転について説明する。図3は、本発明の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
図3に示すように室内機10は、室内熱交換器2、ファン9を備える。室外機20は、圧縮機1、膨張弁3、室外熱交換器4、四方弁5を備える。圧縮機1、室内熱交換器2、膨張弁3、室外熱交換器4、四方弁5は冷媒配管6で接続される。
圧縮機1は、冷媒を圧縮し、圧縮後の高温、高圧の冷媒を吐出する。暖房運転では、冷媒は矢印8の方向に循環する。つまり、圧縮機1が吐出した冷媒は、四方弁5を介して室内熱交換器2に供給される。冷媒は、室内熱交換器2にて、吸込口W1から吸入した空気Wへ放熱し、凝縮して液化する。凝縮した冷媒は、膨張弁3によって減圧され、低圧の冷媒となる。低圧の冷媒は、室外熱交換器4へ供給され、外気からの吸熱により気化する。気化した冷媒は、四方弁5を通過して圧縮機1へ吸入される。圧縮機1は低圧の冷媒を圧縮して高圧の冷媒を吐出する。
また、冷房運転では、冷媒は矢印7の方向に循環する。つまり、圧縮機1が吐出した高圧の冷媒は、四方弁5を介して室外熱交換器4に供給され外気へ放熱し凝縮する。凝縮した冷媒は膨張弁3によって減圧される。低圧の冷媒は、室内熱交換器2へ供給され、空気Wから吸熱して空気Wを冷却し、気化する。気化した冷媒は、四方弁5を通過して圧縮機1へ吸入される。圧縮機1は低圧の冷媒を圧縮して高圧の冷媒を吐出する。
室外機20の制御装置21は、暖房と冷房に応じた四方弁5の切り替えや、温度センサ11が計測した空気Wの温度と設定温度との差に応じた回転数で圧縮機1を駆動するなどして、空間W0の温度が、ユーザが設定した設定温度となるように冷凍サイクルの運転を行う。空気Wと冷媒は、室内熱交換器2で熱交換する。制御装置30は、所定の回転数でファン9を制御して、所望の温度に制御された熱交換後の空気Wをダクト13へ送出する。また、例えば、制御装置30は、床面温度が空間W0の露点温度に近づくと、ファン9の回転数を制御することによって、床面表面(放射パネル表面)への結露を防止する制御を行う。
図4は、本発明の一実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
制御装置30は、例えばマイコン等のコンピュータ装置である。図示するように制御装置30は、センサ情報取得部31と、設定情報取得部32と、タイマ33と、記憶部34と、制御部35と、通信部36とを備えている。なお、制御装置30は、室内機10に関して種々の制御を行うが、本明細書では、ファン9の回転数により放射パネル表面(空間W0に接する面)への結露を防止する制御する機能を中心に説明する。
センサ情報取得部31は、温度センサ11から空気Wの温度の計測値、湿度センサ12から空気Wの湿度の計測値、温度センサ16から床面温度(放射面の表面温度)を取得する。
設定情報取得部32は、ユーザがリモートコントローラ等から入力した各種設定情報を取得する。例えば、設定情報取得部32は、運転の開始と停止の指示、冷房・暖房の設定、室温の設定、風量の設定、床のどのエリア(放射パネルモジュール40A~40Dの何れか)を温めるか(又は冷却するか)等の設定情報を取得する。
タイマ33は、時間を計測する。
記憶部34は、センサ情報取得部31が取得した温度や湿度の計測値、設定情報取得部32が取得した各種設定情報など種々の情報を記憶する。また、記憶部34は、制御装置30の機能を実現する各種プログラムを記憶する。
制御部35は、室内機10の制御、室外機20と連携して空調システム100の制御を行う。例えば、設定情報取得部32が、冷房の運転開始指示、冷房時の設定温度を取得すると、制御部35は、通信部36を介して、室外機20の制御装置21へ、温度センサ11の計測値と共にそれらの設定情報を通知する。制御装置21は、温度センサ11の計測値と設定温度の差に基づいて、圧縮機1を駆動し、空気Wが所望の温度となるよう冷凍サイクルを運転する。また、例えば、設定情報取得部32が、所定の風量の設定情報を取得すると、制御部35は、ダクト13へ供給される空気Wの風量が所定の風量となるようファン9の回転数を制御する。例えば、風量が強、中、弱の3段階で設定できる場合、それらの設定ごとにファン9の回転数が定められていて、制御部35は、ユーザが設定した風量の設定に対応する回転数でファン9を駆動する。また、例えば、冷房時にユーザが、放射パネルモジュール40Aのエリアをあまり冷やさないように設定した場合、制御部35は、ダンパー制御部43Aへ、ダンパー42Aを開状態とするよう指示する。
制御部35は、空間W0の温度およびユーザによる設定温度の温度差ΔTaと、冷房運転中の床面温度(放射パネルモジュール40の放射面の表面温度)および空間W0の露点温度の温度差ΔTpに基づいてファン9の回転数を変更する。例えば、ΔTaが所定の閾値Th1以下(空間W0の温度が設定温度に近い)で、且つ、ΔTpが所定の閾値Th2以下(床面温度が露点温度に近い)の場合、制御部35は、ファン9の回転数を所定の回転数に低下させる。ファン9の回転数を低下させるのは除湿を行うためである。ファン9の回転数を低下させると、室内熱交換器2を通過する空気Wの単位時間あたりの風量が少なくなる。そのため、空気Wは、室内熱交換器2との熱交換でより低温に冷却される。空気Wが冷却されることにより、空気Wの水分が取り除かれ、熱交換後の空気Wの湿度はファン9の回転数が大きいときに比べ低下する。例えば、ファン9の回転数制御により、室内熱交換器2で冷却された空気Wの温度が、温度センサ11が計測する温度と湿度センサ12が計測する湿度から計算される露点温度より低くなるような風量とすることができれば、室内熱交換器2による除湿効果を高めることができる。このようにして除湿された空気Wをダクト13、放射パネルモジュール40を介して室内へ還流させる。これにより、空間W0の湿度も低下し、床面への結露を防止することができる。
また、制御部35は、冷房運転中の温度差ΔTaが所定の閾値Th3以上(空間W0の温度と設定温度に差がある高温の状態)で、且つ、ΔTpが所定の閾値Th4以下(床面温度が露点温度に近い)の場合、制御部35は、ファン9の回転数を所定の回転数に上昇させる。一般に空気式放射空調システムで冷房を行う場合、空間W0に比べ放射パネルの表面温度が低温になる。そこで、床面温度が露点温度まで低下しないようにファン9の回転数を上昇させ、床面温度の低下を抑制する。例えば、冷房時にファン9の回転数を上昇させると、室内熱交換器2を通過する空気Wの単位時間あたりの風量が増大する。すると、空気Wは十分に冷却されないうちに室内熱交換器2を通過してダクト13へ送出される。つまり、室内機10から送出される空気Wの温度は、風量が少ないときと比べて高温となる。これにより、床面温度の低下を抑制し、床面への結露を防止することができる。また、風量を増大させることにより、冷却した空気Wをより多く空間W0に供給できるため、空間W0の温度は早く設定温度に到達する。
なお、制御部35がファン9の回転数を上下させる結露防止制御を行っている間、室外機20では制御装置21が、通常の冷房運転と同様の制御を行う。例えば、制御装置21は、ユーザが指定した設定温度と空間W0の温度差が無くなるように圧縮機1の回転数制御を行う。制御部35は、制御装置21による冷凍サイクルの運転とは関係なく、ファン9の回転数を変更し、結露の発生を防止する。
通信部36は、制御装置21との間の通信を行う。例えば、設定情報取得部32が、運転停止指示を取得すると、通信部36は、その運転停止指示を室外機20の制御装置21へ送信する。また、通信部36は、ダンパー制御部43A等と通信を行う。例えば、制御部35が、ダンパー42Aを閉状態にするよう指示した場合、通信部36は、その指示情報を、ダンパー制御部43Aへ送信する。
次に本実施形態の結露防止制御の処理の流れについて、図1~図4の空調システム100の構成を例に説明を行う。
図5は、本発明の一実施形態における結露防止制御のフローチャートである。
前提として空調システム100は、ユーザの指示により冷房運転を行っている。通信部36は、センサ情報取得部31が取得した空間W0の温度(吸込口W1での空気Wの温度)を所定の時間間隔で室外機20の制御装置21へ送信する。制御装置21は、空間W0の温度が設定温度に近づくように圧縮機1の回転数を調整する。
室内機10では、センサ情報取得部31が、温度センサ11、16が計測した温度を所定の時間間隔で取得する。また、センサ情報取得部31が、湿度センサ12が計測した湿度を取得する(ステップS11)。センサ情報取得部31は、温度、湿度を取得した時刻と共に記憶部34に記録する。
次に制御部35が、取得した温度、湿度を用いて温度差ΔTa、ΔTpを算出する(ステップS12)。まず、制御部35が、温度センサ11が計測した温度とユーザが指定した設定温度の差の絶対値を算出し(式(1))、算出した値をΔTaとする。
ΔTa = |空間W0の温度 - 設定温度| ・・・(1)
また、制御部35は、湿度センサ12が計測した湿度と温度センサ11が計測した温度から空間W0の露点温度を算出する。制御部35は、温度センサ16が計測した床面温度から露点温度を減算してΔTpを算出する(式(2))。
ΔTp = 床面温度 - 露点温度 ・・・(2)
制御部35は、ΔTa、ΔTpに基づいてファン9の回転数を制御する。
まず、制御部35は、ΔTaが閾値Th1以下、且つ、ΔTpが閾値Th2以下の条件が成立するか判定する(ステップS13)。ここで、閾値Th1とは、空間W0の温度が設定温度に十分に近いかどうかを判定するための閾値である。また、閾値Th2は、床面温度が、露点温度に近づいているかどうかを判定するための閾値である。閾値Th2は、結露が生じないうちに結露防止制御を開始することができるよう余裕をもって大きめに設定されていてもよい。ΔTa≦閾値Th1およびΔTp≦閾値Th2が成立する場合(ステップS13;Yes)、制御部35は、ファン9の回転数を低速に設定する(ステップS14)。低速とは、例えば、予め設定された選択可能な風量のうち最低の風量に対応する回転数である。あるいは、結露防止制御用に設けられた、ユーザが選択できる最低の風量よりもさらに小さな風量に対応する回転数であってもよい。ΔTaが閾値Th1以下の場合、室内の温度は設定温度に近い為、圧縮機1は比較的低負荷で運転している。このような運転状態の場合、空間W0の温度や床面温度を変化させる余地が少ない。このような状況では、ファン9の回転数を低下させることにより、空間W0、室内機10、ダクト13、放射パネルモジュール40を循環する空気Wの除湿を行う。これにより、床面表面への結露を防止することができる。
ΔTa≦閾値Th1およびΔTp≦閾値Th2が成立しない場合(ステップS13;No)、制御部35は、ΔTaが閾値Th3以上、且つ、ΔTpが閾値Th4以下の条件が成立するか判定する(ステップS15)。ここで、閾値Th3とは、空間W0の温度が設定温度から乖離しているかどうかを判定するための閾値である。閾値Th3には閾値Th1よりも大きな値が設定される。また、閾値Th4は、閾値Th2と同様に床面温度が露点温度に比べて結露が生じない程度に高く、閾値Th4より低下すると結露のリスクが高まるような値が設定される。ΔTa≧閾値Th3およびΔTp≦閾値Th4が成立する場合(ステップS15;Yes)、制御部35は、ファン9の回転数を高速に設定する(ステップS16)。高速とは、例えば、予め設定された選択可能な風量のうち最高の風量に対応する回転数である。あるいは、結露防止制御用に設定された風量(室内機10から送出される空気Wの温度が、床面温度の低下を防ぎうるような温度となるように設定された風量)に対応する回転数であってもよい。
ΔTaが閾値Th3以上の場合、空間W0の温度が、設定温度に比べ高いため、圧縮機1は比較的高負荷で運転している。また、空間W0の温度は比較的高温である為、例えば、同じ相対湿度であれば、ステップS13の条件が成立する環境より露点温度は高くなる。また、冷房運転時には、床面温度は、冷却された空気Wが通過するため空間W0に比べ低温となる。この状態でファン9を低速にすると除湿効果が見込める反面、床面温度の低下を招き、結露が生じる可能性がある。そこで、床面温度と露点温度の差が所定範囲内(閾値Th4以下)の場合であって、室温が設定温度より高いときには、ファン9を高速で運転し、冷却空気を大量に室内に送り込んで優先的に空間W0の温度を低下させるとともに、比較的高温の空気Wが放射パネルモジュール40の流路を通過するようにして床面温度の低下を抑える。これにより、床面温度が露点温度より閾値Th4以上高い状態を維持し、結露の発生を防止する。
ΔTa≧閾値Th3およびΔTp≦閾値Th4が成立しない場合(ステップS15;No)、制御部35は、ファン9の回転数を所定値に設定する(ステップS17)。所定値とは、例えば、ユーザが設定した風量に対応した回転数である。
次に制御部35は、冷房運転を終了するかどうかを判定する(ステップS18)。例えば、制御部35は、設定情報取得部32が運転の停止を指示する情報を取得すると、冷房運転を終了すると判定する。運転を終了する場合(ステップS18;Yes)、制御装置21、30は、冷房運転の終了処理を行う。例えば、制御装置21は、圧縮機1を停止する。また、制御部35は、ファン9を停止する。
運転を終了しない場合(ステップS18;No)、ステップS11以降の処理を繰り返す。制御部35は、現在の温度、湿度を取得して結露防止制御を行うか否かの判定を行い(ステップS13及びS15)、そのときの温度、湿度に応じてファン9の回転数を上昇(ステップS14)または低下(ステップS16)させる。また、既に結露防止制御を行っている場合、ステップS13またはステップS15の条件が成立するのであれば、結露防止制御を継続し、条件が成立しない場合、ファン9の回転数を元に戻す(ステップS17)。このような制御により、床面への結露を防止することができる。
本実施形態によれば、空調対象となる空間W0の空気Wを吸入して、空気Wの温度を制御する空気調和機(室内機10、室外機20)と、空間W0に接する面に配置された放射パネルモジュール40と、空気調和機によって温度制御された空気Wを放射パネルモジュール40へ送出するファン9と、放射パネルモジュール40を通過した空気Wを空間W0へ吹き出す吹出口W2A等とを備える空調システム100において、冷房運転中に空間W0の温度が設定温度を基準とする所定範囲内となった状態で、放射パネルモジュール40の放射面(放射パネル)の温度が空間W0の露点温度を基準とする所定範囲内となると、ファン9の回転数を低下させる。これにより、空間W0の相対湿度を低下させ、放射パネルへの結露を防止することができる。
また、冷房運転中に空間W0の温度が設定温度より所定の閾値以上高い状態で、放射パネルモジュール40の放射面の温度が空間W0の露点温度を基準とする所定範囲内となるとファン9の回転数を上昇させる。これにより、空間W0の温度に対する放射面温度の過度な低下を抑止し、放射パネルへの結露を防止することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施例では、放射パネルモジュール40等を床面に配置する例を挙げたが、天井や壁面に配置してもよい。また、ダンパー42A等の切り替えにより、放射パネルモジュール40が設けられた床面や天井において、位置ごとに表面温度に差がある場合、最も低い位置の温度を放射面温度としてΔTpを算出してもよい。
閾値Th1、閾値Th2、閾値Th3、閾値Th4は、それぞれ第1閾値、第2閾値、第3閾値、第4閾値の一例である。
1・・・圧縮機
2・・・室内熱交換器
3・・・膨張弁
4・・・室外熱交換器
5・・・四方弁
6・・・冷媒配管
9・・・ファン
10・・・室内機
11・・・温度センサ
12・・・湿度センサ
13・・・ダクト
14・・・赤外線温度センサ
15・・・熱電対
16・・・温度センサ
20・・・室外機
21・・・制御装置
30・・・制御装置
31・・・センサ情報取得部
32・・・設定情報取得部
33・・・タイマ
34・・・記憶部
35・・・制御部
36・・・通信部
40A、40B、40C、40D・・・放射パネルモジュール
41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6・・・流路形成部材
42A・・・ダンパー
43A・・・ダンパー制御部
44A・・・入口部
45A・・・出口部
46A・・・バイパス流路
47A1,47A2,47A3,47A4,47A5,47A6,47A7・・・熱交換流路
50A、50C・・・配管
100・・・空調システム
W・・・空気
W0・・・空間
W1・・・吸込口
W2A、W2B、W2C、W2D・・・吹出口

Claims (7)

  1. 空調対象となる空間の空気を吸入して前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムの運転において、
    冷房運転中の前記空間の温度が所定の第1温度より低く、前記空気調和機が備える室内熱交換器での前記温度制御により冷却された前記空気が前記空間の露点温度より低く、前記放射パネルモジュールの放射面の温度が前記空間の露点温度より高く且つ所定の第2温度より低い場合、前記ファンの回転数を所定値に低下させ、
    前記第1温度は、設定温度より第1閾値だけ高い温度であり、前記第2温度は、前記空間の露点温度より第2閾値だけ高い温度である、
    制御装置。
  2. 冷房運転中の前記空間の温度が所定の第3温度より高く、前記空気調和機が備える室内熱交換器での前記温度制御により冷却された前記空気が前記空間の露点温度より低く、前記放射パネルモジュールの放射面の温度が前記空間の露点温度より高く且つ所定の第4温度より低い場合、前記ファンの回転数を所定値に上昇させる、
    請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記第3温度は、設定温度より第3閾値だけ高い温度であり、前記第4温度は、前記空間の露点温度より第4閾値だけ高い温度である、
    請求項に記載の制御装置。
  4. 空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、
    前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、
    前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、
    前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、
    前記放射パネルモジュールの放射面の表面温度を計測するセンサと、
    請求項1から請求項の何れか1項に記載の制御装置と、
    を備える空調システム。
  5. 空調対象となる空間の空気を吸入して前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムの運転において、
    冷房運転中の前記空間の温度が所定の第1温度より低く、前記空気調和機が備える室内熱交換器での前記温度制御により冷却された前記空気が前記空間の露点温度より低く、前記放射パネルモジュールの放射面の温度が前記空間の露点温度より高く且つ所定の第2温度より低い場合、前記ファンの回転数を所定値に低下させ、
    前記第1温度は、設定温度より第1閾値だけ高い温度であり、前記第2温度は、前記空間の露点温度より第2閾値だけ高い温度である、
    制御方法。
  6. 冷房運転中の前記空間の温度が所定の第3温度より高く、前記空気調和機が備える室内熱交換器での前記温度制御により冷却された前記空気が前記空間の露点温度より低く、前記放射パネルモジュールの放射面の温度が前記空間の露点温度より高く且つ所定の第4温度より低い場合、前記ファンの回転数を所定値に上昇させる、
    請求項に記載の制御方法。
  7. 前記第3温度は、設定温度より第3閾値だけ高い温度であり、前記第4温度は、前記空間の露点温度より第4閾値だけ高い温度である、
    請求項6に記載の制御方法。
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