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JP7095244B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、サイドウォール部を有する空気入りタイヤに関する。
従来から、岩場等での走破性を高めつつ、サイドウォール部の損傷を抑制するために、サイドウォール部の外面に、タイヤ軸方向外側に隆起した突状部が配設された空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に開示されている突状部では、そのゴム厚さが増加することにより、内部に蓄熱される傾向があり、耐久性能に影響を及ぼすおそれがある。また、泥濘地等での駆動力のさらなる向上が期待されている。
特開2016-55820号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、サイドウォール部の耐久性能及び、泥濘地等での駆動力を高めることができる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、サイドウォール部を有する空気入りタイヤであって、前記サイドウォール部の外面には、タイヤ軸方向外側に隆起した突状部がタイヤ周方向に複数並べられており、各突状部には、タイヤ周方向の一方側の第1端からタイヤ周方向に延びて前記突状部の内部に端部を有する凹部が形成されている。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、タイヤ回転軸を含む任意のタイヤ子午線断面に、前記突状部の少なくとも一部が形成されていることが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第1端に沿った前記凹部の幅は、前記端部に向かって漸減することが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第1端に沿った前記凹部の最大幅は、前記第1端の全長さの0.4~0.6倍であることが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記各突状部は、第1隆起高さを有する第1部分と、前記第1隆起高さよりも小さい第2隆起高さを有する第2部分とを含むことが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第2隆起高さは、前記第1隆起高さの0.5~0.7倍であることが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第1部分は、前記凹部のタイヤ半径方向外側に位置する外側リブ部と、前記凹部のタイヤ半径方向内側に位置する内側リブ部と、前記外側リブ部と前記内側リブ部とを連結する基部とを含むことが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記各突状部は、タイヤ周方向の他方側に第2端を有し、前記第2部分は、前記基部の前記第2端側に形成されていることが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第2部分のタイヤ周方向の長さは、タイヤ半径方向外側に向かって連続的に又は段階的に大きくなっていることが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第2部分は、前記突状部のタイヤ半径方向の内端部からタイヤ半径方向外側に向ってのび、タイヤ周方向の長さが一定の幅狭部と、前記幅狭部よりタイヤ半径方向外側に配され、前記幅狭部よりもタイヤ周方向の長さが大きい幅広部とを有することが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第2端に沿った前記幅広部の最大長さは、前記第2端の全長さの0.3~0.5倍であることが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、サイドウォール部の外面に複数の突状部が設けられる。複数の突状部は、タイヤ周方向に並べられ、各突状部には、タイヤ周方向の一方側の第1端からタイヤ周方向に延びて突状部の内部に端部を有する凹部が形成されている。凹部によって、突状部の内部の蓄熱性が低下し、走行時の突状部の内部温度が低下する。これにより、空気入りタイヤの耐久性能が向上する。さらに、泥濘地での走行にあっては、凹部内で、泥等を効果的に掴むことができるため、空気入りタイヤの駆動力が高められる。
本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示す断面図である。 図1の空気入りタイヤの側面図である。 図2の突状部の拡大図である。 図2の突状部の斜視図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ1の正規状態におけるタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図である。ここで、正規状態とは、タイヤを正規リム(図示省略)にリム組みし、かつ、正規内圧を充填した無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、タイヤの各部の寸法等はこの正規状態で測定された値である。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されるベルト層7とを具え、本実施形態では乗用車用のものが示されている。
カーカス6は、例えば、1枚のカーカスプライ6Aにより構成されている。このカーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間を跨る本体部6aの両端に、ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返されることによりビードコア5に係止される折返し部6bを一連に具えている。カーカスプライ6Aには、例えば、芳香族ポリアミド、レーヨンなどの有機繊維コードがカーカスコードとして採用されている。カーカスコードは、タイヤ赤道Cに対して、例えば、70~90°の角度で配列されている。本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外方に向かって先細状にのびるビードエーペックスゴムが配されている。
ベルト層7は、本実施形態では、ベルトコードがタイヤ赤道Cに対して、例えば、15~45゜の角度で傾斜して配列された2枚のベルトプライ7A、7Bを、ベルトコードが互いに交差する向きにタイヤ半径方向で重ね合わされてなる。このベルトコードには、例えば、アラミド又はレーヨン等が好適に採用されている。
図2は、本実施形態の空気入りタイヤ1の側面図である。図2に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、サイドウォール部3の外面に複数の突状部8を有している。各突状部8は、サイドウォール部3のタイヤ半径方向外側の領域であるバットレス面30に形成されている。複数の突状部8は、タイヤ周方向に並べられている。突状部8はサイドウォール部3の耐カット性能を高め、サイドウォール部3の損傷を抑制する。
図3は、突状部8を拡大して示している。各突状部8には、タイヤ周方向の一方側の第1端81からタイヤ周方向に延びて突状部8の内部に端部91を有する凹部9が形成されている。凹部9によって、突状部8の内部の蓄熱性が低下し(すなわち、放熱性が高められ)、走行時の突状部8の内部温度が低下する。これにより、空気入りタイヤ1の耐久性能が向上する。さらに、泥濘地での走行にあっては、凹部9内で、泥等を効果的に掴むことができるため、空気入りタイヤ1の駆動力が高められる。
図2に示されるように、タイヤ回転軸を含む任意のタイヤ子午線断面に、突状部8の少なくとも一部が形成されている。これにより、転動中の空気入りタイヤ1において、いずれのタイヤ子午線断面においても、突状部8によってサイドウォール部3の損傷が抑制される。
図3に示されるように、第1端81に沿った凹部9の幅は、第1端81から端部91に向かって漸減している。これにより、突状部8の剛性が容易に高められ、サイドウォール部3の耐カット性能がより一層高められる。
第1端81に沿った凹部9の最大幅W1は、第1端81の全長さL1の0.4~0.6倍が望ましい。凹部9の最大幅W1とは、外側リブ部13の第1端81側の先端部のタイヤ半径方向の内端から前記内側リブ部14の前記第1端81側の先端部のタイヤ半径方向の外端までの距離W1である。第1端81の全長さL1とは、第1端81のタイヤ半径方向の内端から第1端81の外端までの距離L1である。上記最大幅W1が上記全長さL1の0.4未満の場合、走行時の突状部8の内部温度の上昇を十分に抑制できないおそれがある。上記最大幅W1が上記全長さL1の0.6を超える場合、サイドウォール部3の耐カット性能が十分に高められないおそれがある。
図4は、突状部8の斜視図である。同図では、作図の便宜上、タイヤ周方向の円弧及びにタイヤ半径方向に沿ったサイドウォール部3の外表面の円弧を直線にて描画されている。
突状部8は、第1隆起高さH1を有する第1部分11と、第1隆起高さH1よりも小さい第2隆起高さH2を有する第2部分12とを含んでいる。突状部8に第2部分12が形成されることにより、突状部8の内部の蓄熱性がさらに低下し、走行時の突状部8の内部温度がより一層低下する。また、泥濘地での走行にあっては、第2部分12によって泥等を効果的に掴むことができるため、空気入りタイヤ1の駆動力が高められる。
第2隆起高さH2は、第1隆起高さH1の0.5~0.7倍が望ましい。第2隆起高さH2が第1隆起高さH1の0.5倍未満の場合、サイドウォール部3の耐カット性能を十分に高めることができないおそれがある。一方、第2隆起高さH2が第1隆起高さH1の0.7倍を超える場合、走行時の突状部8の内部温度の上昇を十分に抑制できないおそれがある。
第1部分11は、凹部9のタイヤ半径方向外側に位置する外側リブ13部と、凹部9のタイヤ半径方向内側に位置する内側リブ部14と、外側リブ部13と内側リブ部14とを連結する基部15とを含んでいる。外側リブ部13、内側リブ部14及び基部15によって、C字状すなわち蹄鉄状の第1部分11が構成される。これにより、泥濘地での空気入りタイヤ1の駆動力が高められる。
図3に示されるように、突状部8は、タイヤ周方向の他方側に第2端82を有している。第2端82は、タイヤ周方向に隣り合う突状部8の第1端81と対向している。そして、第2部分12は、基部15の第2端82側に形成されている。このような第2部分12は、サイドウォール部3の外表面を保護しつつ、走行時の突状部8の内部温度の上昇を抑制する。
本実施形態では、第2部分12のタイヤ周方向の長さは、タイヤ半径方向外側に向かって段階的に大きくなるように形成されている。これにより、突状部8のタイヤ半径方向外側で、内部温度の上昇が抑制されうる。第2部分12のタイヤ周方向の長さは、タイヤ半径方向外側に向かって連続的に大きくなるように形成されていてもよい。
本実施形態では、第2部分12は、突状部8のタイヤ半径方向の内端部からタイヤ半径方向外側に向ってのび、タイヤ周方向の長さが一定の幅狭部16と、幅狭部16よりタイヤ半径方向外側に配され、幅狭部16よりもタイヤ周方向の長さが大きい幅広部17とを有している。泥濘地での走行にあっては、突状部8の第2端82側に設けられている幅広部17によって泥等を効果的に掴むことができるため、空気入りタイヤ1の駆動力が高められる。
すなわち、突状部8の一方側の第1端81に凹部9が形成され、他方側の第2端82に第1部分11よりも隆起高さの小さい第2部分12の幅広部17が形成されているので、泥濘地での走行でタイヤの駆動方向が逆転しても、凹部9又は幅広部17のいずれかが泥等を効果的に掴み、空気入りタイヤ1の駆動力が高められる。
第2端82に沿った幅広部17の最大長さL3は、第2端の全長さL2の0.3~0.5倍が望ましい。第2端82に沿った幅広部17の最大長さL3とは、幅広部17のタイヤ半径方向の内端から幅広部17のタイヤ半径方向の外端までの距離L3である。第2端82の全長さL2とは、第2部分12のタイヤ半径方向の内端から第2部分12のタイヤ半径方向の外端までの距離である。上記最大長さL3が上記全長さL2の0.3未満の場合、泥濘地の走行で空気入りタイヤ1の駆動力が十分に高められないおそれがある。一方、上記最大長さL3が上記全長さL2の0.5を超える場合、サイドウォール部3を効果的に保護できないおそれがある。
図4に示されるように、凹部9には、第1隆起高さH1よりも小さい第3隆起高さの第3部分18が形成されていてもよい。第3部分18は、凹部9の端部91から第1端81に向って延び、外側リブ部13、内側リブ部14及び基部15を連結する。第3部分18によって、突状部8の剛性が高められ、サイドウォール部3がより一層効果的に保護される。
内側リブ部14の先端部には、第1隆起高さH1よりも小さい第4隆起高さの第4部分19が形成されていてもよい。第4部分19によって、突状部8の剛性が高められ、サイドウォール部3がより一層効果的に保護される。
以上、本発明の空気入りタイヤが詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
図1の基本構造をなすサイズ265/70R17の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、耐カット性能、放熱性能及び泥濘地での駆動性能がテストされた。
テスト方法は、以下の通りである。
<耐カット性能>
リム17×8.00に装着された各試供タイヤが、内圧240kPaの条件にて、排気量4000ccの4輪駆動乗用車に装着され、瓦礫等が散乱する悪路を1500km走行後のサイドウォール部に生じたカット傷が測定され、各カット傷についてその長さと深さの積が計算され、さらにその合計が計算された。結果は、実施例1を100とする指数であり、数値が大きい程、耐カット性能に優れていることを示す。
<放熱性能>
リム17×8.00に装着された各試供タイヤが、内圧240kPaの条件にて、ドラム試験機にて時速100km/hで24時間にわたって走行され、バットレス部の温度が測定された。結果は、実施例1を100とする指数であり、数値が大きい程、温度が低く放熱性能に優れていることを示す。
<泥濘地での駆動性能>
リム17×8.00に装着された各試供タイヤが、内圧240kPaの条件にて、上記車両に装着され、泥濘地のテストコースに持ち込まれ、駆動性能がドライバーの官能評価によって測定された。結果は、実施例1を100とする指数であり、数値が大きい程、駆動性能に優れていることを示す。
Figure 0007095244000001
Figure 0007095244000002
表1から明らかなように、実施例の空気入りタイヤは、比較例に比べて耐カット性能、放熱性能及び泥濘地での駆動性能がバランスよく有意に向上していることが確認できた。
1 :空気入りタイヤ
3 :サイドウォール部
8 :突状部
9 :凹部
11 :第1部分
12 :第2部分
13 :外側リブ部
14 :内側リブ部
15 :基部
16 :幅狭部
17 :幅広部
30 :バットレス面
81 :第1端
82 :第2端
91 :端部

Claims (10)

  1. サイドウォール部を有する空気入りタイヤであって、
    前記サイドウォール部の外面には、タイヤ軸方向外側に隆起した突状部がタイヤ周方向に複数並べられており、
    各突状部には、タイヤ周方向の一方側の第1端からタイヤ周方向に延びて前記突状部の内部に端部を有する凹部が形成されており、
    前記突状部は、タイヤ周方向に隣り合って、互いに独立して形成されている、
    空気入りタイヤ。
  2. タイヤ回転軸を含む任意のタイヤ子午線断面に、前記突状部の少なくとも一部が形成されている、請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第1端に沿った前記凹部の幅は、前記端部に向かって漸減する、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記各突状部は、第1隆起高さを有する第1部分と、前記第1隆起高さよりも小さい第2隆起高さを有する第2部分とを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第2隆起高さは、前記第1隆起高さの0.5~0.7倍である、請求項4記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第1部分は、前記凹部のタイヤ半径方向外側に位置する外側リブ部と、前記凹部のタイヤ半径方向内側に位置する内側リブ部と、前記外側リブ部と前記内側リブ部とを連結する基部とを含む、請求項4又は5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記外側リブ部の前記第1端側の先端部のタイヤ半径方向の内端から前記内側リブ部の前記第1端側の先端部のタイヤ半径方向の外端までの距離W1は、前記第1端のタイヤ半径方向の内端から前記第1端のタイヤ半径方向の外端までの距離L1の0.4~0.6倍である、請求項6記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記各突状部は、タイヤ周方向の他方側に第2端を有し、
    前記第2部分は、前記基部の前記第2端側に形成されている、請求項7記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記第2部分のタイヤ周方向の長さは、タイヤ半径方向外側に向かって連続的に又は段階的に大きくなっている、請求項8記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記第2部分は、前記突状部のタイヤ半径方向の内端部からタイヤ半径方向外側に向ってのび、タイヤ周方向の長さが一定の幅狭部と、前記幅狭部よりタイヤ半径方向外側に配され、前記幅狭部よりもタイヤ周方向の長さが大きい幅広部とを有する、請求項9記載の空気入りタイヤ。
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