JP7028020B2

JP7028020B2 - 誘電体組成物および電子部品

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Publication number: JP7028020B2
Application number: JP2018062930A
Authority: JP
Inventors: 翔太鈴木; 信之奥澤; 大亮廣瀬; 和希子佐藤
Original assignee: TDK Corp
Current assignee: TDK Corp
Priority date: 2018-03-28
Filing date: 2018-03-28
Publication date: 2022-03-02
Anticipated expiration: 2038-03-28
Also published as: JP2019175702A; WO2019188617A1

Description

本発明は、誘電体組成物および電子部品に関する。

スマートフォンに代表される移動体通信機器の高性能化に対する要求は高く、たとえば、高速で大容量の通信を可能とするために、使用する周波数領域の数も増加している。使用する周波数領域はＧＨｚ帯のような高周波領域である。このような高周波領域において作動するバラン、カプラ、フィルタ、あるいは、フィルタを組み合わせたデュプレクサ、ダイプレクサ等の高周波部品のなかには、誘電体材料を共振器として利用しているものがある。このような誘電体材料には、高周波領域において、誘電損失が小さく、周波数の選択性が良好であることが求められる。

また、移動体通信機器の高性能化に伴い、１つの移動体通信機器に搭載される電子部品の数も増加する傾向にあり、移動体通信機器のサイズを維持するには、電子部品の小型化も同時に求められる。誘電体材料を用いる高周波部品を小型化するには、電極面積を小さくする必要があるため、これによる静電容量の低下を補うべく、高周波領域において、誘電体材料の比誘電率が高いことが求められる。

このような移動体通信機器は、使用環境、機器に使用されている部品の発熱等により、温度変化に曝される。一方、誘電体材料を用いる高周波部品の共振周波数は温度により変化するため、所定の温度範囲において、誘電体材料には、共振周波数の温度依存性、すなわち、共振周波数温度係数が小さいことが求められる。

したがって、高周波領域において使用される高周波部品に適用される誘電体材料には、高周波領域において、誘電損失が小さく、比誘電率が高く、かつ共振周波数温度係数が小さいことが要求される。誘電損失の逆数は、無負荷品質係数Ｑｕとして表すことができるので、換言すれば、高周波領域において比誘電率および無負荷品質係数Ｑｕが高く、かつ所定の温度範囲において共振周波数温度係数が小さい誘電体材料が望まれている。

従来、高周波数領域において高い誘電率を持つ材料としてはＢｉ－Ｚｎ－Ｎｂ－Ｏ系酸化物が知られている。たとえば、特許文献１には、Ｂｉ_３ＮｂＯ_７相およびＢｉ_２（Ｚｎ_２／３Ｎｂ_４／３）Ｏ_７相との混合物が開示されている。また、また、特許文献２には、Ｂｉ_２Ｏ_３、ＺｎＯおよびＮｂ_２Ｏ_５を所定の割合で混合し焼成して得られる焼結体が開示されている。

特表２００９－５３７４４４号公報特開平４－２８５０４６号公報

しかしながら、特許文献１では、Ｂｉ_３ＮｂＯ_７相およびＢｉ_２（Ｚｎ_２／３Ｎｂ_４／３）Ｏ_７相が１：１で混合された混合物について、誘電率の温度係数の絶対値が１０ｐｐｍ以下であるが、比誘電率は１００以下、１ＧＨｚにおける誘電品質係数Ｑは１０００程度であるため、高周波領域における誘電特性は十分ではなかった。

また、特許文献２では、Ｂｉ_２Ｏ_３、ＺｎＯおよびＮｂ_２Ｏ_５を所定の割合で混合し焼成して得られる焼結体について、誘電率の温度係数の絶対値が１００ｐｐｍ以下、比誘電率は１４０以下、１ＧＨｚにおける無負荷Ｑ値は４００以下であるため、高周波領域における誘電特性は十分ではなかった。

本発明は、このような実状に鑑みてなされ、高周波領域において比誘電率εrおよび無負荷品質係数Ｑｕが高く、かつ所定の温度範囲において共振周波数温度係数τｆの絶対値が小さい誘電体組成物を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明は、
［１］ビスマスと亜鉛とニオブとを含む複合酸化物を有する誘電体組成物であって、
複合酸化物を、組成式Ｂｉ_ｘＺｎ_ｙＮｂ_ｚＯ_{１．７５＋δ}で表した場合、ｘ、ｙおよびｚは、ｘ＋ｙ＋ｚ＝１．００、０．３１≦ｙ≦０．５０、２／３≦ｘ／ｚ≦３／２である関係を満足することを特徴とする誘電体組成物である。

［２］ｙが、０．４０≦ｙ≦０．５０である関係を満足することを特徴とする［１］に記載の誘電体組成物である。

［３］ｘおよびｚが、１．２０≦ｘ／ｚ≦１．５０である関係を満足することを特徴とする［１］または［２］に記載の誘電体組成物である。

［４］ｘおよびｚが、０．９０≦ｘ／ｚ≦１．１０である関係を満足することを特徴とする［１］または［２］に記載の誘電体組成物である。

［５］［１］から［４］のいずれかに記載の誘電体組成物を備える電子部品である。

本発明によれば、高周波領域において比誘電率εrおよび無負荷品質係数Ｑｕが高く、かつ所定の温度範囲において共振周波数温度係数τｆの絶対値が小さい誘電体組成物を提供することができる。

図１は、本実施形態に係る電子部品としての単層キャパシタの斜視図である。

以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
１．電子部品
１．１．単層キャパシタの全体構成
１．２．誘電体層
１．２．１．誘電体組成物
２．電子部品の製造方法
３．本実施形態における効果
４．変形例

（１．電子部品）
まず、本実施形態に係る電子部品の一例として、単層キャパシタについて説明する。

（１．１．単層キャパシタの全体構成）
図１に示すように、本実施形態に係る単層キャパシタ１００は、円柱状の誘電体層１１と、誘電体層１１の両主面である一対の対向面に形成された一対の電極１０Ａ、１０Ｂとを備えている。誘電体層１１と、一対の電極１０Ａ、１０Ｂとは、キャパシタ部を形成しており、一対の電極１０Ａ、１０Ｂが外部回路に接続されて電圧が印加されると、誘電体層１１が所定の静電容量を示し、キャパシタとしての機能を発揮することができる。

電極１０Ａ、１０Ｂに含有される導電材は特に限定されず、所望の特性、用途等に応じて任意に設定することができる。本実施形態では、たとえば、銀（Ａｇ）、金（Ａｕ）、銅（Ｃｕ）および白金（Ｐｔ）等が例示される。

誘電体層１１は、図１では円柱形状を有しているが、誘電体層１１の形状は特に制限されず、所望の特性、用途等に応じて任意に設定することができる。また、誘電体層１１の寸法も特に制限されず、所望の特性、用途等に応じて任意に設定することができる。

（１．２．誘電体層）
本実施形態では、誘電体層１１は、以下に示す誘電体組成物から構成されている。

（１．２．１．誘電体組成物）
本実施形態に係る誘電体組成物は、ビスマス（Ｂｉ）、亜鉛（Ｚｎ）およびニオブ（Ｎｂ）を含む複合酸化物を主成分として含有している。本実施形態では、主成分とは、誘電体組成物１００質量％に対して、９０質量％以上を占める成分である。

当該複合酸化物はパイロクロア型結晶構造を有している。パイロクロア型結晶構造は一般式Ａ_２Ｂ_２Ｏ_７で表される。パイロクロア型結晶構造においては、Ａサイトを占める元素（Ａサイト元素）に酸素が８配位しており、Ｂサイトを占める元素（Ｂサイト元素）に酸素が６配位している。そして、酸素から構成される八面体の中心にＢサイト元素が位置するＢＯ_６八面体が互いの頂点を共有した三次元ネットワークを構成し、このネットワークの間隙にＡサイト元素が位置し、かつＡサイト元素は、酸素から構成される六面体の中心に位置している。

本実施形態では、一般式Ａ_２Ｂ_２Ｏ_７は、組成式Ｂｉ_ｘＺｎ_ｙＮｂ_ｚＯ_{１．７５＋δ}で表すことができる。すなわち、上記の複合酸化物は、パイロクロア型結晶構造を有し、組成式Ｂｉ_ｘＺｎ_ｙＮｂ_ｚＯ_{１．７５＋δ}で表される。この組成式において、「ｘ」、「ｙ」および「ｚ」は、ｘ＋ｙ＋ｚ＝１．００である。

また、当該複合酸化物では、酸素（Ｏ）量が化学量論比であってもよいし、化学量論比から若干偏倚してもよい。化学量論比からの偏倚量は、置換する元素の種類およびそれらの置換量に応じて変化し、上記の組成式において「δ」で表される。

したがって、「ｘ」は、上記の複合酸化物の組成式における金属元素のうち、Ｂｉの含有割合を示し、「ｙ」は、上記の複合酸化物の組成式における金属元素のうち、Ｚｎの含有割合を示し、「ｚ」は、上記の複合酸化物の組成式における金属元素のうち、Ｎｂの含有割合を示す。

上記の一般式において、ＢｉはＡサイトを占め、ＮｂはＢサイトを占める。一方、Ｚｎは、上記の一般式において、ＡサイトおよびＢサイトのどちらも占めることができる。したがって、上記の複合酸化物のパイロクロア型結晶構造においては、Ｂｉに酸素が８配位した六面体およびＮｂに酸素が６配位した八面体に加えて、Ｚｎに酸素が８配位した六面体およびＺｎに酸素が６配位した八面体が存在する。

Ｂｉ、ＺｎおよびＮｂを含み、パイロクロア型結晶構造を有する複合酸化物においては、Ｚｎに酸素が配位した多面体の割合が、パイロクロア型結晶構造の安定性に影響している。そこで、本実施形態では、Ｚｎの含有割合を示す「ｙ」は、０．３１以上０．５０以下に制御している。また、「ｙ」は０．４０以上であることが好ましい。

「ｙ」を上記の範囲内とすることにより、パイロクロア型結晶構造において、Ｚｎに酸素が８配位した六面体およびＺｎに酸素が６配位した八面体の割合が増加し、結晶構造中における多面体構造のバラツキが抑制され、温度変化による構造変化が生じにくくなる。その結果、温度が変化しても、共振周波数が一定に保たれる傾向にあるので、共振周波数温度係数τｆの絶対値（｜τｆ｜）を所定の範囲内とすることができる。

「ｙ」が小さすぎると、パイロクロア型結晶構造において、Ｂｉに酸素が８配位した六面体およびＮｂに酸素が６配位した八面体が占める割合が増え、多面体構造のバラツキが大きくなり、構造変化しやすい傾向にあるので、共振周波数温度係数τｆが悪化する傾向にある。一方、「ｙ」が大きすぎると、Ｚｎに酸素が配位した多面体の割合が多くなりすぎ、複合酸化物において比誘電率に寄与する成分が少なくなるため、比誘電率εｒが悪化する傾向にある。

また、本実施形態では、Ｎｂの含有割合（「ｚ」）に対するＢｉの含有割合（「ｘ」）を示す「ｘ／ｚ」は、２／３以上３／２以下である。「ｘ／ｚ」を上記の範囲内とすることにより、Ｂｉの含有割合とＮｂの含有割合とが比較的に近づくため、パイロクロア型結晶構造における欠陥が少なくなり、無負荷品質係数Ｑｕを良好にすることができる。

「ｘ／ｚ」は、１．２０以上１．５０以下であることが好ましい。上記の範囲内とすることにより、Ａサイトにおいて結晶構造の乱れ（ディスオーダー）が適切な範囲内で生じるため、無負荷品質係数Ｑｕを良好に維持しつつ、このディスオーダーに起因して比誘電率εｒをさらに良好にすることができる。「ｘ／ｚ」が大きすぎると、ディスオーダーが大きくなりすぎ、逆に、無負荷品質係数Ｑｕが低下する傾向にある。

また、「ｘ／ｚ」は、０．９０以上１．１０以下であることも好ましい。上記の範囲内とすることにより、Ｂｉの含有割合とＮｂの含有割合とがほぼ同程度となるため、パイロクロア型結晶構造における欠陥がさらに少なくなり、無負荷品質係数Ｑｕをさらに向上させることができる。

上記の組成式において、「ｘ」、「ｙ」および「ｚ」を上記の範囲内とすることにより、比誘電率εｒと、無負荷品質係数Ｑｕと、共振周波数温度係数τｆとを良好にすることができる。

また、本実施形態に係る誘電体組成物は、本発明の効果を奏する範囲内において、微量な不純物、副成分等を含んでいてもよい。このような成分としては、たとえば、Ｍｎ、Ｃａ、Ｂａ等が例示される。

（２．電子部品の製造方法）
次に、電子部品の製造方法の一例として、図１に示す単層キャパシタ１００の製造方法の一例について以下に説明する。

まず、誘電体組成物の出発原料を準備する。出発原料としては、上記の誘電体組成物を構成する複合酸化物に含まれる金属の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができる。その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることができる。たとえば、Ｂｉ_２Ｏ_３粉末、ＺｎＯ粉末およびＮｂ_２Ｏ_５粉末を準備すればよい。なお、各粉末の平均粒子径は１．０μｍ以下であることが好ましい。

準備した出発原料を最終組成が所望の組成となるように秤量した後混合し、混合物とする。混合する方法としては湿式混合でもよいし、乾式混合でもよい。湿式混合の場合、混合時の分散媒は特に制限されないが、たとえば、水、低級アルコール類等を用いることができる。また、これらを混合して用いてもよい。

湿式混合の場合、混合物を乾燥し混合粉を得る。得られた混合粉に対して、通常、仮焼きを行う。仮焼きは焼成温度よりも低温で熱処理を行う。

得られた仮焼き粉末が凝集している場合には、ボールミル等を用いて、所定時間仮焼き粉末の粗粉砕を行い、粉砕粉とすることが好ましい。粗粉砕粉の平均粒径は、０．５～３．０μｍ程度であればよい。湿式粉砕を行う場合、上記の湿式混合で用いられる分散媒を１種以上混合して用いればよい。

粉砕粉を成形する方法は特に制限されない。通常は、粉砕粉１００重量部に対して２．０～５．０重量部程度のバインダを加えて混合した後、加圧成形を行えばよい。バインダとしては通常ポリビニルアルコール等が用いられる。加圧成形は、適当なサイズの金型にバインダ等を混合した粉砕粉を充填し、成形圧２～５ｔ／ｃｍ^２程度の条件で行えばよい。

続いて、得られた成形体を焼成する。焼成条件は特に制限されない。たとえば、昇温速度を５０～３００℃／ｈ程度とし、焼成温度を１０００℃～１１００℃程度とし、保持時間を１２時間程度とし、雰囲気を大気中等の酸素雰囲気とすればよい。

得られた焼結体の主表面に、端子電極を印刷し、必要に応じて焼き付けて電極を形成する。電極を形成する方法は特に制限されず、蒸着、スパッタリング等で電極を形成してもよい。

以上の工程を経ることにより、図１に示す単層キャパシタを得ることができる。

（３．本実施形態における効果）
本実施形態では、パイロクロア型結晶構造を有する複合酸化物として、Ｂｉ－Ｚｎ－Ｎｂ－Ｏ系酸化物に着目している。この複合酸化物においては、Ｚｎは、ＡサイトおよびＢサイトのどちらも占めることができ、２種類の多面体を形成する。本発明者らは、この２種類の多面体の割合を増やすことにより、パイロクロア型結晶構造が安定化し、温度変化による構造変化が生じにくくなることを見出した。そこで、本実施形態では、パイロクロア型結晶構造中のＺｎの含有割合を上記の範囲内とすることにより、共振周波数温度係数τｆを良好にしている。

また、本発明者らは、Ａサイトを占めるＢｉの含有割合と、Ｂサイトを占めるＮｂの含有割合とを比較的に近づけることにより、パイロクロア型結晶構造の欠陥を減らし、その結果、無負荷品質係数Ｑｕが向上することも見出した。そこで、本実施形態では、Ｂｉの含有割合とＮｂの含有割合との比率を上記の範囲内とすることにより、高い無負荷品質係数Ｑｕを得ている。

具体的には、本実施形態に係る誘電体組成物は、２ＧＨｚ以上の高周波領域であっても１５０以上の高い比誘電率εｒと、２５００以上の高い無負荷品質係数Ｑｕを示し、しかも、共振周波数温度係数τｆの絶対値を３０ｐｐｍ／℃以下とすることができる。

さらに、ｘ／ｚの値を変化させることにより、高い比誘電率εrが得られることを重視した誘電体組成物と、高い無負荷品質係数Ｑｕが得られることを重視した誘電体組成物と、を用途に応じて得ることができる。

（４．変形例）
上述した実施形態では、電子部品として、誘電体層が単層である単層キャパシタについて説明したが、電子部品は積層キャパシタであってもよい。このような積層キャパシタは、上述した誘電体組成物から構成される複数の誘電体層と内部電極層とが交互に積層された構成の積層体を有する。この積層体の両端部には、内部電極層と各々導通する一対の端子電極が形成してある。積層体の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。

また、電子部品は、薄膜キャパシタであってもよい。この場合には、薄膜キャパシタの誘電体層を上述した誘電体組成物で構成すればよい。この薄膜キャパシタの誘電体層は、たとえば、薄膜形成法等を用いて、上述した誘電体組成物を構成する元素を基板上に堆積させて形成することができる。薄膜形成法としては、スパッタリング法、化学気相蒸着法等の公知の気相成長法が好ましい。

以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。

以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

まず、誘電体組成物の主成分である複合酸化物の出発原料として、酸化ビスマス（Ｂｉ_２Ｏ_３）、酸化亜鉛（ＺｎＯ）および酸化ニオブ（Ｎｂ_２Ｏ_５）の粉末を準備した。なお、各粉末の平均粒子径は１．０μｍ以下であった。焼成後の誘電体組成物（焼結体）が、表１に示す組成を有するように、上記の出発原料を秤量した。

次に、秤量した各出発原料粉末を、分散媒としてのエタノールを用いてボールミルにより１６時間湿式混合し、混合物を乾燥して混合原料粉末を得た。その後、得られた混合原料粉末を、大気中において保持温度８００℃、保持時間２時間の条件で熱処理を行い、仮焼き粉末を得た。

得られた仮焼き粉末を粗粉砕し、分散媒としてのエタノールを用いてボールミルにより湿式粉砕を行い、粉砕粉を得た。

得られた粉砕粉にバインダとしてポリビニルアルコールを加えて、公知の方法により混合および造粒した。得られた造粒粉をプレス成形機により、直径１２ｍｍ、高さ８ｍｍの円柱状に加工成形し、成形体を得た。得られた成形体を、１０００℃、１２時間の条件で焼成し誘電体組成物（焼結体）を得た。得られた焼結体の両端面を研磨し、電極を形成して試料を作製した。

得られた試料に対して、平行導体板型誘電体共振器法により測定周波数２～５ＧＨｚにおける比誘電率εｒおよび無負荷品質係数Ｑｕを測定した。本実施例では、比誘電率εｒが１５０以上である試料を良好とし、無負荷品質係数Ｑｕが２５００以上である試料を良好とした。共振周波数温度係数τfは、２５℃および８０℃における共振周波数を測定し、２５℃における値を基準として算出した。本実施例では、共振周波数温度係数τfの絶対値（｜τｆ｜）が３０ｐｐｍ以下である試料を良好とした。得られた結果を表１に示す。

表１より、Ｂｉ、ＺｎおよびＮｂを含む複合酸化物において、「ｘ」、「ｙ」および「ｚ」の関係が上述した範囲内である試料は、高周波領域（２ＧＨｚ）において高い比誘電率εｒ（１５０以上）、高い無負荷品質係数Ｑｕ（２５００以上）、および、良好な温度特性（｜τｆ｜≦３０ｐｐｍ／℃）を有することが確認できた。

さらに、Ｚｎの含有割合（「ｙ」）を限定することにより、高い比誘電率εｒおよび高い無負荷品質係数Ｑｕを維持しつつ、さらに良好な温度特性（｜τｆ｜≦１５ｐｐｍ／℃）を有することが確認できた。

また、「ｘ／ｚ」を大きくする、すなわち、Ｂｉの含有割合を大きくすることにより、高い無負荷品質係数Ｑｕおよび良好な温度特性を維持しつつ、より高い比誘電率εｒ（１８０以上）が得られることが確認できた。

また、「ｘ／ｚ」を１に近づける、すなわち、Ｂｉの含有割合とＮｂの含有割合とをほぼ同程度とすることにより、高い比誘電率εｒおよび良好な温度特性を維持しつつ、より高い無負荷品質係数Ｑｕ（３０００以上）が得られることが確認できた。

本発明によれば、高周波領域において比誘電率およびＱｕが高く、かつ所定の温度範囲において共振周波数温度係数が小さい誘電体組成物が得られる。このような誘電体組成物は、高周波用の電子部品、たとえば、バラン、カプラ、フィルタ、あるいは、フィルタを組み合わせたデュプレクサ、ダイプレクサ等に好適である。

１００… 単層キャパシタ
１０Ａ、１０Ｂ… 端子電極
１１… 誘電体層

Claims

ビスマスと亜鉛とニオブとを含む複合酸化物を有する誘電体組成物であって、
前記複合酸化物を、組成式Ｂｉ_ｘＺｎ_ｙＮｂ_ｚＯ_{１．７５＋δ}で表した場合、前記ｘ、ｙおよびｚは、ｘ＋ｙ＋ｚ＝１．００、０．４０≦ｙ≦０．５０、２／３≦ｘ／ｚ≦３／２である関係を満足することを特徴とする誘電体組成物。
前記ｘおよびｚが、１．２０≦ｘ／ｚ≦１．５０である関係を満足することを特徴とする請求項１に記載の誘電体組成物。
前記ｘおよびｚが、０．９０≦ｘ／ｚ≦１．１０である関係を満足することを特徴とする請求項１に記載の誘電体組成物。
請求項１から３のいずれかに記載の誘電体組成物を含む誘電体層を備える電子部品。