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JP6724450B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ビード部の耐久性能、オフロード性能、及び、耐カット性能をバランス良く向上させた空気入りタイヤに関する。
例えば、四輪駆動車等に装着される空気入りタイヤにあっては、泥濘地での走行性能であるマッド性能や岩場等での走行性能であるロック性能(これら両性能を合わせて、以下、「オフロード性能」という場合がある。)を有することが望まれている。オフロード性能を高めるために、バットレス部にタイヤ軸方向に突出する複数のサイドプロテクタを設けた空気入りタイヤが提案されている。この空気入りタイヤは、サイドプロテクタと、岩との引掛け・摩擦によるトラクションや、サイドプロテクタ間に形成される溝状部に入り込んだ泥をせん断することによってトラクションを発揮する。また、このような空気入りタイヤは、サイドプロテクタが岩や灌木等と衝突することで、ゴム厚さが小さいサイドウォール部の他の部分のカット傷を防止し、優れた耐カット性能を提供する。
オフロード性能や耐カット性能を、さらに高めるために、サイドプロテクタの突出高さを大きくする試みがなされている。しかしながら、このような方法は、タイヤのバットレス部の質量が過度に増加し、ひいては、ビード部が大きく撓むため、ビード部の耐久性能が悪化するという問題があった。
特開2012−6449号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ビード部の耐久性能、オフロード性能、及び、耐カット性能をバランス良く向上し得る空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、サイドウォール部のタイヤ半径方向外側の領域であるバットレス部を有する空気入りタイヤであって、前記バットレス部の外面には、タイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタと、前記サイドプロテクタ間に形成される溝状部とが設けられ、前記溝状部のタイヤ周方向長さは、前記サイドプロテクタのタイヤ周方向長さの50%〜70%であることを特徴とする。
本発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線断面において、前記溝状部が、タイヤ軸方向外側に突出する頂点を有する略三角形状の突部が設けられているのが望ましい。
本発明にかかる空気入りタイヤは、前記頂点とトレッド端とのタイヤ半径方向の距離が、20〜50mmであるのが望ましい。
本発明にかかる空気入りタイヤは、前記頂点が、その両側の前記サイドプロテクタを連続してタイヤ周方向にのびているのが望ましい。
本発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線断面において、前記突部が、その突出高さが、前記サイドプロテクタの突出高さよりも小さいのが望ましい。
本発明にかかる空気入りタイヤは、前記突部が、2〜8mmの突出高さを有するのが望ましい。
本発明にかかる空気入りタイヤは、前記サイドプロテクタが、5〜10mmの突出高さを有するのが望ましい。
本発明の空気入りタイヤは、バットレス部の外面に、タイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタと、サイドプロテクタ間に形成される溝状部とが設けられている。このような空気入りタイヤは、サイドプロテクタと岩との接触によるトラクションや、溝状部で泥をせん断することによるトラクションを発揮する。また、サイドプロテクタが、タイヤの他の部分が岩等と衝突するのを防いでカット傷の発生を抑制する。従って、オフロード性能と耐カット性能とが向上する。
溝状部のタイヤ周方向長さは、サイドプロテクタのタイヤ周方向長さの50%〜70%とされる。これにより、サイドプロテクタのタイヤ周方向長さが最適化される、耐カット性能を損なわずにバットレス部の質量の増加が抑制される。従って、本発明の空気入りタイヤは、ビード部の耐久性能が維持されるとともに、オフロード性能と耐カット性能とが向上する。
本発明の一実施形態の空気入りタイヤのタイヤ子午線断面図である。 図1の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。 図1の空気入りタイヤの斜視図である。 図1の空気入りタイヤのバットレス部の側面図である。 図1の空気入りタイヤのバットレス部の拡大図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の一実施形態を示す空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1の正規状態のタイヤ回転軸(図示省略)を含むタイヤ子午線断面図である。「正規状態」とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書では、特に断りがない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、この正規状態において測定される値である。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"である。また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。タイヤが乗用車用である場合は、正規内圧は、180kPaである。
本実施形態のタイヤ1は、例えば、四輪駆動車用のオールシーズン用タイヤとして好適に利用される。
本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るトロイド状のカーカス6と、トレッド部2の内部かつカーカス6のタイヤ半径方向外側に配されるベルト層7とを含むコード補強層が配される。
カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70〜90°の角度で配列した少なくとも1枚、本例では2枚のカーカスプライ6A、6Bから形成される。本実施形態の各カーカスプライ6A、6Bは、それぞれ、ビードコア5、5間を跨るトロイド状の本体部6aと、ビードコア5の回りで折り返される折返し部6bとを有する。ビード部4には、例えば本体部6aと折返し部6bとの間を通ってビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。
ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜45°の角度で配列した少なくとも1枚、本実施形態では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される。ベルトコードは、プライ間で互いに交差する向きに配列されている。カーカス6、ベルト層7等は、このような態様に限定されるものではない。
図2は、図1のタイヤ1のトレッド部2の展開図である。図3は、タイヤ1の斜視図である。図2及び3に示されるように、本実施形態のトレッド部2には、タイヤ赤道Cの両側をタイヤ周方向に並ぶクラウンブロック10、及び、クラウンブロック10よりもトレッド端Te側をタイヤ周方向に並ぶショルダーブロック11が設けられている。タイヤ周方向に並ぶショルダーブロック11、11間には、トレッド端Teに連通する横溝12が設けられる。
前記「トレッド端」Teは、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。正規状態において、両トレッド端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWとして定められる。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。タイヤが乗用車用の場合、正規荷重は、前記荷重の88%に相当する荷重である。
クラウンブロック10は、本実施形態では、その踏面が、タイヤ赤道Cからタイヤ周方向の一方側へ傾斜する第1傾斜部10aと、第1傾斜部10aとは逆向きかつ第1傾斜部10aよりも大きい第2傾斜部10bとを含む略V字状である。なお、クラウンブロック10の形状は、このような態様に限定されるものではない。
ショルダーブロック11は、本実施形態では、その踏面が、トレッド端Te側からタイヤ赤道C側にタイヤ軸方向にのびる軸方向部11aと、軸方向部11aのタイヤ軸方向内側に連なりかつタイヤ周方向の一方側へ傾斜する傾斜部11bとを含んでいる。なお、ショルダーブロック11の形状は、このような態様に限定されるものではない。
本実施形態のショルダーブロック11は、第1ショルダーブロック11Aと、第2ショルダーブロック11Bとで構成されている。第1ショルダーブロック11Aと第2ショルダーブロック11Bとは、タイヤ周方向に交互に並べられている。
第1ショルダーブロック11Aは、本実施形態では、第1エッジ13aと側面13bと一対の壁面13c、13cとを有している。第1エッジ13aは、第1ショルダーブロック11Aの踏面のタイヤ軸方向の外側の接地端を画定する。本実施形態の第1エッジ13aは、タイヤ周方向に沿って直線状にのびかつトレッド端Teよりもタイヤ軸方向内側に配されている。側面13bは、第1エッジ13aからタイヤ軸方向外側にのびタイヤ半径方向内側に傾斜している。壁面13cは、第1エッジ13aのタイヤ軸方向内外にのびている。
第2ショルダーブロック11Bは、本実施形態では、第2エッジ14aと側面14bと一対の壁面14c、14cとを有している。第2エッジ14aは、第2ショルダーブロック11Bの踏面のタイヤ軸方向の外側の接地端を画定する。本実施形態の第2エッジ14aは、タイヤ周方向に沿って直線状にのびかつトレッド端Teを形成している。側面14bは、第2エッジ14aからタイヤ軸方向外側にのびタイヤ半径方向内側に傾斜している。壁面14cは、第2エッジ14aのタイヤ軸方向内外にのびている。本実施形態では、タイヤ周方向で隣り合う第1ショルダーブロック11Aの壁面13cと第2ショルダーブロック11Bの壁面14cとが横溝12を形成している。
タイヤ1は、サイドウォール部3のタイヤ半径方向外側の領域であるバットレス部Bを有している。図1に示されるように、バットレス部Bの外面Baは、タイヤ子午線断面において、ショルダーブロック11、11間の横溝12の溝底12Sからタイヤ半径方向内側に滑らかにのびる輪郭線Sとして形成される。輪郭線Sは、部分的に形成される凹凸(例えば、装飾用のセレーション、標章表示用のリブ、保護用のプロテクトタなど)を排除して特定される滑らかな曲線を意味する。
バットレス部Bの外面Baには、タイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタ20と、サイドプロテクタ20、20間に形成される溝状部21とが設けられている。このようなタイヤ1は、サイドプロテクタ20と岩との接触によるトラクションや、溝状部21で泥をせん断することによるトラクションを発揮する。また、サイドプロテクタ20が、ゴム厚さが小となる溝状部21において、岩等との衝突によるカット傷の発生を抑制してゴム厚さを確保する。従って、オフロード性能及び耐カット性能が向上する。
図4に示されるように、溝状部21のタイヤ周方向長さW1は、サイドプロテクタ20のタイヤ周方向長さW2の50%〜70%である。溝状部21の前記長さW1がサイドプロテクタ20の前記長さW2の50%未満の場合、サイドプロテクタ20の容積が大きくなり、タイヤ1のバットレス部Bの質量が過度に増加し、ひいては、ビード部4が大きく撓むため、ビード部4の耐久性能が悪化する。溝状部21の前記長さW2がサイドプロテクタ20の前記長さW1の70%を超える場合、サイドプロテクタ20の容積が小さくなり、サイドプロテクタ20と岩との接触によるトラクションや、溝状部21で泥をせん断することによるトラクションが小さくなる。また、サイドプロテクタ20が、ゴム厚さが小となる溝状部21において、岩等との衝突によるカット傷の発生を抑制できない。なお、溝状部21の前記長さW1及びサイドプロテクタ20の前記長さW2は、タイヤ半径方向の同じ高さ位置で測定された長さである。
サイドプロテクタ20は、外面Baからタイヤ軸方向外側にのびる一対の側壁面20a、20aと、一対の側壁面20a、20aのタイヤ軸方向外縁を継ぐ外側面20bとを含んでいる。側壁面20a、20a間では、溝状部21が形成されている。また、各側壁面20aは、本実施形態では、第1ショルダーブロック11Aの壁面13c又は第2ショルダーブロック11Bの壁面14cと滑らかに連続している。外側面20bのタイヤ半径方向の最も外側には、タイヤ周方向にのびるエッジである外縁20tを有している。
図1に示されるように、タイヤ子午線断面において、サイドプロテクタ20は、本実施形態では、突出高さH1が実質的に一定な矩形ブロック状で形成されている。しかしながら、サイドプロテクタ20は、このような態様に限定されるものではなく、種々の形状が採用される。「実質的に一定」とは、本明細書では、突出高さH1の最大値と最小値との差が、突出高さH1の最大値の20%以下の態様を含む意味である。
サイドプロテクタ20は、その突出高さH1が、5〜10mmであるのが望ましい。サイドプロテクタ20の突出高さH1が5mm未満の場合、溝状部21に入り込む泥の量が小さくなりせん断力や、岩との引掛け力が低下するので、オフロード性能や耐カット性能を高められないおそれがある。サイドプロテクタ20の突出高さH1が10mmを超える場合、バットレス部Bの質量が大きくなり、ビード部4の耐久性能が悪化するおそれがある。本明細書では、突出高さは、輪郭線Sに対する法線方向の最大高さである。
サイドプロテクタ20は、本実施形態では、タイヤ最大幅位置Pm(図1に示す)よりもタイヤ半径方向外側に設けられている。これにより、耐カット性能やオフロード性能が発揮される。タイヤ最大幅位置Pmは、輪郭線Sにおいてタイヤ軸方向外側に最も張り出す位置を意味する。
サイドプロテクタ20の外側面20bのタイヤ半径方向長さLa(図5に示す)は、オフロード性能とビード部4の耐久性能とをバランス良く高めるために、例えば、横溝12の溝深さDの1.5〜3倍程度が望ましい。同様の観点より、サイドプロテクタ20の外縁20tは、ビードベースラインからタイヤ断面高さの80%〜90%であるのが望ましい。
図4に示されるように、サイドプロテクタ20は、第1プロテクタ部22と第2プロテクタ部23とを含んでいる。
第1プロテクタ部22の外縁20tは、第1ショルダーブロック11Aの側面13bに接続されている。第2プロテクタ部23の外縁20tは、第2ショルダーブロック11Bの側面14bに接続されている。このようなサイドプロテクタ20は、高い剛性を持つので、オフロード性能を向上する。
第1プロテクタ部22は、タイヤ周方向の幅W1がタイヤ半径方向内側に向かって漸減している。このような第1プロテクタ部22は、岩と接触しやすいタイヤ半径方向の外側部分で大きな容積を持つため、岩との接触時に大きなトラクションを発揮することができる。一方、岩との接触機会が少ない第1プロテクタ部22のタイヤ半径方向の内側部分は、相対的に小さいタイヤ周方向の幅W1を有するため、その質量が低減される。従って、本実施形態のタイヤ1は、第1プロテクタ部22による質量の増加を抑制しながら、優れたロック性能を発揮することができる。
第2プロテクタ部23は、タイヤ周方向の幅W1がタイヤ半径方向内側に向かって漸増している。第2プロテクタ部23と第1プロテクタ部22とは、タイヤ周方向に交互に設けられている。これにより、本実施形態の溝状部21は、その長手方向がタイヤ放射方向に対して傾斜している。このような溝状部21は、タイヤ1の回転に伴って、両側の側壁面20a、20aがタイヤ周方向の押圧力を発揮して、岩や泥を効果的に挟むことができる。従って、さらに優れたオフロード性能が発揮される。
第2プロテクタ部23は、外側面20bよりもタイヤ半径方向の内方で2つのブロックに分岐している。このような第2プロテクタ部23は、エッジ成分が増加するため、岩との接触機会が大きくなり、トラクションが向上する。
図5に示されるように、タイヤ子午線断面において、溝状部21には、タイヤ軸方向外側に突出する頂点25tを有する略三角形状の突部25が設けられている。このような突部25は、溝状部21でのゴム厚さを確保して、耐カット性能を効果的に高めるとともに、バットレス部Bの質量増加を抑制して、ビード部4の耐久性能の悪化を防止する。
突部25は、本実施形態では、頂点25tからタイヤ半径方向外側にのびる外の斜辺25aと、頂点25tからタイヤ半径方向内側にのびる内の斜辺25bとを含んでいる。外の斜辺25a及び内の斜辺25bは、輪郭線Sに滑らかに接続されている。
頂点25tとトレッド端Teとのタイヤ半径方向の距離L1は、例えば、20〜50mmであるのが望ましい。一般に、トレッド端Teからタイヤ半径方向に20mm未満の位置は、トレッド部2又はサイドウォール部3のゴム厚さが大きいところであるため、カット傷が発生した場合でも、走行性能への影響が小さい領域である。また、トレッド端Teからタイヤ半径方向に50mmを超える位置では、岩や灌木等との接触するおそれが少ない位置である。このため、トレッド端Teからタイヤ半径方向に20mm未満の位置又は50mmを超える位置に頂点25tを設けても、耐カット性能の向上効果はあまり期待できない。
突部25の突出高さ(頂点25tでの突出高さ)H2は、サイドプロテクタ20の突出高さH1よりも小さいのが望ましい。突部25の突出高さH2が、サイドプロテクタ20の突出高さH1よりも大きい場合、溝状部21内に入り込む泥の量が小さくなり、マッド性能が悪化するおそれがある。このような観点より、突部25の突出高さH2は、2〜8mmが望ましい。
頂点25tは、本実施形態では、その両側のサイドプロテクタ20、20を連続してタイヤ周方向にのびている。これにより、耐カット性能が大きく向上する。頂点25tは、本実施形態では、頂点25tの突出高さH2が一定で形成されている。しかしながら、このような態様に限定されるものではなく、例えば、サイドプロテクタ20、20間のタイヤ周方向の両側の頂点25tからタイヤ周方向中央部の頂点25tに向かって突出高さH2が漸増する態様でも良い(図示省略)。このようなタイヤ1は、さらにビード部4の耐久性能が向上する。
内の斜辺25bのタイヤ半径方向長さLiは、外の斜辺25aのタイヤ半径方向長さLoよりも大きいのが望ましい。これにより、内の斜辺25bのタイヤ軸方向に対する角度(図示省略)が、外の斜辺25aのタイヤ軸方向に対する角度(図示省略)よりも小さくなり、突部25のタイヤ半径方向の剛性を高めることができる。このようなタイヤ1は、突部25による質量増加を抑制しつつ耐カット性能を向上する。
突部25のタイヤ半径方向の長さ(Li+Lo)は、サイドプロテクタ20の外側面20bのタイヤ半径方向の長さLaよりも小さいのが望ましい。これにより、耐カット性能の悪化が抑制される。耐カット性能とオフロード性能とをバランス良く向上させるために、突部25の前記長さ(Li+Lo)は、外側面20bの前記長さLaの35%〜65%が望ましい。
以上、本発明の実施形態について、詳述したが、本発明は例示の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変形して実施しうるのは言うまでもない。
図1及び図2の基本構造及び基本パターンを有するサイズ265/70R17の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、それらについてオフロード性能(ロック性能・マッド性能)、耐カット性能及びビード部の耐久性能がテストされた。各試供タイヤは、サイドプロテクタ及び突部以外は、実質的に同じ仕様である。
<ロック性能・マッド性能>
各試供タイヤが、排気量2500ccの四輪駆動車の全輪に装着された。そして、テストドライバーが、上記車両を岩や瓦礫等を含む岩場路面のテストコース及び泥濘路面のテストコースを走行させ、このときのトラクション性能に関する走行特性が、テストドライバーの官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど良好である。
<耐カット性能>
上記車両を用いて、上述の岩場路面を約1500km走行した後、溝状部に生じたカット傷の深さ及びカット傷の長さに基づいて総合的に評価した。結果は、比較例2を100とする評点で表示されている。数値が大きいほど耐カット性能が良好である。
<ビード部の耐久性能>
各テストタイヤを台上試験装置上で、下記の条件で走行させた後、ビード部の表面温度が測定された。評価は、温度の逆数であり、比較例1の値を100とする指数で表示されている。数値が大きいほどビード部の耐久性能が良好である。
走行速度:100km/h
走行時間:24時間
内圧:350kPa
荷重:正規荷重の100%
Figure 0006724450
Figure 0006724450
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、優れていることが確認できる。また、上記と異なるタイヤサイズについてもテストを行ったが、同じ傾向が示された。
1 空気入りタイヤ
3 サイドウォール部
20 サイドプロテクタ
21 溝状部
B バットレス部
Ba バットレス部の外面

Claims (7)

  1. サイドウォール部のタイヤ半径方向外側の領域であるバットレス部を有する空気入りタイヤであって、
    前記バットレス部の外面には、タイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタと、前記サイドプロテクタ間に形成される溝状部とが設けられ、
    前記溝状部のタイヤ周方向長さは、前記サイドプロテクタのタイヤ周方向長さの50%〜70%であり、
    前記溝状部は、タイヤ軸方向外側に突出する頂点を有する略三角形状の突部が設けられており、
    前記突部は、前記頂点からタイヤ半径方向外側にのびる外の斜辺と、前記頂点からタイヤ半径方向内側にのびる内の斜辺とを含み、
    前記内の斜辺のタイヤ半径方向長さは、前記外の斜辺のタイヤ半径方向長さよりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記突部は、前記溝状部に1つ設けられている請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記頂点とトレッド端とのタイヤ半径方向の距離は、20〜50mmである請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記頂点は、その両側の前記サイドプロテクタを連続してタイヤ周方向にのびている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ子午線断面において、
    前記突部は、その突出高さが、前記サイドプロテクタの突出高さよりも小さい請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記突部は、2〜8mmの突出高さを有する請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記サイドプロテクタは、5〜10mmの突出高さを有する請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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